ゲスト
(ka0000)
【陶曲】リズベリオ マリオネッタ
マスター:のどか

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/12/07 12:00
- リプレイ完成予定
- 2017/12/16 12:00
オープニング
●
オフィスの応接室で、2人の男女が向かい合って座っていた。
うち1人の女性は、浮かない顔で眉間に皺を寄せるルミ・ヘヴンズドア(kz0060)。
そしてもう1人の男性は――そんな彼女の姿を目の当りにしながらも、どこか不敵に笑みを絶やさぬ青年であった。
「さて……お話は理解していただけたと思いますが?」
上品ながらもどこか不躾な彼の言葉に、ルミは大きくため息で応える。
「ええ、仰りたいことは理解しましたよ。ただ、この内容でハンターさん達がお手伝いしてくださるとは……」
「それをどうにかするのが、斡旋役のあなたのお仕事では?」
一向に引けを取らないその言葉に、ルミは思わず苦い顔を覆う。
彼女が相談を受けていたのは1本の依頼だった。
内容は、目の前の青年をヴァリオスからポルトワールへ移動する間の警護を行うこと――すなわち『要人護衛』の依頼だ。
ただ、それに対して彼が突きつけて来た条件は2つ。
1つは、『要人』の正体を明かさないこと。
そしてもう1つは、可能な限り人目につかないこと。
「1つめはまだしも、2つ目は難しいんじゃないですか? ヴァリオスからポルトワールへの街道を通れば、どうしてもリゼリオを通過することになります。大勢のハンターさん達が住むこの街で、全く人目につかないというのは不可能だと思いますケド」
ルミの小言に、青年は小さく声を上げて笑う。
「なら、リゼリオを通らなければいい。今でこそ同盟4都市を結ぶ街道は流通の要として利用されていますが、王国時代に使われていた小さな旧道は無数に存在します。とりわけ商業的にも意義のあるリゼリオ経由ルートが確立されている今、多少難のある山道などは実に適していると考えていますが?」
下調べもバッチリの彼の提案に、ルミも思わず押し黙る。
だが、やがて彼女は青年の瞳を真っすぐに見据えた。
「分かりました。ただし、ひとつだけお伺いしたいことがあります」
「……なんでしょう?」
「今のあなたは、本当にあなた自身ですか……?」
その言葉に、彼は寂しい笑顔を浮かべながら、静かに首を横に振った。
「それは、信用してもらう他ありません。だからこそ私は、身の内を明かすことができない――」
それから時を置かずに、オフィスに1つの依頼が掲示された。
『要人護衛』と銘打たれたその依頼状には、出立地と目的地、依頼人の希望するルート、そして破格の報酬以外には何も記されていない。
依頼人すら分からない内容にハンター達は渋い表情で首をかしげるも、斡旋担当のルミが困った笑顔を浮かべながら彼らに声を掛けた。
「その方の身元は私が保証しますっ。だから……お願いできませんか?」
●
馬車を取り囲む一行は、ヴァリオス~ポルトワール間にそびえる山道へと足を踏み入れていた。
山と言ってもそれはゴツゴツした岩山のことではなく、なだらかな傾斜の連続する一見森のようなものである。
昔は当たり前に使われていたという話のとおり、今でこそ整備はされていないものの比較的歩きやすい。
ただ1つ難点があるとすれば、行く手を阻む濃い霧であった。
時期がら仕方の無いこととはいえ、ちょっと先の様子すらまともに見えない世界の中で、依頼を受けたハンター達も自然と陣を狭めて辺りの様子に気を張り巡らせる。
ふと、先頭を歩いていたハンターが手をひろげて歩みを止める。
何事かと尋ねる他のハンター達の言葉に、その者は自分達の行く手を静かに指差した。
地面の上に、何かが横たわっている影が見える。
野生動物だろうか?
