イスルダ島駐留傭兵 待ち撃ちのCAM

マスター:柏木雄馬

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
6~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/11/05 07:30
完成日
2018/11/13 22:41

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 グラズヘイム王国西方沖に浮かぶイスルダ島── 長い間、歪虚の根拠地であったこの死の島は、解放から一年近くが経とうとしている今もなお、負のマテリアル汚染が各所に色濃く残っていた。
 負のマテリアルの強い場所には雑魔が多く出る。聖堂教会の聖人たちは人が安全に住める土地を広げるべく浄化を進めているが、それも度々雑魔に襲われながらとなれば遅々として進まない。
 故に、この島には王国軍が駐留している。その戦力はハルトフォート砦より分派された歩兵たちとVolcaniusの砲兵隊、そして、『傭兵』として雇い入れたハンターたちのCAMたちだ。
 彼らの役割は、巡回により開拓村の安全を守る事。……そして、聖人たちが無事に『仕事』をこなせるよう、浄化予定区域に徘徊する雑魔どもを駆逐し、再侵入を防ぐ事だ。


●『イスルダ島駐留傭兵 待ち撃ちのCAM──対歪虚待ち伏せ猟』

「島の内陸部に向け、土地の浄化は着実に進捗しております」
 島で唯一の大規模港──その『港湾都市』(という程の規模はまだないが)の丘上に立つ真新しい『庁舎』の開放感溢れる一室で。真っ白な円卓を囲んだ複数の男女が辛気臭い顔を突き合わせていた。
「『着実』……『着実』ね…… それはつまり『順調』と捉えてよいのかね? 予定よりも随分と遅れているが」
 役人たちの報告に、貴族と思しき中年男が卓に居並ぶ面々をジロリと見渡した。その場には役人以外に聖衣と軍服を着た者たちがいた。浄化を担当している教会関係者と、雑魔掃討を担う軍人たち──この議題の当事者たちだ。
「悪逆なる歪虚どもの穢れから神の土地を取り戻すべく、聖人たちは日々懸命に浄化を続けております。……しかし、それも軍の方々に雑魔を排除して頂けなければ」
 聖衣を纏った壮年の男が挙手をし、宣った。聖職者らしい滑らかな耳心地の良い声であったが、言葉の内容は多分に政治的なものだった。
「……もしよろしければ、聖堂戦士団をこの島に呼び寄せ、雑魔討伐の一翼を担いますが」
「いえ、それには及びません。……大変にありがたいお話ですが」
 聖衣の男の提案を、軍服姿の青年が即座に謝絶した。皆の視線が集中し、青年は内心で大きくたじろいだ。
(ホント、勘弁してくれよ……)
 青年は確かにこの会議における軍の代表者だった。しかし、彼はイスルダ島駐留部隊のお偉いさんというわけではなかった。タイムテーブルの遅れを叩かれるだけの会議に出席するという面倒事を押し付けられただけの、この島に着任したばかりの一部隊長に過ぎなかった。
 彼はかつてハルトフォートの兵站幕僚だった。そこで砲兵ゴーレムの開発に関わった彼は、将来、発足するVolcanius部隊を率いる人材を教育する為、王立学園へ出向した。その任期を終えて帰って来るや、今度は実戦部隊の隊長としてこのイスルダ島へ派遣された。Volcanius部隊の隊長として着任した彼は、だが、経歴を聞いた駐留部隊のお歴々に兵站業務の一部も丸投げされた。ついでにこの会議に出ることも。
(えぇい、なんだっていうんだ、あのテキトーを絵にかいた様なお偉いさんたちは! 一砲兵隊長に過ぎない僕がなんで教会と軍の縄張り争いにまで気を掛けなきゃならないんだ!)
 内心に嵐──それも後ろ向きな──を巻き起こしていると、貴族の中年男がずずいと身を乗り出して来た。
「説明したまえ。なぜ雑魔掃討が遅れているのか」
 圧が凄い。内心で冷や汗をかきながら、青年は眼鏡を指で押し上げた。
「はい。ご説明いたします。島内陸部における雑魔の掃討作戦が遅延している原因は、駐留部隊の戦力が二分されているからです」
 青年は立ち上がると、ボードに大きな地図を張り出した。そこには軍の部隊とハンターたちのユニット戦力の展開図が記されており……その内の少なくない数が、浄化がすんだはずの地域に未だ張り付いたままになっていることを示していた。
「ここ一、二か月の間、浄化が済んだはずの沿岸部に雑魔が度々発生しているのです。その対処の為、部隊を二つに分けざるをえない状況となっています」
 青年はそう言って二つの大きな事件を例に挙げた。一つは開拓村の港代わりに使われていた砂浜に居座っていた蛸の大群。もう一つは海岸近くの橋を渡る輸送体を襲ったトビウオたちのケースについて……
「雑魔は海からやって来ています。恐らく、遠浅の海か海岸のどこかに負のマテリアル溜まりみたいなものが残っているのでしょう。……流石に舟が必要な場所の浄化までは済んでいませんからね。『負のマテリアルの強い場所には雑魔が数多く出る』。これを何とかしない限り、我々は戦力を集中できません」

