ゲスト
(ka0000)
大剛の砂精霊
マスター:ことね桃

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/10/07 15:00
- リプレイ完成予定
- 2017/10/16 15:00
オープニング
ゾンネンシュトラール帝国の片隅に広がる荒地。
そこを商人の荷馬車がゴトゴト音を立てながら縦断していく。
荷馬車には美しい織物や絨毯がぎっちりと積まれている。商人はこれから帝都に向かい名のある軍人や貴族に売り込みに行くのだ。
(さすがに今日は帝都入りは無理だろうが、今日は適当な宿場町で宿をとって広場の一角でも借りて織物を売るのも……ん?)
その時、彼は奇妙なものを見た。荒野をひどく粗末な服を纏った一団がのろのろと歩いているのである。いずれも旅の荷など持たず、きょろきょろと周囲を見回しながら。
(旅人、というわけではないよな。集団でこんな荒地で何をやっているんだろう)
一団の境遇に興味はあるが、どこか不気味なものを感じた商人はいっそのこと追い抜いてやれと馬に再度鞭を入れる。馬が嘶く。次の瞬間――目の前の一団が全員揃ってこちらを見た。
「……? う、うわああああっ!!」
商人は思わず叫んだ。なぜなら、その一団の姿が到底生きているとは思えない姿だったからだ。
この世界ではヒトの遺体が歪虚により動く死体「ゾンビ」と化される事件がいくつも起きているというが、まさかそれなのだろうか?
商人は慌てて馬首を返そうとするが、重い荷を乗せた馬車が足場の悪い荒地で急旋回などできるはずもない。
迫ってくる動く死体たちに馬も怯えたのだろう。口から泡を吹きながら我武者羅に駆け出そうとするも、荷馬車の車輪が大きな石に引っかかり身動きがとれなくなった。
(くそっ、ここまでかよ……!)
高価な荷を諦め、馬に乗って逃げようとする商人。だが彼に向かい目の前の一団から中年男のゾンビが思いがけぬ速度で駆け出した。商人が荷馬車を外し馬首を返すまでの僅かな時間に追いつくのでは、と恐怖させるほどの速さだ。
「くそっ、なんなんだよ。こいつらはっ!」
涙が滲み、息がつまり、手が震える。いつもは簡単に外せるはずの馬具がうまく外れない。この商売どころか、この人生がこのような荒地で終わってしまうのか……商人は固く目を瞑った。
――その時、赤茶色の地面が大きく隆起した。表面を覆う砂が4mほどの高さに盛り上がり、左右に筋骨隆々とした手足が形成されていく。そして子供の背ほどもある大きな手が拳の形を作ったかと思うと、飛び掛ったゾンビを一打のもとに粉砕した。
そして完全なヒトの形となった「それ」はゾンビたちをぎろりと睨みつけるなり、手足を乱暴に振り回した。ゾンビたちは果敢に「それ」に挑むものの、次々と潰されていく。
そして、最後。逃げようと背を向けたゾンビに向かい「それ」は足元の岩を拾うと拳で粉砕し、石の礫を上手投げで叩きつけた。
「ギャアアアアッ!?」
蜂の巣のように穴だらけになり、地面に崩れゆくゾンビ。ほんの数分で彼らは二度目の死を迎えたのだった。
「えっ……?」
馬に縋っていた商人は突然の光景にぽかんとした。ゾンビに遭遇しただけでも十分な衝撃であるのに、それが冗談じみた「何か」の登場であっさりと解決したのだから。
いや、果たして「あれ」が自分の見方なのか敵なのかがわからないのだからまだ解決とは言えないだろう。商人は砂の巨人が背を向けている間に、ようやく荷馬車から自由になった馬に乗り逃げ出そうとした。
すると、砂の巨人が背を向けたまま、その容貌にふさわしい地を這うような低い声を放った。
『おい、人間』
「は、はい!」
商人はその厳かな声に、小賢しい浅知恵などこの巨人には通用しないのだと瞬間的に理解した。馬から降り、背筋をぴんと伸ばす。
『お前は強者か?』
「え、ええと……いや、同盟領出身のしがない商人です……」
『強者ではないのだな?』
