• 戦闘

はもんのはて

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/04/12 07:30
リプレイ完成予定
2018/04/21 07:30

オープニング

 即疾隊一番隊長である壬生和彦がその任を解かれた話は瞬く間に広まった。
 瓦版が号外を飛ばし、読売が往来で声高に叫ぶ。
「即疾隊一番隊長が隊長職の任を解かれたそうだ!」
 その言葉に足を止める者は多く、誰もがその耳に聞き入れる。
「先日、亀田診療所に押し入った輩を追うためだって! 美人女医を守る美形剣士! 号外だよ!」
 読売が叫ぶと、「まじかよ」「おくれよ」と往来の人々が瓦版を買っていく。

 当の和彦は人目を避けるように若峰の外れにある古い剣道場……葦原の実家に身を隠していた。
 時折戻っていたものの、家は人がいなければ痛むのが早いというのが分かるが、今は雨風を凌ぐことが出来ればそれでいい。
 雨戸を締め、そっと明かりを点す。壁に寄りかかると、勝手口から物音が聞こえる。
「私、摩耶」
 勝手口へ向かうと、即疾隊世話役の秋吉摩耶の姿があった。
「よくわかりましたね」
 呆れる和彦に摩耶は「ふふふん」と笑って、差し入れの弁当を渡す。
「人気者は大変よねー」
「……局長と副局長の采配には助かりましたが……」
 前回、初名の身を案じてハンターより刀匠白賀時光の刀を和彦が決着をつけろと意見があった。
 和彦は即疾隊の立場、番屋との兼ね合いを鑑みて表向き事件には関われず、ハンターに依頼をしていたが、その時に出た和彦に対しての意見に副局長の前澤が和彦の隊長職を一時解き、一般人として番屋と共に動けるようにしてくれた。
「あのままだと、即疾隊辞めるって言いそうだったし」
 摩耶の指摘を受けた和彦は返さず、蓮根のきんぴらを口の中に放り込む。
 隊長職を持つ和彦は表立って動くことはできない。彼の性格を鑑みれば摩耶の言葉通りに動くと思い、前澤が先手を打った。
「初名先生は?」
 屯所を出てから和彦は一度も初名とは会っていない。
「今は別の診療所の手伝いをしてる。局長が読売使って上手いことやってくれたから、隊士達も元気でてるし、番屋連中とも積極的に情報交換してる。一番隊長は君しかいないって」
 隊士達も不安がっていたが、上の考えを知り、和彦が動きやすいようにしてくれているのを知るのと、番屋とうまくいっているのは嬉しいものだ。
「やっぱり、あの歪虚は刀が狙いね。以来、一度も亀田診療所に出入りしてないし、初名先生も狙われていない」
「偏った思考の歪虚でしたが……こちらもまだ一度も会ってません」
 隊長職を解かれた後、和彦は番屋連中と共に行動していた。
 今は一般人だが、即疾隊と番屋が手を組むという状態に市民も安心していた。
 以前まで、蛇の歪虚……清がいたのは繁華街であり、その辺りも捜索していたが、彼女の姿を見た話は聞かない。
 親分達は和彦を連れ歩いて飲みに行くことがあった。目的は和彦を餌にして飲み屋の綺麗なお姉さんとお話ししたいから。
 滅多に飲みに来ない即疾隊一番隊長が来ているのだから、和彦はお姉さん達にひっぱりだこ。
 飲みは懲り懲りと和彦は夕方から夜だけ実家に戻るようにしていた。
 酒は嫌いではないが、女性経験の乏しい和彦にはそういったお店はまだ早かったようだ。
「いっそ、喧嘩しかけたら?」
「言いたいことは分かりますけどね。この刀、覚醒中に握ると興奮作用があるようです。一気に気分が高揚します」
「抵抗力が低ければそのまま取り込まれて好戦的になる。今までの話を鑑みると、あの歪虚は人間を操る能力があるわね」
 摩耶の推察に和彦も同意だ。
「精神操作の術に抵抗できなければそのまま刀に付与された術のなすままと思います。で、郊外の動きはどうですか?」
 和彦は竹筒の茶を飲み干して摩耶に問う。
「お察しの通り、若峰周辺の宿場町にいた浪人が行方をくらましているって」
 若峰の繁華街にいなければ、そちらの方へと流れたのだと和彦は察知していた。
「奴はどこかで様子を見ていると思います。強い剣士が刀を持ち、人を殺す所が見たいだけ」
「でも、なんで刀で斬り殺すことに執着するんだろう」
 摩耶は「うーん」と、首を傾げる。
「初名先生の話だと、一度目の盗難時、歪虚は一度片方の頭を斬られてます。そして、歪虚の消滅を待たずに退避したと」
「実際はその歪虚が生きていて、刀に魅入った……いえ、もう祟りね」
「嫌な話ですが」
 二人でため息をつく。
「どうにしろ、決着は付けますよ。けど、どうにもハンターの助力は借りないとならない」
 和彦は静かに呟いた。
「そうね……」
 和彦の技量ならば、摩耶が想像している人数が彼に襲おうとも斬り殺し、生き残ることはできる。ただ、加減をする場合はどんな剣士でも難しいだろう。
「あと、頼まれていた赤い羽根の首飾りの件、情報は引っ掛かりはなかった。東行が言ってた通り、西方から流れてきた奴だと思う」
「今は関係ないと俺は思ってます。ありがとうございました」
 和彦が礼を言うと、摩耶は「いえいえ」と返す。
「そろそろ番屋行きます。飲み屋も終わりだろうし」
「先にお暇するわ」
 さっさと勝手口へ歩き出す摩耶へ和彦が呼び止めた。
「弁当ごちそうさまでした」
「温かいご飯を食べに戻って来なさいよ」
 じゃぁねと、摩耶は先に出て行った。

