ゲスト
(ka0000)
家畜を穿つ群れ
マスター:ザント

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- サポート
- 現在0人 / 0~20人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/02/08 09:00
- リプレイ完成予定
- 2018/02/17 09:00
オープニング
「かーっ酒が美味い!」
草木も眠る真夜中、牧場内に併設された見張り小屋で牧場従業員のザックは人知れずウォッカを飲んでいた。
小さいながらも困窮せず黒字を出し続けるこの牧場は、一族だけで経営されており、ザックも牧場主の父親に小さい頃から仕事を手伝わされていた。
大きくなってから任され出したこの不寝番も、これで何度目かも最早ザック自身にも分からない。
酒が飲めるようになってからは、こうして父親はもちろん家族全員にバレないように酒を飲みつつ、一生懸命世話をして育て上げた外にいる家畜たちを見守るのがザックの楽しみの一つだ。
(つまり、決して暇だから酒を飲んでいるとかサボリとかじゃあない)
誰に言い訳をするでもなく、ザックはそう思いグラスにある少なくなったウォッカを飲み干すと、熱い息を漏らしてお代わりを注ぐ。
(しっかし、今日はいい月夜だな。明かりがなくても手元までよく見えるし……なにより、酒が進む。こういうのを確か、月見酒と言うんだったか)
酒が回り始めた頭で、ザックはどこかで聞いた単語を思い出しながらグラスを傾ける。
「……ェェェ」
「ん?」
酒を飲むザックの耳に聞き慣れた羊の鳴き声が届いた。
「なんだ?」
ザックはグラスを置いて耳を澄ますが、声どころか音すら聞こえない。
先程までと変わらない静かな夜だ。
ザックは先程の声は気のせいか、外にいる羊が寝ぼけて鳴いたのだろうと思い、特に気にせずにグラスへと手を伸ばした。
その時だった。
破裂音と共にグラスが飛び上がりながら砕け散ったのは。
「……は?」
じわじわと床に酒の染みが出来るのをザックは呆然と眺める。
「な、なにが……」
ザックは原因を探るべく、染みの向こうにある壁に半ば無意識で目を向け、天井近くの壁に突き刺さりもがく血塗られた細長い甲虫を見つけて何が起こったのかぼんやりと理解した。
「う……うわぁ!」
ただの農民であるザックには弱点はもちろん対処法や正体など見当もつかないが、一つだけ分かる事があった。
(ここは危険だ! 早く逃げないと!)
ザックは取るものも取らずに見張り小屋を飛び出すと、母屋に向かって全力で走り出す。
「うわぁあああああああ!」
見張り小屋から破裂音が連続で鳴り響くのを背中越しに聞きながら、すぐ後ろで風切り音が何度も鳴るのを感じながら、ザックは母屋に飛び込んだ。
その際、勢い余って擂り潰した薬草が入った瓶を割ってしまったが、今のザックに気にする暇はなく、すぐに近くの物影へと隠れる。
強烈な薬草の臭いが部屋を満たしていく中で、扉を荒々しく開く音と瓶が割れる音を聞きつけたのか、家の奥から父親が顔を覗かせた。
「ザック、なんの騒ぎだ?」
「親父! 部屋に戻ってろ!」
「この臭い……お前、薬草の瓶を割っただろう。母さんに怒られるぞ」
呆れたような顔で言う父親にザックは大声で怒鳴りつけた。
「いいから早く隠れろ! 変な虫が襲って……来ない?」
言葉の途中で先程まで間断なく鳴っていた破裂音と風切り音もしなくなっていたのに気づいた。
(た、助かったのか?)
