ゲスト
(ka0000)
【操縁】duello
マスター:風亜智疾

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/12/22 09:00
- 完成日
- 2019/01/04 01:34
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「クソッ……!」
面白くない面白くないつまらないのはダイキライなのに!
偶然見かけたズタボロの男を駒として拾って、教祖サマに仕立てて煽りに煽った。
なのに嫉妬に塗れたソイツよりも、もーっと沢山の嫉妬に溺れたいい獲物を手に入れようと、殺風景な墓石と崩れ落ちた所をステキな舞台にして待ってたのに!
つまんないつまんない面白くナイ!!
「アイツら……ハンターのせいだっ。せっかくボクの楽しい計画ガ台無し!!」
嫉妬に溺れた足の悪いあの女が、もっと沢山嫉妬を生み出してばらまいてくれると思ったのに。
全部全部ゼンブゼンブぜーんぶ!!!
「クソッ!!!」
足元に転がる石を力いっぱい蹴り飛ばす。怒りの籠ったその勢いで飛ばされた石は、僅か離れた場所に立つ木を貫通していった。
けれど、そんなこと彼には関係ないし、興味もない。
髪によって隠されていた左目はまだ完璧には治っていない。その前に負傷した左腕は動くようなった。
負傷の治療が遅いのは、本来それに回すべき力をそれ以外に使い続けたから。
手に入れようとした新しい駒のために、色々と仕掛けてみたが全てハンターによって台無しにされる始末。
でも、それももうこれまでだ。
駒にして可愛がってあげようと思っていた絵本作家は、ハンターたちのせいで自分自身を、身の内にある嫉妬すら悪いものではないのだと受け入れてしまった。
新しく駒にしてやろうと思えるようなエモノも、早々見つけられるものでもない。
面白くないつまらない退屈はダイキライ退屈はダレのせいつまらないは誰のセイ面白くないは――。
「責任取ってモラウよ、ハンターども」
ニタリ、そこでようやくジャルージーの口角が歪に引き上げられる。
「ボクから面白いモノを取り上げて、ツマラナクしてくれた罪。退屈を与えた罰……」
――しっかりと 味わえ 苦しめ そして 滅茶苦茶に ズタズタに 壊れてしまえ――
■
小さな村だった。
とても小さな村で、生活はほぼ自給自足。
手紙すら不定期にしか来ないこの村では連絡手段として鳩が一羽飼われていて、その鳩に手紙を託して一番近い街にある商店とやり取りをしている。
端から端まで歩いたって疲れ果てないし、村で唯一ある収穫祭は、村の中央に立つ果実の木が実った頃に、全員で楽しく狩るくらい。
人数は大人子供含めて40人程度。本当に、小さな村だった。
「キャハハハハハハハハ!! ハハハハハッ、キャハハハハッハハハハハ!!!」
紅蓮の炎が木々を、家を、人を焼く。
村の道だったはずの石畳が人のような形を取ったかと思うと、まるで果物を潰すように人をぐしゃりと潰していく。
家の一部だったはずの石が鋭い牙を持った獣のような姿になった瞬間、その家に住んでいた人をぐちゃりと噛み砕いていく。
中央の木の前で、金の髪を持つ西洋人形のように美しいそれが、似遣わぬ憎悪に塗れた顔でけたたましく嗤っていた。
「ネーェ? 痛イ? クルしい?」
まだ虫の息のあった男の前髪を力任せに掴み上げて、それはこてんと首を傾げてみせる。
「ァ……スケ……」
男が命乞いの言葉を紡ごうとした瞬間、それは眦を吊り上げて男の頭を地面に叩きつけた。
「ソーイウの、ボク聞いてナイんだよ!」
ガン!
蹴り飛ばされた男は、そのまま燃え盛る家に激突する。同時に崩れ落ちる家を、それは見ることもない。
人間の血に塗れた足跡を残しながら、それは嗤う。
だってこれは退屈しのぎ。面白くない目に合わせたハンターが悪い。
そして今、最高に、ではないけれどまぁまぁ愉しんでいる。だから別に問題はないだろう。
「やだああ!おがあざっ」ぐしゃり。
「イヤアァァァァッガッ」ぶしゃり。
小さな村だった。
とても小さな村で、生活はほぼ自給自足。
血飛沫の雨と至る所に散乱した人『だった』だろう欠片。
恐らく残ったのは自分だけだろう。
人の悲鳴が止んでいる。人の形をした人形たちが動く音と、獣の形をしたものの唸り声と足音と。
びちゃり、びちゃりと土砂降りの雨の中を歩いているかのような足音が、自分を追い詰める為に近づいている。
左足は膝から下がぺしゃんこに潰され、左腕は肩口から引きちぎられた。
右足は足首から下が見当たらず、辛うじて右腕と胴が無事で、息をして動いている自分は果たしてまだ人間と呼んでもらえるだろうか。
嗚呼、利き手が無事でよかった。鳩が殺されていなくてよかった。辿り着けてよかった。僅かな時間が残されていてよかった。
これ以上、この村で悲鳴が上がらなくてよかった。自分で、最後だ。
失血のあまりに霞む視界と震える手で、血で汚れた羊皮紙を引き寄せる。
羽ペンは運よく転がったインク壺の傍に落ちていたし、落ちるまで浸けられていたのかすぐに使える状態だ。
「もーういーいカーイ?」
嗚呼、這いずり上がったせいで残った自分の血の跡を辿って、死神がやって来る。
まだだよ。あと少しでいい、もう少しでいい。
今出来る限りの力でペンを紙の上に引きずるようにして文字を綴る。
いや、もう文字ですらないかもしれない。
賢い鳩は、己の仕事なのだろうと男に寄って来た。最後の力を振り絞り、鳩の足に片手で何とか羊皮紙を結びつける。
開け放たれた窓から飛び立つ鳩を見送って、男は祈る。
どうか自分で本当に最後になりますようにと。どうか自分の村だけで、この惨劇が止まりますようにと。
どうか、どうか。
もう、いいy「みぃつけタ」ぐしゃり。
■
バルトロはただでさえ厳つい表情を更に恐ろしいものに代えていた。
手にした資料はもう握りつぶされていて、新しいものを持ってこないと解読は難しいだろう。
「村が一つ、消えた」
とある商店に鳩によって届けられた手紙には、こう書かれていたらしい。
『嗤い声 金の髪 動く石の人1 石の獣2 村燃えた 皆死んだ』
余程切迫した状況でだった上に、それを書いた人物は負傷していたのだろう。
羊皮紙に綴られた言葉はほとんどが単語の上、至る所が血で汚れていたそうだ。
ただ事ではないと商店の人間がオフィスに駆け込み事態が発覚。それが昨日の夜遅くのこと。
「嗤い声、金の髪、動く石の人、石の獣。これだけ情報がありゃ、分かるやつは分かるだろ」
長く波打つ金糸と、深い緑の目。ビスクドールのような愛らしさに不釣り合いな残忍さとけたたましい嗤い声。
無機物を操り、主にゴーレム作成を主体とする、嫉妬の歪虚。
