ゲスト
(ka0000)
勇者なき村
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/06 09:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/15 09:00
オープニング
夕暮れ。冬が近づき始め、木々の葉が徐々に色づく中、その訪れは随分と早くなっていた。カラスの鳴き声が赤から黒へと移り変わるグラデーションの中で響くと、少女は何とも言えない焦燥感に苛まされる。
「大丈夫」
一緒に森を捜索するハンターが声をかけた。その気遣いに少女は本当にその場で泣き崩れてしまいたくなった。今の彼女の心の中はこの黄昏と同じ。希望の光が徐々に薄らぎ、絶望という闇が色濃くなってくる。
少女には大好きな少年がいた。将来、ハンターになるのだと語っていた快活な少年。毎日、大人に交じって木こりとして働き、ちょっとした時間があれば独学で剣術の練習などしていた。人の好意には気づかない鈍感者だけど、いつも明るくて、そして物怖じしない。少女が泣きそうな時はいつだって励ましてくれた。
そんな彼がコボルトを発見したと聞いて飛び出ていった時、自分もついて行けば良かったと、今は心底後悔していた。
少年は一人でコボルトを2匹も退治した経験があった。少女は薬士を生業としている関係で、森に良く入ってた時、たまたま出くわした時、少年が退治してくれた。その時から村の勇者だった。
だから昨日、コボルトを見かけた。という知らせを聞いて一にも二にもなく剣を持って飛び出ていった少年を、止めることはできなかった。それから1日が過ぎ、今日も間もなく終わりを迎えようとしている。村長が心配してハンターに依頼してくれたのはありがたかったが、少女はもう待つなんてできなかった。連れて行かなければ一人ででもいくから! と駄々をこねて無理やりに同行したのだ。
闇が一段と濃くなる。もう遠い西の果てしか陽光は届かない。不安と焦燥感で胸が潰れそうになる。
これ以上の捜索はできないだろう。いつ打ち切られるのか、それまでに何かしらの手がかりを掴みたい。少女は暗い獣道に目を凝らしていた。
不意に僅かに獣臭が鼻をついた。野生動物特有の臭い。
「これは……」
先ほどまでの調子と違うハンターの声が聞こえた。
そちらを振り返れば、ハンターが明かりで照らしている繁みがあった。元々人があまり立ち位置いるような場所ではない。好き勝手に生えている繁みであったが、確かにそれは自然とは違った。一部だけ枝葉が折れて、内部の葉のない幹や枝が露出している。そして刃物で切り取ったような鋭い切り口。地面はまるで踏み荒らしたかのように凹凸していた。間違いない、戦いの跡だ。
「!!」
少女は思わず駆けだそうとしたのをギリギリでハンターに止められた。奥にコボルトがいるのかもしれない。と。
そして準備をして、改めて少女はハンターに守られながらその繁みをゆっくりと乗り越えた。
この森にこんな場所があったのだろうか。
景色は全く違っていた。ずっと続くであろうと思っていた森はそこでぷっつりと切れて、残光を残す空を一面に臨むことができた。あたり木々はなぎ倒され、いくつかはまるで赤子が作る建物のように乱雑に積み上げられていた。そして散らばる木の実、野菜の屑。野生動物の残骸……。それが延々と続き、一番向こう側は崖のようになっていて、空を映し出しているのだ。
コボルトの住処だとハンターが教えてくれた。しかもかなり大きい。5,60匹くらいの集団だろうと。しかし住処というには生き物のいる様子は見られない。ひっそりとし、木々のざわめきだけがかすかに聞こえるだけだった。
少女は少年の名前を呼んだ。最初は小さく、段々と大きく。
その内、緊張で崩れ落ちそうになる足をヨロヨロと進ませながら一歩、また一歩と進んでいく。そこに。影の山に隠れる見覚えのある靴が見えた。山はどうやら数体のコボルトの死骸であった。そしてその影に……靴と……。
ああ。
見たくなかった。
だが、まるで呪いでも受けたかのように視線が動かせない。
ハンターがそっと彼女の視界をその体で覆った。それで彼女はすべてを悟ってしまった。
少年は帰らぬ人となってしまったのだと。
絶叫すら上げることもできなくなった少女の横で、コボルトの遠吠えが聞こえた。一瞬、身が震えたが自分ではどうにもできない脱力感に少女は動くこともままならなかった。夕闇に次々と響くコボルトの遠吠え。それは少女たちを見つけた合図だと思っていたが、ハンター達が身構えて辺りを警戒するも遠吠えばかりでまったく空気は変わらない。むしろ遠ざかっているように聞こえた。
少年の勇気によって、コボルトは逃げ出した?