少し待って音がしないと確信し、ザックは助かったと理解すると急に力が抜けて大きな安堵のため息を吐いた。
「……は、はぁぁぁ」
そんな様子のザックを見て親父は訝しんだ表情を浮かべる。
「おい、ザック」
「なんだよ、親父」
「お前、顔が赤いな。酒でも飲んでいたのか?」
「だったら何だって……あ」
気づいた時には既に遅しで、ザックは顔を真っ青にして父親の表情を窺う。
「こんの……大馬鹿野郎がぁ!」
そして顔を真っ赤にした父親の怒りの拳がザックの頭に炸裂した。
「その後、夜が明けてから牧場を調査した所、小屋の外に居た羊や牛などの全ての家畜は無数に貫通した傷を受けて死んでいるのを発見。見張り小屋も同様に無数の突き破ったような穴が空いていて、内部は無残な状態となっていたそうです。依頼人と息子さんの証言も含めて判断すると……恐らく、スクィードビートルだと思われます」
ハンターズ・ソサエティの女性職員は元ハンターとしての知識を活かして敵の正体の予想を此方に伝え、続いて敵の情報を教えてくれた。
「スクィードビートルは角が杭のように鋭く尖って進化し、発達した脚力で自分を銃弾と同じ速さで打ち出して攻撃してくる甲虫です。姿は甲殻に包まれたバッタで、大きさは七センチ程の大型イモムシと同等の大きさ。羽は退化しているので飛行は出来ません。肉食で、森や草原などの虫が居そうな場所に群れを作って生息しています。狩りと自衛の時以外は襲うような話は聞いたことがなく……正直、今回のような突然家畜を大量に襲ったり、個人を執拗に襲うといった話は聞いた事がありません。もし余裕があればその辺りも調べていただけると助かります」
職員は最後に自分の意見とお願いを口にすると依頼内容を説明し始めた。
「依頼主は牧場主のゴードンさん。依頼主の話では見張り小屋の壁に空いた穴は三十近く。母屋へ行くまでの地面に二十近くの掘り返したような跡があったとの事でしたので、恐らく総数は五十近くだと思われます。依頼主はその全ての討伐を希望していましたが……先程お伝えした通り、スクィードビートルはイモムシほどの大きさですので全ての討伐は難しいとお伝えしたところ、最低でも半分以上の討伐。全ての討伐は可能であればという事で了承して頂きました。そして今回、襲われた家畜が居た場所に原因があるか、それかまた同じ場所に集まってくるかもしれないとお思いになられたようで、討伐を行う場所の指定がありました。他の家畜が犠牲にならないように、襲われた家畜が居た柵内と見張り小屋……そして当日は外泊をするらしいので、母屋を含めたその周辺で討伐を行ってください」
説明を終えて職員は口を潤すためにグラスに入った水を飲み。
「後、当たり所が悪いとスクィードビートルが貫通しますので、注意してくださいね」
と、注告しながら朗らかに笑った。
草木も眠る真夜中、牧場内に併設された見張り小屋で牧場従業員のザックは人知れずウォッカを飲んでいた。
小さいながらも困窮せず黒字を出し続けるこの牧場は、一族だけで経営されており、ザックも牧場主の父親に小さい頃から仕事を手伝わされていた。
大きくなってから任され出したこの不寝番も、これで何度目かも最早ザック自身にも分からない。
酒が飲めるようになってからは、こうして父親はもちろん家族全員にバレないように酒を飲みつつ、一生懸命世話をして育て上げた外にいる家畜たちを見守るのがザックの楽しみの一つだ。
(つまり、決して暇だから酒を飲んでいるとかサボリとかじゃあない)
誰に言い訳をするでもなく、ザックはそう思いグラスにある少なくなったウォッカを飲み干すと、熱い息を漏らしてお代わりを注ぐ。
(しっかし、今日はいい月夜だな。明かりがなくても手元までよく見えるし……なにより、酒が進む。こういうのを確か、月見酒と言うんだったか)
酒が回り始めた頭で、ザックはどこかで聞いた単語を思い出しながらグラスを傾ける。
「……ェェェ」
「ん?」
酒を飲むザックの耳に聞き慣れた羊の鳴き声が届いた。
「なんだ?」
ザックはグラスを置いて耳を澄ますが、声どころか音すら聞こえない。
先程までと変わらない静かな夜だ。
ザックは先程の声は気のせいか、外にいる羊が寝ぼけて鳴いたのだろうと思い、特に気にせずにグラスへと手を伸ばした。
その時だった。
破裂音と共にグラスが飛び上がりながら砕け散ったのは。
「……は?」
じわじわと床に酒の染みが出来るのをザックは呆然と眺める。
「な、なにが……」
ザックは原因を探るべく、染みの向こうにある壁に半ば無意識で目を向け、天井近くの壁に突き刺さりもがく血塗られた細長い甲虫を見つけて何が起こったのかぼんやりと理解した。
「う……うわぁ!」
ただの農民であるザックには弱点はもちろん対処法や正体など見当もつかないが、一つだけ分かる事があった。
(ここは危険だ! 早く逃げないと!)