 番屋の方へ顔を出した和彦は見回りに行きますと声をかける。
 居眠り中の不寝番の下っ引きは「どうぞ」とだけ言って、うつらうつらと眠そうにしていた。
 月も傾き、大半の飲み屋は店じまいを始めている。
 一昨年の頃を思い出しながら和彦は町中を歩く。
 あの時は辻斬りを追い、身を隠しながら千石原の乱後の若峰を毎夜歩いていた。
 常に焦りと、張り詰める緊張が和彦を襲い、また辻斬りが犯行をするのではと眠れない時もあった。
 今回も焦りはあるが、落ち着いているのは即疾隊として動いてきた経験だろう。
「早く、討伐しないと」
 息をつく和彦は曲道に入ると、ふいに足を止める。
 薄く月光が差し込む道の真ん中で女が一人佇んでいた。
「また会えたね」
 艶やかな声音に和彦は警戒し、柄に手をかける。
「初名先生から俺へ興味を変えてくれて助かる」
「あの子は剣士じゃないからねぇ。お前にその刀を早く持ってほしいんだけど」
 くつくつと笑う女……清は目を細めて白い刀へ目を向けていた。
「お前を倒し、浄化できたら持ってやろう。それに、駒を集めているんだろう?」
「よくわかるねぇ」
 呆れる清に和彦は提案を口にする。
「もっと暴れられる場所で決着をつけよう」
 提案を聞いた清は顔を歪ませた。
「今永町より更に奥に戦えるだけの広い荒れ地がある」
「足元が悪いじゃないか」
「町中で暴れるよりマシだ。お前の本性に足元の悪さは関係ないだろうしな」
 和彦の提案に清は目を眇める。
「七日後、駒を若峰に連れてこい。俺以外に仕向けるな。剣士として強い俺にこの刀を持たせたいだろう」
 二人は暫し無言のまま睨み合い、清が先に表情を変えた。
「楽しみにしてるよ」
 そう言って清は闇に紛れていった。

解説

依頼内容
蛇歪虚、清の討伐。

皆様は壬生和彦の依頼に応じて若峰に向かいます。
清は前回のシナリオの後、若峰郊外で和彦に刀を使わせる、もしくは刀奪還を考えているのか、若峰郊外の浪人剣士に精神操作をして手駒としているようです。
そこで清、もしくは清に操られている剣士の討伐をお願いします。
和彦は清を信用していないので、自分だけを狙ってくるとは考えてませんので、参加されるハンターの身の安全は確約できません。
問題の刀ですが、浄化してしまった場合、清が何をしてくる変わらないという事もあり、清を誘い出す餌としてまだ浄化してません。
刀は覚醒して刀を握らない限りは現時点無害ですが、さっさと片付けたいのが本音です。


場所:今永町の更に町はずれの荒れ地
広いので、和彦含め七人が戦っても相当なことがない限り、町に被害が出ることはありません。
元々人が来る場所ではないので一般人は来ません。
時間は夜。

敵情報
清:本性は蛇の歪虚。メデューサに近い形態。体長三メートル前後。
精神操作の術を使用。尻尾で巻きついたり、払ったり、爪で引き裂く。
操られた浪人:人数は五人。全員刀を所持、覚醒者。
強さ的には技量不足ですが、侮ると痛い目をみるというところ。

同行NPC
壬生和彦:即疾隊一番隊長。前回のシナリオ『はもんのゆくえ』にて隊長職を取り上げられており、一時的に即疾隊員であることも許されていない状態です。
ハンターの皆様に引けを取らない実力があります。

初名について
彼女は清の狙いから外れてます。
今回、命を狙われることはありません。

PL情報
剣士の生死に関してですが、操られているため、清が討伐されると暗示は解けます。
内三人は鬼哭組残党です。
赤い羽根の首飾りの男は今回関係ありません。

マスターより

お世話になっております。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。

今回、清を討伐できればこのシナリオは終了となります。
刀の為にも、即疾隊の為にも、和彦の為にもお力をお借りできればと思います。

今後、暫くシナリオは辺境の辺りを出す予定です。
東方は何かあった時に出します。

関連NPC

  • 即疾隊一番隊長
    壬生 和彦(kz0205
    人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/04/19 06:27

参加者一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエ(ka3783
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 虹彩の奏者
    木綿花(ka6927
    ドラグーン|21才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/04/11 21:03:34
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/11 07:57:04