ゲスト
(ka0000)
【黒祀】万難を排して勇者は来る
マスター:鹿野やいと

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/07 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/12/19 22:00
オープニング
【ラプト・フラジオ】と呼ばれる組織がある。
呼ばれる、と言ってもそう呼ぶ人間は限られている。何しろその存在を知る者が少ないのに加えて、組織の特性からしておいそれとその名を口にするわけにはいかないからだ。
――目標を確認。現在地――。
――了解。引き続き監視にあたれ――。
町の尖塔に上って単眼鏡を覗いたまま、口元の小型通信機で報告する男。単眼鏡の先には野原に『羊たち』が犇めく景色が広がっており、見ているだけで不快になりそうだ。
男の傍には「第六商会」と書かれたエプロンが丸められて置かれている。第六商会。王国中に店舗を持ち、リゼリオなどとも交易を行う商店であるが、それは本来の姿ではない。
王国貴族シャルシェレット家の有する諜報機関。それが、第六商会=ラプト・フラジオの正体であった。
●追撃
ベリアル及びクラベルの一行は、先刻から続くニンゲンたちの襲撃に頭を悩ませていた。
「ええい、ニンゲンどもめ、羽虫の如きしつこさよ! 今一度私の力を見せてやらねばならぬようだな!」
「やめて。気を失った貴方の身体を島まで運ぶなんて、私はしたくないわ」
「ならばどうせよと言うのだ、私のクラベルよ」
「……私が殿軍を務めるから先に帰っていて。面倒だけれど、仕方がないわ。マテリアルの枯渇した貴方なんてただの豚羊だもの」
「メェ!?」
クラベルはびしびしと文字通り鞭を打って主を先に行かせ、背後を振り返る。
ニンゲンの追撃部隊はなかなかの規模で、こちらの現有戦力では迎撃に多少手間取りそうだ。傲慢の歪虚たる自分たちが負けることなどありはしないが、王都強襲で力を消耗した現状では苦しいことに変わりはない。島まで直接転移するには回復する時間がないし、さてどうするか。
クラベルは自ら最後尾について敵先頭の騎馬を鉄針の投擲で殺しつつ、思案する。と、唐突に隣に『影』が顕現した。長身の『影』がクラベルとニンゲンの間に割って入る。
――これは……?
『影』との接触後、クラベルはすぐさま前方へ戻った。
集団の速度を上げる。道の先には一つの街。面倒だ。迂回するか――いや。
――壁にしてしまえばいい。
クラベルは先頭に立って街の外壁まで辿り着くや、壁上から矢を射掛けてくるニンゲンに向かって妖艶に微笑んだ。
「いい? 『ここを開け、私の前に住民を連れてきなさい。この私の役に立たせてあげるわ、木偶の貴方たちを……』」
かくしてその街――酒造りの街デュニクスの住民のうち、不運にも歪虚を打倒せんと集まっていた善良なる者の半数ほどが、戦いに駆り出された。
ベリアルを追撃してきた王国騎士団や聖堂戦士団、そしてハンターたちとの戦いに……。
■
彼は見た。伝説となった勇者の采配を。
「これが……かの聖女の力というのか」
騎士ブライアンは若手の中では比較的年輩の方に分類される。しかし大戦以後の任官である為、5年前のヴィオラ・フルブライトの偉業を知らない。
だから今日この日までは聖堂戦士団の伝える彼女の武勇伝を、尾鰭のついたものと決めかかっていた。
「ブライアン殿、どうかなさいましたか」
「!? い、いえ、何でもありません」
ヴィオラの声で我に返り、呆けていた自分に愕然とする。漸く彼は、彼女の行いを理解した。
刻限はほんの少しばかり前。歪虚の群れの後方からデュニクスの住人らしき一団が接近してきた。挟み撃ちを期待した騎士や聖堂戦士達を他所に、ヴィオラはすぐさまこれを敵の術と看破した。ヴィオラは周囲が状況を理解するより早く、分隊単位で編成していた一部の部隊に迂回を指示。魔術により操られた住人達が接触する前に、別働隊に追撃を行わせる。直後、武器を持った住人達と本隊が接触、ヴィオラ率いる本隊は完全に足止めされた。彼女の指示がなければここまで追い詰めた歪虚の指揮官を見逃してしまうところだったろう。
「そうですか。騎士団に損害は?」
「ありません。まだ戦えます!」
「頼もしいですね」
