ゲスト
(ka0000)
カールスラーエコロシアム完成記念闘技会!
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/11 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/20 19:00
オープニング
その簡素な作りの通路は、壁越しに聞こえてくる幾多の声に埋め尽くされていた。聞こえてくる野太い歓声に心が弾むはずもなく、鍛えあげられた筋肉に覆われた無骨な背中を小さく丸める二人の男の背中には、どこか哀愁が漂っていた。
「……なあ、なんで俺らなんだよ」
か細い声で、髭面の男が呟く。
「俺も聞きたいですよ……というか、先輩があそこで断ってくれたらよかったのに……」
もう一人の男は、角張った顔に似合わないレンズの小さな眼鏡をかけている。その顔色は悪く、先程からしきりに腹の辺りを手で擦ってはうめき声を漏らしていた。髭面の男に文句を言うも、その声は震えて覇気は一切感じられない。
二人共が熊のような肉体に鎧を着こみ、剣と槍を携えている。平時ならば、屈強な第二師団員として威厳と風格をその姿に見ることができるのだろう。しかし今、二人は生まれたての子鹿のような足取りで弱々しく少しずつ、通路を進むことしかできない。
「断れるわけねえだろ……団長直々の命令だぞ。スザナ副団長も怖えが、あっちだってめっちゃ怖えよ、超怖えよ」
「……ですよね」
二人は揃ってため息をつく。
団長の威風堂々とした姿はこの上なく頼もしく、二人に限らず多くの団員から尊敬とともに慕われている。その背中について戦場に赴けば、どんな相手も粉砕できると信じられる。
……だが、だからこそ正面切って彼女と対するのは、相応の度胸が必要だった。当然、その団長から賜った大任を断ることなどできるはずもない。あの、戦場や練兵場で度々見られる、正に”鬼”と言える姿を目にしていれば尚更だ。
通路の終点が近づいてくる。同時に、響く野太い声たちもより鮮明に大きく耳を打つ。反対側の通路から歩いてきた、同じく顔色の悪い四人の団員と合流する。しかし会話はない。見ればその四人とも顔色が悪く、お互いの気持は同じなのだと親近感を抱いた。
戦う前から戦友と化した六人は、扉の前でそれが開くのを待つ。痛む心臓を抑え、逃げ出したくなる足を震わせながら。
「レディースエーンドジェントルメーン! お待たせしましたっ、カールスラーエコロシアム完成記念闘技会、ハンター対第二師団の男達! 開幕です!」
永遠に続いて欲しかった時間が、歓声と共に終わりを告げた。
●
その日、朝も早いうちからガッチリとした体格の二人の第二師団上等兵が、師団本部三階に位置する師団長執務室へと呼び出されていた。普段は使う機会のない階段を上がりながら、髭面と眼鏡の男二人は不安と緊張に押しつぶされそうになっている。
「俺ら、何かしたんすかね」
眼鏡の男、ウーリ上等兵が不安げに問いかける。
「いやしてねえだろ、多分」
髭面のヤコブ上等兵も首をひねる。ただの兵士が団長に呼び出されるなど、余程のことだ。しかし、これといった心当たりはない。
先日の、新兵教練にハンターを頼った件だろうか。しかし、それは上の命令で彼らが地下の建築に回されたからだ。
新兵教導隊の教官である彼らが建築の手伝いに回されるというのも今回が初めてではなかったし、この団の団員で、今更大工仕事についてミスをする人間など新人でない限りそうそういないだろう。大工仕事は第二師団の訓練の一つでもある。団に配属されて以降散々金槌を握ってきた以上、その点については、彼らもそれなりの自信を持っていた。
となれば、建築の不備で呼び出される覚えもない。
不安を持ったまま、二人は執務室の前に辿り着く。そしてヤコブが、恐る恐る重厚感溢れる大きな木の扉をノックすると、
「おう、入れ」
すぐさま中から、低めの女性の声が二人を促した。
重い扉をゆっくり開けると、第二師団長シュターク・シュタークスンが扉正面の執務机に腰を預けて立っていた。二人が、団長に就任して日の浅いシュタークとまともに向き合ったのはこれが初めてだったが、平素ですら発せられる迫力に大の男が気圧そうになった。
男性団員の中で散々叫ばれている「団長があと二回り小さかったら」という評判は間違いだと瞬時に思う。二回りではない、三回りだ。