「敵の名はエミーリオ。嫉妬の歪虚で、今回ゴーレムたちを操りつつ自らも手を下し……村人全員を惨殺した」
事態は急を要する。退屈を嫌い飽きっぽい嫉妬の歪虚が、破壊しつくした村にいつまでもいるとは限らないのだ。
「今まで以上に危険に晒される任務になるだろう。十分に十分を重ね尽くして、出発してくれ」
そして、願わくば今度こそ。
――あの嗤うジャルージーと、完全なる決着を――
リプレイ本文
――舞台の幕引き、相成るか。
■ジャルージーは嗤わない
煙燻る全滅した村で相対した敵を目に、一瞬全員が息を呑んだ。
「やぁ、待ってタヨ、ハンター」
嫉妬の緑。金の髪。そこまでは同じだった。
ただ一つ違う事。それは――嗤い。
彼は口角をにたりと引き上げてはいるが、あの耳障りな嗤い声をあげてはいなかった。
その姿が異常にしか見えなかった。
「……ねぇ、カーバンクル。絶対に今日で終わらせようね」
自分の契約精霊に語りかけるようにして、ルスティロ・イストワール(ka0252)が小さく呟く。
村の惨劇に胸を痛めているのは、全員同じだ。早くこの戦いに、終止符を打たなければ。
その言葉と同時に、全員が行動を開始した。
「ハンターが全ての人間を救えるわけないじゃない。思ったよりもずっと低能な歪虚だったのね」
遠くから、光の雨が降り注ぐ。
それは後方、マリィア・バルデス(ka5848)からの弾丸の雨だ。
エミーリオは口角を上げたまま遠方の彼女をちらりと見やるだけ。行動が阻害された様子はない。
「邪魔はさせません」
続いて放たれたのはレイレリア・リナークシス(ka3872)のグラビティフォール。
マリィアとレイレリアの攻撃によって移動を阻害され動きを止めたのはゴーレムのみ。
やはりエミーリオはちらりとそちらを流し見ただけで無言のままだ。
いつもとは違うその様子が、例えどういう意味を持つのだとしても。
もう火蓋は切って落とされたのだ。
鳳城 錬介(ka6053)が素早く祈りを捧げ、付与したアンチボディを確認し、神代 誠一(ka2086)は相棒のクィーロ・ヴェリル(ka4122)と共に走り出す。
目標はゴーレム。足を止めている今だからこそ、早期に撃破してしまわなければならない。
土埃と燻る煙、ゴーレムへ向かうのは鞍馬 真(ka5819)も同じだ。
「……斬る」
あまりの村の惨状に内心では目の前が赤く染まるほど怒りに震えそうだが、そうなってしまえばエミーリオのペースに飲まれると知っている。
だからこそ平常心を。
とにかく眼前のゴーレムたちから排除してしまおう。
一方、直感視を利用し、エミーリオを射線上に捉えたのは浅緋 零(ka4710)だ。
仲間たちが動きを止めたゴーレムたちへと攻撃を開始したのを確認すると、符弓を引き絞る。
「約束……通り。お前を、何度でも……射貫いてあげる」
無表情の鬼の赤子の挑発と、マテリアルを利用し加速した矢が放たれたその瞬間。
――エミーリオが、動いた。
「キミたちはサ、ボクを何だと思っテルんだろうネ」
緑の目のその奥。煮え滾る嫉妬が捕えるのは、目を見開いた零。
射た矢は確かにエミーリオへダメージを与えていた。
しかし、見る限りそれが重傷のようには到底見えない。
それどころか、ダメージは想像より軽すぎる気がする。
「ボクはエミーリオ。名を持つ歪虚。そこら辺の雑魚雑魔と一緒にサレたら……」
翻される手。
「いけないっ」
ルスティロの魔法の矢を払いのけるように防御して、エミーリオは嗤う。嗤う。
「堪らナイよね?」
金糸が揺れる。硬化された手が、振り下ろされる。その状況はまるでスローモーションのように、全員の目に映る。
咄嗟に庇うように弓を前に構えた零を嘲笑うように、エミーリオの手はいとも簡単に零の体を深く斬り裂いた。
■マイナスの誤算
思い出せ。思い出せ思い出せ。
全員が必死に脳内で状況と情報を整理している。
エミーリオが過去に本気で戦ったことは――ない。
エミーリオの盾石を破壊出来たのは何故だった――相手の不意を突いたから。
エミーリオにダメージを与えられたのは何故だった――相手の予想外の攻撃を仕掛けたから。
全てエミーリオが油断した、予想していなかった行動を取ったときのみ、彼に決定的なダメージを与えられたのではなかったか?
いや、それ以前に彼は今まで『駒』ばかりを動かして、自らが初手から戦闘に加わることは滅多になかった。
眺めて、疲弊したハンター相手に揶揄うように攻撃を加えたことはあるが、今回はどうだ。
相手は《村一つを滅ぼせる》歪虚だ。その彼が、本気でここに立っている。
「浅緋さんっ!」
崩れ落ちる零に向かって、錬介が咄嗟に使ったのはリザレクション。
正面から斬りかかられた零から零れ落ちた血の量が、ただ負傷を癒すだけの術式では間に合わないと語っていたのだ。
全員の背筋に、氷の塊が落とされるような。そんな錯覚。
くるりと振り返り、エミーリオはその目に侮蔑を込めながら初めてけたたましい声を上げて嗤った。
「キャハハハハハッ!! ハハハハハハハハハッ!」
ひとしきり笑って、歪虚はすっとその嗤い声を止めた。
「サァ……踊レよ、ハンター」
■プラスの誤算
ただひとつ、ハンターたちにとってプラスの誤算があった。
それは、ゴーレムに対しての足止めがいとも簡単に行えたことだ。
「人を害するものは全て滅する。それ以外に何のお題目が必要かしら」
遠くから降り注ぐマリィアの弾丸の雨のおかげで行動が阻害されたゴーレムが出来ることは、移動だけ。
それはただの動く的であることと同じだ。
「ゴーレムに構っている暇はありませんので、殲滅させて頂きます」
エミーリオを巻き込むように、レイレリアの投げ上げた緑色の符が稲妻となり敵上へ落ちる。
ひらりとその場で踊るように回避したエミーリオとは違い、ゴーレムにはダメージが与えられた。
前衛はその隙を見逃さない。
一気に加速した誠一が射光で貫いたその傷口に更にダメージを与えるよう、クィーロの太刀がゴーレムを斬り裂く。
石で出来たそれはバラバラに崩れ落ちる。
あと2体。
真が対していたゴーレムは、彼の連撃で同じくバラバラに崩れ落ちた。
あと1体。
瞬時の判断。エミーリオの視線から外れた零がけほりと小さく息を吐き出した後、一気に間合いを取るべく別の遮蔽物へと移動を開始した。
それを確認した錬介は空を駆ける準備を整え終わったルスティロへと視線を向ける。
アンチボディを付与されたルスティロはぐっと足に力を込めた。
「いくよカーバンクル。一緒に空を駆けよう!」
柘榴石のような光をルスティロの両脚が纏い、一気に空想の道を駆けあがる。
エミーリオの上部を取って、そこから魔法の矢雨を降り注ぐ。
エミーリオは真上にいるルスティロを眺めたまま、何一つ動かない。
ルスティロの攻撃を敢えて受けるように被弾しつつ、その足が素早く動いた。
――キンッ!
