ゲスト
(ka0000)
【陶曲】捻子の反乱、鉄葉
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/07/22 15:00
- リプレイ完成予定
- 2017/07/31 15:00
オープニング
●
蒸気工場都市フマーレ、賑やかな工業区の片隅。
この小さな街並みを騒がせた事件も落ち付いた頃。
歪虚の被害に遭った工場もそれぞれ再開し、蒸気工場都市の名に相応しく、煙突の煙を棚引かせ、しゅう、しゅう、かん、かん、と鍛造や鋳造の甲高い音を響かせていた。
歪虚と対峙した2人のハンターも快復し、事後の調査と逃走した残党の捜索に勤しんでいる。
2人のハンター、椎木とルエルと擦れ違った中年の夫婦、華やかな装いでトランクを引いている所を見れば旅行客だろうか。
彼等をハンターだと聞くと、この町へ来るまでも世話になったと旅路の思い出を話し始めた。
お喋りな妻と、物静かな夫。
妻とハンター達のお喋りを眠そうに聞いていた夫が、おい、と短く声を掛ける。
その一言でどれだけ察したのだろう、話しを切り上げた妻は肉にしようか魚にしようかとランチの献立を考え始めた。
肉ならいい羊を食わせる店が有る。ルエルが呼び止めると妻が振り返って笑う。この人羊は好きじゃ無いのよ。
空腹のタイミングも、食べ物の好みも把握してるなんて、仲の良い夫婦だと見送った椎木が呟いた。
「――休憩にしましょうか。羊、嫌いじゃ無いですよ」
「――おう」
●
炎は落ちて。
表に『ナナちゃん』、裏に『殺しちゃって』。
黒地に蛍光色の派手な文字。可愛らしく星を散りばめる大きな団扇がかさりと風に流されてきた。
それを折って転がる空のブリキ缶。
風に流されるままに、かさかさ、からからと移ろっていく。
「ナナちゃんの火が、消えてしまった。ナ・ナ・ちゃ・ん! ナナちゃん! イェア!……はぁ。あーあ」
金属音の混じる不快な声。
「ナナちゃんのステージが-、折角の、炎が―、ナナちゃん! ナナちゃん!……ああ」
それは酷く落ち込んでいる様子。
ブリキ缶の、ブリキ缶に打ち込まれた6本の捻子が崇拝する歪虚が、楽しんでいた火事の炎はハンター達の手によって鎮められ、その地域の復興も進んでいる。
今はまだ、この捻子の歪虚が、ナナちゃん! と声を上げて止まない歪虚の噂は、ここに届いてこない。
かさかさ、からからと小さな工業区を流されていく。
魚料理を楽しんだ夫婦は、散策へ戻っていた。
夫が若い頃修行をした時計店があったらしい。
まだ続いているかは分からないが、折角の旅行だから入り組んだ道を歩く。
隅の方で何かが動いた様に見えたが気のせいか、野良猫だったのだろう。
この辺りだったかと足を止めた夫は残念そうに錆びて傾いた看板を指した。
罅の入ってくすんだ硝子の中は仄暗く、止まった時計が店内中、飾るように置かれている。
扉を閉ざす鎖さえ錆びたその様子に、妻は小さく溜息を吐く。
「……ちょっと遅かったわね」
「ああ」
「残念だけど、来れて良かったわ。ねえ、あの壁掛け時計素敵ね」
店を覗き込んでレジカウンターの奥に掛けられた時計を指し示した。
「ん、おれの、あれだ、ああ……」
「あなたが作ったの? ふふ、ずっと飾っていてくれたのかしらね……本当に、来て良かったわぁ」
あなたの若い頃の作品が見れたから。
夫は帽子を深く被る。その口角が僅かに上向く。
隣は昔と変わらず鍛冶屋だった。
