ゲスト
(ka0000)
四度目の正直
マスター:風華弓弦

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/08/06 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/08/20 19:00
オープニング
●迷子の少女
その日は、ひどく強い風の吹く日だった。
高く低く不穏に唸る音に、細く不安定な声が混じっているような感覚を覚え、意を決して風を辿ってみれば。
何もない丘で、見知らぬ少女が一人ぼっちで泣きじゃくっていた。
「あなた、どこから来たの? 迷子になったの?」
風を遮るよう身を屈め、“彼女”が優しく尋ねてみても、嗚咽は止まらない。
周囲を見回しても他に人影はなく、そして少女の服装は荒れた丘陵地と比べると恐ろしく不釣り合いだった。
丁寧にといて左右に分け、黄色いリボンで結んだ少し長めの金髪。
質素な村ではまずお目にかかれない、品のいい水色のワンピース。
靴もピカピカで、この田舎道を歩いてきたとは思えない。
そして大事そうに、一冊の本をしっかりと胸に抱いていた。
「可哀想に、お父さんやお母さんとはぐれてしまったのね。でも、このままではすぐ日が暮れて、真っ暗になってしまうわ。恐ろしい獣達が出てくる前に、私の村へいらっしゃいな。村の皆がきっと、お父さんとお母さんを探してくれるから」
ゆっくりと辛抱強く説得すれば、少女は泣き腫らした瞳でじっと彼女を見つめ、やっと小さく頷いた。
一夜が明け、彼女は村長に事の次第とリアルブルーから来たらしい少女の扱いを相談した。
村人達を集めて検討した結果、満場一致で彼女がそのまま保護する事となった。
何故なら彼女の夫は既に故人で、子供らも村を去って久しく、一人暮らしの身だったから。
「残念だけど、あなたの家への帰り道は誰にも分からないの。でもきっと、お父さんとお母さんは一生懸命あなたを探しているわ。迎えにくるまで、ここで待っていましょう」
膝の上でぎゅっと両手を握った少女は長い沈黙の末、疲れた表情で頷く。
数日後、再びの風の強い日に少女は姿を消した。
あの日と同じ服装で、あの本を持ったまま。
二人が一緒に過ごした時間は短く、彼女が少女の声を聞く事は一度もなかった。
●奇妙な依頼
暑い夏のある日、田舎の小村から『行方不明になったリアルブルーの少女を探してほしい』という依頼がハンターオフィスに掲示された。
通りがかったハンターが、興味を示していると。
「その依頼、実は面白い話があるんだけど……興味ある?」
やはりハンターと思しき、エルフの女性――メアが声をかけてきた。
依頼の詳細は、こうだ。
リアルブルーからこちら側へ来てしまったと思われる少女を、小さな村の老婦人が見つけた。
村人達で相談した結果、一人暮らしだった老婦人がそのまま少女を保護。
しかし急な環境の変化になじめなかったのか、何も言わずに少女は家を出ていった。
心配した村人が総出で付近を探したが、どこに行ったのか分からず。
少女に何かあったのではないかと老婦人は心を痛め、ハンター達に探してもらおうと依頼を出した。
失踪時の服装は、発見された時とほぼ同じ。
金髪をツーテールにして黄色いリボンで結び、水色のワンピースを着ていった。
また唯一の持ち物だった本――藁の人形とライオンと質素な鉄鎧の兵士に守られた少女が、黄色い道を歩いている絵が表紙の本――を、大事にしていたらしい。
「私は……これと全く同じ依頼を、3~4年くらい前に受けた事があるんだ」
そう明かしたメアの表情は複雑というか、奇妙だった。
続く話は、更に奇々怪々だったが。
「よく意味が分からないだろうけど、まだあってな……当時、依頼を受けた理由が『その4~5年前、やっぱり同じ依頼を受けたから』なんだよ。依頼者も同じだ。あ、歳の話はするなよ?」
ぐっと真面目な顔で、最後の注意を付け加えたのは置いといて。
つまり10年ほどの間に、同じ依頼が三度も出されたという事になる。
「ところが、だ。知り合いによると、最初の依頼はそこからまだ5年くらい遡るらしい」
まるでオカルトだよな。と、メアは肩を竦める。
これが未解決なら合点もいくが、探す相手は『リアルブルーから来た女性』ではなく、あくまで『少女』。依頼内容も頼んだ依頼者も数日前の出来事のように語り、年月の経過を考慮していない。
「面白いだろ。改めて、ちょっと時系列で説明するな」
指を折って数えながら、メアは過去の依頼について話し始めた。
まず、約15年前の最初の依頼。
記録によるとハンター達は小村から離れた丘陵地にある洞窟でゴブリンの群れを発見し、これを排除。
