• 羽冠
  • 冒険

【羽冠】根骸の扉が開く時

マスター:赤山優牙

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2018/04/06 07:30
リプレイ完成予定
2018/04/20 07:30

オープニング

●???
 その男は王国南東部の小さい所領を持つ貴族だった。
 貴族同士の政争はこの国では珍しいものではない。
 そして、争いである以上、勝者と敗者はいる訳で……。
「……100年余続いた家系は私の代で終わりか」
 領地経営が上手く進まない中、隣接する幾つかの貴族と領地を巡る境界争いとなった。
 紆余曲折の末、彼の所領は大きく削られる事となった。
 もはや、残った集落だけでは維持できない――そうなると、残された道は他貴族との併合だ。
「歪虚との戦いよりも、まさか、人間同士の争いに負けるとは……」
 この後、自身がどうなるか想像したくはなかった。下手をすれば貴族の地位はなくなる。
 あるいは、年若くして引退を迫られ、憐れみを向けられながら、目立たないように生きていくか。
「……そんな人生に何の意味があるというのだ」
 これならイスルダ島で戦死した方が、まだ、マシだっただろうか。
 隣の貴族領に向かう足取りが重い。
「いっその事、全てなくなってしまえばいいのに……」
 そう呟いた時だった。
 どこからともなく声が響いた。
「その願い、叶えてあげられるよぉ♪」
 少女の声だった。
 男は周囲を見渡すが、どこにも少女は居なかった。鳥や虫の鳴き声すら静まり、街道は不気味な静けさに包まれる。
「だ、誰だ!?」
「貴様の願いを叶える者だ。言ったではないか。『全て無くなってしまえばいいのに』と」
 街道脇から歪虚が姿を現した。
 直立している甲虫の歪虚だった。背には少女が乗っていた。
「う、うわぁぁぁ! ば、化け物ぉぉぉ!」
 あまりの恐ろしさに腰を抜かす男。
「怖がる事はない。我らは貴様の願いを叶える為に現れたのだからな」
「そうそう、ミュールはね、こう見えて、優しい“人”なんだよぉ~」
 そして、歪虚は告げた。
 男の願いを叶える手段を。

●根骸の扉が開く
 豪華な装飾で彩られた大きなホール。
 王国南東部のある中貴族が催したものだ。この祝いの席は表向きは主催者とその傘下の貴族達の団結を願うものではあるが、実質的には所領が増えた事の祝いの席であった。
「我らが後ろで繋がっていたとは知らず、愚かな男でした」
「いや、全くその通りだ。証拠とした古地図も、巧妙に作らせた偽物だったのにな」
「馬鹿では貴族はやってられませんから」
 嘲る笑い声が響いた。
 今日は酒が美味しい。貴族達はワインを掲げ、幾度となく乾杯をとる。
「あの男の残された村や集落はどうしますかね」
「さぁな。どの道、長くはないだろう」
 没落貴族となって野に下るだけだ。
 そして、それは決して珍しい事ではない。政争とは、そういうものだ。
「私の所に来られても困りますな。男一人といっても無駄に養うぐらいなら、愛人を増やしたい」
「これは、誰が面倒を見るかという事で、また争いが起きそうですな!」
 再び、笑い声が響いた。
 その時だった。慌てた様子で一人の執事が主催者の耳元で告げる。
「旦那様、大変です。例の弱小貴族が乗り込んできました」
「なんと! ……まぁ、慌てるな。何をするか興味があるからな。そのままにしておけ」
 その命令が実行されるまでもなく、領地を奪われた男がホールへと入ってきた。
 肩には何か立札のようなものを持っていた。
「これはこれは、ようこそ、私の祝いの席に。本日は如何なる要件ですか?」
 余裕の表情で両手を広げる主催者。
 弱小貴族の男は虚ろな目で周囲を見渡した。誰からも憐れみの視線を感じる。
「……全て、全て、無くなってしまえばいい! お前らも!」
 唐突に叫ぶと、男は肩に担いでいた立札を床に突き立てた――。