店先に訓練用の安価な剣が並んでいる。
店の奥に包丁も見える。少し寄って行きたいと妻が足を止める。若い頃は扱えたと懐かしそうに、夫は剣を1つ手にとって目を細めた。
●
大きな音が響く。妻が慌てて店を出ると、腕を抑えて蹲る夫の周りに剣が散らかっている。
どうしたの、不安げに尋ねた妻が、倒れた棚を引き起こし、追って出てきた店員と剣を片付け始める。
店の剣で切った様子は無く、妻は夫に手を差し伸べながら、攣ったのかと尋ねてくる。
「もう、いい年なんだから」
柔和に微笑む互いの顔に深い皺。
「いや……」
攣ってないが、急に痛めた。立ち上がった夫は握っていた剣を置こうとする。
刹那。
逃げろ。叫ぶ夫の声。
左手が突き飛ばそうとして間に合わず、代わりにその手は右手を押さえた。
それは今、痛めたと言って押さえていた辺り。
剣の切っ先は妻に向いて、夫の右腕だけが妻を切ろうと振り回される。
後退った手許に同じ剣。
悲鳴を上げて引っ込めたはずの右手は、何故か強い痛みを伴って強張る。
逃げようとする身体も動かずに、その手が柄を握るのを、どこか他人事の様に眺めた。
竦みきった身体を引き摺って、剣を得た右腕は夫を突こうと伸ばされた。
夫婦の異変を知った鍛冶屋の店員が慌てて道を走っていく。途次出会った2人のハンターを呼び止めて事情を話す。
椎木は現場へ、ルエルはオフィスへ駆った。
●
火が消えちゃって、ナナちゃんは寂しいだろうな。
そ、れ、に、折角旅行を楽しんでいるみたいだし、幸せそうだし。
よーし、殺し合わせて、盛り上げちゃえば、ナナちゃんも楽しめる、ヨネ!
『緊急、工業区、路地。一般人の救助、詳細は移動中に』
案内人を自称する受付嬢が細い道を真っ直ぐに、迷わずに走っていく。
その背に続きながらルエルが店員に聞いた状況を伝えた。
夫婦が剣で争っている。
様子がおかしく、右腕が操られている様に見えた。
駆けつけた現場、ハンター達に気付いた椎木の声が響く。
「皆さん、早く!」
夫婦の間に入り、片方をナイフで、片方を革の手甲で押さえている。
ナイフは剣と擦れて耳障りな音を立て遠目にも刃毀れが覗える。手甲も削られて後数分と保ちそうにない。
蒸気工場都市フマーレ、賑やかな工業区の片隅。
この小さな街並みを騒がせた事件も落ち付いた頃。
歪虚の被害に遭った工場もそれぞれ再開し、蒸気工場都市の名に相応しく、煙突の煙を棚引かせ、しゅう、しゅう、かん、かん、と鍛造や鋳造の甲高い音を響かせていた。
歪虚と対峙した2人のハンターも快復し、事後の調査と逃走した残党の捜索に勤しんでいる。
2人のハンター、椎木とルエルと擦れ違った中年の夫婦、華やかな装いでトランクを引いている所を見れば旅行客だろうか。
彼等をハンターだと聞くと、この町へ来るまでも世話になったと旅路の思い出を話し始めた。
お喋りな妻と、物静かな夫。
妻とハンター達のお喋りを眠そうに聞いていた夫が、おい、と短く声を掛ける。
その一言でどれだけ察したのだろう、話しを切り上げた妻は肉にしようか魚にしようかとランチの献立を考え始めた。
肉ならいい羊を食わせる店が有る。ルエルが呼び止めると妻が振り返って笑う。この人羊は好きじゃ無いのよ。
空腹のタイミングも、食べ物の好みも把握してるなんて、仲の良い夫婦だと見送った椎木が呟いた。
「――休憩にしましょうか。羊、嫌いじゃ無いですよ」
「――おう」
●
炎は落ちて。
表に『ナナちゃん』、裏に『殺しちゃって』。
