ゲスト
(ka0000)
【繭国】精霊とボールとホイッスル
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~14人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/07/04 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/07/13 22:00
オープニング
●来たか、とうとう
グラズヘイム王国のとある領地に精霊が住んでいる。
それが真実か否か、隣の者は分からない。
「正直言って、クリシス家は邪魔だ。息子が歪虚になっても同情されつつ咎めなし。まあ、ウィリアムは隠居したし、戦場に出てきたわけか……。にしても、先日も何やらこちらとの境界でやっていたし、邪魔なのだ」
クリシス家と川を挟んで領地を持つ領主ユリアン・メトーポンは呟く。筋肉質で武術もよくするが酒も好きでン十歳以降、おなか周りが気になる年頃のように見える年齢。
「精霊がいるから川でなんかやっているというのも嘘に違いない。そもそもそんなもの見えないし、いないじゃないか」
こちら側では水かさが増したとか、いろいろな事件は起こっていない。船頭たちの話によると、クリシス側の水位は奇妙というのはあったらしい。
あくまで、あ、ちょっとなんか乗り上げたかな程度で、舟から下りるとき段差が怖いといえば怖いという。
「やはり、そこを突くべきだな」
ユリアンは手紙をしたためる。使者を立て隣の領地を揺さぶろうと考えたのだった。
「今領主やってる娘は見た目は良い、息子の嫁にでもと言っていればいいし」
ユリアンはふと思い出す。
「うちの息子も美青年だ! なのに、あのガキが文武両道とかほざいていたのはむかついた! だいたい、なよなよしてどこがいいんだ!」
クリシス家の長男が死んだらきっと息子がもてると思ったが、いまいちだったという過去がある。町の中には渡し船で行ってクリシス家の長男を一目見ようとしていた娘たちが多かったという歯がゆい思いでがよぎってしまった。
さて、ユリアンからの手紙を携えた使者を迎えた領主イノア・クリシスはありのままに説明するしかない。精霊というどこかおとぎ話めいたことを説明するため、嫌味ったらしい返答で堂々めぐりとなりそうだ。
覚悟を決めたところ、扉がノックされた。
「失礼、使者が来たというから私も同席してよいだろうか?」
イノアの父であり、精神的に不安定となって隠居したが、最近だいぶ元気になってきたウィリアムが顔を出した。使者はこの瞬間、「ぎゃ」と思ったがイノアがまだ危ういところに後ろ盾となる人物が同席するのは拒否できない。
イノアは川であったことを説明した。すかさずウィリアムが微笑む。
「驚かれていますね? 私だって精霊がいると言われて信じられませんからね」
可愛い方ですよ、と付け加える。
「船で来られたのでしょう? それであれば一度祠に参りましょう」
「いえいえ、もったいなきお言葉。別に祠ならわかりましょう、お気になさらずに」
「いやいや、私も教会に帰るつもりだからね、ついでだよ、気にしないでくれ」
しばらく言い合うが、ウィリアムがにこやかに押し切った。
二人が出て行ったあと、イノアは溜息を洩らした。
「さすがにお父様というべきですわ……。父がいないと何もできないままかしら……」
不安はよぎる。
年が若い上、女というだけで見下す者もいる。川向うの領主はその気が強い。息子との縁談も散々勧めてくる。
「見え見えなのですわ、養子っていう形でも結局乗っ取ろうという」
兄が兄のままならどれだけ良かったか。
弱気になってはいけないが、寂しくなった。
●精霊はつまらない
ウィリアムに連れられて、メトーポン家の使者は精霊が祭られている祠にやってきた。
あまりにも粗末なそれに鼻先で笑う。
「おや? おかしいですか?」
ウィリアムはさっと突く。
「え?」
「いや、ここには古くから住まう者がいるとは伝えられていたのです。姿は見えないためあまり意識はしていませんでしたが……今思えば、魔法公害が発生したころ、よくこの町は水没しなかったと思いますよ。今考えると肝が冷えますよ」
使者はウィリアムの笑顔が恐ろしい、真実か否かつかめないため。
「……あのお嬢さんは出てくれるとは限りません」
ウィリアムは手を合わせる。教会で祈るように。
「お嬢さん?」
「ええ、お嬢さんのような姿というものですけれど。性別がそもそもあるのかもわかりません。実は男の子かもしれません」
「……」
担がれているのか否か、使者は悩む。
「あなたも是非、お祈りを。こちらの岸に彼女が上がるとはいえ、住んでいるのは同じ川ですから」
確かにその通りだ。
こちらの領地が水没しようとかまわないが、その力をこの領主が使えばどうなる?
