• 調査

南海の島を探せ

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 3~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2017/11/27 19:00
リプレイ完成予定
2017/12/06 19:00

オープニング

●商人魂、燃える


 ポルトワール。

 海運会社グリーク商会次期会長ニケ・グリークはクリムゾン全体の地図と、南海の海図を見比べていた。
 前者は歪虚占領地域の解放に伴う新情報が含まれた最新版。後者はグリーク商会自らが独自に調査し作成したもの。
 海賊の手記に従ってたどり着いた難所【鮫の顎】はすでに元あった姿を失い、行路の障壁たり得なくなっていた――マゴイという名の精霊によって。
 その精霊、こちらが当初の目標としていた宝島を占拠し、そこにあった海賊の宝物を取得している。
 複数の情報筋によれば、精霊はもともとエバーグリーンの人間だったとのこと。つまりは英霊だ。
 コボルドの群れを指導し、島の開発を行っている。水を引いたり建物を建てたり、植物や動物の移植をしたり……最終的な目的は、エバーグリーンから送られてきた『市民生産機関』なる機械を動かすためだとか。
 それらのことを頭の中で整理しニケは、海図に赤鉛筆で丸を書き込んだ。手記から推察した宝島の位置だ。
 確認済みの航路――ポルトワールから鮫の顎まで――を指で辿る。そこから更に赤丸までの航路を辿る。

「……後全体の3分の1の距離を進めばいいってことね」

 銀縁眼鏡の奥にある灰色の瞳がきらめく。
 島の近海に住む人魚たちとの間に友好関係は築けた。可能なら島の主であるマゴイとも友好関係を築きたい。
 資料を見る限り彼女は経済活動というものを理解している。政治的信条がどうであれ――交渉が成り立つ余地はあるはずだ。


●作戦会議


 グリーク商会の一室。

「姉さんさあ、先越されたんだからもう宝島に行く必要ないじゃない。止めたらこのプロジェクト。島についたって、宝は手に入りゃしないんだから」

 顔だけで生きている不肖の弟の意見などニケは一顧だにしない。どの道こいつは何かと理由をつけて働きたくないだけなのだ。

「そんなものはどうでもいいのよ。それよりもっと大きいものを得ようとしているのよ、私は」

「へーえ。大きいものねえ……何、寄港地の独占契約でも狙ってんの?」

「勘がいいのねナルシス。それだけ勘がいいならもう何も説明しなくてもよさそうね。今回も操舵手頼むわ。やるのよね、もちろん?」

 これ以上ごちゃごちゃぬかしてみろはっ倒すぞ。そんな感情がこもった視線を姉から向けられたナルシスは、聞こえよがしな捨て台詞を残して席を立った。

「あー、いやだいやだ、金の亡者ってさあー」

 とにもかくにもこれで操舵手が決まった。船員と、その護衛をするハンターも選抜済み。船には行き帰りに十分な食料と水を積み込んでいる。船長は自分が務める。
 しかし、これでよし――というわけにはいかない。今回の航海にはイレギュラーが1人交じっているのだ。

「えーと、で、あなたは……本当に船に乗るんですか?」

「もちろんです」

 イレギュラーの名は、マリー・スラーイン。目下ナルシスを養っているエルフの女性。職業はハンターオフィス・ジェオルジ支局職員。いわゆる事務職。

「オフィスの方はいいんですか?」

「大丈夫です、代理に任せてきましたから」

 マリーはハンターオフィスの関係者ではあるが、ハンターというわけではない。あくまでも一般人だ。
 船に乗せるべきなのかどうか、ニケも相当迷った。しかし最終的に乗せることにした。ナルシスに対するある種の押さえになるから、と。
 肉親だから知っている。ナルシスは怠け者だが見え坊だ。彼女の前であからさまな職務怠慢はやれない。


●留守の守りは


「わふ」

 コボちゃんが受付デスクに座っている。
 マリーが急な休暇を取ったため代理を務めているのだ。代理といっても簡単なお客の応対以外は出来ないから、実質的な事務作業はジュアン1人にかかっている。
 そのジュアンはぼちぼちな客入りのオフィスにて、嘆息していた。脳裏を過るのは手を合わせ頼み込んでくる同僚マリーの姿。

