ゲスト
(ka0000)
紅散らす風
マスター:狭霧

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/01 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/10 12:00
オープニング
一年で最も実り豊かなこの時期の山林に、棒や鉈を持った男たちが分け入っていく。視線を上げれば、葉が赤や黄に染まっており、鮮烈な彩りで彼らを迎えていた。
しかしその表情は一様に硬く、紅葉や山の幸を採りに来たのではないことは明白だった。
しばし無言で進み、やや開けた場所に出ると立ち止まる。
「よし、ここで分かれよう。結果がどうでも一時間が過ぎたらここに戻って来る。いいな?」
そう言って、集団の中で最もガタイの良い青年が、手にした棒を地面に突き立てる。
応、と全員が頷き、事前に決めてあったであろう迅速さで幾人かに分かれ、それぞれの方向に散って行った。
「俺たちも」
「ああ」
それを見送り、その場に残っていた二人とともに、青年も森の奥へと踏み入った。
青年の親友が山に入ったきり、行方が分からなくなったのは二日前のことだった。彼が山に入る前日、キノコを採りに行くんだと話してくれたのを覚えている。
親友は子供の頃から、この時期になると毎年この山林に入り、山のようにキノコを採ってくるものだった。
彼以上にここを熟知している者はいない。そう断言できるからこそ、一切の行方が分からない今の状況は、彼に何かがあったことを確信させるに余りある。
楽観的になど、なれるはずもなかった。
「おーい!!」
「頼む! 聞こえたら返事をしてくれぇーー!!」
呼びながら、隅々まで目を凝らす。
彼らの懇願するような声は森に木霊して消えていき、返す声はない。
「……? おい、これを見ろ。こりゃいったい、何の傷だ?」
同行している男性が示すところに目を向けると、そこには一筋の真新しい傷跡。
猪が牙を擦り付けたものかと思い、すぐに違うと思い直す。猪が牙で付けたものにしてはあまりにも綺麗すぎる。まるで鋭利な刃物で切りつけたような傷だ。
例えば今、己が握っている鉈ならこれに似た傷を残せるのではないか――
「ッ! おい、この辺りを探すぞ!」
親友の手掛かりかもしれない。そう思い至った青年らが周囲を探すと、所々に似た傷跡が見つかった。
「こっちにもあったぞ!」
「ここにもだ!」
彼らは傷跡に導かれるように、森の奥へと進んでいく。
青年にはやや嫌な予感はあった。見つけた傷跡はどれも似通ったものだったが、付けられたばかりのものもあれば、木の肌が黒ずみ、傷つけられてから随分時間が経過したと思しきものも幾つか見つけた。
それを見つけた時点で、これは親友とは何の関係もないと考えていればよかったのだ。
だが、探し回って何の手掛かりもない状況が、彼をこの手掛かりに執着させてしまっていた。古いものも、親友が以前訪れた時に付けたものだと、自分を納得させてしまった。
「また見つけ……っ!!」
「どうした?」
詰まるように途切れた声に、青年は疑問に思い、“それ”を見た。
「これ、は……」
言葉が出ない。
視線の先にあったのは、何かの液体を吸って黒く変色した地面。 ――血溜まりの後だ。
無残にも切り裂かれた籠。 ――ありふれた籠だ。
変色した地面のすぐそばに落ちている鋭利な刃物。 ――村の皆も使っている鉈だ。
そして、木の根元に転がっている、割れた腕輪。 ――奥さんが、あいつの安全を願って贈った唯一つの……
骸も、骨すらも残っていないが、ここで何があったのか、誰の目にも明らかだった。
探し人がもうこの世にいないであろうことも。
青年の心を表すかのように吹き始めた冷たい風が枝葉を揺らし、ざわざわと音を立てる。
何も考えられない。
彼は涙で視界が滲むのを堪えながら、腕輪を取るべくふらふらと近づき――
――瞬間、鮮血が舞った。
●
リゼリオの本部から転移してきたハンターたちは、職員から依頼の詳細について説明を受けていた。
とはいえ、情報は多くない。情報源は現場から命からがら生還した男性一人だけであり、酷く錯乱していたからだ。
