ゲスト
(ka0000)
【陶曲】そして、永遠は物語り(下-1巻)
マスター:のどか

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/01/06 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/01/20 07:30
オープニング
●怪異の伝導
依頼の資料をまとめながら、ルミ・ヘヴンズドア(kz0060)は先ほど相談に来た老人のことを思い返していた。
変な人だったな――と言うのは依頼人に対して失礼なので流石に口には出せなかったが、そう思うことくらいは彼女の中での自由だろう。
何が変か。
そう聞かれると弱ったものはある。
少なくとも人の形となりはしていたし、別に魚面というわけでもない。
ただ、依頼を頼みに来たにしては肝心の村のことに関してはあまり語ることはせず、淡々と状況だけを伝えて帰っていった。
ただ、どこか余所余所しさというか、終始辺りを人を気にするように視線を泳がせたり、ずいぶんと貧乏ゆすりが過ぎたり、しきりに骨ばったしわしわの指を揉んでいたりと……なにぶん落ち着きがない様子がなんとも目に付く。
声もおどおどとしているわけではないのだが小さく聞き取りづらく、なおかつぶっきらぼうで、焦っているような怒っているような、なんともいえない様子を感じさせる。
都市から大きく離れた集落特有の、なんというか排他的な空気をそれだけでもひしひしと感じていたわけだが、それでもわざわざこうしてオフィスを訪ねて村のために依頼を出して行く姿を見れば、少なくとも悪い人ではないんだろうなと思うことはできた。
「でも、やっぱり変な人でしたね」
抑えられずに思わず口にしてから、はっとして辺りをちらりと見渡す。
誰も聞いていなかったのを確認して、彼女は息をついた。
どんなに変だったとしても依頼は依頼だ。
しかも、内容からするに最近の同盟周辺の怪異事件と関係があるのは明白である。
それを肝に銘じながら、仕上げた依頼書をチェックするように再び目を通した。
その漁村に異変があったのは半月ほど前のこと。
陸の孤島のような寂れた村では、月に1度だけ家々の持ち回りで、村中から頼まれた必需品や嗜好品を買ってくるためポルトワールの中心街へと向かう習わしがあった。
そんな役を、今月はとある若い漁師が担う。
彼が大きなリヤカーを引いて街へと向かい、帰って来たのはよかったが――その晩、事件は起こった。
大役を終えて久しぶりの家族団欒、ゆっくりと冬の夜を過ごしていたさ中に彼は発狂した。
騒ぎを聞いて駆け付けた近隣住民に取り押さえられる中で見た、その真っ赤に染まった瞳は今でもはっきり覚えているという。
それからというもの、まるで感染症のように村のあちこちで狂気の発症事件が相次いだ。
それまで静かなことだけが取り柄であった村の中に、夜な夜な老若男女問わない人々の叫びがこだまする。
やがてそれぞれの家々で面倒を見切れる状態ではないと判断した村長は、患者たちを一時的に寄り合い所へ集め――隔離し、こうしてオフィスを頼って来たというわけだ。
「ヴァリオスの件もありますし、何事もないと良いですケド」
煮え切らない想いを抱きながらも、資料に担当者のサインを入れようとしてそのペンが止まった。
「……村長さんの名前聞くの忘れてた。まっ、いっか☆」
笑顔でサインを入れて、依頼はオフィスに張り出される。
●海沿いの漁村
「えっとぉ……ここ、みたいですね~」
柵の傍に車を止めたフィオーレは、手にした地図をダッシュボードの上に投げながら凝り固まった背筋をうんと伸ばしてみせた。
それからガラスごしに目の前に広がる村の光景を見て、小さくため息をつき――隣で唸る上司の姿を見て、もう一度小さくため息をつく。
「大丈夫ですぅ?」
相も変わらすグロッキー状態のアンナ=リーナ・エスト(kz0108)は、助手席のドアにもたれ掛かりながら、手の平だけふらふらと宙を彷徨わせて返事をする。
「すまない……少し休めば大丈夫だ」
「なら、良いんですけれど~」
ピョンと車から飛び降りて、彼女はもう一度辺りの風景に視線を巡らせる。
周囲を海と山に囲まれたその姿はまさしく陸の孤島と呼ぶのにふさわしい。
昼間だが村の中に人通りはなく、入り江に点在する僅かな家々からもくもくと暖の煙だけが立ち上る。
それらを山の枯れ木が取り囲む姿は、この町だけが世界から取り残されているかのようにも感じさせた。
「……行こうか、時間が惜しい」
バタンと扉の音が聞こえて視線を向けると、げっそりとした表情のアンナが荷台から愛用のアタッシュケースを取り出している。
声を掛けても良かったのだが、それがどれほど意味のあることか。
フィオーレは何も言わずに運転席に手を突っ込むと、先ほど投げた地図を引っ張り出した。
4人だったエスト隊も残りは2人。
入院中の2人のためにも、この事件は解決しなければならないのだ。
いくら世間知らずの箱入り娘だからといって、仮にも他2人よりも年長者である彼女もそのくらいのことは分かっている。
それに解決がきっとバンの容体を良くしてくれると――そんな淡い希望を持たずには、彼女はこうしていられなかった。
「目標は海沿いの方みたいですね~。ここからは歩いて行きましょう」
「ああ……」
