ゲスト
(ka0000)
阻止せよ! ゴブリン育成計画
マスター:成沢 灯

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 6~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/01/29 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/02/07 19:00
オープニング
●
夕闇が迫る森の中を少女は歩いていた。
その前には兄の背中がある。しかし大股で進むその背は少し気を抜くとすぐに遠ざかってしまう。
「おにいちゃん」
少女はか細い声でそう囁くと慌てて後を追いかけた。
「おにいちゃん、帰ろうよ」
そして何度呼ぼうと振り返ることのない彼の服を力なく掴む。
そこで兄はようやく彼女の方を顧みた。
むっと不機嫌そうに唇を突出して言う。
「おれは帰らない。お前は戻れよ」
「そんな……森に入ったってばれたらおかあさんに怒られちゃうよ」
頑なな兄に少女はそう詰め寄った。
彼女達が暮らす村では年端もいかない少年ばかりを狙った誘拐事件が発生していた。
そのため森へ立ち入らないようにと母からきつく言い含められている。
二人はそれを破ってまで森に入っているのだ。気付かれればきつく叱られるのは避けられない。
もしかしたらそのまま誘拐される危険だってあるのだ。
そんなリスクを冒してまでなぜ森へ足を踏み入れたのか。
それはつい数日前に攫われた兄の友人が理由だった。
「あいつが居なくなったのはおれのせいだ」
まだ誘拐事件が問題視される前。狩りの手伝いをしていた友人と兄。
その日、二人は途中ではぐれてしまい村に戻ったのは彼だけだった。
自分がしっかりしていれば。兄はそう思いながらこの数日を過ごした。
そして居ても立ってもいられなくなり、家を飛び出して友人捜しに乗り出したのだ。
「でも、おじさん達でも見つけられなかったんだよ?」
もちろん、この状況に村が何の対策もとっていないわけがない。
一昨日、昨日と行われた捜索のことは二人とも承知していた。
それでも尚、行方不明になった子ども達を見つけられなかったことも。
だから自分たちがどうにか出来るはずがない。
言外に込められた意味に兄は少女の手を振りほどくと「それでも!」と怒鳴り声を上げた。
少女の小さな体がびくりと震える。
今にも泣き出しそうな顔に少年は一度口を噤み、視線を逸らした。
「とにかく、お前は先に帰れよ」
力のない声だったが、そこに込められた決意は固かった。
「おにいちゃん」
対する少女も涙に濡れた瞳で首を横に振る。帰るのならば兄も一緒に帰りたい。
「お前なあ!」
それに少年は再び声を荒げた。
その時。
がさり、と近くの茂みが音を立てた。
二人、同時に身を竦ませる。
音は徐々に徐々に近付いてきた。
そして音の正体が姿を現したその瞬間、森に響き渡るほどの悲鳴が上がる。
――そして、少年と少女は姿を消した。
●
行方不明になった少女が見つかったのはすっかり夜も更けた真夜中だった。
無事に保護された少女は母に介抱されながら「おにいちゃんが……」と残して気を失ってしまった。
そして翌日、回復した彼女から村の長が話を聞くと、二人は友人を探していたところをゴブリンに襲われたのだという。
逃げる途中で少女は兄とはぐれてしまったため、兄がどうなったかはわからない。
しかし、ゴブリンは兄の方を追いかけていったという。
そのまま森の中を彷徨い、なんとか村にたどり着いたというのが昨日の顛末だった。
村長は少女の話から兄の方は既にゴブリンに捕らえられており、連日の誘拐事件も彼らの仕業だと結論づけた。
そして、村で有志の討伐隊を募り、ゴブリン討伐に乗り出した。
集まったのは村の男達、二十人。
彼らはすぐに森の中へ入ったが、それから数日間戻ってくることはなかった。
森の状態は逼迫しており、これ以上人を派遣することは難しかった。
そうして手をこまねいている内にどんどんと日が過ぎていく。
するとしばらくしてから討伐隊の内の五人が満身創痍の状態で村へと帰還した。
その中には精神を病んでいるのか。禄に言葉を交わせないような者も居た。
村長は可及的速やかにまだ症状の軽い一人から話を聞く。
彼が言うにゴブリンは総勢で三十体程。
森の奥にある洞窟を根城にしているという。
討伐隊はそこでゴブリン達に捕まった。
そこには誘拐された少年達も居たが、大人と子どもは別々に幽閉されたため、救い出すことは叶わなかったという。