●あるオフィスにて
「血相変えて、どうしたのですか?」
 紡伎 希(kz0174)が慌てた様子で部屋に入ってきた先輩でもある受付嬢に尋ねた。
 全力で走ってきたのだろうか、肩を激しく上下させている。
「ったく、あの馬車、途中で車輪が外れたりするから……って、そうじゃなくて、ノゾミちゃん! コレ!」
 ドンっとテーブルの上に置かれた資料。
 それらは依頼に関するものだった。
「緊急の依頼ですか」
「たまたま、私の所に回ってきたのだけど、ちょっと、確認してみて」
 先輩にそう言われれば従うしかない。
 希は資料を手にした。
「……場所は王国南東部。ある貴族の館……」
 祝いの席で突如として歪虚が出現したという。
 乱入してきた男が『これが私の願いだ!』と叫んだ直後に数体の歪虚が現れ、居合わせた大勢の人々が無残に殺されたのだ。
 貴族の親族がなんとか、館から脱出。緊急の依頼を出してきた。
「これは酷い状態ですね。生存者が残っているか分かりませんが、すぐにハンターを呼びましょう」
「そうなんだけど、違うの、ノゾミちゃん」
 先輩の言葉に思わず首を傾げる希。
「どういう事でしょうか?」
「……似ていると思わない? 緑髪の少女の事件に」
 先輩受付嬢は、希の“正体”を知る数少ない人物だ。
 それ故に、今回の緊急依頼。まさかとは思って希に会いにきたのだろう。
 “緑髪の少女”は王国各地で雑魔に絡んだ事件を引き起こしていた事件となっている。その事件には共通点があった。それは、『絶望した人の願いを死を持って叶えさせる』という事だ。
 結局、少女は捕らえられ、王都への移送中に、夜盗か歪虚によって惨殺され、事件は終結したとされていたが……。
「……私、行ってきます。何か、分かるかもしれませんし」
「既にハンターも数名呼んでいるから、現地で合流してね」
「ありがとうございます」
 希は胸元で手を合わせた。
 これは、自分が犯した罪の償いなのか、それとも、報いなのか。あるいは、もっと別の何かなのか――。

解説

●目的
歪虚の殲滅

●内容
貴族の館に出現した歪虚を殲滅する

●戦場
王国南東部、ある貴族の館のホール。
25×25スクエアあるものとし、扉は三方向に複数あるものとする。
壊れた机や椅子が散乱しているが、戦闘時に不利な材料になるものではない。
建物が崩落するような事がなければ、戦闘により建物が傷ついても構わない。

●味方勢力
紡伎 希(kz0174)
ハンターズソサエティの受付嬢兼ハンター。人物の詳細はNPCページ参照の事。
メインクラス:機導師 サブクラス:猟撃士 武器は魔導剣弓を所持。
※魔装の類は身に着けていない

貴族の私兵と依頼主
十数人ばかり警備の私兵が生存しており、現在はホール周囲を警戒している。
私兵の指揮は依頼主でもある被害貴族の親族が行っている。

●敵勢力
傲慢兵士 数体
フルフェイスを被ったような漆黒の人型歪虚。サイズ1。
剣や槍、弓、魔導銃っぽいもので攻撃を仕掛けてくる。

傲慢騎士 1体
漆黒のケンタウルスのような姿。馬に騎士鎧を纏った人型の上半身。サイズ2。
剣や槍、弓、魔導銃っぽいもので攻撃を仕掛けてくる。

PL情報:傲慢に属する歪虚であり、傲慢特有の能力のいずれかを使用してくる。
PL情報:傲慢歪虚はホールを占拠しているだけで外に逃げ出したりせず、最後まで戦う。

●その他
質問卓には希が対応致します。
オープニングの『●???』はPL情報となります。甲虫歪虚と少女は姿を現しません。

マスターより

●挨拶
こんばんわ! AdivMSの赤山です。待望の王国連動の開始ですよ!
また、同時に、希が絡む新たな物語のスタートともなります。

●攻略のヒント
傲慢歪虚特有の能力といえば……そのあたりの対策が成されていれば、特に問題はないでしょう。

関連NPC

  • 新進気鋭の受付嬢
    紡伎 希(kz0174
    人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|機導師(アルケミスト)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/04/16 03:40

参加者一覧

  • 古塔の守り手
    クリスティア・オルトワール(ka0131
    人間(紅)|22才|女性|魔術師

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士
  • ―絶対零度―
    テノール(ka5676
    人間(紅)|26才|男性|格闘士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
ヴァイス・エリダヌス(ka0364
人間(クリムゾンウェスト)|31才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/04/04 07:06:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/03 22:13:04
アイコン 【相談卓】緑髪の少女事件再来?
Uisca=S=Amhran(ka0754
エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/04/06 00:57:53