ゲスト
(ka0000)
収穫祭をもう一度
マスター:紺堂 カヤ

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/11/24 09:00
- リプレイ完成予定
- 2017/12/06 09:00
オープニング
木枯らしが、枝を揺らしていた。
季節が巡るとはそういうことであるとはいえ、秋が去りゆこうとするころというのは、妙に物悲しい。
ことに、レンダックの領地においては、その悲しさがよりいっそう、深いものになっているように思われた。
ヒューゴ・レンダック。
この地は、メフィストによって領主を奪われた。
彼は自分の命を顧みず、領地と領民を救ったのである。
彼と、駆けつけてくれた「空の研究所」のおかげで、レンダック領の被害は、最小限に食い止められた。しかし、それを手放しで喜べるほど、この地の領民は無神経ではない。
葬儀がしめやかに執り行われ、少しずつ日常が戻ってきた。
畑を耕すとき、思い出す。慣れない手つきで、鍬を振るっていた真面目な彼のことを。
パンを焼くとき、思い出す。匂いにつられてやってきた、大らかな彼のことを。
頼りないようには見えていても、ヒューゴこそがこの地を支える大黒柱だったのだと、思い知らされる。
だからこそ。
領民たちは痛ましく思うのだ。
「アーニャさまのお悲しみは、どれほどであろうか」
と、そのように。
アーニャ・レンダックは、ヒューゴの妹だった。両親を失っている彼女にとって、ヒューゴは唯一の肉親。アーニャはヒューゴを頼りにしていたし、ヒューゴもまた、アーニャを頼りにしていた。ふたり力を合わせ、この地をなんとか盛り立てようと努力してきたのだ。
「これから、というときだったのに」
領民たちはため息をつく。そう、まさしく、これから、だった。荒れ果てた領地をいくつも畑としてよみがえらせ、ささやかながらも収穫祭が開けるまでになっていたのに。
「いつまでも沈んでばかりはいられませんわ」
ため息をつく領民たちに、アーニャは気丈に言う。誰よりも、ここの誰よりも、傷ついているはずなのに。
「わたくしでは頼りないかもしれませんけれど、わたくしとてレンダック家の人間です。決して、決して、あなたたちを路頭に迷わせるようなことはいたしません」
領民に心配をかけまいと、笑みさえ浮かべてそう言うアーニャは立派であった。こうあってもさらに領民が彼女を心配していると知れば、そのことの方が、アーニャを傷つけるだろう。
だから。
「頼りないだなんてとんでもねえ」
「そうそう。アーニャさまはしっかりしておられるから」
「ヒューゴさまをよく叱っておられたしなあ」
「そうそう! でもアーニャさま、俺たちも頼ってくださいよ。なんだって手伝いますからね」
「大丈夫。皆、あんたについていくよ」
領民は皆、口々にそう言った。少し前までは、領主に対して愛着も期待もなかった。けれど、今は違う。アーニャと、そしてヒューゴの努力を、彼らは知っている。それを無駄にしないためにも、今まで以上に自分たちも、努力しなければならない。
と、そう、思っている。
思っているし、わかっているのだが。
「寂しいよなあ……」
心の隙間に、木枯らしが吹く。
「なあ、思い出を作らねえか」
ふと、誰かが呟いた。
「思い出?」
「そう。こうやって、頑張ろう、頑張ろう、って必死に、無理に笑顔つくっても、悲しいことばかり思い出しちまうだろ? だからさ、いっちょ楽しい思い出を作ってさ。で、あの日は楽しかったよな、ああいうことがまたできるように頑張ろう、ってさ、無理にじゃない笑顔をつくるんだ」
とつとつと呟かれたその言葉が、領民の胸にしみた。なるほど、と方々から頷く声がした。すると、別の誰かがはっきりとそれに賛同する言葉を口に出す。
「それはいい。じゃ、収穫祭をやりなおすってのはどうだ?」
「! それだ!!」
収穫祭。
それは、ヒューゴがやろうとしていたことだった。まさに収穫祭の当日、彼は命を落としたのだ。
「アーニャさまも、無理をしておられる。だから、アーニャさまにも、楽しい思い出をつくっていただこう。俺たちと、同じ思い出を」
「そうだな。泣いたり、笑ったり、素直な感情を出せる、そんな収穫祭にしよう」
領民たちの、心が固まった。
ヒューゴがやろうとしていたのはレンダック家主催の収穫祭だが、今回は領民たちが計画し、アーニャを招くことにした。葬儀が終わった後も、アーニャは相続がどうの、資産がどうの、と連日忙しそうにしている。余計な面倒をかけたくはない。
「だが、どれだけ人が集まるか……」
