ゲスト
(ka0000)
珈琲サロンとぱぁずの忘れ物
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/08 09:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/17 09:00
オープニング
●
珈琲サロンとぱぁずの夜は少し遅い。
日暮れまで働いて帰ってくる職人や商人達に珈琲を振る舞うのだから、彼らよりも少し遅い。
黒いワンピースにフリルの愛らしいピンクのエプロンを締めた店長代理の若い女性、ユリアはその日の最後に紅茶を煎れる。自分の分と、唯一の店員で珈琲担当のローレンツの分を。
「ユリア君、私は紅茶の味は分からないけれど。これがとても美味しいことは分かるんだよ」
「あら、ありがとうございます」
「ところで、どうしてコーヒーはあんなに水っぽいんだい?」
「さあ、どうしてでしょう」
明かりを落とした店内のカウンターに座って、ユリアはくすくすと笑っている。ローレンツはレモンを落として透き通った紅茶を眺めて溜息を吐いた。
からんころんと呼び鈴が鳴る。
鍵を掛けていなかったかしらと振り返るとストールを巻いた女性がベルを鳴らしてドアを叩いている。その顔は酷く憔悴し、忙しなくなる呼び鈴の音もけたたましい。
「…………どうされました?」
ドアを開けると女性は、ユリアを突き飛ばすように4人掛けのテーブルへ走った。
ユリアは彼女に覚えがあった。
昼下がりから夕暮れ頃までその席に座って何やら熱心に編んでいた女性だ。
「忘れ物ですか?」
女性はソファの足下へ蹲り背を丸めて頷いた。
「見付かりました?」
再度頷いた手には、小さなミトンが握られていた。
●
肩を小刻みに震わせる女性を奥の席へ座らせ、落ち着いて下さいとローレンツの煎れた甘いコーヒーを差し出した。
白い毛糸の小さなミトンは、微かに指の形に薄汚れ右手の物だと分かる。もう片方と繋いでいたらしい毛糸は途中で切れていた。
それ以上に気になったのは、その手袋に染まった土と、赤黒い錆色の汚れ。
「……すみません、こんな時間に……取り乱してしまって」
「え、いいえ、構いません……大切な物ですか?」
女性は虚ろな笑みを浮かべて手袋を撫でた。彼女の掌の中に収まる程小さなそれ。
「娘の…………」
形見と言うには惨たらしい、と女性は言う。
前の冬のこと。娘と夫の家族3人で、ここ、工場都市フマーレへ向かう途中だった。日が暮れて野営しようと馬車を降りたら、森から現れたゴブリンに襲われた。
ゴブリンは馬車を壊し、馬と食料を奪い去って行ったが、その襲撃で娘は殺されてしまった。娘の亡骸を抱いて夫婦2人で凍えていたところを、通りがかった商人に拾われて身一つこの街へ辿り着いた。
「もう、寒くなるから、あの子の……セーターを…………」
あれから1年、左の手袋は見付からなかった。
からんころんと呼び鈴が鳴る。
店に入ってきたのは彼女の夫らしい男性だった。ローレンツがカップを洗いながら奥の席を示すと、妻を呼んで帰ろうと言う。
「ユリア君も、旦那さんが逝って暫くはあんな感じだったらしいね」
「そうですか? 私ならゴブリンの左手を全部切り落としてやりますよ?」
街道を通ってきた商人に何度も尋ねたが、と男性は首を横に振った。
「森の奥まで転がっていって仕舞ったんだろう……小さな物だし、もう、1年になる。私たちが探しに行くのは無謀だから、いい加減諦めようと思っているんだ」
本当は探しに行きたいけれど、武器も無いから。
ユリアはテーブルに地図を広げた。探しに行くなら、雪が降ってしまう前に。
珈琲サロンとぱぁずの夜は少し遅い。
日暮れまで働いて帰ってくる職人や商人達に珈琲を振る舞うのだから、彼らよりも少し遅い。
黒いワンピースにフリルの愛らしいピンクのエプロンを締めた店長代理の若い女性、ユリアはその日の最後に紅茶を煎れる。自分の分と、唯一の店員で珈琲担当のローレンツの分を。
「ユリア君、私は紅茶の味は分からないけれど。これがとても美味しいことは分かるんだよ」
「あら、ありがとうございます」
「ところで、どうしてコーヒーはあんなに水っぽいんだい?」
「さあ、どうしてでしょう」
明かりを落とした店内のカウンターに座って、ユリアはくすくすと笑っている。ローレンツはレモンを落として透き通った紅茶を眺めて溜息を吐いた。
からんころんと呼び鈴が鳴る。
鍵を掛けていなかったかしらと振り返るとストールを巻いた女性がベルを鳴らしてドアを叩いている。その顔は酷く憔悴し、忙しなくなる呼び鈴の音もけたたましい。
「…………どうされました?」
ドアを開けると女性は、ユリアを突き飛ばすように4人掛けのテーブルへ走った。
ユリアは彼女に覚えがあった。
昼下がりから夕暮れ頃までその席に座って何やら熱心に編んでいた女性だ。
「忘れ物ですか?」
女性はソファの足下へ蹲り背を丸めて頷いた。
「見付かりました?」
再度頷いた手には、小さなミトンが握られていた。
