ゲスト
(ka0000)
辺境北部調査
マスター:とりる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~15人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/11 19:00
- 完成日
- 2018/05/17 06:17
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
マギア砦――会議室。
「辺境北部の調査を行いたいと思います」
砦に駐留するCAM小隊の隊長である、相川・俊一少尉が砦関係者、皆の前で切り出した。
「この間襲撃してきた武装サイクロプスの軍勢……その装備の出元を割り出さねばなりません」
相川少尉はホワイトボードに貼られた、戦闘後に回収された武装サイクロプスの各種装備の写真を指す。
「これらの装備は現在連合軍が解析中ですが……その解析結果を悠長に待っている訳にもいきません」
「こちらから辺境北部の調査を行う必要があります」と相川少尉は付け足す。
「もしかすると、兵器工場があるのかもしれません。……我々連合軍に関連しているところ、CAM関連の施設・人物から装備が流出した可能性も捨てきれませんが……」
椅子に座った相川少尉は両手を組み、両肘を机に付け、組んだ手に顎を載せる。
「味方を疑うよりまずは目の前の敵です。辺境北部のどこかに兵器工場が存在する可能性のほうが高い」
相川少尉の言葉に、会議に参加している全員が頷いた。
「調査はハンターにお願いしたいと思います。不意遭遇戦の可能性も大いにありますので、CAMなどを使って」
武装サイクロプスとまともに交戦するとなるとやはり、一部の高レベルハンターを除き、生身では心許ない。むしろ大変危険である。
「マギア砦から北は平地を抜けると高低差のある地形もありますので踏破性に優れたCAMや魔導アーマーが適切でしょう。敵の対空砲火に気をつけねばなりませんが飛行系の幻獣も有利に働きそうですね」
「緊急用の補給物資の輸送に魔導トラックなどの車両も随伴させるべきでしょうけれど」と相川少尉は続ける。
「まあ、その辺りはハンターに任せますか。……これで、巨人用装備の出元が判明すれば良いのですが……」
相川少尉は目を伏せ、メガネを外し、眉間をぐにぐにと揉んだ。
このところは先の近代兵器で武装した巨人の軍勢との交戦レポートやら、対応策の検討やら、今回取り掛かる装備の出元の特定やらで大忙しだった。
ぶっちゃけ眠い。
「ハンターの働きに期待ですね」
そのように相川少尉は会議を締め括るのだった。
「辺境北部の調査を行いたいと思います」
砦に駐留するCAM小隊の隊長である、相川・俊一少尉が砦関係者、皆の前で切り出した。
「この間襲撃してきた武装サイクロプスの軍勢……その装備の出元を割り出さねばなりません」
相川少尉はホワイトボードに貼られた、戦闘後に回収された武装サイクロプスの各種装備の写真を指す。
「これらの装備は現在連合軍が解析中ですが……その解析結果を悠長に待っている訳にもいきません」
「こちらから辺境北部の調査を行う必要があります」と相川少尉は付け足す。
「もしかすると、兵器工場があるのかもしれません。……我々連合軍に関連しているところ、CAM関連の施設・人物から装備が流出した可能性も捨てきれませんが……」
椅子に座った相川少尉は両手を組み、両肘を机に付け、組んだ手に顎を載せる。
「味方を疑うよりまずは目の前の敵です。辺境北部のどこかに兵器工場が存在する可能性のほうが高い」
相川少尉の言葉に、会議に参加している全員が頷いた。
「調査はハンターにお願いしたいと思います。不意遭遇戦の可能性も大いにありますので、CAMなどを使って」
武装サイクロプスとまともに交戦するとなるとやはり、一部の高レベルハンターを除き、生身では心許ない。むしろ大変危険である。
「マギア砦から北は平地を抜けると高低差のある地形もありますので踏破性に優れたCAMや魔導アーマーが適切でしょう。敵の対空砲火に気をつけねばなりませんが飛行系の幻獣も有利に働きそうですね」
「緊急用の補給物資の輸送に魔導トラックなどの車両も随伴させるべきでしょうけれど」と相川少尉は続ける。
「まあ、その辺りはハンターに任せますか。……これで、巨人用装備の出元が判明すれば良いのですが……」
相川少尉は目を伏せ、メガネを外し、眉間をぐにぐにと揉んだ。
このところは先の近代兵器で武装した巨人の軍勢との交戦レポートやら、対応策の検討やら、今回取り掛かる装備の出元の特定やらで大忙しだった。
ぶっちゃけ眠い。
「ハンターの働きに期待ですね」
そのように相川少尉は会議を締め括るのだった。
リプレイ本文
●
前回マギア砦を襲撃した、近代兵器で武装したサイクロプスの軍勢……。
その装備の出元を探るため、辺境北部、歪虚支配地域の調査依頼がハンターズソサエティに出された。
そしてその依頼を受けたハンター達がマギア砦に集結――。現在は出発前。
「……敵の謎の武装についてはこの際きちんと調べておくのに越したことはないから、な。俺も出来る限り協力させて貰おう」
榊 兵庫(ka0010)の機体はR7エクスシア『烈風』。
「辺境北部の探索をするぜ。……前回もただのサイクロプスならもうちょい楽に戦えたハズだからな」
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)の機体はR7エクスシア『閻王の盃』。
「木偶の坊でも相応の武装で固められると厄介極まりねぇ」
デスドクロは前回、武装サイクロプスと交戦した感想を述べる。
「連中の装備を作ってるところがあるんなら、そりゃ潰しておかなきゃ嘘だろ」
依頼主の相川・俊一少尉の見立てでは辺境北部に歪虚の巨人用装備を製造しているのではないか……、とのこと。
もし本当にそれが存在するとしてたら早急に叩かねばならない。全ての巨人が武装化してからでは遅いのだ。
「ンなワケで俺様は今回もプルートーで出撃しようじゃねぇの。瞬間移動能力を有するこのデスドクロ様であれば、あえてCAMに乗る必要なんざ無ぇが……」
――と、いう『設定』である。
「それじゃ他の連中がついて来られねぇだろうしな。民と足並みを揃えて歩いてゆくことも皇帝には必要ってこったな」
――皇帝、というのは『設定』だとしても、毎度即席でチームを組むハンターとしては、皆と歩調を揃えるのは大事だ。
アルト・ハーニー(ka0113)の機体は黒光りする巨砲(意味深)を備えたガルガリン『人形埴輪二号』。
「今日も埴輪の、極太のキャノンが火を噴く(意味深)んだぞ、と。……まあ、今回の目的は調査だが」
「前のマギア砦の襲撃は撃退出来たけど、もっと数を揃えられたり装備がよくなったりしたら次はヤベーよな」
岩井崎 旭(ka0234)の相棒はワイバーン『ロジャック』。
「トレークハイト(怠惰)がどーやって装備用意してんのか、見つけてどーにかする算段立てねーと。こいつは、結構きつい時間との勝負になりそうだぜ」
彼はトランシーバーや魔導短伝話の設定を仲間と合わせておく。
それから、周辺の地図があるなら、事前に確認したいところ……と、相川少尉に伝えると「かなり古いものなら」有るそうな。
手渡された古めかしい地図を元に、工場を設置できそうな平野部や、休息できる水源、死角になる起伏や林などをチェックしておく。
(……実際の方角とかは、仲間のフォローも頼もう)
「また、マギア砦に来る機会があるとはな。何度か攻められてるらしいが、全てを晒してはいないんだろうな」
アーサー・ホーガン(ka0471)の機体は魔導型デュミナス『ドゥン・スタリオン』。
「まだ見ぬ手札がありそうで、暴きがいがあるぜ」
現在は歪虚支配地域となっている辺境北部――そこに一体何が隠されているのか……。
「武装はともかく、どうやって巨人を教導したのかしら」
そのような疑問を抱くのは、カーミン・S・フィールズ(ka1559)。相棒は刻令ゴーレム「Gnome」『ゲー太』。
「アレらより強いのがいるのは間違いないとして。恐怖や威圧が鞭なら、飴は何?」
かくりと首をかしげる彼女。無難なところで『自身の戦闘能力の向上』といったところか。
憤怒の歪虚なら兎も角、怠惰の巨人がそれを嬉しいと感じるかどうかは不明だが……。
(前回の報告書、技を駆使しても、防護された部分を抜くのに苦労してる。でも同時にソレに生物的弱点があることを示唆してる)
戦闘終了後に回収された巨人用の装備、それは連合軍に引き渡され現在解析中であるが――
時間が掛かっているのは武装・銃器のほうであり、防具の解析はほぼ終え、中間報告が上がっていた。
それによればボディアーマーやヘルメットにはリアルブルー由来技術と思われるセラミックや合金などが使用されており、ヘルメットのアイガードはやはり高硬度樹脂製であった。
(戦士たちの満腹で兵站を調えながら、敵も匂いに釣られるかもと思考してみよう……。機械VS生物型……。痛覚は防護できても、嗅覚は?)
