ゲスト
(ka0000)
Grimm
マスター:愁水

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2018/03/19 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/04/02 19:00
オープニング
●
おひめさまは
おうじ さま に 死んぞうを
さされ て
死あわせ に 死に
ま死た
めでた死 めで た
――死
**
「――」
「クロ……? どうかした……?」
「……別に」
遠くへ耳をそばだてていたような面差しをさっと引いて、黒亜(kz0238)は何事もなかったかのように階段を上がっていく。
「んー……?」
紅亜(kz0239)が気抜けな表情で小首を傾げていると、「――紅亜、次はお前が見たがっていた赤ずきんのフロアだぞ。早く来い」と、空中廊下に差し掛かっていた白亜(kz0237)の声が、紅亜の意識を惹いた。
「おー……見る見るー……」
波打たない喜びのトーンを発しながら、紅亜は階段の手摺りに指先をかけた。
兄妹であり、天鵞絨サーカス団の団員でもある三人は、近々公演する演目の参考に、都市内にある美術館へ訪れていた。
公演のテーマは、童話。
機会よく、絵画や彫刻を中心とした“お伽噺”の展示会が開催されていた為、見聞を広めていた。
一階から二階まで吹き抜けとなった空間。
螺旋階段や空中廊下。
天井のガラスドーム――。
「ふおー……赤ずきんがいるー……」
紅亜達を出迎えたのは、窓や暖炉、テーブルや椅子という、祖母の家で赤ずきんが息づく、壁絵の“部屋”。
壁に掛けられた絵画からは、赤い少女の物語が順序立てて語られている。部屋の中央には、赤ずきんの祖母に化けた狼と、落ち葉を一枚傍らにした赤ずきんのオブジェが飾られていた。ベッドから赤ずきんを食べる機会を窺っているシーンのようだ。
牙を隠し、爪を隠す、赤い赤い――残酷な物語。
軈て、閉館の時刻となった。
白亜達が一階の中央ホールへ下りると、其処には“あなた達”の姿が。
「おや、君達も来ていたのか。ふむ……何処かで行き違ったか?」
「いや、二階でも見かけなかったよ。大方、閉館の時間間違えて来たとかなんじゃないの? まぬけだね」
勘も言葉も鋭い。
「うむ……? ぜんぶ回れなかったの……? あー……残念だったね……」
「悄気ることはない。暫くは開催しているようだぞ。また明日以降、ゆっくり見て回るといい」
「……ねえ。無駄話するにしても、ココ出てからにしたら? 館内に残ってる客、あとオレ達だけみたいなんだけど」
「おや、それはいかんな。早々に――」
その時だった。
キイィン――……
張り詰めた、“それ”。
耳許で羽音のように囁く音。
髪を触手で撫ぜるような気配。
肌を針で刺すような感覚。
どれをとっても、不快。
何より、ハンターならば馴染みのある歪なこの力の流れは――雑魔だ。
「……は? なに、このタイミングでとか……マジウザイんだけど」
敵の位置は定かではないが、雑魔が何がしかの能力を発動させたようだ。先程とは打って変わり、空気が澱んでいる。
不機嫌極まりない面持ちに反して、黒亜の行動は冷静で迅速だった。
黒亜が状況の確認へ向かっている間、白亜達は職員の保護に回る。黒亜を含めた一同が再び、中央ホールへ集った。
黒亜が調べた様子では、美術館の正面入口や裏口、非常口等の出入口は全て、通行を抑制する力が発動している為、脱出は不可能らしい。事務室や収蔵庫、トイレ、スタッフルームに異常はなかった。
「この美術館は主に中央ホールと四つの展示ホールがメインで構成されているみたいだけど……多分、この四つの展示ホールがキモっぽいね」
「と言うと、何か収穫があったようだな」
「ん。ヘンゼルとグレーテルのホール調べてたら、襲ってきたんだよね。――グレーテルが。まあ、正確には、その“オブジェ”が、だけど。予想つくでしょ? 変身能力と遮断能力を持ってて、常に四体で狩場を成す雑魔」
