• 戦闘

はもんのつづき

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/01/25 07:30
リプレイ完成予定
2018/02/03 07:30

オープニング

 詩天へ戻った日、初名は速疾隊の隊士達が出迎えてくれた。
 隊士達は私服姿の為、非番だろうかと初名は思案するも、彼らの元気な姿を見て安堵の笑みを浮かべる。
 再会を喜ぶのも束の間、初名は出迎えた隊士達の様子に異変を感じた。
 何かあったのかと尋ねようとする初名を制して、ここから離れましょうと言わんばかりに隊士は行動を促す。
 市中は昼間の時間もあってか、いつも通りの賑わいを見せている。
「初名先生、おかえり!」
 顔見知った患者から声を掛けられ、初名は「ただいま戻りました」と笑顔で返す。短い世間話の間も隊士達は警戒を怠っていなかった。

 無事に屯所へ着くと、変わりない様子であり、枯葉と風に吹き荒らされた玄関を掃いていたのは待機中の即疾隊一番隊長である壬生和彦。
「壬生隊長、掃き掃除なんかは新人にやらせてください……」
「玄関は人目につくもの。気がついたら誰かがやらねばならない、それは隊長でも……」
 相変わらず前髪を伸ばして目元を隠す一番隊長は注意をする隊士に言葉を返す。
「隊長が雑用をするのかと市中に笑いものにされます」
「初名先生を心配したり、暇なのは皆一緒です」
 最後の一押しに負けた和彦は大人しく掃除をやめる。
 そんなやり取りを見ていた初名は堪えきれず、鈴を転がしたように笑いだす。
「ただいま戻りました。壬生隊長」
「おかえりなさい。初名先生……それは?」
 和彦が尋ねたのは、彼女が抱える布に包まれた長物。
「局長、副局長のご挨拶の時にお話しします」
 そう言って、初名は屯所の中へ入っていった。

 局長と副局長も揃っており、初名は改めて帰還の挨拶を行う。
「とはいえ、長旅となり大変だっただろう」
 局長が労わると、初名は今回の旅で経験した話を始めた。
 亀田医師の親友である刀匠白賀時光より、若かりし頃の話を伝える。
 才能ある剣士だったが、非覚醒者である故に鬱屈した日々を送っていた事、親が病魔に冒されたのを切っ掛けに医師を目指した事……。
 入れ違いに白賀は彼の為に刀を完成させたが、それは剣を捨てた彼の手に届くことはなかった。
 同じ場所で二度の窃盗に遭ってしまった刀であるが、その刀を然るべき人物に振るってほしく、初名は詩天に刀を持って帰った事を告げる。
「私に……ですか」
 思わぬご指名に和彦は目を丸くしてしまう。
「壬生隊長に思うところがあるのは存じております。ですが、貴方様にと……」
 即疾隊一番隊長である壬生和彦には一部の者しか知らない秘密がある。
 偽名であり、現詩天の敵対勢力の武将についていた古流剣術道場の現当主。
 自身は決戦を逃されて参加できずにおり、後に討ち死にした父親が歪虚の力で生ける屍として辻斬りをしていた。その父の管理をしていたのが和彦の母の父である亀田藤五郎だった。
 藤五郎は死に、父は和彦とハンターによって救いの死を受けた。
 和彦としても、胸中の整理がつきそうな頃である。
「すぐにとは申しません。お考え願います」
 控えめに呟く初名に和彦は曖昧な返事を返すだけだった。
「それはともかくとして……初名先生、暫くは即疾隊の屯所にて生活を行って頂きたい」
 申し出たのは前沢に初名は首を傾げる。
「如何されたのですか?」
「今、詩天には反幕府派である鬼哭組がいる。こちらも手を打っているが……貴女が狙われる可能性があるやもしれない」
 前沢が提示した情報に初名は隊士達の様子を思い出す。
「道理で警戒されているのですね」
「昼間は診療所を開いても構わねぇよ。ただ、午後からは屯所にいてくれ。寝る時は秋吉のところで寝てくれ」
 俺のところでもいいだがなとセクハラまがいに笑いを取る江邨に前沢と意外にも和彦のきつい視線が刺さる。
「おお怖い。西方でいうところの『しすこん』というやつだな」
「亀田医師の弟子ならば、私にとって『きょうだい』ですので」
 和彦が言えば、「摩耶さんのところでお世話になります」と初名は笑った。

