• 戦闘

Howl

マスター:愁水

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2017/12/02 22:00
リプレイ完成予定
2017/12/16 22:00

オープニング


 誰しも在るのだろうか。
 忘れられない過去と、癒えない傷痕が――。




 迷える人、苦しむ人の拠り所――ハンターオフィス。

 天鵞絨サーカス団の団長、白亜(kz0237)は、受付の職員から依頼を請け負っていた。
 緊急性、ともに、危険性の高い依頼であることは、職員の深刻な表情と声音で容易に見てとれる。

「犠牲者が6人か。……多いな」
「内、2人がハンターです。肝試しに向かった若者達が翌日になっても帰宅しない為、彼らの両親達が捜索を要請。肝試しの目的地となった現場へハンターを派遣しました」

 白亜は口頭の情報に耳を貸しつつ、視線は手にした書類へ向けられていた。瑠璃の瞳が、一定の速度で文面を追っていく。

「若者達は全員、遺体となって発見。遺体を回収していたハンターも雑魔の襲撃を受け、結果、二名が死亡しました」

 場所は郊外の森の中に位置する廃洋館。
 ここ暫くこの近辺での雑魔報告はなく、最近根城にしたと思われる。

「ハンターの中に一人、生存者がいたようだな」
「はい。傷は負っていましたが、命に別状はないそうです。その者の情報によりますと、雑魔は一体。しかし、殺傷能力に特化した上位種なのではないかと」
「……」
「白亜様?」
「この、記載は」
「はい?」
「館内に、師団の認識票が落ちていたと書かれているが」
「ああ、はい。生存したハンターが発見したようですが、雑魔と乱戦になり、回収には至らず――」
「名前は」
「は……?」
「認識票の姓名は目にしたのか」

 白亜の声音は何時も以上に物静かで、反面、秘めるような緊迫さを滲ませていた。

「い、いえ……遠目からだったようで、そこまでの確認は取れなかった、よう、です」

 何かを押し留める彼の雰囲気が、職員をまごつかせる。そんな職員に、白亜は躊躇なく問い質した。

「生存したハンターの状態は軽傷とあるが、具体的にはどのような状況下で攻撃を受けた?」
「それが、敵に攻撃を仕掛けられたわけではなく、味方を庇って負った傷のようでして。彼女が記憶している範囲では、敵の攻撃対象になったことは一度もなかったそうです。単なる偶然かもしれませんが……」
「“彼女”――」

 眉間に刻んだ皺を一層深くさせながら、白亜は耐え難く呟く。

「そうか、生存したハンターは唯一の女性――か……」

 職員の呼び掛けを背に、白亜はその場を後にした。

 思いあぐねる白亜がハンターオフィスを出ると、



「手頃な依頼あった?」



 壁に凭れていた黒亜(kz0238)が声をかけてきた。
 関心の狭い双眸で苺牛乳を飲みながら、白亜の返答を待っている。

「クロ」
「ん」
「帰っていいぞ」
「――は?」
「今回の依頼は俺一人で請け合う」

 淡と告げた兄の横顔を、黒亜は訝しげに見上げた。

「なに。どうしたの?」
「紅亜には上手く伝えておいてくれ」
「ちょっと待ってよ。依頼に就く場合は二人以上で、っていうのがウチらのルールじゃなかった?」
「……すまない。納得しろとは言わん。唯、今回は呑んで欲しい」
「ハク兄らしくないことしないでよ。せめて、説明くらいはさ――」
「クロ」

