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【RH】ひよこの死んだ話・A

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/03/28 15:00
リプレイ完成予定
2018/04/06 15:00

オープニング

 ドゥーン・ヒルの戦いの後、強化人間達の動きはピタリと止まった。
 戦場から離脱した強化人間達の行方は知れず、保護された強化人間達の容態も未だに昏睡状態。
 現在、統一地球連合宙軍やムーンリーフ財団による事件究明が進められているが、事件に関わる情報は入手できていない。



 ハンターオフィスに、一つの依頼が表示されている。
 依頼主の名は、八重樫 敦(kz0056)とあった。内容は──強化人間研究施設『アスガルド』の訪問と調査。
 改めてここで、子供たちの失踪の原因が何か情報は出てこないか。
 それから、保護された強化人間達の容態の確認。
 求められているのは、主にその二つだった。
 アスガルドの研究員の話では、新しい情報は見つかっていない。
 逃走している強化人間達も完全に姿を消しているという。
 保護された子供たちは、未だに昏睡状態。ベッドに寝かされ、再び目覚めるのを待つ他ない状況。
 打つ手がなさそうに見えるこの状況で、しかし何もしないわけにはいかなかった。
 新しい情報が無ければ、動きを取る事も難しい。

 そんな依頼内容を……──
(どのツラ下げててめえが来る気でいやがる、って思われるかね、やっぱり)
 スウィンは、自虐の笑みすら浮かばぬ消えた表情で見つめていた。
 先日。ドゥーン・ヒルの戦い。
 ラズモネ・シャングリラを攻撃せんとする強化人間達たちとの交戦の結果……強化人間側に、死亡者が出た。
 まだ……年端も行かない少年少女だった。それを。
 ……スウィンもまた、その強化人間を──少年少女を──手に掛けたハンターの、一人である。
 本当に、そうするしかなかったのか?
 他に、やりようはなかったのか。
 それとも……やりようはあって、それでも、そうするべきだと思った?
 自問した。あの時から、何度も。
 思い返すまでもなく、ずっと頭から離れることは無かった。
 そして、その度に。
(──……分からねえ)
 結局、そうなるのだ。
 本当に、それが、正直な気持ちだった。『分からない』。凄まじい後悔、後味の悪さは有りつつも、それでもただ己をなじりそれで終わらせる気にも……なれないのだ。
(分からねえ……『アレ』が本当に……何だったのか)
 強化人間の少年と対峙した時。スウィンは、なるべく戦意を失わせようとした。
 投降を呼びかけた。脅迫まがいの言い方もして……それでも分からないならば、心を鬼にして痛めつけるような戦い方もした。
 それでも……止まってくれなかった。
 痛みに泣き叫びながら、それでもこちらに刃を向けるのをやめなかった。
 一対一。勝ち目もないのに、護るべきものも居ない状況で、何のために?
(あれは……あんなのは。反乱とか、幻覚なんてもんじゃ、ねえだろ……。洗脳? そんなもんですら、ねぇ)
 何を信じ込まされたら、あんなものになるというのだ。
 痛みを、命を一切省みず。
 動きから感じたのは、「ただ殺す」、その意思だった。
 だから。
 あどけない少年少女を手に掛けた、その事実に苛まされながらも、思う。
 心の、身体の奥底で。ハンターとしての本能のような部分から。「ああするしかなかった」──いや、「ああするべきだった」、と、感じているのを、間違いなくスウィンは認めていた。
(まあ。雑魔や人型歪虚だって命は命。それを奪い過ぎて、オレぁてめえでも分からねえうちにイカれすぎちまった、って可能性も否定は出来ねえけどよ)
 甘い考えに流されそうなのを自省するようにスウィンは一度そう、独りごちる。
 だがやはり、ただ自虐に浸ってそれで終わりにするつもりにはなれなかった。
 自分が悪い。自分さえ罰を受ければそれでいいのだ、というのもまた思考停止。それで見落とす真実があるならば、それこそ奪った命への冒涜だろうと。
 やがて、彼は決意する。
 やはり自分は、自分こそが、きちんと真実へと向かい合うべきなのだと。
 無論、どのような真実があろうとも、彼の命を奪ったこと、それを赦せぬ者たちから赦されることなど無いという事も、分かっている……──

解説

目的:前回連動シナリオの結果を受けた上での、『アスガルド』の再訪問

すでに述べられている通りアスガルドには機密部分が多いため、動ける場所には制限があります。
ただし、保護された強化人間の子たちについて、ハンターたちに好意的な女性研究員が、『秘密裏』に子供達の部屋へ連れて行ってくれます。大きな音や声を出す事は避ける必要があるでしょう。なお、子供達はベッドに寝かされて点滴で栄養を投入されており、目を覚ます気配はありません。

NPCとして八重樫 敦(kz0056)、スウィン(未登録)が同行します。
PCの皆さんは、スウィンが強化人間の子を手に掛けたことを、知っていても構いません。面倒を避けるためにあえて知らないことにしてもかまいません。
戦闘の時の様子などを、細かく彼に詰問することができます。苦しそうにしながらも、正直なところを彼はすべて話すでしょう。OPで書かれている、彼が感じていることが共有できます。
彼に聞かずとも、当方のシナリオ、『【RH】誰がその手を汚すというのか』に参加したPCは、同じものを感じていて構いません。

また、今回は調査依頼ではではありますが、PCの心情整理という側面も兼ねています。
例えばPCの心のままに、彼にぶつけたい思いがあるのならば、そのように振舞っても構いません。抵抗せずに彼は受け入れます。
ただし、けじめの制裁として度を越していると判断した場合、八重樫が依頼人として止めに入ります。……逆に言えば、あなた自身で方法を考えずともブレーキ役は居ます、という事ですが。
その他、思い思いの方法で今の現状、今回の事件を、アスガルド訪問や、子供たちを見舞いながら振り返ってもいいでしょう。

本シナリオは近藤豊SDの依頼『【RH】ひよこの死んだ話・B』と同時刻で進行します。結果に大きな影響はありませんが、シナリオ結果が途中で恭子へ入る可能性があります。

マスターより

凪池シリルです。
調査依頼と銘打ってはいますが、実際やれることはそう多くはありません。
アスガルドを再訪する理由を作って心情整理、という側面も実際、小さくありません。

そんな依頼内容を……──
どのツラ下げてお前が出すのか、って思われますかね、やっぱり。

まあ、勿論調査依頼ですので、一応キーポイントはいくつか考えています。上手く皆さんらしさを出しつつ、色々考えてみてください。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/04/01 16:49

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師
  • ―絶対零度―
    テノール(ka5676
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • 天使にはなれなくて
    メアリ・ロイド(ka6633
    人間(蒼)|24才|女性|機導師
  • 輝く星の記憶
    深守・H・大樹(ka7084
    オートマトン|30才|男性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/25 22:10:37