ゲスト
(ka0000)
街道の治安調査
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 8~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/04/06 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/04/15 07:30
オープニング
●嘘か真か一
元々男は運が悪い人間だった。
故郷の街を出発してからも、男は災難続きだった。
一日目にして財布を落としたことに気付き、慌てて探し回って全ての予定を狂わせた。
結局財布は見つからず、その日は焚き火を点して夜を明かしたが、朝になった時点で水を飲もうとして革袋の口を開いたところで手が滑り、水が入った革袋を落として貴重な水を地面にぶちまけた。
がっくりとうなだれたところで、背後でがさがさという不審音を聞いた。
「ああもう、何なんだよ!」
毒づいた男が振り返った時は、自らの身長を余裕で超える大きなクマが、置きっ放しにしていた自分の荷物に足を掛けて、鼻先を突っ込んで旅の食料を貪っているところだった。
「う、うわあああああああああ!」
食料を奪われたこともそうだが、こんな目と鼻の先でクマと出会ってしまったことの方が男には衝撃的で、男は知識として知っていたはずのクマと遭遇時の対処法などすっかり忘れ去り、その場を逃げ出した。
当然クマは本能で男を追い、散々追い回して飽きたところで漁っていた食料のことを思い出し、男を放って戻っていった。
あとに残されたのは、恐怖を味わい、ぼろぼろになった男だけだった。
●嘘か真か二
命辛々逃げ延びた男は、ぼさぼさになった頭をかきむしった。
「な、なんであんなところにクマがいるんだ……」
財布を落としたことから始まり、男の格好は服は長時間の追いかけっこでほつれて泥だらけ、荷物は食料ごとクマに取られ、水はこぼしてなくなるという散々な有様で、街に辿り着かなければ冗談ではなく死ぬかもしれない状態だった。
そして、悪い出来事というのは時に連鎖するものである。
男の前に、人相の悪い男たちが七人立ち塞がる。
「な、なんだお前たちは!」
「死にたくなかったら、有り金置いてきな! 服も全部だ!」
本当なら恐怖で震え上がる場面だったが、男は散々クマに追いかけられる恐怖を味わったことで、恐怖心が麻痺していた。
「私がどんな状態か見えないのか!? 服はボロボロ、荷物も金も水も食料もなく、放っておけば野垂れ地ぬ状態だぞ! むしろ私が欲しいくらいだ!」
訴えられた山賊たちは、改めて男を観察した。
確かに、旅の途中だからこその旅装の汚れだと思っていた服は、よく見たら何か鋭い爪に引っ掛けられたように破けた箇所が複数あり、男も重傷こそ負っていないものの、その表情には深い疲れが見える。
旅人にしては手ぶらで歩いているのも妙だし、盗賊の一人が男が腰に下げた革袋を逆さにしても、何も出てこない。
「お頭! こいつ本当に文無しですぜ!」
「だから、さっきからそういっているだろう! 早く通してくれ! 先を急ぎたいんだ!」
男の懇願を聞いた盗賊たちは、げらげらと笑い出した。
「悪いがそれはできねえな! 出せるものがねえなら身体で払ってもらおうか! 奴隷として売り飛ばしてやる!」
こうして、男は今度は盗賊たちに捕まり、通り掛かった奴隷商に売り飛ばされてしまったのだった。
●嘘か真か三
荷台の代わりに檻が設置された馬車の中で、男は膝を抱えていた。
「何でこんなタイミングで奴隷商がいるんだよ……」
まさに出待ちしていたような酷いタイミングだった。
盗賊とグルだったか、それとも男の不運の面目躍如とでもいうべき代物か。
檻には男と同じ境遇の奴隷となった人間たちが詰め込まれており、皆が男と同じように疲労しきった暗い顔をしている。
「運がなかったなぁ、あんた」
奴隷たちのうち、比較的元気がある奴隷が歯の抜けた顔で男を笑う。
「ほっといてくれ……街に着く前に、絶対逃げ出してやる」
「そんなの、余程のことがない限りないと思うがなぁ」
あり得ないと奴隷が笑った。
しかし、男はある種の確信を抱いていた。
今日はあまりにも、あり得ない出来事が連続して起こりすぎている。
元々運が悪いのだ。これで終わるはずがないと直感に近いものを感じていた。
人は、それらを合わせてフラグという。
●嘘か真か四
まるで図ったかのように、奴隷商の馬車が狼の雑魔五体の襲撃を受けた。
男の口から、乾いた笑い声が漏れる。