考えたのち、彼女は「CAMは内気循環にしておいて」と出発前に、仲間達に依頼。
「前のあれには驚いたからね、なにか見つけられるといいんだけど……」
葛音 水月(ka1895)の機体はR7エクスシア『フレイヤ』。
水月にとって同行するルネ(ka4202)は妹のような存在。ゆえに危険は無いかなど、その行動に気をかける。
「欲しけりゃ自分で行動して、この手で掴む。敵の情報だってそうだよね!」
レベッカ・アマデーオ(ka1963)の機体は魔導型デュミナス『ゼーヴィント』。
「マギア砦北部……ガエル・ソトを思い出す。あの時も北からだったか」
過去に行われた砦での激戦を振り返るアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)。彼女の相棒はグリフォン『ジュリア』。
「この世界の兵器は異界技術で爆発的な進化を遂げている。歪虚側に使われたら面倒だ。原因を確実に見つけておきたい所だな」
彼女はそう言うが、数年前のCAM強奪事件に始まり、リアルブルー由来の技術は大分歪虚側にも漏れていると見て良いだろう……。
「あなたと共に望む初陣です。わたしたちの力を証明しましょう」
雨月彩萌(ka3925)の機体は魔導アーマー「プラヴァー」『アイリスMk-3』。
「広い地域の探索任務ですか。こういう場面でこそ、戦闘力よりも偵察能力を重視したプラヴァーの出番ですね」
『正常』であることにこだわり、『異常』を極端に嫌う彼女。その異常の権化たる歪虚が力を付けるのは見過ごせない。
今回の調査依頼・任務には自分の魔導アーマーが有効と判断した彼女は少しご機嫌な様子。
「この日の為に開発に携わり、日々メンテナンスと改良をしてきた『アイリスMk-3』の真価を発揮してみせましょう」
この日のため――そこまで言う彼女の働きに期待しよう。
「ぜんかいの武装きょじんとの戦いで、すこしむぼーな動き方をしてしまったから、今回ははんせーね」
愛らしいえるふの少女、ルネの愛車は魔導トラック『はうんど』。
「とらっくの本分にたちかえって『いどう・うんぱん』でおめいばんかい、ね!」
前回は武装サイクロプスとの戦闘で無茶をしてしまったので反省、今回は魔導トラックの本文に即した行動を取るつもりである。
「だんやく、しょくりょう、おみず等はそさえてぃを出る前に、よてい日数を聞いて、荷台に人数分支給してもらってつんでいかねば」
……ということで、彼女はハンターズソサエティを出発する前に依頼の予定日数を訊いたのだが、その返答は『可能な限り北上し、情報収集した後に帰還せよ』だそうな。
敵の兵器工場やら基地やらがすぐに見つかれば良いが、下手をすればかなりの長丁場になる可能性がある……。
ゆえに! ルネの愛車、魔導トラック『はうんど』には! 積載重量ギリギリ、可能な限りの補給物資が積み込まれたのだった。
「偵察なんかより俺様ちゃんは暴れたいんだよ」
ゾファル・G・初火(ka4407)の機体はガルガリン『ガルちゃん』。
前回のマギア砦の防衛戦においても、ただただ暴れまわりたかっただけだったらしきゾファル。
そんな彼女を白い目で見る者も居たかもしれないが……そんなことはどこ吹く風で、自分がやりたいことに関しては一ミリたりともぶれない彼女だ。
鞍馬 真(ka5819)の相棒はワイバーン『カートゥル』。
彼は愛龍と共に空を飛んでの調査ということでこの依頼に参加した次第。
もちろん調査は真面目にやるつもりだが、飛ぶことも空中戦闘も好きなためテンションは高めである。
アリア・セリウス(ka6424)の相棒はワイバーン『リタ』。
今回の依頼は文字通り未知の敵地への調査――後手に回り込み過ぎて、何度も襲撃を受けて犠牲が出るのは避けたいところ。
「危険な場所に踏み込むとしても」
(脅威や危険、それらを知り、次へと繋げたい)
「ダレかが喪われる、可能性を消す為に」
少しでも近代兵器で武装した巨人による被害を抑えたい……。そのために彼女は行動する――。
「このまま放置しておけば、辺境北部はもちろん、様々な地域が危険にさらされてしまうかもしれません」
ニーロートパラ(ka6990)の相棒はワイバーン『シャルラ』。
「まずは出処を掴み、危険の根本から排除するよう、努めなければ」
ニーロは固く決意をする。敵の戦力が底上げされれば必然としてこちら側の被害が増えてしまう。それを阻止せねば――。
というわけで辺境北部への旅支度を整えたハンター達ご一行はマギア砦を出発し、一路北を目指すのだった……。
●
マギア砦を出発したハンター達一行は周辺を調査しつつ、ひたすらに北上する――。
兵庫は、基本方針としては地上部隊の一員として行動。
仲間との連絡を密接にするため、作戦行動中はトランシーバーと魔導スマホはオープンチャンネルにしておく。
特に、偵察任務に当たるに仲間――飛行型幻獣に騎乗する空中部隊、ハンター辺境北部遠征部隊全体の『目』とは素早く連絡を取れるように。
また『マッピングセット』を使用し、調査済みの範囲内の地図の作成も空いた時間で率先して行う。
いざ、敵と遭遇し戦闘となった場合には単独行動は厳に慎み、仲間との連携を常に意識し、相互で補完を図るように努めるつもりである。
「まーしかし、これだけ広い土地ン中を動くとなると、そうそう巨人とエンカウントすることも無ぇだろうが、逆に言えば一度の遭遇で、前回並に損耗していたら話にならねぇってこった」
そのように言うのはデスドクロ。前回の襲撃と同規模――三十体以上もの武装サイクロプスと遭遇戦になることはまず無いとは思うが――
「巨人が我が身かわいさに逃げることが無ぇのは判明したし、不要な戦いは避けるか、最悪でもこちらが先手を取れる戦いをしていかねぇと、調査に影響が出ちまうだろ」
進路上に怠惰の巨人を発見すれば先制攻撃で極力素早く排除するのが望ましいという話だ。
ハンター達一行はけっこうな大所帯である。進路を変更し迂回するとなるとけっこうな時間のロスになってしまう。
「前のバトルで彼我の戦力差はほぼ確認できた以上、計算ずくの上で戦う戦わないを決めてえわな」
出来るなら戦闘は避けたいところだが、やるとなれば接近される前にカノン砲で潰す予定だ。
「範囲が広いしどの程度調べられるかねぇ。ま、俺たちは地上からやれるだけやってみようかね、と」
ハーニーは愛機ガルガリン『人形埴輪二号』に搭乗し、地上を行軍中。
以前に攻めて来た際の、敵が残した足跡を頼りに辿りつつ探索。
アーサーもCAMに搭乗し、地上部隊として行軍。
彼は巨人用装備の出元に加えて、発見出来れば製造・保管中の未確認装備も調べるつもりであった。
(マギア砦が狙いなら、攻城兵器があるのでは?)
それは大いにあり得る。マギア砦の壁を貫くには砲撃よりもパイルバンカーなどによる直接攻撃のほうが有効だ。
……さて、今回の調査は範囲が広いので、当たりを付けて行う。
武装巨人の通り道、製造・保管に関わる場所、武装巨人の存在そのものが候補。最初は、巨人の退路の痕跡――足跡を辿る。
痕跡が途絶え、空中からの観測でも手掛かりが掴めなくなった場合、林や岩場など空からは死角となる場所を中心に探るつもりだ。
工場が存在し、装備を製造しているならば、場所以外に材料が必要となる。
材料である鉱石の採掘場所の当たりを付けて調査――まあ、辺境北部地域にて製造を一から十まで行っているかは不明だが。
素材なり部品なりを工場へ輸送している可能性は高いわけで、その車両か……あるいは別の手段の痕跡を探せば良い。
そして製造された武装は野晒とは考え難い。必ず保管場所があるはずだ。洞窟のような天然の空間を利用するか、倉庫などを建築しているはずである。
また、武装した巨人を発見したならば、そこは活動範囲内であり、近くに工場なり倉庫なり基地なりが存在し得るので重点的に調べる。
水月もCAMに搭乗し、皆と同じように先の依頼で攻めてきた敵の行軍の痕跡を追跡中。
仲間との連絡用にトランシーバーと魔導スマートフォンを携行し、魔導スマートフォンは発見物の撮影にも使用。
行軍の行程と途中で得た情報はマッピングセットへ随時書き込んでゆく。地道な作業だが……とても重要だ。
「そっちでは何か見えましたかー?」
レベッカはCAMでの移動中、余裕があるタイミングを見て、ハッチを開けて風をコクピットに入れる。
「海でも陸でも風は立派な情報源さ。それはどこ行ったって変わんないよ」
風に火薬や鉄の臭いなどが混じっていたならば、風向きを確認し、空中部隊の幻獣に騎乗した仲間へ方角を伝える。
ゾファルは今回もその暴れん坊も熱意は全く健在で、故に偵察・調査などそっちのけで巨人どもにケンカ売る気満々。
ゆえに……偵察・調査を主とする仲間から「巨人どもに邪魔されないように陽動してくれ」と言われたため、そういうことになった模様。
……。…………。マギア砦を出立してから数時間が経過。平地を抜け、高低差のある地形が散見される荒地に入った。
そこで遭遇したのは武装をしていないオーガやトロル。
ゾファル機は倒せる敵から優先的に撃破。基本攪乱戦術に努める。
出発前に付近の地図は頭に叩き込んで地形を利用――と考えたが如何せん地図はすごく古いので参考程度にしかならなかった。
ゆえにレベッカ機、ほか地上部隊のCAMや魔導アーマーと連携し、速やかに始末。
それと、仲間の飛行部隊と連絡を密にとり、巨人たちの配置や分布には細心の注意を払い、間違っても自分側が包囲殲滅などされないように気を配る。
「ま、俺様ちゃんがやばくなったらレベッカちゃんには逃げてねくらいは言い含めておくさ」
長期間の任務になる可能性もあるため、覚醒回数は慎重に管理。無駄遣いはしないように腐心。
(まあ表向きは一所懸命やりすぎるのはだりぃからってことではあるが)
彩萌。魔導アーマーに搭乗し、地上部隊にて探索。積極的な戦闘は避けつつも敵と遭遇した場合は早期撃破を図る方針。
こちらも他と同じく敵の移動の痕跡、また、拠点可能性のある場所を発見したら重点敵に探索してゆく。
他メンバーとの連絡には電波状況に応じてトランシーバーと魔導スマートフォンを適宜切り替え。
相手との距離が遠い場合は【連結通話】を使用。
そして彼女は地上部隊の『目』として【マテリアルレーダー】を使用。