「ふむ……黄蓮か。となると」
「残りは三体。オレが調べていないホールも、三。一階の白雪姫と人魚姫、二階の赤ずきんのホールだね」
「化けるには適した空間ということか」
昨日まで何一つ被害の報告がなかったということは、黄蓮は恐らく昨夜の内に湧いたのだろう。人気の少なくなった時間を狙い、遮断能力を発動させ、閉じ込めた獲物をゆっくりと喰らう思惑だったのだろうが――雑魔達こそ、タイミングが悪かったのかもしれない。
統率の才を面に、白亜が一同を見渡す。
「全員で手分けをして状況を打破するぞ。出入りの遮断を解放させるには、黄蓮を殲滅する他ない」
「職員はどうするの? わざわざ彼らを襲いに来るなんてことはないだろうけど……放ってもおけないでしょ」
「クロ、頼めるか?」
「……まあ、それが妥当だよね。りょーかい」
「紅亜は俺と――」
「えー……子供じゃないんだからひとりでもへーきだよ……私は赤ずきんのトコ行くー……」
「ふむ……わかった。では、俺は白雪姫のホールへ向かうとしよう。君達も各自、討伐へ向かうホールを決めてくれ。黄蓮は恐らく、童話のオブジェに姿を変えているはずだ。くれぐれも見誤るなよ」
「あ――それと、もう一つ。童話の世界に夢見てるヤツは……まあ、壊されないようにせいぜい気をつけた方がいいかもね」
黒亜が含みのある物言いで、此方を一瞥した。
黄蓮には厄介な力がもう一つある。
それは、人形を操る能力。
人型のオブジェも例外ではないだろう。つまり、敵は黄蓮だけではないということ。そして、足を踏み入れたその先に、誰でも知っているお伽噺――幸せな“世界”が待っているとは限らない。
現実と同じように。
おひめさまは
おうじ さま に 死んぞうを
さされ て
死あわせ に 死に
ま死た
めでた死 めで た
――死
**
「――」
「クロ……? どうかした……?」
「……別に」
遠くへ耳をそばだてていたような面差しをさっと引いて、黒亜(kz0238)は何事もなかったかのように階段を上がっていく。
「んー……?」
紅亜(kz0239)が気抜けな表情で小首を傾げていると、「――紅亜、次はお前が見たがっていた赤ずきんのフロアだぞ。早く来い」と、空中廊下に差し掛かっていた白亜(kz0237)の声が、紅亜の意識を惹いた。
「おー……見る見るー……」
波打たない喜びのトーンを発しながら、紅亜は階段の手摺りに指先をかけた。
兄妹であり、天鵞絨サーカス団の団員でもある三人は、近々公演する演目の参考に、都市内にある美術館へ訪れていた。
公演のテーマは、童話。
機会よく、絵画や彫刻を中心とした“お伽噺”の展示会が開催されていた為、見聞を広めていた。
一階から二階まで吹き抜けとなった空間。
螺旋階段や空中廊下。
天井のガラスドーム――。
「ふおー……赤ずきんがいるー……」
紅亜達を出迎えたのは、窓や暖炉、テーブルや椅子という、祖母の家で赤ずきんが息づく、壁絵の“部屋”。
壁に掛けられた絵画からは、赤い少女の物語が順序立てて語られている。部屋の中央には、赤ずきんの祖母に化けた狼と、落ち葉を一枚傍らにした赤ずきんのオブジェが飾られていた。ベッドから赤ずきんを食べる機会を窺っているシーンのようだ。
牙を隠し、爪を隠す、赤い赤い――残酷な物語。
軈て、閉館の時刻となった。
白亜達が一階の中央ホールへ下りると、其処には“あなた達”の姿が。
「おや、君達も来ていたのか。ふむ……何処かで行き違ったか?」
「いや、二階でも見かけなかったよ。大方、閉館の時間間違えて来たとかなんじゃないの? まぬけだね」
勘も言葉も鋭い。
「うむ……? ぜんぶ回れなかったの……? あー……残念だったね……」
「悄気ることはない。暫くは開催しているようだぞ。また明日以降、ゆっくり見て回るといい」
「……ねえ。無駄話するにしても、ココ出てからにしたら? 館内に残ってる客、あとオレ達だけみたいなんだけど」
