ゲスト
(ka0000)
Tear drop
マスター:楠々蛙

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/03/31 09:00
- リプレイ完成予定
- 2018/04/12 09:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
そこは、森中を横断するように走る街道から、脇に外れたところにある開けた場所だった。木々を切り倒して作られたらしいその場所は、この街道を通る隊商が宿泊地として利用しているらしい。柱と屋根だけの粗末な代物だが、厩も隊商の手によって建てられている。その隊商は今の時期別の土地で商いをしているとの事で、旅人が野宿をするのにお誂え向きだと、少し前に立ち寄った町の者が言っていた。
正午──まだ野宿を考えるには早い時間だからだろうか、他に人影のないその宿泊地で、ラウラ=フアネーレはただ一人、近くの小川から汲んで来た桶の水を、黒馬と白馬──ブケファラスとスレイプニルの前に置いた。
額の汗を手で拭う。小柄な身体にとって、馬の世話は中々に骨の折れる作業だが、二頭の馬車馬の疲労に比べれば、どうという事もないだろう。
飼葉を食むよりも真っ先に音を立てて桶の水を飲む馬の背中を撫でると、毛皮の奥に熱が籠っているのが伝わった。
無理もない。ここのところ、休む暇とてなく馬車を牽き通しなのだから。以前なら、大きな町に着いては二、三日滞在していたが、今は食料や水、弾薬などを補充してすぐに発つという事もざらだった。
思わず、ため息を零す。
俯く顔を上げて、ラウラは周りの木々や、その根本に群生している草花を見渡した。どれも良く見知った種類だ。そう、幼い頃から良く知っている花や木々が、彼女の周りを囲っている。──中には、ラウラの生まれ育った地方でしか繁殖していない種もあった。
あの花は、根をすり潰して塗ると打ち身に良く効く。あれは、煎じて服用すると解熱作用のある種だ。どれもこれも、薬師だった父や母から教わったモノばかり。それは、懐かしい想い出のはずだったが、それが今近くにあるという事が何を意味しているのかを思えば、心が重くなるだけだった。
きっかけは、あの死を奉じる祭りの日だったように思う。祭りから宿に帰った矢先、偶然に出“遭った”終始ニコニコと目尻を細める青年から渡されたミサンガを手にするラウラを眼にするや、あの二人──キャロル=クルックシャンクとバリー=ランズダウンは、まず、眼にも明らかに硬直した。そして次の瞬間、掴み掛からんばかりの勢いでキャロルが詰め寄って来たのだ。身の竦む思いがしたのをはっきりと憶えている。眼に険に近いモノすら籠めるキャロルの肩へ手を掛けて制したバリーの眼にすら、凍える眼光があった。
たぶん、あの時だ。何かの歯車がずれたのは。
いや──もしかすると、それまで噛み合っていなかった歯車がピタリと嵌ったのかもしれない。ああ、きっとそうなのだろう。
これまでが、何かの間違いだった。元々、何ラウラが二人と行動を共にしていたのは、生まれ故郷に帰るため、それを考えればそう思う方が、自然だ。
そうやって納得しようとして──
「そんなのって……、そんなのって──ない」
そんな、ふざけた理屈があってたまるものかと思う。これまでの事を嘘にして、辻褄を合わせるために清算しましょうだなんて、そんな理不尽はないだろう。
けれど、あの二人はそう考えているのではないかと、そう思うのだ。
勝手な理屈だ。こっちの気持ちも考えないで、ともすれば裏切られた気さえする。でも同時に──そもそも裏切ったり、裏切られたりできるような関係だったのかとも思う。
何も知らない。そう、何も知らないのだ。二人の旅の目的も。二人の過去も。二人があの日、何故ああまで眼の色を変えて、ミサンガの出自を問い質したのかすらも──何も、知らない。
以前、ある人が三人の関係を指して、家族のようだと表した事があった。その時は、こそばゆさを伴う暖かな心地になったが、今改めて振り返れば──これで? と思わずには居られない。こんなふとした拍子に崩れてしまうような関係を、家族と呼べるのか。
わからない、わからない。
ホント──わかんないことばかり。
「あ、れ?」
滴がひとつ、頬を伝うのに気付いたのは、その時だった。
泣くつもりなんてなかった。──いや、本当にそうだろうか。あの二人を強引に狩りに追い立てて、黒猫のルーナすら無理矢理追い払ったのは、堰が切れそうになっているのを半ば自覚していたからなのかもしれない。
ともかく、頬を伝う涙の感触は、本当の事だった。
慌てて手で拭おうとするも、時既に遅く、顎まで伝い落ちた涙滴は、肌から離れて桶の中へと吸い込まれてゆく。