使者はほくそ笑む。うまくすれば主のためになるのでは、と。
「そうですね、気持ちですね」
使者は同じように手を合わせた。
顔をあげると祠の陰から少女のようなモノが現れた。形はあるが流水という表現がぴったりくるものだ。
「ぎゃあああああああああ」
使者の口から悲鳴が上がる。
「この方ですよ。ごきげんよう、精霊さん」
ウィリアムは丁寧にお辞儀する。
精霊は悲鳴を上げたほうを指さし何か文句を言っている。
「あなたを始めて見たそうですよ」
「んんんんんんん」
「隣の方です」
「ふーん」
精霊はすぐに興味を失い、ウィリアムに紙きれを取り出した。水にぬれているが、かろうじて字が読める。
「運動会?」
精霊は首をかしげる。
「大人数で競技……走ったり、ボールを投げたりしてその腕を競う大会です」
精霊は体をくねくねして考え、万歳をする。
「やりたい、と?」
精霊はうなずく。
「応援だけは嫌なのですね?」
精霊が疑問を示したため、応援の説明をウィリアムはした。精霊は首を横に振る。
「とはいえ……陸上でやるにはあなたに負担があるのではないのですか? 人間集めてもここだとほとんど何もできません」
精霊は頬を膨らませた。
「水泳だけに特化すればいいですね……水球大会なんてどうでしょうか?」
「ん?」
「水球とは、二つのグループがボールを持ってゴールに入れるスポーツです」
精霊は喜ぶ。
「……そうです、メトーポン殿のところの方も参加しませんか?」
ウィリアムはさらりと告げる。
「は?」
使者は硬直する。
「せっかくならお隣ですし、一緒に精霊殿と楽しみましょう?」
ウィリアムは笑顔のまま、使者の肩をポンとたたいた。
●招待状
ユリアン・メトーポン殿
使者どのから伺っているかもしれないが、精霊殿とそちらの方も遊ぶというのはいかがと思って招待状を送る。
対岸からも見えるとは思うが、近くである我が方からいかがだろうか?
無理強いはしないが、友好関係が続くことを祈り、かつ、精霊と遊ぶことで新たな絆も生まれるかもしれない。
ウィリアム・クリシス
ユリアンは悩む、これが罠である場合も否定できない。
精霊の有無を問うて実際を見せるというのだから、行かないのも怖気ついたと言われかねない。
息子を行かせるか自分で行くか。
「むうう……私が行こう」
ウィリアムがいるということはやり込められる危険性がある。
「誰かある! 泳ぎがうまいやつを用意しろ。水球のチームを作るのだ!」
グラズヘイム王国のとある領地に精霊が住んでいる。
それが真実か否か、隣の者は分からない。
「正直言って、クリシス家は邪魔だ。息子が歪虚になっても同情されつつ咎めなし。まあ、ウィリアムは隠居したし、戦場に出てきたわけか……。にしても、先日も何やらこちらとの境界でやっていたし、邪魔なのだ」
クリシス家と川を挟んで領地を持つ領主ユリアン・メトーポンは呟く。筋肉質で武術もよくするが酒も好きでン十歳以降、おなか周りが気になる年頃のように見える年齢。
「精霊がいるから川でなんかやっているというのも嘘に違いない。そもそもそんなもの見えないし、いないじゃないか」
こちら側では水かさが増したとか、いろいろな事件は起こっていない。船頭たちの話によると、クリシス側の水位は奇妙というのはあったらしい。
あくまで、あ、ちょっとなんか乗り上げたかな程度で、舟から下りるとき段差が怖いといえば怖いという。
「やはり、そこを突くべきだな」
ユリアンは手紙をしたためる。使者を立て隣の領地を揺さぶろうと考えたのだった。
「今領主やってる娘は見た目は良い、息子の嫁にでもと言っていればいいし」
ユリアンはふと思い出す。
「うちの息子も美青年だ! なのに、あのガキが文武両道とかほざいていたのはむかついた! だいたい、なよなよしてどこがいいんだ!」
クリシス家の長男が死んだらきっと息子がもてると思ったが、いまいちだったという過去がある。町の中には渡し船で行ってクリシス家の長男を一目見ようとしていた娘たちが多かったという歯がゆい思いでがよぎってしまった。
さて、ユリアンからの手紙を携えた使者を迎えた領主イノア・クリシスはありのままに説明するしかない。精霊というどこかおとぎ話めいたことを説明するため、嫌味ったらしい返答で堂々めぐりとなりそうだ。
覚悟を決めたところ、扉がノックされた。