甲高く澄んだ、何かが壊れる音と、零れ落ちる破片たち。
「……目障りダヨ。その灯り」
壊されたのは、ルスティロが身に着けていた水晶球。壊したのはエミーリオが蹴り上げた石だ。
例え道具だとしても、その強度はハンターが持つのだ、それほど軟ではない。
それを貫通し破壊したそれは、事前情報として得ていたエミーリオの攻撃の一種。
『切石《アトゥ》』と呼ばれるものだろう。
だが、ルスティロの攻撃はエミーリオだけでなく残りの1体のゴーレムへも向けられていた。
全てのゴーレムが粉々に崩れ落ち、その場の舞台に立つのはハンターたちと嫉妬の歪虚だけになる。
■御挨拶
眺めるようにハンターたちを見やった後、マリィアの弾丸の雨をまるで緞帳のように感じながら。
エミーリオは服の裾を持ち上げて仰々しく挨拶をしてみせる。
「改めマシテ、ボクの舞台へヨウコソ。ボクの名前はエミーリオ。雑魔でもない。増産されるような歪虚兵でもない……」
顔を上げて凶悪に嗤うその顔に浮かぶのは――自分に対する絶対の自信。
「名を持つ、嫉妬の歪虚として……お前タチを、ここで壊すヨ」
■違和感
初撃を受けて、零は直感視を利用しつつ遮蔽物から遮蔽物へと絶え間なく動く。
捕えられたら不利。否、不利どころではない。
あの時自分が受けた一撃は、確かに自分の命を零すようなものだった。
髪に飾られたバレッタに、親友の彼女を思う。
ここで負けるわけにはいかない。絶対に、いかないのだから。
前衛が一気にエミーリオへと駆け込む中、上空を取る事でルスティロは確かに有利を取った。
いち早くその動きを確認して、レイレリアへと声をかける。
「レイレリアさん!」
エミーリオが手を叩くのと同時に、レイレリアが放ったカウンターマジックが作動する。
集まりかけた瓦礫がぴたりと動きを止めたのを確認して、面倒臭そうにエミーリオが目を眇めた。
「お得意の行動は封じさせていただきました。好き勝手はさせません」
「あぁソウ。ご自由ニ?」
真正面から斬りかかってきた真を見やって爪先でを叩く。
範囲に含まれていた真と誠一、クィーロがその太腿を、腹部を、深く斬り裂かれていく。
前衛との一瞬の視線のやり取りで、錬介は回復ではなく闇の刃を生み出しエミーリオを狙う。
跳ねのけられた闇の刃に、全員が違和感を感じつつ、誠一とクィーロがポーションをあおる。
態と切石の範囲に入りつつ背面から零がマテリアルで加速させた矢を放つ。
エミーリオの腕を裂いた零の矢に目を眇めながらも、歪虚は嗤っていた。
「まだまだこれからデショ? もっと踊れヨ、ハンター」
■収集
時に戦闘しながら情報を得ることもある。
それは、多種多様な攻撃を仕掛けることで得られるものであったり、自身が攻撃を食らうことで得られるものであったり様々だが。
戦場を盤上に。普段と違った怨敵だとしても、それは絶対零度の炎と共に、冷静に状況整理されていく。
誠一は小さく息を吐く。
(レリアのカウンターマジックは発動した。つまりそれは、《アニマーレ》が魔法スキルだったということ)
そして。
(その後に繰り出した《スピーナ》。移動せずに《アニマーレ》を使った後にあのスキルを使用したということは、アニマーレの発動には移動が犠牲になるんだろう)
ちらりと相棒から向けられた視線に視線で応を返し、クィーロが正面からエミーリオへと斬りかかる。
ゴーレム相手の時はそれほど火力がなく、スキル幅もそれほどないと見せかけていたクィーロの実力を、エミーリオは正確には把握していない。
そそり立った『盾石《スクード》』が、甲高い音を立ててクィーロの太刀を弾き返す。
反撃が来るかと構えたクィーロに対して何も攻撃を返さないエミーリオに、情報は確実性を増していく。
(解除して《アトゥ》を打って来ない。なら《スピーナ》と《アトゥ》は同時には撃てない)
最大の攻撃手段だろう貫通スキルを使わなかった。つまりそれは、攻撃タイミングが今ではないということ。
誠一はそこでようやく笑った。
凶悪に、挑発的に。普段の彼からは想像も出来ないような顔で。
「さぁ、始めるか」
■混戦
マリィアが降らせる弾丸は、足を止めることは出来ない。ならばと切り替えて通常射撃へと切り替えた。
「歪虚にとってはどんな射撃も豆鉄砲でしょうよ。でも全員から攻撃を受け続けているのよ? 私のスキルが切れる頃には消滅してるんじゃないかしらね」
挑発的な言葉に苛立ちを覚えても、遠距離から攻撃を仕掛けてくるマリィアに対してエミーリオは攻撃する手段がない。
「その程度? 大したこと無いね」
正面からスキルを乗せ全力で斬りかかる真に対して、盾石を発動させ防御するエミーリオが頭上を見上げる。
上空には未だルスティロがいた。
盾石を崩したのを確認した瞬間、ルスティロは笑う。
「必ず僕を狙いにくると思っていたさ。今だよ、カーバンクル!」
立ち位置をずらし、一気に柘榴の尾をエミーリオへと伸ばし拘束を狙った。
舌打ち一つし後方へと回避したエミーリオのその背後から、マテリアルの力を込められた強力な矢が襲い掛かる。
腹部を裂いたその攻撃の元は――背後を取っていた零のものだ。
「お前っ……!」
マリィアの弾丸によるかすり傷に加え、零の放った矢で受けた腹部の裂傷。
どんどん苛立ちを募らせていく歪虚の視線の端に、ひらりと白いものが翻った。
恐らくそれは咄嗟。恐らくそれは――怨恨。
勢いよく振り返った先には、スキルを使用し加速して自身に接近していた誠一。
「お前ええええエエエエ!!!」
それは何よりも早い、回避も防御も許さない攻撃だった。
勢いをつけて蹴られた石は、正しく空気を切り。そのまま――誠一の右胸部を貫いた。
思わず絶句しそうになりながら、倒れ込む誠一へと駆け寄って錬介がリザレクションを施す。
今にも勢いのままに誠一を追いかけそうなエミーリオを食い止めるべく、クィーロが反撃を食らうのを覚悟で割り込んでいく。
(俺たちはあまりにもエミーリオを軽く見過ぎていた……!?)
