ゲスト
(ka0000)
【星籤】血塗れの巨人
マスター:鹿野やいと

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/12/26 15:00
- リプレイ完成予定
- 2018/01/09 15:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
対VOID戦におけるCAMの有用性はクラスタ攻略戦によって不動の物となった。必要不可欠な装備として増産に次ぐ増産を重ねているCAMだが、絶対数の不足が徐々に解消されるにつれて新たな問題点が議論されるようになった。これまで戦場を支えてきた汎用性を重視した設計が、ここにきて機能の欠如に直結する事態となったのである。例の一つに面制圧火力の不足が上げられる。これまではCAM以外の通常兵器との連携によって補っていたが、クラスタ内部で連携を断たれた状態ではその不具合がクラスタ攻略の難度に直結する。
CAM「ダインスレイブ」はこのような背景の中でデュミナスを素体として設計が開始された。この機体の開発が優先された経緯には、クラスタ内部での使用回数が圧倒的に多いハンターからの要望も汲んでのものであった。ダインスレイブは腰部へ連結する左右1門の大口径砲と複数種類の砲弾、それらを統括して管理・運用を補助する背部の補助アームなどの新装備を主力とするが、基礎となるデュミナスのデータが膨大な為に設計から試作1号機の完成まで長い時間を要することはなかった。試作1号機の試験終了をもって、ダインスレイブは生産型の設計へと移ることとなる。
要望通りの機体のテストであると気軽な気持ちでこの試験に臨んだハンター達。月面の崑崙基地で一通りのテストを終えた後、彼らには大きな敵が待ち構えていた。テスト実施の監督を務めたガーゴイル大隊のブラッドリー・ゴーラム中佐は、何時もと変わらない口調で事も無げにハンター達に告げる。
「テストの実施、御苦労だった。ではテストの内容に関して各々所見をレポートにまとめていただきたい」
役所というのは書類で動く。何人かは忘れていたし、何人かは気にも留めていなかった。適当に済ませて怒られることはないだろうが、適当に済ませては完成品の出来栄えに悪影響があるかもしれない。テスト終了から30分、ハンター達は慣れない作業に悪戦苦闘していた。
ハンターに要求されている内容は難しくはない。リアルブルー以外でのCAMの運用方法、クラスタでのCAMの運用を踏まえた上での要望を書き綴るだけだ。それ故にほとんどのメンバーが苦悩した。完成した形が見えるからこそ、自分の今後使う道具にまつわる内容に関して質を要求してしまうのだ。原稿が完成した者も完成していない者も、頭を悩ませながらまだ机の前でうなっている。
ハンター達の苦悩を他所に、作業の終わった軍人達が順番に部屋を去っていく。その中に一人、明らかに年齢の低い青年が紛れ込んでいた。
「それを元の棚に戻したら、今日はそのまま上がりなさい」
「はい、中佐」
答える青年、カイル・ハンソン准尉に対する最初の印象は「場違い」であった。彼の年の頃は15前後に見えた。側頭部を刈り上げたベリーショートの髪型にやや釣り目の双眸。細身ながらも引き締まった体は、やや痩せているようにも見えた。利発的で活発的にも見えるが、本来の特性を軍服の下に押し込めているような不自然さも感じる。大人びた雰囲気であるので本当はもっと年齢は上かもしれないが、どちらにせよ大人達の組織で働くにはまだ若すぎる。彼はハンター達の視線に気づき小さく会釈すると「失礼します」と定型通りの言葉を残して部屋を辞した。
ゴーラム中佐はハンター達が言葉にしなかった疑問に答えるようにぽつりと呟いた。
「彼は強化人間だ。私の部隊でも一人預かる事になった」
ああ、やはり。それで大体の事情を察した。強化人間にはある種の適性が必要と彼らから聞いている。基本的な実験は済んでいるにせよ、運用上では実験的な要素がつきまとうのだろう。何名かの若い強化人間がそうであるように、彼もまた体のいい人体実験の被験者なのだ。その必要が無ければもっと大々的に強化人間を増やしているだろう。
