ゲスト
(ka0000)
【AP】複製都市
マスター:KINUTA

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 8日
- プレイング締切
- 2018/04/08 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/04/22 19:00
オープニング
※このシナリオは夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。
●プロローグ
環境汚染とそれに伴う労働環境の悪化に対応するため人類は、異世界人をベースにした人造人間を造ることにした。
人類をベースにしなかった理由は2つ。
1つは人道倫理上の問題があるということ。
もう1つは異世界人の方が強健であるということ。
異世界人といえど人間だ。人体実験の対象とするのはいかがなものかという意見もないわけではなかったが、『そもそもこれは人体実験ではない。彼らに気づかれぬよう体の一部――髪や爪を拝借し、それを基に実験を行うだけのこと。相手に痛みも精神的負担も与えてはいない』というのが大多数の世論だった。
それを受け各国政府は、心置きなくこの事業に投資した。
科学者たちは競いあって試行錯誤を繰り返し、ついに労働専門の人造人間――デザインクローンを完成させた。
汚染環境に適応出来る強健な身体と柔順な性質を兼ね備えた理想的な労働者だ。男女とも不妊体にしてあるので、勝手に増殖し面倒をかけることもない。人数が欲しいときにはクローニングですぐ増やせる。育成の手間もかからない。
人類は彼らに労働の一切を任せた。そして自分たちは、人工的に作られた清浄な環境の中へ閉じこもってしまった。
●デザインクローンの生活
雨が降っている。
雨樋の水がごぼごぼ音を立て、道端の暗渠に流れ込んで行く。
ビルディングの谷間には多数の水溜りが出来、まばらなネオンを反射させている。
その中をレインコートとレインブーツで身を包んだ人々が歩いて行く。
わざわざ濡れて行こうなどという料簡を起こすものはいない。この雨が強酸性であり汚染されたものであることを皆知っているからだ。
雨は草木を枯らし、ビルディングの塗装をはげ落ちさせ、鉄骨を蝕む。
すでに地上は住むに値する場所でなくなっている。都市機能は地下へ地下へと深く潜って行くばかり。
まっとうな人間たちはみなそちらへ引っ込んで行ってしまった。
こうやって地上をうろついているのはまっとうでない人間たち、デザインクローンだけである。
カランカランと扉の鈴が鳴った。
喫茶『ジェオルジ』の店長であるマリーが顔を上げる。
「いらっしゃい。まだ雨が降ってるの?」
飛び込むように入ってきたカチャは雫のしたたるレインコートを脱ぎながら、ええ、と答える。
「もー、ずっと降ってるんですよ。いい加減に止んで欲しいんですけどね」
「そうよねー。湿気るし水が壁に染みてくるし。そういえば、東部でどこかのダムが決壊したとか言ってたわよ」
と言いながらマリーは背後の棚から、消し炭のようなものを取り出した。
悪環境の中逞しくかつ不気味に繁殖している藻類や菌類を煎じたものだ。それをポットに入れ沸き立たせ、出来た黒い液体をカップに注ぐ。
見た目に反し豊饒な香りが醸し出された。汚染に耐性のあるデザインクローン以外が飲んでも大丈夫なのかどうかは、何とも言えないが。
カウンター席に着いたカチャはそれに口をつけ、飲み干す。
「もう老朽化してましたからね。どこもそうですけど。どのインフラも耐用年数過ぎてますからね。だましだまし使っているだけで……本当は全面改修すべきなんでしょうけど、予算が回ってこなくて」
「そこよね。下の人間達は何してるのかしら。私たちに全部押し付けてさ。もう丸1年もずっとこの状態が続いてるじゃない。それなのにガバメントも、何も言わないのかしら」
ガバメントというのは、デザインクローンの自治政府――人類がデザインクローンを直に指導監督する手間を惜しんだ結果生まれた機関である。
デザインクローンのうち直接人類と接触出来るのは、そこに所属するものだけだ。
カランカランと扉の鈴が鳴った。新しいお客である。
「ごっつい雨やな。かなわんで」
スペットである。
彼がガバメントに勤めていることを知っているマリーは、今し方カチャとしていた話の矛先を向ける。