「……で、我々はこんな所で、雑魔に待ちぼうけを喰らわされているわけね」
 イスルダ島浄化地区。歪虚出現エリアのとある海岸── 巧みにカモフラージュを施し、林に隠れたドミニオンの操縦席で、駐留部隊に属するハンター『三人娘』隊のリーダー、リーナ・アンベールが半眼で呟いた。
 寄せては返す波の音。抜ける様に高い秋の空の下、深く広がる白いビーチの真ん中には……多数の木箱が一つ箇所に積み上げられている。
 それらの中には、それぞれ食糧やマテリアル鉱石等の物資が詰め込まれていた。いや、それだけではなく、中には馬を繋げたままの馬車や、魔導エンジンを掛けたままの魔導トラックなども含まれている。
「……アレを囮にして、海から歪虚を誘き寄せる、ですかぁ…… 上手くいきますかねぇ?」
「知るかよ。何かの会議に出ていたバカがでっち上げた作戦だろ? んなもんに付き合わされる俺らの身にも……」
 同じく『三人娘』隊、別々の場所に隠れたパウリーネとヴィルマの無線機越しの会話を、リーナは「シッ!」と遮った。
 海の中から、何かがヌッと顔を出した。
 それはとてもとても巨大な『顔』だった。縦長の巨大な顔に、窪んだ虚無の目鼻口── その巨大な人型のそれはのっそりきょろきょろと顔を振ると、這いつくばったような姿勢のまま、やたらと細くて長い手足を地面に突き立てる様にしながら、酷く緩慢な動きでゆっくりと砂浜へと上陸してきた。
「うわ、本当に来た……」
 更に、上陸してくる別の巨人──それら2体をリーナは『海坊主』と呼称することにした。
 その2体の『海坊主』の後に、『人の脚(しかも野郎)の生えたザリガニ』とでも言うしかない外観(しかも足が生えているのは胸部ではなく尾部なので上半身を二つ折りにしたような形態になる……)をした雑魔が多数、後続し、上陸して来る……
 リーナは機を待機状態にしたまま、操縦桿を握り締めて、待った。
 攻撃開始の合図を。

リプレイ本文

 時は少し遡り、接敵の数日前。囮作戦開始の初日── 作戦区域に到着したハンターたちは、実際の地形をその目で確認し、改めてブリーフィングを行った。
「まず人員を砲撃組と近接組に分ける。基本方針としては、西と南北の林に分散し、隠れて待機。囮の物資に惹かれて上陸して来た敵を十分に引きつけた後、一斉射撃を行う」
 囮の物資の集積所。乱雑に置かれた木箱をテーブル代わりに即席で描いた地図を広げて、ロニ・カルディス(ka0551)がそう言って皆を見渡した。
「ああ。各機の有効射程が重なる距離に敵が入ったのを見計らい、砲撃を集中して各個撃破、だったな?」
 それに応えて、地図上に彼我の動きを指でなぞって見せる近衛 惣助(ka0510)。頷いたロニが更に指で味方の動きを追加する。
「その砲撃に合わせ、近接組は敵への接近を開始。足止めや退路を塞ぎつつ、砲撃組との十字砲火で敵の撃破を狙う。どちらの組が主攻を担うかは臨機応変となるだろう」
「敵を逃がさず、可能な限りここで撃滅する── なるほど。方針は了解した」
「となれば、なるべく敵を引きずり込みたいところ…… 囮に喰いつくまで待つのですか?」
 頷くレイア・アローネ(ka4082)に続いて訊ねるハンス・ラインフェルト(ka6750)。ロニは冗談めかしながら頭を振る。
「いや、できれば囮の資材には被害が出ないよう配慮し、回収して再利用を図りたいな。待ち伏せ用の囮とは言えそれなりの量の物資だ。失ってしまえば当分の間、駐屯地の食事からおかずが一品、引かれてしまう」
「なるべく『囮』も無事に作戦を終えたいですね。みすみす物資を渡してしまうのも嫌ですし…… 生物に至っては尚の事、ですから」
 天央 観智(ka0896)が背後を振り返って言う。『囮』の中には魔導トラックの他、馬が繋がれたままの馬車まで用意されていた。少しでも歪虚が囮に喰いつく確率を上げる為の上層部の判断だったが、犠牲にしてしまうのも目覚めが悪い。
「では、砲戦ゴーレム部隊の長と砲撃組の皆はミグの所に集まってくれ。『連結通話』で繋げるからの」
 ブリーフィングの終盤、ミグ・ロマイヤー(ka0665)はそう言って後衛組を集めた。
「リーナちゃん、私たちもスマホアプリ繋げよ、アプリ」
 連結通話とは関係なしに三人娘たちとスマホを繋げるウーナ(ka1439)。なお、ミグはこの時、前線復帰を果たしたばかりの懐かしい顔と再会したのだが、ここでは省く。