敵の探索を行い、敵を発見したら即座に他地上部隊、および飛行部隊に連絡し警戒を促した。
魔導トラック『はうんど』にて物資を輸送、ハンター辺境北部遠征部隊の補給を担うルネ。
「ちょうきょり行動をかくごして、『かくせい』は控えめ……。なるのはいざ戦闘を避けられない、戦力が足りない時だけね」
彼女も任務が長丁場になることを想定して覚醒回数を調整。
「むしろ、てきが居ない普通のうんてんのあいだは、かくせい、しないことも挑戦? 運搬やくだから、かくせいしない事で少しこそこそ出来るかもだしねー」
今回の任務の要といっても過言ではないルネの魔導トラックであるからして、地上部隊の後列に位置。
「CAMや上空のめんばーの少し後ろをついていきたいところねー」
カーミン自身はルネの魔導トラックに同乗。
相棒である刻令ゴーレム「Gnome」『ゲー太』は無限軌道による不整地踏破能力があるので追随命令にて自律行動中。
全体的な行軍速度を揃えるように仲間全員にお願いして、ナビを務める。
『ゲー太』は【レヴェリングモード】にて障害物除去やスロープ作成などを担当し、魔導トラックが安全に走行出来るよう、補助を行う。
『ゲー太』がルネの魔導トラックを先導する形だ。
なお、カーミンは仲間との通信には魔導スマホやイヤリング『エピキノニア』を用いる。
***
空中・幻獣部隊――。
旭は相棒のロジャックに騎乗し、北へ。
工場や集積拠点になりそうな要素に目星を付け、高度を取り、【鋭敏視覚】に頼りながら空から調査を行う。
工場向きの立地――広く平らな場所、工業用水・排水のための河川など。
輸送の痕跡――道の存在や深い足跡、轍など。
護衛の存在――武装した巨人の歩哨や巡回。
これらを基準に、空から地上を偵察する。
「それらしい施設が全然ないとしたら……ひょっとして、洞窟とか地下って線もあるのか?」
アルトも幻獣に騎乗し、他の幻獣と一緒の方々と空中部隊として行動。
調査地域の全体的な地図をマッピングセットを使って描く。
そして、林・岩・段差等、特徴的な地形や障害物、動くモノ、その他気になったものは魔導カメラで撮影していく。
地図と写真は番号等で結びつけ、休憩を取る際には地上部隊も含めて仲間内で共有する。
敵分布や移動方向等から拠点の推測など調査方針や移動経路などを話し合う。
ちなみに作成した地図は調査終了後、清書し依頼主……相川少尉へ渡すつもりである。
真も空中部隊として相棒に騎乗し、進む。
「探す目標は、工場や集落等の拠点かな。上手く見つかれば良いが……」
【飛翔の翼】で飛行し、上空から双眼鏡を使って俯瞰。巨人の進軍の痕跡……足跡や野営の跡、木が折れている場所などを探す――。
「カートゥルも、何か見えたら私に教えて欲しいな」
何か見付かったら行軍ルートを逆算し、仲間に伝え、全体の移動経路の参考に。
(基本は高度を上げて飛ぶが、見つからないようなら高度を下げてくまなく探したいところだ)
何かあれば仲間と逐一連絡を取り、イヤリング『エピキノニア』と魔導スマートフォン、通話状況の良いほうに適宜切り替え。
アリアは相棒の『リタ』に騎乗し、通常進軍速度を地上部隊と合わせる。
空からの偵察時には【飛翔の翼】を使用。
その際には飛行偵察部隊で、必ず二人以上で組むように、一人が偵察専念出来るよう、もう一人は敵からの攻撃警戒の役割分担の形を提案してみる。
偵察時はサイクロプス達、大型の相手が群れて進軍した痕跡……資材運ぶために切り拓かれた道などを探す。
敵に発見されないように高度を上げつつ、軍用双眼鏡で偵察しながら随時仲間と連絡を取る。
ニーロはワイバーンの『シャルラ』に騎乗し、飛行しての偵察を主とする。
「よろしくお願いしますね、シャルラ。移動は単独ではなく、仲間とも歩調を揃えて……アリアさんの提案通り二人一組が良さそうです。何か合った際にカバーし合えますし」
(墜落が一番の危険ですし)
偵察時は高度を上げ、軍用双眼鏡で地上を調査。気にするところは――
「物資そのものが屋外にあるとは思えませんし、格納している場所、倉庫があるでしょうか。何かを引きずったり多くの足跡、移動の跡などがあれば判りやすいのですが」
●
更に北上を続けるハンター辺境北部遠征部隊――。
これまでにオーガやトロルといった野良巨人との散発的な戦闘はあったが、然したる被害は無し。
武装サイクロプスの行軍跡は発見出来ているものの、未だ兵器工場、兵器倉庫、基地などに類する施設は見つかっていない……。
その武装サイクロプス自体とも遭遇していないので、敵の拠点があるとしてもまだ先になりそうだ。
地上部隊――。
兵庫は仲間と事前に協議し、調査任務を優先するために避けられる戦闘は極力避ける方針だったが、進路上を敵が塞いでいた場合など、どうしても避けられない場合には速やかに撃破。
出発から十時間近くが経過し、わりと長丁場になって来たのでハンター全員、ローテーションを組んできちんと休憩は取るようにしていた。
前述の通り、調査中に何度か敵と遭遇したのだが、それは野良巨人だったので味方機の火力と共に速やかに排除した。
デスドクロ機、基本陸路を進むが高台のような少し面倒な地形はフライトフレーム『ヴォラーレ』による【フライトシステム】を使用して飛び越える。
それから移動中は時折停止して、音による索敵も試みる。
「巨人が複数体動いていりゃ野生動物は息を潜めるだろうし、足音も聞こえるかも知れねぇ」
「武装して無いやつはさておき、武装した奴がいたら何かあるかもかねぇ? 適当にばらまいてるわけでもないだろうし」
ハーニーは戦闘に関し、積極的には行わないが、敵が仕掛けてくるようなら迎撃。
時間をかけて増援が来ても困る。ゆえに連携し速攻で倒すように心掛け……ていたのだが敵は野良巨人なので特に増援は無かった。
武装サイクロプスと遭遇した場合は付近には何かあるかも~と、重点捜索つもりであるが、今のところこれといった手掛かりは無し。
「この範囲をさくっと調べる手立てがありゃ一番なんだけどもねぇ。流石にそうは簡単にはいかないか……」
空中部隊とは逐次連絡を取り合い状況を確認。ハーニーも偵察任務が長期間になることを考慮し、覚醒回数や時間には気を付ける。
「敵が出れば戦いは避けたい所だけども、出会ってしまったらそうもいかないさねぇ。下手に逃して仲間を連れてこられたり、俺達の事を伝えられたりしても面倒だぞ、と」
アーサー、こちらも調査の長期化を想定し、行軍中は覚醒回数を温存する。覚醒は戦闘時のみ。
樹木や岩などを利用して機体を隠し、警戒する方向を限定する。
巨人が身を隠せるような岩場などには敵が潜んでいるものと考え、周辺警戒を密にして先に敵を発見しやり過ごそうとしていたが――
単独ならともかく、部隊を組んでの行動である。ゆえに、地上部隊・仲間のCAMと協力して野良巨人は先制攻撃で仕留めた。
水月も、調査の日程が不確定なのでスキルは温存しておく。覚醒も回数制限があるのでなるべく温存。
彼も皆と同じく戦闘は可能な限り回避したかったが、遭遇するのは進路を塞ぐ野良巨人ばかり。
それが武装サイクロプスだったらならば撤退に追い込み追跡したいところ。しかし……野良なので……。
皆と話し合い、迂回はせずに先制攻撃で仕留めていく方針とした。
***
空中部隊――。
旭は『ロジャック』に騎乗し、引き続き上空からの偵察中。他の飛行部隊メンバーや、地上部隊とも細かく情報交換を行う。
奇襲や遭遇戦――地上からの対空砲火でやられてしまわないように、仲間と相互フォローを出来る距離を維持・警戒に務める。
もし拠点や輸送隊を見つければ敵排除後、無傷の装備があれば【ファントムハンド】も使用して確保するつもりだったが、未だ発見には至らず。
「敵の装備を回収すれば加工の技術力? みたいなのとか、分かるもんもあるだろ」
前回交戦した武装サイクロプスの装備はほぼ回収し連合軍が解析中である。今回は未確認の装備が発見出来れば良いのだが……。
アルトも『ジュリア』に騎乗し飛行偵察を継続中。索敵に影響がない範囲で可能な限り高度を取る。
軍用双眼鏡を使用しての索敵を優先しつつ、周辺地形を魔導カメラで撮影しまくる。
その上、【鋭敏視覚】や【暗記】により可能な限り周囲を記憶し、地上に戻った際に地図へと反映させた。
アルトは飛行にも回数制限があることから必須時以外は順番での飛行偵察を提案。ローテーションを組むことに。
また、地上に居るときは【サバイバル知識】を使い、移動の痕跡などが無いか周辺を調査。頻繁に通信し、仲間内での情報共有を密にする。
真は他の飛行部隊メンバーと離れすぎない程度に距離を取りながら『カートゥル』と共に探索を行う。
(調査広範囲だから、少し危険でも効率を重視したいところだが……)
「……空を飛ぶ時は一人で気儘に飛びたいって気持ちもあるんだけどね」
敵が狙撃砲を所持していることに留意、遮蔽物が多い場所を飛ぶ時は狙撃を警戒する。
しかし、幸いと言って良いのかどうなのか、今のところ武装サイクロプスとは遭遇していない。
アリアも『リタ』に騎乗し、飛行中。基本は敵発見時、発見されないままならば一度撤退して、戦力を整えて攻勢に~と考えていたが――
前述の通り、未だ武装サイクロプスとは遭遇せず。危険を伴うが、調査目的としては早く見つけたいところだ。
奇襲を受け易い段差や進行の難しい場所は特に注意して偵察を行う。
……ローテーションで地上に居る際は、偵察で得た情報で周囲地形のマッピング。魔導スマホで撮影した現地の写真も添えておく。
ニーロは『シャルラ』の背に乗り、偵察行動。
「発見したものや道などを地上行動組に伝えられるように、ペイント弾を利用しようかと」
ペイント位置から北にどれくらい、などの使い方で悟られ難いように出来れば~と彼は考える。
非武装の野良巨人との戦闘は避けたかったが大抵の場合は地上部隊の進路上に居たため、仕方なく交戦。
ニーロは魔導銃『アクケルテ』にて属性弾を使用するつもりでいたが、遭遇した野良巨人は地上部隊がすぐ片付けてしまった。
***
飛行部隊よりアルト。
「大分陽が落ちてきた。夜間行軍は危険だし、無理をする必要も無いだろう。今日はここまでにして、野営といかないか」
との提案。……地上部隊も長時間の行軍で相応に疲労していたため、了承。ここをキャンプ地とする!