ヴィオラはそう言いながら騎馬の上からホーリーライトを放つ。魔力の塊は住民に紛れていた歪虚の狙い違わず打ち抜いた。ヴィオラの前方には聖堂戦士団、騎士団、及び私兵団を含む王国軍が壁となって住民を抑えていた。盾を持つ聖堂戦士が主力と成って身を張って押しとどめているが、攻撃できない人類側は押されている。
「しかしこのままではいずれ……」
ブライアンは同じく騎馬を後ろに下げながら、周囲を見渡した。家屋の並ぶ街の大通りを挟み、住人を操る歪虚と王国の混成部隊がぶつかり合って十数分、じわじわと状況は悪くなっていくばかりで、突破口がまるで見えない。いや、本来ならどこかにあるのかもしれない。ここには騎士団の誇る白・赤・青の三つの隊から騎士が派遣され 加えて聖堂戦士団、貴族の私兵、ハンターと多種多様の戦士が揃っている。だが悲しいかな、誇らしいほどの軍勢であっても、急造なせいでそれぞれが性能を発揮できていないのだ。
「せめてこの忌々しい魔術を解呪できれば!」
それが難しいのはブライアンにもよくわかっていた。聖導士を交えた大規模な儀式魔法ならともかく、一度にこんな大勢を、戦闘の最中に治療することはできない。このまま蹂躙されてしまうのか。そう苦い思いで拳を握り締めるブライアン。しかしヴィオラは様子が違った。
「いえ、そういう訳でもありませんよ」
驚くブライアンにヴィオラは大通りの先を示す。そこには、うずくまり周囲を見渡している男がいる。その男はしばらくすると再び目的を思い出したかのように戦列に戻っていく。
「先程も殴られた者が一時的に正気を取り戻していました。しかしすぐに元の状態に戻った、ということはこの戦場に魔術をもう一度かけ直している者がいるはずです」
ヴィオラは戦場のどこまでが見えているのだろうか。彼女はこの混戦の中、冷静に敵情を探り、仲間を気遣い、突破口を探し続けていた。
「あくまで可能性ですが、その者を討ちとり、術の維持に必要なマテリアルを断てば、自然と回復するかもしれません」
ブライアンは光を見た。こうして彼女が導きの光を示したのだと。ならば迷いはない。全力で彼女を助けるまで。
「ブライアン殿、我々聖堂戦士団は徒歩の者が多く重い鎧を着ているので強襲には不向きです。騎士団で後方の敵将を強襲できませんか?」
「いえ、難しいかと。赤の隊の騎馬部隊は今日は私のみです。しかし、出来そうな者に心当たりはあります」
ブライアンは『貴方達』を見た。聖堂戦士や騎士のように装備が画一でなく、一騎当千・万夫不当の勇猛な戦士達を。
「大役だ。出来るか?」
そう聞かれて「いいえ」という者もいないだろう。そして代役の宛も居ない。ハンター達は苦笑しながらも、よく通る声で「応」と答えた。
呼ばれる、と言ってもそう呼ぶ人間は限られている。何しろその存在を知る者が少ないのに加えて、組織の特性からしておいそれとその名を口にするわけにはいかないからだ。
――目標を確認。現在地――。
――了解。引き続き監視にあたれ――。
町の尖塔に上って単眼鏡を覗いたまま、口元の小型通信機で報告する男。単眼鏡の先には野原に『羊たち』が犇めく景色が広がっており、見ているだけで不快になりそうだ。
男の傍には「第六商会」と書かれたエプロンが丸められて置かれている。第六商会。王国中に店舗を持ち、リゼリオなどとも交易を行う商店であるが、それは本来の姿ではない。
王国貴族シャルシェレット家の有する諜報機関。それが、第六商会=ラプト・フラジオの正体であった。
●追撃
ベリアル及びクラベルの一行は、先刻から続くニンゲンたちの襲撃に頭を悩ませていた。
「ええい、ニンゲンどもめ、羽虫の如きしつこさよ! 今一度私の力を見せてやらねばならぬようだな!」
「やめて。気を失った貴方の身体を島まで運ぶなんて、私はしたくないわ」
「ならばどうせよと言うのだ、私のクラベルよ」
「……私が殿軍を務めるから先に帰っていて。面倒だけれど、仕方がないわ。マテリアルの枯渇した貴方なんてただの豚羊だもの」
「メェ!?」
クラベルはびしびしと文字通り鞭を打って主を先に行かせ、背後を振り返る。
ニンゲンの追撃部隊はなかなかの規模で、こちらの現有戦力では迎撃に多少手間取りそうだ。傲慢の歪虚たる自分たちが負けることなどありはしないが、王都強襲で力を消耗した現状では苦しいことに変わりはない。島まで直接転移するには回復する時間がないし、さてどうするか。
クラベルは自ら最後尾について敵先頭の騎馬を鉄針の投擲で殺しつつ、思案する。と、唐突に隣に『影』が顕現した。長身の『影』がクラベルとニンゲンの間に割って入る。
――これは……?