「ここまで不運だと、かえって都合がいいな。いや、この場合は悪運というべきか」
護衛の傭兵がやられると奴隷商は奴隷の檻を開け放って真っ先に逃げ出し、回りでは奴隷たちが逃げ惑っている。
雑魔は一体ではないようだ。
「と、とにかく今がチャンスだ……!」
決死の思いで男は走った。
男に気付いた雑魔が一体追ってきたが、逃げ惑う奴隷が雑魔の視界を横切り、男から注意を逸らした。
当然どちらも狙ってやった行動ではない。完全に偶然である。
しかしその行動によって雑魔は男ではなくその奴隷を追い始め、男は安全に逃げ出すことができた。
「や、やっと着いた……」
こうして男は目的地、リゼリオに辿り着いたのだ。
リゼリオに入ると、男は真っ直ぐハンターズソサエティに怒鳴り込んだ。
「おい、街道でクマと盗賊と奴隷商と雑魔に襲われたぞ! どうなってるんだ!」
男は見栄っ張りで話を大きくしたがるホラ吹きな人間でもあった。
その証言の全てが信用できるとは限らない。
確かなのは、常日頃から不運な男がクマに襲われ、盗賊に尻の毛まで毟られ、奴隷商と遭遇し、雑魔を見た。以上がハンターズソサエティで男が語った内容の全てであるということだ。
●ハンターズソサエティは真偽に悩む
今日もまた、受付嬢がハンターたちに依頼を持ってきた。
「街道で盗賊が出たという話はこの一件だけで他に聞きません。街道近くに奴隷商が奴隷を仕入れられるような村落もありません。かといってリゼリオはもちろん依頼人の故郷の街からも奴隷商の噂は入ってきておりませんし、どうにも依頼人の態度や話に不可解な点が多いですね。真実かどうか疑わしいですが、ここまで街道の状況が悪くなっているという報告があった以上捨て置くわけにもいかないでしょう」
普段はうさんくさい営業スマイルが眩しい受付嬢は、自分の笑顔よりもうさんくさい依頼を前に、どこか腑に落ちなさそうな顔をしている。
「リゼリオから依頼人の故郷である街までの街道を往復し、街道の治安状況を確かめてください。街道はほぼ直線で、障害物も何もない眺めのいい場所です。距離が長いので、馬などの交通手段を用意しておくといいかもしれませんね。依頼人が嘘をついていない、または特別運が悪いのでなければ、往復しているうちに必ず敵に遭遇することができるでしょう。長旅になりますが、よろしくお願いします」
気を取り直した受付嬢は最後にいつもの営業スマイルを浮かべ、深く頭を下げて話を締め括った。
元々男は運が悪い人間だった。
故郷の街を出発してからも、男は災難続きだった。
一日目にして財布を落としたことに気付き、慌てて探し回って全ての予定を狂わせた。
結局財布は見つからず、その日は焚き火を点して夜を明かしたが、朝になった時点で水を飲もうとして革袋の口を開いたところで手が滑り、水が入った革袋を落として貴重な水を地面にぶちまけた。
がっくりとうなだれたところで、背後でがさがさという不審音を聞いた。
「ああもう、何なんだよ!」
毒づいた男が振り返った時は、自らの身長を余裕で超える大きなクマが、置きっ放しにしていた自分の荷物に足を掛けて、鼻先を突っ込んで旅の食料を貪っているところだった。
「う、うわあああああああああ!」
食料を奪われたこともそうだが、こんな目と鼻の先でクマと出会ってしまったことの方が男には衝撃的で、男は知識として知っていたはずのクマと遭遇時の対処法などすっかり忘れ去り、その場を逃げ出した。
当然クマは本能で男を追い、散々追い回して飽きたところで漁っていた食料のことを思い出し、男を放って戻っていった。
あとに残されたのは、恐怖を味わい、ぼろぼろになった男だけだった。
●嘘か真か二
命辛々逃げ延びた男は、ぼさぼさになった頭をかきむしった。
「な、なんであんなところにクマがいるんだ……」
財布を落としたことから始まり、男の格好は服は長時間の追いかけっこでほつれて泥だらけ、荷物は食料ごとクマに取られ、水はこぼしてなくなるという散々な有様で、街に辿り着かなければ冗談ではなく死ぬかもしれない状態だった。
そして、悪い出来事というのは時に連鎖するものである。
男の前に、人相の悪い男たちが七人立ち塞がる。
「な、なんだお前たちは!」
「死にたくなかったら、有り金置いてきな! 服も全部だ!」
本当なら恐怖で震え上がる場面だったが、男は散々クマに追いかけられる恐怖を味わったことで、恐怖心が麻痺していた。
「私がどんな状態か見えないのか!? 服はボロボロ、荷物も金も水も食料もなく、放っておけば野垂れ地ぬ状態だぞ! むしろ私が欲しいくらいだ!」
訴えられた山賊たちは、改めて男を観察した。
