ゲスト
(ka0000)
【虚動】ブリジッタとカオル君
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/11/28 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/07 12:00
オープニング
●
「室長! どういうことですか、これは!?」
ワルプルギス練魔院、機動兵器開発室。その第一室長室の前で白衣をまとった幾人かの研究員が怒声を上げていた。
「仕方ないでしょ? あたしは室長。そして、忌々しいことにあのワカメは院長。だから言われたことには従う義務があるわけ。分かる?」
科学者たち……魔導アーマー部門に所属する研究員たちから怒りの矛先を向けられているのはヤン・ビットマン。開発室の第一室長を務めている。ちなみに、ピンク色のソフトモヒカンがトレードマーク。心は乙女の男である。男である。
「だからと言って、納得はできません! 我々の研究成果を……魔導アーマーの動力を持ち出して……しかもそれをCAMに転用しようなんて……!」
魔導アーマーとは、帝国が独自に開発している人型の戦闘兵器である。CAMの登場に危機感を覚えた研究チームが血眼になって開発を進めており、最近ではウェルクマイスター社の協力により生産ラインまで確保。少数ながら量産も行った。
そんな魔導アーマーの動力を、ナサニエル……ヤンが言うところのワカメは突拍子もなく研究室に現れ「これもらっていきますねぇ」の一言で持ち出し、燃料不足で動かせないCAMの代替動力としようとしているのだ。
「これは、暗に我々の魔導アーマーがCAMに劣ると言っているようなものです! こんな屈辱耐えられません!」
「CAMは実際高い戦闘力を持ってるみたいだしねぇ。そっちが使えるならそっちを使った方が良いってことでしょ? 魔導アーマーはまだまだ実用段階に達しているとは言えない……」
「そんなことはありません!!」
バンッと室長の机に手を叩きつける魔導アーマー部門のリーダー。ヤンの言葉が相当気に食わなかったようだ。
「現状でも魔導アーマーはCAMに匹敵する性能を発揮できるはずです! ウェルク社でもすでに量産体制に入っており数だって確保できています! CAMはすでに実用段階です!」
「あのねぇ……あんたたち、自信たっぷりなのは結構なことよ? でも、CAMは実際に歪虚を倒すっていう戦果を上げてるの。それに対して魔導アーマーの方はどうなの? 雑魔の一体でも倒したなんて報告、あたしは聞いたことも無いわよ?」
「……戦果を上げれば認めて頂けるんですね? 分かりました」
「ちょっ、待ちなさい! まだ話は……」
「証明して見せますよ。魔導アーマーがCAMよりもすばらしいものだということを」
そう言ってリーダーは振り返り、室長室から出ていく。取り巻きの開発チームも、多少戸惑いながらもリーダーに着いていった。
●
魔導アーマー開発部門の連中がヤンに文句を言いにきた、その数時間後。開発室を覗いてみると、試作型の魔導アーマーと科学者たちがきれいさっぱりいなくなっていた。
「……まったく、話を聞かない連中ばっかりね……困ったものだわ」
魔導アーマーを持ち出して何をするのか……まぁ大体見当はついている。CAMの稼働実験が行われる実験場まで魔導アーマーを持っていき、そこで何らかのパフォーマンスをしようというのだろう。それが敵との戦闘か、CAMに模擬戦でも申し込むのか、その辺は分からないが……
やれやれと溜息を吐きながら、ヤンは人のいなくなった開発室を見回し……開発室の端の方にいた金髪の少女の姿を見つけた。
「……あら、あんたは行かないの? ブリジッタ」
「うっさいのね。オカマにはかんけーないのよね」
ブリジッタ・ビットマン。
元々は同盟からやってきた難民であり、帝国領まで両親と一緒だったが途中ではぐれ、そのまま孤児となってしまった。その後錬金術組合の世話になっていたが、様々な事情から最終的にヤンが身元引受人となって練魔院の魔導アーマー部門に落ち着いた。技師だった父の血によるものか、めきめきと頭角を現していく。その技術力と発想力は、天才と呼ぶにふさわしいものだった。
だが、14才という若さと、その若さゆえのわがままで自分勝手な部分が反感を買い、同じ部門の開発者たちから煙たがられて孤立していた。その結果、仲間たちと一緒に行くこともできずこうして一人寂しく試作機を弄る羽目になっていた。
