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【東幕】おもしろき こともなき世を

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2018/02/06 12:00
リプレイ完成予定
2018/02/15 12:00

オープニング

 風雲急を告げる詩天。

 反幕府・攘夷を掲げた浪士集団『鬼哭組』の暗躍は要人暗殺を経て若峰破壊へと向かっていく。

 若峰を大火へ導き、九代目詩天の三条 真美(kz0198)を誘拐。詩天を頂点とする政治体制を新たに整える。

 夢物語が如き理想を掲げ、革命を挑む鬼哭組。
 若峰守護を掲げ、忠を持って阻止せんとする即疾隊。

 物語は双方が激突する中で、佳境を迎える。


 若峰四宿の一つ、猪名川。
 詩天の西へと続く大きな道に繋がる重要な宿場町であるが、この若峰の入口とも言うべき場所をある一団がひた走る。
「どこに行けば、いいって?」
「何度も言ってるでしょ! 『清州屋』って宿! そこに敵の首魁がいるって!」
 ハンター達は、走りながら必死になって目的の場所を探す。
 
 猪名川宿、清州屋。
 そここそ、攘夷浪士集団『鬼哭組』を束ねる松永武人が逗留する宿であった。
 風待の親分からもたらされた情報と水野 武徳からの依頼にハンター達は動き出した。
「それにしても、あの親分って人も酷いよね。『あっしは、鬼哭組の計画阻止しますんで、後は皆さんにお任せします』って」
「仕方ない。即疾隊が浪士取り締まりを強化しても、火が付けられでもしたら即疾隊だけでは回らなくなる。誰かが市民を避難させないといけないからな」
 愚痴るハンターに、別のハンターが詩天の事情を話す。
 若峰の守護を担う即疾隊であるが、最近は多数の事件を抱えて人手不足は否定できない。万一、若峰が放火されれば即疾隊や町火消しだけでは対応が難しい。
 侠客ではあるが、風待の親分も若峰の被害を食い止める役回りが必要なのだ。
「それで、この羽織りか。即疾隊に入ったみたいでちょっと格好いいかな」
 ハンターの一人が、袖を通した羽織りの感触を確かめる。
 敵の首魁がいるとはいえ、無理矢理に宿を調べるのだ。ハンターの身分では拒否されると考えたのだろう。そこで、即疾隊から特別に羽織りを貸し出された。これを身に着けて即疾隊を名乗れば宿の者も断る事は難しいはずだ。
「ここだ!」
 宿を発見したハンターは、滑るように入口へ到達すると入口の戸を大きく開いた。
「何奴!」
 浪士らしき侍が、反射的に刀へ手を伸ばす。
 宿へと足を踏み入れたハンター達は、満を持して口を開く。
 ――時代劇で良く聞いた、あのセリフを叫んだ。

「「「御用改めであるっ!」」」


 ハンター達が到着する頃から、遡ること15分前。
 清州屋の二階に鬼哭組の松永武人の姿があった。これから浪士達と合流して若峰大火へ進めるべく決起。武人は火の手が上がったのを確認した後、黒駒城へ突入する手筈となっていた。
 しかし、計画通りに行かぬのは世の常である。
「……て、てめぇ」
 振り絞るように呟く武人。
 元々、病で肺を患っている為に顔は青白い。だが、今日の武人は手足に切り傷。さらに脇腹には刀による大きな傷を受けていた。
「言ったでしょう、松永さん。素直に神の加護を受けておけば良かったのです」
「ふん、おかげで計画はご破算だ。どうせ、即疾隊にも情報が流れるように仕組んだんだろ? 
 お前、最初から鬼哭組を……いや、この国の侍を狙ってやがったな?」
 武人は仕込み刀を杖代わりにしながら、体を支える。
 眼前には神の御遣いを名乗る歪虚ブラッドリー。その傍らには、先日死亡したとされた浪士が刀の切っ先を武人に向けている。 
 契約者――武人にも気配で、それが分かった。
「いえいえ。すべては神の御意志です」
「大した神様だ。鬼哭組へ潜り込み、浪士達に契約者となれば怖くないとでも言って丸め込んだか。
 それに飽き足らず、即疾隊と鬼哭組を衝突させて多数の死傷者が出れば、てめぇの『布教活動も』……」
 そう言い掛けた瞬間、武人は激しく咳き込んだ。
 そして、両手でも受け止めきれない程の血を吐き出した。普通であれば、とうの昔に意識を失っているだろう。
「あなたが病に倒れたのは残念です。
 でも、大丈夫ですよ。神の僕となれば、あなたはまだ戦えます。死しても蘇れるのです」
「死んでも蘇る? そんな逃げ道残してこの国を変えられるかよ。
 俺ぁ、この体だ。元より生まれ新しいく国を見られるなんて思っちゃいねぇ。この国ぶち壊せば、後を継いだ連中が立て直してくれるはずだ」
 見るからに限界が近い武人。
 それでも、ブラッドリーを前に一切臆する様子も無い。
 ――孤立無援。
 武人の瞳には、強い光が宿っている。
「弱い国を滅ぼして、幕府にも他の国にも負けない国を作る。
 その為には死に物狂いで力を尽くす。
 志半ばに倒れるなら、後の連中にすべて託す。それが道を拓く先人の義務ってもんだろ」
「はて。確か、歪虚でも利用されるのでは? どうせ捕まれば処刑されるのでしょう? でしたら、神の僕として蘇った方が良いではありませんか」
「利用? そりゃ、この国を壊して立て直す為だ。その為なら、俺は歪虚を利用して悪名だろうと何だろうと俺が引き受けてやるよ。
 だが、てめぇは俺の目的を知りながら、国を壊した後で乗っ取るつもりだったんだろう? そいつは裏切りだ。……言ったはずだせ。裏切りは、許さねぇって」
 畳から仕込み刀を引き抜き、霞の構えでブラッドリーに立ち向かう。

