• 虚動

【虚動】スノウメヰデン

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
イベント
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/01/09 22:00
完成日
2015/01/16 22:50

みんなの思い出? もっと見る

-

オープニング

「凄まじいマテリアルの奔流……これが恭順派の巫女の力なのか」
 エルフハイム付近に迫る歪虚CAM、ドンキィノーズとそれを取り巻く無数の歪虚達。その侵攻を阻止する浄化結界の発動は目前に迫っていた。
 維新派と恭順派、二つのエルフハイムの混成部隊は、この作戦の肝となるこの浄化結界の中核を担う一人の巫女を守る為、やや後方に本陣を敷いていた。
 長老会から遣わされ、自らもその一員であるジエルデから持ちかけられた共闘作戦は、ユレイテルにとっても恭順派の深淵に迫る好機であった。しかし実際に目撃し、打ちのめされる。
 長老会が準備した目の前の幼い少女は、可視化して余りあるマテリアルの奔流を纏い、幾重にも折り重なるヴェールを揺らしている。
「生半可ではないと、とうに覚悟は決めていたが……」
 ここまで二つの勢力に距離があるなんて。
 そんなユレイテルの側でジエルデは巫女の少女に注視していた。今彼女には生身の生命体が耐え切れない程、高出力のマテリアルを帯びている。
 そうは見えずとも体は軋み、意識は混濁する。それは間違いなく死に至る痛みであった。



「――“器”を使う?」
「あくまで保険であるが……我々のエルフハイムは清浄でなければならない。維新派の者共が失敗した場合の想定も必要だ」
 シャイネから歪虚CAMの接近報告を受けた長老会は、維新派のエルフの防御行動を黙認すると共に、恭順派側からも一部戦力を派遣する決定を下す。
 帝国軍も動くというが、失敗は許されない。長老会はジエルデに“浄化の器”の使用を命じた。
「大浄化結界ならば、いかに強力な歪虚であろうとも葬る事ができよう」
「しかし、浄化結界を使えば器の命は……!」
「何の為の器か。使えなくなるならばお前が処分すれば良いだけの事。代わりはまた作れば良い」
「勘違いをするなジエルデ。あれは命ではない……モノだ」
 ジエルデに決定を覆す事は出来ない。所詮は末席、器の管理の為の偽りの地位だ。
 器はヒトではなくモノ。それが恭順派の、長老会の考え。だがジエルデは目の前の少女を、可能ならば生かしたいと願ってきた。
 少女は何も知らない。罪すら知らぬ純白でありながら、慈悲なき罰に散るさだめ。ジエルデとてそれが正しいとは思わない。だが、この森の呪いは何百年もそうやって続いてきたのだ。
 この状況における唯一の光明、それは森の防衛方法と部隊の指揮をジエルデが一任された事だ。細かいやり方が指示されないのなら、要は森を守れさえすればよい。
「シャイネ・エルフハイム……確か彼は維新派とも、ハンターとも繋がりを持つ変わり者でしたか」
 利用出来る物はなんでも利用する。屁理屈だろうが構わない。この森を、そして器を守る為に……。