黒地に蛍光色の派手な文字。可愛らしく星を散りばめる大きな団扇がかさりと風に流されてきた。
それを折って転がる空のブリキ缶。
風に流されるままに、かさかさ、からからと移ろっていく。
「ナナちゃんの火が、消えてしまった。ナ・ナ・ちゃ・ん! ナナちゃん! イェア!……はぁ。あーあ」
金属音の混じる不快な声。
「ナナちゃんのステージが-、折角の、炎が―、ナナちゃん! ナナちゃん!……ああ」
それは酷く落ち込んでいる様子。
ブリキ缶の、ブリキ缶に打ち込まれた6本の捻子が崇拝する歪虚が、楽しんでいた火事の炎はハンター達の手によって鎮められ、その地域の復興も進んでいる。
今はまだ、この捻子の歪虚が、ナナちゃん! と声を上げて止まない歪虚の噂は、ここに届いてこない。
かさかさ、からからと小さな工業区を流されていく。
魚料理を楽しんだ夫婦は、散策へ戻っていた。
夫が若い頃修行をした時計店があったらしい。
まだ続いているかは分からないが、折角の旅行だから入り組んだ道を歩く。
隅の方で何かが動いた様に見えたが気のせいか、野良猫だったのだろう。
この辺りだったかと足を止めた夫は残念そうに錆びて傾いた看板を指した。
罅の入ってくすんだ硝子の中は仄暗く、止まった時計が店内中、飾るように置かれている。
扉を閉ざす鎖さえ錆びたその様子に、妻は小さく溜息を吐く。
「……ちょっと遅かったわね」
「ああ」
「残念だけど、来れて良かったわ。ねえ、あの壁掛け時計素敵ね」
店を覗き込んでレジカウンターの奥に掛けられた時計を指し示した。
「ん、おれの、あれだ、ああ……」
「あなたが作ったの? ふふ、ずっと飾っていてくれたのかしらね……本当に、来て良かったわぁ」
あなたの若い頃の作品が見れたから。
夫は帽子を深く被る。その口角が僅かに上向く。
隣は昔と変わらず鍛冶屋だった。
店先に訓練用の安価な剣が並んでいる。
店の奥に包丁も見える。少し寄って行きたいと妻が足を止める。若い頃は扱えたと懐かしそうに、夫は剣を1つ手にとって目を細めた。
●
大きな音が響く。妻が慌てて店を出ると、腕を抑えて蹲る夫の周りに剣が散らかっている。
どうしたの、不安げに尋ねた妻が、倒れた棚を引き起こし、追って出てきた店員と剣を片付け始める。
店の剣で切った様子は無く、妻は夫に手を差し伸べながら、攣ったのかと尋ねてくる。
「もう、いい年なんだから」
柔和に微笑む互いの顔に深い皺。
「いや……」
攣ってないが、急に痛めた。立ち上がった夫は握っていた剣を置こうとする。
刹那。
逃げろ。叫ぶ夫の声。
左手が突き飛ばそうとして間に合わず、代わりにその手は右手を押さえた。
それは今、痛めたと言って押さえていた辺り。
剣の切っ先は妻に向いて、夫の右腕だけが妻を切ろうと振り回される。
後退った手許に同じ剣。
悲鳴を上げて引っ込めたはずの右手は、何故か強い痛みを伴って強張る。
逃げようとする身体も動かずに、その手が柄を握るのを、どこか他人事の様に眺めた。
竦みきった身体を引き摺って、剣を得た右腕は夫を突こうと伸ばされた。
夫婦の異変を知った鍛冶屋の店員が慌てて道を走っていく。途次出会った2人のハンターを呼び止めて事情を話す。
椎木は現場へ、ルエルはオフィスへ駆った。
●
火が消えちゃって、ナナちゃんは寂しいだろうな。
そ、れ、に、折角旅行を楽しんでいるみたいだし、幸せそうだし。
よーし、殺し合わせて、盛り上げちゃえば、ナナちゃんも楽しめる、ヨネ!