「あ、いらっしゃいスペット。ちょうどいいわ、聞きたいことがあるんだけどさ、最近のガバメントどうなの。ちゃんと下に話出来てるの。ずーっと予算が取れてないみたいなんだけど」
スペットは一瞬口ごもった。
それから、そうしたことを恥じるかのように強い口調で言った。
「そんなん言われても、俺は知らへんで。事務所でペーパー作ってるだけやし。直接交渉してんのはマゴイなんやから、マゴイに聞いたってや」
「聞いたってやって、あの人もここんとこ公の場に姿を見せないじゃないの。一体どこにいるのよ」
「知らんがな、俺は」
そこに新しい客。
「よく降りますねー。あ、こんにちは、カチャさん」
カチャである。
デザインクローンだけの社会では、こういうこともよく起きがちだ。デザインクローンが単体で作られることは、まずないからである。
「こちらこそこんにちは、カチャさん」
●誰も知らない
地下と地上を結ぶ換気ダクトをどこまでも降りて行く。
壁面にさまざまのパイプやコードが絡み合う通路に出る。
そこを進んで行くと、巨大な鋼鉄の扉。
これが地上の世界と地下の世界を結ぶ唯一の窓口だ。
扉の下部にはモニターつきの小さな操作盤がついている。マゴイは幾度となくそれを押し、話しかける。
「……もしもし……もしもし……こちらはガバメントです……もしもし……」
しかし返事はなかった。モニターは真っ暗なまま。
通電していないのだ。
これは今に始まったことではない。1年前からずっと続いている。
明らかに異変が起きている。あるいは起きた可能性が高い。
だが、一体何が起どうなっているのか確かめることは不可能だった。何故なら扉は外側からは開けられないようになっているから。
1年も地上との連絡を絶っているなんて不自然過ぎる。
このモニターに電力が供給されていないということは、そのほかの場所も同様である可能性が高い。
清浄な地下世界を成り立たせるためには膨大なエネルギーが必要であり、そのエネルギーはほとんど地上から来ているのだ。それがもし絶たれたとなると。
……マゴイはその先にある結論を認めるのが怖かった。
「……もしもし……もしもし……」
この社会は人類が存在していることを前提にして動いている。それが崩れてしまったら、一体どうなってしまうのか見当もつかない。
「……もしもし……もしもし……」
人類はデザインクローンを監督指導し、導いてくれなければならないのだ。
なのにまさか、自分たちを置いていなくなってしまうなど――そんなことは――そんなことは――けして――そんなことは――。
●プロローグ
環境汚染とそれに伴う労働環境の悪化に対応するため人類は、異世界人をベースにした人造人間を造ることにした。
人類をベースにしなかった理由は2つ。
1つは人道倫理上の問題があるということ。
もう1つは異世界人の方が強健であるということ。
異世界人といえど人間だ。人体実験の対象とするのはいかがなものかという意見もないわけではなかったが、『そもそもこれは人体実験ではない。彼らに気づかれぬよう体の一部――髪や爪を拝借し、それを基に実験を行うだけのこと。相手に痛みも精神的負担も与えてはいない』というのが大多数の世論だった。
それを受け各国政府は、心置きなくこの事業に投資した。
科学者たちは競いあって試行錯誤を繰り返し、ついに労働専門の人造人間――デザインクローンを完成させた。
汚染環境に適応出来る強健な身体と柔順な性質を兼ね備えた理想的な労働者だ。男女とも不妊体にしてあるので、勝手に増殖し面倒をかけることもない。人数が欲しいときにはクローニングですぐ増やせる。育成の手間もかからない。
人類は彼らに労働の一切を任せた。そして自分たちは、人工的に作られた清浄な環境の中へ閉じこもってしまった。
●デザインクローンの生活
雨が降っている。
雨樋の水がごぼごぼ音を立て、道端の暗渠に流れ込んで行く。
ビルディングの谷間には多数の水溜りが出来、まばらなネオンを反射させている。
その中をレインコートとレインブーツで身を包んだ人々が歩いて行く。
わざわざ濡れて行こうなどという料簡を起こすものはいない。この雨が強酸性であり汚染されたものであることを皆知っているからだ。
雨は草木を枯らし、ビルディングの塗装をはげ落ちさせ、鉄骨を蝕む。
すでに地上は住むに値する場所でなくなっている。都市機能は地下へ地下へと深く潜って行くばかり。