「……アレを消し飛ばす必要はありません。抑えさえすれば、後はハンターなり帝国軍なりが仕留めるでしょう」
 ジエルデの声に僅かに頷く少女。彼女が器と呼ばれる存在である事を誰も知らない。力ある、尊敬を集める優秀な巫女として映るだろう。
 だがその実、ソレは巫女ではなく、ヒトでもない、ただのモノ。長老会に取って、剣や弓と同じ。ただのよく出来た道具なのだ。
「頃合いです。六式浄化結界、発ど……?」
 号令を出そうとしたその時、ジエルデの隣で器の体が雷でも受けたかのように大きく仰け反った。がくがくと痙攣し、そのまま膝を着く。
 ジエルデも巫女の力を持つ覚醒者だ。すぐに異常を感知した。
「結界の術者が……殺された!?」
 六式浄化結界は六人の術者で発動する高等結界だ。人数が欠けるだけで力は器に雪崩れ込み、その肉体を破壊する。
 鼻と口から血を零しながら震える脚で立ち上がろうとするが、自力では起き上がれない。咄嗟に抱きかかえようと伸ばしたジエルデの手は、しかし少女を助けない。
 器には触れてはならないし、器を救ってはならない。血が滲むほど歯を食いしばり、ジエルデは俯き堪えた。
「ジエルデ様、術者の位置が割り出されています!」
「一体誰が……!? 六式結界の術式を知る者なんて、維新派にだって居ないはず……!」
 僅かに時を置き、また器が大きく仰け反った。白いヴェールに内側から血の赤が滲む。
「二人目です! 第三地点と第四地点の維持が出来ません!」
 冷や汗を流すジエルデ。そこへユレイテルは駆け寄り。
「ジエルデ殿! 何か私達に出来る事はないのか!?」
「維新派の……」
「私は確かに維新派だ。しかし今この状況で維新派だ、恭順派だと言い合う時間はない筈だ! 目の前で少女が死にかけている! その生命を救う事が先決ではないのか!」
 瞳を見開く。目の前の若いエルフは真っ直ぐに、ただ純粋に命を、そして森を守ろうとしている。
「……結界の第三、第四地点に向かい、これを術者の側に突き立てて下さい」
「これは……?」
「儀式用の杖です。ただし、杖を立てる者は覚醒者である必要があります。特別な技術は不要です。ただ負担を分散する人柱になって頂きます」
 白く細長い、杖というよりは剣のような道具を受け取るユレイテル。
「しかし、それで結界は発動するのですか?」
「普通は無理です。でも……」
 ためらいを振り払うように、女は器の少女に歩み寄り、震えるその体を抱え、立ち上がらせる。
「私が彼女を支えます。私も巫女、術はこのポイントから何とか制御してみせましょう」
 頷くユレイテル。駆け出す背中にジエルデはふっと笑みを浮かべる。
「よろしいのですか、ジエルデ様? この様な……」
「作戦が失敗するよりはマシでしょう?」
 荒く息をしながらも悲鳴一つ上げない小さな体を片腕で抱きしめる。自らの杖を大地に突き、女は祈る。
 どうか、全てがうまく行きますように。どうか、この少女の小さな命が燃え尽きる前に……どうか。

 しかしそんな祈りを無慈悲に切り裂くように、天空より黒い翼が舞い降りた。
 
「――へぇ? まさかとは思ったけど、よくソレを森の外に出す気になったわねぇ?」
 蝙蝠の翼を広げた青白い肌の女は、明らかに生半可ではない歪みを放っている。女が降りてきた、それだけで器は感応し苦しげに身悶える。
「あら凄い感度。私が近づくだけでイっちゃうんじゃないのぉ?」
「何ですか、あなたは……こんなでたらめな……!?」
 維新派の護衛が一斉に女へと襲いかかる。女は手にした剣を一閃、近づくエルフ達を一瞬で血塗れに変えてみせた。
「私の事を知らないって……はー、成る程ねぇ。まあいいわ。せっかくだから自己紹介しましょうか。我こそは四霊剣が一刀。畏れて呼びなさぁい。この不変の剣妃、オルクスの名前をねぇ!」
 笑いながら前に出るオルクス。そこに横から割り込んだハンターの刃が激突する。
 オルクスは踊るように背後に下がると、蛇のように長い舌で血に染まった刃を舐める。
「ふふふ。少しだけ遊んであげる。ちょうど小腹もすいてた事だし――ね?」