「ええ、まあ……あの通り、動く死体にも立ち向かえません」
『ふむ、ならば今回は見逃してやる。代わりに帝都から何人かの強者を連れて来い。とびっきりのをな』
その翌日、帝都では手のひらサイズの四大精霊が一柱、火と闇・正義を司るサンデルマンがハンター達を集めて話を始めた。とはいえ、強大な力を制御するのがやっとという状況の彼は長時間話すことができないらしい。隣に控える軍人がサンデルマンの代役として話を進める。
「サンデルマン様によりますと、昨日帝都からかなり離れた荒地に砂の精霊の顕現を感じられたとのことです」
「砂の……? 軽くてなんかあまり強くなさそうな気がしますね」
ハンターのひとりが気楽そうに笑った。それに対しサンデルマンが眉間に小さく皺を寄せ、俯く。
『砂といえど油断はできぬ。無数の粒が集まればその質量は鋼鉄をも圧するだろう』
「……」
思わず固唾を呑むハンターたち。軍人はサンデルマンと彼らの顔をちら、と見てから続ける。
「今回はこの砂の精霊をどうにかして保護したい、というサンデルマン様からのご依頼です。精霊はその体がほぼマテリアルで構成されているゆえ、歪虚を集めてしまいますからね。精霊にいずれはこちらに協力していただく代わりに、安全な場所を提供する……と」
『ただし、帝国領内の精霊はヒトに対する警戒心が非常に強い。複雑な過去を持つがゆえにな。説得は困難を極めるだろう。あちらが納得さえすれば、加護の力も授けられようが……』
サンデルマンが精霊を保護する際に必要となる加護の力を秘めた紙片をハンターたちに差し出した。しかし声が重い。それだけ帝国領内の精霊の抱えている問題が大きいのだろう。
ハンターたちが困ったように顔を見合わせる。
その時だ。軍人のひとりが一枚の紙切れを持って部屋に駆け込んできた。
「ハンターの皆様! 砂の精霊から果たし状がっ!」
「『ええっ!?』」
部屋にいた全員が目を白黒させた。
「えーと……『我は顕現し、体を取り戻したので気分がすこぶる良い。とはいえ、人間どもにかつて襲われた痛みを忘れたわけではない。願わくば、人間の強者どもと今度は真正面からの果し合いを。叶わぬならば、我と同胞の積年の恨みを込めて帝都に向かう』……と。商人が旅の道中、精霊と出会って書き取ったものだそうですが……」
『ふむ。相手はこちらに接触を希望しているようだな』
サンデルマンが小さな顎に手を当てる。ハンターたちは武器を手に取ると黙って立ち上がった。
そこを商人の荷馬車がゴトゴト音を立てながら縦断していく。
荷馬車には美しい織物や絨毯がぎっちりと積まれている。商人はこれから帝都に向かい名のある軍人や貴族に売り込みに行くのだ。
(さすがに今日は帝都入りは無理だろうが、今日は適当な宿場町で宿をとって広場の一角でも借りて織物を売るのも……ん?)
その時、彼は奇妙なものを見た。荒野をひどく粗末な服を纏った一団がのろのろと歩いているのである。いずれも旅の荷など持たず、きょろきょろと周囲を見回しながら。
(旅人、というわけではないよな。集団でこんな荒地で何をやっているんだろう)
一団の境遇に興味はあるが、どこか不気味なものを感じた商人はいっそのこと追い抜いてやれと馬に再度鞭を入れる。馬が嘶く。次の瞬間――目の前の一団が全員揃ってこちらを見た。
「……? う、うわああああっ!!」
商人は思わず叫んだ。なぜなら、その一団の姿が到底生きているとは思えない姿だったからだ。
この世界ではヒトの遺体が歪虚により動く死体「ゾンビ」と化される事件がいくつも起きているというが、まさかそれなのだろうか?
商人は慌てて馬首を返そうとするが、重い荷を乗せた馬車が足場の悪い荒地で急旋回などできるはずもない。
迫ってくる動く死体たちに馬も怯えたのだろう。口から泡を吹きながら我武者羅に駆け出そうとするも、荷馬車の車輪が大きな石に引っかかり身動きがとれなくなった。
(くそっ、ここまでかよ……!)
