ゲスト
(ka0000)
あの朝焼けをもう一度
マスター:瀬川綱彦

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~2人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/26 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/12/05 07:30
オープニング
●あの墓標をもう一度
「空が赤いな」
相棒がそういうものだから、傍らの騎士――マイルズは苦笑してしまった。いや、苦笑してやることが彼への弔いだと思ったのだ。
そんなことをいった相棒である騎士の目には、割れた額から流れ出した血液が流れ込んでいた。立ち上がる力もなく、海岸側のしめった土の上に横たわる姿は誰が見ても先が長くないことを悟らせる。
歪虚による一撃が原因であった。
ふたりの男は王国南西部に位置する砦に勤務する若手の騎士である。歪虚の出現の一報を受けて共に駆り出され、前線で剣を振るっていたのだ。
しかし功を焦りすぎたのか。相棒は突出し、差し違える形で歪虚の凶刃に倒れた。
そして瀕死となった彼をマイルズが引き摺り、この海岸まで落ち延びたのである。
夜を徹しての戦であったからか、水平線が青白む時間になっていた。
マイルズは明るさではっきり見えるようになった自分の腕の様子を確かめる。彼もまた左腕から出血しており、力なくぶら下がっていた。死に至る傷ではないが骨が折れている、体力から考えても、これ以上は人を運ぶことはできない。
王立学校騎士科の頃からの学友であったふたりはいつだって同じものを見て成長していたが、もう同じものを見ることはかなわないのだろう。マイルズには相棒の見る紅い空は見えていなかったからだ。
「なあ、空は、赤いよな」
だから、笑いながら世間話のように語りかけてくる相棒の言葉に応えることができなかった。
それでも見上げればそこに何かある気がして、マイルズは空を仰ぐ。
「ああ、赤いよ」
頭上には、夜明けを告げる朝焼けが広がっていた。
最後の最後まで、同じものを見ることができたらしい。
朝焼けが目にしみて頬を涙が伝い、相棒の声はもう聞こえない。
●現代
――それも、既に四十年は前の話である。
ハンターズソサエティのオフィスにて、老紳士マイルズがその場に集まったハンターたちに目を向けていた。
「当時、私は彼の遺体を連れ帰ることができなかった。海岸側の森に埋め、剣を墓標とすることが精一杯だった。……近年、その周辺で騎士型の雑魔が見かけられているそうなのだ」
老紳士は沈痛な面持ちで自らの左腕をさすりながら、皺が深く刻まれたまぶたの合間から双眸を覗かせ、ハンターたちを見た。
「あの日の彼かもしれない。君たちには、彼が苦しまぬよう、この世から解き放ってもらいたい」
そして、彼の墓前に花を手向けたいとのことだそうである。
「ありがとうございます、それではあとはこちらが引き継ぎます」
眼鏡をかけた受付嬢が老紳士の言葉にこう続けた。
「あなた方への依頼は、彼の護衛、および騎士型雑魔の撃退です。周辺状況につきましては資料に添付しましたので、そちらをご確認ください」
受付嬢はハンターたちに資料を手渡すと、慇懃に頭を下げた。
「それでは、よろしくお願いいたします」
「空が赤いな」
相棒がそういうものだから、傍らの騎士――マイルズは苦笑してしまった。いや、苦笑してやることが彼への弔いだと思ったのだ。
そんなことをいった相棒である騎士の目には、割れた額から流れ出した血液が流れ込んでいた。立ち上がる力もなく、海岸側のしめった土の上に横たわる姿は誰が見ても先が長くないことを悟らせる。
歪虚による一撃が原因であった。
ふたりの男は王国南西部に位置する砦に勤務する若手の騎士である。歪虚の出現の一報を受けて共に駆り出され、前線で剣を振るっていたのだ。
しかし功を焦りすぎたのか。相棒は突出し、差し違える形で歪虚の凶刃に倒れた。
そして瀕死となった彼をマイルズが引き摺り、この海岸まで落ち延びたのである。
夜を徹しての戦であったからか、水平線が青白む時間になっていた。
マイルズは明るさではっきり見えるようになった自分の腕の様子を確かめる。彼もまた左腕から出血しており、力なくぶら下がっていた。死に至る傷ではないが骨が折れている、体力から考えても、これ以上は人を運ぶことはできない。
王立学校騎士科の頃からの学友であったふたりはいつだって同じものを見て成長していたが、もう同じものを見ることはかなわないのだろう。マイルズには相棒の見る紅い空は見えていなかったからだ。
「なあ、空は、赤いよな」
だから、笑いながら世間話のように語りかけてくる相棒の言葉に応えることができなかった。
