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【反影】行方、光さす方へ 明

マスター:ゆくなが

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/02/24 09:00
リプレイ完成予定
2018/03/10 09:00

オープニング

 異界の空は、太陽があっても暗かった。
 ハンターたちはある虚無の前に立っている。
 そして、ついに侵入を試みた……。


 虚無の中に入ると、そこは暗闇でした。
 明かり一つさえない、お互いの顔は愚か、自分の手すら見えない暗闇です。
 さっそく一人のハンターが経験をもとにライトを取り出して、明かりをつけようとしました。しかし、それは一瞬こそ点りましたが、すぐに明かりは暗闇に飲まれてしまったのです。
 不思議なことです。ほかのハンターたちも各々光源に明かりをつけて見ましたが、それは瞬いただけで、灯る兆しがありません。
 周囲は全くの暗闇です。ハンターたちは途方にくれました。一旦虚無から出ようかと相談し始めた時、なんと、向こうの方から青い光がこちらへ向かってやってくるではありませんか。
 青い光はみるみる近づいてきます。どうやら、青い光はカンテラの光らしく、取っ手には人の手が見えます。おそらく人間が持って歩いているのでしょう。
青い光をもった人物も、ハンターたちに気づいたようです。
「あなたたち、こんなところで明かりも灯さず、何をやっているんですか」
 声には戸惑いの色が感じられました。声の低さから、彼は男性なのでしょう。
 青い光はついにハンターたちの目の前まで来て止まりました。暗闇の中、照らされて、彼の顔が見えます。わし鼻の特徴的な、面長の青年でした。目はいささか落ち窪んでおり、光の具合も相まって、疲れているように見えます。
「光がなければ、暗闇に飲まれてしまいますよ」
 ハンターたちは青年に、明かりがどうしてもつかないことを説明しました。
「はあ。そりゃそうですよ。この世界の光は、種心(たなごごろ)以外滅んでしまったのですからね」
 何が何だか、いまだ判然としません。
「事情はよくわかりませんけど、僕は帰り道でちょうど具合がいいです。僕の家までくれば、残りの種心がありますから、ご案内しますよ。ついていらしてください」
 青年はハンターたちについてくるように促しました。しかし、彼の言うことには聞き慣れない言葉があります。
「種心を知らないんですか? ますます変わった人たちですね。種心とは、光が邪神の侵攻により失われたこの世界で、唯一灯る光のことです。原料は、感情の揺らぎ、喜びや嬉しさなどの正の感情が元になっているのですよ」
 この世界では光がないといいます。どうやらハンターと青年がいる場所は屋外らしいのですが、確かに何の光もありません。夜空には月は愚か、星すら瞬いていないのです。
「完全に暗闇になってしまったのは3年前ほどですよ。まずは太陽がなくなったんです。そして、炎や雷も姿を消しました。やがて空に輝く星も邪神に食われてなくなってしまったのです。もう、この種心しか光はないんですよ」
 青年は、ちょっと俯いていいました。
 ところで、あなたは何者なの? とハンターの一人が問いかけました。
 青年はやっぱり不思議そうに首を傾げて、やがて答えました。
「僕は、ほら、箱火屋(はこびや)ですよ」そう言って、青年は背中に背負っている大きな箱を見せました。「贈り物や手紙などを人々に届ける仕事をしています」
 青年は、今一度、種心の灯ったカンテラでハンターたちの顔をじっくり眺めました。
「やっぱり、変な人たちですね。武装しているようですが、危険な感じもしません。不思議なことです」
 青年は、ため息とも含み笑いともつかぬ息をはきました。
「僕はエト。どうぞよろしく」
 青年、エトは軽く自己紹介をして歩き出しました。
 しばらく歩いていきますと、一軒の家が見えました。軒先に明かりが灯っています。やはりそれも青い光で、きっと種心なのでありましょう。
 その前に来ると、青年は振り返って、「ちょっと待っていてください」と言って、カンテラを一人のハンターに預け、家の方へ向かっていきました。
こんこん、と扉をノックすると、中から車椅子の少女が現れました。
「やあ、ルーナ。今日も手紙が来ていますよ」
 青年は背負っていた箱の中から一枚の手紙を取り出して、少女へ差し出します。
「そんな、毎日悪いわ。彼には、もう手紙は出さなくていいと伝えてくださらない?」
 少女、ルーナは遠慮がちに、それでも手紙を受け取りました。
「もし、伝えたいことがあるのなら、手紙を書くことです。いつでも僕が運びますから」
 少女は俯いて、戸惑ったような表情を見せました。
 エトは語気を強めて言いました。
「もう一度歌ってとは言いません。でも、せめて手紙くらいは書かないとダメです。心が死んでしまいます」
「……いいのよ、それで」
 ルーナは、エトと目を合わせずに、そう呟くように言いました。
 その時です、道端にハンターたちが待っているのに気が付いたのでした。
「あら、お客様?」
 ルーナが言います。
「道に、迷っていると言いますか、何と言いますか、さっき会いまして、種心を持っていないと言うので、僕の家に案内しようとおもったのですよ」
「まあ、変わった人たちね」
 ルーナもエトと同じようなことを言いました。
「でも、カンテラと種心が必要ならここにあるから、私からでよければ差し上げますよ。どうにもカンテラは二つしかありませんけれど」
 ルーナはハンターたちの方を見て言いました。
「でも、しかし……」
 エトは渋っているようでした。しかし、ルーナも譲りません。
「ぜひ寄って言ってくださいな。この人以外と話すことなんてもう、ないのですから、お客様は嬉しいわ」
「……何言ってるんですか。あなたには毎日、手紙が来ているでしょう。僕以外とも、会話とはいきませんが、交流があるはずです」
「ああ、そうでしたっけね。そう言うことにしておきましょう。ともかく、あなたたち、お入りになって。私、おしゃべりしたい気分だわ」
 エトはまだ心配しているようでしたが、ようやく決心がついたのか、ひとつため息をして言いました。
「じゃあ、僕は灯台の時間の確認に行って来ます。ついでに追加の種心も用意持ってきますから、よろしくお願いしますね」
 ルーナはにこにことハンターたちを手招きしています。
 さて、こうしてある異界間交流がはじまったのでした。

