ゲスト
(ka0000)
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マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
魔術師協会広報室- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2017/10/05 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/10/14 22:00
オープニング
滑らかな闇に包まれた空間に音もなく一条の光線が生まれる。
光線は方形を基礎にした幾何学模様を描く。それによって床、壁、天井の存在が明らかになる。
空間の中央に四角い燐光の粒が生じ寄り集まり、形をとる――黒い箱を従えた、白い服の女へと。
彼女の名はマゴイ。亜空間とクリムゾンを行ったり来たりする特殊な――多分英霊である。
●
島の環境整備が整ったお陰で、水と食糧の供給にまるまる費やしていた分のエネルギーを、転移セクションへと振り向けられるようになった。
人工的に作られたマテリアル磁場を利用すれば、以前に比べて少ない力で行き来が出来る。 亜空間で大きな力を使うと、そこをさ迷っている様々なものが反応し、一緒にくっついてきがちだったのだが、それが抑えられるようになった。
とてもいいことだ。
思いながらマゴイはコボルド・ワーカーたちの様子を見に行く。ちゃんと休暇を取っているであろうかと。
●
コボルドたちは休みを思い思いに過ごしていた。
前の巣穴から持ってきたキノコの世話をするもの、水路で泳ぐもの、穴を掘るもの、トカゲを追いかけるもの、色々である。
その中にネコ車を押すグループがいる。車に積まれているのはたくさんの小さなキューブと、太い木の棒。
「おかたづけー」
「おかたづけー」
コボルド語で歌いながら舗装道を行く。
中途でガタガタッとキューブが動くと四方に散り、樽のような木の後ろに隠れ息を顰める。しばらくして恐る恐る戻り、ひっくりかえったネコ車にキューブを積み直し、進む。
何度かそれを繰り返した後彼らは、簡易太陽光集積炉にたどり着いた。目下島全体のエネルギーを賄っている施設だ。
群れ咲く巨大な花とも見える集光器の近くにネコ車を止める。
1匹が棒を取って構える。
1匹がキューブを1つ取って投げる。
小気味いい打撃音と一緒にキューブが飛び、集光器の中に入った――と思った次の瞬間凝縮された光と熱によって跡形もなく弾ける。
コボルドたちは手を叩いて喜ぶ。打者と投手を変え、次のキューブを飛ばす。
全部無くなるまでそれを続けた後、尾を振って健闘をたたえ合う。
「かいしんのいちげき」
「きょうもよくとんだ」
さて帰ろうと皆でネコ車を押し帰ろうとしたところで、皆急におずおず尻尾を縮めた。
いつのまにか、近くにマゴイがいたのである。
『……あなたたち何をしているの……』
コボルドたちはいたずらが見つかった子供のように、もじもじと答えた。
「おかたづけ」
「おかたづけ」
『……先に教えておいたでしょう……私がいないときにそれをするのはやめなさい……危ないのだからと……第一今は休暇中なのだから……仕事をする必要はないのよ……』
その言葉を受けコボルドたちは、しゅんとしてしまった。
「でもまごい、これたのしい」
「おかたづけしたい」
『……それはそれでとてもいいことだけど……休みのときは休まないと……さあ、皆と遊んできなさい……』
●
のっぺりした石作りの格納庫。
マゴイはその片隅に積まれているキューブの山を眺める。
これは自分が島の安全のため、周辺一帯から取り除いた歪虚である。
こんなに溜め込まずとも、一瞬で消滅させることは出来る。だが自分はそうするわけにいかない。市民に害をなす存在を抹消するのは、あくまでもソルジャーの役目。マゴイがしていいのは力を奪うまで。それ以上やってはいけない。
超法規的措置としてステーツマンが許可を出せば消滅もさせられると法には明記してあるが、ユニオン史上それがなされたことは一度もなかった。少なくとも自分が向こうに存在していた時点では。
(……ここにソルジャーがいればねえ……)
現在は苦肉の策としてワーカーに最終処分をさせている。これは、あまりいいことではない。先ほど見たように本人達がその作業を気に入っているとしても。
じゃあどうすればいいか。
(……処理出来そうな人のところへ送った方が……転送セクションを使えば負担は軽いし……)
実際前に一度、そうしたことがある。この世界においてソルジャー的な役割を負う人々――ハンターの大勢いそうなところへ閉じ込めた歪虚を送り込んだのだ。
しかし、それと同じことを同じ形でもう一度やろうとは思わない。彼らとの接触によって知ったことだが、どうやらハンターは労働に対する対価を年給でもなく月給でもなく週給でさえないその場その場の臨時報酬として受け取っているらしい。
ソサエティなんてものを作っているからには、そこが構成員の社会保障を請け負い固定給を支払っているのだろうと思っていたのだが、実態は全然違ったようだ。
悲惨な話だ。それもこれも未発達な社会制度が悪いのだろう。
とにかくそういうことであるならば、歪虚を向こうに送り付けるだけでは相手を無報酬で働かせることになってしまうわけだ。それはユニオンの理念として望ましくないことである。