「外交というのは不足を補う事はあっても、依存を深めてはならない。この件でいえばクラスタの存在がそうだ。現在の地球側の戦力で、完成したクラスタへの突入が可能なのは強化人間を乗せたCAMだけだ。VOIDが再びクラスタを作った場合、我々は彼らを送り込むことになるだろう。私は時期が来ればその命令を下すことになる」
子供を盾に。ゴーラム中佐はそう明言した。クラスタ戦を想定するなら前段階として彼らの部隊こそ犠牲になるだろうが、危険度では内部突入が段違いに危険なのは間違いない。
「いつか君たちの覚悟のほども聞いておきたい。状況に流されるしかなかった身の上であっても、覚悟の有無で価値は変わる」
熱の無い淡々とした問いかけが静まった室内に妙に響く。全てを拾う事のできない現状を如何に自分で整理してきたのか。いつかまた、大きな戦闘が始まればそれを契機に決断を迫られることになるだろう。
今の心が果たして価値あるものなのか、その答えだけは来たるべき日までに見定めておく必要があるだろう。
●
選択肢は存在しない。身を売る事の罪悪感を持つ前に、僕らには明日を生きる糧が必要だった。世界が残酷とは思わない。人が滅びるかどうかの瀬戸際でも、手を差し伸べてくれる人がいた。身を売るだけで安寧が買えるなら十分妥当な買い物だ。
大人達は優しい。彼の故郷である街の大人達よりもずっと。第一に大人を殴る子供がいない。それでもその優しさに甘えてしまう心に何度も歯止めがかかる。彼らの優しさの半分は、末期の老人に対する労りに似ている。いつかは死を命じられる関係だ。その事実が壁となっていることは大人達も自分も理解しているが、理解してるがゆえに今の関係を崩すことが出来ないままでいた。距離を崩せば身を守る術さえ失ってしまう
「…………」
廊下の途上で立ち止まったカイルはディスプレイに移る星空を見上げた。空に広がる暗黒の中では見慣れた星も瞬くことはない。地球の映像に懐かしさを感じたこともあったが、今では遠い記憶のような気がしている。崑崙は寒い。どこかで置き去りにした感情の欠落を自分に突きつける。
カイルはイングリッド・ヘッグ中尉に見つかるまで、ゆっくりと動くその映像の星空を眺めていた。
対VOID戦におけるCAMの有用性はクラスタ攻略戦によって不動の物となった。必要不可欠な装備として増産に次ぐ増産を重ねているCAMだが、絶対数の不足が徐々に解消されるにつれて新たな問題点が議論されるようになった。これまで戦場を支えてきた汎用性を重視した設計が、ここにきて機能の欠如に直結する事態となったのである。例の一つに面制圧火力の不足が上げられる。これまではCAM以外の通常兵器との連携によって補っていたが、クラスタ内部で連携を断たれた状態ではその不具合がクラスタ攻略の難度に直結する。
CAM「ダインスレイブ」はこのような背景の中でデュミナスを素体として設計が開始された。この機体の開発が優先された経緯には、クラスタ内部での使用回数が圧倒的に多いハンターからの要望も汲んでのものであった。ダインスレイブは腰部へ連結する左右1門の大口径砲と複数種類の砲弾、それらを統括して管理・運用を補助する背部の補助アームなどの新装備を主力とするが、基礎となるデュミナスのデータが膨大な為に設計から試作1号機の完成まで長い時間を要することはなかった。試作1号機の試験終了をもって、ダインスレイブは生産型の設計へと移ることとなる。
要望通りの機体のテストであると気軽な気持ちでこの試験に臨んだハンター達。月面の崑崙基地で一通りのテストを終えた後、彼らには大きな敵が待ち構えていた。テスト実施の監督を務めたガーゴイル大隊のブラッドリー・ゴーラム中佐は、何時もと変わらない口調で事も無げにハンター達に告げる。
「テストの実施、御苦労だった。ではテストの内容に関して各々所見をレポートにまとめていただきたい」
役所というのは書類で動く。何人かは忘れていたし、何人かは気にも留めていなかった。適当に済ませて怒られることはないだろうが、適当に済ませては完成品の出来栄えに悪影響があるかもしれない。テスト終了から30分、ハンター達は慣れない作業に悪戦苦闘していた。
ハンターに要求されている内容は難しくはない。リアルブルー以外でのCAMの運用方法、クラスタでのCAMの運用を踏まえた上での要望を書き綴るだけだ。それ故にほとんどのメンバーが苦悩した。完成した形が見えるからこそ、自分の今後使う道具にまつわる内容に関して質を要求してしまうのだ。原稿が完成した者も完成していない者も、頭を悩ませながらまだ机の前でうなっている。