高価な荷を諦め、馬に乗って逃げようとする商人。だが彼に向かい目の前の一団から中年男のゾンビが思いがけぬ速度で駆け出した。商人が荷馬車を外し馬首を返すまでの僅かな時間に追いつくのでは、と恐怖させるほどの速さだ。
「くそっ、なんなんだよ。こいつらはっ!」
涙が滲み、息がつまり、手が震える。いつもは簡単に外せるはずの馬具がうまく外れない。この商売どころか、この人生がこのような荒地で終わってしまうのか……商人は固く目を瞑った。
――その時、赤茶色の地面が大きく隆起した。表面を覆う砂が4mほどの高さに盛り上がり、左右に筋骨隆々とした手足が形成されていく。そして子供の背ほどもある大きな手が拳の形を作ったかと思うと、飛び掛ったゾンビを一打のもとに粉砕した。
そして完全なヒトの形となった「それ」はゾンビたちをぎろりと睨みつけるなり、手足を乱暴に振り回した。ゾンビたちは果敢に「それ」に挑むものの、次々と潰されていく。
そして、最後。逃げようと背を向けたゾンビに向かい「それ」は足元の岩を拾うと拳で粉砕し、石の礫を上手投げで叩きつけた。
「ギャアアアアッ!?」
蜂の巣のように穴だらけになり、地面に崩れゆくゾンビ。ほんの数分で彼らは二度目の死を迎えたのだった。
「えっ……?」
馬に縋っていた商人は突然の光景にぽかんとした。ゾンビに遭遇しただけでも十分な衝撃であるのに、それが冗談じみた「何か」の登場であっさりと解決したのだから。
いや、果たして「あれ」が自分の見方なのか敵なのかがわからないのだからまだ解決とは言えないだろう。商人は砂の巨人が背を向けている間に、ようやく荷馬車から自由になった馬に乗り逃げ出そうとした。
すると、砂の巨人が背を向けたまま、その容貌にふさわしい地を這うような低い声を放った。
『おい、人間』
「は、はい!」
商人はその厳かな声に、小賢しい浅知恵などこの巨人には通用しないのだと瞬間的に理解した。馬から降り、背筋をぴんと伸ばす。
『お前は強者か?』
「え、ええと……いや、同盟領出身のしがない商人です……」
『強者ではないのだな?』
「ええ、まあ……あの通り、動く死体にも立ち向かえません」
『ふむ、ならば今回は見逃してやる。代わりに帝都から何人かの強者を連れて来い。とびっきりのをな』
その翌日、帝都では手のひらサイズの四大精霊が一柱、火と闇・正義を司るサンデルマンがハンター達を集めて話を始めた。とはいえ、強大な力を制御するのがやっとという状況の彼は長時間話すことができないらしい。隣に控える軍人がサンデルマンの代役として話を進める。
「サンデルマン様によりますと、昨日帝都からかなり離れた荒地に砂の精霊の顕現を感じられたとのことです」
「砂の……? 軽くてなんかあまり強くなさそうな気がしますね」
ハンターのひとりが気楽そうに笑った。それに対しサンデルマンが眉間に小さく皺を寄せ、俯く。
『砂といえど油断はできぬ。無数の粒が集まればその質量は鋼鉄をも圧するだろう』
「……」
思わず固唾を呑むハンターたち。軍人はサンデルマンと彼らの顔をちら、と見てから続ける。
「今回はこの砂の精霊をどうにかして保護したい、というサンデルマン様からのご依頼です。精霊はその体がほぼマテリアルで構成されているゆえ、歪虚を集めてしまいますからね。精霊にいずれはこちらに協力していただく代わりに、安全な場所を提供する……と」
『ただし、帝国領内の精霊はヒトに対する警戒心が非常に強い。複雑な過去を持つがゆえにな。説得は困難を極めるだろう。あちらが納得さえすれば、加護の力も授けられようが……』
サンデルマンが精霊を保護する際に必要となる加護の力を秘めた紙片をハンターたちに差し出した。しかし声が重い。それだけ帝国領内の精霊の抱えている問題が大きいのだろう。
ハンターたちが困ったように顔を見合わせる。
その時だ。軍人のひとりが一枚の紙切れを持って部屋に駆け込んできた。
「ハンターの皆様! 砂の精霊から果たし状がっ!」
「『ええっ!?』」
部屋にいた全員が目を白黒させた。