そんなわけでハンター達一行はルネの魔導トラックを基点に、キャンプを張り、野営をすることに。
ルネはかわゆい割烹着姿で率先して調理をする。やはり保存食などより温かい食べ物が一番だ。
とは言え、食料や水を初めとした全体の物資は節約。行軍の行程から帰還できる余裕は残す。
交代で食事を済ませた後、空中部隊は幻獣を休ませ、生身にて交代で警戒。
地上部隊は三交代制でCAMに搭乗し、警戒。
全員が交代で睡眠を取る……。
レベッカは自分の番の時はCAMのコクピットで、最低限のセンサー起動させて警戒に当たった。
そして辺境北部の夜が更けてゆく――。
***
夜明け頃、まだ辺りが暗い時間に、それは突如としてやって来た。
「全員起床! 全員起床! レーダーに反応がありました。位置と距離を伝えます。各自、警戒を厳にし、配置についてください」
彩萌の声で全員が目を覚まし、飛び起きる。
魔導アーマー「プラヴァー」『アイリスMk-3』の数度の【マテリアルレーダー】が接近してくる複数の反応を検知したのだ。
各CAMのコクピットから危険を知らせるアラートが響き、空中部隊メンバーの魔導スマホやらのアラームがけたたましく鳴る。
地上部隊はCAMに搭乗、空中部隊は騎乗し、一先ず待機。
レベッカも魔導型デュミナス『ゼーヴィント』に搭乗し即時起動。
「いくよ!」
ウイングフレーム『ゲファレナー・エンゲル』をマント形態で固定し、肩や背中の魔導エンジンから漏れる光を遮断。
彩萌機から「敵は武装したサイクロプス複数です。当たりを引きましたね」との通信。
レベッカは機体のカラー(黒/濃紺のツートン)を保護色にし、闇に紛れて一度離れ、敵陣側面へ回り込む。
センサーを頼りに側面から強襲を掛ける。敵前衛よりも後衛の攪乱と撃破を優先。
「いくら図体でかくたって見えないってのは怖いよね? 死にたくなきゃ逃げた方が得だよ!」
ゾファル機『ガルちゃん』は機動力重視カスタム。本来なら逃げ足確保のためだが、今はその速力で距離を詰める。
敵集団に向けて【アサルトダイブ】にて一気に突っ込み、【スキルリンカー】による【薙ぎ払い】で攪乱。
……その後は幻獣からの援護を受けたCAM部隊が武装サイクロプスの集団と交戦し、ほどなく撃破。
襲撃してきた武装サイクロプスは全部で十体だった。
巨人が残した武装は回収し、CAMに手伝って貰ってルネの魔導トラックに積み込む。
●
漸く武装サイクロプスという明確な手掛かりを得たハンター達は彩萌機を先頭とし、敵がやって来た方角へ移動中。
「仮に兵器工場があるとすりゃ、当然、巨人共もその周りに多くいるんじゃねぇかとな」
言ったのはコクピットのデスドクロ。
「帰還する場所、守る場所として、常日頃から機能し、動いているんなら痕跡が残る筈」
彼は物資の供給を考慮すると車輌の轍等もあるのではないかと考える。
(空はあまりに見つかりやすいんで輸送には使わねえだろうが……)
「こういった工場は特に恒常的に稼働しているだろうしな。ま、無かったら無かったって事実が分かるんで、無駄にゃならねぇだろ。焦らず調べようぜ」
先頭の彩萌機、複雑な地形では『地形判定プログラム』を活用し、行軍。
「開発の際にわたしが提案した機能が役立ちましたね。これは予想していたより、嬉しいですね」
――そしてついに、遠方に、巨人用兵器工場と思しき巨大建造物を発見!
だが敵も馬鹿では無く、周囲には既に多数の武装巨人が展開し、防衛体制を整えていた。
カーミンが工場内部へ潜入を試みる手筈となっているので、敵減らしと時間を稼ぐ必要がある。
まずは陽動のゾファル機とレベッカ機が前へ出る。
ゾファル機、彼女の戦闘スタイルは兎に角本人がやりたい事やる。という事で今回は陽動役に。
本人はそれが貧乏籤でもむしろ『危機=歓喜』位に思っている様なので問題無し。
二機で協力し、陽動戦で巨人達の警備網を引っ掻き回し、斬艦刀『雲山』を振り回す。
レベッカ機は機鎌『グガルアンナ』による近接格闘戦を仕掛ける。
突撃砲により牽制し、とことん格闘に持ち込む。尚、ウイングフレームは威嚇のために翼形態で固定。
***
兵庫機も戦闘開始。まずはデスドクロ機と共に200mm4連カノン砲による砲撃を(陽動班を巻き込まぬ様)敵陣に叩き込む。
「……敵がこちらの攻勢に怯んで退散してくれればいいのだが、そう上手くはいかぬよな」
距離が詰まるまでマシンガン『ラディーレン』とカノン砲による砲撃を続行。敵へダメージを蓄積させる。
敵が近付けば兵装を斬機刀『建御雷』に切り替え。近接格闘戦に移行する。
【スキルトレース】により【強撃】や【渾身撃】を使用。こちらに有利な状況を作る。
複数の敵が近付けば【スキルリンカー】による【薙ぎ払い】! 一度に複数の敵へ斬撃を喰らわせ、ダメージを与える。
ハーニー機は最初から近接格闘戦主体で戦闘。黒々としたキャノン(意味深)で牽制しつつ、機鎚『バタリングラム』による攻撃で足や顔を狙う。
【アクティブスラスター】により一気に距離を詰め、機鎚を上段から降り下ろし、瞬間、片手を離して錬機剣『YUKIMURA』から発する光の刃で下から抉り込む様に斬撃。一体撃破。
続いて【アグレッシブファング】を使用。近接威力を向上させ、強力な機鎚による一撃を打ち込む。
「囲んでさくっとやってしまいたい所だねぇ。時間をかけたくはないんだぞ、と」
アーサー機、こちらは陸空で連携を図り、注意を分散させ、遠距離から攻撃を仕掛ける。
突撃砲持ちや狙撃砲持ちの巨人を狙い、【プラズマシューター】と【高速演算】を使用。
よく狙いを付け、ロングレンジライフル『ルギートゥスD5』で狙撃を行う。
また、敵との距離を維持し、【マルチロックオン】も使用。同時に複数の敵を狙撃する。
数度攻撃後は移動。ターゲットにされない様に注意。
水月機はMライフル『イースクラW』により全力攻撃を行った後に、4連カノン砲へ切り替え、砲撃を行う。
前衛が奮戦している為、こちらは接近戦にはならなかった。引き続き砲撃を続ける。
敵が固まっている場合には【マテリアルライフル】による紫色の光線を放ち、射線上の敵へダメージを与える。
彩萌は戦闘に際し、【機導の徒】を発動。
「行きますよ、『アイリスMk-3』。速やかに異常を殲滅します」
魔導銃『アウクトル』で射撃し、牽制しつつ【スキルトレース】により【機導砲】及び【機導剣】を目標との距離により使い分け、攻撃。
相対している敵の武装に合わせ【スペルスラスター】によって距離を調節。
太刀を持っている敵からは間合いを離し、狙撃砲には間合いを詰め、対応。
散弾砲持ちは警戒し、接近せず、魔導銃による遠距離攻撃で対処する。
近接格闘戦の間合いに敵を捉えると、兵装をナックル『ラウムシュラーゲン』に切り替え。
「これがプラヴァーの、『アイリスMk-3』の力です。その身で味わいなさい」
味方の攻撃でボディアーマーが脆くなっていた部分を【スペルステーク】により打ち抜く。
「ステークで敵を撃ちぬく感触、予想よりも心地よいものですね」
異常の権化たる歪虚を屠る事で妖しい笑みを浮かべる彩萌。
***
空中部隊――。こちらは空から地上を攻撃中。
旭の『ロジャック』は【ファイアブレス】で味方を巻き込まぬ様にしつつ、援護。
吐き出された火炎弾は爆発し巨人達を焼く。
アルトは『ジュリア』に騎乗し、飛行中。
可能な限り敵巨人――目標とした個体頭上空に接近する。
その後に【空渡】を使用。落ちるかの様に騎乗解除し【踏鳴】で駆け下り。
【散華】により剛刀『大輪一文字』を打ち降ろし、真っ二つにするつもりで斬り抜ける――
真っ二つとまではいかなかったが瀕死に追い込む事には成功。
その後、【踏鳴】【散華】にて鋭い斬撃を見舞い、武装巨人一体にトドメを刺した。
尚、アルトが単独で攻撃している間、『ジュリア』は獣機銃『テメリダーV3』にて援護射撃。
真の『カートゥル』は遠距離から幻獣ミサイル『シンティッラ』による【プラズマバースト】を撃ち込み敵を怯ませ。
【サイドワインダー】を用いつつ、全力移動し、敵砲の間合いの内側に入り込み、対空砲火を避ける。
近付きながら【ソウルエッジ】を使用。魔導剣『カオスウィース』の間合いに入れば加速をつけつつ【剣心一如】【渾身撃】により、すれ違い様に斬り付け。
更に【納刀の構え】の返し刃を入れつつ、距離を取り反転、再び加速、【剣心一如】【渾身撃】をもう一度繰り出す。
少し敵との距離がある場合は【レイン・オブ・ライト】のチャージしたマテリアルを無数の光線として放出し、降り注がせ、対地攻撃。
敵の砲撃は【バレルロール】にて回避を試みる。
「その程度で、風を捉えられると思ったか!」
アリアは基本、『リタ』に騎乗し、飛行状態で戦闘。
地上部隊と動きを合わせ、対空砲火を掻い潜り、一気に敵との距離を詰める。
剣の間合いに入れば【円舞】から移動し【月魄】【祓月】――二刀が紡ぐ剣閃で、幻の三日月を幾重にも描く様に。
「さあ、幻月の舞踏を。手にしたに二刀を、閃かせて」
彼女が狙う敵の優先順位は『散弾砲>狙撃砲>突撃砲>近接』である。
狙撃による対空砲火は元より、散弾での面制圧を重点的に警戒。
敵の砲撃は可能な限り【バレルロール】で回避する。
「鉄火を手繰る巨兵……無粋ね。轟音は鳴らせばいい訳ではないのよ」
ニーロは『シャルラ』に騎乗し飛行中。しかし攻撃するのは主にニーロ自身だ。
「武装サイクロプスとの戦闘ですか、こちらの攻撃は防具の隙間を狙えればよいかと」
防具の解除を目的に、継ぎ目や留め具を狙い、スナイパーライフル『ルーナマーレ』で狙撃するも解除には至らず。
反撃の砲撃は緊急回避。再度狙撃。解除は失敗。隙間を狙ったり、留め具を狙い装備解除させるのはかなり難しい様だ。
「撃ち合いをしにきたわけではないので、素直に回避します」
(移動自体も真っ直ぐにせず、やや揺らすようにすれば向こうからの狙いは付けにくいでしょうか)
狙撃ではあまり効果が無いと判断し、魔導銃『アクケルテ』に持ち替え、再度攻撃態勢へ。
***
「肝心の武装きょじんは出来れば倒したいけど……今回は偵察がメインだし。ぶき倉庫か、もしくはせいぞう所……の証拠を見つけれれば個人的にはだいせいこー」
仲間が交戦している隙に大型建造物へ潜入を図るカーミンを魔導トラックで送り届けるべく運転するルネ。
「……と思ったらーまさかこんな大きいたてものが有るなんてー」
そうして、到着。停車。カーミンを降ろす。
「さくせん時間は5ふん。必ずもどってきて」
キリッとした表情のルネは敬礼。
「了解よ」
カーミンは返礼した後にダッシュ。ちなみにゴーレムは後方に待機させてある。
***
巨大建造物の間近までやって来たカーミン。見れば見る程巨大である。流石巨人サイズ。
【グラジオラス】で姿を隠し周りを見て回り、出入口らしき巨大な扉を発見。
【シンニンギア】や【空渡】を駆使してよじ登り、開けられないか探るも――残念ながら扉は電子ロックであり、シーブスツールでは無理だった。
「あ、これはダメだわ……」
そこにカーミンの言葉を聞いたデスドクロから通信。
「こっちは警備の巨人をほぼ撃破。工場らしき建物を見つけたってだけで上出来だ。増援が出て来る前にずらかるぜ」
続いてルネから。
「さくせん終了まであと1ふん。はやく!」
「く、ここまで来て……でもしょうがないわね。撤退! 臭い関係はまた今度!」
カーミンはダッシュでその場を後にし、ルネと合流。ルネは魔導トラックを爆走させて離脱した。
他ハンターの地上部隊、及び空中部隊も撤退を開始する。
***
約一日後――マギア砦に帰還したハンター達を相川少尉が出迎える。