ゴブリンらの所持品から、少女の物と思われる児童向けの本が見つかった。
泥などでひどく汚れていた上、破れてボロボロな状態だったという。
本は見つからなかった少女の代わりに老婦人に渡され、埋葬された模様。
次に、メアが参加した二度目の依頼。
村人が近寄らない古い沼に近い洞窟で、ゴブリンを確認。おそらく最初の依頼と同じ洞窟だと思われる。
ゴブリンを退治した後、洞窟の奥で、手の平大のボロ布を回収する。
水色の布の端は引き裂かれ、老婦人に確認したところ少女が着ていたワンピースの一部と判断された。
老婦人に渡された布のその後は、不明。
そして、三度目の依頼では。
ハンター達の捜索によって、今度は古沼の近くで古びた靴の片方が発見された。
サイズと形から、少女が履いていた靴と思われる。
メアの記憶では二度目の依頼でも発見場所を捜索していた筈なのだが、当時は何も見つかっていない。
村人が沼に近寄るのを嫌がる事と見通しの悪さを考えると、小さな靴を見落とした可能性も考えられるが……。
依頼に不信感を持ったメアが老婦人に詰め寄って険悪な雰囲気になったため、靴は村長に埋葬を頼んだ。
「ただ、依頼者だけど……以前の依頼を覚えてなくて、『引き取った少女がいなくなった』という強い記憶だけで依頼してきた可能性も高いんだよな。実際、村長とかは困ってたから」
大きく溜め息をつき、癖のある金髪を掻く。
「けど、前に探した場所で靴が見つかったのも気になってさ。とはいえ、私が行ってもトラブルになりそうだからな。もし興味があるなら、調べて教えてくれると私もスッキリする」
謝礼として、個人的に少し依頼料に上乗せするからと、悪戯っぽい笑顔でメアはウインクしてみせた。
その日は、ひどく強い風の吹く日だった。
高く低く不穏に唸る音に、細く不安定な声が混じっているような感覚を覚え、意を決して風を辿ってみれば。
何もない丘で、見知らぬ少女が一人ぼっちで泣きじゃくっていた。
「あなた、どこから来たの? 迷子になったの?」
風を遮るよう身を屈め、“彼女”が優しく尋ねてみても、嗚咽は止まらない。
周囲を見回しても他に人影はなく、そして少女の服装は荒れた丘陵地と比べると恐ろしく不釣り合いだった。
丁寧にといて左右に分け、黄色いリボンで結んだ少し長めの金髪。
質素な村ではまずお目にかかれない、品のいい水色のワンピース。
靴もピカピカで、この田舎道を歩いてきたとは思えない。
そして大事そうに、一冊の本をしっかりと胸に抱いていた。
「可哀想に、お父さんやお母さんとはぐれてしまったのね。でも、このままではすぐ日が暮れて、真っ暗になってしまうわ。恐ろしい獣達が出てくる前に、私の村へいらっしゃいな。村の皆がきっと、お父さんとお母さんを探してくれるから」
ゆっくりと辛抱強く説得すれば、少女は泣き腫らした瞳でじっと彼女を見つめ、やっと小さく頷いた。
一夜が明け、彼女は村長に事の次第とリアルブルーから来たらしい少女の扱いを相談した。
村人達を集めて検討した結果、満場一致で彼女がそのまま保護する事となった。
何故なら彼女の夫は既に故人で、子供らも村を去って久しく、一人暮らしの身だったから。
「残念だけど、あなたの家への帰り道は誰にも分からないの。でもきっと、お父さんとお母さんは一生懸命あなたを探しているわ。迎えにくるまで、ここで待っていましょう」
膝の上でぎゅっと両手を握った少女は長い沈黙の末、疲れた表情で頷く。
数日後、再びの風の強い日に少女は姿を消した。
あの日と同じ服装で、あの本を持ったまま。
二人が一緒に過ごした時間は短く、彼女が少女の声を聞く事は一度もなかった。
●奇妙な依頼
暑い夏のある日、田舎の小村から『行方不明になったリアルブルーの少女を探してほしい』という依頼がハンターオフィスに掲示された。
通りがかったハンターが、興味を示していると。
「その依頼、実は面白い話があるんだけど……興味ある?」
やはりハンターと思しき、エルフの女性――メアが声をかけてきた。
依頼の詳細は、こうだ。
リアルブルーからこちら側へ来てしまったと思われる少女を、小さな村の老婦人が見つけた。
村人達で相談した結果、一人暮らしだった老婦人がそのまま少女を保護。
しかし急な環境の変化になじめなかったのか、何も言わずに少女は家を出ていった。
心配した村人が総出で付近を探したが、どこに行ったのか分からず。
少女に何かあったのではないかと老婦人は心を痛め、ハンター達に探してもらおうと依頼を出した。
失踪時の服装は、発見された時とほぼ同じ。
金髪をツーテールにして黄色いリボンで結び、水色のワンピースを着ていった。