そして彼らは棍棒などで殴られるなどの拷問を受けながら戦士となるための訓練を受けさせられた。
なんとかゴブリンの隙を見て大人達は逃げ出したものの、その内の十人程が再び捕らえられ、数名は弓矢で射殺された。
ゴブリンの目的は訓練した人間達を使って近隣の村々を襲わせて支配することだという。
この村も直に乗っ取られる。
男はそう言うと堅く口を閉ざした。
事態を深刻に捉えた村長はこのままではいけないとハンターにゴブリン討伐を依頼することにした。
「もはや我々の手には余る事態です。どうか皆様のお力で村人を救ってください」
夕闇が迫る森の中を少女は歩いていた。
その前には兄の背中がある。しかし大股で進むその背は少し気を抜くとすぐに遠ざかってしまう。
「おにいちゃん」
少女はか細い声でそう囁くと慌てて後を追いかけた。
「おにいちゃん、帰ろうよ」
そして何度呼ぼうと振り返ることのない彼の服を力なく掴む。
そこで兄はようやく彼女の方を顧みた。
むっと不機嫌そうに唇を突出して言う。
「おれは帰らない。お前は戻れよ」
「そんな……森に入ったってばれたらおかあさんに怒られちゃうよ」
頑なな兄に少女はそう詰め寄った。
彼女達が暮らす村では年端もいかない少年ばかりを狙った誘拐事件が発生していた。
そのため森へ立ち入らないようにと母からきつく言い含められている。
二人はそれを破ってまで森に入っているのだ。気付かれればきつく叱られるのは避けられない。
もしかしたらそのまま誘拐される危険だってあるのだ。
そんなリスクを冒してまでなぜ森へ足を踏み入れたのか。
それはつい数日前に攫われた兄の友人が理由だった。
「あいつが居なくなったのはおれのせいだ」
まだ誘拐事件が問題視される前。狩りの手伝いをしていた友人と兄。
その日、二人は途中ではぐれてしまい村に戻ったのは彼だけだった。
自分がしっかりしていれば。兄はそう思いながらこの数日を過ごした。
そして居ても立ってもいられなくなり、家を飛び出して友人捜しに乗り出したのだ。
「でも、おじさん達でも見つけられなかったんだよ?」
もちろん、この状況に村が何の対策もとっていないわけがない。
一昨日、昨日と行われた捜索のことは二人とも承知していた。
それでも尚、行方不明になった子ども達を見つけられなかったことも。
だから自分たちがどうにか出来るはずがない。
言外に込められた意味に兄は少女の手を振りほどくと「それでも!」と怒鳴り声を上げた。
少女の小さな体がびくりと震える。
今にも泣き出しそうな顔に少年は一度口を噤み、視線を逸らした。
「とにかく、お前は先に帰れよ」
力のない声だったが、そこに込められた決意は固かった。
「おにいちゃん」
対する少女も涙に濡れた瞳で首を横に振る。帰るのならば兄も一緒に帰りたい。
「お前なあ!」
それに少年は再び声を荒げた。
その時。
がさり、と近くの茂みが音を立てた。
二人、同時に身を竦ませる。
音は徐々に徐々に近付いてきた。
そして音の正体が姿を現したその瞬間、森に響き渡るほどの悲鳴が上がる。
――そして、少年と少女は姿を消した。
●
行方不明になった少女が見つかったのはすっかり夜も更けた真夜中だった。
無事に保護された少女は母に介抱されながら「おにいちゃんが……」と残して気を失ってしまった。
そして翌日、回復した彼女から村の長が話を聞くと、二人は友人を探していたところをゴブリンに襲われたのだという。
逃げる途中で少女は兄とはぐれてしまったため、兄がどうなったかはわからない。
しかし、ゴブリンは兄の方を追いかけていったという。
そのまま森の中を彷徨い、なんとか村にたどり着いたというのが昨日の顛末だった。
村長は少女の話から兄の方は既にゴブリンに捕らえられており、連日の誘拐事件も彼らの仕業だと結論づけた。
そして、村で有志の討伐隊を募り、ゴブリン討伐に乗り出した。
集まったのは村の男達、二十人。
彼らはすぐに森の中へ入ったが、それから数日間戻ってくることはなかった。
森の状態は逼迫しており、これ以上人を派遣することは難しかった。
そうして手をこまねいている内にどんどんと日が過ぎていく。
するとしばらくしてから討伐隊の内の五人が満身創痍の状態で村へと帰還した。
その中には精神を病んでいるのか。禄に言葉を交わせないような者も居た。
村長は可及的速やかにまだ症状の軽い一人から話を聞く。
彼が言うにゴブリンは総勢で三十体程。
森の奥にある洞窟を根城にしているという。
