ゲスト
(ka0000)
はもんのゆくえ
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/03/02 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/03/11 19:00
オープニング
鬼哭組の目論見をハンターと共に阻止した即疾隊は後始末に追われていた。
疲労困憊は皆同じであり、交代しながら休みを取り、事態の収束を行っている。
そんな中、一番隊隊長の壬生和彦はどこか心にあらず。
「和彦さん……鬼哭組の件より上の空です。如何されましたか?」
即疾隊主治医の越乃初名が心配そうに声をかけると、和彦は参ったと肩を落とした。
「私は、東行大輔という者を知りませんでした。もしかしたら、どこかで顔を合わせたかもしれませんが……その、上原様をまだ慕っていた、父を知っていたのと久しぶりに捨てた名で呼ばれたということが……嬉しくて」
「和彦さん……」
恥ずかしそうに前髪を掌で抑える和彦は珍しく年齢相応の様相を見せており、その様子に初名は気遣う。
壬生和彦という名は彼が名乗りたくて名乗っていないことは知っているから。
「しかし、私はもう、壬生和彦として生きる覚悟をしてます。三条家がどうのより、この国に住まう者達を守りたい気持ちが私をここに立たせているのですから」
「そうですね……私もです」
吹っ切っている和彦の言葉に初名も頷いた。
そんな二人のやり取りの後日、亀田診療所にある人物が現れる。
「清さん!」
ぱぁっと、顔を明るくする初名に清は艶やかに笑む。
現在も亀田診療所は午前中のみの診療となったので、清との会話は昼になった。
「ちょっと、家族の用事でこっちに用事があってね」
ふふと笑う清は話を切り替え、初名に前回の旅の成果があったのか尋ねる。
「ええ、快くお墓参りをさせて頂きました」
「そうかい、心残りがなくなるのはいいことだ」
頷く清に初名は心残りという言葉に困った様子を見せた。
「実を言いますと、師匠のご親友より、刀を預かりまして……」
「刀?」
首を傾げる清の髪が揺れ、甘く刺した簪がずるりと動く。
「ええ……あの、宜しければ直しましょうか?」
初名が申し出ると、清は簪を渡す。
飴色の柘植に赤いトンボ玉のような飾りがついている。ある一面に細い楕円の線が入っており、まるで蛇の目のような簪。
「お願いできるかい? コシの無い髪でね。で、その刀って?」
困りきった清は話を進めようをする。
「ええ、それは……」
さらさらな清の髪を手で梳きながら初名は師匠の親友より預かった刀の話をした。
当時、初名の師匠が才ある剣士だったが、非覚醒者であるが故に練達の限界を感じ、鬱屈していた。刀匠は親友である彼の為に刀を打ったが、親友は医師の道へと歩み、刀はお蔵入りとなる。
「一度は刀が盗まれたこともあるそうで、その時に双頭をした蛇の歪虚を倒したとか」
「……へぇ」
清は初名の話に相槌を打ちながら聞いていた。
「できた……と。清さん、もしよろしければ、この薬を」
髪を結い終わった初名は薬が入っている棚より塗り薬を取り出す。
「傷跡を少しでも消す薬です。余計なお世話とは……」
遠慮がちに初名が言えば、清は自分への気遣いとわかり、笑う。
「ありがとう……人の目はあるからねぇ」
懐にしまう清は初名に礼を言いった。
「そういえば、清さん。以前に簪を奪われた際、賊の中に赤い羽根を付けた殿方を見たと仰ってましたよね」
「ああ、盗賊と付き合いはあったようだけど、旅人みたいで、顔も東方では見ない顔立ちだねぇ。私が見たのも、そいつが帰る時だったし。最近じゃ、西方のハンターが来るようになったんだろう? 異国の人かもね」
清が唸りながら思い出してくれると、初名は申し訳なさそうに礼を言う。
「まぁ、また来るよ」
ひらひら手を振り、清は去っていった。
その数日後、初名は局長達よりこのままなにごともなければ春には治安も落ち着くだろうから、元の生活に戻ってよしと告げられた。
通いの生活は何かと大変だという事もあり、初名の仕事を気遣ってのことだ。
しかし、そんな安堵も束の間だった。
初名が診療所に向かうと、内鍵が壊されており、家の中が荒らされていた。
「屯所に連絡しろ!」
隊士達が確認で走り回る中、初名はそのまま腰を抜かし、座り込んでしまう。
「し、診療録……」