 一対三。
 しかも、屋内での戦闘で病魔が蝕んでいる。
 武人に、勝機はない。

 だが、それでも武人は立ち向かう。
 この国を、愛するが故に――。
「そうですか、神の僕にはなりませんか。
 なら、せめて私があなたを天へ導きます。あなたの魂は、どんな輝きをされているのでしょうね?」

解説

目的:清洲屋へ急行し、ブラッドリーと浪士達を撃退する。
概要:清洲屋は木造二階建て。入り口左手に二階への階段があります。武人とブラッドリーが戦っている部屋は二階の一番奥の座敷になります。一階は浪士以外にも宿で働く者も存在しており、即疾隊が踏み込んだと分かって慌て始めた当初です。

敵:
 戦場は二箇所になります。

・一階
 鬼哭組浪士 × 3
  覚醒者。舞剣士。武人の側近として護衛役を買って出ている。要人暗殺を請け負っていた者も存在している為、意外と侮れないが、ハンターからみれば経験不足は否めない。
・二階
 ブラッドリー
 『神の御遣い』を自称する歪虚。松永武人と鬼哭組に興味を持ち、一方的に協力している。神父姿で手には聖書が握られているが、周囲に複数の光球を浮遊させている。この光球で攻撃や防御を行っている事が遭遇したハンターより情報としてもたらされている。
注意すべきは物理攻撃を防ぐ「光の盾」、光球からの雷攻撃。他にも攻撃手段を持っている可能性あり。

 契約者 × 2
 元は鬼哭組浪士であったが、戦いの中で瀕死の重傷を受けた者や命を落とした者。ブラッドリーの力により再び歪虚の眷属として蘇った。事実上、ブラッドリーの操り人形同然である事から説得は不可能。手にした日本刀で襲ってくる。

備考:
 ハンターが清洲屋へ到着した段階で、既に松永 武人はブラッドリーと戦闘を開始しています。武人は会話が可能である為、話次第では一緒にブラッドリーと戦う事も可能です。但し、敵対すれば武人はハンターも敵と見なします。また病と敵の攻撃によりかなり弱った状態です。

<注意>
 武人の武器は仕込み刀と魔導由来の焙烙玉ですが、室内で焙烙玉を使用すれば宿だけでなく周囲の者にも被害が出る為、利用を控えています。劣勢になれば自爆覚悟で利用するかもしれません。また武人の身柄については即疾隊から「斬り捨て良し」との命を受けています。

マスターより

 近藤豊です。
 詩天を舞台にした攘夷浪士ストーリーも今回で区切りとなります。即疾隊だけではなく、歪虚の行動で計画が破綻した鬼哭組。病で瀕死の武人は、ブラッドリーを前に戦いを挑みます。複雑な人間関係の中でハンターはどのように立ち振る舞うのでしょうか。
 それでは、チキンのチーズ焼きを肴にお待ちしています。

関連NPC

  • 敏腕フォロー執事
    キュジィ・アビトゥーア(kz0078
    人間(クリムゾンウェスト)|24才|男性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/02/08 07:42

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 漆黒深紅の刃
    瀬崎 琴音(ka2560
    人間(蒼)|13才|女性|機導師
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 能力者
    狭霧 雷(ka5296
    人間(蒼)|27才|男性|霊闘士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談
瀬崎 琴音(ka2560
人間(リアルブルー)|13才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/02/05 18:59:40
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/03 11:49:28