その様子にただならぬものを感じた村人は、一旦村に戻り、男性を落ち着けて事情を聞いたのだという。
「彼の話によると、突然強い風が吹いたと思ったら一緒にいた青年の体が裂け、血が噴き出したそうです。
突然のことに動けずにいたところ、木の陰から飛び出した何かにもう一人の男性が足を切られ転倒。さらにその後、イタチのような生物が転倒した男性に襲い掛かり、鎌のような前足で男性を切り裂いたとか」
生還した男性は運が良かったとしか言えませんね、と置き、ハンターの前に広げた3Dディスプレイを操作する。
事件のあった山林と、事件現場までの簡単な地図が表示された。
「事件のあった山林はそう深くもなく、現場までは迷うこともないでしょう。
奴らがその周辺を縄張りにしているのかは不明ですが、一連の流れを考えるとまだ近くに潜んでいると思われます。
そして、男性の話を総合した結果、敵の個体数は最低二体。今のところ被害は事件のあった山林に留まっていますが、いつ山を下りて野に放たれないとも限りません。早急な討伐をお願いします」
そう締めて、ハンターたちに頭を下げた。
しかしその表情は一様に硬く、紅葉や山の幸を採りに来たのではないことは明白だった。
しばし無言で進み、やや開けた場所に出ると立ち止まる。
「よし、ここで分かれよう。結果がどうでも一時間が過ぎたらここに戻って来る。いいな?」
そう言って、集団の中で最もガタイの良い青年が、手にした棒を地面に突き立てる。
応、と全員が頷き、事前に決めてあったであろう迅速さで幾人かに分かれ、それぞれの方向に散って行った。
「俺たちも」
「ああ」
それを見送り、その場に残っていた二人とともに、青年も森の奥へと踏み入った。
青年の親友が山に入ったきり、行方が分からなくなったのは二日前のことだった。彼が山に入る前日、キノコを採りに行くんだと話してくれたのを覚えている。
親友は子供の頃から、この時期になると毎年この山林に入り、山のようにキノコを採ってくるものだった。
彼以上にここを熟知している者はいない。そう断言できるからこそ、一切の行方が分からない今の状況は、彼に何かがあったことを確信させるに余りある。
楽観的になど、なれるはずもなかった。
「おーい!!」
「頼む! 聞こえたら返事をしてくれぇーー!!」
呼びながら、隅々まで目を凝らす。
彼らの懇願するような声は森に木霊して消えていき、返す声はない。
「……? おい、これを見ろ。こりゃいったい、何の傷だ?」
同行している男性が示すところに目を向けると、そこには一筋の真新しい傷跡。
猪が牙を擦り付けたものかと思い、すぐに違うと思い直す。猪が牙で付けたものにしてはあまりにも綺麗すぎる。まるで鋭利な刃物で切りつけたような傷だ。
例えば今、己が握っている鉈ならこれに似た傷を残せるのではないか――
「ッ! おい、この辺りを探すぞ!」
親友の手掛かりかもしれない。そう思い至った青年らが周囲を探すと、所々に似た傷跡が見つかった。
「こっちにもあったぞ!」
「ここにもだ!」
彼らは傷跡に導かれるように、森の奥へと進んでいく。
青年にはやや嫌な予感はあった。見つけた傷跡はどれも似通ったものだったが、付けられたばかりのものもあれば、木の肌が黒ずみ、傷つけられてから随分時間が経過したと思しきものも幾つか見つけた。
それを見つけた時点で、これは親友とは何の関係もないと考えていればよかったのだ。
だが、探し回って何の手掛かりもない状況が、彼をこの手掛かりに執着させてしまっていた。古いものも、親友が以前訪れた時に付けたものだと、自分を納得させてしまった。
「また見つけ……っ!!」
「どうした?」
詰まるように途切れた声に、青年は疑問に思い、“それ”を見た。
「これ、は……」
言葉が出ない。
視線の先にあったのは、何かの液体を吸って黒く変色した地面。 ――血溜まりの後だ。
無残にも切り裂かれた籠。 ――ありふれた籠だ。
変色した地面のすぐそばに落ちている鋭利な刃物。 ――村の皆も使っている鉈だ。
そして、木の根元に転がっている、割れた腕輪。 ――奥さんが、あいつの安全を願って贈った唯一つの……