でも聞こえる方角は村の方。逃げるならそちらからも離れていくはずだ。
「あ、あぁ……村が……みんなが!」
わかってしまった。
低能のコボルトと言えども、村を守っていたのが少年だということには感づいたのだろうか。
これから秋は終わりを告げ、冬がやってくる。食べ物がどこに貯蓄されているのも。
勇者を失った村にコボルトは急襲をかけようというのだ。
その証拠に崖下を覗き込んだハンターが危急の声を上げていた。
「大丈夫」
一緒に森を捜索するハンターが声をかけた。その気遣いに少女は本当にその場で泣き崩れてしまいたくなった。今の彼女の心の中はこの黄昏と同じ。希望の光が徐々に薄らぎ、絶望という闇が色濃くなってくる。
少女には大好きな少年がいた。将来、ハンターになるのだと語っていた快活な少年。毎日、大人に交じって木こりとして働き、ちょっとした時間があれば独学で剣術の練習などしていた。人の好意には気づかない鈍感者だけど、いつも明るくて、そして物怖じしない。少女が泣きそうな時はいつだって励ましてくれた。
そんな彼がコボルトを発見したと聞いて飛び出ていった時、自分もついて行けば良かったと、今は心底後悔していた。
少年は一人でコボルトを2匹も退治した経験があった。少女は薬士を生業としている関係で、森に良く入ってた時、たまたま出くわした時、少年が退治してくれた。その時から村の勇者だった。
だから昨日、コボルトを見かけた。という知らせを聞いて一にも二にもなく剣を持って飛び出ていった少年を、止めることはできなかった。それから1日が過ぎ、今日も間もなく終わりを迎えようとしている。村長が心配してハンターに依頼してくれたのはありがたかったが、少女はもう待つなんてできなかった。連れて行かなければ一人ででもいくから! と駄々をこねて無理やりに同行したのだ。
闇が一段と濃くなる。もう遠い西の果てしか陽光は届かない。不安と焦燥感で胸が潰れそうになる。
これ以上の捜索はできないだろう。いつ打ち切られるのか、それまでに何かしらの手がかりを掴みたい。少女は暗い獣道に目を凝らしていた。
不意に僅かに獣臭が鼻をついた。野生動物特有の臭い。
「これは……」
先ほどまでの調子と違うハンターの声が聞こえた。
そちらを振り返れば、ハンターが明かりで照らしている繁みがあった。元々人があまり立ち位置いるような場所ではない。好き勝手に生えている繁みであったが、確かにそれは自然とは違った。一部だけ枝葉が折れて、内部の葉のない幹や枝が露出している。そして刃物で切り取ったような鋭い切り口。地面はまるで踏み荒らしたかのように凹凸していた。間違いない、戦いの跡だ。
「!!」
少女は思わず駆けだそうとしたのをギリギリでハンターに止められた。奥にコボルトがいるのかもしれない。と。
そして準備をして、改めて少女はハンターに守られながらその繁みをゆっくりと乗り越えた。
この森にこんな場所があったのだろうか。
景色は全く違っていた。ずっと続くであろうと思っていた森はそこでぷっつりと切れて、残光を残す空を一面に臨むことができた。あたり木々はなぎ倒され、いくつかはまるで赤子が作る建物のように乱雑に積み上げられていた。そして散らばる木の実、野菜の屑。野生動物の残骸……。それが延々と続き、一番向こう側は崖のようになっていて、空を映し出しているのだ。
コボルトの住処だとハンターが教えてくれた。しかもかなり大きい。5,60匹くらいの集団だろうと。しかし住処というには生き物のいる様子は見られない。ひっそりとし、木々のざわめきだけがかすかに聞こえるだけだった。
少女は少年の名前を呼んだ。最初は小さく、段々と大きく。
その内、緊張で崩れ落ちそうになる足をヨロヨロと進ませながら一歩、また一歩と進んでいく。そこに。影の山に隠れる見覚えのある靴が見えた。山はどうやら数体のコボルトの死骸であった。そしてその影に……靴と……。
ああ。
見たくなかった。
だが、まるで呪いでも受けたかのように視線が動かせない。
ハンターがそっと彼女の視界をその体で覆った。それで彼女はすべてを悟ってしまった。
少年は帰らぬ人となってしまったのだと。
絶叫すら上げることもできなくなった少女の横で、コボルトの遠吠えが聞こえた。一瞬、身が震えたが自分ではどうにもできない脱力感に少女は動くこともままならなかった。夕闇に次々と響くコボルトの遠吠え。それは少女たちを見つけた合図だと思っていたが、ハンター達が身構えて辺りを警戒するも遠吠えばかりでまったく空気は変わらない。むしろ遠ざかっているように聞こえた。
少年の勇気によって、コボルトは逃げ出した?
