ゲスト
(ka0000)
【虚動】ポンコツアーマーと共食い整備
マスター:稲田和夫

このシナリオは2日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/02 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/13 22:00
オープニング
5年前に起こった王国を襲う災厄、その再来たるイスルダ島の歪虚の襲来は、クリムゾンウェストの世界を駆け巡り、震撼させた。
異界より到来したラッツィオ島での戦い、そして帝国に再び姿を現した剣機の歪虚。
世界を覆ういくつもの邪悪の影は、各国、各地域の首脳陣をリゼリオへと呼び集める。
人類の明日を、如何に守るべきか。
異世界リアルブルーの人々も交えた会合により、人類の希望は二つの兵器に託される。
一つは、蒼き世界の機械の巨人、サルヴァトーレ・ロッソに眠る戦闘装甲機「CAM」。
だがそれは、必要な燃料の入手に苦慮し、動くことはあたわなかった。
一つは、帝国の練魔院にて研究されてきた魔導アーマー。
長年の研究の結果、稼働実験にまで漕ぎ着けた、新たなる力。
そして世界は、二つの力を合わせることを選択する。
魔導アーマーの動力をCAMに搭載する実験が提唱され、世界はそれに向けて動き出した。
仮に実験が成功すれば、人類は歪虚に対抗する大きな手段を得るだろう。
だが……。
●
「以上だ」
CAMのエンジンや、魔導アーマーを巡る動きが活発になり喧騒に包まれるゾンネンシュトラール帝国首都バルトアンデルス。
そこにある第一師団の詰所の一つで、第一師団副長であるヴィタリー・エイゼンシュテイン(kz0059)は、椅子に座ったまま説明を終えた。
聞いていた女性兵士は、直立不動のまま答える。
「はっ。しかし、錬魔院の誇る技術がこうも軽々しく……技術屋共は無神経に過ぎます」
錬魔院院長ナサニエル・カロッサ(kz0028)がCAMの動力として魔導アーマーのエンジンを接収した事を不服とした魔導アーマーの開発陣は、ある行動に出た。
許可も取らず独断で魔導アーマーをCAMの起動実験が行われる辺境に持ち込み、そこで直接魔導アーマーの優位性を実証しようというのだ。
当然ながら、帝国の治安維持をも担う第一師団として、この事態を放置という訳にはいかない。
「我々が追跡していたグループの一つに、魔導アーマーを運ぶため、既に廃車となった機導トラックを再整備して辺境を目指した一団がある。それが、途中山道に入ったのを最後に消息不明となった」
エイゼンシュテインが地図で指したのは帝国と辺境の国境に位置し、第二師団フュアアイネが統治するサンクトケルンテンベルク州の山岳地帯である。
「ハルクスたちには会場の警備がある。余裕は無い」
既に初老に差し掛かった第二師団副長の名前を口にする時、一瞬男は懐かしそうに目を細めた。
「直ちに捜索へ向います」
踵を鳴らし、最敬礼を行うその女性兵士は制服をぴっちりと着こなし、制帽まで被っておりいかにも軍人然としている。
だが、眼鏡の奥から覗く険しい眼光とは裏腹にその身長は人間の少女くらいしかなかった。
「オレーシャ兵長」
そのまま退出しようとしたオレーシャをエイゼンシュテインは呼び止める。
「任務完了後は実験場へ移動。一時的に第二師団に出向扱いとした上で警備への参加を命じる」
オレーシャの目が急に輝き出した。
「と、ということは、その、リアルブルーの機械をこの目で……」
無言で肯定するエイゼンシュテイン。
「あ、ありがとうございますっ!」
「なお、今回は任務の性質を鑑みて迅速に覚醒者を揃える必要があった。ハンターに依頼を出している」
オレーシャの表情が険しくなる。
「彼らが選挙の際の反体制派摘発作戦で何をしたのかお忘れではないでしょう。我々の提案を蹴り、恩情で事を納めようとした結果、市民や兵士が傷つきかねない事態を招いた」
「だからこそ、だ」
エイゼンシュテインは全く動じない。
「剣機討伐の際の彼らの健闘は聞いているだろう。今一度、機会を与えてみるのも不当ではあるまい」
●
帝国北部。サンクトケルンテンベルク州の山岳地帯。その山道に機導トラックが止まっていた。
エンジンを調べていた錬魔院の技術者が怒鳴る。