「おや、それはいかんな。早々に――」
その時だった。
キイィン――……
張り詰めた、“それ”。
耳許で羽音のように囁く音。
髪を触手で撫ぜるような気配。
肌を針で刺すような感覚。
どれをとっても、不快。
何より、ハンターならば馴染みのある歪なこの力の流れは――雑魔だ。
「……は? なに、このタイミングでとか……マジウザイんだけど」
敵の位置は定かではないが、雑魔が何がしかの能力を発動させたようだ。先程とは打って変わり、空気が澱んでいる。
不機嫌極まりない面持ちに反して、黒亜の行動は冷静で迅速だった。
黒亜が状況の確認へ向かっている間、白亜達は職員の保護に回る。黒亜を含めた一同が再び、中央ホールへ集った。
黒亜が調べた様子では、美術館の正面入口や裏口、非常口等の出入口は全て、通行を抑制する力が発動している為、脱出は不可能らしい。事務室や収蔵庫、トイレ、スタッフルームに異常はなかった。
「この美術館は主に中央ホールと四つの展示ホールがメインで構成されているみたいだけど……多分、この四つの展示ホールがキモっぽいね」
「と言うと、何か収穫があったようだな」
「ん。ヘンゼルとグレーテルのホール調べてたら、襲ってきたんだよね。――グレーテルが。まあ、正確には、その“オブジェ”が、だけど。予想つくでしょ? 変身能力と遮断能力を持ってて、常に四体で狩場を成す雑魔」
「ふむ……黄蓮か。となると」
「残りは三体。オレが調べていないホールも、三。一階の白雪姫と人魚姫、二階の赤ずきんのホールだね」
「化けるには適した空間ということか」
昨日まで何一つ被害の報告がなかったということは、黄蓮は恐らく昨夜の内に湧いたのだろう。人気の少なくなった時間を狙い、遮断能力を発動させ、閉じ込めた獲物をゆっくりと喰らう思惑だったのだろうが――雑魔達こそ、タイミングが悪かったのかもしれない。
統率の才を面に、白亜が一同を見渡す。
「全員で手分けをして状況を打破するぞ。出入りの遮断を解放させるには、黄蓮を殲滅する他ない」
「職員はどうするの? わざわざ彼らを襲いに来るなんてことはないだろうけど……放ってもおけないでしょ」
「クロ、頼めるか?」
「……まあ、それが妥当だよね。りょーかい」
「紅亜は俺と――」
「えー……子供じゃないんだからひとりでもへーきだよ……私は赤ずきんのトコ行くー……」
「ふむ……わかった。では、俺は白雪姫のホールへ向かうとしよう。君達も各自、討伐へ向かうホールを決めてくれ。黄蓮は恐らく、童話のオブジェに姿を変えているはずだ。くれぐれも見誤るなよ」
「あ――それと、もう一つ。童話の世界に夢見てるヤツは……まあ、壊されないようにせいぜい気をつけた方がいいかもね」
黒亜が含みのある物言いで、此方を一瞥した。
黄蓮には厄介な力がもう一つある。
それは、人形を操る能力。
人型のオブジェも例外ではないだろう。つまり、敵は黄蓮だけではないということ。そして、足を踏み入れたその先に、誰でも知っているお伽噺――幸せな“世界”が待っているとは限らない。
現実と同じように。
解説
《目的》
・黄蓮の殲滅。
《ホール》
・ホールは、三人の大人が優に戦える広さ。
・部屋の照明はやや暗め。
白雪姫:
壁絵は生い茂った暗い森。
中央のオブジェは、白雪姫と王子。ガラスの棺から目覚めた白雪姫の心臓に、王子が剣を突き立てている。
人魚姫:
壁絵は海。
中央のオブジェは、人魚姫と王子。人魚姫は抱き合う王子の胸を後ろから短剣で刺そうとしている。
赤ずきん:
壁絵は赤ずきんの祖母の部屋。
中央のオブジェは、赤ずきんと狼。赤ずきんが狼の腹を裂いている。
《その他》
・姿を変えている黄蓮と本物のオブジェの判別は、肉眼では先ず出来ない。
・黄蓮を倒せばオブジェは元に戻る。
《敵》
黄蓮(オウレン):
美術館のオブジェに姿を変えている、地属性の上位雑魔。
隙を見せると、又は、正体を見破られると、本来の姿で襲いかかってくる。
