ゲスト
(ka0000)
【空の研究】Take off!
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在0人 / 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/12/13 07:30
- リプレイ完成予定
- 2017/12/22 07:30
オープニング
空の研究所は今、研究所創設以来の大きなイベントを控えて大忙しだった。
なにせ、開催が決まったのも急なら用意すべきことの量も多い。空の研究所は、所長のアメリア・マティーナ(kz0179)を含めても三人しかいない小さな機関だ。全員が多忙をきわめた。
「ホント、急激に忙しくなったよなあ」
研究員のキランがぼやく。その隣で、事務や雑用を担当してる職員のスバルが苦笑した。
「キランさんも聞かされてなかったんですね」
「ああ、まったくな。ちょっとは相談しろってんだ」
キランは不満そうなふうにしつつ、作業の手は止めない。わざと相談しなかったんじゃないだろうか、という言葉を、スバルは飲み込んだ。キランは何につけてもおおげさで、事が大きくなりすぎるきらいがある。加えて、とんでもない不運の持ち主だ。
「でも、まあ」
キランは、噂をすれば、というようにやってきたアメリアを見て少し笑った。
「所長が久しぶりに楽しそうだから、いいとするかな」
「そうですね」
スバルも頷いた。黒いローブのフードを深々とかぶり、いつもながら顔のわからないアメリアだったが、そのフードの下では間違いなく笑顔を作っているだろうと、ふたりには確信があった。
イベントの開催が決まった経緯については、一カ月ほど、時をさかのぼる。
アメリアはそのころ、いつになく口数が少なかった。目深にかぶったフードの下に表情を隠すことはいつものことだったが、それでも隠しきれない陰鬱さが漂っていた。
メフィストとの、戦い。そしてそこで、失われた命。
それが、原因だった。
失われた命のひとつ、弱小貴族ヒューゴ・レンダックの葬儀に、アメリアは出席した。そこで、ある人物と久しぶりの対面をする。
カリム・ルッツバードだった。王国の有力貴族である彼は、若くして当主となりながらも政治力・経済力を充分に持ち、企業運営にも力を発揮している実力者であった。穏やかな表情の顔立ちもまた、上品で甘い。
空の研究所の後援者である彼は、ヒューゴ・レンダックと友人関係であったという。そもそも、アメリアとヒューゴの間に縁ができたのは、このルッツバード氏の橋渡しによるものだ。
ルッツバード氏は、公の場にめったに顔を出さない。済ませられるものはすべて、秘書を代役に立てている。アメリアも、空の研究所の支援について契約を交わして以来、顔を合わせていなかった。
「お久しぶりですねーえ」
しめやかに執り行われた葬儀のあと、アメリアはルッツバード氏に声をかけた。話をしておかなければならないと、思ったのだ。
「お久しぶりです、アメリア所長。……できれば、もっと違う場で再会したかったところですが」
ルッツバード氏は、穏やかに挨拶をした。笑みは浮かべていなかったものの、きわめて冷静である。友人の葬儀に出た姿とはとても思えなかった。
(凄まじい自制心の持ち主ですねーえ)
後援する研究所のオープニング・セレモニーですら代理を立てた人物だ。つまり、彼が葬儀に出席しているというその事実だけで、ヒューゴの死を心から悼んでいるということの裏づけになる。彼がこの穏やかな顔の下にどれほどの憤りと無念さを抱いているかがうかがい知れて、アメリアは息を飲んだ。
「お話したいことがございます、アメリア所長。おそらく、貴女からもあるのではありませんか」
「ええ。ございますねーえ」
こうした会話を交わし、その一週間後に、アメリアはルッツバード邸に招かれた。そこで交わされた会話の内容は、ふたりだけしか知らない。だが、もっとも重要なのは。
「空の研究所は王国派の機関であること」を前面に押し出す。
ということを、決定した点である。
そのためには、「空の研究所」の知名度を上げなければならない。いかに優れた機関で、王国を支えるにふさわしく、気軽には手出しのできないところであると、印象付けることが必要になってくるのだ。
