ゲスト
(ka0000)
或る少女と自動人形と街道の雑魔
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/11/26 09:00
- リプレイ完成予定
- 2017/12/05 09:00
オープニング
●
またですか、と受付嬢は眉間に皺を刻んだ。
以前発生していたジェオルジ、ヴァリオス間の街道の、大型の雑魔がまた目撃されたという。
雑魔は多く討伐され、発生源と思われた汚染された草地も再生を見届けた。
何故それが、今になって。
しかし、目撃情報を重ねれば、それは以前と同じ馬の雑魔だけでは無いようだ。
街道で黒く大きな馬を見た。襲われそうになった。隠れている内にどこかへ行った。
それは森を出てきて、街道を少し走るとまた森に消えた。
馬の雑魔が消えた森の奥に、灰の舞ったような靄を見た。
黒い大きな影が這っていた。
見上げるほどの黒い蛞蝓だった。
何かに木がなぎ倒されるのを見た。
黒い馬が、靄の方に走っていた。
「馬だけでは無い……若しくは……」
受付嬢はテーブルに街道の地図を広げ、目撃情報を書き込みながら更に顔を険しくさせる。
「場所が、非常に良くないです。ハンターさんなら大丈夫だと思いますが……私は早起きも徹夜も苦手です」
目撃情報の重なる場所は街道の中程から森へ少し分け入る辺り。
ジェオルジからもヴァリオスからも遠く、朝に発って到着は日暮れ時。
夜の戦闘は避けた方が無難だろう。
「夜に発って貰うという手もありますが、野営をするならこの辺りでしょうか? 日中を準備に宛てて頂けます。目撃地点から近いことが難点ですが……最速での遭遇は、日の出、頃……? 計算は苦手なんですよ」
●
こんにちは、とオフィスの戸を細く開け、メグが顔を覗かせた。
先日の依頼でクッキーの屋台を手伝いに行ったはずが、途中で迷子の少女と出会い、彼女の連れの捜索に向かったため、半分近く持ち場を離れて仕舞っていたと項垂れて。
その背で跳ねた精霊に押され、メグがオフィスの中へ進むと受付嬢がにこやかに出迎える。
「こんにちは! ギアさんの件ですね! 保護者の方と、クッキーの依頼主さんからも連絡を貰っているので大丈夫です! 他にも手伝って下さった方がいらっしゃって、ギアさんにお友達ができたって喜ばれてました! クッキーの屋台も盛況だったようですよ。皆さんが頑張って下さったお陰です! ハンターさんはすごいですね!」
捲し立てるように身を乗り出してくる受付嬢に怯みながらも、メグはほっと安堵の息を吐く。
「ところでメグさん。ちょっと前にお願いしたピクニックの件覚えてますか?」
汚染された土地の再生を見に行って貰いましたよね?
その汚染の原因が関わっていた海辺の村のこと、気にしてましたよね?
●
昼に準備を終えて、夕方には夜営に適した場所へ向かって発つ。
街道を進んでテントを張れる程度に開けたところで一行は留まり、火を焚いた。
食事を終えて、月の昇る頃から、睡眠と見張りを交代で。
受付嬢の自信の無い計算を信じるならば、馬の雑魔の群がこの辺りを走り回っており、遅くとも朝には遭遇の可能性がある。
これまでヴァリオスを目指していた馬の雑魔が、若干ながら、動きを変えているらしい。
また、馬の雑魔以外にも何等かの存在が確認されている。
恐らくそれが、雑魔を生み出した汚染源の原因だろう。
「この間ぶりだね。腕の調子はどう?」
メグは見張りの焚き火の側に座り、毛布を羽織って暖を取りながらもう1人の見張りに声を掛けた。
「問題ありません。ギアはこの義手の扱いを熟知しています。……おきづかい、いただき、きょうしゅくに、ぞんじあげる、しょぞん」
銀色の髪をさらりと揺らして首を傾げたギアは包帯を巻いた腕を擡げる。
袖を捲って見せたその腕は、肩から指先まで白い包帯に厳重に覆われているが、ミトンのように巻かれたその下に確かに手の存在を感じる。
「ギアちゃんっ、……多分、えっとね、心配してくれて、ありがとって言うんだと思うよ?」