顔形は整っているし、スタイルもいい。胸も大きければ露出した腹や腕、足も鋼のような筋肉に覆われ傍目で分かる程に引き締まっている。褐色の肌も好きな人間にもたまらないだろう。
だが、とにかく背が高い。男としても大き目の体格を持つヤコブよりも、ゆうに頭半個分以上大きかった。更に肉食獣のようなプレッシャーも相まって、覚醒してもいないのに”鬼”と形容したくなるその姿は、実際の身長以上の巨大ささえ感じさせた。
「さて、ヒゲとメガネ……あーっと、お前ら名前なんつったっけ」
「は、新兵教導隊教官ヤコブ・フィリッツ上等兵であります!」
「同じく、ウーリ・ベルレ上等兵であります!」
背筋を伸ばし、軍生活で刷り込まれた条件反射で二人は大きく腹から声を出す。
「あいよ、ヤコブとウーリね。じゃ、早速お前らに命令だ」
そして告げられた次の言葉に、二人の額に冷たい汗が流れる。
「お前ら、昼からの闘技会に出場な」
「……へ?」
意味が分からず、二人の頭が真っ白になった。
師団都市カールスラーエ要塞の地下には、有事に備えたシェルターが設置されている。ドワーフの力を借りて作られた金属の壁面を持つ地下空間は、都市の非戦闘員を全て収容して余りあるほどの広大さだ。だが、有事以外にその空間を遊ばせておくのは勿体無い。そこで、当時団長であったスザナ・エルマンの提案により、地下に簡易的な闘技場の建設が提案されたのだ。
そして先日、ようやくとそれなりに立派な闘技場ができたことは、この都市に住む誰もが知っている。
二人も今日がお披露目になると聞いて、仕事が終われば見物に行くつもりだった。
「あ、あの、なんで俺達が……? 団長とかスザナ副団長が出るんじゃ……」
それがいきなり、出場という単語を浴びせられている。訳が分からない。
「いや、ホントはあたしが出ようと思ってんだけどな、ジジイ……ハルクス副団長に止められちまってよ。なんか、『闘技場はあくまで訓練施設であり娯楽であるべからず』だと。だから華のあるあたしやスザナじゃなくて、お前らみたいなむさっ苦しいのを出して必要以上に盛り上がらないようにするんだとよ。……それにスザナなんか出してみろよ、せっかくの新築が血まみれになっちまう。毎回あいつ監禁すんのすげえ面倒だから、どっかで発散させてやりてえんだけどな」
だから頼むぞ、と団長は豪快な笑みで二人に当日の流れが記された書類を渡した。几帳面な文字は、ハルクス副団長のものだ。
どうやら、二人に断るという選択肢はないらしい。
散々人前で剣術を教えてきた二人ではあるが、それが完全な見世物となると全く勝手が違う。
生まれてこの方、華々しい舞台に立つことのなかった地味な二人の大舞台が、今、幕を開けようとしていた。
「……なあ、なんで俺らなんだよ」
か細い声で、髭面の男が呟く。
「俺も聞きたいですよ……というか、先輩があそこで断ってくれたらよかったのに……」
もう一人の男は、角張った顔に似合わないレンズの小さな眼鏡をかけている。その顔色は悪く、先程からしきりに腹の辺りを手で擦ってはうめき声を漏らしていた。髭面の男に文句を言うも、その声は震えて覇気は一切感じられない。
二人共が熊のような肉体に鎧を着こみ、剣と槍を携えている。平時ならば、屈強な第二師団員として威厳と風格をその姿に見ることができるのだろう。しかし今、二人は生まれたての子鹿のような足取りで弱々しく少しずつ、通路を進むことしかできない。
「断れるわけねえだろ……団長直々の命令だぞ。スザナ副団長も怖えが、あっちだってめっちゃ怖えよ、超怖えよ」
「……ですよね」
二人は揃ってため息をつく。
団長の威風堂々とした姿はこの上なく頼もしく、二人に限らず多くの団員から尊敬とともに慕われている。その背中について戦場に赴けば、どんな相手も粉砕できると信じられる。
……だが、だからこそ正面切って彼女と対するのは、相応の度胸が必要だった。当然、その団長から賜った大任を断ることなどできるはずもない。あの、戦場や練兵場で度々見られる、正に”鬼”と言える姿を目にしていれば尚更だ。
通路の終点が近づいてくる。同時に、響く野太い声たちもより鮮明に大きく耳を打つ。反対側の通路から歩いてきた、同じく顔色の悪い四人の団員と合流する。しかし会話はない。見ればその四人とも顔色が悪く、お互いの気持は同じなのだと親近感を抱いた。
戦う前から戦友と化した六人は、扉の前でそれが開くのを待つ。痛む心臓を抑え、逃げ出したくなる足を震わせながら。
