ゲスト
(ka0000)
紅葉に黒鹿
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/08 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/17 12:00
オープニング
●
万節の時機を過ぎると、山々も赤く色づき始めるものだ。
脈々と連なる山肌が、朱に染まるのは雄大さすら思わせる。
「猪鹿蝶、なるものがありましてな」
いつの日だったか、この村を訪れた者がそんなことを行っていた。
初老の男性であったが、故郷の遊びにちなんだ言葉だという。
「札を合わせて、遊ぶのですが。その札の中に、紅葉に鹿という札があるのですよ」
こちらです、といいながら小さな紙片を取り出した。
裏面はくすんだ赤色であったが、表面は色鮮やかな絵が描かれていた。
言葉通り、絵柄は紅葉と鹿だった。
小さかった私は、親に叱られながらも食い入るように札を見ていた。
「欲しいか? んー、そうだなぁ」
悩むような仕草を見せながら、男の心は決まっているようだった。
懐から同じものを一枚取り出し、手渡してくれた。
「手製の品でしてね。とりたてて価値はございませんが」
温かみのある絵だと、素直な感想を述べた。
男は、はにかみながらありがとうと言う。明くる日には、村を立っていた。
●
あの出来事から数年がたった。
あのときの札が、花札というものだと知ったのは最近の事だ。
今も手元にある「紅葉に鹿」を大事にしていた。
「今日も山へ行くのか?」
村の出口で、村長に声をかけられる。
農家の仕事が終われば、山へ行くのが日課だった。
その目的は狩猟でも、山菜採りでもない。
「シンバも飽きないねぇ。毎日、そんな荷物持って」
「街でコンテストがあるらしいので、力入れてるんですよ」
村長の視線を笑い流して、村を出る。
背中には、画材道具一式がのしかかっていた。
この花札を得て以来、私の趣味は絵になっていた。
「さて、今日はどうか」
いつも決まった場所に腰掛ける。
光が一番きれいに入る場所だった。木漏れ日が紅葉を照らして、一面が赤く輝いて見える。
切り株に腰を掛け、道具を広げる。
お気に入りの筆をシャッと振ってみたとき、ソイツが現れた。
「……鹿」
体躯の半分以上はありそうな角を持つ、鹿だった。
じっと赤い目で虚空を見上げる鹿を、食い入るようにシンバは描く。
脚から顔まで真っ黒な鹿が、鮮やかな紅葉の中に陰影のように現れる。
角と蹄だけが白く浮いていた。
「帰ろう」
鹿が虚空から視線を落としたのと同時、シンバは慌てて画材を片付けようとした。
だが、それより早く甲高い鳴き声が響く。同時に薄っすらと影を纏うように見えた。
「あ」
直感で、危険だと察する。
声を漏らし、描き上げたカンバスだけを持って、シンバは駈け出した。
画材をそのままに、ひたすら走り、村に辿り着いたと同時に崩れ落ちた。
「どうした、シンバ!」
慌てて駆け寄る村長に、シンバは絵を見せて言う。
「こいつが、山に……」
「……これは」
描かれた鹿は、生で見るのと寸分構わぬ力強さを有していた。
現実に黒い鹿がいると、思わせるのに十分であった。
息を呑む村長の前で、シンバは緊張が切れたのか、気を失った。
黒い鹿の話は、村中に広まり、すぐさま捜索隊が出された。
確認された数は、四体。
群れのように、固まって移動しているという。
「すぐさま危険はないようですが、芽は摘んでおくにこしたことはないのです」
ハンターオフィスのスタッフは、そう告げる。
何より、この村からコンテストのある街へは山を越えなければならない。
速急に対処してほしいとの依頼であった。
万節の時機を過ぎると、山々も赤く色づき始めるものだ。
脈々と連なる山肌が、朱に染まるのは雄大さすら思わせる。
「猪鹿蝶、なるものがありましてな」
いつの日だったか、この村を訪れた者がそんなことを行っていた。
初老の男性であったが、故郷の遊びにちなんだ言葉だという。
「札を合わせて、遊ぶのですが。その札の中に、紅葉に鹿という札があるのですよ」
こちらです、といいながら小さな紙片を取り出した。
裏面はくすんだ赤色であったが、表面は色鮮やかな絵が描かれていた。
言葉通り、絵柄は紅葉と鹿だった。
小さかった私は、親に叱られながらも食い入るように札を見ていた。
「欲しいか? んー、そうだなぁ」
悩むような仕草を見せながら、男の心は決まっているようだった。
懐から同じものを一枚取り出し、手渡してくれた。
「手製の品でしてね。とりたてて価値はございませんが」
温かみのある絵だと、素直な感想を述べた。