解説

●概要
異界へ入った途端、光るものは全く使えなくなってしまいました。
ですが、偶然であった青年から、光を分け与えてもらうことになりました。
青年曰く、ここは邪神の進行によって光が滅ぼされた世界だと言います。
カンテラは二個あります。これを頼りに探索を進めればいいでしょう。
種心は消耗品です。一つに付きだいたい一日ほど持ちます。

●依頼の目的
今回の依頼では、この異界を探索することが目的となっています。
オープニングを手がかりにいろいろ調べて見て来ださい。
もちろん、ルーナやエトとの交流も歓迎します。

●人物紹介
エト:箱火屋の青年。
ルーナ:車椅子の少女。昔は歌を歌っていたらしい。

●用語紹介
種心:たなごころ、と読みます。正の感情から生まれる光。この異界での唯一の光源。一つに付きだいたい一日ほど持ちます。
箱火屋:はこびや、と読みます。つまり運び屋です。

●異界内の特殊設定
種心以外の光源は使用できません。また、光、炎、雷など光るスキルも効果、威力半減とします。

マスターより

こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです
【反影】連動シナリオをお届けします。

それでは皆様のご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/03/04 23:00

参加者一覧

  • いつか、その隣へと
    ティアンシェ=ロゼアマネル(ka3394
    人間(紅)|22才|女性|聖導士
  • 咲き初めし白花
    ブリジット(ka4843
    人間(紅)|16才|女性|舞刀士
  • 自在の弾丸
    キャリコ・ビューイ(ka5044
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 遊演の銀指
    レオナ(ka6158
    エルフ|20才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/20 07:53:35
アイコン 相談卓
ティアンシェ=ロゼアマネル(ka3394
人間(クリムゾンウェスト)|22才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/02/24 09:04:11