『影』との接触後、クラベルはすぐさま前方へ戻った。
集団の速度を上げる。道の先には一つの街。面倒だ。迂回するか――いや。
――壁にしてしまえばいい。
クラベルは先頭に立って街の外壁まで辿り着くや、壁上から矢を射掛けてくるニンゲンに向かって妖艶に微笑んだ。
「いい? 『ここを開け、私の前に住民を連れてきなさい。この私の役に立たせてあげるわ、木偶の貴方たちを……』」
かくしてその街――酒造りの街デュニクスの住民のうち、不運にも歪虚を打倒せんと集まっていた善良なる者の半数ほどが、戦いに駆り出された。
ベリアルを追撃してきた王国騎士団や聖堂戦士団、そしてハンターたちとの戦いに……。
■
彼は見た。伝説となった勇者の采配を。
「これが……かの聖女の力というのか」
騎士ブライアンは若手の中では比較的年輩の方に分類される。しかし大戦以後の任官である為、5年前のヴィオラ・フルブライトの偉業を知らない。
だから今日この日までは聖堂戦士団の伝える彼女の武勇伝を、尾鰭のついたものと決めかかっていた。
「ブライアン殿、どうかなさいましたか」
「!? い、いえ、何でもありません」
ヴィオラの声で我に返り、呆けていた自分に愕然とする。漸く彼は、彼女の行いを理解した。
刻限はほんの少しばかり前。歪虚の群れの後方からデュニクスの住人らしき一団が接近してきた。挟み撃ちを期待した騎士や聖堂戦士達を他所に、ヴィオラはすぐさまこれを敵の術と看破した。ヴィオラは周囲が状況を理解するより早く、分隊単位で編成していた一部の部隊に迂回を指示。魔術により操られた住人達が接触する前に、別働隊に追撃を行わせる。直後、武器を持った住人達と本隊が接触、ヴィオラ率いる本隊は完全に足止めされた。彼女の指示がなければここまで追い詰めた歪虚の指揮官を見逃してしまうところだったろう。
「そうですか。騎士団に損害は?」
「ありません。まだ戦えます!」
「頼もしいですね」
ヴィオラはそう言いながら騎馬の上からホーリーライトを放つ。魔力の塊は住民に紛れていた歪虚の狙い違わず打ち抜いた。ヴィオラの前方には聖堂戦士団、騎士団、及び私兵団を含む王国軍が壁となって住民を抑えていた。盾を持つ聖堂戦士が主力と成って身を張って押しとどめているが、攻撃できない人類側は押されている。
「しかしこのままではいずれ……」
ブライアンは同じく騎馬を後ろに下げながら、周囲を見渡した。家屋の並ぶ街の大通りを挟み、住人を操る歪虚と王国の混成部隊がぶつかり合って十数分、じわじわと状況は悪くなっていくばかりで、突破口がまるで見えない。いや、本来ならどこかにあるのかもしれない。ここには騎士団の誇る白・赤・青の三つの隊から騎士が派遣され 加えて聖堂戦士団、貴族の私兵、ハンターと多種多様の戦士が揃っている。だが悲しいかな、誇らしいほどの軍勢であっても、急造なせいでそれぞれが性能を発揮できていないのだ。
「せめてこの忌々しい魔術を解呪できれば!」
それが難しいのはブライアンにもよくわかっていた。聖導士を交えた大規模な儀式魔法ならともかく、一度にこんな大勢を、戦闘の最中に治療することはできない。このまま蹂躙されてしまうのか。そう苦い思いで拳を握り締めるブライアン。しかしヴィオラは様子が違った。
「いえ、そういう訳でもありませんよ」
驚くブライアンにヴィオラは大通りの先を示す。そこには、うずくまり周囲を見渡している男がいる。その男はしばらくすると再び目的を思い出したかのように戦列に戻っていく。
「先程も殴られた者が一時的に正気を取り戻していました。しかしすぐに元の状態に戻った、ということはこの戦場に魔術をもう一度かけ直している者がいるはずです」
ヴィオラは戦場のどこまでが見えているのだろうか。彼女はこの混戦の中、冷静に敵情を探り、仲間を気遣い、突破口を探し続けていた。
「あくまで可能性ですが、その者を討ちとり、術の維持に必要なマテリアルを断てば、自然と回復するかもしれません」
ブライアンは光を見た。こうして彼女が導きの光を示したのだと。ならば迷いはない。全力で彼女を助けるまで。
「ブライアン殿、我々聖堂戦士団は徒歩の者が多く重い鎧を着ているので強襲には不向きです。騎士団で後方の敵将を強襲できませんか?」