「駄目だ! エンジン自体は無事だが、補助する部品が駄目になってやがる! くそ……だからこんな事止めようと言ったんだ!」
「何だと! 一番乗り気だったのはお前じゃないか!」
別の技術者が怒鳴る。
「よせ! ナサニエルの奴の鼻を明かすためには、そのCAMとかいうデク人形の実験場に、これを直接持ち込むしかないというのが俺達の結論だった筈だ!」
リーダー格らしい技術者はそう皆を諌めると、防水シートを被っている荷台の魔導アーマーを見た。
「おい、見ろ! コボルドだ!」
仲間が悲鳴を上げる。
トラックを格好の獲物と判断したのだろう。一匹のコボルドが粗末な武器を構えて茂みの中から襲い掛かって来た。
悲鳴を上げる技術者たち。
「伏せろ!」
その時、凛とした女性の声が響くと同時に、何か重い物が空を切る音が響き、コボルドの頭がぐしゃりと弾けた。
呆然とする技術者たちに、自身が投擲したモンキーレンチを回収したオレーシャは声を張り上げた。
「全員動くな。帝国第一師団の憲兵としての権限により貴様らとトラック及び輸送中の荷は一時的に我が軍が接収する」
技術者たちは、がっくりと項垂れた。
●
「トラックが動かんだと?」
リーダー格の男の言葉を聞いたオレーシャは険しい表情で腕を組んだ。
既に辺りは暗くなっている。このままここに留まり続ければ、寒さだけでなく、新たなコボルドに襲われる可能性も高くなるだろう。
「ちっ、見せてみろ」
オレーシャはトラックのエンジンを開けて中を確かめた。
「あ、あんた……解るのか? 憲兵の癖に」
「これでも帝国育ちのドワーフの端くれだ……なるほど、部品が完全に壊れているな。となると……」
オレーシャは躊躇せず、荷台の魔道アーマーの動力部を開ける。
「ふん、かなり改造してあるが、無理をすればトラックの規格に合わせられん事も無いか」
慣れた手つきで、荷台に合った工具箱を引っ掻き回すオレーシャに、技術者の一人が叫ぶ。
「待ってくれ! アーマーの部品は相当デリケートに調整してあるんだ! そんなことをしたら実験場でアーマーを動かせなくなる!」
「では、この魔導アーマーを山の中に放置するか?」
技術者たちは悔しそうに沈黙した。
「理解できたようだな。なら、私を手伝え。それから……」
オレーシャは転移門からここまで同行して来たあなたたちハンターを見る。
「貴様たちはコボルドの襲撃を警戒しろ。すぐに新手が来るだろう。相手はコボルトだが油断などするな。二度も私を失望させないでくれ」
オレーシャはそう述べると振り向いて魔導アーマーの装甲を撫でた。
「お前も災難だったな。許せ。守るべきは技術を生み出す者たちの手であるべきだから」
異界より到来したラッツィオ島での戦い、そして帝国に再び姿を現した剣機の歪虚。
世界を覆ういくつもの邪悪の影は、各国、各地域の首脳陣をリゼリオへと呼び集める。
人類の明日を、如何に守るべきか。
異世界リアルブルーの人々も交えた会合により、人類の希望は二つの兵器に託される。
一つは、蒼き世界の機械の巨人、サルヴァトーレ・ロッソに眠る戦闘装甲機「CAM」。
だがそれは、必要な燃料の入手に苦慮し、動くことはあたわなかった。
一つは、帝国の練魔院にて研究されてきた魔導アーマー。
長年の研究の結果、稼働実験にまで漕ぎ着けた、新たなる力。
そして世界は、二つの力を合わせることを選択する。
魔導アーマーの動力をCAMに搭載する実験が提唱され、世界はそれに向けて動き出した。
仮に実験が成功すれば、人類は歪虚に対抗する大きな手段を得るだろう。
だが……。
●
「以上だ」
CAMのエンジンや、魔導アーマーを巡る動きが活発になり喧騒に包まれるゾンネンシュトラール帝国首都バルトアンデルス。
そこにある第一師団の詰所の一つで、第一師団副長であるヴィタリー・エイゼンシュテイン(kz0059)は、椅子に座ったまま説明を終えた。
聞いていた女性兵士は、直立不動のまま答える。
「はっ。しかし、錬魔院の誇る技術がこうも軽々しく……技術屋共は無神経に過ぎます」
錬魔院院長ナサニエル・カロッサ(kz0028)がCAMの動力として魔導アーマーのエンジンを接収した事を不服とした魔導アーマーの開発陣は、ある行動に出た。