でも聞こえる方角は村の方。逃げるならそちらからも離れていくはずだ。
「あ、あぁ……村が……みんなが!」
わかってしまった。
低能のコボルトと言えども、村を守っていたのが少年だということには感づいたのだろうか。
これから秋は終わりを告げ、冬がやってくる。食べ物がどこに貯蓄されているのも。
勇者を失った村にコボルトは急襲をかけようというのだ。
その証拠に崖下を覗き込んだハンターが危急の声を上げていた。
解説
●状況
スタート地点はコボルトのねぐらから村へ向かう獣道を走っている途中です。
ここから村を襲撃しようとするコボルトの群れに追いつき、侵攻を食い止めます。よって移動力が重要になります。
移動力2で村に入る前後くらいで群れに追いつけます。移動力1では移動力2に比べて6ラウンドの遅延が発生します。
移動力3ならば村に入るよりも前で追いつくことができます。
●コボルト
数は50体。
基本的に村の襲撃を優先しています。皆様が追いついてコボルトに攻撃した場合1D10のコボルトがあなた達に気付き、襲撃を中断し攻撃をしかけてきます。残るコボルトは村の襲撃を優先します。
強さは普通のコボルトと同じですが、何体も囲まれてタコ殴りにされると危険です。
●村
30人ほどの森の中にある村です。特に今まで目だった争いがなかった為、兵士などはいません。精々男連中が伐採用の斧で応戦するくらいですが、彼らも戦闘経験はありません。
コボルトが村に到達すると襲撃行動にでます。毎ラウンド1D10×(襲撃者数/50)%(端数は四捨五入)の損害を与えます。村の耐久度は100%です。0%で村全滅です。
●成功判定
村の耐久度で判定します。大成功は損害なし。成功は耐久度80%まで、以下耐久度が20%ずつ失われるごとに成功段階が下がっていきます。
●少女と死んだ少年
名前はルーフィ。一般人の14才。皆様とだいたい同じスピードで村に戻りますが、指示には従います。
少年はアルド。一般人の15才でした。
スタート地点はコボルトのねぐらから村へ向かう獣道を走っている途中です。
ここから村を襲撃しようとするコボルトの群れに追いつき、侵攻を食い止めます。よって移動力が重要になります。
移動力2で村に入る前後くらいで群れに追いつけます。移動力1では移動力2に比べて6ラウンドの遅延が発生します。
移動力3ならば村に入るよりも前で追いつくことができます。
●コボルト
数は50体。
基本的に村の襲撃を優先しています。皆様が追いついてコボルトに攻撃した場合1D10のコボルトがあなた達に気付き、襲撃を中断し攻撃をしかけてきます。残るコボルトは村の襲撃を優先します。
強さは普通のコボルトと同じですが、何体も囲まれてタコ殴りにされると危険です。
●村
30人ほどの森の中にある村です。特に今まで目だった争いがなかった為、兵士などはいません。精々男連中が伐採用の斧で応戦するくらいですが、彼らも戦闘経験はありません。
コボルトが村に到達すると襲撃行動にでます。毎ラウンド1D10×(襲撃者数/50)%(端数は四捨五入)の損害を与えます。村の耐久度は100%です。0%で村全滅です。
●成功判定
村の耐久度で判定します。大成功は損害なし。成功は耐久度80%まで、以下耐久度が20%ずつ失われるごとに成功段階が下がっていきます。
●少女と死んだ少年
名前はルーフィ。一般人の14才。皆様とだいたい同じスピードで村に戻りますが、指示には従います。
少年はアルド。一般人の15才でした。
マスターより
一般人にはコボルトだって強敵なんです。しかも繁殖に気付けなかったら地獄です。此度はそんなお話。
それを払いのける力は、皆様しかいないのです。
装備は必ず確認することをお勧めします。
また数が多いので、スキルを使い切ってしまう可能性も十分にあり得ます。お気を付けください。
それを払いのける力は、皆様しかいないのです。
装備は必ず確認することをお勧めします。
また数が多いので、スキルを使い切ってしまう可能性も十分にあり得ます。お気を付けください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/14 06:42
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/11/01 22:02:22 |
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相談卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/11/06 07:18:15 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/03 23:06:18 |