ハンター達の苦悩を他所に、作業の終わった軍人達が順番に部屋を去っていく。その中に一人、明らかに年齢の低い青年が紛れ込んでいた。
「それを元の棚に戻したら、今日はそのまま上がりなさい」
「はい、中佐」
答える青年、カイル・ハンソン准尉に対する最初の印象は「場違い」であった。彼の年の頃は15前後に見えた。側頭部を刈り上げたベリーショートの髪型にやや釣り目の双眸。細身ながらも引き締まった体は、やや痩せているようにも見えた。利発的で活発的にも見えるが、本来の特性を軍服の下に押し込めているような不自然さも感じる。大人びた雰囲気であるので本当はもっと年齢は上かもしれないが、どちらにせよ大人達の組織で働くにはまだ若すぎる。彼はハンター達の視線に気づき小さく会釈すると「失礼します」と定型通りの言葉を残して部屋を辞した。
ゴーラム中佐はハンター達が言葉にしなかった疑問に答えるようにぽつりと呟いた。
「彼は強化人間だ。私の部隊でも一人預かる事になった」
ああ、やはり。それで大体の事情を察した。強化人間にはある種の適性が必要と彼らから聞いている。基本的な実験は済んでいるにせよ、運用上では実験的な要素がつきまとうのだろう。何名かの若い強化人間がそうであるように、彼もまた体のいい人体実験の被験者なのだ。その必要が無ければもっと大々的に強化人間を増やしているだろう。
「外交というのは不足を補う事はあっても、依存を深めてはならない。この件でいえばクラスタの存在がそうだ。現在の地球側の戦力で、完成したクラスタへの突入が可能なのは強化人間を乗せたCAMだけだ。VOIDが再びクラスタを作った場合、我々は彼らを送り込むことになるだろう。私は時期が来ればその命令を下すことになる」
子供を盾に。ゴーラム中佐はそう明言した。クラスタ戦を想定するなら前段階として彼らの部隊こそ犠牲になるだろうが、危険度では内部突入が段違いに危険なのは間違いない。
「いつか君たちの覚悟のほども聞いておきたい。状況に流されるしかなかった身の上であっても、覚悟の有無で価値は変わる」
熱の無い淡々とした問いかけが静まった室内に妙に響く。全てを拾う事のできない現状を如何に自分で整理してきたのか。いつかまた、大きな戦闘が始まればそれを契機に決断を迫られることになるだろう。
今の心が果たして価値あるものなのか、その答えだけは来たるべき日までに見定めておく必要があるだろう。
●
選択肢は存在しない。身を売る事の罪悪感を持つ前に、僕らには明日を生きる糧が必要だった。世界が残酷とは思わない。人が滅びるかどうかの瀬戸際でも、手を差し伸べてくれる人がいた。身を売るだけで安寧が買えるなら十分妥当な買い物だ。
大人達は優しい。彼の故郷である街の大人達よりもずっと。第一に大人を殴る子供がいない。それでもその優しさに甘えてしまう心に何度も歯止めがかかる。彼らの優しさの半分は、末期の老人に対する労りに似ている。いつかは死を命じられる関係だ。その事実が壁となっていることは大人達も自分も理解しているが、理解してるがゆえに今の関係を崩すことが出来ないままでいた。距離を崩せば身を守る術さえ失ってしまう
「…………」
廊下の途上で立ち止まったカイルはディスプレイに移る星空を見上げた。空に広がる暗黒の中では見慣れた星も瞬くことはない。地球の映像に懐かしさを感じたこともあったが、今では遠い記憶のような気がしている。崑崙は寒い。どこかで置き去りにした感情の欠落を自分に突きつける。
カイルはイングリッド・ヘッグ中尉に見つかるまで、ゆっくりと動くその映像の星空を眺めていた。
解説
・依頼内容
試験機のテストに参加・レポート作成(PC向け)
・シナリオの要旨
どさイベの星籤で要望のありました砲撃機を、世界観に実装する為の依頼です
この依頼を出している段階で反映可能な要望は全て反映しています
・PCのできる事
1.CAMの詳細に関して要望
『PCのレポート』という形態で受け付けます
2.質問への思考実験他
究極の選択に対するスタンスなど、状況を踏まえてのRPなども可能です
3.他
めんどくせえ! 俺は昼寝するぜ!!