確かに、旅の途中だからこその旅装の汚れだと思っていた服は、よく見たら何か鋭い爪に引っ掛けられたように破けた箇所が複数あり、男も重傷こそ負っていないものの、その表情には深い疲れが見える。
旅人にしては手ぶらで歩いているのも妙だし、盗賊の一人が男が腰に下げた革袋を逆さにしても、何も出てこない。
「お頭! こいつ本当に文無しですぜ!」
「だから、さっきからそういっているだろう! 早く通してくれ! 先を急ぎたいんだ!」
男の懇願を聞いた盗賊たちは、げらげらと笑い出した。
「悪いがそれはできねえな! 出せるものがねえなら身体で払ってもらおうか! 奴隷として売り飛ばしてやる!」
こうして、男は今度は盗賊たちに捕まり、通り掛かった奴隷商に売り飛ばされてしまったのだった。
●嘘か真か三
荷台の代わりに檻が設置された馬車の中で、男は膝を抱えていた。
「何でこんなタイミングで奴隷商がいるんだよ……」
まさに出待ちしていたような酷いタイミングだった。
盗賊とグルだったか、それとも男の不運の面目躍如とでもいうべき代物か。
檻には男と同じ境遇の奴隷となった人間たちが詰め込まれており、皆が男と同じように疲労しきった暗い顔をしている。
「運がなかったなぁ、あんた」
奴隷たちのうち、比較的元気がある奴隷が歯の抜けた顔で男を笑う。
「ほっといてくれ……街に着く前に、絶対逃げ出してやる」
「そんなの、余程のことがない限りないと思うがなぁ」
あり得ないと奴隷が笑った。
しかし、男はある種の確信を抱いていた。
今日はあまりにも、あり得ない出来事が連続して起こりすぎている。
元々運が悪いのだ。これで終わるはずがないと直感に近いものを感じていた。
人は、それらを合わせてフラグという。
●嘘か真か四
まるで図ったかのように、奴隷商の馬車が狼の雑魔五体の襲撃を受けた。
男の口から、乾いた笑い声が漏れる。
「ここまで不運だと、かえって都合がいいな。いや、この場合は悪運というべきか」
護衛の傭兵がやられると奴隷商は奴隷の檻を開け放って真っ先に逃げ出し、回りでは奴隷たちが逃げ惑っている。
雑魔は一体ではないようだ。
「と、とにかく今がチャンスだ……!」
決死の思いで男は走った。
男に気付いた雑魔が一体追ってきたが、逃げ惑う奴隷が雑魔の視界を横切り、男から注意を逸らした。
当然どちらも狙ってやった行動ではない。完全に偶然である。
しかしその行動によって雑魔は男ではなくその奴隷を追い始め、男は安全に逃げ出すことができた。
「や、やっと着いた……」
こうして男は目的地、リゼリオに辿り着いたのだ。
リゼリオに入ると、男は真っ直ぐハンターズソサエティに怒鳴り込んだ。
「おい、街道でクマと盗賊と奴隷商と雑魔に襲われたぞ! どうなってるんだ!」
男は見栄っ張りで話を大きくしたがるホラ吹きな人間でもあった。
その証言の全てが信用できるとは限らない。
確かなのは、常日頃から不運な男がクマに襲われ、盗賊に尻の毛まで毟られ、奴隷商と遭遇し、雑魔を見た。以上がハンターズソサエティで男が語った内容の全てであるということだ。
●ハンターズソサエティは真偽に悩む
今日もまた、受付嬢がハンターたちに依頼を持ってきた。
「街道で盗賊が出たという話はこの一件だけで他に聞きません。街道近くに奴隷商が奴隷を仕入れられるような村落もありません。かといってリゼリオはもちろん依頼人の故郷の街からも奴隷商の噂は入ってきておりませんし、どうにも依頼人の態度や話に不可解な点が多いですね。真実かどうか疑わしいですが、ここまで街道の状況が悪くなっているという報告があった以上捨て置くわけにもいかないでしょう」
普段はうさんくさい営業スマイルが眩しい受付嬢は、自分の笑顔よりもうさんくさい依頼を前に、どこか腑に落ちなさそうな顔をしている。
「リゼリオから依頼人の故郷である街までの街道を往復し、街道の治安状況を確かめてください。街道はほぼ直線で、障害物も何もない眺めのいい場所です。距離が長いので、馬などの交通手段を用意しておくといいかもしれませんね。依頼人が嘘をついていない、または特別運が悪いのでなければ、往復しているうちに必ず敵に遭遇することができるでしょう。長旅になりますが、よろしくお願いします」
気を取り直した受付嬢は最後にいつもの営業スマイルを浮かべ、深く頭を下げて話を締め括った。
解説
●概要
調査クエストです。
依頼人の証言の信憑性が低く、どれが嘘でどれが本当か分からない状態です。
実際に街道に赴いて状況を確かめてください。
調査期間は一週間です。
往復回数に上限はなく、期間内ならいつでもリゼリオに戻って終了することができます。