このままでは馬車が通ることもできず、不信感を抱きながらも静かに影へと近づくハンター達。
張り詰めた緊張のせいか、念のため携行した獲物に手が触れる。
5m……4m……3m……そこまで近づいてようやくそれがなんであるのかが分かり、同時に竦んだように歩みもまた止まった。
――人だ。
道の上に人がうつ伏せに倒れている。
表情は伺えないが、胴に五体が生えた、確かに人の姿。
こんな場所に、どうして?
黒いワンピースに身を包んだその姿は特徴的だった。
そう、まるでお屋敷に努めるメイドのような――
「――あらあらあら、どうしてこんなところを人が通っているのかしら?」
――路上に人影に意識を取られていた時、不意に響いた若い女の声に、ハンター達は咄嗟に獲物を抜き放つ。
「ただの人じゃないのね……そう、姫様も運が悪いものだわ。ねぇ、ルチア」
霧に囲まれた雑木の中から、ぼんやりと歩いて来る人影が見えた。
徐々に距離を詰めてくるそれが紺色のメイド服を着た少女であることに気付いて、ハンター達はさらに警戒を強める。
その時、カラカラと乾いた音を立てながら、前方に倒れていた人影がムクリとその身体を起こす。
いや、人影に見えたそれは木製の人形。
黒いメイド服を着こんだそれは、カラカラと身を揺らして立ち上がると、ヒラヒラしたスカートの中から両手にナイフをつかみ取る。
それだけじゃない。
彼女が起き上がるのを見計らったかのように、カラカラ、カラカラ、カラカラと、四方八方から響く音。
霧に隠れて音だけ響くそれらが全て木偶人形であることを理解したとき、ハンターは自分達が既に包囲されていることを知る。
「本当に運が悪いわ。でも、しかたがないもの。それが私“たち”のおしごとだから」
なおも近づいて来る紺色メイドは、水色の髪のポニーテールを揺らしながら、青と赤、左右で色の違う靴のうち赤い方を履いている足を高々と掲げあげた。
「さぁさぁ、ルチア――お掃除をはじめましょ?」
オフィスの応接室で、2人の男女が向かい合って座っていた。
うち1人の女性は、浮かない顔で眉間に皺を寄せるルミ・ヘヴンズドア(kz0060)。
そしてもう1人の男性は――そんな彼女の姿を目の当りにしながらも、どこか不敵に笑みを絶やさぬ青年であった。
「さて……お話は理解していただけたと思いますが?」
上品ながらもどこか不躾な彼の言葉に、ルミは大きくため息で応える。
「ええ、仰りたいことは理解しましたよ。ただ、この内容でハンターさん達がお手伝いしてくださるとは……」
「それをどうにかするのが、斡旋役のあなたのお仕事では?」
一向に引けを取らないその言葉に、ルミは思わず苦い顔を覆う。
彼女が相談を受けていたのは1本の依頼だった。
内容は、目の前の青年をヴァリオスからポルトワールへ移動する間の警護を行うこと――すなわち『要人護衛』の依頼だ。
ただ、それに対して彼が突きつけて来た条件は2つ。
1つは、『要人』の正体を明かさないこと。
そしてもう1つは、可能な限り人目につかないこと。
「1つめはまだしも、2つ目は難しいんじゃないですか? ヴァリオスからポルトワールへの街道を通れば、どうしてもリゼリオを通過することになります。大勢のハンターさん達が住むこの街で、全く人目につかないというのは不可能だと思いますケド」
ルミの小言に、青年は小さく声を上げて笑う。
「なら、リゼリオを通らなければいい。今でこそ同盟4都市を結ぶ街道は流通の要として利用されていますが、王国時代に使われていた小さな旧道は無数に存在します。とりわけ商業的にも意義のあるリゼリオ経由ルートが確立されている今、多少難のある山道などは実に適していると考えていますが?」
下調べもバッチリの彼の提案に、ルミも思わず押し黙る。
だが、やがて彼女は青年の瞳を真っすぐに見据えた。
「分かりました。ただし、ひとつだけお伺いしたいことがあります」
「……なんでしょう?」
「今のあなたは、本当にあなた自身ですか……?」
その言葉に、彼は寂しい笑顔を浮かべながら、静かに首を横に振った。
「それは、信用してもらう他ありません。だからこそ私は、身の内を明かすことができない――」