「失礼、使者が来たというから私も同席してよいだろうか?」
イノアの父であり、精神的に不安定となって隠居したが、最近だいぶ元気になってきたウィリアムが顔を出した。使者はこの瞬間、「ぎゃ」と思ったがイノアがまだ危ういところに後ろ盾となる人物が同席するのは拒否できない。
イノアは川であったことを説明した。すかさずウィリアムが微笑む。
「驚かれていますね? 私だって精霊がいると言われて信じられませんからね」
可愛い方ですよ、と付け加える。
「船で来られたのでしょう? それであれば一度祠に参りましょう」
「いえいえ、もったいなきお言葉。別に祠ならわかりましょう、お気になさらずに」
「いやいや、私も教会に帰るつもりだからね、ついでだよ、気にしないでくれ」
しばらく言い合うが、ウィリアムがにこやかに押し切った。
二人が出て行ったあと、イノアは溜息を洩らした。
「さすがにお父様というべきですわ……。父がいないと何もできないままかしら……」
不安はよぎる。
年が若い上、女というだけで見下す者もいる。川向うの領主はその気が強い。息子との縁談も散々勧めてくる。
「見え見えなのですわ、養子っていう形でも結局乗っ取ろうという」
兄が兄のままならどれだけ良かったか。
弱気になってはいけないが、寂しくなった。
●精霊はつまらない
ウィリアムに連れられて、メトーポン家の使者は精霊が祭られている祠にやってきた。
あまりにも粗末なそれに鼻先で笑う。
「おや? おかしいですか?」
ウィリアムはさっと突く。
「え?」
「いや、ここには古くから住まう者がいるとは伝えられていたのです。姿は見えないためあまり意識はしていませんでしたが……今思えば、魔法公害が発生したころ、よくこの町は水没しなかったと思いますよ。今考えると肝が冷えますよ」
使者はウィリアムの笑顔が恐ろしい、真実か否かつかめないため。
「……あのお嬢さんは出てくれるとは限りません」
ウィリアムは手を合わせる。教会で祈るように。
「お嬢さん?」
「ええ、お嬢さんのような姿というものですけれど。性別がそもそもあるのかもわかりません。実は男の子かもしれません」
「……」
担がれているのか否か、使者は悩む。
「あなたも是非、お祈りを。こちらの岸に彼女が上がるとはいえ、住んでいるのは同じ川ですから」
確かにその通りだ。
こちらの領地が水没しようとかまわないが、その力をこの領主が使えばどうなる?
使者はほくそ笑む。うまくすれば主のためになるのでは、と。
「そうですね、気持ちですね」
使者は同じように手を合わせた。
顔をあげると祠の陰から少女のようなモノが現れた。形はあるが流水という表現がぴったりくるものだ。
「ぎゃあああああああああ」
使者の口から悲鳴が上がる。
「この方ですよ。ごきげんよう、精霊さん」
ウィリアムは丁寧にお辞儀する。
精霊は悲鳴を上げたほうを指さし何か文句を言っている。
「あなたを始めて見たそうですよ」
「んんんんんんん」
「隣の方です」
「ふーん」
精霊はすぐに興味を失い、ウィリアムに紙きれを取り出した。水にぬれているが、かろうじて字が読める。
「運動会?」
精霊は首をかしげる。
「大人数で競技……走ったり、ボールを投げたりしてその腕を競う大会です」
精霊は体をくねくねして考え、万歳をする。
「やりたい、と?」
精霊はうなずく。
「応援だけは嫌なのですね?」
精霊が疑問を示したため、応援の説明をウィリアムはした。精霊は首を横に振る。
「とはいえ……陸上でやるにはあなたに負担があるのではないのですか? 人間集めてもここだとほとんど何もできません」
精霊は頬を膨らませた。
「水泳だけに特化すればいいですね……水球大会なんてどうでしょうか?」
「ん?」
「水球とは、二つのグループがボールを持ってゴールに入れるスポーツです」
精霊は喜ぶ。
「……そうです、メトーポン殿のところの方も参加しませんか?」
ウィリアムはさらりと告げる。
「は?」
使者は硬直する。
「せっかくならお隣ですし、一緒に精霊殿と楽しみましょう?」
ウィリアムは笑顔のまま、使者の肩をポンとたたいた。
●招待状
ユリアン・メトーポン殿
使者どのから伺っているかもしれないが、精霊殿とそちらの方も遊ぶというのはいかがと思って招待状を送る。
対岸からも見えるとは思うが、近くである我が方からいかがだろうか?