であるからして、今度は報酬と一緒に送らなければならないだろう。
……そんなことを1人つらつら考えているところ、ウォッチャーから連絡が入った。
【――マゴイ、何者かがインカムの回線を使いアクセスを試みています。現在接続を回避しています】
マゴイの表情が曇った。無断で機関に接触しようとするものには最大限の警戒心を持つのが、彼女の流儀である。
即座に地下の機関へと戻り、会議室に入る。席に座りパネルに手をかざす。
クリムゾンウェストの地図が現れた。インカムがアクセスしてきている地点が光点で示される。
その位置をもっと細かく知ろうとしたところで、ふと手が止まった。
なんだか聞き覚えのある声が聞こえてきたような気がしたのだ。
いや、気がしたではない。確実に聞き覚えがある声。かつてβで今はスペットの声。
『――ゴイ――マゴイ――おるんか――そこ――』
加えてハンターの声も聞こえてくる。
(……一体なにしてるのかしらね……)
訝しみつつマゴイは、ついでなので歪虚をそちらへ送っていいかと話を持ちかけてみることにした。警戒心は持ち続けたまま。
光線は方形を基礎にした幾何学模様を描く。それによって床、壁、天井の存在が明らかになる。
空間の中央に四角い燐光の粒が生じ寄り集まり、形をとる――黒い箱を従えた、白い服の女へと。
彼女の名はマゴイ。亜空間とクリムゾンを行ったり来たりする特殊な――多分英霊である。
●
島の環境整備が整ったお陰で、水と食糧の供給にまるまる費やしていた分のエネルギーを、転移セクションへと振り向けられるようになった。
人工的に作られたマテリアル磁場を利用すれば、以前に比べて少ない力で行き来が出来る。 亜空間で大きな力を使うと、そこをさ迷っている様々なものが反応し、一緒にくっついてきがちだったのだが、それが抑えられるようになった。
とてもいいことだ。
思いながらマゴイはコボルド・ワーカーたちの様子を見に行く。ちゃんと休暇を取っているであろうかと。
●
コボルドたちは休みを思い思いに過ごしていた。
前の巣穴から持ってきたキノコの世話をするもの、水路で泳ぐもの、穴を掘るもの、トカゲを追いかけるもの、色々である。
その中にネコ車を押すグループがいる。車に積まれているのはたくさんの小さなキューブと、太い木の棒。
「おかたづけー」
「おかたづけー」
コボルド語で歌いながら舗装道を行く。
中途でガタガタッとキューブが動くと四方に散り、樽のような木の後ろに隠れ息を顰める。しばらくして恐る恐る戻り、ひっくりかえったネコ車にキューブを積み直し、進む。
何度かそれを繰り返した後彼らは、簡易太陽光集積炉にたどり着いた。目下島全体のエネルギーを賄っている施設だ。
群れ咲く巨大な花とも見える集光器の近くにネコ車を止める。
1匹が棒を取って構える。
1匹がキューブを1つ取って投げる。
小気味いい打撃音と一緒にキューブが飛び、集光器の中に入った――と思った次の瞬間凝縮された光と熱によって跡形もなく弾ける。
コボルドたちは手を叩いて喜ぶ。打者と投手を変え、次のキューブを飛ばす。
全部無くなるまでそれを続けた後、尾を振って健闘をたたえ合う。
「かいしんのいちげき」
「きょうもよくとんだ」
さて帰ろうと皆でネコ車を押し帰ろうとしたところで、皆急におずおず尻尾を縮めた。
いつのまにか、近くにマゴイがいたのである。
『……あなたたち何をしているの……』
コボルドたちはいたずらが見つかった子供のように、もじもじと答えた。
「おかたづけ」
「おかたづけ」
『……先に教えておいたでしょう……私がいないときにそれをするのはやめなさい……危ないのだからと……第一今は休暇中なのだから……仕事をする必要はないのよ……』
その言葉を受けコボルドたちは、しゅんとしてしまった。
「でもまごい、これたのしい」
「おかたづけしたい」
『……それはそれでとてもいいことだけど……休みのときは休まないと……さあ、皆と遊んできなさい……』
●
のっぺりした石作りの格納庫。
マゴイはその片隅に積まれているキューブの山を眺める。
これは自分が島の安全のため、周辺一帯から取り除いた歪虚である。
こんなに溜め込まずとも、一瞬で消滅させることは出来る。だが自分はそうするわけにいかない。市民に害をなす存在を抹消するのは、あくまでもソルジャーの役目。マゴイがしていいのは力を奪うまで。それ以上やってはいけない。
超法規的措置としてステーツマンが許可を出せば消滅もさせられると法には明記してあるが、ユニオン史上それがなされたことは一度もなかった。少なくとも自分が向こうに存在していた時点では。
(……ここにソルジャーがいればねえ……)
現在は苦肉の策としてワーカーに最終処分をさせている。これは、あまりいいことではない。先ほど見たように本人達がその作業を気に入っているとしても。
じゃあどうすればいいか。
(……処理出来そうな人のところへ送った方が……転送セクションを使えば負担は軽いし……)
実際前に一度、そうしたことがある。この世界においてソルジャー的な役割を負う人々――ハンターの大勢いそうなところへ閉じ込めた歪虚を送り込んだのだ。
しかし、それと同じことを同じ形でもう一度やろうとは思わない。彼らとの接触によって知ったことだが、どうやらハンターは労働に対する対価を年給でもなく月給でもなく週給でさえないその場その場の臨時報酬として受け取っているらしい。