 ブリーフィングを終えると、各員は割り当てに従って三方の林へ移動した。
「後でちゃーんっと洗ってやりますから、大人しくしやがるです」
「ホ~……(う~、気持ち悪いのだわ~……)」
 北の林では、機体にユニット用のギリースーツを被せる惣助とサクラ・エルフリード(ka2598)の後ろで、シレークス(ka0752)がポロウのカリブンクルスの羽毛に、カモフラージュの為に泥を手で塗りたくっていた。更に木々の枝葉を拾って生け花の様に挿してやり、同様の偽装を自分自身の肌や髪へも施していく。
 南では、魔動冒険機『アルカディア』(R7エクスシア)を駆る時音 ざくろ(ka1250)とミグが、林の中の凹凸と木々の陰に機体を隠していた。特にミグ機──更なる重砲化を進め、(色んな意味で)モンスターと化したダインスレイブ『ヤクト・バウ・PC』──はあまりにもデカすぎて、斜面の裏側に壕を掘り、ダグインの様な形でようやくその巨体を隠し終える。
 西ではロニが、清廉号──白を基調に、ハードポイントを増設して汎用性を拡張したカスタム機──に被せる為の、カモフラージュネットを作っていたが、ウーナはどうやら苦手、というか、あまりこのテの作業をやったことがないようだった。
(ウーナちゃん、操縦技術は凄いのに……どこかアンバランスな娘だよね……)
 そんなウーナを手伝い、教えながらリーナはそんなことを考える……
「……さて、機体を林に潜めて……待ち伏せ準備は完了ですか。皆さん、どこにいるのか、見て分かりませんね……」
 積み上げられた囮の物資の木箱の上に立ち、周囲をグルリと見渡して、観智は満足そうに呟いた。
 ざくろもまたコクコク頷き、キラキラとした決意と瞳で天を仰いで拳を突き上げた。
「島の浄化を進める為にも、歪虚や雑魔をもっと減らさなくちゃ…… この蒼き海、好きにはさせない! 海から上陸して来る歪虚の巨大怪獣たちをやっつけるよ!」

 ……だが、囮を用意したからと言ってすぐに歪虚が来るというものでもなく。歪虚のワの字も見ないまま、一日、また一日、と日は過ぎた。
 最初は気張って歪虚を待ち構えていたハンターたちも、こうも何事もない時間が続くと緊張感は落ちてくる。
「『囮の物資で海の歪虚を陸上へ吊り上げる』── これも一種の『釣り』ですかねぇ…… 全然『当たり』が来ねーですが」
 北の伏撃地点── グデッと地面に顎を落としたカリブンクルスのふわふわの背の上で、ボーッと空を見上げて、シレークス。コクピットの中で小声で歌を口ずさみながら見張りをしていたサクラが、相変わらず仲の良い事で、と微笑する。
 西と南の見張り当番はロニとざくろ。惣助は木の枝に足を掛けて逆さ吊りで筋トレを行い、ミグは軽く機体と武装のメンテ。ハンスは読書でリーナはスマホ。観智とレイアは囮の馬の餌やりと世話をしに行っている……