「いえ、難しいかと。赤の隊の騎馬部隊は今日は私のみです。しかし、出来そうな者に心当たりはあります」
ブライアンは『貴方達』を見た。聖堂戦士や騎士のように装備が画一でなく、一騎当千・万夫不当の勇猛な戦士達を。
「大役だ。出来るか?」
そう聞かれて「いいえ」という者もいないだろう。そして代役の宛も居ない。ハンター達は苦笑しながらも、よく通る声で「応」と答えた。
解説
■状況
OPのとおりです。時刻は昼。天気は晴れ
街の大通りで歪虚に操られた人の集団に押されています
どうにかこの集団を迂回し、敵将へ直接攻撃を行ってください
■NPC紹介
・ヴィオラ・フルブライト
詳細はNPC紹介を参照ください
強さは本物の規格外です
・騎士ブライアン
クラス:闘狩人。赤の隊所属
大戦以後の任官で今年25
この場に残った騎士の中で一番位が高いため
暫定的に隊長として振舞っている
・その他混成軍の皆様
近隣で動ける人達を集めただけの寄り合い所帯
勢いはあるけど連携はいまひとつ
■敵の情報
・民間人
操られてるだけの街の住人です
見えるだけでも相当な数が居ますが、蹴散らすだけなら楽勝です
・歪虚
ボスはよくいる大きな羊型の個体です
魔法攻撃が得意なタイプですが
基礎能力が高いので接近戦も弱いわけではありません
取り巻きの通常サイズの羊型歪虚も居ますが
絶対数自体はそんなに多くありません
■判定
・王国の混成部隊、民間人の被害を集計し
少なければ少ないほど成功度は高くなります
・民間人をどう回避するか
いかに早く目標にたどり着くか
たどり着いた後、いかに素早く指揮官を仕留めるか
などの点を重点的に採点します
OPのとおりです。時刻は昼。天気は晴れ
街の大通りで歪虚に操られた人の集団に押されています
どうにかこの集団を迂回し、敵将へ直接攻撃を行ってください
■NPC紹介
・ヴィオラ・フルブライト
詳細はNPC紹介を参照ください
強さは本物の規格外です
・騎士ブライアン
クラス:闘狩人。赤の隊所属
大戦以後の任官で今年25
この場に残った騎士の中で一番位が高いため
暫定的に隊長として振舞っている
・その他混成軍の皆様
近隣で動ける人達を集めただけの寄り合い所帯
勢いはあるけど連携はいまひとつ
■敵の情報
・民間人
操られてるだけの街の住人です
見えるだけでも相当な数が居ますが、蹴散らすだけなら楽勝です
・歪虚
ボスはよくいる大きな羊型の個体です
魔法攻撃が得意なタイプですが
基礎能力が高いので接近戦も弱いわけではありません
取り巻きの通常サイズの羊型歪虚も居ますが
絶対数自体はそんなに多くありません
■判定
・王国の混成部隊、民間人の被害を集計し
少なければ少ないほど成功度は高くなります
・民間人をどう回避するか
いかに早く目標にたどり着くか
たどり着いた後、いかに素早く指揮官を仕留めるか
などの点を重点的に採点します
マスターより
【黒祀】連動依頼の〆、取り逃がしたベリアル一味を追いかける依頼をリリースいたします
ガッチガチの戦闘依頼が大好きな方、ヴィオラさんに良い格好したい方、英雄になってみたい方、
ジンギスカン鍋を食べ損ねてお怒りの方、皆々様奮って御参加くださいませ
※羊肉の剥ぎ取りはできませんので、悪しからず御了承ください
ガッチガチの戦闘依頼が大好きな方、ヴィオラさんに良い格好したい方、英雄になってみたい方、
ジンギスカン鍋を食べ損ねてお怒りの方、皆々様奮って御参加くださいませ
※羊肉の剥ぎ取りはできませんので、悪しからず御了承ください
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/12/18 17:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/04 01:15:16 |
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作戦相談 レイス(ka1541) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/12/07 21:52:36 |