 弟の名を呼ぶ切れ長の目許に、何時もの柔和さはなかった。只只、瞳に籠められた瑠璃の深さは、



「俺の言うことが聞けないのか?」



 光を跳ね返す。

「……」
「クロ」

 憮然たる面持ちで、心なしか程度に顎を引く黒亜。

「良い子だ」

 白亜は涼やかな眦をふっと緩やかにほどくと、顔を伏せる黒亜の頭を優しく撫でた。

「心配するな。出来るだけ早く戻る」

 腕を引いた白亜は無言の黒亜を残し、人混みへと姿を消していった。





「……良い子なんかじゃないよ」

 兄の気配が薄らぐと、柘榴な視線は意志に上がる。

「そもそもオレ、“返事”なんてしてないし」

 口許に狡猾さを浮かべて、黒亜はハンターオフィスの扉に手をかけた。迷いなく歩みを進めた先は――

「あら、黒亜様? 先程、お兄様が依頼を受けにいらっしゃいましたよ」
「うん。その依頼のことなんだけど――」




 静まる、膨大な森。
 西に傾いた夕陽が、俄に濃く迫ってくる。



「雑魔ならば……“違う”、か。だが、手がかりを追っていれば何時か、君に会えるのだろうか……」



 空の手が、妙に冷たかった。




 spot――天鵞絨サーカス団の天幕。

「……あ、どうも。依頼の詳細は情報端末で話した通りだから。じゃあ早速向かうよ。

 は?
 何か注意を払うこと?

 ……。
 さあ? 敵はオレが殺すし、あんたらはハク兄のフォローでもしてれば?」



 暗い夜が、重い幕のように落ちてくる。


解説

《目的》
>成功条件
・敵の討伐
>大成功条件
・???

――以下、黒亜からの情報――

・犠牲になった若者達とハンターは全員男性。
・情報では、女性は攻撃対象にしない模様。しかし、鵜呑みにし過ぎるのも危険。
・帝国軍の古びた認識票(ネックレスチェーンのドックタグ)が館の一階に落ちているらしい。
・白亜はガルムと交戦中(PCが現地に到着した時点)

《場所・天気》
・郊外の森中にある二階建ての廃洋館。
 一階の入口は吹き抜けのエントランス。他には、リビング、食堂、水回りなど。
 階段は老朽化している為、二階へ上がることは不可能。
 光は月明かりのみ。
・良夜の空。

《敵》
 ガルム:
 館を根城にする犬型の上位雑魔。
 物理攻撃特化型。体長1.8m。赤黒い体毛に金眼。脚力が強く、攻撃は爪と牙。

 ブラックドッグ:(PL情報)
 上位雑魔に引き寄せられた下位雑魔。ハンターオフィスに依頼が公開された後に湧いて出た為、白亜と黒亜も知らない情報。
 体長1.3m。黒い体毛に赤眼。攻撃は爪と牙。三体が廃洋館の周囲を彷徨いている。

《NPC》
 白亜:
 天鵞絨サーカス団の団長。黒亜と紅亜の兄。
 戦闘時の得物はカービンタイプの銃。体術も扱う。
 今回の依頼に並々ならぬ関心を示している。

 黒亜:
 天鵞絨サーカス団の団員。次男。
 戦闘時の得物は刀身の長い日本刀。
 口には出さないが、兄の無事が最優先思考。

 紅亜:
 天鵞絨サーカス団の団員。末っ子。
 自宅アパートで留守番中。だが、兄達の妙な様子には薄々勘付いている。

※質問は黒亜が回答します。

マスターより

お世話になっております、愁水です。

此方の世界では初めての戦闘依頼です。……が、ガチシリアスです。すみません。
只、戦闘をするだけでは依頼に隠された本質は見抜けません。皆様のお心、お待ちしております。

関連NPC

  • 天鵞絨ノ赤椿
    白亜(kz0237
    人間(クリムゾンウェスト)|36才|男性|猟撃士(イェーガー)
  • 天鵞絨ノ月季花
    黒亜(kz0238
    人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/12/09 02:23

参加者一覧

  • 天鵞絨ノ空木
    白藤(ka3768
    人間(蒼)|28才|女性|猟撃士
  • 夜空に奏でる銀星となりて
    レナード=クーク(ka6613
    エルフ|17才|男性|魔術師

  • ネフィルト・ジェイダー(ka6838
    鬼|17才|男性|舞刀士
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミア(ka7035
    鬼|22才|女性|格闘士
  • Schwarzwald
    浅生 陸(ka7041
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 【質問卓】黒亜呼び出し卓
浅生 陸(ka7041
人間(リアルブルー)|26才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/11/27 22:26:27
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/11/26 20:27:24
アイコン 【相談卓】白い背中を追いかけて
ミア(ka7035
鬼|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/12/02 20:22:11