ゲスト
(ka0000)
白銀のおとぎ話・1
マスター:樹シロカ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/12/22 15:00
- リプレイ完成予定
- 2018/01/05 15:00
オープニング
●バチャーレ村の冬
同盟の農業推進地域ジェオルジ領内に、バチャーレという小さな村がある。
「手をつなぐ」という意味を持つ村に移り住んだサルヴァトーレ・ロッソの避難民たちにとっては、二度目の冬だ。
今は近隣の村々とも良好な関係を保ち、ジェオルジ領内からの移住者も増え、独立した共同体としてどうにか形を整えつつある。
村の代表はサイモン・小川(kz0211)といって、元々ロッソの植物プラントの管理技術者だった青年だ。
「さむ……!」
折角治った風邪がぶり返しそうな冷たい風が吹き付け、サイモンは震えあがる。
「去年もこんなに寒かったっけ?」
サイモンが首を傾げたところで、賑やかな声が響き渡る。
「ふええええん!」
「エリオ! あんたまたビアンカにいたずらしたね!!」
「ちげえって! ビアンカがレベッカのペンダントを勝手に触ってたんだよ!」
「ビアンカは自分のを持ってるのよ!」
「レベッカ、あんたおねえちゃんなんだよ、ちょっとぐらい貸してやんな!」
「やだああああ!!」
ジェオルジの別の村から移り住んできたアニタ・マネッティとその子供たちだ。
「あら村長さん、こんにちは。いつもうるさくてごめんねえ」
アニタはサイモンに愛想よくそう言った後、振り向いて子供達を叱りつける。
「ほら、さっさとお手伝いをすますんだよ! こんな寒い日に焚き木が切れたら、ブフェーラ・ディ・ネーレにさらわれっちまうよ!!」
一番年上のエリオは鼻を鳴らしたが、レベッカとビアンカは顔をこわばらせた。
子供たちがお手伝いに向かったのを見て、サイモンはアニタに尋ねる。
「なんですか、そのぶふぇ……?」
「ブフェーラ・ディ・ネーレ。吹雪の魔物だよ」
アニタは笑いながら、ジェオルジの一部で語り継がれるおとぎ話を教えてくれた。
それは女とも男ともつかない綺麗な青白い顔をしていて、いつも寒くて震えている魔物。
暖かさに嫉妬し、豊かさに嫉妬し、人のつながりに嫉妬する。
冬には幼子に冷たい息を吹きかけて母親から奪おうとし、夏には冷たすぎる風を送って作物の実りを台無しにしようとするという――。
「でも今年の冬は、この辺りにしちゃ随分と寒いね。ほんとにネーレでも出そうだよ」
「やはりいつもより寒いですか?」
「元々小麦が年に2回も収穫できるような場所なんだろ? それにしちゃ寒いよね」
アニタの言うとおりだった。
サイモンが更に何か言おうと口を開いたが、言葉は遮られた。
「主任……!」
ひとりの村人が、足をもつれさせながら現れたのだ。良く見ると、右肩が真っ赤に染まっている。
「どうした、何があったんだ!?」
「VOIDが……歪虚が出たんです!!」
リアルブルーから移住した仲間の言葉に、サイモンが一瞬言葉を失った。
●廃坑の歪虚
緊急の要請を受けて到着したハンター達に、サイモンはいつもの通り丁寧に挨拶した。
だが顔色は青ざめ、黒い瞳は暗く落ち窪んでいる。
「最近ではあの辺りに、歪虚は全く見られなかったのですが……」
村の傍を流れるキアーラ川の上流の森に古い廃坑がある。
長らく近付く者もいなかったが、バチャーレ村の産業になりそうな、魅力的な貴石の鉱脈がまだ残っている可能性があった。
地質学の専門家であるマリナが調査を始めたが、すぐ近くに地精霊の依り代となる祠が見つかり、それを狙った歪虚が出たり、当の精霊が拗ねたりして、なかなか進まないでいる。
雪が降る前に少しでもと、数人で廃坑の様子を見に行ったのだが。
一団が内部に入ったすぐ後、外に待機していた見張り2名が歪虚に襲われたのだ。
「彼らは負傷しましたが、命に別条はありません。……地精霊マニュス・ウィリディスが歪虚の気を逸らして、助けてくれたそうです」
だが精霊にも歪虚を排除するだけの力はない。
見張りはひとまずその場を逃れ、報告に戻ってきたという訳だった。
「可能性が少しでも残っているなら……全員を助けてやりたいんです。お願いします」
――最悪の場合、『回収』だけでも。
言葉にはならなかった思いが、ハンター達にはわかってしまうのだった。
同盟の農業推進地域ジェオルジ領内に、バチャーレという小さな村がある。
「手をつなぐ」という意味を持つ村に移り住んだサルヴァトーレ・ロッソの避難民たちにとっては、二度目の冬だ。