それから時を置かずに、オフィスに1つの依頼が掲示された。
『要人護衛』と銘打たれたその依頼状には、出立地と目的地、依頼人の希望するルート、そして破格の報酬以外には何も記されていない。
依頼人すら分からない内容にハンター達は渋い表情で首をかしげるも、斡旋担当のルミが困った笑顔を浮かべながら彼らに声を掛けた。
「その方の身元は私が保証しますっ。だから……お願いできませんか?」
●
馬車を取り囲む一行は、ヴァリオス~ポルトワール間にそびえる山道へと足を踏み入れていた。
山と言ってもそれはゴツゴツした岩山のことではなく、なだらかな傾斜の連続する一見森のようなものである。
昔は当たり前に使われていたという話のとおり、今でこそ整備はされていないものの比較的歩きやすい。
ただ1つ難点があるとすれば、行く手を阻む濃い霧であった。
時期がら仕方の無いこととはいえ、ちょっと先の様子すらまともに見えない世界の中で、依頼を受けたハンター達も自然と陣を狭めて辺りの様子に気を張り巡らせる。
ふと、先頭を歩いていたハンターが手をひろげて歩みを止める。
何事かと尋ねる他のハンター達の言葉に、その者は自分達の行く手を静かに指差した。
地面の上に、何かが横たわっている影が見える。
野生動物だろうか?
このままでは馬車が通ることもできず、不信感を抱きながらも静かに影へと近づくハンター達。
張り詰めた緊張のせいか、念のため携行した獲物に手が触れる。
5m……4m……3m……そこまで近づいてようやくそれがなんであるのかが分かり、同時に竦んだように歩みもまた止まった。
――人だ。
道の上に人がうつ伏せに倒れている。
表情は伺えないが、胴に五体が生えた、確かに人の姿。
こんな場所に、どうして?
黒いワンピースに身を包んだその姿は特徴的だった。
そう、まるでお屋敷に努めるメイドのような――
「――あらあらあら、どうしてこんなところを人が通っているのかしら?」
――路上に人影に意識を取られていた時、不意に響いた若い女の声に、ハンター達は咄嗟に獲物を抜き放つ。
「ただの人じゃないのね……そう、姫様も運が悪いものだわ。ねぇ、ルチア」
霧に囲まれた雑木の中から、ぼんやりと歩いて来る人影が見えた。
徐々に距離を詰めてくるそれが紺色のメイド服を着た少女であることに気付いて、ハンター達はさらに警戒を強める。
その時、カラカラと乾いた音を立てながら、前方に倒れていた人影がムクリとその身体を起こす。
いや、人影に見えたそれは木製の人形。
黒いメイド服を着こんだそれは、カラカラと身を揺らして立ち上がると、ヒラヒラしたスカートの中から両手にナイフをつかみ取る。
それだけじゃない。
彼女が起き上がるのを見計らったかのように、カラカラ、カラカラ、カラカラと、四方八方から響く音。
霧に隠れて音だけ響くそれらが全て木偶人形であることを理解したとき、ハンターは自分達が既に包囲されていることを知る。
「本当に運が悪いわ。でも、しかたがないもの。それが私“たち”のおしごとだから」
なおも近づいて来る紺色メイドは、水色の髪のポニーテールを揺らしながら、青と赤、左右で色の違う靴のうち赤い方を履いている足を高々と掲げあげた。
「さぁさぁ、ルチア――お掃除をはじめましょ?」
解説
▼目的
要人馬車の護衛
▼概要
要人の乗った馬車を護衛してヴァリオスを発った皆様ですが、人里を迂回するように選んだ山道ルートの途中で歪虚の襲撃を受けました。
敵は紺色のメイド服を着たリーダーらしき歪虚が1体と、その手下と思われる木偶人形のメイド歪虚達が多数です。
鬱蒼とした山林の中、視界も悪いですが、無事の任務遂行のためにもこの危機を脱してください。
要人は2人乗り程度の小型馬車に乗っており、どんな人物かもわかりませんが、襲撃に慌てた様子もなく落ち着いて状況を静観しています。
基本的には壊れて使用できなくなどならない限りは、彼は馬車から出る事をしません。
また、馬車を引く御者をハンター自身が受け負うこともできます。
ハンターが御者とならない場合は、依頼人が準備したNPCがその役目を担います。