 亀田診療所が久しぶりに開いた。
 知る人ぞ知る若峰の美人医師は勉強熱心だと皆が誉めている。
「皆さん、順番ですよー!」
 初名が言えば、皆がそれに従う。

 なんとか年を越せたが、昼は診療所、夜は即疾隊屯所というサイクルは変わっていなかった。
 急病時は屯所に来るようにと言っているので、患者達も了承してくれている。
 昼間は隊服を脱いだ隊士達が初名の警護と雑用をしていた。
 普段は規律厳しい隊士達であるが、物腰の柔らかい者が対応し、更なる地位向上を狙ったりしていた。時折、一番隊隊長の壬生和彦が顔を出したりすると、女性患者の黄色い悲鳴が飛んだりする。
 鏡開きも過ぎた頃、初名は老人患者を玄関まで送っていった。
「初名先生、ありがとうなぁ」
「六郎おじいさんが最後ですし、今日だけですよ」
 そう言う初名に老人は心配そうな顔をする。
「最近はまた若峰でよくない輩を見かける。野犬も多いし、お前さんには危ない目にあってほしくないなぁ」
「大丈夫です。ご心配、ありがとうございます」
 即疾隊が守ってくれるとはいえ、いつ、何が起こるかわからない。
 初名は事情を知ってても、この亀田診療所の主だった亀田医師は患者
 患者が角を曲がるまで見送っていると、笠を被った浪人風の男が立っている。
「もし……?」
 初名が尋ねると、浪人は警戒させてしまったと非礼を詫びる。
「以前にこちらを歩いていた際、門が閉じていたため、無人だったのかと思いまして」
「ああ、左様ですか。今は昼まで開いておりまして。何か不調が?」
 心配する初名の様子に浪人は悪いところはないと告げた。
「ただの好奇心故、御免」
 それだけ言い、浪人は去ってしまった。
 笠を被っていたため、あまり顔立ちは見えなかったが、かなり整っていたような気がする。
「初名先生! 昼間とはいえ、危ないですよーー!」
 隊士が初名の方へと駆けてくる。
「すみません。もう、終わりですので、片づけましょう」
 軽い調子で謝る初名はすぐに診療所へひっこんでしまう。

 翌朝、初名と当番の隊士達が亀田診療所の門の前に立った時、異変に気付いた。
「錠前をこじ開けようとした……?」
 隊士の一人が、勝手口と錠前を括りつける部分と、錠前が交わるところが削られたような跡が見える。
「門の方も見て来てくれ」
 隊士二人が門の方へ向かうと、すぐに勝手口の方へと向かう。
「おい。玄関にも不審な跡がある」
「門を押して入ろうとしていたようだ」
 門の方へと向かえば、地面に門の下部分が擦れている様子があった。
「……とりあえず、中へ。確認しましょう」
 現状は何か取られたりする様子はなく、胸を撫で下ろして今日のところは診療所を開くことにする。

 帰宅後、局長達に状況を伝えると、局長は肩を落とす。
「ウチも十分な戦力を割くのはキツイ。いっちょ、ハンターに頼むとするか」
 明るい声音で局長が提案すると、皆が動き出した。

解説

依頼内容
初名の警護
不審者捕縛

皆様は即疾隊の依頼を受けて警護に当たってください。
亀田診療所は初名が一人で住んでおり、現在は鬼哭組の件もある為、朝から昼まで診療所を開き、午後からは即疾隊屯所にいます。
ハンターの皆様の考えで診療所を一時閉鎖を提案する場合、初名は従います。
プレイングに一時閉鎖の明記がない場合は診療所を開けます。

失敗は初名の重傷や死亡判定、亀田診療所の破壊行為。

亀田診療所は商業地区に隣接する中流階級の住宅街に構えてます。
人通りはそこそこ、夜は静か。
通りは荷車と人がすれ違えるくらいの広さ。
勝手口と玄関は離れたところにあります。
玄関:冠木門風の両開き、戸締り時は閂をする。
勝手口:内鍵、外鍵兼用の錠前を使用。

OP時、初名が持っていた刀は亀田診療所内に置いてます。

同行NPC
越乃初名:故亀田医師の弟子。
年齢は二十の女性。詩天は若峰で知る人ぞ知る美人医師で即疾隊の主治医。
即疾隊一番隊隊長の壬生和彦は兄のように頼れる存在。
九代目詩天の争いの時に家族を亡くし、亀田医師に助けられて弟子となった。
基本か弱いが、医療に携わる時は別人となる模様。
非覚醒者。
壬生和彦:みぶ・かずひこ。十七歳。即疾隊一番隊隊長。実は詩天に古くからある剣術、葦原流の当主。本名は葦原和彦(あしはら・かずひこ)。
事件を追っていた末に身分を偽って即疾隊へ入隊。
隊員達の厚意で本名は隠したままになっており、それ故、隊員達を大事にする気持ちが強い。
初名は亀田医師の大切な弟子であり、姉のように、妹のように大事にしている。

◆ここからはPL情報
PCの皆さまが対するのは鬼哭組の浪人(覚醒者:舞剣士 刀で戦う)と野犬それぞれ三体です。
二十レベル以下のハンターの方でも対応可能です。
何か操られているようであり、当身などで気を失わせた後、正気に戻ります。
浪人達は鬼哭組に入って間もなく、何も知らないまま若峰入りをしたようです。

マスターより

鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
ご挨拶が遅れました。
新春を寿ぎ謹んでお慶びを申し上げます。
昨年はシナリオ公開本数が減りましたものの、ご贔屓賜り御礼申し上げます。
本年もお引き立てのほど、お願い申し上げます。

初名のシナリオ後半です。
三話から四話で終了予定です。
今年ものんびりふんわりやっていきますので、またアソンデクダサイネ♪

関連NPC

  • 即疾隊一番隊長
    壬生 和彦(kz0205
    人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/01/31 06:23

参加者一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエ(ka3783
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • イコニアの騎士
    宵待 サクラ(ka5561
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 虹彩の奏者
    木綿花(ka6927
    ドラグーン|21才|女性|機導師
  • 勇気ある者
    燐火(ka7111
    鬼|12才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エステル・クレティエ(ka3783
人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/01/24 23:57:46
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/01/23 12:07:40