• 調査

演想──悪意に乗る作為

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/02/06 22:00
リプレイ完成予定
2018/02/15 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 六つの反応が全て、目的地に到達することなく消滅したことを認めて、静かに、このやり方では目的を達せられないと結論する。
 ……インタラプタ、と呼称するこの歪虚はエンドレスと同種の寄生型狂気である。高性能のサーバーPCへと取り憑き、情報や演算を支援する存在だった。
 それが今まで何をしていたのかと言えば、何のことは無い、これはバグを抱えた鎌倉クラスタからの攻撃により損傷し、以降、鎌倉クラスタの存在によって身動きが取れなかったのだ。そして鎌倉クラスタが消滅したかと思えば、支援すべき母体も失われていたわけである。
 今のハンターたちには勢いがあり、対し己の存在は卑小である、とこれは理解していた。ならば孤立したこの身で何が成せるか。
 目指したのは大きな戦果を挙げることではなく小さな失点を負わせることだった。ほんの少しでも、今の人間の居住地に、出来れば人そのものに被害を与えられればそれでよかった。
 勢いというのは隙でもあるのだ。輝きを放つ者に対しこの世界の者たちは僅かな失敗こそを赦さない。故に『護れなかったのか』と責められる程度の戦力で行った。それでも勝算はあったが、ハンターたちは予想を超えて迅速に駆けつけた。
 ……そうしてその原因は、すぐに知れた。
 偶々、付近に、別の目的でハンターたちが待機していたのだ。とある劇の公演。その護衛として。一度中断となりそして迅速な対応により再開されたこの劇は、より一層ハンターたちの存在をこの世界の人々に印象付け──

『でもそれってさ、自分たちの力をアピールするためにタイミング狙ってやったんじゃねーの?』

 ネットワークの海の中。それを見つける。つくづくもこの世界は心地よい狂気に溢れているとしばし浸った。
 ああ全く、勢いというものは隙なのだ。栄光を手にしたものは完璧を求められ続け、完璧であろうともそれを認めずこじつけてでも粗を見つけようとするものが現れる。
 突いてみるべきは、この隙なのかもしれない。ハンターに『汚点』を背負わせ、動きを止めるためには。



「で、貴方としてはどういうつもりだったのか聞かせてもらいましょうか」
「つもりも何も。言われているような目論見は全くないし、俺たちが誰よりも不本意です」
 高瀬少尉の尋問に、伊佐美 透(kz0243)としてはそう答えるよりなかった。
 ハンターが出演するという事を話題にした舞台が、VOIDの襲撃により中断。ハンターの活躍により再開……と言う流れが、あらかじめVOIDの存在を探知していた上での話題作りの自作自演ではないか、という意見が市民たちの間で交わされていることが問題視されつつある。
 まったく馬鹿らしいひねくれた意見で、初めはろくに相手にもされていなかったのだが──二度、同じことが起これば、話の流れも変わってくる。
「一度目の時点で、『逆に良かった』なんて思っていない。敵の存在が確認されていないかは……勿論確かめました」
「前日まで、巧妙に潜伏していた敵が、偶々姿を現した? 二度も?」
「……俺たちの認識としては、そういう事になります。軍が別の情報を把握できたというなら、むしろ教えてください」
 真面目な思いで、請うように透がそこで頭を下げると、高瀬少尉は苦々しそうに顔を歪めた。
「まあ……そこに関しては正直、こちらのデータも一緒です。前日に何か感知したものは、こちらにもありませんが……何ですかその顔」
「いや、正直に教えてもらえたのが意外で……貴方は俺の芝居は嫌いなんだろうに」
「僕をなんだと思って……! 大体、」
 そこまで言ったところで、高瀬少尉は不意に口を閉ざした。
 あからさまに途中で止まった言葉に、透はどうしたものかとしばらく見つめ続ける。やがてその視線に耐えかねるように高瀬少尉は顔を逸らして。
「……ハンターが過度に目立とうとすることに意見はありますが、貴方の演技が悪いとは言ってない」
 ぼそっと漏らした。
 暫し、今の発言が出た意味を考える。
「え。あ、もしかして観に来た?」
「別に! 貴方が! 前にあんな挑発してきたから! 避けたらまた侮られると思ったまでです!」
「挑発? って、あー……言われてみれば確かにそれっぽいこと言ったけど……」
 つまりどういうことか。もう一度、経緯と反応をゆっくりと推察するに。それは。
「何というか……意外と素直か君は」
「うるっさい! 調子に乗るな!? 大体何急にタメ口になってるんださっきまで敬語だっただろう!?」
「あーいや。よく見たら明らかに年下だしなあと意識したらつい……いや年上ぶる気はないんだが。近い年代なんだしもしかしてもう少し友好的になれるんじゃないかと」
「な……。あ……。っ! だから調子に乗るな! あくまで僕の矜持として情報は正確に述べたまでだ! 僕は! あくまで! ハンターと慣れあう気は、無い!」
 顔を真っ赤にして、バン! と少尉は机を叩く。
 これに関してはまだこれ以上つつかない方がよさそうだが。これは。彼のこの反応には。
 ……。ああ。そうか……と。
「もう一度、ちゃんと調べさせてほしい」
 ふと、声を真剣なものに切り替えてそう切り出すと、高瀬少尉もすぐに我に返り「何?」と聞き返してきた。
「どうして敵が急に姿を現したのか。そのタイミングと、現状に作為は無いのか。俺たちの手で調べさせてほしい」
「……。分かってるのか。それで何もなかったら、それこそ恥の上塗りだぞ」
「ああそうだな。その時は、俺のことは好きにしてくれ」
「それは……どういう意味で言っている」
「ハンター資格のはく奪でもクリムゾンウェストに永久追放でも好きにすればいい。それで他の人たちに類が及ばないように始末をつけてくれ」
「……そうなったら、それこそあなたの望みは潰えるぞ! 『ただの偶然』は、証明できないだろうに!」
「俺は! もうこの世界の人たちに伝えてきたんだ! 舞台の上で!」
 同じことが重なって。不信を覚える人がいるのは理解できる。それでも。味方してくれる言葉が、こんなに少ないのだろうか。どこかで、不当に掻き消されていないのか。
「全力で、演じた。その結果、俺と言う存在が怪しいというのがこの世界の人たちの答えなら……受け入れる。器じゃなかったと、諦めるさ。でも、」
 でも、今のままで、そうだと結論付ける前に、もう一度。
「一度だけ。俺は、俺がやってきたことを信じる。俺が観せてきたものは……届いてる。劇場で、手ごたえはあったんだ!」
 現在。紅と蒼の世界を超えて通信をする手段は、アナログ含めて、無い。それでも。
 ……今は見えなくとも。呼びかけた想いに、応える想いは無かったのか。
「……勝手にすればいい。依頼があるならそれに沿って動くハンターをどうこうするなんて話は……ありません」
 そうして、終わりならこれで、と言い捨てて、高瀬少尉は立ち上がって、この場は終わった。