リプレイ本文

●守るべき物
 浄化の術具は木製の杖だ。だが杖というよりそれは剣の形に良く似ていた。
 第四地点へと走るソフィア =リリィホルム(ka2383)は混戦の中考え続けていた。何故この地に戻ってきてしまったのか。
 人とエルフの混成軍が各所で歪虚と戦っている。自分がいた頃とは違う空気を感じるが、そう簡単に割り切れるものでもない。
「ソフィアさん……?」
「大丈夫、なんでもないから」
「量産型リンドヴルムを確認。目印が大きいと探すのが楽だね」
 メトロノーム・ソングライト(ka1267)に笑みを返すと同時、キヅカ・リク(ka0038)が指差す。第四地点は既にほぼ壊滅。残存兵力が何とか抵抗を続けている。
「ふん……所詮は型遅れのブリキの玩具だ。各自己の成すべき事を成せば問題はないよ」
 Charlotte・V・K(ka0468)の声に頷く仲間達。レイオス・アクアウォーカー(ka1990)はエルフ兵に迫っていたエルトヌス型ゾンビ兵へ剣を抜いて飛びかかる。
「まだ生きてるか!?」
「ハンター……た、助かった」
「数が多いな。それだけこの結界が有効ってことか。後はオレらに任せて下がってな」
 負傷した兵士達と入れ違いにハンター達はそれぞれ得物を抜きながら前に出る。
「えーっと、楔を打ち込むのはこの辺でいいのかな?」
 那月 蛍人(ka1083)とメトロノームを左右につけ、ソフィアは剣を握り締める。
「エルフハイムを救う……このわたしが……?」
 新たな標的に歪虚達が狙いを定める。ユノ(ka0806)はシュネー・シュヴァルツ(ka0352)に風の加護を与え。
「さってとー! ここが動かなきゃ器の子が死んじゃうんだよねー。それは阻止させてもらおうかなー。よろしくね、お姉さん達!」
「これ以上犠牲を増やしはしません。私も父さん母さんのように……」
 思いつめた様子のシュネー。その横顔から敵へ視線を移し、カグラ・シュヴァルツ(ka0105)は開戦の引き金を引いた。

「それがしが敵の目を引きつける。人柱と巨人の相手はお任せしよう」
 一方第三地点。ダリオ・パステリ(ka2363)に頷きを返し、ルナ・レンフィールド(ka1565)が剣に炎を、そしてフランシスカ(ka3590)が光のヴェールを与え強化する。
「おかしらさん、大変だろうけどお願いねっ!」
「ご武運を」
 二人の言葉に頷き返し駆け出すダリオ。ジルボ(ka1732)は銃を抱え、目を見開き笑みを作る。
「ヒヒッ……この状況、ゾクゾクするな」
「ま、確かに燃えるモンはあるなァ」
 葉巻を握り潰し目を細めるナハティガル・ハーレイ(ka0023)。彼らの背にはエルフハイムという友人の故郷が広がっている。
 自分はもう守る事は出来ない故郷。だが誰かのそれを守って戦う事なら、まだ間に合う筈だ。
「デカブツを近づけるわけにはいかねえなァ。行こうぜジルボ。俺達の見せ場だ」
「ああ。ま、俺は遠くから一方的に撃たせてもらうけどな……ヒヒヒ!」
 俄に盛り上がる戦士達のやや後方、楔設置地点ではイーリス・クルクベウ(ka0481)とユレイテルが向き合っていた。
「人柱はわしが任されよう。お主は維新派にとって欠かせぬ要石、危険を冒す必要性はない」
「しかし、浄化術の負担は想像以上だ。反動で巫女がどうなったのか、貴殿も目にした筈だ」
「だからこそじゃ。その意思はわしが引き継ぐ。お主は成すべき事を成せ」
 黙りこみ、それからユレイテルが大人しく術具を渡したのはイーリスを信頼していたからだ。
「大丈夫です。イーリスさんは必ず守りますから!」
「ユレイテルの手もお借りしたいのですが、宜しいでしょうか?」
 緊張を抑えるように拳を握り締めるマコト・タツナミ(ka1030)。フランシスカの言葉にユレイテルは頷く。
「ああ。今の私に成すべきことがあるとするならば、それはイーリス殿を守る事だからな」
 ジェールトヴァ(ka3098)はそんな様子を横目に優しく微笑み、敵へ厳しい視線を送る。
「さて。少しでも犠牲を減らさなければならないね。小さな決意を、無碍にしない為に……」
 フェリア(ka2870)は状況を確認し短伝を手に取る。この結界発動にはまだ条件が足りない。
「こちら第三地点、配置につきました。作戦開始の合図を待ちます」

