ゲスト
(ka0000)
【郷祭】或る少女と自動人形
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/11/16 07:30
- リプレイ完成予定
- 2017/11/25 07:30
オープニング
●
祭のために装いを変えた広場、秋晴れの空は雲1つ無く爽やかな風が吹き抜ける。
早朝、広場の一角に屋台のテントが3つ並び日が昇るまでに、馬車で荷物が運び込まれた。
白いテントが2つ、マグノリアクッキーのロゴが描かれている。もう1つは小麦が描かれた青いテントだ。
マグノリアクッキーのテントの1つには郷祭に合わせた紅葉と銀杏のクッキーセット、季節のクッキーとアイスボックスクッキーのセット、ドライフルーツの詰め合わせ、それからいつも店に並んでいる物から数種類が並べられている。
もう1つのテントには鉄板が置かれ、店員と手伝いを頼まれたハンターがクレープの生地やクリームとフルーツを運んでいる。
「ジャムはこっちに置きますね、……スイートポテトはもう並べて良いですか?」
「メニューボード出しました。他にすることありますか?」
「パン屋さんの方、準備良いそうですよー」
「クッキー、こっちにも少し出しておきますね」
声を一つ一つ捌き、最後に全員のエプロンをチェックして。
「さあ、今日も一日、頑張りましょう……美味しいクッキーと幸せをお客様に届けるために!」
いつもの掛け声を。
今日はクッキーだけではなくて、クレープと、お隣のパン屋さんとも頑張らなくっちゃ。
郷祭の屋台で、いつものクッキー以外も扱うことになり、メニューのアイディアを募った先日。
クッキーの品数を増やしたり、その場でクリームやドライフルーツをトッピングして渡す案と、クレープにクッキーを使う案が採用となった。
パンを出してはどうかという案は、近所のパン屋に声を掛け、テントを並べることになった。
小さく焼いたパンと、クッキーの傍には飾り付け用にドライフルーツやチョコスプレーが置いてあり、その隣でクレープ用の鉄板が生地を焼き続けている。
四角い鉄板の隅では、最後に決まったスイートポテトが温められて湯気を上げていた。
手伝いに参加したメグもエプロンを整えて深呼吸を。そして、
「いらっしゃいませ!」
緊張した声で客を迎える。
客が列を成した頃、こちらをじっと見詰める紫の目と目が合った。
銀色の髪をした小柄な少女。ワンピースの裾と袖をはためかせている。
少女が腕を上げると、その肘から先の袖はぺたりと垂れた。
彼女には両腕が無いらしい。
●
「ギア―、ぎ――、あ――……」
筒を2本抱えた青年が祭の広場を彷徨っている。
髪をぼさぼさにして無精髭、草臥れたコートと古いブーツ。
どことなく浮いた様相の、しかしまだ若い青年だった。
ギア、と誰かを呼びながらふらふらと歩き回っている。
青年は通りすがりのハンターに声を掛けた。
「あの、女の子、見ませんでしたか?」
アクレイギアという名前で、髪は綺麗な銀色です。目は紫で、背はこれくらい。
青年は胸の辺りで手を揺らす。探しているのは小さな少女らしい。
白いワンピースを着ていて、可愛い子なんですが、無口で、ええと。
祭に興味を持ったらしくて寄って見たのですが、はぐれてしまい。
はぐれたのは、ついさっきだと思うのですが、何かの店の前で、甘い匂いがしていて。
ああ、どこだったかな。
要領を得ない話しは続く。
そして。
「特徴というか、……ギアは、今、両腕が無いんです」
筒を包んでいた布を解くと、それはここでは無い世界の技術を用いた砲身だった。
●
「……それは、食べ物ですね」
硝子玉の様な瞳に見詰められて竦んでいたメグは、少女が発した声に表情を取り戻し頷いた。
「はい! 美味しいんですよ!」
試食してみますか、と差し出したフォークの先をじっと見詰める。
「……ここは、お祭りだと聞いてきました」
差し出されたクッキーを見据えて、少女は話し始めた。
「……お祭りという物は知りませんでした。沢山人が居る。食べ物がある。ギア、覚えました」
「ギアさんっていうんですね」
メグの言葉には答えず、少女、ギアは続ける。