いることを証明するのは簡単ですが、いないことを証明するのは不可能です。
そのため想定していた敵やNPCが出てこないで終わる可能性もありますが、問題ありません。街道で出会う敵やNPCから情報を得て、依頼人の証言の信憑性を調べることが主題です。
NPCが襲われている場面に出くわす可能性もあります。
なお、全ての情報を街道で出会える敵とNPCのみで賄えるようになっています。
●達成条件
・街道の治安状況を解明する
●街道について
幅が十メートルほどの直線道です。
街に近付くと石畳で舗装されていますが、街から離れればその多くは土が人や馬車などで踏み固められただけの原始的な道です。
特段障害物になるようなものはありません。とても良い眺めです。
敵が出てくればすぐに分かります。
●依頼人の証言信用度
○クマ……高い
野生動物である以上、餌を求めて街道に出没する可能性は有り得ます。
○盗賊……低い
出現が確定しているならば討伐隊が組まれるはずですが、その様子はありません。
○奴隷商人……低い
そもそも奴隷取引が違法行為なので話が本当ならもっと大騒ぎになっているはずです。
○狼(雑魔)……不明
前提証言の信用度そのものが低いので、判別がし辛いです。ただ、襲われたのではなく遠目に見た程度ならば本当かもしれません。
●NPC
※前提として、全員目撃の有無を証言します。
○旅人
全て否定します。
○旅芸人
クマを目撃したことを教えてくれます。他は全て否定します。
○商人
雑魔を見かけたことを教えてくれます。他は全て否定します。
○ハンター
全て否定します。
調査クエストです。
依頼人の証言の信憑性が低く、どれが嘘でどれが本当か分からない状態です。
実際に街道に赴いて状況を確かめてください。
調査期間は一週間です。
往復回数に上限はなく、期間内ならいつでもリゼリオに戻って終了することができます。
いることを証明するのは簡単ですが、いないことを証明するのは不可能です。
そのため想定していた敵やNPCが出てこないで終わる可能性もありますが、問題ありません。街道で出会う敵やNPCから情報を得て、依頼人の証言の信憑性を調べることが主題です。
NPCが襲われている場面に出くわす可能性もあります。
なお、全ての情報を街道で出会える敵とNPCのみで賄えるようになっています。
●達成条件
・街道の治安状況を解明する
●街道について
幅が十メートルほどの直線道です。
街に近付くと石畳で舗装されていますが、街から離れればその多くは土が人や馬車などで踏み固められただけの原始的な道です。
特段障害物になるようなものはありません。とても良い眺めです。
敵が出てくればすぐに分かります。
●依頼人の証言信用度
○クマ……高い
野生動物である以上、餌を求めて街道に出没する可能性は有り得ます。
○盗賊……低い
出現が確定しているならば討伐隊が組まれるはずですが、その様子はありません。
○奴隷商人……低い
そもそも奴隷取引が違法行為なので話が本当ならもっと大騒ぎになっているはずです。
○狼(雑魔)……不明
前提証言の信用度そのものが低いので、判別がし辛いです。ただ、襲われたのではなく遠目に見た程度ならば本当かもしれません。
●NPC
※前提として、全員目撃の有無を証言します。
○旅人
全て否定します。
○旅芸人
クマを目撃したことを教えてくれます。他は全て否定します。
○商人
雑魔を見かけたことを教えてくれます。他は全て否定します。
○ハンター
全て否定します。
マスターより
こんにちは、初めまして。
当シナリオのマスターを務めさせていただくきりんです。
情報の精度を高めようとするならば、それなりの日数を要求されるでしょう。
楽しんでくださいね。
当シナリオのマスターを務めさせていただくきりんです。
情報の精度を高めようとするならば、それなりの日数を要求されるでしょう。
楽しんでくださいね。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/04/10 03:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/06 06:47:25 |
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![]() |
無実の証明?(相談卓) 多由羅(ka6167) 鬼|21才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2018/04/06 06:58:20 |