抜ける腰で動けないのに初名は腕を動かし、立ち上がろうとした。
彼女にとって、診療録は何よりも大事なものであり、ここに通う患者の事が書かれている。
「先生! 診療録棚の鍵に触った形跡はありません。大丈夫です!」
中を見て来てくれた隊士が叫ぶと、他の隊士が青ざめた様子で初名のもとへ戻ってきた。
「……刀が……盗られてました」
その言葉に初名は肩を落とし、膝を崩した。
初名が無事であったことが唯一の救いであったが、初名が預かった刀が奪われたことに一番隊長である壬生和彦は内心苛立ちを覚える。
一昨年の事件まで関わり合いがなかった祖父の刀であったが、姉妹のように大事にしている初名を怖がらせたことを許す気はならない。
とはいえ、窃盗は即疾隊の範囲外。
故に番屋へ任せるしかない。
一昨年の連続辻斬りの件で番屋とは小競り合いも絶えないのも事実だが、協力し合えなくては民を守れないという考えは一緒のようだ。
「亀田診療所の初名先生は知る人ぞ知る美人先生だからなぁ。他の岡っ引き共も目くじら立てて走り回ってら。出がらしでわりぃな」
筒香町の岡っ引き親分八助が情報を聞きに来た和彦に茶を渡す。
「頂きます。初名先生も心細いので、その気持ちだけでありがたいです。進展は」
「最近、斬り合いの喧嘩が絶えなくってな。しかも、片方に必ず覚醒者がいる」
「鬼哭組ですか?」
和彦の問いに八助は「わからん」と返す。
「片方は必ず逃げている。そいつが八割喧嘩を吹っ掛けているそうだ。壬生さんよ、こりゃぁ……ハンター先生の出番じゃないかって俺ぁ思うんだが」
「奇遇です。俺もそう思ってました」
「しっかし、あんたもお姉さんばっかりじゃなくて、そろそろいい女のひとりや……」
「は、八助親分! そんな現を抜かしていては、若峰を守れません!」
顔を真っ赤にする和彦に八助は「はいはい」と笑う。
屯所に戻る時、和彦は先日に事を構えた鬼哭組浪士である東行大輔の言葉を思い出していた。
彼は自分が引き入れようとした浪人がおかしな様子を見せていたこと。見知らぬ女と接触していたことを知り、浪人が夜中近づいていた亀田診療所に探りを入れようとしていたこと。
鬼哭組の首魁である松永武人の他、ブラッドリーという異邦人の姿をした歪虚が存在したという話は聞いている。
東行もまだ実態を掴んではいなかったのだろう。
この街に巣食う『何か』を。
東行はもう即疾隊の手を離れているし、和彦が把握している事以上は奴も知らないのだろうと和彦は思う。
怪しまれても、即疾隊に追われようとも、奴は奴なりに探そうとしていたのかもしれない。
嘆息を吐いた和彦はハンターオフィスへと足を向けた。
疲労困憊は皆同じであり、交代しながら休みを取り、事態の収束を行っている。
そんな中、一番隊隊長の壬生和彦はどこか心にあらず。
「和彦さん……鬼哭組の件より上の空です。如何されましたか?」
即疾隊主治医の越乃初名が心配そうに声をかけると、和彦は参ったと肩を落とした。
「私は、東行大輔という者を知りませんでした。もしかしたら、どこかで顔を合わせたかもしれませんが……その、上原様をまだ慕っていた、父を知っていたのと久しぶりに捨てた名で呼ばれたということが……嬉しくて」
「和彦さん……」
恥ずかしそうに前髪を掌で抑える和彦は珍しく年齢相応の様相を見せており、その様子に初名は気遣う。
壬生和彦という名は彼が名乗りたくて名乗っていないことは知っているから。
「しかし、私はもう、壬生和彦として生きる覚悟をしてます。三条家がどうのより、この国に住まう者達を守りたい気持ちが私をここに立たせているのですから」
「そうですね……私もです」
吹っ切っている和彦の言葉に初名も頷いた。
そんな二人のやり取りの後日、亀田診療所にある人物が現れる。
「清さん!」
ぱぁっと、顔を明るくする初名に清は艶やかに笑む。
現在も亀田診療所は午前中のみの診療となったので、清との会話は昼になった。
「ちょっと、家族の用事でこっちに用事があってね」
ふふと笑う清は話を切り替え、初名に前回の旅の成果があったのか尋ねる。
「ええ、快くお墓参りをさせて頂きました」
「そうかい、心残りがなくなるのはいいことだ」
頷く清に初名は心残りという言葉に困った様子を見せた。
「実を言いますと、師匠のご親友より、刀を預かりまして……」
「刀?」
首を傾げる清の髪が揺れ、甘く刺した簪がずるりと動く。
「ええ……あの、宜しければ直しましょうか?」