咳き込みつつ意識を取り戻した誠一を横目に確認しつつ、錬介は僅かに焦りを感じていた。
回復が、圧倒的に足りない。
エミーリオが特別視しているだろう零と誠一には、もう既にリザレクションを使用してしまった。
それはつまり、次命に関わる攻撃を二人が受けた場合、蘇生することが出来ないということだ。
前衛を援護するように交わされるレイレリアの呪符を使った雷は避けられてしまう。
唯一ここまででエミーリオに打撃を与えているのは、零の矢とマリィアの通常射撃のみ。
前衛は盾石と嗤石で攻撃が届かない上に、ダメージを与えられている。
このままではいけない。駄目だ。何か――。
ふと、一つの可能性に気付き、錬介は青褪めた。
(今までエミーリオが仕掛けている攻撃は、その力全てが魔法によるもの。だとしたら……?)
ハンターでも得手不得手がある。
近接が得意な者。射撃が得意な者。そして、魔法が得意な者。
そして――魔法に関するスキルが、ほぼ力を発揮しない。それはつまり。つまり?
「……エミーリオは、魔法に特化した歪虚……!」
意識を取り戻し動き始めた誠一が、最後に大きく息を吸い込み体の動きを確認する。
「ご明察。流石錬介」
ゆらり、立ち上がった誠一が武器を確認しながら声をかける。
「錬介、真を回復してやってくれ。そこからが――反撃開始だ」
真は自分の怪我が癒えていくのを感じていた。
簡易術式で編み上げらえたのは大きな負傷をも癒す暖かい光。
錬介の術式が自分に向いた。
そして、現段階でこちらの攻撃があまり通ってない事実。
「根暗野郎が偉そうにがなるなよ。耳障り過ぎてうっかりその残ったビー玉すら潰したくなるだろ?」
「斬り裂かレテそれだけ言えればもう十分ダロ。いい加減ドケよ!」
攻撃を受けつつも、獰猛な笑みを浮かべて挑発を続けるクィーロ。
苛立ちを募らせるエミーリオが手を鳴らしても。
「させません。何度でも打ち消してみせましょう」
レイレリアが放つカウンターマジックが新たなゴーレムを作ることを許さない。
遠距離からのマリィアの弾丸がエミーリオの盾石で弾かれる。
振り返るエミーリオを先読みして、上空のルスティロが魔法の矢を放ちつつ零へと指示を出す。
それに従って立ち位置を変えていく零が、その先から矢を放つ。
「君に舞台は回せない。僕たちは、君に扱えるような役者じゃない。描くのは僕らだ。そして君は、退場するただの道化師さ!」
「ああモウ! 邪魔ナンダヨ!!」
盾を解除し、上空のルスティロへと礫の弾丸が飛ぶ。
飛行前にかけられたアンチボディのおかげで重体は回避したが、飛行が困難になったルスティロがよろめくように地に降りる。
傷の癒えた誠一が相棒と合流しようとしているのを確認して。
真は、切り札を発動させる。
■断絶のオペレッタ
機械仕掛けの杖が、強い光を放つ。
それは、選ばれた者だけが手に出来る「大精霊」の力をインストールされた神の器。
『星神器「カ・ディンギル」』その秘められた断りは「断絶」。
解き放たれたそれは、真の強い意志を込められた光と共に、理解と認識を歪める結界を展開していく。
『ヤルダバオート』と呼ばれるそれは、カ・ディンギルを持つにふさわしいものだけが使用出来る特別な大魔法だ。
「例え、お前が魔法に特化した歪虚だとしても……!」
クィーロによって足止めされたエミーリオには、真が展開する大魔法を阻止することが出来ない。
よしんば切石で貫こうとも、もうエミーリオは結界の中に捕えられている。
「誰も、死なせはしない……!」
「お前らアァァァ……!!」
ジャルージーは嫉妬と怨嗟から表情を歪めるしかない。
そうして展開された大魔法の結界は、エミーリオの戦力を確実に削っていくこととなる。
■宣言
「人を虐殺した歪虚にかける情はないわね。お前の番が来ただけなのだから」
恨んで嫉んでみっともなく命乞いでもしながら消滅すればいい。
遠距離から届く声と弾丸。それを見に受けてエミーリオは呻く。
「もっとも。消えたお前のことなんてすぐに誰からも忘れられるだろうけど」
「ウルサイんだよ! 遠くカラ!」
マリィアの挑発に罵声しか返せないエミーリオの眼前に迫るのは、羽ばたく双翼。
「てめぇ程度で千切れる程俺たちの翼はやわじゃねぇんだよ! 三下が!」
獰猛に嗤うクィーロの言葉の直後にレイレリアが放つ雷が落ちる。
初めてそれが直撃し、エミーリオが一歩後退した。
その隙を見逃さず、後方からは零の矢が。側面からはルスティロの魔法の矢が飛ぶ。
零の矢をギリギリで回避した直後、ルスティロの魔矢がエミーリオの左腕を貫いた。
「クソっ! クソがァ!!」
駄々っ子のように、嫉妬に狂う人の子のように、嗤石で範囲に捉えたメンバー全員へとダメージを与えるが、それも軽減されたものばかり。
「よぉ、エミーリオ」
獰猛な笑みの男が、そこにいた。
繰り返し見せた様々な武器での攻撃や、心臓を指す挑発。目潰し。腰に結わえた約束のリボン。
受けた攻撃も仕掛けた攻撃も全部が全部、今日この日の為の布石だと知ったら。
あの緑の瞳も屈辱に染まるのか。
誠一は知っている。自身をゲーマーだと言って憚らぬ、彼だからこそ分かる。
「思い描いた筋書きを途中で上書きされるようにぶち壊されるのは、屈辱だよなァ?」
自身は愉悦しかない。あぁ、愉快だ。これは一種の陶酔。悦楽、快感といってもいい。
相手が支配していたつもりの盤上を、一気にひっくり返してやるその瞬間。
誠一一人ならそれは、分の悪い賭けだっただろう。
だがここには、長い間共にこの敵と戦ってきた仲間がいる。
かけがえのない、相棒がいる。
「残念だったなァ。下手な博打は好きじゃねぇんだ」
緑の目が、ギラギラと憎しみに濡れているのが愉快でたまらない。
相棒と並び立ち、獰猛に笑んだ誠一が言い放つ。
「虎に翼。双翼ここに在りってな」
「それじゃあこの陳腐な悪夢の幕引きと洒落込もうか」
■死闘と
神器から剣へと持ち替えた真が二人を追い越しエミーリオへと斬りかかる。
聳え立つ盾石に向かって、スキルで上乗せした力を込めた初撃。
今まで何の綻びも罅も入らなかった盾石に、切れ目が入った。
大魔法による結界は確実に効いている。
「まだ、まだっ!」
二撃。崩れ始める盾石の向こう、顔を歪めるジャルージーを捉える。
「何度でも……斬ってやるよ!」
盾石が土くれに戻るのと同時に、飛び出したエミーリオが『硬石』で硬質化させた腕で真を斬り裂く。
痛みを受けようが、真には確固たる意志があった。
(こいつが引き起こす悲劇は、ここで全て終わらせる!)