『お願いっ、後で埋め合わせはするから! 私、どうしてもナルシスくんが心配で……また南海に行くっていうし……』

(ああまで頼まれちゃねえ……)

 彼女が恋人を心配する気持ちは分かる。自分にも恋人がいるから。
 今回の船旅無事に終わるといいがと思いながら、2人分の書類を片付けて行く。


●風なしの海


 パタリと風が止んだ。帆はだらりと垂れ下がったきり。
 しかしそれでも船は進んでいる。細々とした海流を捕まえて。蝸牛のような速度で。
 空を覆う暗い雲は流れることもないまま、自身の重みに耐えかねるかのように海面に向け徐々に低下し、スコールとなって落ちてくる。
 空気があまりにも動かないので、海のただ中というよりは、閉ざされた空間にいるような気がしてくる。
 見える景色の変わらなさと暑さとは、頭をぼんやりさせる。

「だるいな……」

「全くなあ……もうちょっとぐらい風が吹けばいいんだが……おーいおいおい、こいつはちょっとまずいぞ」

 船が止まった。半透明のブヨブヨしたものに行く手を阻まれたのだ。
 それはクラゲの歪虚だった。傘の真ん中についた目をキョロキョロ動かし、ゆらゆら透き通った腕を持ち上げている。
 それ以上の動きは特に見せないが――まあ、はっきりと邪魔である。こんなところで立ち往生するわけにはいかない。


●人魚たち


 人魚のリンは貝の櫛で髪をすいていた。ハミングを口ずさみながら。
 彼女が腰掛けているのは、海中からぬっと突き出た巨大な柱の台座。同じ柱は一帯に、たくさん立っている。
 これは精霊様が岩礁で作ったものだ。何のためかは知らないが、地上での休み所が増えたので、人魚たちにとっては結構なことである。
 そこに、双子のランがやってきた。

「リン、この間の船がまた来てるみたいよ」

「え、本当? どこにいるの?」

「風なしの海のところだって。そっちから来たイルカが、今教えてくれたの」




解説

補足説明

これは南海に乗り出し、とある島を見つけることを目的とするシナリオです。
ところがその目的地に向かう途中で邪魔が入りました。殲滅を求めます。


島の領海を示す柱があるところまでたどり着ければ、成功と見なします。



歪虚データ

形:クラゲ。
大きさ:傘の大きさ直径2メートル。
数:30匹。
性格:群れたがる。
食性:肉食。
攻撃方法:触手の全面についた細かな毒針で刺してくる。刺された部位は激しく痛み、痺れる。触手の長さは3メートル。触手の数は10~20。有毒であるせいか、絡み付く力は強くない。触手を使って体を支え、船に上るなどということは、不可能である。
速力:向かい波さえなければ100メートルを3分で泳ぎ切れる。
弱点:傘の真ん中にある目玉。ここをやられると溶けてしまう。
備考:海中に沈むことが出来ない。常に浮いている。


船のデータ

『南海に進路を取れ』に出てきたのと同様の高速商船。
高速商船には魔導モーター(最大速度40キロ)つき4人乗りボートが、4隻装備されています。使い道は自由です。
船員は6名(ニケ、ナルシス、マリーを除く)。


PL情報

*今回マゴイは出てきません。亜空間でお休み中です。
*留守の間の戸締りとして結界を発動させているので、PC、NPCは柱を越え領海に入ることが出来ません。
*領海周辺は安全なので、人魚が群れています。彼女らは人に対し友好的です。コミュニケーションが取れます。マゴイの消息もある程度聞けます。



マスターより

KINUTAです。

南海冒険第二弾。
森の子マリー、海に出る。

関連NPC

  • ジェオルジ支局のお姉さん
    マリー・スラーイン(kz0222
    エルフ|23才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/12/03 01:40

参加者一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • ライフ・ゴーズ・オン
    ジルボ(ka1732
    人間(紅)|16才|男性|猟撃士
  • ジルボ伝道師
    マルカ・アニチキン(ka2542
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 新航路開発寄与者
    ファリス(ka2853
    人間(紅)|13才|女性|魔術師
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 知るは楽しみなり
    ソラス(ka6581
    エルフ|20才|男性|魔術師
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/11/25 17:05:01
アイコン 相談卓だよ
天竜寺 舞(ka0377
人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/11/26 21:11:07