 状況に変化があったのはその最中。CAMのカメラを使って生真面目に見張りを続けるロニに対して、ざくろは双眼鏡を持って機の上に立ち、船の見張り員になったような心持ちで楽しみながら続けていたが、ふと砂浜の沖──海の中からこちらを窺う巨大な頭を視界に捉え、慌てて操縦席へ跳び戻った。
 無線で発せられた警告に、澱みの無い動きで戦闘態勢へと移行するハンターたち。観智とレイアの二人も急ぎ相棒の元へと駆け戻る。
「うわ、本当に来た……」
 ポツリと呟くリーナ。上陸して来る敵の描写は、OP本文に譲る。
「どうやら『ボウズ』(魚が一匹も釣れないこと)にはならずに済んだようじゃな。……しかし、以前はタコ坊主で今回が海坊主…… 敵はよほどの坊主好きか?」
 そんなことを呟きながら、ミグは『インジェクション』を使用し、己の生体マテリアルを機体へ注ぎ込んで装填速度と砲の速射性を限界いっぱいまで引き上げ、戦闘準備を完了させる。
「ようやくこいつを使える機会が来たな」
 惣助は操縦桿を握り、今回が初の実戦となる愛機を待機モードから復帰させた。ダインスレイブ『長光』──大型化・長砲身化した滑腔砲を備え、大型レドームと最新式魔導レーダーを増設とアビオニクスによって遠距離砲戦能力を向上させた特化型。反面、近接戦闘能力は大きく低下しているが、そも単騎での運用は想定していない。
「こちら近衛。戦闘準備よし。……待ちに待ったお客様のご来場だ。今回は砲撃機も多いことだし、派手な出迎えが出来そうだ」
「こちらも準備は整っています。いつでも合図をどうぞ?」
 ハンスの呼びかけに了解した旨答え、砲兵隊の青年隊長が双眼鏡を覗きながら片手を上げた。操縦席で唇をペロリと舐めながら「ステンバーイ、ステンバーイ……」と呟くウーナ。それは今にも飛び出したくなる自分に言い聞かせるような……
 やがて、2体の巨大な『海坊主』とそれに随伴する『有足ザリガニ』約20体が、ハンターたちの伏撃場所から単位距離130──囮から80の位置に達する。
「撃て!」
 瞬間、青年士官は号令と共にその手を振り下ろし。同時に、ハンターたちは一斉に攻撃を開始した。
 北側、林の中に隠れた2機のデュミナス──サクラ機とハンス機の背部マウントに装着されていた大型ミサイル『クリスマスツリー』に火が入り、白煙を噴き上げながら爆音と共に垂直に打ち上がって行き。北側の惣助機と西のロニ機がミサイル「ブリスクラ」を木々の間を抜ける様に斜め上方へと発射する。
 白煙を曳いて飛ぶミサイル群の下、砲撃組も一斉に射撃を開始した。
 南側、ハルダウン状態の機体からプラズマキャノン「アークスレイ」を敵集団へ向けて盛大にぶっ放すミグ機。砲撃の衝撃波に周囲の木々が揺れ、散らされた葉の一部が宙を舞う。
 西からはそれぞれウーナ機と観智機が。木々の間に膝射姿勢を取り、大型の長射程ライフルを単射していくウーナのオファニム『Re:AZ-L』。観智のデュミナス(射撃戦仕様機)はカモフラージュされた巨大なCAMシールドを地面に設置し、その陰から大型のプラズマキャノンを撃ち放つ。その砲身に纏うは紫電のオーラ──それは砲弾を二次加速させつつ光のマテリアルでコーティングし、属性を付与すると同時に威力と射程を向上させる。
 狙い過たずに先頭の海坊主を直撃する一斉砲撃。直後、白煙を曳きながらそこへと突入するミサイル群── 砲弾の炸裂に混じってプラズマ爆発が巻き起こり。それら全てを呑み込む様に、巨大なクリスマスツリー型の爆煙(+花火付き)が二つ、三つ、大爆発と共に湧き起る。
 奇襲は成功した。敵は無防備のまま一斉攻撃をまともに受け、海坊主たちこそ健在なものの、戦闘開始後わずか10秒で3体のザリガニを失った。
「今日は出し惜しみ無しだ。盛大にぶっ放せ!」
 更に武装を滑腔砲に切り替え、砲撃を続行する惣助。機体の照準用バイザーを下ろし、マテリアルを集中して更に射撃の制度を向上させ……その砲撃組の支援の下、突撃組も突撃を開始する。
「アウローラ、久しぶりの共闘だ。力を貸してくれ!」
 南の林の後ろに待機していたレイアが愛竜に戦闘開始の合図を出し。応じて、飛竜が滑走用に確保されていた空間を疾走し、大空へと舞い上がる。
「私たちの仕事を始めやがりますよ、カリブンクルスっ!」
「ホホ~ッ!(どいつもこいつも不味そうなのだわ!)」
 同様に北の林の後方からバタバタと飛び立っていくシレークス。それを苦笑交じりに見送ったサクラも得物を槍へと持ち替え、林を飛び出し。ハンス機は敵の退路を遮断するべく、まずは東へまっすぐ走る。
 西では、撃ち尽くしたミサイルランチャーをパージしたロニの清廉号が武装をビームキャノンに持ち替え、前進を開始。南の林から飛び出したざくろは「物資はやらせない!」と機体を真っ直ぐ北へと進ませ、物資と敵との間に入り込む。
「ここまでは割とうまくいった……ってことは、これから何かが起こるパターンかな……?」
「ちょ、どうしてこっちを見ながら言うかな」
 リーナのドミニオンを見やりながら、不安そうに、もう憐憫の情さえ込めて呟くウーナ。彼女自身は前進しない。今日の彼女は砲撃手だ。いつもの銃剣二丁拳銃も今日ばかりは出番はあるまい。