初名が申し出ると、清は簪を渡す。
飴色の柘植に赤いトンボ玉のような飾りがついている。ある一面に細い楕円の線が入っており、まるで蛇の目のような簪。
「お願いできるかい? コシの無い髪でね。で、その刀って?」
困りきった清は話を進めようをする。
「ええ、それは……」
さらさらな清の髪を手で梳きながら初名は師匠の親友より預かった刀の話をした。
当時、初名の師匠が才ある剣士だったが、非覚醒者であるが故に練達の限界を感じ、鬱屈していた。刀匠は親友である彼の為に刀を打ったが、親友は医師の道へと歩み、刀はお蔵入りとなる。
「一度は刀が盗まれたこともあるそうで、その時に双頭をした蛇の歪虚を倒したとか」
「……へぇ」
清は初名の話に相槌を打ちながら聞いていた。
「できた……と。清さん、もしよろしければ、この薬を」
髪を結い終わった初名は薬が入っている棚より塗り薬を取り出す。
「傷跡を少しでも消す薬です。余計なお世話とは……」
遠慮がちに初名が言えば、清は自分への気遣いとわかり、笑う。
「ありがとう……人の目はあるからねぇ」
懐にしまう清は初名に礼を言いった。
「そういえば、清さん。以前に簪を奪われた際、賊の中に赤い羽根を付けた殿方を見たと仰ってましたよね」
「ああ、盗賊と付き合いはあったようだけど、旅人みたいで、顔も東方では見ない顔立ちだねぇ。私が見たのも、そいつが帰る時だったし。最近じゃ、西方のハンターが来るようになったんだろう? 異国の人かもね」
清が唸りながら思い出してくれると、初名は申し訳なさそうに礼を言う。
「まぁ、また来るよ」
ひらひら手を振り、清は去っていった。
その数日後、初名は局長達よりこのままなにごともなければ春には治安も落ち着くだろうから、元の生活に戻ってよしと告げられた。
通いの生活は何かと大変だという事もあり、初名の仕事を気遣ってのことだ。
しかし、そんな安堵も束の間だった。
初名が診療所に向かうと、内鍵が壊されており、家の中が荒らされていた。
「屯所に連絡しろ!」
隊士達が確認で走り回る中、初名はそのまま腰を抜かし、座り込んでしまう。
「し、診療録……」
抜ける腰で動けないのに初名は腕を動かし、立ち上がろうとした。
彼女にとって、診療録は何よりも大事なものであり、ここに通う患者の事が書かれている。
「先生! 診療録棚の鍵に触った形跡はありません。大丈夫です!」
中を見て来てくれた隊士が叫ぶと、他の隊士が青ざめた様子で初名のもとへ戻ってきた。
「……刀が……盗られてました」
その言葉に初名は肩を落とし、膝を崩した。
初名が無事であったことが唯一の救いであったが、初名が預かった刀が奪われたことに一番隊長である壬生和彦は内心苛立ちを覚える。
一昨年の事件まで関わり合いがなかった祖父の刀であったが、姉妹のように大事にしている初名を怖がらせたことを許す気はならない。
とはいえ、窃盗は即疾隊の範囲外。
故に番屋へ任せるしかない。
一昨年の連続辻斬りの件で番屋とは小競り合いも絶えないのも事実だが、協力し合えなくては民を守れないという考えは一緒のようだ。
「亀田診療所の初名先生は知る人ぞ知る美人先生だからなぁ。他の岡っ引き共も目くじら立てて走り回ってら。出がらしでわりぃな」
筒香町の岡っ引き親分八助が情報を聞きに来た和彦に茶を渡す。
「頂きます。初名先生も心細いので、その気持ちだけでありがたいです。進展は」
「最近、斬り合いの喧嘩が絶えなくってな。しかも、片方に必ず覚醒者がいる」
「鬼哭組ですか?」
和彦の問いに八助は「わからん」と返す。
「片方は必ず逃げている。そいつが八割喧嘩を吹っ掛けているそうだ。壬生さんよ、こりゃぁ……ハンター先生の出番じゃないかって俺ぁ思うんだが」
「奇遇です。俺もそう思ってました」
「しっかし、あんたもお姉さんばっかりじゃなくて、そろそろいい女のひとりや……」
「は、八助親分! そんな現を抜かしていては、若峰を守れません!」
顔を真っ赤にする和彦に八助は「はいはい」と笑う。
屯所に戻る時、和彦は先日に事を構えた鬼哭組浪士である東行大輔の言葉を思い出していた。
彼は自分が引き入れようとした浪人がおかしな様子を見せていたこと。見知らぬ女と接触していたことを知り、浪人が夜中近づいていた亀田診療所に探りを入れようとしていたこと。
鬼哭組の首魁である松永武人の他、ブラッドリーという異邦人の姿をした歪虚が存在したという話は聞いている。