ソサエティなんてものを作っているからには、そこが構成員の社会保障を請け負い固定給を支払っているのだろうと思っていたのだが、実態は全然違ったようだ。
悲惨な話だ。それもこれも未発達な社会制度が悪いのだろう。
とにかくそういうことであるならば、歪虚を向こうに送り付けるだけでは相手を無報酬で働かせることになってしまうわけだ。それはユニオンの理念として望ましくないことである。
であるからして、今度は報酬と一緒に送らなければならないだろう。
……そんなことを1人つらつら考えているところ、ウォッチャーから連絡が入った。
【――マゴイ、何者かがインカムの回線を使いアクセスを試みています。現在接続を回避しています】
マゴイの表情が曇った。無断で機関に接触しようとするものには最大限の警戒心を持つのが、彼女の流儀である。
即座に地下の機関へと戻り、会議室に入る。席に座りパネルに手をかざす。
クリムゾンウェストの地図が現れた。インカムがアクセスしてきている地点が光点で示される。
その位置をもっと細かく知ろうとしたところで、ふと手が止まった。
なんだか聞き覚えのある声が聞こえてきたような気がしたのだ。
いや、気がしたではない。確実に聞き覚えがある声。かつてβで今はスペットの声。
『――ゴイ――マゴイ――おるんか――そこ――』
加えてハンターの声も聞こえてくる。
(……一体なにしてるのかしらね……)
訝しみつつマゴイは、ついでなので歪虚をそちらへ送っていいかと話を持ちかけてみることにした。警戒心は持ち続けたまま。
解説
補足説明
これはお届けされてきた歪虚の始末をするシナリオです。
前にも一度同じこと(シナリオ名「歪虚お届けです」)がありましたが、あれから彼女も色々学習しました。大丈夫、今度はちゃんと報酬も一緒に送ってきます。
報酬となる金の出所が気になる方は、本人に聞いてみてください。気にならない方はそのままスルーでOKです。
歪虚は軒並みブロック化されています。ブロックの大きさは10cm×10cm×10cm。もともと下級の雑魔ばかりな上、原形を失うほど弱らせてありますので、消滅させるのは簡単です。数は全部で1000個余り。気長にぷちぷち潰していってください。
ちなみにマゴイさんに歪虚送り先の指定をしない場合、現在ハンターたちのいる場所(魔術師協会・屋内)へ直にブツが送り込まれてきてしまいます。後の処理を考えますに、屋外に送ってくださいと指定した方がいいです。
マゴイとの通信はインカムに接続した受信機で行われています。稼働に要するエネルギーの関係上、長時間の通話は出来ません。30分程度が限度です。今後改良によって改善されることがあるとは思いますが、少なくとも今回は短時間しか通話は出来ません。
また、向こうが回線を閉ざしてきた場合、通信はそこで打ち切られます。
これはお届けされてきた歪虚の始末をするシナリオです。
前にも一度同じこと(シナリオ名「歪虚お届けです」)がありましたが、あれから彼女も色々学習しました。大丈夫、今度はちゃんと報酬も一緒に送ってきます。
報酬となる金の出所が気になる方は、本人に聞いてみてください。気にならない方はそのままスルーでOKです。
歪虚は軒並みブロック化されています。ブロックの大きさは10cm×10cm×10cm。もともと下級の雑魔ばかりな上、原形を失うほど弱らせてありますので、消滅させるのは簡単です。数は全部で1000個余り。気長にぷちぷち潰していってください。
ちなみにマゴイさんに歪虚送り先の指定をしない場合、現在ハンターたちのいる場所(魔術師協会・屋内)へ直にブツが送り込まれてきてしまいます。後の処理を考えますに、屋外に送ってくださいと指定した方がいいです。
マゴイとの通信はインカムに接続した受信機で行われています。稼働に要するエネルギーの関係上、長時間の通話は出来ません。30分程度が限度です。今後改良によって改善されることがあるとは思いますが、少なくとも今回は短時間しか通話は出来ません。
また、向こうが回線を閉ざしてきた場合、通信はそこで打ち切られます。
マスターより
KINUTAです。
マゴイ島と、細々ながら回線が繋がったようです。
マゴイ島と、細々ながら回線が繋がったようです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/10/12 23:59
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 榊 兵庫(ka0010) 人間(リアルブルー)|26才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/10/03 21:33:01 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/10/02 07:45:35 |
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![]() |
相談卓だよ 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/10/05 00:00:48 |