• 日常

今宵、ガーベラの栞を差し込んで

マスター:鹿野やいと

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―

難易度
易しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加人数
現在6人 / 3~8人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2018/02/06 22:00
リプレイ完成予定
2018/02/20 22:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

 仇敵メフィストの討伐に成功し、内政に専念する形となったグラズヘイム王国。王国派と貴族派の争いが水面下でうごめく中、その影響は騎士団にも及びつつあった。連日シャトール侯爵ブランジュ・コルベールが騎士団の詰め所を訪れ、上位の騎士達一人一人に叛意を促していたのだ。そして魔の手は赤の隊の暫定責任者であるジェフリー・ブラックバーン(gz0092)にまで及ぼうとしていた。
「ーーこの伯爵の次女は大層学識があってな。地元では変わり者扱いされてはおるが父君の内務に口出ししては成果をあげておる。この肖像画の通り器量もーー」
 そんな気がしただけだった。訪問したシャトール侯が陽気に縁談の話を始めるに至り、待ち構えていたジェフリーは秒単位で脱力する一方だった。
「何のつもりですか?」
「何とは。よく聞いてくれた。これも調略の一環だぞ」
 誰に聞かれているかもわからないのに大声で喋るシャトール侯。眩暈がしそうな気すらしてくるが、問いただすべき事は問いたださなければならない。
「そうは申されても、この婚姻は貴族派に益がないでしょう」
 ジェフリーは渡された家系図の当主の名前を指さす。紹介された女性の父である伯爵は王国派だ。本人は調略と言っているがこれでは調略とは言えない。この事は事前にもわかっていた。王国派の息子には貴族派の娘を、貴族派の息子には王国派の娘を。ジェフリーのような中立を表明する者には近い位の相手を王国派貴族派問わず紹介していた。つまるところ貴族派の為と言い張るにはバランスが良すぎるのだ。シャトール侯が個人的に信望を集める結果にはなっているが貴族派の本意には見えなかった。
 指摘されたシャトール侯は縁談相手の肖像画を机の上に寝かせると、咳ばらいをしてからようやく声を潜めた。
「うむ。まあなんだ、この国は人を失い過ぎた。直に徴兵に携わっておったからわかる」
 軍人且つ領主らしい視点だった。ジェフリーもその点は同意する。赤の隊に限らず王国は多くの人材を失った。速成された兵士が今どれほどの人数居るのか考えたくもない。
「難しい話はわしにはわからん。わしが貴族派におるのは王女本人の能力を疑っておるだけのこと。いずれ、かの王女の器は嫌でも衆目に晒されるだろう。それはそれとして、政治がどう変わってもお前達は国の刃でなければならん。王国の主力を政争に巻き込んでは王国の未来そのものが危うくなる」
 ジェフリーが思い浮かべたのは、シャルシェレット卿の一件だ。勝つためには手段を選べないところまで来ているという危機感。それをまずもって理解できない者達もいるのだ。
「結果がどうなるのであれ、横の繋がりが広くなれば立場を翻すのも容易になろう。これはその為の準備でもある。考えておいてくれ」
 恐らくそれを貴族派への言い訳にしているのだろう。政争に勝った暁には速やかに騎士団が指揮下に入るであろうと。逆もまた有りうるとは気づかぬ振りをして。話を理解してもジェフリーはこの話に乗るかどうか決めることができず、その日はシャトール侯に返事をすることが出来なかった。