骸も、骨すらも残っていないが、ここで何があったのか、誰の目にも明らかだった。
探し人がもうこの世にいないであろうことも。
青年の心を表すかのように吹き始めた冷たい風が枝葉を揺らし、ざわざわと音を立てる。
何も考えられない。
彼は涙で視界が滲むのを堪えながら、腕輪を取るべくふらふらと近づき――
――瞬間、鮮血が舞った。
●
リゼリオの本部から転移してきたハンターたちは、職員から依頼の詳細について説明を受けていた。
とはいえ、情報は多くない。情報源は現場から命からがら生還した男性一人だけであり、酷く錯乱していたからだ。
その様子にただならぬものを感じた村人は、一旦村に戻り、男性を落ち着けて事情を聞いたのだという。
「彼の話によると、突然強い風が吹いたと思ったら一緒にいた青年の体が裂け、血が噴き出したそうです。
突然のことに動けずにいたところ、木の陰から飛び出した何かにもう一人の男性が足を切られ転倒。さらにその後、イタチのような生物が転倒した男性に襲い掛かり、鎌のような前足で男性を切り裂いたとか」
生還した男性は運が良かったとしか言えませんね、と置き、ハンターの前に広げた3Dディスプレイを操作する。
事件のあった山林と、事件現場までの簡単な地図が表示された。
「事件のあった山林はそう深くもなく、現場までは迷うこともないでしょう。
奴らがその周辺を縄張りにしているのかは不明ですが、一連の流れを考えるとまだ近くに潜んでいると思われます。
そして、男性の話を総合した結果、敵の個体数は最低二体。今のところ被害は事件のあった山林に留まっていますが、いつ山を下りて野に放たれないとも限りません。早急な討伐をお願いします」
そう締めて、ハンターたちに頭を下げた。
解説
・現場
紅葉が見頃な山林。
現場周辺は緩い斜面になっている。
木々の間隔はまちまちで、1~2sq程度。
OPの内容はすべてPC情報可。
・敵情報
イタチ型雑魔×?
野犬程の大きさのイタチ。
爪が巨大なフック状になっている個体、前足が鎌のようになっている個体を確認。
また、どちらもウィンドスラッシュに似たスキルを使うことが判明している。
※PL情報
敵総数3体。
上記2体の他に、大きさ以外は見た目普通のイタチが存在。
3体それぞれに固有スキルあり。
壱:アクティブ。近接攻撃が命中した対象にBS“転倒”付与。(強度1、移動阻害。抵抗成功かメイン消費で解除)
弐:パッシブ。“転倒”中の対象に攻撃した場合、最終ダメージ2倍。
参:アクティブ。所謂『ヒール』
紅葉が見頃な山林。
現場周辺は緩い斜面になっている。
木々の間隔はまちまちで、1~2sq程度。
OPの内容はすべてPC情報可。
・敵情報
イタチ型雑魔×?
野犬程の大きさのイタチ。
爪が巨大なフック状になっている個体、前足が鎌のようになっている個体を確認。
また、どちらもウィンドスラッシュに似たスキルを使うことが判明している。
※PL情報
敵総数3体。
上記2体の他に、大きさ以外は見た目普通のイタチが存在。
3体それぞれに固有スキルあり。
壱:アクティブ。近接攻撃が命中した対象にBS“転倒”付与。(強度1、移動阻害。抵抗成功かメイン消費で解除)
弐:パッシブ。“転倒”中の対象に攻撃した場合、最終ダメージ2倍。
参:アクティブ。所謂『ヒール』
マスターより
恵みの秋&紅葉シーズンですが、歪虚にはそんなの関係ないのです。
どうぞよろしくお願いします。
どうぞよろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/10 01:45
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 浅野 紗々姫(ka1737) 人間(リアルブルー)|17才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/11/01 09:26:29 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/28 18:00:41 |