 エアルドフリス(ka1856)の風の刃をオルクスは手にした剣状の杖で薙ぎ払う。
「見ない内に老けたかね? お嬢さん」
「不変なんだから老けるわけないでしょぉ? ていうか……誰だっけ?」
 心底不思議そうな剣妃の返答に眉を潜めるエアルドフリス。エイル・メヌエット(ka2807)は目を細め。
「あ。やっぱり覚えてないのね……」
「そうであろうな。貴様にとって人の命等路傍の石に過ぎない。それは承知の事」
 アウレール・V・ブラオラント(ka2531)は剣と盾を手にオルクスへ襲いかかる。それぞれの刃を交え、少年は叫ぶ。
「思い出せ、名を刻んだ石が貴様を討ちに来たと! 私と戦え――オルクスッ!!」
 その左右からレイス(ka1541)とエリシャ・カンナヴィ(ka0140)がそれぞれ槍と刀で挟撃するが、足元から血が迫り上がり硬化、壁となり攻撃を防いだ。
「目も向けずに……!?」
「自動防御だとでも言うのか」
 血はぐるりとオルクスを囲み、次の瞬間炸裂する。近接三人が後退するのと入れ違い、ジュード・エアハート(ka0410)の矢が剣妃を狙う。
 光を纏った矢も空中に構築された血の壁に阻まれてしまう。結晶の崩れた先、退屈そうなオルクスの顔は無傷であった。
「今のを防ぐのか……」
 冷や汗を流しながら笑みを作るジュード。成程、これは一筋縄では行かないようだ。
「コチラ本陣。盛り上がってはいるケド、剣妃の引き離しニハ時間がカカリそうダネ」
 トランシーバーと短伝に同時に声をかけるアルヴィン = オールドリッチ(ka2378)。
 そう、結界の起動には剣妃が邪魔だ。まずはあれを遠ざけねばならなかった。



●命を賭して
 第四地点で吼えるリンドヴルムが機関銃を大地へ連射する。空中に舞い上がる翼は脅威そのもので、近接攻撃は全く届かない。
 キヅカはライフルを連射しながら回りこむように移動し、腐竜の銃撃に障壁を張って耐える。
「よし……当たりどころが悪くなければ問題ない」
 空を舞う腐竜をカグラ、レイオス、Charlotteらの銃弾が襲う。ユノも魔法で攻撃に参加。目標は翼、あれを墜落させる事だ。
「制空権を確保されるのは拙い。相手が幾らポンコツでもな」
「お姉さん、随分退屈そうだねー?」
「当然だ。ヤツは既に何度も撃破されている。倒せん道理はない」
 Charlotteはユノの声に応じながら銃身に雷を迸らせる。放たれた弾丸は腐竜の翼に電流を走らせた。
 対空攻撃と腐竜を背景にシュネーは疾走する。まずは危険な火炎放射器を破壊する狙いだ。
 この敵は武器を失えば鈍重なゾンビに成り果てるのを知っている。チャクラムでタンクを破壊、繰り出される剣をスライディングでかわし、ライフル個体の銃身に短剣を走らせる。
「数が多すぎる……全部は相手に出来ない……」
 背後から炎に煽られ前転した所へ剣が振り下ろされる。敵の狙いを引きつけるのはいいが、このままでは長くは持たないだろう。
「シュネーさん、今回復します!」
 蛍人がヒールを発動。メトロノームはその横で杖を振るい、炎の矢でゾンビ兵を迎撃する。
 それでも近づく敵の剣を前に蛍人は盾を構え突進。攻撃を受け、斧を鎧に食い込ませる。
「蛍人さん、武器を!」
「そうか! でも剣は壊せないから……腕か!?」
 メトロノームの炎が斧を包む。蛍人は振り上げた斧でゾンビ兵の腕を両断した。
「リンドヴルムの近接攻撃が来る! 気をつけて!」
 尻尾の動きで行動を予測したキヅカが叫ぶ。狙いはカグラだ。
「誘導します……私に近づかないように」
 吼える腐竜。カグラが走って行くのはエルトヌスに群がられた妹の方角だ。
 翼をはためかせ滑空する腐竜。無表情に走ってくる兄の姿に目を丸くしたシュネーは慌てて足にマテリアルを集中、兄を抱えて横に大きく跳んだ。
 滑空しながら空中を横回転し、尾で大地を薙ぎ払った腐竜。だがそれで吹っ飛んだのは集まっていたゾンビ兵達であった。
「うおっ、やるな~あいつら!」
「ついでだし、エルトヌス型の上に落っことしちゃおうよー!」
「異論はない。行くぞ!」
 銃と魔法による一斉攻撃を仕掛けると翼が破壊され腐竜が墜落する。レイオスは拳を掲げ、ユノは小さく跳躍した。
「あ。更に攻撃チャンスだね」
「やっと落ちたな粗悪品!」
 呟くキヅカ。レイオスは肩に剣を乗せ、マントを翻し走り出した。