膝を付く真を包むのは錬介の回復術式。深手の傷でも癒すその光は暖かく彼を包む。
そんな真の両肩に、何かが触れた気がしたのは気のせいだろうか。
入れ替わるようにエミーリオへと立ち塞がる双翼を見て、真だけでなく、その場にいた誰もが確信する。
――この戦闘の、勝利を。
■最期の一撃
「雑魚相手にもちまちまやんのかい? 随分お優しいこった」
削られた体力と疲労は歪虚にもあるのだろう。
今を。今を待っていたのだと。射光の軌跡と同調し飛ぶようにエミーリオの直前に立った誠一が手を上げた。
するり、と。ジャルージーの右目いっぱいに映り込むと、陶磁の肌を撫でるようにして深く深く笑む。
負傷は癒えても、血の跡は消えない。血濡れた男の瞳の奥に快感が隠されているのを見て取ったエミーリオは、一瞬息を呑んだ。
「……ヴェラちゃん、残念だったなァ?」
「……煩いんダヨ! いい加減っ……消えろ、ハンター!!」
渾身の。恐らく最期の一撃となるエミーリオの嗤石に、双翼は獰猛に笑った。
盤面は見事引っくり返る。
「そよ風だと思ったか? 残念だった、俺は暴風なんだよ! この陳腐な三文芝居もこれで終劇だ! 失せろ!」
攻めの構えから、エミーリオの嗤石を身に受けつつ命を削るクィーロの反撃の一撃と。
「塵ひとつ残すことすら許さない。この世のすべてから消え失せろ」
青白い軌跡を伴った、正しくエミーリオを灰燼と化す誠一の一撃と。
「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
エミーリオの執念か、嗤石の一部が誠一の腹部。約束の標に一番近い部位を深く深く貫いたのは。
同時のことだった。
■終幕
誠一には既にリザレクションは使ってしまっている。
意識が混濁したこの状態を完全に回復させる術はない。
それでも、流れ出る赤い命の軌跡を食い止めるために、錬介は術式を施し続ける。
傷の深さが変わらなくとも。流れる命を繋ぎとめるために。
そして。その眼前。
崩れ落ち、割れ落ちた陶器の人形のような歪虚がいた。
もう命はなくなるだろう。塵ひとつ残らず、消え失せるだろう。
朦朧とした意識の中、それでも誠一は細い息を吐きつつ呟く。
「俺が、クィーロを無二の相棒にしたのには、理由があるんだよ。――屈辱に身を焦がし、世のすべてから、消え失せろ」
その言葉に、割れ落ちたジャルージーはひび割れた唇で嗤う。
「知らないヨ、バァカ。……落ちるとイーネ? ソレ……」
サラサラと、崩れ落ちた歪虚が塵になって消えていく。
燻る煙と血の匂いを乗せた風が、塵を散らしていく。
嫉妬の歪虚。嘲笑うジャルージー、エミーリオは。
跡形もなく、掻き消えた。
■そして
手早く、可能な限りの遺体を埋葬し、祈るレイレリアと錬介。
同じく埋葬した後、中央に残った大木に触れ、目を瞑り黙祷する零。
一方真は、手紙の送り主の痕跡を辿った。
だがそこには、遺体の欠片ひとつ残っていない。恐らくはゴーレムによって――。
残された血の跡に手を添えて、真は口を開いた。
「……あなたの勇気ある行動が、更なる悲劇を防いだんだ。ありがとう」
命を繋ぎ止めた誠一は眠りについたままだが、呼吸は整っている。あとはしっかり休めば大丈夫だろう。
その誠一をクィーロが背負い、後ろから支えるようにして、零がそっと背を支える。
全員が集まり、失われた命へと黙とうを捧げた後。
そっと、零が言葉を紡いだ。
「……帰ろう。ヴェラが、待ってる……」
それはいつかと同じ言葉。
けれどそれは、今度こそ舞台の終幕なのだという想いが込められた言葉。
各々が頷き、村を背に歩き出す。
金糸のジャルージー、エミーリオ撃破。
誠一の腰元、彼の血で赤く染め上げられた標は、それでも確かに約束の標としてそこにあった。
END
■ジャルージーは嗤わない
煙燻る全滅した村で相対した敵を目に、一瞬全員が息を呑んだ。
「やぁ、待ってタヨ、ハンター」
嫉妬の緑。金の髪。そこまでは同じだった。
ただ一つ違う事。それは――嗤い。
彼は口角をにたりと引き上げてはいるが、あの耳障りな嗤い声をあげてはいなかった。
その姿が異常にしか見えなかった。
「……ねぇ、カーバンクル。絶対に今日で終わらせようね」
自分の契約精霊に語りかけるようにして、ルスティロ・イストワール(ka0252)が小さく呟く。
村の惨劇に胸を痛めているのは、全員同じだ。早くこの戦いに、終止符を打たなければ。
その言葉と同時に、全員が行動を開始した。
「ハンターが全ての人間を救えるわけないじゃない。思ったよりもずっと低能な歪虚だったのね」
遠くから、光の雨が降り注ぐ。
それは後方、マリィア・バルデス(ka5848)からの弾丸の雨だ。
エミーリオは口角を上げたまま遠方の彼女をちらりと見やるだけ。行動が阻害された様子はない。
「邪魔はさせません」
続いて放たれたのはレイレリア・リナークシス(ka3872)のグラビティフォール。
マリィアとレイレリアの攻撃によって移動を阻害され動きを止めたのはゴーレムのみ。
やはりエミーリオはちらりとそちらを流し見ただけで無言のままだ。
いつもとは違うその様子が、例えどういう意味を持つのだとしても。
もう火蓋は切って落とされたのだ。
鳳城 錬介(ka6053)が素早く祈りを捧げ、付与したアンチボディを確認し、神代 誠一(ka2086)は相棒のクィーロ・ヴェリル(ka4122)と共に走り出す。
目標はゴーレム。足を止めている今だからこそ、早期に撃破してしまわなければならない。
土埃と燻る煙、ゴーレムへ向かうのは鞍馬 真(ka5819)も同じだ。
「……斬る」
あまりの村の惨状に内心では目の前が赤く染まるほど怒りに震えそうだが、そうなってしまえばエミーリオのペースに飲まれると知っている。
だからこそ平常心を。
とにかく眼前のゴーレムたちから排除してしまおう。
一方、直感視を利用し、エミーリオを射線上に捉えたのは浅緋 零(ka4710)だ。
仲間たちが動きを止めたゴーレムたちへと攻撃を開始したのを確認すると、符弓を引き絞る。
「約束……通り。お前を、何度でも……射貫いてあげる」
無表情の鬼の赤子の挑発と、マテリアルを利用し加速した矢が放たれたその瞬間。
――エミーリオが、動いた。
「キミたちはサ、ボクを何だと思っテルんだろうネ」
緑の目のその奥。煮え滾る嫉妬が捕えるのは、目を見開いた零。
射た矢は確かにエミーリオへダメージを与えていた。
しかし、見る限りそれが重傷のようには到底見えない。
それどころか、ダメージは想像より軽すぎる気がする。
「ボクはエミーリオ。名を持つ歪虚。そこら辺の雑魚雑魔と一緒にサレたら……」
翻される手。
「いけないっ」
ルスティロの魔法の矢を払いのけるように防御して、エミーリオは嗤う。嗤う。
「堪らナイよね?」
金糸が揺れる。硬化された手が、振り下ろされる。その状況はまるでスローモーションのように、全員の目に映る。
咄嗟に庇うように弓を前に構えた零を嘲笑うように、エミーリオの手はいとも簡単に零の体を深く斬り裂いた。
■マイナスの誤算
思い出せ。思い出せ思い出せ。
全員が必死に脳内で状況と情報を整理している。
エミーリオが過去に本気で戦ったことは――ない。
エミーリオの盾石を破壊出来たのは何故だった――相手の不意を突いたから。
エミーリオにダメージを与えられたのは何故だった――相手の予想外の攻撃を仕掛けたから。
全てエミーリオが油断した、予想していなかった行動を取ったときのみ、彼に決定的なダメージを与えられたのではなかったか?