ザックは取るものも取らずに見張り小屋を飛び出すと、母屋に向かって全力で走り出す。
「うわぁあああああああ!」
見張り小屋から破裂音が連続で鳴り響くのを背中越しに聞きながら、すぐ後ろで風切り音が何度も鳴るのを感じながら、ザックは母屋に飛び込んだ。
その際、勢い余って擂り潰した薬草が入った瓶を割ってしまったが、今のザックに気にする暇はなく、すぐに近くの物影へと隠れる。
強烈な薬草の臭いが部屋を満たしていく中で、扉を荒々しく開く音と瓶が割れる音を聞きつけたのか、家の奥から父親が顔を覗かせた。
「ザック、なんの騒ぎだ?」
「親父! 部屋に戻ってろ!」
「この臭い……お前、薬草の瓶を割っただろう。母さんに怒られるぞ」
呆れたような顔で言う父親にザックは大声で怒鳴りつけた。
「いいから早く隠れろ! 変な虫が襲って……来ない?」
言葉の途中で先程まで間断なく鳴っていた破裂音と風切り音もしなくなっていたのに気づいた。
(た、助かったのか?)
少し待って音がしないと確信し、ザックは助かったと理解すると急に力が抜けて大きな安堵のため息を吐いた。
「……は、はぁぁぁ」
そんな様子のザックを見て親父は訝しんだ表情を浮かべる。
「おい、ザック」
「なんだよ、親父」
「お前、顔が赤いな。酒でも飲んでいたのか?」
「だったら何だって……あ」
気づいた時には既に遅しで、ザックは顔を真っ青にして父親の表情を窺う。
「こんの……大馬鹿野郎がぁ!」
そして顔を真っ赤にした父親の怒りの拳がザックの頭に炸裂した。
「その後、夜が明けてから牧場を調査した所、小屋の外に居た羊や牛などの全ての家畜は無数に貫通した傷を受けて死んでいるのを発見。見張り小屋も同様に無数の突き破ったような穴が空いていて、内部は無残な状態となっていたそうです。依頼人と息子さんの証言も含めて判断すると……恐らく、スクィードビートルだと思われます」
ハンターズ・ソサエティの女性職員は元ハンターとしての知識を活かして敵の正体の予想を此方に伝え、続いて敵の情報を教えてくれた。
「スクィードビートルは角が杭のように鋭く尖って進化し、発達した脚力で自分を銃弾と同じ速さで打ち出して攻撃してくる甲虫です。姿は甲殻に包まれたバッタで、大きさは七センチ程の大型イモムシと同等の大きさ。羽は退化しているので飛行は出来ません。肉食で、森や草原などの虫が居そうな場所に群れを作って生息しています。狩りと自衛の時以外は襲うような話は聞いたことがなく……正直、今回のような突然家畜を大量に襲ったり、個人を執拗に襲うといった話は聞いた事がありません。もし余裕があればその辺りも調べていただけると助かります」
職員は最後に自分の意見とお願いを口にすると依頼内容を説明し始めた。
「依頼主は牧場主のゴードンさん。依頼主の話では見張り小屋の壁に空いた穴は三十近く。母屋へ行くまでの地面に二十近くの掘り返したような跡があったとの事でしたので、恐らく総数は五十近くだと思われます。依頼主はその全ての討伐を希望していましたが……先程お伝えした通り、スクィードビートルはイモムシほどの大きさですので全ての討伐は難しいとお伝えしたところ、最低でも半分以上の討伐。全ての討伐は可能であればという事で了承して頂きました。そして今回、襲われた家畜が居た場所に原因があるか、それかまた同じ場所に集まってくるかもしれないとお思いになられたようで、討伐を行う場所の指定がありました。他の家畜が犠牲にならないように、襲われた家畜が居た柵内と見張り小屋……そして当日は外泊をするらしいので、母屋を含めたその周辺で討伐を行ってください」
説明を終えて職員は口を潤すためにグラスに入った水を飲み。
「後、当たり所が悪いとスクィードビートルが貫通しますので、注意してくださいね」
と、注告しながら朗らかに笑った。
解説
●目的
主な目的 :スクィードビートルの殲滅または五分の三以上の討伐状態で逃走される。
副次的目的:スクィードビートルの生態調査。
●地形
全体 :20×25スクエアの横に長い長方形。
障害物:右端中央に4×4の母屋がある。
母屋の左端のスクエアから5スクエア程上に2×2スクエア程の大きさの見張り小屋がある。
左端から20×20スクエアを囲む高さ2メートル程の柵がある。
母屋の脇に干し草の山や農具入れの小屋がある。
●敵
名前 :スクィードビートル。
数 :50体