「あんた……どうせ、またなんか生意気なこと言って仲間外れにされてるんでしょ……いい加減処世術の一つも覚えないと、将来大変よ?」
「うっさいほっとけ! 大体あ~んなポ~ンコツ持っていったって、笑いものになるだけなのよね~!」
「なあに? おいてきぼりでいじけてんの?」
「い、いじけてないし!? 言いがかりはやめろオカマのぶんざいで!」
ブリジッタがポンコツと言った通り……実のところ魔導アーマーは人型とは名ばかりの、魔導トラックに手足を付けた様なお粗末な代物であった。一応CAMと同様2足歩行が可能……ではあるが、速度は自転車より少し速い程度。重量のバランスが上に偏っている為、ハンドルを急に切ると転ぶ。そして転んだら自力では起きられない、と……問題が目白押しの代物だ。この点をヤンも十分理解していた。
「ただ、あんたの作ったその試作機はいくらかマシだったんじゃないかしら?」
「『カオル君』をあんなポンコツと一緒にして欲しくないのよね! この大天才が作ったんだから……でも、まだ駄目よね。足りないところがたくさんあるのよさ……それに色々調整しないと……」
試作機のカオル君(正式にはカオルクヴァッペと言うそうだ)をホメられて笑顔を見せたブリジッタだったが、すぐに険しい表情を見せ作業を再開した。
魔導アーマーは、多少ばらつきがあるが大凡3~4m前後。少女の身で部品の取り付けやら内部機器の調整やらを行うのは大変だろう。だが、チームの面々はすでにおらず、手伝いを頼もうにも頼める人もいない。まぁ性格的に自分から頼むということは出来ないのだろうが。
(仕方ないわね……ちょっと助け船を出してあげるかしら)
「ねぇブリジッタ」
「なによ……邪魔なオカマはどっか行ってほしいのよね」
「いえね。どうせならハンターでも雇ってみたらどう?」
「ハンター? やだ。ハンターってことは覚醒者でしょ。あんな精霊の加護でチートしてるだけの凡人共にカオル君を触らせたくないのよね!」
そう言って嫌がる素振りを見せたブリジッタだったが、最終的にはヤンの提案を了承する。
調整の人手が足りないのも事実だったが、それ以上に調整完了後に演習を行う相手が必要。だが、相手に出来そうな魔導アーマーは無く、一般人を相手にするのは論外だ。覚醒者であるハンターを雇うより他に手が無かったのだ。
こうして『魔導アーマーの調整補助及び模擬戦闘』という名目で、練魔院第一開発室経由で依頼が出されることになったのだった。
「室長! どういうことですか、これは!?」
ワルプルギス練魔院、機動兵器開発室。その第一室長室の前で白衣をまとった幾人かの研究員が怒声を上げていた。
「仕方ないでしょ? あたしは室長。そして、忌々しいことにあのワカメは院長。だから言われたことには従う義務があるわけ。分かる?」
科学者たち……魔導アーマー部門に所属する研究員たちから怒りの矛先を向けられているのはヤン・ビットマン。開発室の第一室長を務めている。ちなみに、ピンク色のソフトモヒカンがトレードマーク。心は乙女の男である。男である。
「だからと言って、納得はできません! 我々の研究成果を……魔導アーマーの動力を持ち出して……しかもそれをCAMに転用しようなんて……!」
魔導アーマーとは、帝国が独自に開発している人型の戦闘兵器である。CAMの登場に危機感を覚えた研究チームが血眼になって開発を進めており、最近ではウェルクマイスター社の協力により生産ラインまで確保。少数ながら量産も行った。
そんな魔導アーマーの動力を、ナサニエル……ヤンが言うところのワカメは突拍子もなく研究室に現れ「これもらっていきますねぇ」の一言で持ち出し、燃料不足で動かせないCAMの代替動力としようとしているのだ。
「これは、暗に我々の魔導アーマーがCAMに劣ると言っているようなものです! こんな屈辱耐えられません!」
「CAMは実際高い戦闘力を持ってるみたいだしねぇ。そっちが使えるならそっちを使った方が良いってことでしょ? 魔導アーマーはまだまだ実用段階に達しているとは言えない……」
「そんなことはありません!!」
バンッと室長の机に手を叩きつける魔導アーマー部門のリーダー。ヤンの言葉が相当気に食わなかったようだ。
「現状でも魔導アーマーはCAMに匹敵する性能を発揮できるはずです! ウェルク社でもすでに量産体制に入っており数だって確保できています! CAMはすでに実用段階です!」