まっとうな人間たちはみなそちらへ引っ込んで行ってしまった。
こうやって地上をうろついているのはまっとうでない人間たち、デザインクローンだけである。
カランカランと扉の鈴が鳴った。
喫茶『ジェオルジ』の店長であるマリーが顔を上げる。
「いらっしゃい。まだ雨が降ってるの?」
飛び込むように入ってきたカチャは雫のしたたるレインコートを脱ぎながら、ええ、と答える。
「もー、ずっと降ってるんですよ。いい加減に止んで欲しいんですけどね」
「そうよねー。湿気るし水が壁に染みてくるし。そういえば、東部でどこかのダムが決壊したとか言ってたわよ」
と言いながらマリーは背後の棚から、消し炭のようなものを取り出した。
悪環境の中逞しくかつ不気味に繁殖している藻類や菌類を煎じたものだ。それをポットに入れ沸き立たせ、出来た黒い液体をカップに注ぐ。
見た目に反し豊饒な香りが醸し出された。汚染に耐性のあるデザインクローン以外が飲んでも大丈夫なのかどうかは、何とも言えないが。
カウンター席に着いたカチャはそれに口をつけ、飲み干す。
「もう老朽化してましたからね。どこもそうですけど。どのインフラも耐用年数過ぎてますからね。だましだまし使っているだけで……本当は全面改修すべきなんでしょうけど、予算が回ってこなくて」
「そこよね。下の人間達は何してるのかしら。私たちに全部押し付けてさ。もう丸1年もずっとこの状態が続いてるじゃない。それなのにガバメントも、何も言わないのかしら」
ガバメントというのは、デザインクローンの自治政府――人類がデザインクローンを直に指導監督する手間を惜しんだ結果生まれた機関である。
デザインクローンのうち直接人類と接触出来るのは、そこに所属するものだけだ。
カランカランと扉の鈴が鳴った。新しいお客である。
「ごっつい雨やな。かなわんで」
スペットである。
彼がガバメントに勤めていることを知っているマリーは、今し方カチャとしていた話の矛先を向ける。
「あ、いらっしゃいスペット。ちょうどいいわ、聞きたいことがあるんだけどさ、最近のガバメントどうなの。ちゃんと下に話出来てるの。ずーっと予算が取れてないみたいなんだけど」
スペットは一瞬口ごもった。
それから、そうしたことを恥じるかのように強い口調で言った。
「そんなん言われても、俺は知らへんで。事務所でペーパー作ってるだけやし。直接交渉してんのはマゴイなんやから、マゴイに聞いたってや」
「聞いたってやって、あの人もここんとこ公の場に姿を見せないじゃないの。一体どこにいるのよ」
「知らんがな、俺は」
そこに新しい客。
「よく降りますねー。あ、こんにちは、カチャさん」
カチャである。
デザインクローンだけの社会では、こういうこともよく起きがちだ。デザインクローンが単体で作られることは、まずないからである。
「こちらこそこんにちは、カチャさん」
●誰も知らない
地下と地上を結ぶ換気ダクトをどこまでも降りて行く。
壁面にさまざまのパイプやコードが絡み合う通路に出る。
そこを進んで行くと、巨大な鋼鉄の扉。
これが地上の世界と地下の世界を結ぶ唯一の窓口だ。
扉の下部にはモニターつきの小さな操作盤がついている。マゴイは幾度となくそれを押し、話しかける。
「……もしもし……もしもし……こちらはガバメントです……もしもし……」
しかし返事はなかった。モニターは真っ暗なまま。
通電していないのだ。
これは今に始まったことではない。1年前からずっと続いている。
明らかに異変が起きている。あるいは起きた可能性が高い。
だが、一体何が起どうなっているのか確かめることは不可能だった。何故なら扉は外側からは開けられないようになっているから。
1年も地上との連絡を絶っているなんて不自然過ぎる。
このモニターに電力が供給されていないということは、そのほかの場所も同様である可能性が高い。
清浄な地下世界を成り立たせるためには膨大なエネルギーが必要であり、そのエネルギーはほとんど地上から来ているのだ。それがもし絶たれたとなると。
……マゴイはその先にある結論を認めるのが怖かった。
「……もしもし……もしもし……」
この社会は人類が存在していることを前提にして動いている。それが崩れてしまったら、一体どうなってしまうのか見当もつかない。
「……もしもし……もしもし……」
人類はデザインクローンを監督指導し、導いてくれなければならないのだ。