また唯一の持ち物だった本――藁の人形とライオンと質素な鉄鎧の兵士に守られた少女が、黄色い道を歩いている絵が表紙の本――を、大事にしていたらしい。
「私は……これと全く同じ依頼を、3~4年くらい前に受けた事があるんだ」
そう明かしたメアの表情は複雑というか、奇妙だった。
続く話は、更に奇々怪々だったが。
「よく意味が分からないだろうけど、まだあってな……当時、依頼を受けた理由が『その4~5年前、やっぱり同じ依頼を受けたから』なんだよ。依頼者も同じだ。あ、歳の話はするなよ?」
ぐっと真面目な顔で、最後の注意を付け加えたのは置いといて。
つまり10年ほどの間に、同じ依頼が三度も出されたという事になる。
「ところが、だ。知り合いによると、最初の依頼はそこからまだ5年くらい遡るらしい」
まるでオカルトだよな。と、メアは肩を竦める。
これが未解決なら合点もいくが、探す相手は『リアルブルーから来た女性』ではなく、あくまで『少女』。依頼内容も頼んだ依頼者も数日前の出来事のように語り、年月の経過を考慮していない。
「面白いだろ。改めて、ちょっと時系列で説明するな」
指を折って数えながら、メアは過去の依頼について話し始めた。
まず、約15年前の最初の依頼。
記録によるとハンター達は小村から離れた丘陵地にある洞窟でゴブリンの群れを発見し、これを排除。
ゴブリンらの所持品から、少女の物と思われる児童向けの本が見つかった。
泥などでひどく汚れていた上、破れてボロボロな状態だったという。
本は見つからなかった少女の代わりに老婦人に渡され、埋葬された模様。
次に、メアが参加した二度目の依頼。
村人が近寄らない古い沼に近い洞窟で、ゴブリンを確認。おそらく最初の依頼と同じ洞窟だと思われる。
ゴブリンを退治した後、洞窟の奥で、手の平大のボロ布を回収する。
水色の布の端は引き裂かれ、老婦人に確認したところ少女が着ていたワンピースの一部と判断された。
老婦人に渡された布のその後は、不明。
そして、三度目の依頼では。
ハンター達の捜索によって、今度は古沼の近くで古びた靴の片方が発見された。
サイズと形から、少女が履いていた靴と思われる。
メアの記憶では二度目の依頼でも発見場所を捜索していた筈なのだが、当時は何も見つかっていない。
村人が沼に近寄るのを嫌がる事と見通しの悪さを考えると、小さな靴を見落とした可能性も考えられるが……。
依頼に不信感を持ったメアが老婦人に詰め寄って険悪な雰囲気になったため、靴は村長に埋葬を頼んだ。
「ただ、依頼者だけど……以前の依頼を覚えてなくて、『引き取った少女がいなくなった』という強い記憶だけで依頼してきた可能性も高いんだよな。実際、村長とかは困ってたから」
大きく溜め息をつき、癖のある金髪を掻く。
「けど、前に探した場所で靴が見つかったのも気になってさ。とはいえ、私が行ってもトラブルになりそうだからな。もし興味があるなら、調べて教えてくれると私もスッキリする」
謝礼として、個人的に少し依頼料に上乗せするからと、悪戯っぽい笑顔でメアはウインクしてみせた。
解説
【依頼】
村から消えた少女を探してほしい。
少女は10歳前後で、リアルブルーから転移してきた模様。
依頼者の老婦人が発見し、村人達で相談した結果、老婦人が保護する事となった。
しかし突然の環境の変化になじめなかったのか、何も言わずに家出。村人が総出で付近を探したが、見つからなかった。
村からやや離れた場所には獣や亜人が住み着きそうな洞窟が点在し、古い沼もある。少女に何かあったのではないかと老婦人は心を痛め、ハンターズソサエティを頼った。
【小村とその周辺】
・小村
岩の多い丘陵地にある、小さく質素な村。
家畜を飼い、周辺の土地を耕して自給自足しているが、ここ1~2年ほど作物の出来栄えがあまり良くない。
たまに数人で大きな村や町へ出向き、余った収穫物や細工品などを売る。
・古沼
村が出来るより前から存在する沼。
岸辺には木々や草がうっそうと生い茂り、足場は悪い。水面も水草が多く、水は透明度が低いため、水中の様子はうかがえない。
村が出来た際、勘のいい数人が「この沼には何か『いる』から、そっとしておくべき」と揃って告げたという。そのため村人達は古沼を敬い(うやまい)ながら、滅多に近付かない。
・洞窟
丘陵地の岩陰に、ぽつぽつと出来た洞窟。
大半は奥行きも幅も広くないが、時おり、大きめの洞窟に獣や亜人が住み着く事がある。
【過去の依頼】
依頼文には記載されていないが、過去に三度、同じ小村から同様の依頼が出されていた。