「あのねぇ……あんたたち、自信たっぷりなのは結構なことよ? でも、CAMは実際に歪虚を倒すっていう戦果を上げてるの。それに対して魔導アーマーの方はどうなの? 雑魔の一体でも倒したなんて報告、あたしは聞いたことも無いわよ?」
「……戦果を上げれば認めて頂けるんですね? 分かりました」
「ちょっ、待ちなさい! まだ話は……」
「証明して見せますよ。魔導アーマーがCAMよりもすばらしいものだということを」
そう言ってリーダーは振り返り、室長室から出ていく。取り巻きの開発チームも、多少戸惑いながらもリーダーに着いていった。
●
魔導アーマー開発部門の連中がヤンに文句を言いにきた、その数時間後。開発室を覗いてみると、試作型の魔導アーマーと科学者たちがきれいさっぱりいなくなっていた。
「……まったく、話を聞かない連中ばっかりね……困ったものだわ」
魔導アーマーを持ち出して何をするのか……まぁ大体見当はついている。CAMの稼働実験が行われる実験場まで魔導アーマーを持っていき、そこで何らかのパフォーマンスをしようというのだろう。それが敵との戦闘か、CAMに模擬戦でも申し込むのか、その辺は分からないが……
やれやれと溜息を吐きながら、ヤンは人のいなくなった開発室を見回し……開発室の端の方にいた金髪の少女の姿を見つけた。
「……あら、あんたは行かないの? ブリジッタ」
「うっさいのね。オカマにはかんけーないのよね」
ブリジッタ・ビットマン。
元々は同盟からやってきた難民であり、帝国領まで両親と一緒だったが途中ではぐれ、そのまま孤児となってしまった。その後錬金術組合の世話になっていたが、様々な事情から最終的にヤンが身元引受人となって練魔院の魔導アーマー部門に落ち着いた。技師だった父の血によるものか、めきめきと頭角を現していく。その技術力と発想力は、天才と呼ぶにふさわしいものだった。
だが、14才という若さと、その若さゆえのわがままで自分勝手な部分が反感を買い、同じ部門の開発者たちから煙たがられて孤立していた。その結果、仲間たちと一緒に行くこともできずこうして一人寂しく試作機を弄る羽目になっていた。
「あんた……どうせ、またなんか生意気なこと言って仲間外れにされてるんでしょ……いい加減処世術の一つも覚えないと、将来大変よ?」
「うっさいほっとけ! 大体あ~んなポ~ンコツ持っていったって、笑いものになるだけなのよね~!」
「なあに? おいてきぼりでいじけてんの?」
「い、いじけてないし!? 言いがかりはやめろオカマのぶんざいで!」
ブリジッタがポンコツと言った通り……実のところ魔導アーマーは人型とは名ばかりの、魔導トラックに手足を付けた様なお粗末な代物であった。一応CAMと同様2足歩行が可能……ではあるが、速度は自転車より少し速い程度。重量のバランスが上に偏っている為、ハンドルを急に切ると転ぶ。そして転んだら自力では起きられない、と……問題が目白押しの代物だ。この点をヤンも十分理解していた。
「ただ、あんたの作ったその試作機はいくらかマシだったんじゃないかしら?」
「『カオル君』をあんなポンコツと一緒にして欲しくないのよね! この大天才が作ったんだから……でも、まだ駄目よね。足りないところがたくさんあるのよさ……それに色々調整しないと……」
試作機のカオル君(正式にはカオルクヴァッペと言うそうだ)をホメられて笑顔を見せたブリジッタだったが、すぐに険しい表情を見せ作業を再開した。
魔導アーマーは、多少ばらつきがあるが大凡3~4m前後。少女の身で部品の取り付けやら内部機器の調整やらを行うのは大変だろう。だが、チームの面々はすでにおらず、手伝いを頼もうにも頼める人もいない。まぁ性格的に自分から頼むということは出来ないのだろうが。
(仕方ないわね……ちょっと助け船を出してあげるかしら)
「ねぇブリジッタ」
「なによ……邪魔なオカマはどっか行ってほしいのよね」
「いえね。どうせならハンターでも雇ってみたらどう?」
「ハンター? やだ。ハンターってことは覚醒者でしょ。あんな精霊の加護でチートしてるだけの凡人共にカオル君を触らせたくないのよね!」
そう言って嫌がる素振りを見せたブリジッタだったが、最終的にはヤンの提案を了承する。
調整の人手が足りないのも事実だったが、それ以上に調整完了後に演習を行う相手が必要。だが、相手に出来そうな魔導アーマーは無く、一般人を相手にするのは論外だ。覚醒者であるハンターを雇うより他に手が無かったのだ。
