• 無し

水路から溢れるスライム流し

マスター:柏木雄馬

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/03/04 22:00
リプレイ完成予定
2018/03/13 22:00

オープニング

 それは黒大公ベリアルによる王都襲撃の際に、闇の中で誰に気付かれることもなくひっそりと生まれた。
 自我も無く、闇のマテリアルに汚染された自覚もなく、故に当然、自らの意思にもよらず──ソレはまるでがん細胞の如く、変質し、種本来の限界を超えて大きくなり始めた。
 大きくなり過ぎた身体は、やがて出口から自身を出られなくした。日も当たらぬ、ただ水だけが流れ続ける行き止まりの空間で、ソレは何の思考も考察もなく、ただ延々と流れ続けて来る水と、そこに含まれている負のマテリアル──自分と同じベリアル襲撃時の残滓──を取り込みながら大きくなっていった。
 通常、たとえ雑魔と化しても何の影響も周囲に与えず、すぐに消え去る運命だったその『単細胞生物』は、やがて巨大化して自身が負のマテリアルを伝播させる存在となり。周囲にいるかつての同種を汚染しながらその場に在り続けた。
 何年も、何年も……

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 『王都は天地の賜物』という言葉がある。
 『王都』とはグラズヘイム王国王都イルダーナのこと。『天地』とは宗教的権威たる聖堂教会と、世俗的権威たるグラハム王家──具体的には、王都の中心、丘の上に並び立つ聖ヴェレニウス大聖堂と王城を指していると世間一般には思われている。
 実際、聖堂教会とグラハム王家が歴史上、王都の発展に大きく寄与してきたことは厳然たる事実であるし、その事実こそがこの言葉の持つ意味をかように変遷させていったであろう。
 だが、本来、この『天地の賜物』というのは、丘の頂に湧き出す一つの聖泉を指す言葉であったのである。

 ──当時、レーヌ川の畔の小村に過ぎなかったイルダーナの地において、農地の開拓に悩んでいた当時の村長(この逸話では後のグラハム王家の祖とされる)が夢で大精霊に「丘の上に井戸を掘れ」との天啓を受け、周囲に嗤われながらもただひたすらにお告げを信じて掘り続けたところ、やがて丘の裾野まで覆い尽くさんばかりの水が噴き出し、後の繁栄を築いたという。

 或いは、まだイルダーナが一都市国家に過ぎなかった何百年もの昔── 当時、迫害されていたエクラ教徒を保護したイルダーナが排斥派の敵国に丘の上の砦に追い込まれて水の手を切られた時。教徒たちの祈りに応えて地上に遣わされた聖女が手にした聖杖で丘の頂を一突きすると、そこから尽きる事のない水が湧き出し…… その奇蹟によって危機を脱したイルダーナはやがて敵国を打ち負かし、大陸全土を領土とする大グラズヘイム王国への一歩を刻んだのだという──


 数々の神話・伝説と共に語られるこの『奇跡の泉』は、今も聖ヴェレニウス大聖堂の敷地内に聖泉として存在する。王国巡礼の最後に訪れる大聖堂で、長旅の疲れを癒す手水の小川──その源泉がかの聖泉である。
 そう、驚くべきことに、泉からは今も水が湧き出し続けているのだ。記録に残る限り1000年以上。しかも、王都の端々に至るまで張り巡らされた上水道網は自然流下方式であり……そこに流れる水は全て、この泉から湧き出した水で賄われているのである。

 古の人々は『王都は天地の賜物』と言った。その『天地』は『天』の奇蹟により『地』からもたらされた恵みの泉。
 王都の発展史を語る上で欠くことのできないこの存在を、奇跡と呼ぶ以外の言葉を私は持たない……


(古都アークエルスの大図書館。とある歴史学者の論文より一部を抜粋)
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 王都第六城壁の外に広がる通称『第七街区』は、元々、難民たちが寄り集まって形成された街である。
 第七城壁建設と上水道整備計画、2つの公共事業によって難民と呼ばれる状況を脱した彼らは、自らを新たな『王都の民』とするべく、自分たちの町をそれに相応しいものへと変えていった。
 王城から放射状に延びる大通り──新しく設けられた城門を抜け、新たに第六街区と接続されたこの道の脇に掘られた水路もその一つである。大通りに並行して整備された広い石畳と緑地の公園と、水路の上に架けられた何本もの人道橋は、夜は最新の自動式魔導灯の街灯と照明によってライトアップされ、他の街区と比べても遜色のない文化的で先鋭的な造形物として新たな名所となるだろう。
 ……本来、この人造の川は別段必要なものでなく、この地区の復興担当官が公共事業へのGnome導入を巡るリベートの為にゴリ押しした土木工事の賜物である、などという裏事情は、聞かなきゃよかった、という類の逸話であろうが。