馬は意にも介さずに、ラウラの涙が落ちた水を飲んでいる。
そういえば、昔誰かに聞いた事がある。
涙は、流れた由縁によって味が変わるのだと。悔し涙は塩辛くて、哀しい涙は甘い味がするらしい。
「あまい? しょっぱい?」
しゃがみ込み、桶に顔を突っ込む馬に視線を合わせながら訊いてみるも、ただ水を飲むばかりで応えはない。
「そっか。わかんない、か」
下草に座り込み、膝を抱え込んで、片頬を埋めるようにして顔を乗せる。
自分の心さえ、ぐちゃぐちゃで。本当に、わからない事だらけだ。
何を視るでもなく、ただ宙を漂わせる視界の中へ不意に人影が入り込んで来たのは、また涙が込み上げそうになった時だった。
そこは、森中を横断するように走る街道から、脇に外れたところにある開けた場所だった。木々を切り倒して作られたらしいその場所は、この街道を通る隊商が宿泊地として利用しているらしい。柱と屋根だけの粗末な代物だが、厩も隊商の手によって建てられている。その隊商は今の時期別の土地で商いをしているとの事で、旅人が野宿をするのにお誂え向きだと、少し前に立ち寄った町の者が言っていた。
正午──まだ野宿を考えるには早い時間だからだろうか、他に人影のないその宿泊地で、ラウラ=フアネーレはただ一人、近くの小川から汲んで来た桶の水を、黒馬と白馬──ブケファラスとスレイプニルの前に置いた。
額の汗を手で拭う。小柄な身体にとって、馬の世話は中々に骨の折れる作業だが、二頭の馬車馬の疲労に比べれば、どうという事もないだろう。
飼葉を食むよりも真っ先に音を立てて桶の水を飲む馬の背中を撫でると、毛皮の奥に熱が籠っているのが伝わった。
無理もない。ここのところ、休む暇とてなく馬車を牽き通しなのだから。以前なら、大きな町に着いては二、三日滞在していたが、今は食料や水、弾薬などを補充してすぐに発つという事もざらだった。
思わず、ため息を零す。
俯く顔を上げて、ラウラは周りの木々や、その根本に群生している草花を見渡した。どれも良く見知った種類だ。そう、幼い頃から良く知っている花や木々が、彼女の周りを囲っている。──中には、ラウラの生まれ育った地方でしか繁殖していない種もあった。
あの花は、根をすり潰して塗ると打ち身に良く効く。あれは、煎じて服用すると解熱作用のある種だ。どれもこれも、薬師だった父や母から教わったモノばかり。それは、懐かしい想い出のはずだったが、それが今近くにあるという事が何を意味しているのかを思えば、心が重くなるだけだった。
きっかけは、あの死を奉じる祭りの日だったように思う。祭りから宿に帰った矢先、偶然に出“遭った”終始ニコニコと目尻を細める青年から渡されたミサンガを手にするラウラを眼にするや、あの二人──キャロル=クルックシャンクとバリー=ランズダウンは、まず、眼にも明らかに硬直した。そして次の瞬間、掴み掛からんばかりの勢いでキャロルが詰め寄って来たのだ。身の竦む思いがしたのをはっきりと憶えている。眼に険に近いモノすら籠めるキャロルの肩へ手を掛けて制したバリーの眼にすら、凍える眼光があった。
たぶん、あの時だ。何かの歯車がずれたのは。
いや──もしかすると、それまで噛み合っていなかった歯車がピタリと嵌ったのかもしれない。ああ、きっとそうなのだろう。
これまでが、何かの間違いだった。元々、何ラウラが二人と行動を共にしていたのは、生まれ故郷に帰るため、それを考えればそう思う方が、自然だ。
そうやって納得しようとして──
「そんなのって……、そんなのって──ない」
そんな、ふざけた理屈があってたまるものかと思う。これまでの事を嘘にして、辻褄を合わせるために清算しましょうだなんて、そんな理不尽はないだろう。
けれど、あの二人はそう考えているのではないかと、そう思うのだ。
勝手な理屈だ。こっちの気持ちも考えないで、ともすれば裏切られた気さえする。でも同時に──そもそも裏切ったり、裏切られたりできるような関係だったのかとも思う。
何も知らない。そう、何も知らないのだ。二人の旅の目的も。二人の過去も。二人があの日、何故ああまで眼の色を変えて、ミサンガの出自を問い質したのかすらも──何も、知らない。
以前、ある人が三人の関係を指して、家族のようだと表した事があった。その時は、こそばゆさを伴う暖かな心地になったが、今改めて振り返れば──これで? と思わずには居られない。こんなふとした拍子に崩れてしまうような関係を、家族と呼べるのか。
わからない、わからない。
ホント──わかんないことばかり。
「あ、れ?」
滴がひとつ、頬を伝うのに気付いたのは、その時だった。