 しかし物事には限度がある。以後、連日のように縁談を持ちこんでくるシャトール侯の相手にいい加減疲れ果て、ジェフリーは手の及ばない町中の酒場へと逃走した。この店は騎士団の平騎士達御用達で、料理がそこそこ安くて旨くて量が多いと評判の店だ。その店の奥まった位置にある表からは見えない机を一つ貸し切り、ジェフリーは昼からワインを呷っていた。
 シャトール侯から逃げたのはジェフリーの側にも問題があった。問題の無いシャトール侯の行動は黙認せざるを得ないとして、ジェフリー本人の選択の余地である。今回の問題、ジェフリーは方針を決める基準が一切ない。彼にとって貴族に縁を作るのであれば王国派・貴族派・中立のどの貴族と繋がっても益はある。どの派閥を選んでもいい。婚姻の時期にしても年齢は言うに及ばず、階級の低い貴族ながら非常に高い権限を持つ現状は彼自身の『売り』時ともいえる。本来なら婚姻は家同士の問題であるから父ローレンスや当主である兄ハロルドに相談してみたはいいが、ここでも「好きに選べ」と言われている。よくよく考えれば騎士になる貴族など、死んでも良くて且つ養うのに困る次男坊三男坊がほとんどだ。最初から家の家系に計算に入っていなかったのだ。
 選択肢が多く、絶対の基準が無い。彼にとっては初めての状況であった。王国の弱小貴族の次男である彼にとっては、有って無いがごとき選択肢や、絶対に曲げられない基準に従うのが常であった。
「今更俺にどうしろと」
 アルコールの薄い安酒では酩酊には遠い。その癖思考はぼやける一方で、今考えなくてもいい話ばかりが頭に入ってくる。
 王国騎士団の再編をどうするのか? 新しい隊長は? 再編までに必要な任務は? 徴兵の手順は? 騎士候補の教育は? 雪崩れるように人材を失い、何をするにも人手が足りていない。ギリギリで日々の業務は維持しているが限界だ。そもそもダンテを失った赤の隊は隊長を選任しなおしたところで、以前の赤の隊には決して戻らない。
「ダンテ隊長に息子でもいれば、丁度良い年齢だったろうにな」
 それこそ今の自分が言ってはいけないセリフなのだが、そんな事すらも今のジェフリーには制御が効かなかった。ダンテが結婚に至らなかった理由は不明だが、同じ立場なら自分も同じようにしたかもしれない。赤の隊は死亡率が高い。未亡人を作る可能性も高いのなら、結婚は内務につくか騎士を辞めてからでいい。
 彼がこのように正体を無くしているのは珍しく、たまたま居合わせた顔見知りの騎士やハンター達、果ては給仕をする酒場の娘までが心配して声をかけてくる始末だった。
 朦朧とした頭でも流石にまずいと理解したのか、ジェフリーはさっさと元の言い訳に戻るように話題を誘導した。
「縁談話から逃げて来たんだよ。この忙しい時に付き合ってられなくてね」
 事実であるが全てではない。とはいえ喫緊の課題でもある。今ぐらいしか考える時間も無いだろう。
「見合いをするかどうかから決めかねて。あんた達はどう思う? あんた達の時はどうだった?」
 参考にさせてくれ。というのは半分口から出まかせ、半分本気であった。将来を考えるのが上の立場の者の仕事。どうにかして厄介な話を切り抜けたいという気持ちもある。ジェフリーに促され、ハンター達はぽつりぽつりと自分の経験や考えを語り始めていた。

解説

●状況
 珍しくジェフリーが酒飲んでくだを巻いてます
 PCはOP後半の時間帯に居合わせました

●場所
 王都にある酒が安くて料理が旨いと評判の酒場(兼宿屋)

●時間
 昼~深夜(閉店)まで

●PLの出来る事
 PCの現時点の感情に関してRPし放題なシナリオです
 NPCの質問は呼び水と思ってください

●PCの出来ること
1.ジェフリーの質問に答える
 結婚あるいは恋愛に関して、成功談・失敗談あるいはのろけ。益体ないことで結構ですので好きに語ってください
 あるいは、ジェフリーの視界内でいちゃつくだけでも構いません
 彼の最近の悩みやシャトール侯の動きは隠された情報ではないので、知っている事にしてもかまいません
2.真面目な話
 騎士団や王国の今後の話なんかも受け付けます
 基本的にハンターは部外者なので、話せる範囲で会話に応じます
3.それ以外
 この場に居合わせているという条件を満たせば何であれ描写します
 配膳のアルバイトをしたり、悪酔いしてつまみ出されたり、などでも構いません

●NPC紹介
・ジェフリー・ブラックバーン
 ダンテの副官。イスルダ島の撤退以後の実質的な赤の隊の隊長(という名目の雑用係)
 隊長の後任人事までの間、赤の隊の雑務を取り仕切っている

・シャトール侯ブランジュ・コルベール
 貴族派では有名な軍人気質の貴族。イスルダ島の撤退以後、騎士団に同情的
 頼まれてもないのに仲人の仕事を始め、双方の派閥を困惑させている

●他
 相方の描写が必要な場合はリンク参加枠を活用してください。
 リンク参加の場合の描写はメイン参加者優先になりますのでご容赦ください

 他、不明点がありましたらNPCで質疑応答を行いますので、Q&A卓の作成をお願いします

マスターより

ご無沙汰しています。鹿野です。
戦闘続きでPLの皆様もお疲れと思いますので、ゆるーいフリーアタックのシナリオにしました。
今回のテーマは結婚や恋愛です。
戦闘の合間の感情を正史化するという題目にはなりますが、気軽にご参加いただければ幸いです

関連NPC

  • 赤の隊・小隊長
    ジェフリー・ブラックバーン(kz0092
    人間(クリムゾンウェスト)|23才|男性|霊闘士(ベルセルク)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/03/01 22:56

参加者一覧

  • フューネラルナイト
    クローディオ・シャール(ka0030
    人間(紅)|30才|男性|聖導士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士
  • 紅風舞踏
    ノエル・ウォースパイト(ka6291
    人間(紅)|20才|女性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/06 20:28:48