• 戦闘

郷愁のかわりに

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/09/16 12:00
リプレイ完成予定
2017/09/25 12:00

オープニング

 即疾隊発足から一年が経過し、組織も大きくなった。
 厳しい規律を守り、無法者から民から頼られ、恐れられる守護部隊へとなっていった。
 中の組織も変わっており、即疾隊のかかりつけ医を志願する者が現れる。
 昨年、辻斬り犯の首謀者の一人であった亀田医師が開いていた診療所を受け継いだ初名が自ら志願した。
 意志はとても嬉しいが、覚醒者ではない年若い娘が荒くれ者どもの主治医は荷が重いのではと心配した幹部達に口添えしたのは一番隊隊長である壬生和彦。
 亀田医師の孫息子であるが、そのことは表には出せない。
 医の道を進んでいた祖父の志を継ぐ初名の想いに感銘した和彦は幹部達を説得し、彼女は主治医の座についた。
 現在の彼女は診療所、他の診療所で勉強、即疾隊主治医という多忙を極めている。
 即疾隊の主治医をすることに亀田診療所に訪れる人々は初名を心配したが、愛らしい容姿からは想像できないほど仕事になると活発になり、怪我をした隊士を恫喝したり、人手が足りない時は隊士に指示を飛ばし、雑用をやらせたりと、肝の据わりように認められている模様。
 何より隊士達に一歩引かれているのは、一番隊隊長の和彦とはきょうだいのように初名と仲が良いからだ。
 どっちが上かと聞けば、初名は和彦が兄だという。因みに、初名は二十歳であるが、女性に訂正を求めてはいけない。
 和彦は女性に年齢を正す行為は命とりだと賢明な答えを言ったそうだ。

 初名が幹部への面会を申し出たのは残暑の名残が隠れつつある頃。
「亀田医師の故郷へ?」
「ええ、郷里に祖先の墓があると生前聞いたことがありまして。そこに先生とその娘さまの形見を眠らせたいと思いまして」
 藪から棒に出てきた話に即疾隊局長が驚くと、初名は理由を述べる。
「夏も過ぎるころで落ち着いてきました。先生はやはり、郷愁にかられておりましたので、せめてと……」
 局長が悩んでいるのは主治医がいなくなるという意味ではなく、年頃の娘が一人で旅に出るのが心配という所だ。
「俺がついて行ってやりたいところですが、今は無理ですので」
 亀田医師の実の孫である和彦は即疾隊の隊士を束ねる人間の一人。
 簡単に街を離れることが出来ない。
「お前は仕方あるまい。初名殿、道中気を付けて。何かあれば、ハンターを頼るとよい」
 副局長の前澤に声をかけられた初名は安心した表情で感謝の言葉と共に幹部達へ一礼をした。

 初名は詩天から出たことがなかった。
 始めて見る光景に目を輝かせててしまう。
 もしかしたらこの旅が最後かもしれないと思えば、自然と目に映るものをしかと脳裏に焼き付けていった。
 旅の途中で年若い娘の一人旅を心配し、声をかける旅館の女将は向かう場所が治安の悪いところだと教えてくれた。
 今、初名は自身に課した大事な使命がある。
 亀田医師の遺品と、和彦より渡された亀田医師の娘にして、和彦の母の形見の品。
 これらを故郷に眠らせる為に彼女はここに居る。
 悪事に手を染める者達への恐怖はあれど、心を奮わせて初名は亀田医師の故郷を急ぐ。

 旅路の途中で教えてくれた悪い奴とは盗賊団が存在するということだった。
 数年前、強大な力を持つ歪虚がこの地方にも猛威を振るっていたこともあり、復興後仕事にありつけずに道を踏み外したものなどが集まった無法者で構成された。
 金品を強奪、盗品を売りさばくこともあるという。