今は近隣の村々とも良好な関係を保ち、ジェオルジ領内からの移住者も増え、独立した共同体としてどうにか形を整えつつある。
村の代表はサイモン・小川(kz0211)といって、元々ロッソの植物プラントの管理技術者だった青年だ。
「さむ……!」
折角治った風邪がぶり返しそうな冷たい風が吹き付け、サイモンは震えあがる。
「去年もこんなに寒かったっけ?」
サイモンが首を傾げたところで、賑やかな声が響き渡る。
「ふええええん!」
「エリオ! あんたまたビアンカにいたずらしたね!!」
「ちげえって! ビアンカがレベッカのペンダントを勝手に触ってたんだよ!」
「ビアンカは自分のを持ってるのよ!」
「レベッカ、あんたおねえちゃんなんだよ、ちょっとぐらい貸してやんな!」
「やだああああ!!」
ジェオルジの別の村から移り住んできたアニタ・マネッティとその子供たちだ。
「あら村長さん、こんにちは。いつもうるさくてごめんねえ」
アニタはサイモンに愛想よくそう言った後、振り向いて子供達を叱りつける。
「ほら、さっさとお手伝いをすますんだよ! こんな寒い日に焚き木が切れたら、ブフェーラ・ディ・ネーレにさらわれっちまうよ!!」
一番年上のエリオは鼻を鳴らしたが、レベッカとビアンカは顔をこわばらせた。
子供たちがお手伝いに向かったのを見て、サイモンはアニタに尋ねる。
「なんですか、そのぶふぇ……?」
「ブフェーラ・ディ・ネーレ。吹雪の魔物だよ」
アニタは笑いながら、ジェオルジの一部で語り継がれるおとぎ話を教えてくれた。
それは女とも男ともつかない綺麗な青白い顔をしていて、いつも寒くて震えている魔物。
暖かさに嫉妬し、豊かさに嫉妬し、人のつながりに嫉妬する。
冬には幼子に冷たい息を吹きかけて母親から奪おうとし、夏には冷たすぎる風を送って作物の実りを台無しにしようとするという――。
「でも今年の冬は、この辺りにしちゃ随分と寒いね。ほんとにネーレでも出そうだよ」
「やはりいつもより寒いですか?」
「元々小麦が年に2回も収穫できるような場所なんだろ? それにしちゃ寒いよね」
アニタの言うとおりだった。
サイモンが更に何か言おうと口を開いたが、言葉は遮られた。
「主任……!」
ひとりの村人が、足をもつれさせながら現れたのだ。良く見ると、右肩が真っ赤に染まっている。
「どうした、何があったんだ!?」
「VOIDが……歪虚が出たんです!!」
リアルブルーから移住した仲間の言葉に、サイモンが一瞬言葉を失った。
●廃坑の歪虚
緊急の要請を受けて到着したハンター達に、サイモンはいつもの通り丁寧に挨拶した。
だが顔色は青ざめ、黒い瞳は暗く落ち窪んでいる。
「最近ではあの辺りに、歪虚は全く見られなかったのですが……」
村の傍を流れるキアーラ川の上流の森に古い廃坑がある。
長らく近付く者もいなかったが、バチャーレ村の産業になりそうな、魅力的な貴石の鉱脈がまだ残っている可能性があった。
地質学の専門家であるマリナが調査を始めたが、すぐ近くに地精霊の依り代となる祠が見つかり、それを狙った歪虚が出たり、当の精霊が拗ねたりして、なかなか進まないでいる。
雪が降る前に少しでもと、数人で廃坑の様子を見に行ったのだが。
一団が内部に入ったすぐ後、外に待機していた見張り2名が歪虚に襲われたのだ。
「彼らは負傷しましたが、命に別条はありません。……地精霊マニュス・ウィリディスが歪虚の気を逸らして、助けてくれたそうです」
だが精霊にも歪虚を排除するだけの力はない。
見張りはひとまずその場を逃れ、報告に戻ってきたという訳だった。
「可能性が少しでも残っているなら……全員を助けてやりたいんです。お願いします」
――最悪の場合、『回収』だけでも。
言葉にはならなかった思いが、ハンター達にはわかってしまうのだった。
解説
●依頼内容
廃坑付近に現れた歪虚の撃退
廃坑内部に残っていると思われる被害者の救出
●敵情報(一般人の目撃者による)
オオカミ型歪虚複数。
全身真っ白。体長1m余りの小型が数体と、一回り大型の1体が目撃されている。
現在は小型が2体、鉱山の入り口付近にいる。
牙と爪による攻撃の他、吠え声を聞くと身体がすくんだ、近くで息を吐きかけられると寒くて動けなくなった、という証言あり。
●他、追加情報
・襲撃からおよそ1昼夜経過。天気は曇り。かなり寒く、日差しは感じられない
・地精霊は力を使い果たしたのか、その後姿が見えず