「……ギアは、覚えたことを、ご主人さまに報告します」
ギアは振り返った。どこかぎこちない動きで首を傾け、踵を返す。
「……ご主人さまがいません」
2人の周囲には誰もいなかった。
「……ご主人さまは、道が分からなくなることを迷子だと教えてくれました。ギア、迷子を覚えました」
淡々と紡がれる言葉が寂しそうに思えた。
「はぐれたの? 大変……探そう。大丈夫、きっと見付かると思うよ」
メグは励ます様にギアの肩を撫でて店員と他のハンターに声を掛けた。
はぐれたらしい迷子の子、一緒に来ている人が居るみたいだから探してくる、と。
●
青年は、砲身に驚くハンター達に状況を説明する。
アクレイギア、ギアと呼んでいる少女はエバーグリーン出身、戦闘用に調整されたオートマトンで、こちらに移ってから人の腕を得る為の処置を続けている。
砲身のアタッチメントが外れたので、オフィスへ向かい、次の処置へ、ナノマシンによる自己修復を促すために、義手を付ける予定だった。
その途中、立ち寄った広場の賑わいの中、ギアが甘い匂いがすると言ってそちらへ。
青年が他の来客にぶつかって蹌踉けていた隙に見失った。
「そう遠くへは行ってないと思いたいけど、心配だなぁ。まだ、こちらに慣れていないんだ」
青年が項垂れて歩き出す。
辺りを探してみるという。ハンター達にも見かけたら教えて欲しいと言い、頼むよと言い残し、人混みの中へ。
●
「……ご主人さま、どちらにいますか」
淡々とした声でギアは誰かを探している。
その傍でそれらしい人物を探しながら、メグは蟀谷を押さえた。
こんな時、大抵背後で跳ねている緑の精霊も今日は珍しく大人しい。
ギアに尋ねた、ご主人さまの容姿は漠然としていた。
人間で、ギアよりも背が高く、幅もある。生別や髪型はよく分からない。
1番似てる人は、と、マグノリアクッキーの店員を示すと、ショートヘアの長身の女性と、細身で眼鏡を掛けた、無口な女性の間で指を迷わせていた。
女性か、小柄な男性だろうか。
ギアと見て回った、クッキーと、クレープと、パンの列の中には見当たらない。
この辺りにはいないのかも知れない。
「1人は心細いよね。……見付かるまで一緒に頑張ろうね」
「……ギア、心細いを、覚えました。頑張ります」
祭のために装いを変えた広場、秋晴れの空は雲1つ無く爽やかな風が吹き抜ける。
早朝、広場の一角に屋台のテントが3つ並び日が昇るまでに、馬車で荷物が運び込まれた。
白いテントが2つ、マグノリアクッキーのロゴが描かれている。もう1つは小麦が描かれた青いテントだ。
マグノリアクッキーのテントの1つには郷祭に合わせた紅葉と銀杏のクッキーセット、季節のクッキーとアイスボックスクッキーのセット、ドライフルーツの詰め合わせ、それからいつも店に並んでいる物から数種類が並べられている。
もう1つのテントには鉄板が置かれ、店員と手伝いを頼まれたハンターがクレープの生地やクリームとフルーツを運んでいる。
「ジャムはこっちに置きますね、……スイートポテトはもう並べて良いですか?」
「メニューボード出しました。他にすることありますか?」
「パン屋さんの方、準備良いそうですよー」
「クッキー、こっちにも少し出しておきますね」
声を一つ一つ捌き、最後に全員のエプロンをチェックして。
「さあ、今日も一日、頑張りましょう……美味しいクッキーと幸せをお客様に届けるために!」
いつもの掛け声を。
今日はクッキーだけではなくて、クレープと、お隣のパン屋さんとも頑張らなくっちゃ。
郷祭の屋台で、いつものクッキー以外も扱うことになり、メニューのアイディアを募った先日。
クッキーの品数を増やしたり、その場でクリームやドライフルーツをトッピングして渡す案と、クレープにクッキーを使う案が採用となった。
パンを出してはどうかという案は、近所のパン屋に声を掛け、テントを並べることになった。
小さく焼いたパンと、クッキーの傍には飾り付け用にドライフルーツやチョコスプレーが置いてあり、その隣でクレープ用の鉄板が生地を焼き続けている。
四角い鉄板の隅では、最後に決まったスイートポテトが温められて湯気を上げていた。
手伝いに参加したメグもエプロンを整えて深呼吸を。そして、