それは、長きに渡って研究所が狙われているという事実も鑑みた決定だった。
かくして。
「研究発表会を行いますよーお」
アメリアは、キランとスバルにそう言い放ったのである。
「研究の結果、我が研究所では飛行魔法「マジックフライト」の実用化に成功しました。これを、大々的に発表し、魔法と研究所の知名度を底上げするつもりです。協力してくれますよねーえ?」
「もちろんです」
力強く頷くのはスバル。
「飛行魔法、ようやくか! おマッチどうさまでした、ってな!」
と、懐からマッチを取り出して下手な駄洒落を言うキラン。
「ただの研究発表会ではおもしろくありません。派手にパフォーマンスをしたいと思いますよーお。会場には、王都にほど近い牧場を借り受けました」
アメリアは計画を話し始めた。
「その牧場に直径十メートルの平面ステージを作ります」
「なんだよ、もうそんなにしっかり決まっているのか? 事前の相談、なしかよ!」
「平面ステージ、とはなんですか?」
キランの言葉は黙殺され、アメリアはスバルの質問にのみ答えた。
「まあ、つまり、牧場の中に柵で円を作るだけですねーえ。観客にはその柵の外側でパフォーマンスを見ていただきます」
「平面、で問題ないんですか? 見やすいように、段差を作った方が……。あ、そうか」
「ええ、そうです」
アメリアは嬉しそうに笑った。
「パフォーマンスは、空で行われるのですからねーえ。段差は必要ありませんよーお」
「ま、そりゃそうだよな」
黙殺されたことにもめげず、キランがうんうん、と頷く。空の研究所の研究員として、キランも飛行魔法への思いが深いのだ。へこんでなどいられない。
「この魔法を利用したアイテムも発表予定ですがねーえ、まあ、これはまだ先のお楽しみということで、まずは、お披露目と行く予定です」
「忙しくなりそうだな!」
そう、そしてまさしく忙しくなった。怒涛の準備期間に突入したのだ。
そして今、離陸のときを迎える。
なにせ、開催が決まったのも急なら用意すべきことの量も多い。空の研究所は、所長のアメリア・マティーナ(kz0179)を含めても三人しかいない小さな機関だ。全員が多忙をきわめた。
「ホント、急激に忙しくなったよなあ」
研究員のキランがぼやく。その隣で、事務や雑用を担当してる職員のスバルが苦笑した。
「キランさんも聞かされてなかったんですね」
「ああ、まったくな。ちょっとは相談しろってんだ」
キランは不満そうなふうにしつつ、作業の手は止めない。わざと相談しなかったんじゃないだろうか、という言葉を、スバルは飲み込んだ。キランは何につけてもおおげさで、事が大きくなりすぎるきらいがある。加えて、とんでもない不運の持ち主だ。
「でも、まあ」
キランは、噂をすれば、というようにやってきたアメリアを見て少し笑った。
「所長が久しぶりに楽しそうだから、いいとするかな」
「そうですね」
スバルも頷いた。黒いローブのフードを深々とかぶり、いつもながら顔のわからないアメリアだったが、そのフードの下では間違いなく笑顔を作っているだろうと、ふたりには確信があった。
イベントの開催が決まった経緯については、一カ月ほど、時をさかのぼる。
アメリアはそのころ、いつになく口数が少なかった。目深にかぶったフードの下に表情を隠すことはいつものことだったが、それでも隠しきれない陰鬱さが漂っていた。
メフィストとの、戦い。そしてそこで、失われた命。
それが、原因だった。
失われた命のひとつ、弱小貴族ヒューゴ・レンダックの葬儀に、アメリアは出席した。そこで、ある人物と久しぶりの対面をする。
カリム・ルッツバードだった。王国の有力貴族である彼は、若くして当主となりながらも政治力・経済力を充分に持ち、企業運営にも力を発揮している実力者であった。穏やかな表情の顔立ちもまた、上品で甘い。
空の研究所の後援者である彼は、ヒューゴ・レンダックと友人関係であったという。そもそも、アメリアとヒューゴの間に縁ができたのは、このルッツバード氏の橋渡しによるものだ。
ルッツバード氏は、公の場にめったに顔を出さない。済ませられるものはすべて、秘書を代役に立てている。アメリアも、空の研究所の支援について契約を交わして以来、顔を合わせていなかった。