討伐隊はそこでゴブリン達に捕まった。
そこには誘拐された少年達も居たが、大人と子どもは別々に幽閉されたため、救い出すことは叶わなかったという。
そして彼らは棍棒などで殴られるなどの拷問を受けながら戦士となるための訓練を受けさせられた。
なんとかゴブリンの隙を見て大人達は逃げ出したものの、その内の十人程が再び捕らえられ、数名は弓矢で射殺された。
ゴブリンの目的は訓練した人間達を使って近隣の村々を襲わせて支配することだという。
この村も直に乗っ取られる。
男はそう言うと堅く口を閉ざした。
事態を深刻に捉えた村長はこのままではいけないとハンターにゴブリン討伐を依頼することにした。
「もはや我々の手には余る事態です。どうか皆様のお力で村人を救ってください」
解説
村では森に入った少年達が誘拐されるという事件が発生していた。
その最中に森へ入った幼い兄妹が失踪してしまう。
妹は自力で森を抜け出し、村に戻ると兄を襲ったのはゴブリンであると告げた。
村ではすぐに対策がとられ、男二十人による討伐隊が結成された。
しかし数日経っても討伐隊が戻ってくることはなく、しばらくしてから数人の男達が満身創痍の状態で戻ってきた。
彼らが言うに敵のゴブリンの数は三十程。男達は全員ゴブリンに捕らえられ、拷問の末にゴブリンの戦士となるべく訓練を積まされていたという。
少年達も使い捨ての駒としてゴブリンに飼育されているらしい。
事態を重く見た村の長は早期解決のために依頼を決意した。
ゴブリンの主な使用武器は棍棒です。中には弓を使う個体もいますが全体の二割程度です。
森の奥の洞窟を根城にしていて出入り口は一つだけです。そこは弓兵が見張りをしているため近付いただけで気取られる可能性があります。弓での奇襲に注意してください。
また捕らえられた人間達は戦う為に飼育されているため、戦闘に駆り出される可能性が高いです(少年達はまだ力が無いため大人のみ)。
彼らは剣を手に向かってきます。村長の依頼は村人を救うことですのでその点を留意してください。
また村人にばかり気を取られているとゴブリンが逃げてしまう可能性もあります。その際、少年達を連れて行かれてしまう可能性がありますので中の様子も気に掛けていただくようにお願いします。
その最中に森へ入った幼い兄妹が失踪してしまう。
妹は自力で森を抜け出し、村に戻ると兄を襲ったのはゴブリンであると告げた。
村ではすぐに対策がとられ、男二十人による討伐隊が結成された。
しかし数日経っても討伐隊が戻ってくることはなく、しばらくしてから数人の男達が満身創痍の状態で戻ってきた。
彼らが言うに敵のゴブリンの数は三十程。男達は全員ゴブリンに捕らえられ、拷問の末にゴブリンの戦士となるべく訓練を積まされていたという。
少年達も使い捨ての駒としてゴブリンに飼育されているらしい。
事態を重く見た村の長は早期解決のために依頼を決意した。
ゴブリンの主な使用武器は棍棒です。中には弓を使う個体もいますが全体の二割程度です。
森の奥の洞窟を根城にしていて出入り口は一つだけです。そこは弓兵が見張りをしているため近付いただけで気取られる可能性があります。弓での奇襲に注意してください。
また捕らえられた人間達は戦う為に飼育されているため、戦闘に駆り出される可能性が高いです(少年達はまだ力が無いため大人のみ)。
彼らは剣を手に向かってきます。村長の依頼は村人を救うことですのでその点を留意してください。
また村人にばかり気を取られているとゴブリンが逃げてしまう可能性もあります。その際、少年達を連れて行かれてしまう可能性がありますので中の様子も気に掛けていただくようにお願いします。
マスターより
初めまして、成沢灯と申します。
至らない点も多々あるかと思いますが、よろしくお願い致します。
至らない点も多々あるかと思いますが、よろしくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/02/04 01:10
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 リカルド=フェアバーン(ka0356) 人間(リアルブルー)|32才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/01/29 03:10:11 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/01/27 21:41:53 |