それでも見上げればそこに何かある気がして、マイルズは空を仰ぐ。
「ああ、赤いよ」
頭上には、夜明けを告げる朝焼けが広がっていた。
最後の最後まで、同じものを見ることができたらしい。
朝焼けが目にしみて頬を涙が伝い、相棒の声はもう聞こえない。
●現代
――それも、既に四十年は前の話である。
ハンターズソサエティのオフィスにて、老紳士マイルズがその場に集まったハンターたちに目を向けていた。
「当時、私は彼の遺体を連れ帰ることができなかった。海岸側の森に埋め、剣を墓標とすることが精一杯だった。……近年、その周辺で騎士型の雑魔が見かけられているそうなのだ」
老紳士は沈痛な面持ちで自らの左腕をさすりながら、皺が深く刻まれたまぶたの合間から双眸を覗かせ、ハンターたちを見た。
「あの日の彼かもしれない。君たちには、彼が苦しまぬよう、この世から解き放ってもらいたい」
そして、彼の墓前に花を手向けたいとのことだそうである。
「ありがとうございます、それではあとはこちらが引き継ぎます」
眼鏡をかけた受付嬢が老紳士の言葉にこう続けた。
「あなた方への依頼は、彼の護衛、および騎士型雑魔の撃退です。周辺状況につきましては資料に添付しましたので、そちらをご確認ください」
受付嬢はハンターたちに資料を手渡すと、慇懃に頭を下げた。
「それでは、よろしくお願いいたします」
解説
勝利条件:老人を生存させ、墓標のもとへ連れて行く
敗北条件:老人の死亡、ハンター全員の戦闘不能
■予想される戦闘
・騎士型雑魔
鎧を装備し、長剣と盾を扱う人型の雑魔です。武装をしたゾンビと考えていただければ問題ありません。その額には大きな傷があります。
・ゾンビ(二体)
剣を持ったゾンビが二体存在します。おそらく、彼らもかつての戦いで死亡した騎士の亡骸が雑魔化したものと思われます。
これらの個体の装備は経年劣化をしていることが予想されますが、剣ならば最低でも鈍器としての機能は果たすはずです。けして油断なさいませんようご注意ください。
■戦闘箇所
・海岸側の開けた場所での戦闘が予想されます。
■老紳士
墓前に備える花と武器を持っており、基本的にハンターたちの指示に従います。
元・騎士であるため戦闘行動に支障が出る行動はとりませんが、高齢であることと左腕の古傷の問題もあり、さすがに雑魔と戦闘することは難しいでしょう。武装しているため一、二撃程度なら受け流すことも可能でしょうが、それ以上となると命の保証は出来かねます。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
敗北条件:老人の死亡、ハンター全員の戦闘不能
■予想される戦闘
・騎士型雑魔
鎧を装備し、長剣と盾を扱う人型の雑魔です。武装をしたゾンビと考えていただければ問題ありません。その額には大きな傷があります。
・ゾンビ(二体)
剣を持ったゾンビが二体存在します。おそらく、彼らもかつての戦いで死亡した騎士の亡骸が雑魔化したものと思われます。
これらの個体の装備は経年劣化をしていることが予想されますが、剣ならば最低でも鈍器としての機能は果たすはずです。けして油断なさいませんようご注意ください。
■戦闘箇所
・海岸側の開けた場所での戦闘が予想されます。
■老紳士
墓前に備える花と武器を持っており、基本的にハンターたちの指示に従います。
元・騎士であるため戦闘行動に支障が出る行動はとりませんが、高齢であることと左腕の古傷の問題もあり、さすがに雑魔と戦闘することは難しいでしょう。武装しているため一、二撃程度なら受け流すことも可能でしょうが、それ以上となると命の保証は出来かねます。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
マスターより
もう取り返せない大切な何か、ある人には結構あると思います。
そんなしんみりした心情にひたったり過去に思いをはせてみたりもしつつ戦いましょう、というシナリオです。
よろしくおねがいします。
そんなしんみりした心情にひたったり過去に思いをはせてみたりもしつつ戦いましょう、というシナリオです。
よろしくおねがいします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/29 21:37
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/22 15:35:51 |
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相談卓 柏木 千春(ka3061) 人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/11/26 02:09:07 |