ギアの言葉に虚を突かれた様に暫し呆然としたメグが眉を下げた。
「……心配。……ギア、心配されることを覚えました。大丈夫です、ギアの腕の調子は良好です」
見て下さい。と、ギアが指先の包帯を引く。はらりと解けるそれは銀色の指を晒す。
細い鋼で組まれた骨格、関節を発条が支え指のしなやかな動きを制御する。装飾のような歯車がからりと一つ噛み合うと、指を覆うように鋼線が渡り、付け根から少しずつ皮膚の柔らかさを持った外殻が覆っていく。
ギアは包帯を巻き直してメグを見た。
「修復は滞りなく進んでいます。ご主人さまは、ギアはもう少しで手を使えるようになると言いました。ギアは、それがとても楽しみです」
「そろそろ交代の時間だね。もう眠くなっちゃった。無事に朝になると良いね」
毛布を畳み、軽く伸びをしてメグが言う。
ギアは焚き火の傍を動かない。赤い炎が白い頬を明るく照らす。
「最終目撃地点より目標がこちらへ直進した場合、報告から算出され得る時速の概算に寄るところの遭遇時刻まで約30分。誤差の範囲は30分です」
ギアの声が淡々と告げる。受付嬢よりも計算が得意らしいことがメグにも分かった。そして。
つまり、敵にこちらの位置が割れていた場合、今から1時間以内に遭遇するということらしい。
暗闇の中、小さな焚き火。メグは今まで見張っていた森へもう一度目を向ける。
「出た――――」
メグが声を上げてテントへ走るよりも早く、ギアが敵を狙って腕から光りを放った。
「ギアには夢があります。……ギアはこの腕が治ったら――――」
またですか、と受付嬢は眉間に皺を刻んだ。
以前発生していたジェオルジ、ヴァリオス間の街道の、大型の雑魔がまた目撃されたという。
雑魔は多く討伐され、発生源と思われた汚染された草地も再生を見届けた。
何故それが、今になって。
しかし、目撃情報を重ねれば、それは以前と同じ馬の雑魔だけでは無いようだ。
街道で黒く大きな馬を見た。襲われそうになった。隠れている内にどこかへ行った。
それは森を出てきて、街道を少し走るとまた森に消えた。
馬の雑魔が消えた森の奥に、灰の舞ったような靄を見た。
黒い大きな影が這っていた。
見上げるほどの黒い蛞蝓だった。
何かに木がなぎ倒されるのを見た。
黒い馬が、靄の方に走っていた。
「馬だけでは無い……若しくは……」
受付嬢はテーブルに街道の地図を広げ、目撃情報を書き込みながら更に顔を険しくさせる。
「場所が、非常に良くないです。ハンターさんなら大丈夫だと思いますが……私は早起きも徹夜も苦手です」
目撃情報の重なる場所は街道の中程から森へ少し分け入る辺り。
ジェオルジからもヴァリオスからも遠く、朝に発って到着は日暮れ時。
夜の戦闘は避けた方が無難だろう。
「夜に発って貰うという手もありますが、野営をするならこの辺りでしょうか? 日中を準備に宛てて頂けます。目撃地点から近いことが難点ですが……最速での遭遇は、日の出、頃……? 計算は苦手なんですよ」
●
こんにちは、とオフィスの戸を細く開け、メグが顔を覗かせた。
先日の依頼でクッキーの屋台を手伝いに行ったはずが、途中で迷子の少女と出会い、彼女の連れの捜索に向かったため、半分近く持ち場を離れて仕舞っていたと項垂れて。
その背で跳ねた精霊に押され、メグがオフィスの中へ進むと受付嬢がにこやかに出迎える。
「こんにちは! ギアさんの件ですね! 保護者の方と、クッキーの依頼主さんからも連絡を貰っているので大丈夫です! 他にも手伝って下さった方がいらっしゃって、ギアさんにお友達ができたって喜ばれてました! クッキーの屋台も盛況だったようですよ。皆さんが頑張って下さったお陰です! ハンターさんはすごいですね!」
捲し立てるように身を乗り出してくる受付嬢に怯みながらも、メグはほっと安堵の息を吐く。
「ところでメグさん。ちょっと前にお願いしたピクニックの件覚えてますか?」
汚染された土地の再生を見に行って貰いましたよね?
その汚染の原因が関わっていた海辺の村のこと、気にしてましたよね?