▼戦場
戦場は現在の街道ができる前に使われていた王国領時代の山道で、周囲は鬱蒼とした木々に覆われた森となっています。
時期がら深い霧にも覆われており、対象をはっきりと視認できるのは2スクエア先程度。
それ以上離れるとぼんやり人影が見えるだけとなり、5スクエアも離れるともはや影すら見えません。
▼敵勢力
・紺色のメイド
道中に現れたメイド姿の歪虚です。
過去に出現例があるかもしれませんが、任務中で想定外の出来事なのでオフィスに照会することができません。
正体にアタリをつけるなら、皆さまの記憶だけが頼りです。
全身青づくめの衣装が印象的な中、何故か左足だけ真っ赤な靴を履いています。
・木偶メイド×多数
デッサン人形が黒いメイド服を着たような姿の歪虚です。
ナイフや園芸鋏などのご家庭にありそうな道具で武装していますが、個々はそれほど強くありません。
要人馬車の護衛
▼概要
要人の乗った馬車を護衛してヴァリオスを発った皆様ですが、人里を迂回するように選んだ山道ルートの途中で歪虚の襲撃を受けました。
敵は紺色のメイド服を着たリーダーらしき歪虚が1体と、その手下と思われる木偶人形のメイド歪虚達が多数です。
鬱蒼とした山林の中、視界も悪いですが、無事の任務遂行のためにもこの危機を脱してください。
要人は2人乗り程度の小型馬車に乗っており、どんな人物かもわかりませんが、襲撃に慌てた様子もなく落ち着いて状況を静観しています。
基本的には壊れて使用できなくなどならない限りは、彼は馬車から出る事をしません。
また、馬車を引く御者をハンター自身が受け負うこともできます。
ハンターが御者とならない場合は、依頼人が準備したNPCがその役目を担います。
▼戦場
戦場は現在の街道ができる前に使われていた王国領時代の山道で、周囲は鬱蒼とした木々に覆われた森となっています。
時期がら深い霧にも覆われており、対象をはっきりと視認できるのは2スクエア先程度。
それ以上離れるとぼんやり人影が見えるだけとなり、5スクエアも離れるともはや影すら見えません。
▼敵勢力
・紺色のメイド
道中に現れたメイド姿の歪虚です。
過去に出現例があるかもしれませんが、任務中で想定外の出来事なのでオフィスに照会することができません。
正体にアタリをつけるなら、皆さまの記憶だけが頼りです。
全身青づくめの衣装が印象的な中、何故か左足だけ真っ赤な靴を履いています。
・木偶メイド×多数
デッサン人形が黒いメイド服を着たような姿の歪虚です。
ナイフや園芸鋏などのご家庭にありそうな道具で武装していますが、個々はそれほど強くありません。
マスターより
おはようございます、のどかです。
要人護衛という見るからに訳アリの依頼ですが、そういう時に限ってトラブルはつきものです。
各々こちらから正体を明かすことはいたしませんが、想定はある程度簡単につけられる……はず。
そして、その正体が意味することとは……?
質問がございましたらルミがお答えしますので、卓を立ててご用命ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
要人護衛という見るからに訳アリの依頼ですが、そういう時に限ってトラブルはつきものです。
各々こちらから正体を明かすことはいたしませんが、想定はある程度簡単につけられる……はず。
そして、その正体が意味することとは……?
質問がございましたらルミがお答えしますので、卓を立ててご用命ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/12/14 17:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談用スレッド ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/12/07 00:15:37 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/05 23:09:30 |