先導するフィオーレに付き添う形で、2人は閑散とした村へと足を踏み入れる。
冷たい潮風が、容赦なく彼女らの間を吹き抜けていった。
依頼の資料をまとめながら、ルミ・ヘヴンズドア(kz0060)は先ほど相談に来た老人のことを思い返していた。
変な人だったな――と言うのは依頼人に対して失礼なので流石に口には出せなかったが、そう思うことくらいは彼女の中での自由だろう。
何が変か。
そう聞かれると弱ったものはある。
少なくとも人の形となりはしていたし、別に魚面というわけでもない。
ただ、依頼を頼みに来たにしては肝心の村のことに関してはあまり語ることはせず、淡々と状況だけを伝えて帰っていった。
ただ、どこか余所余所しさというか、終始辺りを人を気にするように視線を泳がせたり、ずいぶんと貧乏ゆすりが過ぎたり、しきりに骨ばったしわしわの指を揉んでいたりと……なにぶん落ち着きがない様子がなんとも目に付く。
声もおどおどとしているわけではないのだが小さく聞き取りづらく、なおかつぶっきらぼうで、焦っているような怒っているような、なんともいえない様子を感じさせる。
都市から大きく離れた集落特有の、なんというか排他的な空気をそれだけでもひしひしと感じていたわけだが、それでもわざわざこうしてオフィスを訪ねて村のために依頼を出して行く姿を見れば、少なくとも悪い人ではないんだろうなと思うことはできた。
「でも、やっぱり変な人でしたね」
抑えられずに思わず口にしてから、はっとして辺りをちらりと見渡す。
誰も聞いていなかったのを確認して、彼女は息をついた。
どんなに変だったとしても依頼は依頼だ。
しかも、内容からするに最近の同盟周辺の怪異事件と関係があるのは明白である。
それを肝に銘じながら、仕上げた依頼書をチェックするように再び目を通した。
その漁村に異変があったのは半月ほど前のこと。
陸の孤島のような寂れた村では、月に1度だけ家々の持ち回りで、村中から頼まれた必需品や嗜好品を買ってくるためポルトワールの中心街へと向かう習わしがあった。
そんな役を、今月はとある若い漁師が担う。
彼が大きなリヤカーを引いて街へと向かい、帰って来たのはよかったが――その晩、事件は起こった。
大役を終えて久しぶりの家族団欒、ゆっくりと冬の夜を過ごしていたさ中に彼は発狂した。
騒ぎを聞いて駆け付けた近隣住民に取り押さえられる中で見た、その真っ赤に染まった瞳は今でもはっきり覚えているという。
それからというもの、まるで感染症のように村のあちこちで狂気の発症事件が相次いだ。
それまで静かなことだけが取り柄であった村の中に、夜な夜な老若男女問わない人々の叫びがこだまする。
やがてそれぞれの家々で面倒を見切れる状態ではないと判断した村長は、患者たちを一時的に寄り合い所へ集め――隔離し、こうしてオフィスを頼って来たというわけだ。
「ヴァリオスの件もありますし、何事もないと良いですケド」
煮え切らない想いを抱きながらも、資料に担当者のサインを入れようとしてそのペンが止まった。
「……村長さんの名前聞くの忘れてた。まっ、いっか☆」
笑顔でサインを入れて、依頼はオフィスに張り出される。
●海沿いの漁村
「えっとぉ……ここ、みたいですね~」
柵の傍に車を止めたフィオーレは、手にした地図をダッシュボードの上に投げながら凝り固まった背筋をうんと伸ばしてみせた。
それからガラスごしに目の前に広がる村の光景を見て、小さくため息をつき――隣で唸る上司の姿を見て、もう一度小さくため息をつく。
「大丈夫ですぅ?」
相も変わらすグロッキー状態のアンナ=リーナ・エスト(kz0108)は、助手席のドアにもたれ掛かりながら、手の平だけふらふらと宙を彷徨わせて返事をする。
「すまない……少し休めば大丈夫だ」
「なら、良いんですけれど~」
ピョンと車から飛び降りて、彼女はもう一度辺りの風景に視線を巡らせる。
周囲を海と山に囲まれたその姿はまさしく陸の孤島と呼ぶのにふさわしい。
昼間だが村の中に人通りはなく、入り江に点在する僅かな家々からもくもくと暖の煙だけが立ち上る。
それらを山の枯れ木が取り囲む姿は、この町だけが世界から取り残されているかのようにも感じさせた。
「……行こうか、時間が惜しい」
バタンと扉の音が聞こえて視線を向けると、げっそりとした表情のアンナが荷台から愛用のアタッシュケースを取り出している。
声を掛けても良かったのだが、それがどれほど意味のあることか。
フィオーレは何も言わずに運転席に手を突っ込むと、先ほど投げた地図を引っ張り出した。
4人だったエスト隊も残りは2人。
入院中の2人のためにも、この事件は解決しなければならないのだ。
いくら世間知らずの箱入り娘だからといって、仮にも他2人よりも年長者である彼女もそのくらいのことは分かっている。
それに解決がきっとバンの容体を良くしてくれると――そんな淡い希望を持たずには、彼女はこうしていられなかった。
「目標は海沿いの方みたいですね~。ここからは歩いて行きましょう」
「ああ……」
先導するフィオーレに付き添う形で、2人は閑散とした村へと足を踏み入れる。
冷たい潮風が、容赦なく彼女らの間を吹き抜けていった。
解説
▼目的
怪異事件の解決
“不定の歪虚”の撃破or調査
▼概要
ポルトワールの漁村で起きている怪事件を捜査・解決してください。