●
昼に準備を終えて、夕方には夜営に適した場所へ向かって発つ。
街道を進んでテントを張れる程度に開けたところで一行は留まり、火を焚いた。
食事を終えて、月の昇る頃から、睡眠と見張りを交代で。
受付嬢の自信の無い計算を信じるならば、馬の雑魔の群がこの辺りを走り回っており、遅くとも朝には遭遇の可能性がある。
これまでヴァリオスを目指していた馬の雑魔が、若干ながら、動きを変えているらしい。
また、馬の雑魔以外にも何等かの存在が確認されている。
恐らくそれが、雑魔を生み出した汚染源の原因だろう。
「この間ぶりだね。腕の調子はどう?」
メグは見張りの焚き火の側に座り、毛布を羽織って暖を取りながらもう1人の見張りに声を掛けた。
「問題ありません。ギアはこの義手の扱いを熟知しています。……おきづかい、いただき、きょうしゅくに、ぞんじあげる、しょぞん」
銀色の髪をさらりと揺らして首を傾げたギアは包帯を巻いた腕を擡げる。
袖を捲って見せたその腕は、肩から指先まで白い包帯に厳重に覆われているが、ミトンのように巻かれたその下に確かに手の存在を感じる。
「ギアちゃんっ、……多分、えっとね、心配してくれて、ありがとって言うんだと思うよ?」
ギアの言葉に虚を突かれた様に暫し呆然としたメグが眉を下げた。
「……心配。……ギア、心配されることを覚えました。大丈夫です、ギアの腕の調子は良好です」
見て下さい。と、ギアが指先の包帯を引く。はらりと解けるそれは銀色の指を晒す。
細い鋼で組まれた骨格、関節を発条が支え指のしなやかな動きを制御する。装飾のような歯車がからりと一つ噛み合うと、指を覆うように鋼線が渡り、付け根から少しずつ皮膚の柔らかさを持った外殻が覆っていく。
ギアは包帯を巻き直してメグを見た。
「修復は滞りなく進んでいます。ご主人さまは、ギアはもう少しで手を使えるようになると言いました。ギアは、それがとても楽しみです」
「そろそろ交代の時間だね。もう眠くなっちゃった。無事に朝になると良いね」
毛布を畳み、軽く伸びをしてメグが言う。
ギアは焚き火の傍を動かない。赤い炎が白い頬を明るく照らす。
「最終目撃地点より目標がこちらへ直進した場合、報告から算出され得る時速の概算に寄るところの遭遇時刻まで約30分。誤差の範囲は30分です」
ギアの声が淡々と告げる。受付嬢よりも計算が得意らしいことがメグにも分かった。そして。
つまり、敵にこちらの位置が割れていた場合、今から1時間以内に遭遇するということらしい。
暗闇の中、小さな焚き火。メグは今まで見張っていた森へもう一度目を向ける。
「出た――――」
メグが声を上げてテントへ走るよりも早く、ギアが敵を狙って腕から光りを放った。
「ギアには夢があります。……ギアはこの腕が治ったら――――」
解説
目的 馬雑魔の撃破
●場所
深夜の野営地の近く
街道に沿う森、開けて固められた幅5スクエア程度の道と、両側に茂み、その奥は森、
開始時の光源は焚き火のみ。
●エネミー
馬型雑魔×20程度
鬣の逆立った黒い馬の形、黒い毛並みが夜の草や木に紛れやすい
頑丈そうな体躯で、蹄鉄は雑魔に落ちぶれた見窄らしさに不釣り合いな程磨がれている
移動力が高く、突進、踏みつける攻撃を行う
暗さによる補正を受けない
街道両側の森の中に潜んで点在しており全体数は不明だが、最小10、最大30。
●NPC
マーガレット Lv10程度「敵が出ました! 10匹くらいの目がぎらぎらして、こっちを見ています」
人間、クラス:聖導士
所持スキル
・ヒール:怪我を少し治せる。
・プロテクション:敵の攻撃から少し守る。
・キュア:不調(バッドステータス)を癒やす。
行動
ギアの攻撃直後にテントを開けて全員を起こす。
その後は指示に従うが、指示が無ければ後衛でサポートに徹し、背後の状況観察や治癒を行う。
アクレイギア Lv15程度「ギアの射線に入らないで下さい。ふれんどりーふぁいあ、という危険が伴います」
オートマトン、クラス:機導師
所持スキル
・機導砲:義手の機械部位を媒介にマテリアルのエネルギーで攻撃する。最大射程8
行動
目視した敵が機導砲の射程に収まる距離を保ちながら、敵が全て無力化するまで攻撃を続ける。
撃停止以外の指示には従う。
●場所
深夜の野営地の近く
街道に沿う森、開けて固められた幅5スクエア程度の道と、両側に茂み、その奥は森、
開始時の光源は焚き火のみ。
●エネミー
馬型雑魔×20程度
鬣の逆立った黒い馬の形、黒い毛並みが夜の草や木に紛れやすい
頑丈そうな体躯で、蹄鉄は雑魔に落ちぶれた見窄らしさに不釣り合いな程磨がれている
移動力が高く、突進、踏みつける攻撃を行う
暗さによる補正を受けない
街道両側の森の中に潜んで点在しており全体数は不明だが、最小10、最大30。
●NPC
マーガレット Lv10程度「敵が出ました! 10匹くらいの目がぎらぎらして、こっちを見ています」
人間、クラス:聖導士
所持スキル
・ヒール:怪我を少し治せる。
・プロテクション:敵の攻撃から少し守る。
・キュア:不調(バッドステータス)を癒やす。
行動
ギアの攻撃直後にテントを開けて全員を起こす。
その後は指示に従うが、指示が無ければ後衛でサポートに徹し、背後の状況観察や治癒を行う。
アクレイギア Lv15程度「ギアの射線に入らないで下さい。ふれんどりーふぁいあ、という危険が伴います」
オートマトン、クラス:機導師
所持スキル
・機導砲:義手の機械部位を媒介にマテリアルのエネルギーで攻撃する。最大射程8
行動
目視した敵が機導砲の射程に収まる距離を保ちながら、敵が全て無力化するまで攻撃を続ける。
撃停止以外の指示には従う。
マスターより
よろしくお願いします。
深夜、寝起き、頑張って下さい。
深夜、寝起き、頑張って下さい。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/12/04 00:53
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/11/24 21:36:41 |
|
![]() |
寝起きに馬肉と戦う日 ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/11/26 06:50:38 |