無理強いはしないが、友好関係が続くことを祈り、かつ、精霊と遊ぶことで新たな絆も生まれるかもしれない。
ウィリアム・クリシス
ユリアンは悩む、これが罠である場合も否定できない。
精霊の有無を問うて実際を見せるというのだから、行かないのも怖気ついたと言われかねない。
息子を行かせるか自分で行くか。
「むうう……私が行こう」
ウィリアムがいるということはやり込められる危険性がある。
「誰かある! 泳ぎがうまいやつを用意しろ。水球のチームを作るのだ!」
解説
水球チームを作って参戦しよう!
●水球(ウォーターポロ)
1チーム7人です。
※人数が上限に達しない場合はそれでかまいません。また、二チームにするには足りない場合、補欠+応援という形でもかまいません。例えば12人の場合は六人のチーム二つができると思ってます。
ボールを相手チームのゴールに投げ入れると点数が入ります。
一ゲームは五分、二分休んで次という、四クオーター制。
ポジション=フォワード3、ハーフバック1、フルバック2、ゴールキーパー1です。
キーパー以外の人はボールを両手で触れること、握りこぶしでボールを打つこと、禁止です。
キーパー以外はボールを片手で操作しないといけないです。
水底に立ってのプレーは反則。
一般人相手に覚醒……?
●NPCチーム
・精霊チーム 川に住む精霊と川の主(巨大な魚)と大き目の魚の精鋭チーム。決勝で当たる。魚は尾びれで戦うことを許してください。
・隣の領地のチーム 騎士たち7人、やる気満々。
・クリシス家のチーム イノアの護衛である騎士ジョージ・モースと船着き場近辺で泳ぎがうまい人たち6人。やる気はあるけどのほほんとしている。
※初戦は人間のチームどちらかと当たります。二戦目はその勝者、三戦目=決勝という流れです。
●見物するNPC
・イノア・クリシス 十五歳女、領主。状況をハラハラして見守る。
・ウィリアム・クリシス イノアの父、穏やかに事を見守る。
・ユリアン・メトーポン クリシスの隣の領地。ウィリアムが嫌いで蹴落としたい。今回、騎士たちが活躍することを楽しみにしている。
●水球(ウォーターポロ)
1チーム7人です。
※人数が上限に達しない場合はそれでかまいません。また、二チームにするには足りない場合、補欠+応援という形でもかまいません。例えば12人の場合は六人のチーム二つができると思ってます。
ボールを相手チームのゴールに投げ入れると点数が入ります。
一ゲームは五分、二分休んで次という、四クオーター制。
ポジション=フォワード3、ハーフバック1、フルバック2、ゴールキーパー1です。
キーパー以外の人はボールを両手で触れること、握りこぶしでボールを打つこと、禁止です。
キーパー以外はボールを片手で操作しないといけないです。
水底に立ってのプレーは反則。
一般人相手に覚醒……?
●NPCチーム
・精霊チーム 川に住む精霊と川の主(巨大な魚)と大き目の魚の精鋭チーム。決勝で当たる。魚は尾びれで戦うことを許してください。
・隣の領地のチーム 騎士たち7人、やる気満々。
・クリシス家のチーム イノアの護衛である騎士ジョージ・モースと船着き場近辺で泳ぎがうまい人たち6人。やる気はあるけどのほほんとしている。
※初戦は人間のチームどちらかと当たります。二戦目はその勝者、三戦目=決勝という流れです。
●見物するNPC
・イノア・クリシス 十五歳女、領主。状況をハラハラして見守る。
・ウィリアム・クリシス イノアの父、穏やかに事を見守る。
・ユリアン・メトーポン クリシスの隣の領地。ウィリアムが嫌いで蹴落としたい。今回、騎士たちが活躍することを楽しみにしている。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
水球です! イラストのように足付きませんのでご注意を。溺れそうなら精霊が助けてくれます。
MS、水球ルールわかりません! 『百科事典のマイペディア』と『ブリタニカ国際大百科事典』見ながら書いてます。
ということで解説に書いてあるものがルールです。なんか、十三人一チームってのもありましたけど……多数決で七人でお願いします。
なお、審判は無名のNPCということにしてます。
よろしくお願いします。
水球です! イラストのように足付きませんのでご注意を。溺れそうなら精霊が助けてくれます。
MS、水球ルールわかりません! 『百科事典のマイペディア』と『ブリタニカ国際大百科事典』見ながら書いてます。
ということで解説に書いてあるものがルールです。なんか、十三人一チームってのもありましたけど……多数決で七人でお願いします。
なお、審判は無名のNPCということにしてます。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/07/09 20:16