 ここに至ってようやく歪虚たちが襲撃に対応し始めた。
 大型船の汽笛の様な音(声?)を発する海坊主。直後、その顔の前に闇色の障壁の様なものが出現した。それは海坊主の姿を完全に覆い隠せる程の大きさの長方形の壁だった。
「周囲に散らばっていたザリガニたちが、障壁の陰に隠れる様に海坊主の後ろに隊列を組み始めてやがります」
 惣助から借りたトランシーバーを使って、地上の味方に報告するシレークス。それを聞いた惣助は、その敵の動きに歩戦協同を思い浮かべた。
「それで姿を隠したつもりかや? 小賢しい真似を」
 ミグはCAMの頭部カメラをズームさせて敵の防御障壁を見やると、照準をそれに同期させつつ引き金に指を掛けた。
「まずはあの障壁の性能がどれ程のものか確かめるのじゃ。端から端までつるべ撃ちにしてやれい」
 ミグの言葉に、三方の林の中から砲撃組の各機が闇の壁を狙って発砲した。最初は4機同時着弾の一点集中、次いで、広域同時着弾。更に速射性重視の釣瓶撃ち……
 結果── 通常弾による攻撃は、ただの一発も障壁を抜くことは出来なかった。
「何アレ、かった~い!」
「光属性でも抜けませんか……」
 壊し甲斐のあるおもちゃを見つけて笑うウーナ。観智はカメラをズームして障壁の表面に傷一つついていないことを確認し、ミグに告げる。
「どうやらあの壁の向こうに射線が通っていません。そういった概念的な魔法障壁なのかもしれませんね」
「R7の『ブラストハイロゥ』みたいなものということか。だとしたら通常の砲撃では埒が明かぬが……」
「だったら……!」
 二人の会話を聞いていたざくろが愛機を加速させた。敵と物資の間に機を割り込ませていたざくろはそのまま真正面から敵へと接近していた。その横には西の林から来たロニもいる。
(射線は通らなくても、視線は通っている。なら、範囲攻撃はあの障壁を抜けるはず……!)
「ロニさん!」
「応」
 城壁の如く迫る海坊主の障壁に迫りながら、ざくろとロニは攻撃態勢に入った。大型ビームキャノン「プリマーヤ」を腰溜めに構えながら背部のマジックエンハンサーを展開するロニ機。一方、ざくろも肩に留まった機械化怪鳥と共にカットイン演出(?)を挟みつつ、両腕を組んだアルカディアの『目』をキラリと光らせる。
「どんなに硬い障壁を持っていたって……! 食らえ、必殺『ハイパーアルカディアビーム』!」
 ざくろの雄叫びと共にアルカディアの目から放たれるマテリアルビーム。ロニもまた同様に大型砲からマテリアル粒子を収束させたビームを発射する。
 放たれた二つの光条は、一瞬の抵抗を経て障壁を貫通した。徹底した指向性を与えられたマテリアル粒子が海坊主を抜け、その背後のザリガニたちをも貫いていく。
「抜けやがりました! 背後まできっちり貫き通しやがったですよ! けど……」
 空から見下ろし、報告しながら、しかし、シレークスは小首を傾げた。……なんか普段と比べると、粒子量が少ないというか派手さに欠けるというか……
「……範囲攻撃は有効。じゃが、壁を抜ける間に威力が減衰する、と…… ふむ。中々面白い性能じゃワイ」
 技術者・研究者魂を疼かせるミグと観智。そんなこと言ってる場合じゃないんじゃ、と惣助が苦笑する。
「それでも、このまま撃ち続けるよ! 味方が側面に回り込むまで、あの盾を釘付けにするんだ……!」
 大型ライフルにリロードしつつ、障壁に向かって砲撃を続けるウーナ。その表情には焦りがあった。……嫌な予感がする。あの障壁を出させとかないと、何か良くない事が起きるような……
「シレークスさん、敵の詳しい位置を教えて! サクラさん、盾、貸りるよ!」
「はい?」
 ハンス機と共に敵隊列の北側へ回り込もうとしていたサクラが西を振り返った。こんなに離れているのに盾を貸してとは……
「構えて!」
「ッ!」
 ウーナはそのサクラ機に銃口を向けて発砲した。放たれた砲弾はとっさにサクラが翳した盾へと当たり……跳弾して海坊主の横っ腹を直撃した。