いや、それ以前に彼は今まで『駒』ばかりを動かして、自らが初手から戦闘に加わることは滅多になかった。
眺めて、疲弊したハンター相手に揶揄うように攻撃を加えたことはあるが、今回はどうだ。
相手は《村一つを滅ぼせる》歪虚だ。その彼が、本気でここに立っている。
「浅緋さんっ!」
崩れ落ちる零に向かって、錬介が咄嗟に使ったのはリザレクション。
正面から斬りかかられた零から零れ落ちた血の量が、ただ負傷を癒すだけの術式では間に合わないと語っていたのだ。
全員の背筋に、氷の塊が落とされるような。そんな錯覚。
くるりと振り返り、エミーリオはその目に侮蔑を込めながら初めてけたたましい声を上げて嗤った。
「キャハハハハハッ!! ハハハハハハハハハッ!」
ひとしきり笑って、歪虚はすっとその嗤い声を止めた。
「サァ……踊レよ、ハンター」
■プラスの誤算
ただひとつ、ハンターたちにとってプラスの誤算があった。
それは、ゴーレムに対しての足止めがいとも簡単に行えたことだ。
「人を害するものは全て滅する。それ以外に何のお題目が必要かしら」
遠くから降り注ぐマリィアの弾丸の雨のおかげで行動が阻害されたゴーレムが出来ることは、移動だけ。
それはただの動く的であることと同じだ。
「ゴーレムに構っている暇はありませんので、殲滅させて頂きます」
エミーリオを巻き込むように、レイレリアの投げ上げた緑色の符が稲妻となり敵上へ落ちる。
ひらりとその場で踊るように回避したエミーリオとは違い、ゴーレムにはダメージが与えられた。
前衛はその隙を見逃さない。
一気に加速した誠一が射光で貫いたその傷口に更にダメージを与えるよう、クィーロの太刀がゴーレムを斬り裂く。
石で出来たそれはバラバラに崩れ落ちる。
あと2体。
真が対していたゴーレムは、彼の連撃で同じくバラバラに崩れ落ちた。
あと1体。
瞬時の判断。エミーリオの視線から外れた零がけほりと小さく息を吐き出した後、一気に間合いを取るべく別の遮蔽物へと移動を開始した。
それを確認した錬介は空を駆ける準備を整え終わったルスティロへと視線を向ける。
アンチボディを付与されたルスティロはぐっと足に力を込めた。
「いくよカーバンクル。一緒に空を駆けよう!」
柘榴石のような光をルスティロの両脚が纏い、一気に空想の道を駆けあがる。
エミーリオの上部を取って、そこから魔法の矢雨を降り注ぐ。
エミーリオは真上にいるルスティロを眺めたまま、何一つ動かない。
ルスティロの攻撃を敢えて受けるように被弾しつつ、その足が素早く動いた。
――キンッ!
甲高く澄んだ、何かが壊れる音と、零れ落ちる破片たち。
「……目障りダヨ。その灯り」
壊されたのは、ルスティロが身に着けていた水晶球。壊したのはエミーリオが蹴り上げた石だ。
例え道具だとしても、その強度はハンターが持つのだ、それほど軟ではない。
それを貫通し破壊したそれは、事前情報として得ていたエミーリオの攻撃の一種。
『切石《アトゥ》』と呼ばれるものだろう。
だが、ルスティロの攻撃はエミーリオだけでなく残りの1体のゴーレムへも向けられていた。
全てのゴーレムが粉々に崩れ落ち、その場の舞台に立つのはハンターたちと嫉妬の歪虚だけになる。
■御挨拶
眺めるようにハンターたちを見やった後、マリィアの弾丸の雨をまるで緞帳のように感じながら。
エミーリオは服の裾を持ち上げて仰々しく挨拶をしてみせる。
「改めマシテ、ボクの舞台へヨウコソ。ボクの名前はエミーリオ。雑魔でもない。増産されるような歪虚兵でもない……」
顔を上げて凶悪に嗤うその顔に浮かぶのは――自分に対する絶対の自信。
「名を持つ、嫉妬の歪虚として……お前タチを、ここで壊すヨ」
■違和感
初撃を受けて、零は直感視を利用しつつ遮蔽物から遮蔽物へと絶え間なく動く。
捕えられたら不利。否、不利どころではない。
あの時自分が受けた一撃は、確かに自分の命を零すようなものだった。
髪に飾られたバレッタに、親友の彼女を思う。
ここで負けるわけにはいかない。絶対に、いかないのだから。
前衛が一気にエミーリオへと駆け込む中、上空を取る事でルスティロは確かに有利を取った。
いち早くその動きを確認して、レイレリアへと声をかける。
「レイレリアさん!」
エミーリオが手を叩くのと同時に、レイレリアが放ったカウンターマジックが作動する。
集まりかけた瓦礫がぴたりと動きを止めたのを確認して、面倒臭そうにエミーリオが目を眇めた。
「お得意の行動は封じさせていただきました。好き勝手はさせません」
「あぁソウ。ご自由ニ?」
真正面から斬りかかってきた真を見やって爪先でを叩く。
範囲に含まれていた真と誠一、クィーロがその太腿を、腹部を、深く斬り裂かれていく。
前衛との一瞬の視線のやり取りで、錬介は回復ではなく闇の刃を生み出しエミーリオを狙う。
跳ねのけられた闇の刃に、全員が違和感を感じつつ、誠一とクィーロがポーションをあおる。
態と切石の範囲に入りつつ背面から零がマテリアルで加速させた矢を放つ。
エミーリオの腕を裂いた零の矢に目を眇めながらも、歪虚は嗤っていた。
「まだまだこれからデショ? もっと踊れヨ、ハンター」
■収集
時に戦闘しながら情報を得ることもある。
それは、多種多様な攻撃を仕掛けることで得られるものであったり、自身が攻撃を食らうことで得られるものであったり様々だが。
戦場を盤上に。普段と違った怨敵だとしても、それは絶対零度の炎と共に、冷静に状況整理されていく。
誠一は小さく息を吐く。
(レリアのカウンターマジックは発動した。つまりそれは、《アニマーレ》が魔法スキルだったということ)
そして。
(その後に繰り出した《スピーナ》。移動せずに《アニマーレ》を使った後にあのスキルを使用したということは、アニマーレの発動には移動が犠牲になるんだろう)
ちらりと相棒から向けられた視線に視線で応を返し、クィーロが正面からエミーリオへと斬りかかる。
ゴーレム相手の時はそれほど火力がなく、スキル幅もそれほどないと見せかけていたクィーロの実力を、エミーリオは正確には把握していない。
そそり立った『盾石《スクード》』が、甲高い音を立ててクィーロの太刀を弾き返す。
反撃が来るかと構えたクィーロに対して何も攻撃を返さないエミーリオに、情報は確実性を増していく。
(解除して《アトゥ》を打って来ない。なら《スピーナ》と《アトゥ》は同時には撃てない)