 初名は山道を進んでいくと、山の方から響く悲鳴に気づく。
 恐る恐る顔を上げた初名が見たのは、艶やかな黒髪の女が血相を変えて山の斜面を滑り落ちてきた。
 女の更に後方より複数の男の怒号が聞こえていた。
 恐怖で足が竦んでしまう初名だが、女の手に赤いものが滲んでいたことに気づいた瞬間、彼女は斜面を駆けあがり、女の腕をとる。
「こちらです」
 切れ長の目を丸くる女はなすがまま、初名に誘導されて草むらの影に隠されてしまう。
「おい、いたか!」
「くっそ! 探せ!」
 怒号を交わし合い、男達が周囲を走っていく。
 足音が聞こえなくなるまで二人は茂みの中に隠れていた。
「もう……大丈夫みたいね」
 追われていた女がそっと声を上げる。
 少し低い声は蠱惑的な甘い声音だ。
「は、はい……」
 女は立ち上がって周囲を見回したが、男の声は聞こえてもいないし姿も見えない。
「奴等はもう行ったよ。どうしたの?」
 きょとんと初名を見つめる女は視線を合わせるように腰を屈ませる。
「……腰が抜けまして……」
 先程の行動でなけなしの勇気を使いきってしまったようであり、女は初名を連れて近くの街へ向かう。

 女の名前は清という。
 盗賊に盗られたものがあって、取り返したいとのこと。
「しかし、あの街道が近道なんだよね。他の道じゃ、遠回りになるし」
「そういえば、旅人が多いですね。往生しているということでしょうか」
 清が呟くと、初名は通りに溢れる旅人を思い出す。
「私には行かなくてはならないところがあるのに……」
 ため息をつく初名に清は首をかしげる。
「どこに行きたいんだい?」
「街道を越えた先にある村です。そこに私の師匠の故郷があるのです」
 そう言った初名に清は薄目で笑む。
「そうかい。なら、街道を越えた方が楽だね」
「はい。ですので、ハンターを雇おうと思います」
 ぐっと、手を握り締める初名の声に気づいた旅人達が眉をひそめる。
 噂に聞くハンター達がこのようなひなびたところに来てくれるのかと。
「私の知るハンターの皆様は弱き者の声あらば参上いたします。声を上げねばなりません!」
 小さな声で不満がる旅人達を無視して初名は自身が信頼を寄せるハンターへ依頼を求めた。

解説

依頼内容
盗賊の排除。

皆様は初名の依頼に答え、東方へ赴いていただきます。
山沿いの街道を阻む盗賊を捕えていただきます。
急ぎの旅人も多いことなので、塒……アジトまでは突き止めなくてもよいそうです。
街道で通せんぼをする盗賊を捕えてください。


人間の盗賊です。
計六人。
覚醒者は内三人。闘狩人二人(剣使い)、猟撃士一人(弓使い)。非覚醒者は脇差のようなものを持ってます。
覚醒者のレベルは十程度。
皆さんで連携をすれば問題ありません。
初心者ハンターさんでもお気兼ねなくご参加ください。
途中の街道までは初名と清が案内します。

依頼主
初名:はつな。年齢は二十の女性。詩天は若峰で知る人ぞ知る可愛らしい容姿のお医者さん。
若峰の守護部隊即疾隊の主治医。
即疾隊一番隊隊長の壬生和彦は兄のように頼れる存在。
現三条家派の武家の娘。九代目詩天の争いの時に家族を亡くし、途方に暮れていた頃に亀田医師に助けられて弟子となった。
基本、か弱い女性であるが、医療に携わる時は別人となる模様。
今回は師匠とその娘の形見を故郷へ眠らせるために詩天を出て旅をしてます。

清:きよ。艶やかな美人。街道の向こうの更に山奥にいる女性とのこと。
なんでも、奪われた物があってここまで追ってきたという。
初名と行動を共にしている。

マスターより

お世話になっております。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。

久々の東方シナリオ。
美人女医の初名のシナリオです。

連続ショートでとりあえず三回となります。
九月九日はMS登録してから初めてシナリオを出した日です。
今年で九年目となります。
また、一年皆さまのご贔屓を賜りますようお願い申し上げます。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/09/23 16:33

参加者一覧

  • ティーマイスター
    カティス・フィルム(ka2486
    人間(紅)|12才|女性|魔術師

  • 緋袮(ka5699
    鬼|17才|女性|格闘士
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士
  • 即疾隊一番隊士
    和音・空(ka6228
    人間(紅)|19才|女性|符術師
  • 半折れ角
    セルゲン(ka6612
    鬼|24才|男性|霊闘士
  • 虹彩の奏者
    木綿花(ka6927
    ドラグーン|21才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談場所
セルゲン(ka6612
鬼|24才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2017/09/16 10:57:55
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/09/11 23:38:43