「なるほど、大物だな……」
 飛竜『アウローラ』を駆り、シレークスと共に大空を周回していたレイアが眼下の状況を見下ろし、呟いた。
 アレは早めに片を付けた方がいい── 他の近接組の皆が接敵するにはまだ早いタイミングだったが、レイアは意を決した。血色の魔導剣を抜き放ち、地上に並んだ二体の海坊主の内、先頭の個体へその剣先を向け、愛竜に降下の指示を出す。
 それを受け、アウローラは短く鳴き声を上げると、翼を翻して降下攻撃の態勢に入った。気付いたザリガニたちが、携帯電話の様に二つ折りになった上半身を起こし、両腕の『鋏』を空へと向けて迎撃の闇色光弾を連射し始めた。内、何体かは『人型の脚』で地を蹴り、蚤の様にぴょんぴょんと海坊主の背へ跳び渡り、そのまま対空砲座と化す。その猛烈な対空砲火に、レイアは舌を打って一旦、突撃を中止した。
(やはり一騎で突入するのは無理か……)
 旋回し、翼を羽ばたかせて高度を稼ぐ。──威力の程は知れないが、ザリガニの銃撃は速射性に優れている。
「あのザリガニ……(ザリガニ……?) アレにはあまり近寄らない方がよさそうですね。いえ、気持ち悪いからというわけではないですヨ……?」
 地上、北側── ウーナの跳弾射撃に協力しながら敵へと進むサクラ機の操縦席で、一糸乱れぬ動きで対空砲火を放つザリガニたち(有足。脛毛付き)を見やって、サクラが告げる。
「確かに、私の美意識とは相容れぬ敵ではありますが……とは言え、このままやり過ごすわけにはいきませんし……」
 ゴーン! とウーナの砲弾がサクラ機の盾に跳ねる音を聞きながら、ハンスは苦笑交じりの表情を引き締めた。行きます、とだけ短くサクラに告げて、機に獄門刀を引き抜かせつつ、海坊主の側面を衝くべく垂直に進路を変える。サクラもまたそれに続きながら、ハンスの突撃を支援する為、機銃槍──騎兵槍型の機関砲を居並ぶザリガニたちの隊列に向け、空薬莢をばら撒きながら撃ち捲った。
 その接近に気付き、一斉に闇色光弾を浴びせ掛けて来るザリガニたち。ハンスはフェイントを織り交ぜながら海坊主に斬り込もうとしたが、敵の弾数は余りに数が多かった。回避・防御行動を強いられ行き足が止まったハンス機を捉える銃火。幾発かが急所に入って機体を激しく振動させる……
「ブレストヒートレイ!」
 障壁を展開したまま、ただひたすらに前進を続ける海坊主の物資への接近を阻むべく、機体胸部の放熱板(?)から拡散ヒートレイ──扇状に放射される無数の赤白い灼熱光線を放つざくろ機をその場に残し。ロニはハンスの攻撃に呼応して挟撃態勢を整えるべく、敵隊列の南側へと回り込んだ。そしてそのまま大型砲を構え、南側から海坊主とザリガニたちへビームによる砲撃を加えていく。
 そこに機会を見出したレイアと飛竜が、そんなロニ機の頭上を通過しながら再び海坊主へと突入した。這うように地上を進む海坊主の背のザリガニたちから即座に放たれる対空砲火── レイアは鐙をグッと踏み込んでそれをバレルロールで回避させつつ、左手にも星神器「天羽羽斬」を抜き放つ。そのまま速度を落とさず海坊主の背の上へと低空進入。背の上に立つザリガニたちの間を飛び抜けつつ、魔力を乗せた両の刃を逆X字型に振り、左右のザリガニたちを刈り取る様に斬り払う。
 ザリガニたちの弾幕が四方に散った。それを受け、サクラは自身の射撃をハンス前面のザリガニたちへと集中させた。ただ闇雲に狙ったわけではない。先のざくろとロニのマテリアルビームでダメージを負った敵を優先して狙ったのだ。
 サクラの銃撃に、ザリガニたちの火力の壁に穴が空く。その隙間にハンスは己の機体を捻じ込ませた。アクティブスラスターを激しく噴射しつつ、同時に水が流れるが如き最小限の動きで弾幕を潜り抜けたハンス機が、目の前の海坊主の横腹に向けて袈裟斬り、目にも止まらぬ速さで逆袈裟に切り返す。
 獄門刀の鋸状の刃が海坊主の表皮を削り割る──はずであったが、予想とはまるで異なる『手応え』にハンスはハッと距離を取った。
 海坊主の身体の表面には、何かドロッとしたものが纏わりついていた。それはハンスの攻撃を受けてズルリと溶け落ちる様に地面に落ちると、砂浜に染み入る様に消えてしまった。