最大の攻撃手段だろう貫通スキルを使わなかった。つまりそれは、攻撃タイミングが今ではないということ。
誠一はそこでようやく笑った。
凶悪に、挑発的に。普段の彼からは想像も出来ないような顔で。
「さぁ、始めるか」
■混戦
マリィアが降らせる弾丸は、足を止めることは出来ない。ならばと切り替えて通常射撃へと切り替えた。
「歪虚にとってはどんな射撃も豆鉄砲でしょうよ。でも全員から攻撃を受け続けているのよ? 私のスキルが切れる頃には消滅してるんじゃないかしらね」
挑発的な言葉に苛立ちを覚えても、遠距離から攻撃を仕掛けてくるマリィアに対してエミーリオは攻撃する手段がない。
「その程度? 大したこと無いね」
正面からスキルを乗せ全力で斬りかかる真に対して、盾石を発動させ防御するエミーリオが頭上を見上げる。
上空には未だルスティロがいた。
盾石を崩したのを確認した瞬間、ルスティロは笑う。
「必ず僕を狙いにくると思っていたさ。今だよ、カーバンクル!」
立ち位置をずらし、一気に柘榴の尾をエミーリオへと伸ばし拘束を狙った。
舌打ち一つし後方へと回避したエミーリオのその背後から、マテリアルの力を込められた強力な矢が襲い掛かる。
腹部を裂いたその攻撃の元は――背後を取っていた零のものだ。
「お前っ……!」
マリィアの弾丸によるかすり傷に加え、零の放った矢で受けた腹部の裂傷。
どんどん苛立ちを募らせていく歪虚の視線の端に、ひらりと白いものが翻った。
恐らくそれは咄嗟。恐らくそれは――怨恨。
勢いよく振り返った先には、スキルを使用し加速して自身に接近していた誠一。
「お前ええええエエエエ!!!」
それは何よりも早い、回避も防御も許さない攻撃だった。
勢いをつけて蹴られた石は、正しく空気を切り。そのまま――誠一の右胸部を貫いた。
思わず絶句しそうになりながら、倒れ込む誠一へと駆け寄って錬介がリザレクションを施す。
今にも勢いのままに誠一を追いかけそうなエミーリオを食い止めるべく、クィーロが反撃を食らうのを覚悟で割り込んでいく。
(俺たちはあまりにもエミーリオを軽く見過ぎていた……!?)
咳き込みつつ意識を取り戻した誠一を横目に確認しつつ、錬介は僅かに焦りを感じていた。
回復が、圧倒的に足りない。
エミーリオが特別視しているだろう零と誠一には、もう既にリザレクションを使用してしまった。
それはつまり、次命に関わる攻撃を二人が受けた場合、蘇生することが出来ないということだ。
前衛を援護するように交わされるレイレリアの呪符を使った雷は避けられてしまう。
唯一ここまででエミーリオに打撃を与えているのは、零の矢とマリィアの通常射撃のみ。
前衛は盾石と嗤石で攻撃が届かない上に、ダメージを与えられている。
このままではいけない。駄目だ。何か――。
ふと、一つの可能性に気付き、錬介は青褪めた。
(今までエミーリオが仕掛けている攻撃は、その力全てが魔法によるもの。だとしたら……?)
ハンターでも得手不得手がある。
近接が得意な者。射撃が得意な者。そして、魔法が得意な者。
そして――魔法に関するスキルが、ほぼ力を発揮しない。それはつまり。つまり?
「……エミーリオは、魔法に特化した歪虚……!」
意識を取り戻し動き始めた誠一が、最後に大きく息を吸い込み体の動きを確認する。
「ご明察。流石錬介」
ゆらり、立ち上がった誠一が武器を確認しながら声をかける。
「錬介、真を回復してやってくれ。そこからが――反撃開始だ」
真は自分の怪我が癒えていくのを感じていた。
簡易術式で編み上げらえたのは大きな負傷をも癒す暖かい光。
錬介の術式が自分に向いた。
そして、現段階でこちらの攻撃があまり通ってない事実。
「根暗野郎が偉そうにがなるなよ。耳障り過ぎてうっかりその残ったビー玉すら潰したくなるだろ?」
「斬り裂かレテそれだけ言えればもう十分ダロ。いい加減ドケよ!」
攻撃を受けつつも、獰猛な笑みを浮かべて挑発を続けるクィーロ。
苛立ちを募らせるエミーリオが手を鳴らしても。
「させません。何度でも打ち消してみせましょう」
レイレリアが放つカウンターマジックが新たなゴーレムを作ることを許さない。
遠距離からのマリィアの弾丸がエミーリオの盾石で弾かれる。
振り返るエミーリオを先読みして、上空のルスティロが魔法の矢を放ちつつ零へと指示を出す。
それに従って立ち位置を変えていく零が、その先から矢を放つ。
「君に舞台は回せない。僕たちは、君に扱えるような役者じゃない。描くのは僕らだ。そして君は、退場するただの道化師さ!」
「ああモウ! 邪魔ナンダヨ!!」
盾を解除し、上空のルスティロへと礫の弾丸が飛ぶ。
飛行前にかけられたアンチボディのおかげで重体は回避したが、飛行が困難になったルスティロがよろめくように地に降りる。
傷の癒えた誠一が相棒と合流しようとしているのを確認して。
真は、切り札を発動させる。
■断絶のオペレッタ
機械仕掛けの杖が、強い光を放つ。
それは、選ばれた者だけが手に出来る「大精霊」の力をインストールされた神の器。
『星神器「カ・ディンギル」』その秘められた断りは「断絶」。
解き放たれたそれは、真の強い意志を込められた光と共に、理解と認識を歪める結界を展開していく。
『ヤルダバオート』と呼ばれるそれは、カ・ディンギルを持つにふさわしいものだけが使用出来る特別な大魔法だ。
「例え、お前が魔法に特化した歪虚だとしても……!」
クィーロによって足止めされたエミーリオには、真が展開する大魔法を阻止することが出来ない。
よしんば切石で貫こうとも、もうエミーリオは結界の中に捕えられている。
「誰も、死なせはしない……!」
「お前らアァァァ……!!」
ジャルージーは嫉妬と怨嗟から表情を歪めるしかない。
そうして展開された大魔法の結界は、エミーリオの戦力を確実に削っていくこととなる。
■宣言
「人を虐殺した歪虚にかける情はないわね。お前の番が来ただけなのだから」
恨んで嫉んでみっともなく命乞いでもしながら消滅すればいい。
遠距離から届く声と弾丸。それを見に受けてエミーリオは呻く。
「もっとも。消えたお前のことなんてすぐに誰からも忘れられるだろうけど」
「ウルサイんだよ! 遠くカラ!」
マリィアの挑発に罵声しか返せないエミーリオの眼前に迫るのは、羽ばたく双翼。
「てめぇ程度で千切れる程俺たちの翼はやわじゃねぇんだよ! 三下が!」
獰猛に嗤うクィーロの言葉の直後にレイレリアが放つ雷が落ちる。