「レディースエーンドジェントルメーン! お待たせしましたっ、カールスラーエコロシアム完成記念闘技会、ハンター対第二師団の男達! 開幕です!」
永遠に続いて欲しかった時間が、歓声と共に終わりを告げた。
●
その日、朝も早いうちからガッチリとした体格の二人の第二師団上等兵が、師団本部三階に位置する師団長執務室へと呼び出されていた。普段は使う機会のない階段を上がりながら、髭面と眼鏡の男二人は不安と緊張に押しつぶされそうになっている。
「俺ら、何かしたんすかね」
眼鏡の男、ウーリ上等兵が不安げに問いかける。
「いやしてねえだろ、多分」
髭面のヤコブ上等兵も首をひねる。ただの兵士が団長に呼び出されるなど、余程のことだ。しかし、これといった心当たりはない。
先日の、新兵教練にハンターを頼った件だろうか。しかし、それは上の命令で彼らが地下の建築に回されたからだ。
新兵教導隊の教官である彼らが建築の手伝いに回されるというのも今回が初めてではなかったし、この団の団員で、今更大工仕事についてミスをする人間など新人でない限りそうそういないだろう。大工仕事は第二師団の訓練の一つでもある。団に配属されて以降散々金槌を握ってきた以上、その点については、彼らもそれなりの自信を持っていた。
となれば、建築の不備で呼び出される覚えもない。
不安を持ったまま、二人は執務室の前に辿り着く。そしてヤコブが、恐る恐る重厚感溢れる大きな木の扉をノックすると、
「おう、入れ」
すぐさま中から、低めの女性の声が二人を促した。
重い扉をゆっくり開けると、第二師団長シュターク・シュタークスンが扉正面の執務机に腰を預けて立っていた。二人が、団長に就任して日の浅いシュタークとまともに向き合ったのはこれが初めてだったが、平素ですら発せられる迫力に大の男が気圧そうになった。
男性団員の中で散々叫ばれている「団長があと二回り小さかったら」という評判は間違いだと瞬時に思う。二回りではない、三回りだ。
顔形は整っているし、スタイルもいい。胸も大きければ露出した腹や腕、足も鋼のような筋肉に覆われ傍目で分かる程に引き締まっている。褐色の肌も好きな人間にもたまらないだろう。
だが、とにかく背が高い。男としても大き目の体格を持つヤコブよりも、ゆうに頭半個分以上大きかった。更に肉食獣のようなプレッシャーも相まって、覚醒してもいないのに”鬼”と形容したくなるその姿は、実際の身長以上の巨大ささえ感じさせた。
「さて、ヒゲとメガネ……あーっと、お前ら名前なんつったっけ」
「は、新兵教導隊教官ヤコブ・フィリッツ上等兵であります!」
「同じく、ウーリ・ベルレ上等兵であります!」
背筋を伸ばし、軍生活で刷り込まれた条件反射で二人は大きく腹から声を出す。
「あいよ、ヤコブとウーリね。じゃ、早速お前らに命令だ」
そして告げられた次の言葉に、二人の額に冷たい汗が流れる。
「お前ら、昼からの闘技会に出場な」
「……へ?」
意味が分からず、二人の頭が真っ白になった。
師団都市カールスラーエ要塞の地下には、有事に備えたシェルターが設置されている。ドワーフの力を借りて作られた金属の壁面を持つ地下空間は、都市の非戦闘員を全て収容して余りあるほどの広大さだ。だが、有事以外にその空間を遊ばせておくのは勿体無い。そこで、当時団長であったスザナ・エルマンの提案により、地下に簡易的な闘技場の建設が提案されたのだ。
そして先日、ようやくとそれなりに立派な闘技場ができたことは、この都市に住む誰もが知っている。
二人も今日がお披露目になると聞いて、仕事が終われば見物に行くつもりだった。
「あ、あの、なんで俺達が……? 団長とかスザナ副団長が出るんじゃ……」
それがいきなり、出場という単語を浴びせられている。訳が分からない。
「いや、ホントはあたしが出ようと思ってんだけどな、ジジイ……ハルクス副団長に止められちまってよ。なんか、『闘技場はあくまで訓練施設であり娯楽であるべからず』だと。だから華のあるあたしやスザナじゃなくて、お前らみたいなむさっ苦しいのを出して必要以上に盛り上がらないようにするんだとよ。……それにスザナなんか出してみろよ、せっかくの新築が血まみれになっちまう。毎回あいつ監禁すんのすげえ面倒だから、どっかで発散させてやりてえんだけどな」
だから頼むぞ、と団長は豪快な笑みで二人に当日の流れが記された書類を渡した。几帳面な文字は、ハルクス副団長のものだ。
どうやら、二人に断るという選択肢はないらしい。