などのさぼるRPも可能です
要望はないけどレポートを出すRP、なども可能です
●CAM「ダインスレイブ」の決定事項
範囲攻撃が可能な砲戦型CAMです
データ上ではCAMの機動力とヴォルカニウスのような砲撃機能
を併せ持った機体になります
以上の内容は確定ですが細部はまだ変更の余地があります
性能、スキルなどで削る・特化する・平均化するなど
値段含めてある程度は要望通りに変動します
●NPC
・ガーゴイル大隊
「【蒼乱】崑崙の空を行く」が初出です。
名前付きの人物は変わらず生存しています
・ブラッドリー・ゴーラム中佐
CAM操作技術も私生活も機械じみた男。一応善人だがOPの通り理論に寄り過ぎて冷たい
・カイル・ハンソン准尉
強化人間の青年。外見は15歳程度に見えるが、発育不良で実年齢は17歳。
命令系統ではゴーラム中佐が上長。普段の生活はその他の隊員で見ている。
部隊になじめないことを気にしている
・イングリッド・ヘッグ中尉
CAM大隊の遠距離砲撃担当。カイルのお守り担当その1。最近戦闘が減ったのでお肌の調子が良い
試験機のテストに参加・レポート作成(PC向け)
・シナリオの要旨
どさイベの星籤で要望のありました砲撃機を、世界観に実装する為の依頼です
この依頼を出している段階で反映可能な要望は全て反映しています
・PCのできる事
1.CAMの詳細に関して要望
『PCのレポート』という形態で受け付けます
2.質問への思考実験他
究極の選択に対するスタンスなど、状況を踏まえてのRPなども可能です
3.他
めんどくせえ! 俺は昼寝するぜ!!
などのさぼるRPも可能です
要望はないけどレポートを出すRP、なども可能です
●CAM「ダインスレイブ」の決定事項
範囲攻撃が可能な砲戦型CAMです
データ上ではCAMの機動力とヴォルカニウスのような砲撃機能
を併せ持った機体になります
以上の内容は確定ですが細部はまだ変更の余地があります
性能、スキルなどで削る・特化する・平均化するなど
値段含めてある程度は要望通りに変動します
●NPC
・ガーゴイル大隊
「【蒼乱】崑崙の空を行く」が初出です。
名前付きの人物は変わらず生存しています
・ブラッドリー・ゴーラム中佐
CAM操作技術も私生活も機械じみた男。一応善人だがOPの通り理論に寄り過ぎて冷たい
・カイル・ハンソン准尉
強化人間の青年。外見は15歳程度に見えるが、発育不良で実年齢は17歳。
命令系統ではゴーラム中佐が上長。普段の生活はその他の隊員で見ている。
部隊になじめないことを気にしている
・イングリッド・ヘッグ中尉
CAM大隊の遠距離砲撃担当。カイルのお守り担当その1。最近戦闘が減ったのでお肌の調子が良い
マスターより
CAMダインスレイブの開発シナリオを担当させていただきます
ダインスレイブの開発シナリオはこれ1本で、シナリオ終了後に諸々の調整がつき次第リリースされると思います
新型CAMへの要望受付の場でもありますが、「機体開発に参加するというRP」を楽しむ
という気軽な気持ちで御参加いただければ幸いです
ダインスレイブの開発シナリオはこれ1本で、シナリオ終了後に諸々の調整がつき次第リリースされると思います
新型CAMへの要望受付の場でもありますが、「機体開発に参加するというRP」を楽しむ
という気軽な気持ちで御参加いただければ幸いです
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/01/12 19:31
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/12/24 20:05:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/12/23 09:29:15 |