「良くやってくれました、皆さん。お疲れ様です」
少尉はにこやかな笑顔でハンター達を労う。
「先に転送して貰ったデータはざっとですが見させて頂きました。随分と辺境北部のマッピングもして下さった様で感謝です。これで、こちらから攻勢を掛ける事が出来る様になりました」
少尉は「その際はまたハンターさん達の力を借りる事になりますね。その際は宜しくお願いします」と言った後、
「一先ず今は疲れを癒して下さい。本当にお疲れ様です。あなた方の働きはとても大きいですよ」
と、疲労困憊のハンター達へ賛辞を贈るのだった。
前回マギア砦を襲撃した、近代兵器で武装したサイクロプスの軍勢……。
その装備の出元を探るため、辺境北部、歪虚支配地域の調査依頼がハンターズソサエティに出された。
そしてその依頼を受けたハンター達がマギア砦に集結――。現在は出発前。
「……敵の謎の武装についてはこの際きちんと調べておくのに越したことはないから、な。俺も出来る限り協力させて貰おう」
榊 兵庫(ka0010)の機体はR7エクスシア『烈風』。
「辺境北部の探索をするぜ。……前回もただのサイクロプスならもうちょい楽に戦えたハズだからな」
デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013)の機体はR7エクスシア『閻王の盃』。
「木偶の坊でも相応の武装で固められると厄介極まりねぇ」
デスドクロは前回、武装サイクロプスと交戦した感想を述べる。
「連中の装備を作ってるところがあるんなら、そりゃ潰しておかなきゃ嘘だろ」
依頼主の相川・俊一少尉の見立てでは辺境北部に歪虚の巨人用装備を製造しているのではないか……、とのこと。
もし本当にそれが存在するとしてたら早急に叩かねばならない。全ての巨人が武装化してからでは遅いのだ。
「ンなワケで俺様は今回もプルートーで出撃しようじゃねぇの。瞬間移動能力を有するこのデスドクロ様であれば、あえてCAMに乗る必要なんざ無ぇが……」
――と、いう『設定』である。
「それじゃ他の連中がついて来られねぇだろうしな。民と足並みを揃えて歩いてゆくことも皇帝には必要ってこったな」
――皇帝、というのは『設定』だとしても、毎度即席でチームを組むハンターとしては、皆と歩調を揃えるのは大事だ。
アルト・ハーニー(ka0113)の機体は黒光りする巨砲(意味深)を備えたガルガリン『人形埴輪二号』。
「今日も埴輪の、極太のキャノンが火を噴く(意味深)んだぞ、と。……まあ、今回の目的は調査だが」
「前のマギア砦の襲撃は撃退出来たけど、もっと数を揃えられたり装備がよくなったりしたら次はヤベーよな」
岩井崎 旭(ka0234)の相棒はワイバーン『ロジャック』。
「トレークハイト(怠惰)がどーやって装備用意してんのか、見つけてどーにかする算段立てねーと。こいつは、結構きつい時間との勝負になりそうだぜ」
彼はトランシーバーや魔導短伝話の設定を仲間と合わせておく。
それから、周辺の地図があるなら、事前に確認したいところ……と、相川少尉に伝えると「かなり古いものなら」有るそうな。
手渡された古めかしい地図を元に、工場を設置できそうな平野部や、休息できる水源、死角になる起伏や林などをチェックしておく。
(……実際の方角とかは、仲間のフォローも頼もう)
「また、マギア砦に来る機会があるとはな。何度か攻められてるらしいが、全てを晒してはいないんだろうな」
アーサー・ホーガン(ka0471)の機体は魔導型デュミナス『ドゥン・スタリオン』。
「まだ見ぬ手札がありそうで、暴きがいがあるぜ」
現在は歪虚支配地域となっている辺境北部――そこに一体何が隠されているのか……。
「武装はともかく、どうやって巨人を教導したのかしら」
そのような疑問を抱くのは、カーミン・S・フィールズ(ka1559)。相棒は刻令ゴーレム「Gnome」『ゲー太』。
「アレらより強いのがいるのは間違いないとして。恐怖や威圧が鞭なら、飴は何?」
かくりと首をかしげる彼女。無難なところで『自身の戦闘能力の向上』といったところか。
憤怒の歪虚なら兎も角、怠惰の巨人がそれを嬉しいと感じるかどうかは不明だが……。
(前回の報告書、技を駆使しても、防護された部分を抜くのに苦労してる。でも同時にソレに生物的弱点があることを示唆してる)
戦闘終了後に回収された巨人用の装備、それは連合軍に引き渡され現在解析中であるが――
時間が掛かっているのは武装・銃器のほうであり、防具の解析はほぼ終え、中間報告が上がっていた。
それによればボディアーマーやヘルメットにはリアルブルー由来技術と思われるセラミックや合金などが使用されており、ヘルメットのアイガードはやはり高硬度樹脂製であった。
(戦士たちの満腹で兵站を調えながら、敵も匂いに釣られるかもと思考してみよう……。機械VS生物型……。痛覚は防護できても、嗅覚は?)
考えたのち、彼女は「CAMは内気循環にしておいて」と出発前に、仲間達に依頼。
「前のあれには驚いたからね、なにか見つけられるといいんだけど……」
葛音 水月(ka1895)の機体はR7エクスシア『フレイヤ』。
水月にとって同行するルネ(ka4202)は妹のような存在。ゆえに危険は無いかなど、その行動に気をかける。
「欲しけりゃ自分で行動して、この手で掴む。敵の情報だってそうだよね!」
レベッカ・アマデーオ(ka1963)の機体は魔導型デュミナス『ゼーヴィント』。
「マギア砦北部……ガエル・ソトを思い出す。あの時も北からだったか」
過去に行われた砦での激戦を振り返るアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)。彼女の相棒はグリフォン『ジュリア』。
「この世界の兵器は異界技術で爆発的な進化を遂げている。歪虚側に使われたら面倒だ。原因を確実に見つけておきたい所だな」
彼女はそう言うが、数年前のCAM強奪事件に始まり、リアルブルー由来の技術は大分歪虚側にも漏れていると見て良いだろう……。
「あなたと共に望む初陣です。わたしたちの力を証明しましょう」
雨月彩萌(ka3925)の機体は魔導アーマー「プラヴァー」『アイリスMk-3』。
「広い地域の探索任務ですか。こういう場面でこそ、戦闘力よりも偵察能力を重視したプラヴァーの出番ですね」
『正常』であることにこだわり、『異常』を極端に嫌う彼女。その異常の権化たる歪虚が力を付けるのは見過ごせない。
今回の調査依頼・任務には自分の魔導アーマーが有効と判断した彼女は少しご機嫌な様子。
「この日の為に開発に携わり、日々メンテナンスと改良をしてきた『アイリスMk-3』の真価を発揮してみせましょう」
この日のため――そこまで言う彼女の働きに期待しよう。
「ぜんかいの武装きょじんとの戦いで、すこしむぼーな動き方をしてしまったから、今回ははんせーね」
愛らしいえるふの少女、ルネの愛車は魔導トラック『はうんど』。
「とらっくの本分にたちかえって『いどう・うんぱん』でおめいばんかい、ね!」
前回は武装サイクロプスとの戦闘で無茶をしてしまったので反省、今回は魔導トラックの本文に即した行動を取るつもりである。
「だんやく、しょくりょう、おみず等はそさえてぃを出る前に、よてい日数を聞いて、荷台に人数分支給してもらってつんでいかねば」
……ということで、彼女はハンターズソサエティを出発する前に依頼の予定日数を訊いたのだが、その返答は『可能な限り北上し、情報収集した後に帰還せよ』だそうな。
敵の兵器工場やら基地やらがすぐに見つかれば良いが、下手をすればかなりの長丁場になる可能性がある……。
ゆえに! ルネの愛車、魔導トラック『はうんど』には! 積載重量ギリギリ、可能な限りの補給物資が積み込まれたのだった。
「偵察なんかより俺様ちゃんは暴れたいんだよ」
ゾファル・G・初火(ka4407)の機体はガルガリン『ガルちゃん』。
前回のマギア砦の防衛戦においても、ただただ暴れまわりたかっただけだったらしきゾファル。
そんな彼女を白い目で見る者も居たかもしれないが……そんなことはどこ吹く風で、自分がやりたいことに関しては一ミリたりともぶれない彼女だ。
鞍馬 真(ka5819)の相棒はワイバーン『カートゥル』。
彼は愛龍と共に空を飛んでの調査ということでこの依頼に参加した次第。
もちろん調査は真面目にやるつもりだが、飛ぶことも空中戦闘も好きなためテンションは高めである。
アリア・セリウス(ka6424)の相棒はワイバーン『リタ』。
今回の依頼は文字通り未知の敵地への調査――後手に回り込み過ぎて、何度も襲撃を受けて犠牲が出るのは避けたいところ。
「危険な場所に踏み込むとしても」
(脅威や危険、それらを知り、次へと繋げたい)
「ダレかが喪われる、可能性を消す為に」
少しでも近代兵器で武装した巨人による被害を抑えたい……。そのために彼女は行動する――。
「このまま放置しておけば、辺境北部はもちろん、様々な地域が危険にさらされてしまうかもしれません」
ニーロートパラ(ka6990)の相棒はワイバーン『シャルラ』。
「まずは出処を掴み、危険の根本から排除するよう、努めなければ」
ニーロは固く決意をする。敵の戦力が底上げされれば必然としてこちら側の被害が増えてしまう。それを阻止せねば――。
というわけで辺境北部への旅支度を整えたハンター達ご一行はマギア砦を出発し、一路北を目指すのだった……。
●
マギア砦を出発したハンター達一行は周辺を調査しつつ、ひたすらに北上する――。
兵庫は、基本方針としては地上部隊の一員として行動。
仲間との連絡を密接にするため、作戦行動中はトランシーバーと魔導スマホはオープンチャンネルにしておく。
特に、偵察任務に当たるに仲間――飛行型幻獣に騎乗する空中部隊、ハンター辺境北部遠征部隊全体の『目』とは素早く連絡を取れるように。
また『マッピングセット』を使用し、調査済みの範囲内の地図の作成も空いた時間で率先して行う。
いざ、敵と遭遇し戦闘となった場合には単独行動は厳に慎み、仲間との連携を常に意識し、相互で補完を図るように努めるつもりである。
「まーしかし、これだけ広い土地ン中を動くとなると、そうそう巨人とエンカウントすることも無ぇだろうが、逆に言えば一度の遭遇で、前回並に損耗していたら話にならねぇってこった」
そのように言うのはデスドクロ。前回の襲撃と同規模――三十体以上もの武装サイクロプスと遭遇戦になることはまず無いとは思うが――
「巨人が我が身かわいさに逃げることが無ぇのは判明したし、不要な戦いは避けるか、最悪でもこちらが先手を取れる戦いをしていかねぇと、調査に影響が出ちまうだろ」
進路上に怠惰の巨人を発見すれば先制攻撃で極力素早く排除するのが望ましいという話だ。
ハンター達一行はけっこうな大所帯である。進路を変更し迂回するとなるとけっこうな時間のロスになってしまう。
「前のバトルで彼我の戦力差はほぼ確認できた以上、計算ずくの上で戦う戦わないを決めてえわな」
出来るなら戦闘は避けたいところだが、やるとなれば接近される前にカノン砲で潰す予定だ。
「範囲が広いしどの程度調べられるかねぇ。ま、俺たちは地上からやれるだけやってみようかね、と」
ハーニーは愛機ガルガリン『人形埴輪二号』に搭乗し、地上を行軍中。
以前に攻めて来た際の、敵が残した足跡を頼りに辿りつつ探索。
アーサーもCAMに搭乗し、地上部隊として行軍。
彼は巨人用装備の出元に加えて、発見出来れば製造・保管中の未確認装備も調べるつもりであった。
(マギア砦が狙いなら、攻城兵器があるのでは?)