 砲撃組の潜んだ林から100の距離──『囮』から50の位置に海坊主が達した時。惣助の「火炎弾による支援要請」を受けたVolcanius隊が西の林から砲撃を開始した。
 海坊主前方の地面に着弾して激しく燃え盛る火炎弾。障壁にそれを防ぐ機能は無く、しかし、海坊主は構わずそれを踏み潰しながら前進し。だが、ザリガニたちはそうもいかずに炎を避けて左右へ広がり…… 壁の遮蔽から零れたそれらを、観智は1mmも機体を動かさずに(彼の得物は広射程砲──砲撃姿勢どころか砲口の向きすら変えずに、ある程度広い範囲を砲撃することができる)狙い撃ちにしていった。
「ッ! 敵に新たな動きが見受けられやがります! ……これは……ッ!?」
 上空からそれに気付いて警告を発するシレークス。それまで海坊主の背後に隠れていたザリガニたちが隊列を崩し、軛から解き放たれたように活き活きと左右へ展開し始めたのだ。それらは海坊主の周囲に展開していた突撃組のハンターたちを3体以上で各個に取り囲むような動きだった。そして、闇色光弾を連射してハンターたちの動きを阻害しつつ、鋏による接近戦を仕掛けてくる。
「どんなに沢山で来たってここは通さない! アルカディアビーム!」
 海坊主の巨体を跳び越え、広く距離を取って三方より迫るザリガニたちへデルタレイを放つざくろ。だが、敵は被弾も構わず闇色光弾を撃ち捲りながら距離を詰めて来る。
「近寄りたくないと言っているのに……!」
 機銃槍による銃撃を物ともせずに肉薄して来たザリガニの鋏を盾で受け。その個体に槍を突き入れ、振り払って投げ捨てながらスラスターの全力噴射で離れるサクラ機。ハンスもまた敵の攻撃をいなしつつ、一旦、海坊主から距離を取る。
「光よ!」
 ロニは自分の機体へ纏わりついて来た敵を『セイクリッドフラッシュ』で吹き飛ばすと、自身のマテリアルと機体を同調させて感覚を一体化。追い撃たれる闇色光弾による弾幕を『全て』受け躱しながらその場を離れ、その間に己のマテリアルを武装に注ぎ込んで装弾数を回復させて。尚も迫るザリガニたちへマテリアルレーザーによる光刃を宙へ走らせる。
「……っ! 近接組を援護する!」
 惣助はコンソールを叩いて徹甲榴弾に時限信管を設定すると、サブアームを操作してそれを両肩の砲へと装填させた。間髪入れず、味方を巻き込まない位置へとぶっ放し、味方に追い縋るザリガニたちを次々と空中炸裂した榴弾の破片で薙ぎ払う。
 そんな中、周囲に委細構わず前進を続けていた海坊主の障壁がヂヂッとぶれるように消失し、巨大な顔が西と南の林へと向けられた。
「やっと姿を見せおったな」
 ミグは舌なめずりをすると、ぶれることなく先頭の海坊主へと発砲した。ツインタワー改めプラネットキャノンと命名した巨砲から立て続けに砲弾を送り込む。
 観智もまたザリガニから海坊主へと目標を変更し、射撃を集中させた。生体マテリアルを機体に注ぎ込んで『プラズマシューター』の使用回数も補填する。障壁さえ無ければ光属性が有効であることは初撃の時点で確認済みだ。
 砲撃組の攻撃が先頭の海坊主へ集中する。奇襲時から集中攻撃を浴びせ掛けられていたその海坊主は遂にはその猛攻に耐え切れず、オオオ……と慟哭しながら砂浜の上へと崩れ落ちる。
 砲撃組の目標が2体目の海坊主へと変わった。やがて、集中砲火を喰らったその個体からも、ドロリと何かが剥げ落ちた。
「待って! 何か離れた!?」
「あれは…… スライムか? だとしたら厄介な相手と相場は決まってる!」
 対応を、と続けかけたウーナと惣助は、しかし、二の句を継げなかった。海坊主が虚ろな口を目いっぱいに大きく広げていたからだ。
 海坊主の反撃が放たれた。高音とも低音とも異なる何とも形容し難い不協和音が海坊主の『喉』──昏い虚無の奥底から西へと向かって放たれた。海坊主の『空間振動砲』──それはザリガニと格闘するざくろ機の傍らを飛び抜け、広い空間を薙ぎ払いながら西の森を直撃した。
 瞬間、砕け散る木々の枝葉と、リーナ機の四肢関節。「ああ、やっぱり!」と叫ぶウーナの機体も全身が軋みを上げ、頭部と左腕が同時に損壊する。
 その間に、砂の上に落ちた『スライム』の姿は消えていた。その行方を気にしていたのは、無線機越しに状況を聞いていたサクラだった。
(スライム……? もしかして、さっきハンスさんが見たっていう……? どうやら酸性ではなさそうなので(服的な意味で)変な攻撃は持ってなさそうですが…… 違う意味で厄介な能力はあるかもですね……)
 サクラはザリガニたちと渡り合いつつ、シレークスに呼び掛けた。事情を聞いたシレークスはすぐに愛鳥に索敵の指示を出した。
「どんなに上手く隠れたってうちのカリブンクルスの目から逃れることは……」
 そう言って海坊主上空──対空砲火はレイアに斬り捨てられてもう殆ど残っていなかった──を通過するシレークス。『見つけるホー』を使ったカリブンクルスが、慌てて索敵結果を『伝えるホー』で主に伝える。
 共感化する脳内イメージに、地中を移動する何かが感じ取れた。それらは、囮の物資やVolcanius隊──正のマテリアルが多く存在している西へと進み……
「ざくろ!」
「え!?」
 その道中、3体目のザリガニにトドメを刺したざくろ機の足下より染み出し、その脚部を呑み込んだ。直後、ざくろ機のマテリアルエンジンの出力が急低下し、機体が一時停止する。
「ちょ、アルカディア!? どうしたの?! 動け、動いてよ!」
 ガチャガチャと操縦桿を動かすざくろ。そこへ海坊主が振動砲をぶちかました。まともに喰らって倒れるざくろ機。その傍らを構わず進行していく海坊主。スライムは空間振動砲を喰らってもまったくの無傷だった。再び地中へと戻ったそれは今度は囮の魔導トラックに襲い掛かる。
 そして、最初に砂中に潜った方のスライムは……既に西の林へ到達していた。
「なにこれ……ちょっと、やめてよ! べたべたするぅ!?」
 大破したリーナ機を抱えて海坊主の射線から逃れるべく移動していたウーナ機を(リーナ機ごと)呑み込むスライム。
「私のラジエルがなんかスライム塗れでえっちぃ感じに! って上級者過ぎるんですけど!」
「放しちゃだめよ、ウーナちゃん。こいつをVolcanius隊の所に行かせるわけにはいかない」
「うわ~ん!」
 泣きながらウーナは機に今回は出番が無いと思っていた銃剣拳銃を取り出させ、正のマテリアルを吸い取られつつ粘性体をこそぎ落とす……

