ゲスト
(ka0000)
【王国始動】歓迎される人々、されない魚人
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/06/20 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/06/29 07:30
オープニング
●歓迎の挨拶
謁見の間には、数十名の騎士が微動だにすることなく立ち並んでいた。
ピンと張り詰めた空気が、足を踏み入れた者を押し潰そうとでもしているかのようだ。
「これが歴史の重みってやつかね」
軽く茶化して薄笑いを浮かべる男――ハンターだが、その口調は精彩を欠いている。
頭上には高い天井にシャンデリア。左右の壁には瀟洒な紋様。足元には多少古ぼけたように見える赤絨毯が敷かれており、その古臭さが逆に荘厳さを醸し出している。そして前方には直立する二人の男と――空席の椅子が二つ。
どちらかが玉座なのだろう。
グラズヘイム王国、王都イルダーナはその王城。千年王国の中心が、あれだ。
椅子の左右に立つ男のうち、年を食った聖職者のような男が淡々と言った。
「王女殿下の御出座である。ハンター諸君、頭を垂れる必要はないが節度を忘れぬように」
いくらか軽くなった空気の中、前方右手の扉から甲冑に身を包んだ女性が姿を現した。そしてその後に続く、小柄な少女。
純白のドレスで着飾った、というよりドレスに着られている少女はゆっくりと登壇して向かって右の椅子の前に立つと、こちらに向き直って一礼した。
「皆さま、我がグラズヘイム王国へようこそ」
落ち着いた、けれど幼さの残る声が耳をくすぐる。椅子に腰を下ろした少女、もとい王女は胸に手を当て、
「はじめまして、私はシスティーナ・グラハムと申します。よろしくお願いしますね。さて、今回皆さまをお呼び立てしたのは他でもありません……」
やや目を伏せた王女が、次の瞬間、意を決したように言い放った。
「皆さまに、王国を楽しんでいただきたかったからですっ」
…………。王女なりに精一杯らしい大音声が、虚しく絨毯に吸い込まれた。
「あれ? 言葉が通じなかったのかな……えっと、オリエンテーションですっ」
唖然としてハンターたちが見上げるその先で、王女はふにゃっと破顔して続ける。
「皆さまの中にはリアルブルーから転移してこられた方もいるでしょう。クリムゾンウェストの人でもハンターになったばかりの方が多いと思います。そんな皆さまに王国をもっと知ってほしい。そう思ったのです」
だんだん熱を帯びてくる王女の言葉。
マイペースというか視野狭窄というか、この周りがついてきてない空気で平然とできるのはある意味まさしく貴族だった。
「見知らぬ地へやって来て不安な方もいると思います。歪虚と戦う、いえ目にするのも初めての方もいると思います。そんな皆さまの支えに私はなりたい! もしかしたら王国には皆さま――特にリアルブルーの方々に疑いの目を向ける人がいるかもしれない、けれどっ」
王女が息つく間すら惜しむように、言った。
「私は、あなたを歓迎します」
大国だからこその保守気質。それはそれで何かと面倒があるのだろう、と軽口を叩いた男はぼんやり考えた。
「改めて」
グラズヘイム王国へようこそ。
王女のか細く透き通った声が、ハンターたちの耳朶を打った。
●港街での活気
ここ王国南部に位置する港街「ガンナ・エントラータ」では、近年まれに見る大漁にいつも以上の活気が生み出されていた。潮風香るこの街では、祭が行われているかのような雰囲気さえ作られていた。
商売に賢いものは、新たな商品を作り出したり、あの手この手で魚の価値を上げていた。
騒ぐのが好きなものは、とにかく酒を飲み、陽気な音楽に心躍らす。
乗り切れぬものは、そんな様子を斜に構えて見守っていた。
ガンナ・エントラータの湾口近くに、一つの酒場があった。周囲がいち早く、お祭り騒ぎに興じる中、この酒場はやや乗り遅れていた。
「今から、巻き返すには……」
乗り遅れたからといって、マスターに商売っ気がないわけではない。むしろ、乗り遅れてしまったことに焦りと、後悔の念さえ感じているのだった。
「酒はどこも横ばいだろうし、今から雇える楽師はたかがしれているだろうしなぁ」
朝早く、魚市場を歩くマスターは腕を組みながら、呻っていた。
色とりどりの魚たちを見てあるけど、妙案が思い浮かぶわけでもなく、いつも通りの仕入れに落ち着いてしまう。
男達の声が響く市場では、考えも思うようにまとまらない。
「よぅ、マスター。浮かない顔だな、こんなときにさ」
親しい漁師が、見るに見かねて声をかけてくる。
「すっかり、この雰囲気に乗り遅れてしまってなぁ。どうしたものかね」
マスターは、嘆息し空を仰ぐような仕草を見せた。
漁師は、笑い声を上げながら、マスターの背中を叩く。
「マスター、そうがっかりしなさんな。今からでも、特別メニュー作ったらどうだい?」
お前さんの料理はここいらじゃ一番だからな、と世事にもとれる褒め言葉でマスターを元気づける。
「特別メニュー、か」
「お、何か思いついたのか」