「えーと……『我は顕現し、体を取り戻したので気分がすこぶる良い。とはいえ、人間どもにかつて襲われた痛みを忘れたわけではない。願わくば、人間の強者どもと今度は真正面からの果し合いを。叶わぬならば、我と同胞の積年の恨みを込めて帝都に向かう』……と。商人が旅の道中、精霊と出会って書き取ったものだそうですが……」
『ふむ。相手はこちらに接触を希望しているようだな』
サンデルマンが小さな顎に手を当てる。ハンターたちは武器を手に取ると黙って立ち上がった。
解説
目的:
砂の精霊と勝負し、彼を納得させたうえで保護する。
状況:
砂の精霊の果し合いに応じ、彼のホームグランドである荒地に向かったところ。
互いに存在を視認した状況からスタートします。
戦場:
50スクエア四方の荒地。岩がごろごろ転がっています。
基本的に平坦で、枯れ木がところどころ生えている以外はこれといった障害物はなし。
敵:
砂の精霊。全高4m(サイズ2)。
基本的に脳筋思考で、直接攻撃を好みます。動きは遅いですが、生命力・耐久力・攻撃力は高めというわかりやすいパワー型。
パンチ:大きな手を1スクエア以内の1人に対して振り下ろします。大きめのダメージ。
礫:岩を拾い、潰したものを思いっきり上手投げ。
左右3スクエアの幅で前方10スクエア以内にいる敵全体に攻撃します。中ダメージ。
ただし岩を拾って潰すまでの行動に1ラウンドを消費するため、うまく立ち回れば攻撃を食い止めることができるかもしれません。
砂隠れ:地面に沈み、隠れます。
その間は姿が一時的に見えなくなりますが、ダメージを受けるか3ラウンド経過で自動的に地上に戻ります。
隠れている間は通常速度の半分の移動力ならびに半分の瞬発となり、同時に僅かながら体力も回復します。
砂の精霊と勝負し、彼を納得させたうえで保護する。
状況:
砂の精霊の果し合いに応じ、彼のホームグランドである荒地に向かったところ。
互いに存在を視認した状況からスタートします。
戦場:
50スクエア四方の荒地。岩がごろごろ転がっています。
基本的に平坦で、枯れ木がところどころ生えている以外はこれといった障害物はなし。
敵:
砂の精霊。全高4m(サイズ2)。
基本的に脳筋思考で、直接攻撃を好みます。動きは遅いですが、生命力・耐久力・攻撃力は高めというわかりやすいパワー型。
パンチ:大きな手を1スクエア以内の1人に対して振り下ろします。大きめのダメージ。
礫:岩を拾い、潰したものを思いっきり上手投げ。
左右3スクエアの幅で前方10スクエア以内にいる敵全体に攻撃します。中ダメージ。
ただし岩を拾って潰すまでの行動に1ラウンドを消費するため、うまく立ち回れば攻撃を食い止めることができるかもしれません。
砂隠れ:地面に沈み、隠れます。
その間は姿が一時的に見えなくなりますが、ダメージを受けるか3ラウンド経過で自動的に地上に戻ります。
隠れている間は通常速度の半分の移動力ならびに半分の瞬発となり、同時に僅かながら体力も回復します。
マスターより
こんにちは! 帝国にひっそり潜むことね桃です。
今回はまさかの帝国依頼第2弾!
しかもことね初のやや難依頼ですよ!
ダイスロール重視の判定とかドッキドキですよね?
(お前だけだという話は置いておいて)
よろしければぜひご参加くださいませ!
今回はまさかの帝国依頼第2弾!
しかもことね初のやや難依頼ですよ!
ダイスロール重視の判定とかドッキドキですよね?
(お前だけだという話は置いておいて)
よろしければぜひご参加くださいませ!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/10/16 01:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/10/02 19:22:54 |
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相談卓 通りすがりのSさん(ka6276) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/10/07 06:57:47 |