東行もまだ実態を掴んではいなかったのだろう。
この街に巣食う『何か』を。
東行はもう即疾隊の手を離れているし、和彦が把握している事以上は奴も知らないのだろうと和彦は思う。
怪しまれても、即疾隊に追われようとも、奴は奴なりに探そうとしていたのかもしれない。
嘆息を吐いた和彦はハンターオフィスへと足を向けた。
解説
依頼内容
斬り合い喧嘩を追え。
皆様は即疾隊一番隊隊長の壬生和彦の依頼に応じてます。
亀田診療所にて保管されていた刀匠白賀時光の若かりし頃に作った刀が盗まれました。
その後すぐに斬り合いの喧嘩がはじまり、筒香町の岡っ引き八助の話では、大抵喧嘩を吹っ掛ける者は覚醒者で刀を持っているとの事。
その刀身は光の反射で蛇の鱗のような柄が浮かび上がっていたと目撃情報があり、その様子は正気を失っているような感じとの事。
女が同行していたという場合もあったとか。
場所は今永町。中央区画の商業施設から下流の繁華街です。
道が狭く、すれ違うのもやっとなくらい。
治安も悪く、女一人で出歩くのはそこに住まうものくらい。
浪人達の小競り合いが絶えないので、番屋も匙を投げてます。
今回の斬り合いからは番屋も本腰あげているようですが、いまいち成果は上がってない模様。
今永町番屋に行けば、昇太親分から上記の目撃情報の話が聞けます。
昇太は即疾隊に対し、協力しなければならないのは理解しつつも、素直になれない世話焼きおじさん。美人に滅法弱い。
該当者が見付かりましたら、街中で戦闘になる可能性があります。
お気を付けてください。
同行NPCについて、壬生和彦、越乃初名はプレイングにてお呼び下さい。
亀田診療所は一時的に閉めてますが、そのままにしています。中を確認することも可能です。
OP内の情報はPC様は和彦や初名より聞いたことにしても構いません。
何か気になることがあれば、プレイングにてどうぞ。
斬り合い喧嘩を追え。
皆様は即疾隊一番隊隊長の壬生和彦の依頼に応じてます。
亀田診療所にて保管されていた刀匠白賀時光の若かりし頃に作った刀が盗まれました。
その後すぐに斬り合いの喧嘩がはじまり、筒香町の岡っ引き八助の話では、大抵喧嘩を吹っ掛ける者は覚醒者で刀を持っているとの事。
その刀身は光の反射で蛇の鱗のような柄が浮かび上がっていたと目撃情報があり、その様子は正気を失っているような感じとの事。
女が同行していたという場合もあったとか。
場所は今永町。中央区画の商業施設から下流の繁華街です。
道が狭く、すれ違うのもやっとなくらい。
治安も悪く、女一人で出歩くのはそこに住まうものくらい。
浪人達の小競り合いが絶えないので、番屋も匙を投げてます。
今回の斬り合いからは番屋も本腰あげているようですが、いまいち成果は上がってない模様。
今永町番屋に行けば、昇太親分から上記の目撃情報の話が聞けます。
昇太は即疾隊に対し、協力しなければならないのは理解しつつも、素直になれない世話焼きおじさん。美人に滅法弱い。
該当者が見付かりましたら、街中で戦闘になる可能性があります。
お気を付けてください。
同行NPCについて、壬生和彦、越乃初名はプレイングにてお呼び下さい。
亀田診療所は一時的に閉めてますが、そのままにしています。中を確認することも可能です。
OP内の情報はPC様は和彦や初名より聞いたことにしても構いません。
何か気になることがあれば、プレイングにてどうぞ。
マスターより
お世話になります。鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
『はもんのつづき』『【東幕】はもんのうら』の続きとなります。
宜しくお願いします。
『はもんのつづき』『【東幕】はもんのうら』の続きとなります。
宜しくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/03/09 05:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/02/27 20:07:15 |
|
![]() |
相談場 空蝉(ka6951) オートマトン|20才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2018/03/02 16:58:14 |