本来の姿は女型の植物。体長1.6m程。夜目が利く。
回避↑↑ 魔法攻撃力↑↑ 物理防御力↓
近距離攻撃=麻痺効果のある蔓の両腕。
遠距離攻撃=地属性の球を複数発生させ、飛ばしてくる(球には鋭利な棘)
黄蓮に操られたオブジェ:
攻撃は一律して、肉弾戦。
物理攻撃力↑↑
《NPC》
白亜:
天鵞絨サーカス団の団長。黒亜と紅亜の兄。
得物はカービンタイプの銃。体術も扱う。
白雪姫のホールへ向かう。
黒亜:
天鵞絨サーカス団の団員。次男。
得物は刀身の長い日本刀。
職員の保護を担当。中央ホールにいる。
紅亜:
天鵞絨サーカス団の団員。末っ子。
得物はレガース。戦闘時はレッドフードを身に纏う。
赤ずきんのホールへ向かう。
※質問は白亜が回答します。
・黄蓮の殲滅。
《ホール》
・ホールは、三人の大人が優に戦える広さ。
・部屋の照明はやや暗め。
白雪姫:
壁絵は生い茂った暗い森。
中央のオブジェは、白雪姫と王子。ガラスの棺から目覚めた白雪姫の心臓に、王子が剣を突き立てている。
人魚姫:
壁絵は海。
中央のオブジェは、人魚姫と王子。人魚姫は抱き合う王子の胸を後ろから短剣で刺そうとしている。
赤ずきん:
壁絵は赤ずきんの祖母の部屋。
中央のオブジェは、赤ずきんと狼。赤ずきんが狼の腹を裂いている。
《その他》
・姿を変えている黄蓮と本物のオブジェの判別は、肉眼では先ず出来ない。
・黄蓮を倒せばオブジェは元に戻る。
《敵》
黄蓮(オウレン):
美術館のオブジェに姿を変えている、地属性の上位雑魔。
隙を見せると、又は、正体を見破られると、本来の姿で襲いかかってくる。
本来の姿は女型の植物。体長1.6m程。夜目が利く。
回避↑↑ 魔法攻撃力↑↑ 物理防御力↓
近距離攻撃=麻痺効果のある蔓の両腕。
遠距離攻撃=地属性の球を複数発生させ、飛ばしてくる(球には鋭利な棘)
黄蓮に操られたオブジェ:
攻撃は一律して、肉弾戦。
物理攻撃力↑↑
《NPC》
白亜:
天鵞絨サーカス団の団長。黒亜と紅亜の兄。
得物はカービンタイプの銃。体術も扱う。
白雪姫のホールへ向かう。
黒亜:
天鵞絨サーカス団の団員。次男。
得物は刀身の長い日本刀。
職員の保護を担当。中央ホールにいる。
紅亜:
天鵞絨サーカス団の団員。末っ子。
得物はレガース。戦闘時はレッドフードを身に纏う。
赤ずきんのホールへ向かう。
※質問は白亜が回答します。
マスターより
お世話になっております、花粉症を殲滅して欲しい愁水です。
悪い魔女に書き換えられてしまった“物語”。
頭からバリバリ食べられないようにご注意を。ご縁お待ちしております。
悪い魔女に書き換えられてしまった“物語”。
頭からバリバリ食べられないようにご注意を。ご縁お待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/03/29 01:19
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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むかしむかし…【相談卓】 白藤(ka3768) 人間(リアルブルー)|28才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/03/18 21:33:57 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/03/14 07:11:13 |
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教えて白の王子様!【質問卓】 ミア(ka7035) 鬼|22才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2018/03/14 21:08:46 |