「いらっしゃいませ!」
緊張した声で客を迎える。
客が列を成した頃、こちらをじっと見詰める紫の目と目が合った。
銀色の髪をした小柄な少女。ワンピースの裾と袖をはためかせている。
少女が腕を上げると、その肘から先の袖はぺたりと垂れた。
彼女には両腕が無いらしい。
●
「ギア―、ぎ――、あ――……」
筒を2本抱えた青年が祭の広場を彷徨っている。
髪をぼさぼさにして無精髭、草臥れたコートと古いブーツ。
どことなく浮いた様相の、しかしまだ若い青年だった。
ギア、と誰かを呼びながらふらふらと歩き回っている。
青年は通りすがりのハンターに声を掛けた。
「あの、女の子、見ませんでしたか?」
アクレイギアという名前で、髪は綺麗な銀色です。目は紫で、背はこれくらい。
青年は胸の辺りで手を揺らす。探しているのは小さな少女らしい。
白いワンピースを着ていて、可愛い子なんですが、無口で、ええと。
祭に興味を持ったらしくて寄って見たのですが、はぐれてしまい。
はぐれたのは、ついさっきだと思うのですが、何かの店の前で、甘い匂いがしていて。
ああ、どこだったかな。
要領を得ない話しは続く。
そして。
「特徴というか、……ギアは、今、両腕が無いんです」
筒を包んでいた布を解くと、それはここでは無い世界の技術を用いた砲身だった。
●
「……それは、食べ物ですね」
硝子玉の様な瞳に見詰められて竦んでいたメグは、少女が発した声に表情を取り戻し頷いた。
「はい! 美味しいんですよ!」
試食してみますか、と差し出したフォークの先をじっと見詰める。
「……ここは、お祭りだと聞いてきました」
差し出されたクッキーを見据えて、少女は話し始めた。
「……お祭りという物は知りませんでした。沢山人が居る。食べ物がある。ギア、覚えました」
「ギアさんっていうんですね」
メグの言葉には答えず、少女、ギアは続ける。
「……ギアは、覚えたことを、ご主人さまに報告します」
ギアは振り返った。どこかぎこちない動きで首を傾け、踵を返す。
「……ご主人さまがいません」
2人の周囲には誰もいなかった。
「……ご主人さまは、道が分からなくなることを迷子だと教えてくれました。ギア、迷子を覚えました」
淡々と紡がれる言葉が寂しそうに思えた。
「はぐれたの? 大変……探そう。大丈夫、きっと見付かると思うよ」
メグは励ます様にギアの肩を撫でて店員と他のハンターに声を掛けた。
はぐれたらしい迷子の子、一緒に来ている人が居るみたいだから探してくる、と。
●
青年は、砲身に驚くハンター達に状況を説明する。
アクレイギア、ギアと呼んでいる少女はエバーグリーン出身、戦闘用に調整されたオートマトンで、こちらに移ってから人の腕を得る為の処置を続けている。
砲身のアタッチメントが外れたので、オフィスへ向かい、次の処置へ、ナノマシンによる自己修復を促すために、義手を付ける予定だった。
その途中、立ち寄った広場の賑わいの中、ギアが甘い匂いがすると言ってそちらへ。
青年が他の来客にぶつかって蹌踉けていた隙に見失った。
「そう遠くへは行ってないと思いたいけど、心配だなぁ。まだ、こちらに慣れていないんだ」
青年が項垂れて歩き出す。
辺りを探してみるという。ハンター達にも見かけたら教えて欲しいと言い、頼むよと言い残し、人混みの中へ。
●
「……ご主人さま、どちらにいますか」
淡々とした声でギアは誰かを探している。
その傍でそれらしい人物を探しながら、メグは蟀谷を押さえた。
こんな時、大抵背後で跳ねている緑の精霊も今日は珍しく大人しい。
ギアに尋ねた、ご主人さまの容姿は漠然としていた。
人間で、ギアよりも背が高く、幅もある。生別や髪型はよく分からない。
1番似てる人は、と、マグノリアクッキーの店員を示すと、ショートヘアの長身の女性と、細身で眼鏡を掛けた、無口な女性の間で指を迷わせていた。
女性か、小柄な男性だろうか。
ギアと見て回った、クッキーと、クレープと、パンの列の中には見当たらない。
この辺りにはいないのかも知れない。
「1人は心細いよね。……見付かるまで一緒に頑張ろうね」
「……ギア、心細いを、覚えました。頑張ります」
解説