「今日は、大浅魚はないのかい?」
大浅魚とは浅瀬でとれる大魚の一種で、高級魚とまではいかなくとも、庶民のごちそうにはもってこいの魚である。そういえば、これだけ大漁と騒ぎになっているにも関わらず、大浅魚を見た覚えがない。
だが、漁師はその名前を聞いた途端に、表情を曇らせた。
「あ……あぁ、その大浅魚なんだが」
●踊れるタコも久しからず
大浅魚が捕れるという小さな島。
鬱蒼とした森を中央に蓄えた島は、大浅魚のよい漁場になっている。
地図にも載らない島ではあるが、漁師の間ではよく知られていた。持ち回りで、大浅魚を捕りにくるためだ。だが、ここ数日、この島に近寄る漁船は一隻もなかった。
原因は、砂浜にどーんと鎮座する物体にあった。
厳密には物ではない。ある意味、魚影といってもよいのかもしれない。
大ダコが一匹、そこに居座っていたのだ。別の岸から上がることはできるのだが、大ダコのいるあたりこそ、大浅魚が最もよく捕れる場所なのだ。そして、別の岸も大ダコが近づいて来ては危ないことこの上ない。
「というわけなのさ」
「危険というわけかい。だが、ずっとそのままにしておくわけにもいかないだろ?」
「なんだけどなぁ。ここ最近は、お祭り騒ぎで俺らも積極的に厄介事に関わろうとはしないのさ」
そういう漁師の横顔を眺めながら、マスターはとある人々のことを思い出して呟くのだった。
「……ハンター、か」
謁見の間には、数十名の騎士が微動だにすることなく立ち並んでいた。
ピンと張り詰めた空気が、足を踏み入れた者を押し潰そうとでもしているかのようだ。
「これが歴史の重みってやつかね」
軽く茶化して薄笑いを浮かべる男――ハンターだが、その口調は精彩を欠いている。
頭上には高い天井にシャンデリア。左右の壁には瀟洒な紋様。足元には多少古ぼけたように見える赤絨毯が敷かれており、その古臭さが逆に荘厳さを醸し出している。そして前方には直立する二人の男と――空席の椅子が二つ。
どちらかが玉座なのだろう。
グラズヘイム王国、王都イルダーナはその王城。千年王国の中心が、あれだ。
椅子の左右に立つ男のうち、年を食った聖職者のような男が淡々と言った。
「王女殿下の御出座である。ハンター諸君、頭を垂れる必要はないが節度を忘れぬように」
いくらか軽くなった空気の中、前方右手の扉から甲冑に身を包んだ女性が姿を現した。そしてその後に続く、小柄な少女。
純白のドレスで着飾った、というよりドレスに着られている少女はゆっくりと登壇して向かって右の椅子の前に立つと、こちらに向き直って一礼した。
「皆さま、我がグラズヘイム王国へようこそ」
落ち着いた、けれど幼さの残る声が耳をくすぐる。椅子に腰を下ろした少女、もとい王女は胸に手を当て、
「はじめまして、私はシスティーナ・グラハムと申します。よろしくお願いしますね。さて、今回皆さまをお呼び立てしたのは他でもありません……」
やや目を伏せた王女が、次の瞬間、意を決したように言い放った。
「皆さまに、王国を楽しんでいただきたかったからですっ」
…………。王女なりに精一杯らしい大音声が、虚しく絨毯に吸い込まれた。
「あれ? 言葉が通じなかったのかな……えっと、オリエンテーションですっ」
唖然としてハンターたちが見上げるその先で、王女はふにゃっと破顔して続ける。
「皆さまの中にはリアルブルーから転移してこられた方もいるでしょう。クリムゾンウェストの人でもハンターになったばかりの方が多いと思います。そんな皆さまに王国をもっと知ってほしい。そう思ったのです」
だんだん熱を帯びてくる王女の言葉。
マイペースというか視野狭窄というか、この周りがついてきてない空気で平然とできるのはある意味まさしく貴族だった。
「見知らぬ地へやって来て不安な方もいると思います。歪虚と戦う、いえ目にするのも初めての方もいると思います。そんな皆さまの支えに私はなりたい! もしかしたら王国には皆さま――特にリアルブルーの方々に疑いの目を向ける人がいるかもしれない、けれどっ」
王女が息つく間すら惜しむように、言った。
「私は、あなたを歓迎します」
大国だからこその保守気質。それはそれで何かと面倒があるのだろう、と軽口を叩いた男はぼんやり考えた。
「改めて」
グラズヘイム王国へようこそ。
王女のか細く透き通った声が、ハンターたちの耳朶を打った。
●港街での活気
ここ王国南部に位置する港街「ガンナ・エントラータ」では、近年まれに見る大漁にいつも以上の活気が生み出されていた。潮風香るこの街では、祭が行われているかのような雰囲気さえ作られていた。
商売に賢いものは、新たな商品を作り出したり、あの手この手で魚の価値を上げていた。
騒ぐのが好きなものは、とにかく酒を飲み、陽気な音楽に心躍らす。
乗り切れぬものは、そんな様子を斜に構えて見守っていた。
ガンナ・エントラータの湾口近くに、一つの酒場があった。周囲がいち早く、お祭り騒ぎに興じる中、この酒場はやや乗り遅れていた。
「今から、巻き返すには……」
乗り遅れたからといって、マスターに商売っ気がないわけではない。むしろ、乗り遅れてしまったことに焦りと、後悔の念さえ感じているのだった。
