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　ヘレが眠りだして数日。
　リムネラはなにやら荷造りをしていた。
「……リムネラさん、本当にいくんですか？」
　補佐役のジークが、不安そうに尋ねる。リムネラはにっこりと微笑んで、頷き返した。
「幻獣の森は、聖地にも近いデスし、巫女とも縁の深い場所、デスから。ワタシが直接ナーランギに聞くのが、キットいいと思うのデス」
　ヘレが体調を崩した一番の原因に、もし心当たりがあるとすれば――それは四大精霊のイクタサ、ソサエティ総長のナディア、そして大幻獣ナーランギだろうと言うのが今の結論だった。
　そして彼らに情報を求めるため、ユニオンとしても依頼を出したのだが――ナーランギのもとには、リムネラ自身もついていくというのだ。
　ナーランギの住むのは、リムネラも言っていたとおりの「幻獣の森」。白龍と懇意にしており、森の守護者たるナーランギはそこから動くことこそないが、深い叡智をたたえた瞳を持っていて、一を聞いて十を知るような大幻獣だ。
　かの大幻獣を慕う幻獣も数多く、住処を追われた幻獣たちを保護するために今はその力の殆どを幻獣の森の維持に使っている、見た目に反して優しいところの多い大幻獣なのである。
「ナーランギは、優しい方デス。以前のチューダの失態も、最終的に酷く咎めることもセズ、そして今も人間を信じ切っているわけではないデスが、必要な時に手を貸してクダサイマス」
　リムネラはそう言って、いまだ眠っているヘレの頬をそっと撫でた。それでも気付かないくらい、ヘレは深い眠りに落ちている。
　ヘレの体調の急激な変化の原因を求めるべく、リムネラは自らその答えを求めに出かけることを決めたのだった。こういう時のリムネラは自分の意見を曲げることがあまりない。そのくらい、リムネラは今、真剣だったのだ。
「ハンターたちを勿論信じてイマス。けれど、ワタシも、いてもたってもいられなくて……！」
　リムネラの意見は酷く理解出来る。ジークはしばらく悩んだ後、判りました、と苦笑混じりに頷いた。
「その代わり、ちゃんと無事に帰ってきて下さい。約束ですよ」
「……！　アリガトウ、ジーク」
　少女は年齢相応の笑みを浮かべて、頷き返したのだった。

容態の思わしくないヘレについての何らかのヒントを得るべく、リムネラ自身も調査のために出かけることにしました。
リムネラが向かうのは辺境の奥にある「幻獣の森」、話を聞く相手は大幻獣ナーランギになります。
ナーランギはもともと幻獣の森を守護している大幻獣で、もともとは先代白龍ともつながりがあったことから、何らかの情報がつかめるのではないかという目算です。
大霊堂で転移してから向かうので、大きな戦闘などの心配はあまりないでしょうが、もともとナーランギは悲観的な性格をしています。ナーランギの性格やとると思われる言動を考えた上での行動が必要となるでしょう。
ナーランギ個人としては、ハンターにも恩があるので無碍なことはしないでしょうが、情報を聞き出すのは一筋縄ではいかないと考えておいて下さい。
ナーランギは亀に絡みついた蛇――リアルブルーの神獣「玄武」にどことなく似た雰囲気を持っています。ロックイーターと呼ばれる巨大な亀に絡みつき、その場に留まろうとしているようにも見えます。
多くの叡智を蓄えてはいますが、もともとが悲観的な性格。
食べものの嗜好は、酒を好むようです。
過去のハンターたちとの接触については、【幻森】依頼などを参考にすると良いかもしれません。
今回の依頼も交渉などのほうを重視した依頼になっています。
ヘレの変化とそれを改善するためのヒントを得ることが最優先目標です。
その点間違えずに、行動していただけると助かります。

こんにちは、四月朔日です。
とうとうはじまりました、【幻兆】連動依頼。
リムネラとヘレはキーパーソン的存在ではありますが、彼女たちの行動が正解とは限りません。
連動して公開されるほかの依頼もありますので、最善解を全て見つけなくとも構いません。
が、何かしらのヒントを手に入れられるように、頑張って下さい。
では参加、お待ちしております。