被害が少なかったとはいえ、ゼロではない。片付けや立て直しにかかりきりの者も少なくない。だが、やるとなれば盛大にやりたい。もともとヒューゴが計画していたような、会場をいくつもつくる大規模なものはできないにしても、せめて建物ひとつ貸し切るくらいのことは。
「ハンターの皆さんに来てもらうのはどうだろう。世話になった人もいるし」
「……俺たちが出せる報酬なんて、たかがしれているからな、どれだけ来てもらえるかわからないけどな……」
領民たちは、有志に募ってなんとか乏しい懐から依頼金をひねり出し、ハンターオフィスへと向かった。
「収穫祭をやりなおしたいんだ。どうか、来てもらえないだろうか」
季節が巡るとはそういうことであるとはいえ、秋が去りゆこうとするころというのは、妙に物悲しい。
ことに、レンダックの領地においては、その悲しさがよりいっそう、深いものになっているように思われた。
ヒューゴ・レンダック。
この地は、メフィストによって領主を奪われた。
彼は自分の命を顧みず、領地と領民を救ったのである。
彼と、駆けつけてくれた「空の研究所」のおかげで、レンダック領の被害は、最小限に食い止められた。しかし、それを手放しで喜べるほど、この地の領民は無神経ではない。
葬儀がしめやかに執り行われ、少しずつ日常が戻ってきた。
畑を耕すとき、思い出す。慣れない手つきで、鍬を振るっていた真面目な彼のことを。
パンを焼くとき、思い出す。匂いにつられてやってきた、大らかな彼のことを。
頼りないようには見えていても、ヒューゴこそがこの地を支える大黒柱だったのだと、思い知らされる。
だからこそ。
領民たちは痛ましく思うのだ。
「アーニャさまのお悲しみは、どれほどであろうか」
と、そのように。
アーニャ・レンダックは、ヒューゴの妹だった。両親を失っている彼女にとって、ヒューゴは唯一の肉親。アーニャはヒューゴを頼りにしていたし、ヒューゴもまた、アーニャを頼りにしていた。ふたり力を合わせ、この地をなんとか盛り立てようと努力してきたのだ。
「これから、というときだったのに」
領民たちはため息をつく。そう、まさしく、これから、だった。荒れ果てた領地をいくつも畑としてよみがえらせ、ささやかながらも収穫祭が開けるまでになっていたのに。
「いつまでも沈んでばかりはいられませんわ」
ため息をつく領民たちに、アーニャは気丈に言う。誰よりも、ここの誰よりも、傷ついているはずなのに。
「わたくしでは頼りないかもしれませんけれど、わたくしとてレンダック家の人間です。決して、決して、あなたたちを路頭に迷わせるようなことはいたしません」
領民に心配をかけまいと、笑みさえ浮かべてそう言うアーニャは立派であった。こうあってもさらに領民が彼女を心配していると知れば、そのことの方が、アーニャを傷つけるだろう。
だから。
「頼りないだなんてとんでもねえ」
「そうそう。アーニャさまはしっかりしておられるから」
「ヒューゴさまをよく叱っておられたしなあ」
「そうそう! でもアーニャさま、俺たちも頼ってくださいよ。なんだって手伝いますからね」
「大丈夫。皆、あんたについていくよ」
領民は皆、口々にそう言った。少し前までは、領主に対して愛着も期待もなかった。けれど、今は違う。アーニャと、そしてヒューゴの努力を、彼らは知っている。それを無駄にしないためにも、今まで以上に自分たちも、努力しなければならない。
と、そう、思っている。
思っているし、わかっているのだが。
「寂しいよなあ……」
心の隙間に、木枯らしが吹く。
「なあ、思い出を作らねえか」
ふと、誰かが呟いた。
「思い出?」
「そう。こうやって、頑張ろう、頑張ろう、って必死に、無理に笑顔つくっても、悲しいことばかり思い出しちまうだろ? だからさ、いっちょ楽しい思い出を作ってさ。で、あの日は楽しかったよな、ああいうことがまたできるように頑張ろう、ってさ、無理にじゃない笑顔をつくるんだ」
とつとつと呟かれたその言葉が、領民の胸にしみた。なるほど、と方々から頷く声がした。すると、別の誰かがはっきりとそれに賛同する言葉を口に出す。
「それはいい。じゃ、収穫祭をやりなおすってのはどうだ?」
「! それだ!!」
収穫祭。
それは、ヒューゴがやろうとしていたことだった。まさに収穫祭の当日、彼は命を落としたのだ。
「アーニャさまも、無理をしておられる。だから、アーニャさまにも、楽しい思い出をつくっていただこう。俺たちと、同じ思い出を」
「そうだな。泣いたり、笑ったり、素直な感情を出せる、そんな収穫祭にしよう」
領民たちの、心が固まった。
