ここは、同盟領内にある蒸気工場都市フマーレです。
　日々、様々な製品が製造され、各地へと出荷されていきます。
　大量の輸送は船便が基本ですが、陸路も使われないわけではありません。今回の依頼は、そんな陸路で荷物を運んでほしいというものでした。
　荷物の種類は陶器製の人形です。量は、馬車に５台ほど。
「これだけの量なら、船で運んだ方がよくありませんか？」
　報酬が悪くないので請け負ったものの、わざわざ陸路だなんてとあなたたちは依頼主である工場長に訊ねました。
「いや、以前はそうしたんだが、途中で壊されてしまってねえ。それで、ルートを変えることにしたんだ」
　何でも、輸送を妨害する者たちがいるのだということです。だからこそ、護衛も兼ねての輸送の依頼が来たわけなのですが。
「なあに、俺たちがいれば、野盗だろうが、怪盗だろうが、あっけなくやっつけてみせるぜ」
「いやいや、犯人を捕まえるよりは、荷物を無事に届けてほしいんだよ。なにしろ特殊な荷物で、実にもって壊れやすいんでね。なので、輸送は慎重に行ってほしいんだ。ある程度の損傷は歩留まりの範囲内だが、損失には変わりないからねえ」
　なんだか、工場長は、ある程度壊れるのは諦めているみたいです。いったい、どんな人形なのでしょうか。
「ええと、ふぃぎあとか言うんだったか？　何でも、ヴァリオスやリゼリオでは流行っているそうで。今回の物は、今ヴァリオスで人気のアイドルをモデルにしているらしいんだが、奇抜な格好でパンツ見せてる人形でね。それで、細かい部分が多くて、非常に壊れやすいんだよ。まあ、私にはあまり理解できないんだが、これも請け負った仕事だから」
　本当に、何でこんなのが流行っているんだろうという顔で、工場長が言いました。
　本来なら、樹脂素材などで作るフィギアなのでしょうが、依頼主の工場ではそういう素材はないので陶器で作っています。そのため、非常に脆くて衝撃に弱いのでした。箱には入ってはいますが、きっちりと固定されているわけでもなさそうで、いかにもよく分からない物を商品化しているといったところです。
　いろいろと突っ込みたい部分もありますが、納期の問題もあるので急がねばなりません。大箱に詰められた商品を載せた荷馬車に分乗すると、あなたたちは一路ヴァリオスの倉庫を目指したのでした。

　依頼は、荷物の輸送です。
　荷物はフィギアらしいのですが、大箱に入っているので、中味を確かめてはいません。
　これを無事にヴァリオスまでに５台の馬車で届けるのが目的になります。
　非常に脆くて壊れやすい物なので、衝撃は厳禁です。化粧箱の中に適当に入っているため梱包材をつけたすこともできません。化粧箱を開けてしまったら、商品価値は０になるらしいです。

　馬車は５台ですから、２人ずつコンビを組んでください。そのコンビで、罠の発見・解除・回避などを、基礎能力やスキルを使って行っていきます。明確な指定がない場合、こちらで適当に組ませることになりますので注意してください。
　途中現れる障害は５つです。つまり、便宜上、１コンビで１つの障害を順番にクリアしていくことになります。１コンビが複数の障害に対応することはできません。キャラの能力を考えて分担してください。
　障害は、次の５つです。

１．落とし穴。
２．凍っている下り坂。
３．子犬。吠えて、馬を驚かせます。
４．暴れ牛。ぶつかってきます。
５．落石。犯人が、崖の上の方から落としてきます。

　全てプレイヤー情報ですので、事前にキャラは知りません。
　まず、能力などによって、発見できるかどうかの判定があります。その後、能力によって回避できるかの判定があります。２名ですので、チャンスは２回ずつです。
　最低限、１人は常時馬車に乗っているかすぐそばにいる必要があります。
　運悪く罠に引っ掛かってしまった場合は、馬車１台分のフィギアが壊れます。
　５で、犯人との接触の可能性はあります。攻撃力はありませんので、もし捕まえる場合は捕まえられるかの判定をします。これは全員で可能ですが、馬車の管理には注意して墓穴は掘らないようにしてください。判定は、５の罠の後にします。

　道中、乗り合わせた人同士で世間話は可能です。初顔合わせなどの場合、自己紹介などをするのもいいでしょう。

　護衛依頼ですが、基本敵に戦闘は発生しません。知恵と工夫と体力で罠をクリアしていくのが目的となります。
　また、馬車の上での世間話もサブテーマです。シナリオ参加者同士、仲良く知り合いを増やしてくださいませ。