男は、はにかみながらありがとうと言う。明くる日には、村を立っていた。
●
あの出来事から数年がたった。
あのときの札が、花札というものだと知ったのは最近の事だ。
今も手元にある「紅葉に鹿」を大事にしていた。
「今日も山へ行くのか?」
村の出口で、村長に声をかけられる。
農家の仕事が終われば、山へ行くのが日課だった。
その目的は狩猟でも、山菜採りでもない。
「シンバも飽きないねぇ。毎日、そんな荷物持って」
「街でコンテストがあるらしいので、力入れてるんですよ」
村長の視線を笑い流して、村を出る。
背中には、画材道具一式がのしかかっていた。
この花札を得て以来、私の趣味は絵になっていた。
「さて、今日はどうか」
いつも決まった場所に腰掛ける。
光が一番きれいに入る場所だった。木漏れ日が紅葉を照らして、一面が赤く輝いて見える。
切り株に腰を掛け、道具を広げる。
お気に入りの筆をシャッと振ってみたとき、ソイツが現れた。
「……鹿」
体躯の半分以上はありそうな角を持つ、鹿だった。
じっと赤い目で虚空を見上げる鹿を、食い入るようにシンバは描く。
脚から顔まで真っ黒な鹿が、鮮やかな紅葉の中に陰影のように現れる。
角と蹄だけが白く浮いていた。
「帰ろう」
鹿が虚空から視線を落としたのと同時、シンバは慌てて画材を片付けようとした。
だが、それより早く甲高い鳴き声が響く。同時に薄っすらと影を纏うように見えた。
「あ」
直感で、危険だと察する。
声を漏らし、描き上げたカンバスだけを持って、シンバは駈け出した。
画材をそのままに、ひたすら走り、村に辿り着いたと同時に崩れ落ちた。
「どうした、シンバ!」
慌てて駆け寄る村長に、シンバは絵を見せて言う。
「こいつが、山に……」
「……これは」
描かれた鹿は、生で見るのと寸分構わぬ力強さを有していた。
現実に黒い鹿がいると、思わせるのに十分であった。
息を呑む村長の前で、シンバは緊張が切れたのか、気を失った。
黒い鹿の話は、村中に広まり、すぐさま捜索隊が出された。
確認された数は、四体。
群れのように、固まって移動しているという。
「すぐさま危険はないようですが、芽は摘んでおくにこしたことはないのです」
ハンターオフィスのスタッフは、そう告げる。
何より、この村からコンテストのある街へは山を越えなければならない。
速急に対処してほしいとの依頼であった。
解説
●目的
歪虚化した鹿の討伐。
●鹿
影のようなオーラを纏っており、おそらくは魔法攻撃が可能。
角が巨大化しており、凶器として十分な威力を持つ。
数は四体であり、紅葉の中では逆に目立つ。
基本的に群れており、シンバが描けたのは奇跡に近い。
●場所
紅葉が映える山中。
落ち葉のため、少し滑りやすくなっています。
●コンテスト
絵のコンテストについては、討伐後、若干の余裕があります。
護衛の意味も込めて、シンバに同行してほしいとのことです。
歪虚化した鹿の討伐。
●鹿
影のようなオーラを纏っており、おそらくは魔法攻撃が可能。
角が巨大化しており、凶器として十分な威力を持つ。
数は四体であり、紅葉の中では逆に目立つ。
基本的に群れており、シンバが描けたのは奇跡に近い。
●場所
紅葉が映える山中。
落ち葉のため、少し滑りやすくなっています。
●コンテスト
絵のコンテストについては、討伐後、若干の余裕があります。
護衛の意味も込めて、シンバに同行してほしいとのことです。
マスターより
こんにちは、御影堂です。
紅葉の季節が近づいてまいりました。
和歌にも詠じられることのある、鹿と紅葉。
絵のコンテストに、シンバは届けることができるのでしょうか。
コンテストに出るプレイングは、一応可です。芸術の秋もいいですよね。
紅葉の季節が近づいてまいりました。
和歌にも詠じられることのある、鹿と紅葉。
絵のコンテストに、シンバは届けることができるのでしょうか。
コンテストに出るプレイングは、一応可です。芸術の秋もいいですよね。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/15 14:43
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談 上泉 澪(ka0518) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/11/08 09:30:08 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/04 21:52:59 |