許可も取らず独断で魔導アーマーをCAMの起動実験が行われる辺境に持ち込み、そこで直接魔導アーマーの優位性を実証しようというのだ。
当然ながら、帝国の治安維持をも担う第一師団として、この事態を放置という訳にはいかない。
「我々が追跡していたグループの一つに、魔導アーマーを運ぶため、既に廃車となった機導トラックを再整備して辺境を目指した一団がある。それが、途中山道に入ったのを最後に消息不明となった」
エイゼンシュテインが地図で指したのは帝国と辺境の国境に位置し、第二師団フュアアイネが統治するサンクトケルンテンベルク州の山岳地帯である。
「ハルクスたちには会場の警備がある。余裕は無い」
既に初老に差し掛かった第二師団副長の名前を口にする時、一瞬男は懐かしそうに目を細めた。
「直ちに捜索へ向います」
踵を鳴らし、最敬礼を行うその女性兵士は制服をぴっちりと着こなし、制帽まで被っておりいかにも軍人然としている。
だが、眼鏡の奥から覗く険しい眼光とは裏腹にその身長は人間の少女くらいしかなかった。
「オレーシャ兵長」
そのまま退出しようとしたオレーシャをエイゼンシュテインは呼び止める。
「任務完了後は実験場へ移動。一時的に第二師団に出向扱いとした上で警備への参加を命じる」
オレーシャの目が急に輝き出した。
「と、ということは、その、リアルブルーの機械をこの目で……」
無言で肯定するエイゼンシュテイン。
「あ、ありがとうございますっ!」
「なお、今回は任務の性質を鑑みて迅速に覚醒者を揃える必要があった。ハンターに依頼を出している」
オレーシャの表情が険しくなる。
「彼らが選挙の際の反体制派摘発作戦で何をしたのかお忘れではないでしょう。我々の提案を蹴り、恩情で事を納めようとした結果、市民や兵士が傷つきかねない事態を招いた」
「だからこそ、だ」
エイゼンシュテインは全く動じない。
「剣機討伐の際の彼らの健闘は聞いているだろう。今一度、機会を与えてみるのも不当ではあるまい」
●
帝国北部。サンクトケルンテンベルク州の山岳地帯。その山道に機導トラックが止まっていた。
エンジンを調べていた錬魔院の技術者が怒鳴る。
「駄目だ! エンジン自体は無事だが、補助する部品が駄目になってやがる! くそ……だからこんな事止めようと言ったんだ!」
「何だと! 一番乗り気だったのはお前じゃないか!」
別の技術者が怒鳴る。
「よせ! ナサニエルの奴の鼻を明かすためには、そのCAMとかいうデク人形の実験場に、これを直接持ち込むしかないというのが俺達の結論だった筈だ!」
リーダー格らしい技術者はそう皆を諌めると、防水シートを被っている荷台の魔導アーマーを見た。
「おい、見ろ! コボルドだ!」
仲間が悲鳴を上げる。
トラックを格好の獲物と判断したのだろう。一匹のコボルドが粗末な武器を構えて茂みの中から襲い掛かって来た。
悲鳴を上げる技術者たち。
「伏せろ!」
その時、凛とした女性の声が響くと同時に、何か重い物が空を切る音が響き、コボルドの頭がぐしゃりと弾けた。
呆然とする技術者たちに、自身が投擲したモンキーレンチを回収したオレーシャは声を張り上げた。
「全員動くな。帝国第一師団の憲兵としての権限により貴様らとトラック及び輸送中の荷は一時的に我が軍が接収する」
技術者たちは、がっくりと項垂れた。
●
「トラックが動かんだと?」
リーダー格の男の言葉を聞いたオレーシャは険しい表情で腕を組んだ。
既に辺りは暗くなっている。このままここに留まり続ければ、寒さだけでなく、新たなコボルドに襲われる可能性も高くなるだろう。
「ちっ、見せてみろ」
オレーシャはトラックのエンジンを開けて中を確かめた。
「あ、あんた……解るのか? 憲兵の癖に」
「これでも帝国育ちのドワーフの端くれだ……なるほど、部品が完全に壊れているな。となると……」
オレーシャは躊躇せず、荷台の魔道アーマーの動力部を開ける。
「ふん、かなり改造してあるが、無理をすればトラックの規格に合わせられん事も無いか」
慣れた手つきで、荷台に合った工具箱を引っ掻き回すオレーシャに、技術者の一人が叫ぶ。
「待ってくれ! アーマーの部品は相当デリケートに調整してあるんだ! そんなことをしたら実験場でアーマーを動かせなくなる!」
「では、この魔導アーマーを山の中に放置するか?」