それは大いにあり得る。マギア砦の壁を貫くには砲撃よりもパイルバンカーなどによる直接攻撃のほうが有効だ。
……さて、今回の調査は範囲が広いので、当たりを付けて行う。
武装巨人の通り道、製造・保管に関わる場所、武装巨人の存在そのものが候補。最初は、巨人の退路の痕跡――足跡を辿る。
痕跡が途絶え、空中からの観測でも手掛かりが掴めなくなった場合、林や岩場など空からは死角となる場所を中心に探るつもりだ。
工場が存在し、装備を製造しているならば、場所以外に材料が必要となる。
材料である鉱石の採掘場所の当たりを付けて調査――まあ、辺境北部地域にて製造を一から十まで行っているかは不明だが。
素材なり部品なりを工場へ輸送している可能性は高いわけで、その車両か……あるいは別の手段の痕跡を探せば良い。
そして製造された武装は野晒とは考え難い。必ず保管場所があるはずだ。洞窟のような天然の空間を利用するか、倉庫などを建築しているはずである。
また、武装した巨人を発見したならば、そこは活動範囲内であり、近くに工場なり倉庫なり基地なりが存在し得るので重点的に調べる。
水月もCAMに搭乗し、皆と同じように先の依頼で攻めてきた敵の行軍の痕跡を追跡中。
仲間との連絡用にトランシーバーと魔導スマートフォンを携行し、魔導スマートフォンは発見物の撮影にも使用。
行軍の行程と途中で得た情報はマッピングセットへ随時書き込んでゆく。地道な作業だが……とても重要だ。
「そっちでは何か見えましたかー?」
レベッカはCAMでの移動中、余裕があるタイミングを見て、ハッチを開けて風をコクピットに入れる。
「海でも陸でも風は立派な情報源さ。それはどこ行ったって変わんないよ」
風に火薬や鉄の臭いなどが混じっていたならば、風向きを確認し、空中部隊の幻獣に騎乗した仲間へ方角を伝える。
ゾファルは今回もその暴れん坊も熱意は全く健在で、故に偵察・調査などそっちのけで巨人どもにケンカ売る気満々。
ゆえに……偵察・調査を主とする仲間から「巨人どもに邪魔されないように陽動してくれ」と言われたため、そういうことになった模様。
……。…………。マギア砦を出立してから数時間が経過。平地を抜け、高低差のある地形が散見される荒地に入った。
そこで遭遇したのは武装をしていないオーガやトロル。
ゾファル機は倒せる敵から優先的に撃破。基本攪乱戦術に努める。
出発前に付近の地図は頭に叩き込んで地形を利用――と考えたが如何せん地図はすごく古いので参考程度にしかならなかった。
ゆえにレベッカ機、ほか地上部隊のCAMや魔導アーマーと連携し、速やかに始末。
それと、仲間の飛行部隊と連絡を密にとり、巨人たちの配置や分布には細心の注意を払い、間違っても自分側が包囲殲滅などされないように気を配る。
「ま、俺様ちゃんがやばくなったらレベッカちゃんには逃げてねくらいは言い含めておくさ」
長期間の任務になる可能性もあるため、覚醒回数は慎重に管理。無駄遣いはしないように腐心。
(まあ表向きは一所懸命やりすぎるのはだりぃからってことではあるが)
彩萌。魔導アーマーに搭乗し、地上部隊にて探索。積極的な戦闘は避けつつも敵と遭遇した場合は早期撃破を図る方針。
こちらも他と同じく敵の移動の痕跡、また、拠点可能性のある場所を発見したら重点敵に探索してゆく。
他メンバーとの連絡には電波状況に応じてトランシーバーと魔導スマートフォンを適宜切り替え。
相手との距離が遠い場合は【連結通話】を使用。
そして彼女は地上部隊の『目』として【マテリアルレーダー】を使用。
敵の探索を行い、敵を発見したら即座に他地上部隊、および飛行部隊に連絡し警戒を促した。
魔導トラック『はうんど』にて物資を輸送、ハンター辺境北部遠征部隊の補給を担うルネ。
「ちょうきょり行動をかくごして、『かくせい』は控えめ……。なるのはいざ戦闘を避けられない、戦力が足りない時だけね」
彼女も任務が長丁場になることを想定して覚醒回数を調整。
「むしろ、てきが居ない普通のうんてんのあいだは、かくせい、しないことも挑戦? 運搬やくだから、かくせいしない事で少しこそこそ出来るかもだしねー」
今回の任務の要といっても過言ではないルネの魔導トラックであるからして、地上部隊の後列に位置。
「CAMや上空のめんばーの少し後ろをついていきたいところねー」
カーミン自身はルネの魔導トラックに同乗。
相棒である刻令ゴーレム「Gnome」『ゲー太』は無限軌道による不整地踏破能力があるので追随命令にて自律行動中。
全体的な行軍速度を揃えるように仲間全員にお願いして、ナビを務める。
『ゲー太』は【レヴェリングモード】にて障害物除去やスロープ作成などを担当し、魔導トラックが安全に走行出来るよう、補助を行う。
『ゲー太』がルネの魔導トラックを先導する形だ。
なお、カーミンは仲間との通信には魔導スマホやイヤリング『エピキノニア』を用いる。
***
空中・幻獣部隊――。
旭は相棒のロジャックに騎乗し、北へ。
工場や集積拠点になりそうな要素に目星を付け、高度を取り、【鋭敏視覚】に頼りながら空から調査を行う。
工場向きの立地――広く平らな場所、工業用水・排水のための河川など。
輸送の痕跡――道の存在や深い足跡、轍など。
護衛の存在――武装した巨人の歩哨や巡回。
これらを基準に、空から地上を偵察する。
「それらしい施設が全然ないとしたら……ひょっとして、洞窟とか地下って線もあるのか?」
アルトも幻獣に騎乗し、他の幻獣と一緒の方々と空中部隊として行動。
調査地域の全体的な地図をマッピングセットを使って描く。
そして、林・岩・段差等、特徴的な地形や障害物、動くモノ、その他気になったものは魔導カメラで撮影していく。
地図と写真は番号等で結びつけ、休憩を取る際には地上部隊も含めて仲間内で共有する。
敵分布や移動方向等から拠点の推測など調査方針や移動経路などを話し合う。
ちなみに作成した地図は調査終了後、清書し依頼主……相川少尉へ渡すつもりである。
真も空中部隊として相棒に騎乗し、進む。
「探す目標は、工場や集落等の拠点かな。上手く見つかれば良いが……」
【飛翔の翼】で飛行し、上空から双眼鏡を使って俯瞰。巨人の進軍の痕跡……足跡や野営の跡、木が折れている場所などを探す――。
「カートゥルも、何か見えたら私に教えて欲しいな」
何か見付かったら行軍ルートを逆算し、仲間に伝え、全体の移動経路の参考に。
(基本は高度を上げて飛ぶが、見つからないようなら高度を下げてくまなく探したいところだ)
何かあれば仲間と逐一連絡を取り、イヤリング『エピキノニア』と魔導スマートフォン、通話状況の良いほうに適宜切り替え。
アリアは相棒の『リタ』に騎乗し、通常進軍速度を地上部隊と合わせる。
空からの偵察時には【飛翔の翼】を使用。
その際には飛行偵察部隊で、必ず二人以上で組むように、一人が偵察専念出来るよう、もう一人は敵からの攻撃警戒の役割分担の形を提案してみる。
偵察時はサイクロプス達、大型の相手が群れて進軍した痕跡……資材運ぶために切り拓かれた道などを探す。
敵に発見されないように高度を上げつつ、軍用双眼鏡で偵察しながら随時仲間と連絡を取る。
ニーロはワイバーンの『シャルラ』に騎乗し、飛行しての偵察を主とする。
「よろしくお願いしますね、シャルラ。移動は単独ではなく、仲間とも歩調を揃えて……アリアさんの提案通り二人一組が良さそうです。何か合った際にカバーし合えますし」
(墜落が一番の危険ですし)
偵察時は高度を上げ、軍用双眼鏡で地上を調査。気にするところは――
「物資そのものが屋外にあるとは思えませんし、格納している場所、倉庫があるでしょうか。何かを引きずったり多くの足跡、移動の跡などがあれば判りやすいのですが」
●
更に北上を続けるハンター辺境北部遠征部隊――。
これまでにオーガやトロルといった野良巨人との散発的な戦闘はあったが、然したる被害は無し。
武装サイクロプスの行軍跡は発見出来ているものの、未だ兵器工場、兵器倉庫、基地などに類する施設は見つかっていない……。
その武装サイクロプス自体とも遭遇していないので、敵の拠点があるとしてもまだ先になりそうだ。
地上部隊――。
兵庫は仲間と事前に協議し、調査任務を優先するために避けられる戦闘は極力避ける方針だったが、進路上を敵が塞いでいた場合など、どうしても避けられない場合には速やかに撃破。
出発から十時間近くが経過し、わりと長丁場になって来たのでハンター全員、ローテーションを組んできちんと休憩は取るようにしていた。
前述の通り、調査中に何度か敵と遭遇したのだが、それは野良巨人だったので味方機の火力と共に速やかに排除した。