解説

調査依頼となります。
状況としては、二度も鎌倉より敵が出現している、しかもエンドレスの作成した学習型人形兵士だったという事で、それを操っている存在がいないか、鎌倉に潜伏している敵がいないか調べるというのがとりあえずアプローチ手段として挙げられています。
なお、前回の「演想──獣道を踏む」が一回目。その後シナリオの隙間にもう一度同じことが起こったと思い下さい。
依頼主はこれまで二度企画を妨害された形になる中橋源二プロデューサー氏。彼もまた興行自体は成功だったと感じており、現状の批判は不自然であると訴えておりそこも含めて何かないかと言っています。

敵の出現が確認された地点はおおよそ固まっており、源氏山公園を中心に周囲数百メートルを分布してる感じです。とりあえず言えるのはこれくらいで、直接この辺を調査に行くなら本シナリオは戦闘が発生し得ます。その上で、現在は姿を見せていないのであらかじめ示せる敵戦力情報はありません。何気に危険フラグ付きなのでお気をつけあそばせ。でもまあ、危険を冒すなら侵すなりに、次回シナリオでオープンにできる情報は増えるでしょう。
またその上で、他に調査やOPの状況の打破のために別アプローチが考えられるなら試みてみるのもありです。
前半のインタラプタ云々の話は勿論現状ではPL情報。PCにはさっぱり分かりません。

伊佐美 透、およびチィ=スヴォーが戦力として加えられます。

マスターより

「前回も手前どもだって助太刀したかったんでさぁ……」「だってお前、二時間黙って座って観劇してるとか無理だろうが」
……とまあ前回はそういう事にしつつ今回は居ることにしました。いやあこいつにも中橋さんにも言わせたいことはあったんだが字数が足りないですね。まあ別にしょうがない。

所で聞いてください。「パソコンがある部屋のエアコンが壊れてる」。スランプ云々以前に純粋に寒くてPCの前に行けない…正直春まで冬眠したい…。ハロゲンヒーターで頑張ってますが、正直そんなこんなで遅筆気味です。すみません。

関連NPC


  • 伊佐美 透(kz0243
    人間(リアルブルー)|28才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/02/09 06:42

参加者一覧

  • 矛盾に向かう理知への敬意
    初月 賢四郎(ka1046
    人間(蒼)|29才|男性|機導師
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/02/06 21:58:53
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/03 09:34:49
アイコン 質問卓
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2018/02/06 17:59:34