 この日、この地区の『自治』を任されている『地域の実力者』、ドニ・ドゥブレーは、件の水路の完成式典に参加する為、かの地を訪れていた。
 やる気もなく、表面だけは真面目な顔して、式典参加者の列に並ぶドニ。王都のお偉いさんたちの挨拶の後、計画推進者である担当官、ルパート・J・グローヴァーが意気揚々と演台に上がる。
(俺の手の届かないところであいつが何かをやると、大抵ろくな事にならないんだよな)
 そんな事をドニが思っていると、ルパートたちがテープカットをして水路に初めて水が入れられた。
 意気揚々と入水を叫んだルパートの声に反し……城門の下に開けられた水門は暫し、うんともすんとも言わなかった。観客たちがざわつき、壇上のルパートが目に見えて慌て始めた時。ドドドドドッという轟音と共に、まるでダムの放水の様に激しく水が水路に流れ込んだ。
 おおっ、と観客たちから湧く歓声。なんという心憎い演出、とルパートを褒めそやす上役たちの中で、ドニだけか(んなわけあるか)と心の中で毒づいた。
 案の定、流れる水の怒涛に交って、何かが水門から吐き出された。
 それはスライムの塊──いや、山だった。それは水路の向かい端の水門(水路はまだ一部しか完成しておらず、未完成区間はまだ水門によって閉じられていた)に、台風の際に海岸に打ち寄せる波の如く、どぱあぁぁ……ん! とぶち当たり…… 上方に打ち上げられた水(とスライム)の塊が空中に砕け解れて、バケツをひっくり返した様に地上へと降り注いだ。
「むぅ! アレは自然種でも魔法生物でもな歪虚型……!」
 たまたまその場に居合わせたアークエルスのスライム学者(様々な学者が魔導実験を行うかの古都では水路にスライムが発生するくらいは日常茶飯事だ)が叫ぶ。
「歪虚……? ってことは、『アレ』は人を襲うんだな!?」
 ドニは間髪入れずに部下を呼ぶと、人々の避難誘導に当たるよう指示を出した。
「あのデカブツはどうするんで!?」
「心配するな。多分、いつもの様に……」
 おせっかいな連中が既に動き出しているはずだ── そういうドニの視線の先で、偶々近場にいたハンターたちが現場に駆けつけていくのが見えた。

解説

1.状況と目的
(マスターよりへ)

2.戦場
 MAP中央に幅20mの川が南北に。川の両岸はそれぞれ幅10mの舗装された堤(上り)。その両端に広い公園が広がっている。
 川には幅4mの人道橋が掛かっている。その下は閉ざされた水門で、この周囲にスライムたちが飛び散っている。
 ボススライムの初期配置は水門前の水の中。
 ドーザー装備のGnomeが2台、橋の両端に展示されてます(誰でも使える状態なのはPL情報)
 なぜかMAPの端に植物油の入った樽が何個かあります(中身についてはPL情報)。
 まだ多くの人々が混乱し、逃げ惑っています。長射程の人も南北に射線を通す為に川に近づかなければいけません(ぇ

3.敵
雑魚スライム×たくさん 大きさも様々 無属性
 半透明、不定形の軟体生物型歪虚。体内に弱点となる核があるが、本体はぶよぶよしていて衝撃に強い。地上での移動速度は遅い。
 粘性と粘着性があり、獲物に飛び掛かって張り付き、命中箇所ごとに窒息や消化液による継続ダメージを与えます。剥がすのは大変です。
 消化液の散弾を吐いたりもします。消化液は防具を溶かします(ぇ 性別は問いません(防御力低下。これによるアイテムロストはありません)
 中には消化液ではなく、防具の隙間に潜り込んで直接、マテリアルを吸収する種もいます(ドレインタッチ)

ボススライム×1
 全長8mを越える巨大なおもちといった感じのスライム。無属性。粘性が非常に高く、一度捕らえられると容易には脱出できない。しかもサウナスーツの様に熱い。
 消化液は出さず、攻撃方法は主に『粘着掴みからの叩きつけ』或いは『粘着掴みからの投擲』。自身の一部を切り離すことも可能。通った跡も3ターン程は粘着床に。
 べたべたが強すぎて柔らかい防具は千切れてしまうかもしれない(ぇ (以下同文)
 雑魚と同様に衝撃には強いが、ある程度(要工夫)伸ばすと千切れ易くはなる。

マスターより

(解説から)
1.状況と目的

 裏事情と表向きの状況はOPの通り。
 PCは偶々現場の周囲に居合わせ、状況を知って駆けつけた、或いは巻き込まれたハンターの1人となります。つまり初期配置は自由です。
 全てのスライムを駆逐してください。柏木分類『戦闘系』&『描写系』。敵を倒すこととPCの描写自体が目的のシナリオです。


 ……というわけで、なんかこんなスライムものとなりました。こんにちは、柏木雄馬です。
 まぁ、あれです。愛しいキャラクターに悲鳴を上げさせたくない方は、そっち方面からはなるべく離れたプレイングを。逆の場合は……みなさん、分かっておられますかと(


 以上です。それではよろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/03/11 19:16

参加者一覧

  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 流浪の剛力修道女
    シレークス(ka0752
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 交渉人
    J・D(ka3351
    エルフ|26才|男性|猟撃士
  • 疾風の癒し手
    十色 乃梛(ka5902
    人間(蒼)|14才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン
J・D(ka3351
エルフ|26才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2018/03/02 02:46:34
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/01 21:37:58