デスドクロ機、基本陸路を進むが高台のような少し面倒な地形はフライトフレーム『ヴォラーレ』による【フライトシステム】を使用して飛び越える。
それから移動中は時折停止して、音による索敵も試みる。
「巨人が複数体動いていりゃ野生動物は息を潜めるだろうし、足音も聞こえるかも知れねぇ」
「武装して無いやつはさておき、武装した奴がいたら何かあるかもかねぇ? 適当にばらまいてるわけでもないだろうし」
ハーニーは戦闘に関し、積極的には行わないが、敵が仕掛けてくるようなら迎撃。
時間をかけて増援が来ても困る。ゆえに連携し速攻で倒すように心掛け……ていたのだが敵は野良巨人なので特に増援は無かった。
武装サイクロプスと遭遇した場合は付近には何かあるかも~と、重点捜索つもりであるが、今のところこれといった手掛かりは無し。
「この範囲をさくっと調べる手立てがありゃ一番なんだけどもねぇ。流石にそうは簡単にはいかないか……」
空中部隊とは逐次連絡を取り合い状況を確認。ハーニーも偵察任務が長期間になることを考慮し、覚醒回数や時間には気を付ける。
「敵が出れば戦いは避けたい所だけども、出会ってしまったらそうもいかないさねぇ。下手に逃して仲間を連れてこられたり、俺達の事を伝えられたりしても面倒だぞ、と」
アーサー、こちらも調査の長期化を想定し、行軍中は覚醒回数を温存する。覚醒は戦闘時のみ。
樹木や岩などを利用して機体を隠し、警戒する方向を限定する。
巨人が身を隠せるような岩場などには敵が潜んでいるものと考え、周辺警戒を密にして先に敵を発見しやり過ごそうとしていたが――
単独ならともかく、部隊を組んでの行動である。ゆえに、地上部隊・仲間のCAMと協力して野良巨人は先制攻撃で仕留めた。
水月も、調査の日程が不確定なのでスキルは温存しておく。覚醒も回数制限があるのでなるべく温存。
彼も皆と同じく戦闘は可能な限り回避したかったが、遭遇するのは進路を塞ぐ野良巨人ばかり。
それが武装サイクロプスだったらならば撤退に追い込み追跡したいところ。しかし……野良なので……。
皆と話し合い、迂回はせずに先制攻撃で仕留めていく方針とした。
***
空中部隊――。
旭は『ロジャック』に騎乗し、引き続き上空からの偵察中。他の飛行部隊メンバーや、地上部隊とも細かく情報交換を行う。
奇襲や遭遇戦――地上からの対空砲火でやられてしまわないように、仲間と相互フォローを出来る距離を維持・警戒に務める。
もし拠点や輸送隊を見つければ敵排除後、無傷の装備があれば【ファントムハンド】も使用して確保するつもりだったが、未だ発見には至らず。
「敵の装備を回収すれば加工の技術力? みたいなのとか、分かるもんもあるだろ」
前回交戦した武装サイクロプスの装備はほぼ回収し連合軍が解析中である。今回は未確認の装備が発見出来れば良いのだが……。
アルトも『ジュリア』に騎乗し飛行偵察を継続中。索敵に影響がない範囲で可能な限り高度を取る。
軍用双眼鏡を使用しての索敵を優先しつつ、周辺地形を魔導カメラで撮影しまくる。
その上、【鋭敏視覚】や【暗記】により可能な限り周囲を記憶し、地上に戻った際に地図へと反映させた。
アルトは飛行にも回数制限があることから必須時以外は順番での飛行偵察を提案。ローテーションを組むことに。
また、地上に居るときは【サバイバル知識】を使い、移動の痕跡などが無いか周辺を調査。頻繁に通信し、仲間内での情報共有を密にする。
真は他の飛行部隊メンバーと離れすぎない程度に距離を取りながら『カートゥル』と共に探索を行う。
(調査広範囲だから、少し危険でも効率を重視したいところだが……)
「……空を飛ぶ時は一人で気儘に飛びたいって気持ちもあるんだけどね」
敵が狙撃砲を所持していることに留意、遮蔽物が多い場所を飛ぶ時は狙撃を警戒する。
しかし、幸いと言って良いのかどうなのか、今のところ武装サイクロプスとは遭遇していない。
アリアも『リタ』に騎乗し、飛行中。基本は敵発見時、発見されないままならば一度撤退して、戦力を整えて攻勢に~と考えていたが――
前述の通り、未だ武装サイクロプスとは遭遇せず。危険を伴うが、調査目的としては早く見つけたいところだ。
奇襲を受け易い段差や進行の難しい場所は特に注意して偵察を行う。
……ローテーションで地上に居る際は、偵察で得た情報で周囲地形のマッピング。魔導スマホで撮影した現地の写真も添えておく。
ニーロは『シャルラ』の背に乗り、偵察行動。
「発見したものや道などを地上行動組に伝えられるように、ペイント弾を利用しようかと」
ペイント位置から北にどれくらい、などの使い方で悟られ難いように出来れば~と彼は考える。
非武装の野良巨人との戦闘は避けたかったが大抵の場合は地上部隊の進路上に居たため、仕方なく交戦。
ニーロは魔導銃『アクケルテ』にて属性弾を使用するつもりでいたが、遭遇した野良巨人は地上部隊がすぐ片付けてしまった。
***
飛行部隊よりアルト。
「大分陽が落ちてきた。夜間行軍は危険だし、無理をする必要も無いだろう。今日はここまでにして、野営といかないか」
との提案。……地上部隊も長時間の行軍で相応に疲労していたため、了承。ここをキャンプ地とする!
そんなわけでハンター達一行はルネの魔導トラックを基点に、キャンプを張り、野営をすることに。
ルネはかわゆい割烹着姿で率先して調理をする。やはり保存食などより温かい食べ物が一番だ。
とは言え、食料や水を初めとした全体の物資は節約。行軍の行程から帰還できる余裕は残す。
交代で食事を済ませた後、空中部隊は幻獣を休ませ、生身にて交代で警戒。
地上部隊は三交代制でCAMに搭乗し、警戒。
全員が交代で睡眠を取る……。
レベッカは自分の番の時はCAMのコクピットで、最低限のセンサー起動させて警戒に当たった。
そして辺境北部の夜が更けてゆく――。
***
夜明け頃、まだ辺りが暗い時間に、それは突如としてやって来た。
「全員起床! 全員起床! レーダーに反応がありました。位置と距離を伝えます。各自、警戒を厳にし、配置についてください」
彩萌の声で全員が目を覚まし、飛び起きる。
魔導アーマー「プラヴァー」『アイリスMk-3』の数度の【マテリアルレーダー】が接近してくる複数の反応を検知したのだ。
各CAMのコクピットから危険を知らせるアラートが響き、空中部隊メンバーの魔導スマホやらのアラームがけたたましく鳴る。
地上部隊はCAMに搭乗、空中部隊は騎乗し、一先ず待機。
レベッカも魔導型デュミナス『ゼーヴィント』に搭乗し即時起動。
「いくよ!」
ウイングフレーム『ゲファレナー・エンゲル』をマント形態で固定し、肩や背中の魔導エンジンから漏れる光を遮断。
彩萌機から「敵は武装したサイクロプス複数です。当たりを引きましたね」との通信。
レベッカは機体のカラー(黒/濃紺のツートン)を保護色にし、闇に紛れて一度離れ、敵陣側面へ回り込む。
センサーを頼りに側面から強襲を掛ける。敵前衛よりも後衛の攪乱と撃破を優先。
「いくら図体でかくたって見えないってのは怖いよね? 死にたくなきゃ逃げた方が得だよ!」
ゾファル機『ガルちゃん』は機動力重視カスタム。本来なら逃げ足確保のためだが、今はその速力で距離を詰める。
敵集団に向けて【アサルトダイブ】にて一気に突っ込み、【スキルリンカー】による【薙ぎ払い】で攪乱。
……その後は幻獣からの援護を受けたCAM部隊が武装サイクロプスの集団と交戦し、ほどなく撃破。
襲撃してきた武装サイクロプスは全部で十体だった。
巨人が残した武装は回収し、CAMに手伝って貰ってルネの魔導トラックに積み込む。
●
漸く武装サイクロプスという明確な手掛かりを得たハンター達は彩萌機を先頭とし、敵がやって来た方角へ移動中。
「仮に兵器工場があるとすりゃ、当然、巨人共もその周りに多くいるんじゃねぇかとな」
言ったのはコクピットのデスドクロ。
「帰還する場所、守る場所として、常日頃から機能し、動いているんなら痕跡が残る筈」
彼は物資の供給を考慮すると車輌の轍等もあるのではないかと考える。
(空はあまりに見つかりやすいんで輸送には使わねえだろうが……)
「こういった工場は特に恒常的に稼働しているだろうしな。ま、無かったら無かったって事実が分かるんで、無駄にゃならねぇだろ。焦らず調べようぜ」
先頭の彩萌機、複雑な地形では『地形判定プログラム』を活用し、行軍。
「開発の際にわたしが提案した機能が役立ちましたね。これは予想していたより、嬉しいですね」
――そしてついに、遠方に、巨人用兵器工場と思しき巨大建造物を発見!