散々人前で剣術を教えてきた二人ではあるが、それが完全な見世物となると全く勝手が違う。
生まれてこの方、華々しい舞台に立つことのなかった地味な二人の大舞台が、今、幕を開けようとしていた。
解説
・概要
コロシアム開幕記念試合を盛り上げろ。
ここはあくまで訓練施設であり、今回の大会も師団員の士気向上、ストレス発散、対人訓練といった目的を建前に開催されました。……しかし内心、最前線であるこの師団に配属された兵士の皆は娯楽を求めています。それに応えて見るのも、また一興なのかもしれません。
・敵
闘狩人の上等兵でかなりの練度を誇るヤコブとウーリ、そこそこの聖導士が二人、そして一般兵が二人の六人チーム。闘狩人の二人が指揮を執ります。全員が正規の訓練を長く積んだ精鋭であり、特に闘狩人の二人は一人でハンター二人を相手取れるような練達であり侮れるものではありません。
ヤコブは刀のような長剣を両手持ちで操り、ウーリは長槍でヤコブの後ろから援護を行います。聖導士は共に盾とメイスで体を張った肉盾を行い、残りの一般兵は回り込み後衛への攻撃を重視します。一般兵の装備は、一般的な長剣と小型の盾です。
聖導士も打撃と回復に特化し、遠距離攻撃の手段を持った相手はいません。
・場所
師団都市地下シェルターに作られた、砂の敷き詰められた半径五十メートルほどの整えられた闘技場です。周囲を取り囲むように観客席が広がっており、師団員達の歓声や野次が常時飛び交っています。
・補足
今回は戦闘の結果よりも、この大会が盛況に終わることが第一目標です。何かしらのパフォーマンスを行うと、盛り上がりに繋がるかもしれません。
また、第二師団員は、遠距離攻撃や背後からの奇襲といった搦め手をあまり好まない傾向にあります。
コロシアム開幕記念試合を盛り上げろ。
ここはあくまで訓練施設であり、今回の大会も師団員の士気向上、ストレス発散、対人訓練といった目的を建前に開催されました。……しかし内心、最前線であるこの師団に配属された兵士の皆は娯楽を求めています。それに応えて見るのも、また一興なのかもしれません。
・敵
闘狩人の上等兵でかなりの練度を誇るヤコブとウーリ、そこそこの聖導士が二人、そして一般兵が二人の六人チーム。闘狩人の二人が指揮を執ります。全員が正規の訓練を長く積んだ精鋭であり、特に闘狩人の二人は一人でハンター二人を相手取れるような練達であり侮れるものではありません。
ヤコブは刀のような長剣を両手持ちで操り、ウーリは長槍でヤコブの後ろから援護を行います。聖導士は共に盾とメイスで体を張った肉盾を行い、残りの一般兵は回り込み後衛への攻撃を重視します。一般兵の装備は、一般的な長剣と小型の盾です。
聖導士も打撃と回復に特化し、遠距離攻撃の手段を持った相手はいません。
・場所
師団都市地下シェルターに作られた、砂の敷き詰められた半径五十メートルほどの整えられた闘技場です。周囲を取り囲むように観客席が広がっており、師団員達の歓声や野次が常時飛び交っています。
・補足
今回は戦闘の結果よりも、この大会が盛況に終わることが第一目標です。何かしらのパフォーマンスを行うと、盛り上がりに繋がるかもしれません。
また、第二師団員は、遠距離攻撃や背後からの奇襲といった搦め手をあまり好まない傾向にあります。
マスターより
第二師団もだんだん動いていきますよーというわけで頑張って行きたい所存のT谷です。少しずつ師団の設定も織り交ぜて、知っていって貰えれば嬉しいです。
都市の地下にはコロシアムが建設されました。実際のグラディエーターのような血生臭いものではないので、殺したりしたらダメ、絶対。
都市の地下にはコロシアムが建設されました。実際のグラディエーターのような血生臭いものではないので、殺したりしたらダメ、絶対。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/18 21:29
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓だワン 東郷 猛(ka0493) 人間(リアルブルー)|28才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/11/11 18:31:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/06 00:15:41 |