泣くつもりなんてなかった。──いや、本当にそうだろうか。あの二人を強引に狩りに追い立てて、黒猫のルーナすら無理矢理追い払ったのは、堰が切れそうになっているのを半ば自覚していたからなのかもしれない。
ともかく、頬を伝う涙の感触は、本当の事だった。
慌てて手で拭おうとするも、時既に遅く、顎まで伝い落ちた涙滴は、肌から離れて桶の中へと吸い込まれてゆく。
馬は意にも介さずに、ラウラの涙が落ちた水を飲んでいる。
そういえば、昔誰かに聞いた事がある。
涙は、流れた由縁によって味が変わるのだと。悔し涙は塩辛くて、哀しい涙は甘い味がするらしい。
「あまい? しょっぱい?」
しゃがみ込み、桶に顔を突っ込む馬に視線を合わせながら訊いてみるも、ただ水を飲むばかりで応えはない。
「そっか。わかんない、か」
下草に座り込み、膝を抱え込んで、片頬を埋めるようにして顔を乗せる。
自分の心さえ、ぐちゃぐちゃで。本当に、わからない事だらけだ。
何を視るでもなく、ただ宙を漂わせる視界の中へ不意に人影が入り込んで来たのは、また涙が込み上げそうになった時だった。
解説
・目的
野宿
・フィールド
森に囲われた宿泊地。テント設営が前提のため、人間用の宿泊施設はないが、厩はある。
近くに川が流れており、水場、食料の心配は不要。
・NPC
ラウラ=フアネーレ
OPの通り、ぐちゃぐちゃに乱れた心境。
役割分担としては、調理を担当する。
キャロル=クルックシャンク
バリー=ランズダウン
以前のシナリオ『Sultry night』のOPから察するに、彼らも思うところはある。
役割分担としては、たんぱく質の確保。
ルーナ
おそらく、そこらをうろついていると思われる。
・備考
プレイング次第で臨機応変に対応しますが、食材調達、調理、食事、就寝までの流れをリプレイで描写しようかと思っています。
調理道具は一式揃っています。食料に関しても、根菜やチーズ、香辛料など、保存の利く物なら一通りは用意あり。
近くに小川があり、野生動物の水場としても機能しているので、水や肉も確保する事が可能でしょう。森に探索へ入れば、きのこや果物も見つかるかもしれません。
野宿
・フィールド
森に囲われた宿泊地。テント設営が前提のため、人間用の宿泊施設はないが、厩はある。
近くに川が流れており、水場、食料の心配は不要。
・NPC
ラウラ=フアネーレ
OPの通り、ぐちゃぐちゃに乱れた心境。
役割分担としては、調理を担当する。
キャロル=クルックシャンク
バリー=ランズダウン
以前のシナリオ『Sultry night』のOPから察するに、彼らも思うところはある。
役割分担としては、たんぱく質の確保。
ルーナ
おそらく、そこらをうろついていると思われる。
・備考
プレイング次第で臨機応変に対応しますが、食材調達、調理、食事、就寝までの流れをリプレイで描写しようかと思っています。
調理道具は一式揃っています。食料に関しても、根菜やチーズ、香辛料など、保存の利く物なら一通りは用意あり。
近くに小川があり、野生動物の水場としても機能しているので、水や肉も確保する事が可能でしょう。森に探索へ入れば、きのこや果物も見つかるかもしれません。
マスターより
こういう、ぐちゃぐちゃとして、まったく整理の付いてない心理描写は、書く方も行き着くところを定めないで書いてます、少なくとも僕に限って言えば。だから、ラウラや他の二名がどういう風に考えているのか、僕自身、というか本人達も正確なところは把握してません。理由がわからなくとも動けるし、動いちゃうのが人間であると。まあそんな感じです。
えー、今リプレイは日常モノではありますが、決して明るい雰囲気になるとは限りません。いえ、率直に言って、陰鬱濃いモノになる事は避け難いかと思います。それでも構わないというかたは、ご参加ください。
えー、今リプレイは日常モノではありますが、決して明るい雰囲気になるとは限りません。いえ、率直に言って、陰鬱濃いモノになる事は避け難いかと思います。それでも構わないというかたは、ご参加ください。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/04/13 02:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/03/31 03:04:01 |
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お外でお泊り♪ パトリシア=K=ポラリス(ka5996) 人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/03/31 03:05:16 |