目的 青年とギアを再会させる
●side マーガレット&アクレイギア(メグ&ギア)
「ご主人さま」を探しながら広場を散策したり、来客や他の屋台の店員に尋ねることが可能です。
ギアの話す「ご主人さま」の容姿は、ギアより背の高い人間、恐らく女性か小柄な男性とのことで、
それ以上の情報をギアから得ることは出来ません。
同行、交流が可能です。
現在、ギアの腕は肘から先が無い状態ですが、飲食は可能です。
●side 青年(ご主人さま)
アクレイギア(ギア)を探している青年です。
説明に時間が掛かったため、ギアとは更に離れて仕舞ったようです。
木訥として、口下手ですが、一応研究者の端くれで、ギアの保護者です。
髪型はよく分からないと言われた通り、手入れを怠った不揃いな黒髪、
前髪の影になって顔立ちは判然としませんが、無精髭の生えた男性です。
同行は可能ですが、ほとんど喋りません。
●side マグノリアクッキー
マーガレット(メグ)と共に『郷祭の屋台の店番を手伝って下さい』との依頼を引き受けて参加して頂きます。
クッキーを売る、クレープを焼く、クッキーやパンにトッピングをする、列の整理をする、会計をする、
他様々な仕事が有りますが、好きな場所の担当をお願いします。
ロゴの入った白いエプロンが貸し出されますので、着用をお願いします。
●マグノリギフトクッキー
お土産用に1人1つまで購入が可能(700G)
月替わりのマグノリアクッキー1枚と、いつものアイスボックスクッキーの詰め合わせ。
詳しくは支店長の設定1をご覧下さい。
必要な場合はプレイングに【購入】と記入をお願いします。
●side マーガレット&アクレイギア(メグ&ギア)
「ご主人さま」を探しながら広場を散策したり、来客や他の屋台の店員に尋ねることが可能です。
ギアの話す「ご主人さま」の容姿は、ギアより背の高い人間、恐らく女性か小柄な男性とのことで、
それ以上の情報をギアから得ることは出来ません。
同行、交流が可能です。
現在、ギアの腕は肘から先が無い状態ですが、飲食は可能です。
●side 青年(ご主人さま)
アクレイギア(ギア)を探している青年です。
説明に時間が掛かったため、ギアとは更に離れて仕舞ったようです。
木訥として、口下手ですが、一応研究者の端くれで、ギアの保護者です。
髪型はよく分からないと言われた通り、手入れを怠った不揃いな黒髪、
前髪の影になって顔立ちは判然としませんが、無精髭の生えた男性です。
同行は可能ですが、ほとんど喋りません。
●side マグノリアクッキー
マーガレット(メグ)と共に『郷祭の屋台の店番を手伝って下さい』との依頼を引き受けて参加して頂きます。
クッキーを売る、クレープを焼く、クッキーやパンにトッピングをする、列の整理をする、会計をする、
他様々な仕事が有りますが、好きな場所の担当をお願いします。
ロゴの入った白いエプロンが貸し出されますので、着用をお願いします。
●マグノリギフトクッキー
お土産用に1人1つまで購入が可能(700G)
月替わりのマグノリアクッキー1枚と、いつものアイスボックスクッキーの詰め合わせ。
詳しくは支店長の設定1をご覧下さい。
必要な場合はプレイングに【購入】と記入をお願いします。
マスターより
よろしくお願いします。
迷子の世話と、店番です。
迷子の世話と、店番です。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/11/19 15:36
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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再会のための相談卓 浅生 陸(ka7041) 人間(リアルブルー)|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/11/15 14:11:03 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/11/14 17:46:12 |