●
肩を小刻みに震わせる女性を奥の席へ座らせ、落ち着いて下さいとローレンツの煎れた甘いコーヒーを差し出した。
白い毛糸の小さなミトンは、微かに指の形に薄汚れ右手の物だと分かる。もう片方と繋いでいたらしい毛糸は途中で切れていた。
それ以上に気になったのは、その手袋に染まった土と、赤黒い錆色の汚れ。
「……すみません、こんな時間に……取り乱してしまって」
「え、いいえ、構いません……大切な物ですか?」
女性は虚ろな笑みを浮かべて手袋を撫でた。彼女の掌の中に収まる程小さなそれ。
「娘の…………」
形見と言うには惨たらしい、と女性は言う。
前の冬のこと。娘と夫の家族3人で、ここ、工場都市フマーレへ向かう途中だった。日が暮れて野営しようと馬車を降りたら、森から現れたゴブリンに襲われた。
ゴブリンは馬車を壊し、馬と食料を奪い去って行ったが、その襲撃で娘は殺されてしまった。娘の亡骸を抱いて夫婦2人で凍えていたところを、通りがかった商人に拾われて身一つこの街へ辿り着いた。
「もう、寒くなるから、あの子の……セーターを…………」
あれから1年、左の手袋は見付からなかった。
からんころんと呼び鈴が鳴る。
店に入ってきたのは彼女の夫らしい男性だった。ローレンツがカップを洗いながら奥の席を示すと、妻を呼んで帰ろうと言う。
「ユリア君も、旦那さんが逝って暫くはあんな感じだったらしいね」
「そうですか? 私ならゴブリンの左手を全部切り落としてやりますよ?」
街道を通ってきた商人に何度も尋ねたが、と男性は首を横に振った。
「森の奥まで転がっていって仕舞ったんだろう……小さな物だし、もう、1年になる。私たちが探しに行くのは無謀だから、いい加減諦めようと思っているんだ」
本当は探しに行きたいけれど、武器も無いから。
ユリアはテーブルに地図を広げた。探しに行くなら、雪が降ってしまう前に。
解説
■目的
手袋を探す
(手袋:白い毛糸のミトン、手編みで子供用の小さいサイズ、左手用。恐らく血と泥に汚れている)
●エネミー
・ゴブリン*6~
刃物、或いは棍棒の武器を持っている
●地形
街道を外れた森の中。
木々が鬱蒼と茂り薄暗い、遮蔽になる物も多い。
●配置
街道が見えなくなる辺りまで奥へ進むと巣にしている洞穴。
その周辺で徘徊している3匹程度と、獲物を探しに街道近く迄を見回っている3匹程度、巣穴に引きこもっている数匹。
●その他
・依頼人の夫妻
前の冬にゴブリンに襲われ、小さな娘を殺された。
気になっていた手袋(左)を探しに行きたいと考えている。
同行させた場合、目的地までの馬車の手配などの雑務を引き受ける。
同行させない場合、何等かの成果の報告をとぱぁずにて待つことになる。
・珈琲サロンとぱぁず(の、奥のテーブル)
相席用の広いテーブル席、地図が広げてあり、人数分の珈琲が入れてある。
時間の許す限りごゆっくり。
・ユリア
珈琲サロンとぱぁずの店長代理、紅茶担当
・ローレンツ
同バリスタ、珈琲担当
手袋を探す
(手袋:白い毛糸のミトン、手編みで子供用の小さいサイズ、左手用。恐らく血と泥に汚れている)
●エネミー
・ゴブリン*6~
刃物、或いは棍棒の武器を持っている
●地形
街道を外れた森の中。
木々が鬱蒼と茂り薄暗い、遮蔽になる物も多い。
●配置
街道が見えなくなる辺りまで奥へ進むと巣にしている洞穴。
その周辺で徘徊している3匹程度と、獲物を探しに街道近く迄を見回っている3匹程度、巣穴に引きこもっている数匹。
●その他
・依頼人の夫妻
前の冬にゴブリンに襲われ、小さな娘を殺された。
気になっていた手袋(左)を探しに行きたいと考えている。
同行させた場合、目的地までの馬車の手配などの雑務を引き受ける。
同行させない場合、何等かの成果の報告をとぱぁずにて待つことになる。
・珈琲サロンとぱぁず(の、奥のテーブル)
相席用の広いテーブル席、地図が広げてあり、人数分の珈琲が入れてある。
時間の許す限りごゆっくり。
・ユリア
珈琲サロンとぱぁずの店長代理、紅茶担当
・ローレンツ
同バリスタ、珈琲担当
マスターより
11月になりました。
冷え込む日が続きますが如何お過ごしでしょうか?
探すことが目的です。
ゴブリンを駆除しながら、頑張って下さい。
冷え込む日が続きますが如何お過ごしでしょうか?
探すことが目的です。
ゴブリンを駆除しながら、頑張って下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/17 01:20
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/02 20:50:58 |
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相談卓だよ 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/11/08 01:42:44 |