だが敵も馬鹿では無く、周囲には既に多数の武装巨人が展開し、防衛体制を整えていた。
カーミンが工場内部へ潜入を試みる手筈となっているので、敵減らしと時間を稼ぐ必要がある。
まずは陽動のゾファル機とレベッカ機が前へ出る。
ゾファル機、彼女の戦闘スタイルは兎に角本人がやりたい事やる。という事で今回は陽動役に。
本人はそれが貧乏籤でもむしろ『危機=歓喜』位に思っている様なので問題無し。
二機で協力し、陽動戦で巨人達の警備網を引っ掻き回し、斬艦刀『雲山』を振り回す。
レベッカ機は機鎌『グガルアンナ』による近接格闘戦を仕掛ける。
突撃砲により牽制し、とことん格闘に持ち込む。尚、ウイングフレームは威嚇のために翼形態で固定。
***
兵庫機も戦闘開始。まずはデスドクロ機と共に200mm4連カノン砲による砲撃を(陽動班を巻き込まぬ様)敵陣に叩き込む。
「……敵がこちらの攻勢に怯んで退散してくれればいいのだが、そう上手くはいかぬよな」
距離が詰まるまでマシンガン『ラディーレン』とカノン砲による砲撃を続行。敵へダメージを蓄積させる。
敵が近付けば兵装を斬機刀『建御雷』に切り替え。近接格闘戦に移行する。
【スキルトレース】により【強撃】や【渾身撃】を使用。こちらに有利な状況を作る。
複数の敵が近付けば【スキルリンカー】による【薙ぎ払い】! 一度に複数の敵へ斬撃を喰らわせ、ダメージを与える。
ハーニー機は最初から近接格闘戦主体で戦闘。黒々としたキャノン(意味深)で牽制しつつ、機鎚『バタリングラム』による攻撃で足や顔を狙う。
【アクティブスラスター】により一気に距離を詰め、機鎚を上段から降り下ろし、瞬間、片手を離して錬機剣『YUKIMURA』から発する光の刃で下から抉り込む様に斬撃。一体撃破。
続いて【アグレッシブファング】を使用。近接威力を向上させ、強力な機鎚による一撃を打ち込む。
「囲んでさくっとやってしまいたい所だねぇ。時間をかけたくはないんだぞ、と」
アーサー機、こちらは陸空で連携を図り、注意を分散させ、遠距離から攻撃を仕掛ける。
突撃砲持ちや狙撃砲持ちの巨人を狙い、【プラズマシューター】と【高速演算】を使用。
よく狙いを付け、ロングレンジライフル『ルギートゥスD5』で狙撃を行う。
また、敵との距離を維持し、【マルチロックオン】も使用。同時に複数の敵を狙撃する。
数度攻撃後は移動。ターゲットにされない様に注意。
水月機はMライフル『イースクラW』により全力攻撃を行った後に、4連カノン砲へ切り替え、砲撃を行う。
前衛が奮戦している為、こちらは接近戦にはならなかった。引き続き砲撃を続ける。
敵が固まっている場合には【マテリアルライフル】による紫色の光線を放ち、射線上の敵へダメージを与える。
彩萌は戦闘に際し、【機導の徒】を発動。
「行きますよ、『アイリスMk-3』。速やかに異常を殲滅します」
魔導銃『アウクトル』で射撃し、牽制しつつ【スキルトレース】により【機導砲】及び【機導剣】を目標との距離により使い分け、攻撃。
相対している敵の武装に合わせ【スペルスラスター】によって距離を調節。
太刀を持っている敵からは間合いを離し、狙撃砲には間合いを詰め、対応。
散弾砲持ちは警戒し、接近せず、魔導銃による遠距離攻撃で対処する。
近接格闘戦の間合いに敵を捉えると、兵装をナックル『ラウムシュラーゲン』に切り替え。
「これがプラヴァーの、『アイリスMk-3』の力です。その身で味わいなさい」
味方の攻撃でボディアーマーが脆くなっていた部分を【スペルステーク】により打ち抜く。
「ステークで敵を撃ちぬく感触、予想よりも心地よいものですね」
異常の権化たる歪虚を屠る事で妖しい笑みを浮かべる彩萌。
***
空中部隊――。こちらは空から地上を攻撃中。
旭の『ロジャック』は【ファイアブレス】で味方を巻き込まぬ様にしつつ、援護。
吐き出された火炎弾は爆発し巨人達を焼く。
アルトは『ジュリア』に騎乗し、飛行中。
可能な限り敵巨人――目標とした個体頭上空に接近する。
その後に【空渡】を使用。落ちるかの様に騎乗解除し【踏鳴】で駆け下り。
【散華】により剛刀『大輪一文字』を打ち降ろし、真っ二つにするつもりで斬り抜ける――
真っ二つとまではいかなかったが瀕死に追い込む事には成功。
その後、【踏鳴】【散華】にて鋭い斬撃を見舞い、武装巨人一体にトドメを刺した。
尚、アルトが単独で攻撃している間、『ジュリア』は獣機銃『テメリダーV3』にて援護射撃。
真の『カートゥル』は遠距離から幻獣ミサイル『シンティッラ』による【プラズマバースト】を撃ち込み敵を怯ませ。
【サイドワインダー】を用いつつ、全力移動し、敵砲の間合いの内側に入り込み、対空砲火を避ける。
近付きながら【ソウルエッジ】を使用。魔導剣『カオスウィース』の間合いに入れば加速をつけつつ【剣心一如】【渾身撃】により、すれ違い様に斬り付け。
更に【納刀の構え】の返し刃を入れつつ、距離を取り反転、再び加速、【剣心一如】【渾身撃】をもう一度繰り出す。
少し敵との距離がある場合は【レイン・オブ・ライト】のチャージしたマテリアルを無数の光線として放出し、降り注がせ、対地攻撃。
敵の砲撃は【バレルロール】にて回避を試みる。
「その程度で、風を捉えられると思ったか!」
アリアは基本、『リタ』に騎乗し、飛行状態で戦闘。
地上部隊と動きを合わせ、対空砲火を掻い潜り、一気に敵との距離を詰める。
剣の間合いに入れば【円舞】から移動し【月魄】【祓月】――二刀が紡ぐ剣閃で、幻の三日月を幾重にも描く様に。
「さあ、幻月の舞踏を。手にしたに二刀を、閃かせて」
彼女が狙う敵の優先順位は『散弾砲>狙撃砲>突撃砲>近接』である。
狙撃による対空砲火は元より、散弾での面制圧を重点的に警戒。
敵の砲撃は可能な限り【バレルロール】で回避する。
「鉄火を手繰る巨兵……無粋ね。轟音は鳴らせばいい訳ではないのよ」
ニーロは『シャルラ』に騎乗し飛行中。しかし攻撃するのは主にニーロ自身だ。
「武装サイクロプスとの戦闘ですか、こちらの攻撃は防具の隙間を狙えればよいかと」
防具の解除を目的に、継ぎ目や留め具を狙い、スナイパーライフル『ルーナマーレ』で狙撃するも解除には至らず。
反撃の砲撃は緊急回避。再度狙撃。解除は失敗。隙間を狙ったり、留め具を狙い装備解除させるのはかなり難しい様だ。
「撃ち合いをしにきたわけではないので、素直に回避します」
(移動自体も真っ直ぐにせず、やや揺らすようにすれば向こうからの狙いは付けにくいでしょうか)
狙撃ではあまり効果が無いと判断し、魔導銃『アクケルテ』に持ち替え、再度攻撃態勢へ。
***
「肝心の武装きょじんは出来れば倒したいけど……今回は偵察がメインだし。ぶき倉庫か、もしくはせいぞう所……の証拠を見つけれれば個人的にはだいせいこー」
仲間が交戦している隙に大型建造物へ潜入を図るカーミンを魔導トラックで送り届けるべく運転するルネ。
「……と思ったらーまさかこんな大きいたてものが有るなんてー」
そうして、到着。停車。カーミンを降ろす。
「さくせん時間は5ふん。必ずもどってきて」
キリッとした表情のルネは敬礼。
「了解よ」
カーミンは返礼した後にダッシュ。ちなみにゴーレムは後方に待機させてある。
***
巨大建造物の間近までやって来たカーミン。見れば見る程巨大である。流石巨人サイズ。
【グラジオラス】で姿を隠し周りを見て回り、出入口らしき巨大な扉を発見。
【シンニンギア】や【空渡】を駆使してよじ登り、開けられないか探るも――残念ながら扉は電子ロックであり、シーブスツールでは無理だった。
「あ、これはダメだわ……」
そこにカーミンの言葉を聞いたデスドクロから通信。
「こっちは警備の巨人をほぼ撃破。工場らしき建物を見つけたってだけで上出来だ。増援が出て来る前にずらかるぜ」
続いてルネから。
「さくせん終了まであと1ふん。はやく!」
「く、ここまで来て……でもしょうがないわね。撤退! 臭い関係はまた今度!」
カーミンはダッシュでその場を後にし、ルネと合流。ルネは魔導トラックを爆走させて離脱した。
他ハンターの地上部隊、及び空中部隊も撤退を開始する。
***
約一日後――マギア砦に帰還したハンター達を相川少尉が出迎える。
「良くやってくれました、皆さん。お疲れ様です」
少尉はにこやかな笑顔でハンター達を労う。
「先に転送して貰ったデータはざっとですが見させて頂きました。随分と辺境北部のマッピングもして下さった様で感謝です。これで、こちらから攻勢を掛ける事が出来る様になりました」
少尉は「その際はまたハンターさん達の力を借りる事になりますね。その際は宜しくお願いします」と言った後、
「一先ず今は疲れを癒して下さい。本当にお疲れ様です。あなた方の働きはとても大きいですよ」
と、疲労困憊のハンター達へ賛辞を贈るのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談用スレッド デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013) 人間(リアルブルー)|34才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/05/11 10:02:42 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/08 21:10:20 |