狂気症状が人々の間で広がっていくという事件概要は、ここ数か月に同盟の都市部を中心に発生している事件と酷似しており、“不定の歪虚”が関わっている可能性が高いです。
調査の末に同歪虚の撃破、ないしはその手がかりを掴むことも今回の目的のひとつとなっています。
現場にはエスト隊のアンナとフィオーレが別件で訪れています。
合流することで軍との情報共有が可能です。
▼舞台
ポルトワール沿岸にある小さな漁村です。
全面を海ないしは山に囲まれた陸の孤島となっており、外部との交流が少ないせいかどこか排他的な空気が支配しています。
入り江も複雑で大きな船が入る事はできず、定置網による漁業が街の唯一の資産です。
依頼主は村長。
海風で傷んだ白髪頭の壮年の元漁師です。
娘婿と、その娘である孫と3人で暮らしています。
その他も大小さまざまな数十世帯が住むばかりの、本当に小さな村です。
病院はなく、狂人は全て村の寄り合い所に集めてあります。
都市部に比べれば人数は大したことはありませんが、それでも村にとっては大きな打撃です。
▼敵情報
・“不定の歪虚”
のっぺりとした蝋燭人形のような姿の歪虚です。
緑炎による攻撃や、怪異の狂気歪虚を使役することができます。
神出鬼没で、その力の概要などもまだ分かっておりません。
ヴァリオスでハンター達が対峙した際は、出鱈目なほどの実力を見せつけています。
▼PL情報
アンナたちはこの村の「とある家」を調べに来ています。
それが事件にどう関係するか軍も分かっていませんが、解決の手掛かりはあるのでは――と望みを抱いています。
怪異事件の解決
“不定の歪虚”の撃破or調査
▼概要
ポルトワールの漁村で起きている怪事件を捜査・解決してください。
狂気症状が人々の間で広がっていくという事件概要は、ここ数か月に同盟の都市部を中心に発生している事件と酷似しており、“不定の歪虚”が関わっている可能性が高いです。
調査の末に同歪虚の撃破、ないしはその手がかりを掴むことも今回の目的のひとつとなっています。
現場にはエスト隊のアンナとフィオーレが別件で訪れています。
合流することで軍との情報共有が可能です。
▼舞台
ポルトワール沿岸にある小さな漁村です。
全面を海ないしは山に囲まれた陸の孤島となっており、外部との交流が少ないせいかどこか排他的な空気が支配しています。
入り江も複雑で大きな船が入る事はできず、定置網による漁業が街の唯一の資産です。
依頼主は村長。
海風で傷んだ白髪頭の壮年の元漁師です。
娘婿と、その娘である孫と3人で暮らしています。
その他も大小さまざまな数十世帯が住むばかりの、本当に小さな村です。
病院はなく、狂人は全て村の寄り合い所に集めてあります。
都市部に比べれば人数は大したことはありませんが、それでも村にとっては大きな打撃です。
▼敵情報
・“不定の歪虚”
のっぺりとした蝋燭人形のような姿の歪虚です。
緑炎による攻撃や、怪異の狂気歪虚を使役することができます。
神出鬼没で、その力の概要などもまだ分かっておりません。
ヴァリオスでハンター達が対峙した際は、出鱈目なほどの実力を見せつけています。
▼PL情報
アンナたちはこの村の「とある家」を調べに来ています。
それが事件にどう関係するか軍も分かっていませんが、解決の手掛かりはあるのでは――と望みを抱いています。
マスターより
おはようございます、のどかです。
シリーズ3回目となります今回と、4回目の次回とは前後編のような形になっています。
失敗がなければ、この2話でシリーズを締めくくる想定です。
もちろん、データ的には今回だけでも解決は可能ですよ。
その場合は次回まるまるエピローグシナリオとなります。
質問がございましたら、別途卓を立ててご用命ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
シリーズ3回目となります今回と、4回目の次回とは前後編のような形になっています。
失敗がなければ、この2話でシリーズを締めくくる想定です。
もちろん、データ的には今回だけでも解決は可能ですよ。
その場合は次回まるまるエピローグシナリオとなります。
質問がございましたら、別途卓を立ててご用命ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/01/21 02:06
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/01/03 18:09:14 |
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相談卓 シェリル・マイヤーズ(ka0509) 人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/01/06 07:15:41 |
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質問卓 シェリル・マイヤーズ(ka0509) 人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2018/01/02 11:59:15 |