初めてそれが直撃し、エミーリオが一歩後退した。
その隙を見逃さず、後方からは零の矢が。側面からはルスティロの魔法の矢が飛ぶ。
零の矢をギリギリで回避した直後、ルスティロの魔矢がエミーリオの左腕を貫いた。
「クソっ! クソがァ!!」
駄々っ子のように、嫉妬に狂う人の子のように、嗤石で範囲に捉えたメンバー全員へとダメージを与えるが、それも軽減されたものばかり。
「よぉ、エミーリオ」
獰猛な笑みの男が、そこにいた。
繰り返し見せた様々な武器での攻撃や、心臓を指す挑発。目潰し。腰に結わえた約束のリボン。
受けた攻撃も仕掛けた攻撃も全部が全部、今日この日の為の布石だと知ったら。
あの緑の瞳も屈辱に染まるのか。
誠一は知っている。自身をゲーマーだと言って憚らぬ、彼だからこそ分かる。
「思い描いた筋書きを途中で上書きされるようにぶち壊されるのは、屈辱だよなァ?」
自身は愉悦しかない。あぁ、愉快だ。これは一種の陶酔。悦楽、快感といってもいい。
相手が支配していたつもりの盤上を、一気にひっくり返してやるその瞬間。
誠一一人ならそれは、分の悪い賭けだっただろう。
だがここには、長い間共にこの敵と戦ってきた仲間がいる。
かけがえのない、相棒がいる。
「残念だったなァ。下手な博打は好きじゃねぇんだ」
緑の目が、ギラギラと憎しみに濡れているのが愉快でたまらない。
相棒と並び立ち、獰猛に笑んだ誠一が言い放つ。
「虎に翼。双翼ここに在りってな」
「それじゃあこの陳腐な悪夢の幕引きと洒落込もうか」
■死闘と
神器から剣へと持ち替えた真が二人を追い越しエミーリオへと斬りかかる。
聳え立つ盾石に向かって、スキルで上乗せした力を込めた初撃。
今まで何の綻びも罅も入らなかった盾石に、切れ目が入った。
大魔法による結界は確実に効いている。
「まだ、まだっ!」
二撃。崩れ始める盾石の向こう、顔を歪めるジャルージーを捉える。
「何度でも……斬ってやるよ!」
盾石が土くれに戻るのと同時に、飛び出したエミーリオが『硬石』で硬質化させた腕で真を斬り裂く。
痛みを受けようが、真には確固たる意志があった。
(こいつが引き起こす悲劇は、ここで全て終わらせる!)
膝を付く真を包むのは錬介の回復術式。深手の傷でも癒すその光は暖かく彼を包む。
そんな真の両肩に、何かが触れた気がしたのは気のせいだろうか。
入れ替わるようにエミーリオへと立ち塞がる双翼を見て、真だけでなく、その場にいた誰もが確信する。
――この戦闘の、勝利を。
■最期の一撃
「雑魚相手にもちまちまやんのかい? 随分お優しいこった」
削られた体力と疲労は歪虚にもあるのだろう。
今を。今を待っていたのだと。射光の軌跡と同調し飛ぶようにエミーリオの直前に立った誠一が手を上げた。
するり、と。ジャルージーの右目いっぱいに映り込むと、陶磁の肌を撫でるようにして深く深く笑む。
負傷は癒えても、血の跡は消えない。血濡れた男の瞳の奥に快感が隠されているのを見て取ったエミーリオは、一瞬息を呑んだ。
「……ヴェラちゃん、残念だったなァ?」
「……煩いんダヨ! いい加減っ……消えろ、ハンター!!」
渾身の。恐らく最期の一撃となるエミーリオの嗤石に、双翼は獰猛に笑った。
盤面は見事引っくり返る。
「そよ風だと思ったか? 残念だった、俺は暴風なんだよ! この陳腐な三文芝居もこれで終劇だ! 失せろ!」
攻めの構えから、エミーリオの嗤石を身に受けつつ命を削るクィーロの反撃の一撃と。
「塵ひとつ残すことすら許さない。この世のすべてから消え失せろ」
青白い軌跡を伴った、正しくエミーリオを灰燼と化す誠一の一撃と。
「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
エミーリオの執念か、嗤石の一部が誠一の腹部。約束の標に一番近い部位を深く深く貫いたのは。
同時のことだった。
■終幕
誠一には既にリザレクションは使ってしまっている。
意識が混濁したこの状態を完全に回復させる術はない。
それでも、流れ出る赤い命の軌跡を食い止めるために、錬介は術式を施し続ける。
傷の深さが変わらなくとも。流れる命を繋ぎとめるために。
そして。その眼前。
崩れ落ち、割れ落ちた陶器の人形のような歪虚がいた。
もう命はなくなるだろう。塵ひとつ残らず、消え失せるだろう。
朦朧とした意識の中、それでも誠一は細い息を吐きつつ呟く。
「俺が、クィーロを無二の相棒にしたのには、理由があるんだよ。――屈辱に身を焦がし、世のすべてから、消え失せろ」
その言葉に、割れ落ちたジャルージーはひび割れた唇で嗤う。
「知らないヨ、バァカ。……落ちるとイーネ? ソレ……」
サラサラと、崩れ落ちた歪虚が塵になって消えていく。
燻る煙と血の匂いを乗せた風が、塵を散らしていく。
嫉妬の歪虚。嘲笑うジャルージー、エミーリオは。
跡形もなく、掻き消えた。
■そして
手早く、可能な限りの遺体を埋葬し、祈るレイレリアと錬介。
同じく埋葬した後、中央に残った大木に触れ、目を瞑り黙祷する零。
一方真は、手紙の送り主の痕跡を辿った。
だがそこには、遺体の欠片ひとつ残っていない。恐らくはゴーレムによって――。
残された血の跡に手を添えて、真は口を開いた。
「……あなたの勇気ある行動が、更なる悲劇を防いだんだ。ありがとう」
命を繋ぎ止めた誠一は眠りについたままだが、呼吸は整っている。あとはしっかり休めば大丈夫だろう。
その誠一をクィーロが背負い、後ろから支えるようにして、零がそっと背を支える。
全員が集まり、失われた命へと黙とうを捧げた後。
そっと、零が言葉を紡いだ。
「……帰ろう。ヴェラが、待ってる……」
それはいつかと同じ言葉。
けれどそれは、今度こそ舞台の終幕なのだという想いが込められた言葉。
各々が頷き、村を背に歩き出す。
金糸のジャルージー、エミーリオ撃破。
誠一の腰元、彼の血で赤く染め上げられた標は、それでも確かに約束の標としてそこにあった。
END
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神代 誠一(ka2086)
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/12/22 06:01:20 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/21 22:47:31 |