なのにまさか、自分たちを置いていなくなってしまうなど――そんなことは――そんなことは――けして――そんなことは――。
解説
補足説明
これは一つの時代の終わりと新しい時代の到来のはざまに生きる人々のお話です。
大ざっぱな全体の目標は、ガバメントに『人類いなくなったっぽい……』という事実を公表してもらうことです。そこが分かってないとこの世界、先に進めませんので。
デザインクローンはOPにある通り男女とも不妊体ですので、子供を作ることは出来ません。しかしクローニングによって増えていくことは出来ます。そのためのプラントの維持管理は、ガバメントに一任されています。この1年人類からデザインクローン新規作成の指令がないので、新しいデザインクローンは1人も生まれていません。
ほとんどのデザインクローンは独身ですが、ごく少数、人間の真似をし疑似家族を作っている者もいます。
デザインクローンの寿命は、人間とほぼ一緒です。
このシナリオに参加するPCに課せられる縛りは以下のとおり。
●デザインクローンである。
●年齢、外見はキャラクターシートにあるまま。
●自分がどの世界のどんな人間から造られているのか知らない(そこは登場NPCカチャ、マリー、スペット、マゴイも同様)。クリムゾンウェストにおける記憶は一切持っていない。知っているのはこの世界だけ。
●キャラクターシートにある装備類は持ち込めない。
●アクティブスキル・パッシブスキルは使えない。一般スキルは使える。
●能力値はそのまま。
●覚醒は可能。
●人類が全滅していることをまだ知らない(なんかあやしいなと思っていたとしても)。
以上のことを踏まえてプレイングをおかけ下さいませ。
大事に関わらず日常を過ごすというのも全然ありです。
これは一つの時代の終わりと新しい時代の到来のはざまに生きる人々のお話です。
大ざっぱな全体の目標は、ガバメントに『人類いなくなったっぽい……』という事実を公表してもらうことです。そこが分かってないとこの世界、先に進めませんので。
デザインクローンはOPにある通り男女とも不妊体ですので、子供を作ることは出来ません。しかしクローニングによって増えていくことは出来ます。そのためのプラントの維持管理は、ガバメントに一任されています。この1年人類からデザインクローン新規作成の指令がないので、新しいデザインクローンは1人も生まれていません。
ほとんどのデザインクローンは独身ですが、ごく少数、人間の真似をし疑似家族を作っている者もいます。
デザインクローンの寿命は、人間とほぼ一緒です。
このシナリオに参加するPCに課せられる縛りは以下のとおり。
●デザインクローンである。
●年齢、外見はキャラクターシートにあるまま。
●自分がどの世界のどんな人間から造られているのか知らない(そこは登場NPCカチャ、マリー、スペット、マゴイも同様)。クリムゾンウェストにおける記憶は一切持っていない。知っているのはこの世界だけ。
●キャラクターシートにある装備類は持ち込めない。
●アクティブスキル・パッシブスキルは使えない。一般スキルは使える。
●能力値はそのまま。
●覚醒は可能。
●人類が全滅していることをまだ知らない(なんかあやしいなと思っていたとしても)。
以上のことを踏まえてプレイングをおかけ下さいませ。
大事に関わらず日常を過ごすというのも全然ありです。
マスターより
KINUTAです。
IFの季節です。
今回はSFで行くことになりました。
環境すごく悪そうですけど。
IFの季節です。
今回はSFで行くことになりました。
環境すごく悪そうですけど。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/04/16 23:26
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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![]() |
【相談卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2018/04/08 10:16:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/08 00:19:34 |