ヒューゴがやろうとしていたのはレンダック家主催の収穫祭だが、今回は領民たちが計画し、アーニャを招くことにした。葬儀が終わった後も、アーニャは相続がどうの、資産がどうの、と連日忙しそうにしている。余計な面倒をかけたくはない。
「だが、どれだけ人が集まるか……」
被害が少なかったとはいえ、ゼロではない。片付けや立て直しにかかりきりの者も少なくない。だが、やるとなれば盛大にやりたい。もともとヒューゴが計画していたような、会場をいくつもつくる大規模なものはできないにしても、せめて建物ひとつ貸し切るくらいのことは。
「ハンターの皆さんに来てもらうのはどうだろう。世話になった人もいるし」
「……俺たちが出せる報酬なんて、たかがしれているからな、どれだけ来てもらえるかわからないけどな……」
領民たちは、有志に募ってなんとか乏しい懐から依頼金をひねり出し、ハンターオフィスへと向かった。
「収穫祭をやりなおしたいんだ。どうか、来てもらえないだろうか」
解説
■成功条件
収穫祭を楽しむ。
■祭会場
領地内の公民館。二階建て。パーティは午後三時から午後七時までを予定。
一階:事務所、厨房、倉庫
二階:多目的ホール(五十名ほどでの立食パーティが可能)
会場設備(テーブルなど)は用意されている。
料理は当日の朝から領民たちによって調理が開始される。
■ハンターたちに求める行動
基本的に自由に行動していただいて構いません(ただし、公民館の外に出るのは禁止します)
ヒューゴと面識があってもなくても問題ありません。
パーティの準備から参加するもよし、準備ができた頃にやってきてただ楽しんで帰るのもよし。
余興の準備はありませんので、何かやりたい方は道具などもすべて自前でご用意ください。(火や煙を使うものはご遠慮ください。スプリンクラーが作動します)
■PL情報
空の研究所所長 アメリア・マティーナも招いているようであるが、パーティに出席できるかどうかは不明。
■その他
白紙は描写ができません。
「楽しむ!」や「おまかせ!」だけでも書いてくださればアドリブ全開で描写いたします。
同行者は希望者全員が明記をお願いします。
外見年齢が20歳未満の方は基本的に飲酒表現をいたしませんので、もし「実年齢では成人しているのでお酒飲みます!」ということであれば明記をお願いします。
収穫祭を楽しむ。
■祭会場
領地内の公民館。二階建て。パーティは午後三時から午後七時までを予定。
一階:事務所、厨房、倉庫
二階:多目的ホール(五十名ほどでの立食パーティが可能)
会場設備(テーブルなど)は用意されている。
料理は当日の朝から領民たちによって調理が開始される。
■ハンターたちに求める行動
基本的に自由に行動していただいて構いません(ただし、公民館の外に出るのは禁止します)
ヒューゴと面識があってもなくても問題ありません。
パーティの準備から参加するもよし、準備ができた頃にやってきてただ楽しんで帰るのもよし。
余興の準備はありませんので、何かやりたい方は道具などもすべて自前でご用意ください。(火や煙を使うものはご遠慮ください。スプリンクラーが作動します)
■PL情報
空の研究所所長 アメリア・マティーナも招いているようであるが、パーティに出席できるかどうかは不明。
■その他
白紙は描写ができません。
「楽しむ!」や「おまかせ!」だけでも書いてくださればアドリブ全開で描写いたします。
同行者は希望者全員が明記をお願いします。
外見年齢が20歳未満の方は基本的に飲酒表現をいたしませんので、もし「実年齢では成人しているのでお酒飲みます!」ということであれば明記をお願いします。
マスターより
去った者のためのシナリオですが、ただただ、思い切り楽しんでください。
領民たちのなけなしの蓄えから報酬が出ておりますので、とても少なめとなっておりますが、どうぞ温かい心でもってご了承いただければと思います。
領民たちのなけなしの蓄えから報酬が出ておりますので、とても少なめとなっておりますが、どうぞ温かい心でもってご了承いただければと思います。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/12/04 02:14
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/11/23 23:32:49 |
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待合室 カイ(ka3770) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/11/24 04:32:40 |