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　とある村にはゴブリンがいる。村人の為に同族のゴブリンたちに立ち向かい村を守ったこともあり、村人からも大層信頼されている。
　そのうえこのゴブリンは人の言葉は話せないもののそれなりに頭は良く、腕っぷしも村で一番と来た。そのため、ゴブリンは狩りやら歪虚の襲撃やらに対し陣頭に立つことも多かった。
　そんな折、ゴブリンが森から何かを背負ってやってきた。
「ん？　どうしたゴブ男。獲物……じゃないよな」
　慌てて駆けてきたゴブリンが背負っていたそれを下ろす。それは、はたから見るとケガをした犬のようであった。
「……ん～、犬……か？」
「犬みたいだけど……なんだ？」
　だが、村人は皆違和感を隠せない。犬にしては……そう、どこか神秘的な気配を漂わせている。そんな印象だった。
「……ひょっとして、こいつ……精霊ってやつか？」　
「精霊？　この犬っころがか？」
　だが、一度精霊であると思うと、他に説明のしようがない。土着の精霊というやつは土地の信仰により姿形が変わるらしい、という話を村人は聞いたことがあった。これは恐らく、彼らの知らぬ先祖の信仰によって形作られた精霊なのだろう。
　とりあえず、村人はハンターオフィスに連絡を入れ、この精霊を保護してもらおうと考えた。
「これで一安心だな……ん？」
　そう呟いた村人の服を誰かが引っ張った。視線を落とす。引っ張っていた主はゴブリンだった。ゴブリンは手に持った鍬を村人に渡した。
「ん？　なんだゴブ男、今日はもう農作業は……」
　そう言った村人に対し、ゴブリンは精霊のことを指さしながら拳を振り回した。
「……そうか、森にはあの精霊を襲ったやつがいるかもしれない……そういうことだな。何がいるかはわかるのか？」
　村人の問いに首を横に振るゴブリン。だが、おおよそ見当はつく。
　以前村を襲ってきたゴブリンがいたのだが、それらはハンターたちが見事に殲滅してくれた。その結果何かが増えて生態系を荒らしている。
「野生で気性の荒い動物ってのはこの辺りにはいないしなぁ」
「いるとしたらコボルドか。繁殖しててもおかしくは無いか」
　他の村人も集まってきて意見を交わす。こうして、村人は村長の家に集められ、戦える男は村の周囲を警戒しだした。

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　森をさまよっていた精霊を襲ったコボルドたちは、その後を追って村を見つけた。
　村の様子を見る限り、その警戒は強そうに見える。精霊はおそらくこの村に逃げ込んだのだろう。ゴブリンのように多少頭が回る生き物であれば、その後何が起こるのか……援軍が来る可能性まで考えられただろう。
　だが、ゴブリンに飼いならされているわけでもないコボルドたちにそこまで知恵は無く、ただ一つの方針だけが決まった。
　明日、襲おうと。

●目的
　敵の殲滅
　防衛対象の防衛

●状況
　PCたちは村から精霊保護の要請を受けてやってきたハンターとなる。
　戦場は帝国領内の村。村は中央に水汲み場があり、そこから煉瓦製の家々が広がっている。村から少し離れて3方は森、一方は隣町に繋がる道となっている。
　村民（戦闘員）は散開して森からくる敵を警戒している。
　ハンターたちが隣町から移動してくる途上でコボルドが攻撃を開始する。
　ただし『全員の移動力』が一定を超えている場合コボルドの攻撃前に村へ入ることが可能。

●防衛対象
　村民（戦闘員）×１０名ほど
　村の男衆。覚醒者の類はいないためそれほど強くは無い。近接武器として農具（鍬とか鎌、斧など）を装備。
　大体コボルド1匹分の強さ。
　
　村民（非戦闘員）×それなりにたくさん
　老人や子供。最もつくりのしっかりしている村長の家に集まっている。　

　ゴブリン×１
　村民からゴブ男と呼ばれるゴブリン。人語は話せないが理解はできる。
　鍬で武装。大体コボルド3匹分の強さ。

　精霊×１
　形状は犬。土着の精霊と思われるが非常に弱々しい。村民（非戦闘員）と一緒にいる。
　戦闘後生存してれば帝国に顕現した四大精霊サンデルマンの元で保護される。

●敵情報
　コボルド×不明（敵総数は参加PCの戦力を参照して増加するものとする）
　ゴブリンがいなくなったことで少数だった個体が繁殖したものと思われる。
　知性は低く、武器の類ももっていないため一般人でも1対1なら渡り合えるが、2体以上が相手だと厳しい。
　全て森に潜んでおり、同時に突っ込んでくる。

　お世話になっております、植田です。
　ちょっと遅刻が続いてしまいました。参加者の方は申し訳ございませんでした。

　今回の依頼は防衛依頼となります。この村は過去依頼の「人ならずとも人のため」と同じ村ですが、内容的には関係ありません。
　とにかく、村民に被害を出さないようにしつつ雑魚を蹴散らしてもらえればと思います。
　
　それでは、皆様の参加お待ちいたしております。