「酒はどこも横ばいだろうし、今から雇える楽師はたかがしれているだろうしなぁ」
朝早く、魚市場を歩くマスターは腕を組みながら、呻っていた。
色とりどりの魚たちを見てあるけど、妙案が思い浮かぶわけでもなく、いつも通りの仕入れに落ち着いてしまう。
男達の声が響く市場では、考えも思うようにまとまらない。
「よぅ、マスター。浮かない顔だな、こんなときにさ」
親しい漁師が、見るに見かねて声をかけてくる。
「すっかり、この雰囲気に乗り遅れてしまってなぁ。どうしたものかね」
マスターは、嘆息し空を仰ぐような仕草を見せた。
漁師は、笑い声を上げながら、マスターの背中を叩く。
「マスター、そうがっかりしなさんな。今からでも、特別メニュー作ったらどうだい?」
お前さんの料理はここいらじゃ一番だからな、と世事にもとれる褒め言葉でマスターを元気づける。
「特別メニュー、か」
「お、何か思いついたのか」
「今日は、大浅魚はないのかい?」
大浅魚とは浅瀬でとれる大魚の一種で、高級魚とまではいかなくとも、庶民のごちそうにはもってこいの魚である。そういえば、これだけ大漁と騒ぎになっているにも関わらず、大浅魚を見た覚えがない。
だが、漁師はその名前を聞いた途端に、表情を曇らせた。
「あ……あぁ、その大浅魚なんだが」
●踊れるタコも久しからず
大浅魚が捕れるという小さな島。
鬱蒼とした森を中央に蓄えた島は、大浅魚のよい漁場になっている。
地図にも載らない島ではあるが、漁師の間ではよく知られていた。持ち回りで、大浅魚を捕りにくるためだ。だが、ここ数日、この島に近寄る漁船は一隻もなかった。
原因は、砂浜にどーんと鎮座する物体にあった。
厳密には物ではない。ある意味、魚影といってもよいのかもしれない。
大ダコが一匹、そこに居座っていたのだ。別の岸から上がることはできるのだが、大ダコのいるあたりこそ、大浅魚が最もよく捕れる場所なのだ。そして、別の岸も大ダコが近づいて来ては危ないことこの上ない。
「というわけなのさ」
「危険というわけかい。だが、ずっとそのままにしておくわけにもいかないだろ?」
「なんだけどなぁ。ここ最近は、お祭り騒ぎで俺らも積極的に厄介事に関わろうとはしないのさ」
そういう漁師の横顔を眺めながら、マスターはとある人々のことを思い出して呟くのだった。
「……ハンター、か」
解説
グラズヘイム王国南部の港街ガンナ・エントラータ。その沿岸部に位置する小島の魔獣を退治するのが、今回の依頼の目的となります。
●魔獣
大ダコです。生臭いです。
一匹ですが、触手が別の生き物であるかのように攻撃してきます。知能はそんなに高くないのか、逃亡することはありません。生臭いです。
たまに墨を吐きます。痛いし、生臭いです。
向かってくるものは、倒すという感じです。生臭いです。
●場所
ガンナ・エントラータ沿岸の小島にある砂浜になります。漁師の船で降ろしてもらってから、戦闘になります。
合図があるまで、漁師の船は戻ってきません。
逃げる際は何らかの目立つ合図をしてください。
●おいしい魚料理
歓迎の意味を込めて、マスターが大浅魚で料理を作ってくれるようです。ちょっとした宴会になるかもしれませんね。
●魔獣
大ダコです。生臭いです。
一匹ですが、触手が別の生き物であるかのように攻撃してきます。知能はそんなに高くないのか、逃亡することはありません。生臭いです。
たまに墨を吐きます。痛いし、生臭いです。
向かってくるものは、倒すという感じです。生臭いです。
●場所
ガンナ・エントラータ沿岸の小島にある砂浜になります。漁師の船で降ろしてもらってから、戦闘になります。
合図があるまで、漁師の船は戻ってきません。
逃げる際は何らかの目立つ合図をしてください。
●おいしい魚料理
歓迎の意味を込めて、マスターが大浅魚で料理を作ってくれるようです。ちょっとした宴会になるかもしれませんね。
マスターより
はじめまして、ハンター諸君。
御影堂というものです。
グラズヘイム王国は皆様を歓迎します!
そして、酒場のマスターも歓迎します!
大ダコも歓迎……せずに倒してしまいましょう!
そんなノリですが、よろしくお願いします!
御影堂というものです。
グラズヘイム王国は皆様を歓迎します!
そして、酒場のマスターも歓迎します!
大ダコも歓迎……せずに倒してしまいましょう!
そんなノリですが、よろしくお願いします!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/06/26 19:55
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談用 バルバロス(ka2119) ドワーフ|75才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/06/19 02:12:50 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/16 23:13:28 |