・坑内にはマリナ含め3名。全員登山用の装備あり。但し、入口に繋いだロープは切れている
・歪虚はマリナ達が入った場所とは別の出入口から出てきた模様
・廃坑の小型歪虚2体がいる辺りは約30m四方の岩場。苔で滑りやすい。周囲は森
・坑道は立って移動できる高さ。幅は4mほど。奥へ向かってゆるく下っている。OP画像と違って灯りはなし。分岐あり。簡単な図面あり
・道案内にサイモンが同行。戦闘では邪魔にならないように離れている
(※PL情報としては配慮不要。放置したせいでサイモンが襲われるなどという罠はありません)
・事前、もしくは事後に、アニタ含めNPCとの会話可能
●今回は質問卓なしでお願いします。足りない情報はご相談の上で予測してください。
バチャーレ村と地精霊のこれまでについては、サイモン・小川(kz0211)の関連シナリオと当方の過去シナリオの【郷祭】【春郷祭】【血盟】にありますが、お読みいただかなくても今回のご参加には問題ありません。
廃坑付近に現れた歪虚の撃退
廃坑内部に残っていると思われる被害者の救出
●敵情報(一般人の目撃者による)
オオカミ型歪虚複数。
全身真っ白。体長1m余りの小型が数体と、一回り大型の1体が目撃されている。
現在は小型が2体、鉱山の入り口付近にいる。
牙と爪による攻撃の他、吠え声を聞くと身体がすくんだ、近くで息を吐きかけられると寒くて動けなくなった、という証言あり。
●他、追加情報
・襲撃からおよそ1昼夜経過。天気は曇り。かなり寒く、日差しは感じられない
・地精霊は力を使い果たしたのか、その後姿が見えず
・坑内にはマリナ含め3名。全員登山用の装備あり。但し、入口に繋いだロープは切れている
・歪虚はマリナ達が入った場所とは別の出入口から出てきた模様
・廃坑の小型歪虚2体がいる辺りは約30m四方の岩場。苔で滑りやすい。周囲は森
・坑道は立って移動できる高さ。幅は4mほど。奥へ向かってゆるく下っている。OP画像と違って灯りはなし。分岐あり。簡単な図面あり
・道案内にサイモンが同行。戦闘では邪魔にならないように離れている
(※PL情報としては配慮不要。放置したせいでサイモンが襲われるなどという罠はありません)
・事前、もしくは事後に、アニタ含めNPCとの会話可能
●今回は質問卓なしでお願いします。足りない情報はご相談の上で予測してください。
バチャーレ村と地精霊のこれまでについては、サイモン・小川(kz0211)の関連シナリオと当方の過去シナリオの【郷祭】【春郷祭】【血盟】にありますが、お読みいただかなくても今回のご参加には問題ありません。
マスターより
叶うことなら春まで冬眠したい。樹シロカです。
舞台はバチャーレ村ですが、珍しく(?)シリアス展開です。
今回は初見の敵で情報も少ないため、難易度も少し高めになっています。
シリーズ形式ではありませんが、本シナリオが連作の1話目になります。これも私のシナリオは珍しいですね。
暫くお付き合いいただけましたら幸いです。
ただし連作とはいえ、成功度についてはそのシナリオでの目的が達成できるかどうかにかかっています。
今後の展開の予測よりも、シナリオの目的達成を目指したプレイングを評価いたします。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
舞台はバチャーレ村ですが、珍しく(?)シリアス展開です。
今回は初見の敵で情報も少ないため、難易度も少し高めになっています。
シリーズ形式ではありませんが、本シナリオが連作の1話目になります。これも私のシナリオは珍しいですね。
暫くお付き合いいただけましたら幸いです。
ただし連作とはいえ、成功度についてはそのシナリオでの目的が達成できるかどうかにかかっています。
今後の展開の予測よりも、シナリオの目的達成を目指したプレイングを評価いたします。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/01/12 02:00
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓です。 天王寺茜(ka4080) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/12/21 22:48:31 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/19 19:09:39 |