姿 :甲殻に包まれたバッタ。
大きさ :イモムシほどの大きさ。
特徴 :羽根は退化しているので飛行することは出来ない。
角が杭のように鋭く尖り、脚力も自分を銃弾と同じ速さで打ち出すほどに発達している。
攻撃方法 :脚力を生かした銃弾と同じ速度の突進。角による叩き付け。
生態 :不明。
備考 :歪虚ではなく、クリムゾンウェスト固有の狂暴な肉食昆虫。
旅人や薬草採りに行った一般人が襲われ、運が悪いと死亡者が出ることもある危険な昆虫。
家畜とザックを襲った理由は不明。
当たり所が悪いとスクィードビートルが貫通する。
職員の呟き:スクィードビートルは肉食ですが、本来は狩りか自衛以外で何かを襲うことは無い昆虫です。住処である森や草原での狩りで十分生きていけるはずなのに、住処からも少し離れた牧場にまで来てしまった理由・・・何かに引き寄せられたような気もしますが、それは一体なんなのでしょうか。襲撃時の状況を再現すれば、それが分かるかもしれませんね。
主な目的 :スクィードビートルの殲滅または五分の三以上の討伐状態で逃走される。
副次的目的:スクィードビートルの生態調査。
●地形
全体 :20×25スクエアの横に長い長方形。
障害物:右端中央に4×4の母屋がある。
母屋の左端のスクエアから5スクエア程上に2×2スクエア程の大きさの見張り小屋がある。
左端から20×20スクエアを囲む高さ2メートル程の柵がある。
母屋の脇に干し草の山や農具入れの小屋がある。
●敵
名前 :スクィードビートル。
数 :50体
姿 :甲殻に包まれたバッタ。
大きさ :イモムシほどの大きさ。
特徴 :羽根は退化しているので飛行することは出来ない。
角が杭のように鋭く尖り、脚力も自分を銃弾と同じ速さで打ち出すほどに発達している。
攻撃方法 :脚力を生かした銃弾と同じ速度の突進。角による叩き付け。
生態 :不明。
備考 :歪虚ではなく、クリムゾンウェスト固有の狂暴な肉食昆虫。
旅人や薬草採りに行った一般人が襲われ、運が悪いと死亡者が出ることもある危険な昆虫。
家畜とザックを襲った理由は不明。
当たり所が悪いとスクィードビートルが貫通する。
職員の呟き:スクィードビートルは肉食ですが、本来は狩りか自衛以外で何かを襲うことは無い昆虫です。住処である森や草原での狩りで十分生きていけるはずなのに、住処からも少し離れた牧場にまで来てしまった理由・・・何かに引き寄せられたような気もしますが、それは一体なんなのでしょうか。襲撃時の状況を再現すれば、それが分かるかもしれませんね。
マスターより
初めての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。
私、ザントと申します。
以後お見知りおきを。
今回は、戦闘と調査のシナリオとなっています。
牧場までの道中には何もご用意していません。
注意すべき点は、逃さないようにするのが大変だということです。
オープニングにある通り、スクィードビートルはとても小さく、前方にだけですがとても素早い虫です。
ですので、逃げられる可能性が高い事にお気を付けください。
まだまだ若輩者ですが、私のシナリオをお楽しみください。
私、ザントと申します。
以後お見知りおきを。
今回は、戦闘と調査のシナリオとなっています。
牧場までの道中には何もご用意していません。
注意すべき点は、逃さないようにするのが大変だということです。
オープニングにある通り、スクィードビートルはとても小さく、前方にだけですがとても素早い虫です。
ですので、逃げられる可能性が高い事にお気を付けください。
まだまだ若輩者ですが、私のシナリオをお楽しみください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/02/16 00:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/02/04 01:28:29 |
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相談卓 久延毘 羽々姫(ka6474) 人間(リアルブルー)|19才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2018/02/07 22:35:02 |