『緊急、工業区、路地。一般人の救助、詳細は移動中に』
案内人を自称する受付嬢が細い道を真っ直ぐに、迷わずに走っていく。
その背に続きながらルエルが店員に聞いた状況を伝えた。
夫婦が剣で争っている。
様子がおかしく、右腕が操られている様に見えた。
駆けつけた現場、ハンター達に気付いた椎木の声が響く。
「皆さん、早く!」
夫婦の間に入り、片方をナイフで、片方を革の手甲で押さえている。
ナイフは剣と擦れて耳障りな音を立て遠目にも刃毀れが覗える。手甲も削られて後数分と保ちそうにない。
解説
目的 夫婦の救出
●エネミー
歪虚
ブリキ缶「ナナちゃーん! 元気出してー、応援してる、ヨ! イェア!」
手に載る大きさのブリキの空き缶。天辺に当たる缶の底に1つ、前面に3つ、その両側に1つずつ
計6つの捻子がねじ込まれている。
両側にはそれぞれ腕を思わせる紐が取り付けられて、
片腕の先に『表)ナナちゃん/裏)殺しちゃって☆』と書かれた派手な団扇が揺れている。
もう片方の腕と天辺の捻子の先から伸びる糸が、夫婦それぞれの右腕にささっている。
糸は腕を歪虚の自由に操ることが出来る程度の力があり、強度は不明。
また、団扇で強い風を起こすことも可能。
●現場
日中の工業区、余り広くはない通り。
両側は工場や店。道幅は2スクエア程度で直線。
歪虚は現在、鍛冶屋横の時計店の屋根の上。屋根の高さは2スクエアとする。
●NPC
夫
操られている一般人。今のところ無傷。
練習用の剣で攻撃を行う。
妻
操られている一般人。今のところ無傷。
練習用の剣で攻撃を行う。
椎木
ハンター。
近接攻撃が可能。
夫婦の間に入って武器を受け留めて抑えている。
状況を好転させると判断した指示には従う。
ルエル
ハンター。
遠距離攻撃が可能。
基本的に指示に従う。
手当てと回復(ヒーリングポーションに依る)が可能。
案内人
非武装。息切れ中。戦闘中は物陰に潜んでいる。
指示に従う。
●エネミー
歪虚
ブリキ缶「ナナちゃーん! 元気出してー、応援してる、ヨ! イェア!」
手に載る大きさのブリキの空き缶。天辺に当たる缶の底に1つ、前面に3つ、その両側に1つずつ
計6つの捻子がねじ込まれている。
両側にはそれぞれ腕を思わせる紐が取り付けられて、
片腕の先に『表)ナナちゃん/裏)殺しちゃって☆』と書かれた派手な団扇が揺れている。
もう片方の腕と天辺の捻子の先から伸びる糸が、夫婦それぞれの右腕にささっている。
糸は腕を歪虚の自由に操ることが出来る程度の力があり、強度は不明。
また、団扇で強い風を起こすことも可能。
●現場
日中の工業区、余り広くはない通り。
両側は工場や店。道幅は2スクエア程度で直線。
歪虚は現在、鍛冶屋横の時計店の屋根の上。屋根の高さは2スクエアとする。
●NPC
夫
操られている一般人。今のところ無傷。
練習用の剣で攻撃を行う。
妻
操られている一般人。今のところ無傷。
練習用の剣で攻撃を行う。
椎木
ハンター。
近接攻撃が可能。
夫婦の間に入って武器を受け留めて抑えている。
状況を好転させると判断した指示には従う。
ルエル
ハンター。
遠距離攻撃が可能。
基本的に指示に従う。
手当てと回復(ヒーリングポーションに依る)が可能。
案内人
非武装。息切れ中。戦闘中は物陰に潜んでいる。
指示に従う。
マスターより
よろしくお願いします。
右手が勝手に……(略)
前回(木偶)、ルエルの説明の括弧を忘れておりまして……
申し訳ありませんでした。
一応、救急セットを持ってる魔術師と設定しております。
夫婦は、「路地裏工房コンフォートと銀婚式」の依頼人夫婦です。
右手が勝手に……(略)
前回(木偶)、ルエルの説明の括弧を忘れておりまして……
申し訳ありませんでした。
一応、救急セットを持ってる魔術師と設定しております。
夫婦は、「路地裏工房コンフォートと銀婚式」の依頼人夫婦です。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/07/29 00:26
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/07/18 20:13:19 |
|
![]() |
相談卓 東條 奏多(ka6425) 人間(リアルブルー)|18才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/07/22 10:05:18 |