「お久しぶりですねーえ」
しめやかに執り行われた葬儀のあと、アメリアはルッツバード氏に声をかけた。話をしておかなければならないと、思ったのだ。
「お久しぶりです、アメリア所長。……できれば、もっと違う場で再会したかったところですが」
ルッツバード氏は、穏やかに挨拶をした。笑みは浮かべていなかったものの、きわめて冷静である。友人の葬儀に出た姿とはとても思えなかった。
(凄まじい自制心の持ち主ですねーえ)
後援する研究所のオープニング・セレモニーですら代理を立てた人物だ。つまり、彼が葬儀に出席しているというその事実だけで、ヒューゴの死を心から悼んでいるということの裏づけになる。彼がこの穏やかな顔の下にどれほどの憤りと無念さを抱いているかがうかがい知れて、アメリアは息を飲んだ。
「お話したいことがございます、アメリア所長。おそらく、貴女からもあるのではありませんか」
「ええ。ございますねーえ」
こうした会話を交わし、その一週間後に、アメリアはルッツバード邸に招かれた。そこで交わされた会話の内容は、ふたりだけしか知らない。だが、もっとも重要なのは。
「空の研究所は王国派の機関であること」を前面に押し出す。
ということを、決定した点である。
そのためには、「空の研究所」の知名度を上げなければならない。いかに優れた機関で、王国を支えるにふさわしく、気軽には手出しのできないところであると、印象付けることが必要になってくるのだ。
それは、長きに渡って研究所が狙われているという事実も鑑みた決定だった。
かくして。
「研究発表会を行いますよーお」
アメリアは、キランとスバルにそう言い放ったのである。
「研究の結果、我が研究所では飛行魔法「マジックフライト」の実用化に成功しました。これを、大々的に発表し、魔法と研究所の知名度を底上げするつもりです。協力してくれますよねーえ?」
「もちろんです」
力強く頷くのはスバル。
「飛行魔法、ようやくか! おマッチどうさまでした、ってな!」
と、懐からマッチを取り出して下手な駄洒落を言うキラン。
「ただの研究発表会ではおもしろくありません。派手にパフォーマンスをしたいと思いますよーお。会場には、王都にほど近い牧場を借り受けました」
アメリアは計画を話し始めた。
「その牧場に直径十メートルの平面ステージを作ります」
「なんだよ、もうそんなにしっかり決まっているのか? 事前の相談、なしかよ!」
「平面ステージ、とはなんですか?」
キランの言葉は黙殺され、アメリアはスバルの質問にのみ答えた。
「まあ、つまり、牧場の中に柵で円を作るだけですねーえ。観客にはその柵の外側でパフォーマンスを見ていただきます」
「平面、で問題ないんですか? 見やすいように、段差を作った方が……。あ、そうか」
「ええ、そうです」
アメリアは嬉しそうに笑った。
「パフォーマンスは、空で行われるのですからねーえ。段差は必要ありませんよーお」
「ま、そりゃそうだよな」
黙殺されたことにもめげず、キランがうんうん、と頷く。空の研究所の研究員として、キランも飛行魔法への思いが深いのだ。へこんでなどいられない。
「この魔法を利用したアイテムも発表予定ですがねーえ、まあ、これはまだ先のお楽しみということで、まずは、お披露目と行く予定です」
「忙しくなりそうだな!」
そう、そしてまさしく忙しくなった。怒涛の準備期間に突入したのだ。
そして今、離陸のときを迎える。
解説
■成功条件
飛行スキル「マジックフライト」のお披露目パフォーマンスを成功させる。
■マジックフライト
空の研究所が研究した結果、実用化に成功したスキル。
研究経過については『【空の研究】Fly high!』を参照(ただし、途中経過であり、実用化スキルとは条件が異なるため注意)。
マジックフライトの使用条件は以下の通り。
・魔術師(マギステル)のみが使用可能。
・自分や味方の装備している武器に飛行能力を付与する。それが杖ではなくても、剣や槍のようなものでも浮遊させ、それに乗ったり掴まったりして空を飛ぶことができる。あくまで武器に飛行の力を付与しているため、手放したりしまったりすると効果は切れてしまう。
・効果時間は6ラウンド
■お披露目パフォーマンス