依頼と依頼の間には3~4年のブランクがあり、現時点で最初の依頼から15年が経過している。
依頼者は依頼を出した事自体を覚えておらず、それぞれ別件の依頼として処理された。
二度目の依頼に参加したハンターが三度目の依頼が掲示された際に気付き、同依頼に参加した上で依頼者に問いただすも、相手は返答を拒絶。依頼は頓挫(とんざ)した。
結局、どの依頼でも少女本人は発見されていない。
村から消えた少女を探してほしい。
少女は10歳前後で、リアルブルーから転移してきた模様。
依頼者の老婦人が発見し、村人達で相談した結果、老婦人が保護する事となった。
しかし突然の環境の変化になじめなかったのか、何も言わずに家出。村人が総出で付近を探したが、見つからなかった。
村からやや離れた場所には獣や亜人が住み着きそうな洞窟が点在し、古い沼もある。少女に何かあったのではないかと老婦人は心を痛め、ハンターズソサエティを頼った。
【小村とその周辺】
・小村
岩の多い丘陵地にある、小さく質素な村。
家畜を飼い、周辺の土地を耕して自給自足しているが、ここ1~2年ほど作物の出来栄えがあまり良くない。
たまに数人で大きな村や町へ出向き、余った収穫物や細工品などを売る。
・古沼
村が出来るより前から存在する沼。
岸辺には木々や草がうっそうと生い茂り、足場は悪い。水面も水草が多く、水は透明度が低いため、水中の様子はうかがえない。
村が出来た際、勘のいい数人が「この沼には何か『いる』から、そっとしておくべき」と揃って告げたという。そのため村人達は古沼を敬い(うやまい)ながら、滅多に近付かない。
・洞窟
丘陵地の岩陰に、ぽつぽつと出来た洞窟。
大半は奥行きも幅も広くないが、時おり、大きめの洞窟に獣や亜人が住み着く事がある。
【過去の依頼】
依頼文には記載されていないが、過去に三度、同じ小村から同様の依頼が出されていた。
依頼と依頼の間には3~4年のブランクがあり、現時点で最初の依頼から15年が経過している。
依頼者は依頼を出した事自体を覚えておらず、それぞれ別件の依頼として処理された。
二度目の依頼に参加したハンターが三度目の依頼が掲示された際に気付き、同依頼に参加した上で依頼者に問いただすも、相手は返答を拒絶。依頼は頓挫(とんざ)した。
結局、どの依頼でも少女本人は発見されていない。
マスターより
今回の依頼は、とある小村から届いた捜索願です。
終わった筈の依頼の裏で『何かが終わっていない』のは確かですが、それが何かは不明。
ただ15年という歳月の狭間に沈んだ謎の全てを暴かなくても、この依頼単体を普通に成功させる事自体はできます。一応。
二度目と三度目の依頼に参加したメアは依頼者とトラブルを起こした過去と四度目の依頼が出た事を踏まえ、同行しません。
相談の際に質問があればメアが応じますが、彼女の知りうる範囲での回答となります。
なおスローペースで活動中のため、執筆期間を多めにいただいております。
終わった筈の依頼の裏で『何かが終わっていない』のは確かですが、それが何かは不明。
ただ15年という歳月の狭間に沈んだ謎の全てを暴かなくても、この依頼単体を普通に成功させる事自体はできます。一応。
二度目と三度目の依頼に参加したメアは依頼者とトラブルを起こした過去と四度目の依頼が出た事を踏まえ、同行しません。
相談の際に質問があればメアが応じますが、彼女の知りうる範囲での回答となります。
なおスローペースで活動中のため、執筆期間を多めにいただいております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/05/15 05:31
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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質問卓 金目(ka6190) 人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/08/05 09:40:30 |
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相談卓 榊 兵庫(ka0010) 人間(リアルブルー)|26才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/08/06 18:59:44 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/08/03 21:23:51 |