技術者たちは悔しそうに沈黙した。
「理解できたようだな。なら、私を手伝え。それから……」
オレーシャは転移門からここまで同行して来たあなたたちハンターを見る。
「貴様たちはコボルドの襲撃を警戒しろ。すぐに新手が来るだろう。相手はコボルトだが油断などするな。二度も私を失望させないでくれ」
オレーシャはそう述べると振り向いて魔導アーマーの装甲を撫でた。
「お前も災難だったな。許せ。守るべきは技術を生み出す者たちの手であるべきだから」
解説
★目的
オレーシャたちが共食い整備でトラックの修理を完了させるまで一行を守る。
★状況
辛うじて機導トラック一台が通れるくらいの山道。既に日は落ちかけており周囲は薄暗くなっている。道の両側は樹や藪に覆われ視界は悪い。
★敵
・コボルドの群れ
クリムゾンウェストに生息する敵対的な亜人。知能は低いが獣並というほどでもなく、簡単な武器を使う。
総数は不明だが、その繁殖力が最大の脅威とされている種族なので相応の数が存在していると考えられる。
★味方NPC
オレーシャ
ドワーフの第一師団兵士。本来は首都などを警備する憲兵の様な立場らしい。
武器はスレッジハンマーを使う他、持ち歩いているモンキーレンチを投げつける。
以前の依頼の経緯から、余りハンターをあまり信用していない。
『【選挙】喜劇の幕は誰が上げる』
に登場。
魔導アーマー開発チーム
6名。全員一般人。今回のように、勝手に魔導アーマーを持ち出して辺境を目指したグループは複数あり、彼らはその一つである。
なお、今回はNPCによる質疑は不可能とする。
オレーシャたちが共食い整備でトラックの修理を完了させるまで一行を守る。
★状況
辛うじて機導トラック一台が通れるくらいの山道。既に日は落ちかけており周囲は薄暗くなっている。道の両側は樹や藪に覆われ視界は悪い。
★敵
・コボルドの群れ
クリムゾンウェストに生息する敵対的な亜人。知能は低いが獣並というほどでもなく、簡単な武器を使う。
総数は不明だが、その繁殖力が最大の脅威とされている種族なので相応の数が存在していると考えられる。
★味方NPC
オレーシャ
ドワーフの第一師団兵士。本来は首都などを警備する憲兵の様な立場らしい。
武器はスレッジハンマーを使う他、持ち歩いているモンキーレンチを投げつける。
以前の依頼の経緯から、余りハンターをあまり信用していない。
『【選挙】喜劇の幕は誰が上げる』
に登場。
魔導アーマー開発チーム
6名。全員一般人。今回のように、勝手に魔導アーマーを持ち出して辺境を目指したグループは複数あり、彼らはその一つである。
なお、今回はNPCによる質疑は不可能とする。
マスターより
お世話になっております。稲田です。
全Div参加のCAM連動シナリオ【虚動】。
今回の依頼は、ナサニエルの強引な行動が起こした珍騒動です。
解説にもありますが、魔導アーマーは複数存在します。なので、これは既に公開されているブリジッタのアーマーとは別の機体となります。
開発局や魔導アーマーには可哀そうですが、命あっての物種です。しっかり守ってあげてください。
それでは、興味をもっていただければ幸いです。
全Div参加のCAM連動シナリオ【虚動】。
今回の依頼は、ナサニエルの強引な行動が起こした珍騒動です。
解説にもありますが、魔導アーマーは複数存在します。なので、これは既に公開されているブリジッタのアーマーとは別の機体となります。
開発局や魔導アーマーには可哀そうですが、命あっての物種です。しっかり守ってあげてください。
それでは、興味をもっていただければ幸いです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/12 18:05
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 弥勒 明影(ka0189) 人間(リアルブルー)|17才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/12/02 19:39:08 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/28 21:40:43 |