「マジックフライト」を用いて披露することのできる、パフォーマンスを各自考えて行うことが可能。
ただし、以下の行為は禁止とする。
・観客が被害を受ける可能性のあるものを落下させる(紙、花びら等はOK。液体はNG)
・飛行速度を試す行為(移動速度は時速15kmまで。自転車での移動速度に匹敵)
また、アメリアは「大きな布を浮かせ、虹を出現させる」というパフォーマンスを予定。
※パフォーマンスを共同で行うメンバーは全員が明記をお願いします。
※「マジックフライト」は味方の武器にも付与できるスキルであるため、参加者の中にマギステルがひとりもいなくてもパフォーマンスに問題はありません。
※重傷・重体状態であっても参加は可能ですが、状況によってはパフォーマーではなく観客やアシスタントとなっていただきます。ご了承ください。
飛行スキル「マジックフライト」のお披露目パフォーマンスを成功させる。
■マジックフライト
空の研究所が研究した結果、実用化に成功したスキル。
研究経過については『【空の研究】Fly high!』を参照(ただし、途中経過であり、実用化スキルとは条件が異なるため注意)。
マジックフライトの使用条件は以下の通り。
・魔術師(マギステル)のみが使用可能。
・自分や味方の装備している武器に飛行能力を付与する。それが杖ではなくても、剣や槍のようなものでも浮遊させ、それに乗ったり掴まったりして空を飛ぶことができる。あくまで武器に飛行の力を付与しているため、手放したりしまったりすると効果は切れてしまう。
・効果時間は6ラウンド
■お披露目パフォーマンス
「マジックフライト」を用いて披露することのできる、パフォーマンスを各自考えて行うことが可能。
ただし、以下の行為は禁止とする。
・観客が被害を受ける可能性のあるものを落下させる(紙、花びら等はOK。液体はNG)
・飛行速度を試す行為(移動速度は時速15kmまで。自転車での移動速度に匹敵)
また、アメリアは「大きな布を浮かせ、虹を出現させる」というパフォーマンスを予定。
※パフォーマンスを共同で行うメンバーは全員が明記をお願いします。
※「マジックフライト」は味方の武器にも付与できるスキルであるため、参加者の中にマギステルがひとりもいなくてもパフォーマンスに問題はありません。
※重傷・重体状態であっても参加は可能ですが、状況によってはパフォーマーではなく観客やアシスタントとなっていただきます。ご了承ください。
マスターより
ごきげんいかがでしょうか。紺堂カヤでございます。
お待たせいたしました!
空を飛ぶ魔法です!!
紺堂にとっても、アメリアにとっても悲願の魔法でございます。
そして、魔法を扱うすべての方の心をふるわせる魔法であると信じております。
是非、純粋に、空への憧れを持って参加していただけたらと思います。そして少しだけでも、「空の研究所」のこれからを考えていただけたら幸いでございます。
質問には可能な範囲でアメリアが対応いたします。出発の24時間前までにお願いいたします。
お待たせいたしました!
空を飛ぶ魔法です!!
紺堂にとっても、アメリアにとっても悲願の魔法でございます。
そして、魔法を扱うすべての方の心をふるわせる魔法であると信じております。
是非、純粋に、空への憧れを持って参加していただけたらと思います。そして少しだけでも、「空の研究所」のこれからを考えていただけたら幸いでございます。
質問には可能な範囲でアメリアが対応いたします。出発の24時間前までにお願いいたします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/12/18 16:47
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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空の研究所相談卓 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/12/13 00:03:47 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/11 20:41:19 |