 Volcanius隊が撒き散らした炎の帳を踏み越え、囮から距離30の距離まで迫った海坊主を、南の林のミグ機が遂に距離80──徹甲貫通弾を用いた連続砲撃の射程圏へと捉えた。
「貴様はキルゾーンに入った。ほーれ、とっておきを馳走してくれるわ!」
 ミグは操縦桿を操作して、長大な砲身を胴体に据え付けた肩部アーマーの上へと据えた。同時に両の滑腔砲へ同時に特殊弾頭を装填し、通常に倍する速さで交互にそれを放ち始める。
 その攻撃は、ほぼ横腹を見せていた海坊主を強かにぶん殴った。徹甲弾は海坊主の硬い表皮を容易く貫通し、その肉体に深く楔を打ち込んだ。雄叫びを上げた海坊主から南へ放たれる振動砲。舞い散り、舞い上がる枝葉と枯れ葉。軋む機体に構わずミグは砲撃を続行した。砲撃と同時に空薬莢を吐き出す砲備へ次々と次弾を装填しては、つるべ撃ちにぶっ放す。
 更に反対側から惣助機が放った砲撃が海坊主を直撃し、西からは観智の被光弾がその身体を貫いた。『インジェクション』の全てをつぎ込んだ観智の属性弾は、海坊主の弱点をついて途切れる事を知らない。
 たたらを踏みながら北の林へ振動砲を放った海坊主が、遂に防御障壁を展開しつつにじる様に後退に移った。その姿は歪虚たちに『動揺』をもたらした。
 既に近接組によって多くが討ち取られていたザリガニたちも我先に逃走を始め。「逃がしはしない。ここで仕留める!」と惣助が「ラズムナジェーニ」──20連装ミサイルランチャーから誘導弾を撃ち放つ。
 蒼空を走る幾条もの白煙の下、逃げるザリガニたちを砲撃で追い撃つロニ機。サクラもまた反撃へと転じ、ハンスはいよいよ敵の退路を断つべく東へと疾走する。
 機体を軋ませながら立ち上がるざくろ機。魔導トラックのマテリアルを啜っていたスライムが敗勢に気付いて砂へと潜る。ウーナ機を襲ったオレンジスライムは、だが、逆にウーナ機に掴まれて何度も何度も銃剣を突き入れられて、消えていく。
 レイアとシレークスの傍らを飛んで行った惣助のミサイル群が更に子ミサイルをばら撒いて。まるで投網を掛けるように砂浜へと降り注いだ。クラスター爆弾の如く満遍なく着弾した無数の弾頭群がザリガニたちを吹き飛ばす。
「そう簡単に逃がす訳がねーですよっ!!」
「ホホ~~~~っ!(ぶちかましてやるのだわ~~~!)」
 逃げるザリガニの真上から、全体重を掛けて圧し潰すカリブンクルス。砂塵に紛れ逃げようとする敵も、シレークスが指示を出して追い詰めていく……
「逃がしはしないよ…… 鎧をとかす心の歌声──『アルカディアヴォイス』!」
 後退する海坊主の前には、左右両翼に『ブラストハイロゥ』を展開したざくろ機が立ちはだかった。ボロボロの機体が片腕で勇者パースを決めて機剣を展開しつつ、機体をぶつけるように海坊主へ密着させ、『マーキスソング』のオーラで気迫と雄叫びと共に敵のマテリアルを押し退け、敵の防御性能を低下させる。
「みんな……今だ!」
 ざくろの叫びに呼応したサクラが突撃し、速度と機体の質量ごと騎兵槍を敵へと突き入れた。その傍ら、敵へと肉薄したハンス機が削る獄門刀の二連撃。レイアはその上空から逆落としに降下すると、敵の背の上で急制動。眼前の巨大な後頭部に二刀による斬撃に続いて放つオーラの斬撃……だが、レイアの攻撃は留まるところを知らず、更に得物に付与した魔力を解放して放たれた一撃が追い討ちに放たれて──
 そこへ更に砲撃組のつるべ撃ちを浴びせられ…… 遂に力尽きた海坊主は最後に砂浜に崩れ落ちた。


 戦闘は終結した。敵はただ1体のオレンジスライムを除いてその全てが撃破された。
 駐留部隊の手によって回収される物資(被害は魔導トラックだけだった)を見やりながら、惣助は心中に呟いた。
(しかし、また海産物の襲撃か…… 海に囲まれてる以上、仕方ないが、早いとこ原因を割り出し、根本的な対処をしないとな……)

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 双璧の盾
    近衛 惣助(ka0510
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    ナガミツ
    長光(ka0510unit004
    ユニット|CAM
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • ユニットアイコン
    セイレンゴウ
    清廉号(ka0551unit003
    ユニット|CAM
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    ヤクトバウプラネットカノーネ
    ヤクト・バウ・PC(ka0665unit008
    ユニット|CAM
  • 流浪の剛力修道女
    シレークス(ka0752
    ドワーフ|20才|女性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    カリブンクルス
    カリブンクルス(ka0752unit004
    ユニット|幻獣
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • ユニットアイコン
    マドウガタデュミナス
    魔導型デュミナス射撃戦仕様(ka0896unit003
    ユニット|CAM
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    マジカルボウケンキアルカディア
    魔動冒険機『アルカディア』(ka1250unit002
    ユニット|CAM
  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    ラジエル
    Re:AZ-L(ka1439unit003
    ユニット|CAM
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • ユニットアイコン
    マドウガタデュミナス
    魔導型デュミナス(ka2598unit001
    ユニット|CAM
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    アウローラ
    アウローラ(ka4082unit001
    ユニット|幻獣
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • ユニットアイコン
    マドウガタデュミナス
    魔導型デュミナス(ka6750unit003
    ユニット|CAM

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
シレークス(ka0752
ドワーフ|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/11/05 00:21:04
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/11/04 14:28:16