こうして『魔導アーマーの調整補助及び模擬戦闘』という名目で、練魔院第一開発室経由で依頼が出されることになったのだった。
解説
・目的
1、ブリジッタに協力し、魔導アーマーの調整を補助する。
2、調整が完了した魔導アーマーと模擬戦闘を行い動作や機能の確認を補助する。
・状況
PCたちは練魔院第一開発室に雇われたハンターとなる。
主な舞台は練魔院第一開発室(魔導アーマーが現在置いてある場所)と地下の性能試験場(結構広くて丈夫)。
行うのは魔導アーマーの調整補助と、模擬戦闘。両方でも、どちらか一方の参加でも問題ない。
・味方情報
ブリジッタ・ビットマン
第一開発室魔導アーマー部門所属の研究員。一般人。
能力はあるが子供っぽさが全く抜けておらず、我儘で自分勝手なところがある。
いじめるとすぐ泣く。
・ブリジッタ謹製魔導アーマー『カオルクヴァッペ』
ブリジッタが研究を行っている魔導アーマー。愛称はカオル君。
操縦系など基本的な部分は試作型魔導アーマーと同じだが、性能は若干こちらの方が上。
外見は少し平べったくて丸っこい。
背部にある支えが特徴であり、試作型魔導アーマーより安定性が高い。
武装は両腕部の鉄球。
・模擬戦
方法に関してはPCたちに一任されている。
ただし、第一開発室長ヤン・ビットマンから以下の点に注意するよう指示が出ている。
・魔導アーマーに搭乗するブリジッタは一般人であるため、搭乗者を狙うような攻撃は避けること。
・カオル君はワンオフ機なので、模擬戦闘の範疇を超える過剰な損害を与えることは禁止する。
1、ブリジッタに協力し、魔導アーマーの調整を補助する。
2、調整が完了した魔導アーマーと模擬戦闘を行い動作や機能の確認を補助する。
・状況
PCたちは練魔院第一開発室に雇われたハンターとなる。
主な舞台は練魔院第一開発室(魔導アーマーが現在置いてある場所)と地下の性能試験場(結構広くて丈夫)。
行うのは魔導アーマーの調整補助と、模擬戦闘。両方でも、どちらか一方の参加でも問題ない。
・味方情報
ブリジッタ・ビットマン
第一開発室魔導アーマー部門所属の研究員。一般人。
能力はあるが子供っぽさが全く抜けておらず、我儘で自分勝手なところがある。
いじめるとすぐ泣く。
・ブリジッタ謹製魔導アーマー『カオルクヴァッペ』
ブリジッタが研究を行っている魔導アーマー。愛称はカオル君。
操縦系など基本的な部分は試作型魔導アーマーと同じだが、性能は若干こちらの方が上。
外見は少し平べったくて丸っこい。
背部にある支えが特徴であり、試作型魔導アーマーより安定性が高い。
武装は両腕部の鉄球。
・模擬戦
方法に関してはPCたちに一任されている。
ただし、第一開発室長ヤン・ビットマンから以下の点に注意するよう指示が出ている。
・魔導アーマーに搭乗するブリジッタは一般人であるため、搭乗者を狙うような攻撃は避けること。
・カオル君はワンオフ機なので、模擬戦闘の範疇を超える過剰な損害を与えることは禁止する。
マスターより
お世話になっております、植田です。
今回はCAMに関わる連動依頼の一幕。ですが、扱っているのは魔導アーマーです。
開発者のブリジッタは能力はありますが、まだまだ子供でちょっと泣き虫です。上手く相手をしてもらえたらと思います。
それでは、皆様の参加お待ちいたしております。
今回はCAMに関わる連動依頼の一幕。ですが、扱っているのは魔導アーマーです。
開発者のブリジッタは能力はありますが、まだまだ子供でちょっと泣き虫です。上手く相手をしてもらえたらと思います。
それでは、皆様の参加お待ちいたしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/06 06:24
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 サーシャ・V・クリューコファ(ka0723) 人間(リアルブルー)|15才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/11/27 21:17:01 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/23 11:29:31 |