 第三地点ではトウルスト型との戦いが始まっていた。
 主に巨人と対峙するのはナハティガルだ。血の鎧を纏った巨人は旧型だが十分すぎる性能を誇る。
 繰り出される血の鎌を受けながら少しでも人柱から引き離そうと走る一方、ダリオは大量のエルトヌス型の足止めに奔走していた。
 マテリアルの力を守備に特化させ、無闇に攻撃せず防御に専念する。攻撃するのは殲滅型と呼ばれる個体の火炎放射器だけだ。
「幾らなんでもおかしらさんに敵が集まりすぎだよ!」
 四方八方から攻撃を受け血を流すダリオ。その負担を減らすには敵を無力化するしかない。
「ユレイテルさん、手を貸してください!」
「勿論だ」
 ルナは炎の矢を、ユレイテルは機導砲を放つ。
「敵の武器を狙って下さい。得物を失えばダリオの負担が減ります」
 フランシスカはプロテクションをかけ直しながら頷く。マコトも支援スキルをダリオに重ねがけし、自らも拳銃で攻撃に参加。
「ここから先へは行かせないよ!」
 仲間の戦いを見つめるイーリスは通信に耳を傾けるフェリアに声をかける。
「結界発動はまだかの?」
「やはり剣妃の引き離しに苦戦しているようね……」
 合図をただ待っては居られない。フェリアも風の魔法でエルトヌスを攻撃する。
 既に発動を待つだけのイーリスは大地に立てた楔から不思議な感覚を得ていた。攻撃に参加しても良いが、今はそれが気になる。
「この感じ……誰かの想い? 意思なのか?」
 ジェールトヴァはダリオを回復しつつ、自らも魔法攻撃でエルトヌスの注意を逸らす。ダリオは仲間からの厚い支援を受け、敵を集め続ける。
「……忝ない。この恩は戦果にてお返し致す」
 こちらは何とか持ちそうだと判断しジェールトヴァは走る。巨人と戦うナハティガルは善戦しているが、旗色は当然悪い。
「一人で良く堪えているね。私も手を貸すよ」
「手伝いはいらねェとは、ちと強がれない状況だな……頼むぜ」
「結界が発動すれば敵は弱まる。今こそ全力で挑むんだ」
 そんな二人の様子を遠巻きに眺めるジルボ。アサルトライフルで巨人をずっと撃ち続けている。
「かってぇ~。なんだありゃ。鎧も砕けねーし武器も壊れねーし……となりゃ、やっぱ足かね?」
 関節部は鎧では守れない。相手は動きも鈍く狙撃は難しくない。ジルボの銃弾は膝を撃ち抜く……が、あまり気にしていない。
「感覚も鈍っ! まあいいや、こっち向かないなら攻撃し放題だぜ。ナハティガル~頑張れよ~」
「……イーリスさん、もう結界が発動したんですか?」
 あまりに険しい表情のイーリスにマコトが首を傾げる。
「まだじゃよ。恐らくじゃが、結界の中心に居る者の意思が流れてきておるようじゃ。浄化術のヒントになれば良いのだが……」

「あなた達……自分が何を守って戦っているのか、きちんと理解しているのかしらぁ?」
 レイス、エリシャ、アウレールの足元から無数の血の剣が迫り上がる。レイスとエリシャは範囲外に回避。アウレールは盾を構え傷を追いながら突撃する。
 繰り出す斬撃は血の壁に阻まれる。先ほどから剣妃は足を組み、空に浮かんでいるだけだ。
「アレがあるからエルフハイムは解けない呪いに苛まれているのよ。あの子だって殺してあげた方が幸せでしょう?」
「巫女の本質は一族郎党の為に捧げられる犠牲……だからこそ無為に散らされちゃ敵わんね」
「彼女だって確かな命よ! それに今は皆の想いを繋げる大切な仲間だわ!」
 エアルドフリスに続きエイルが叫ぶ。傷ついた器をヒールで癒やすが、スキルは問題なく発動する。
「ドウヤラ僕ら……特にエイル嬢は影響を受けてイナイようダネ」
 聖導師二人は問題なくスキルを使えそうだ。アルヴィンは分析しつつ傷つく前衛を回復する。
「確かに凄いプレッシャーだけど、堪えられない程じゃない……!」
「この感覚……以前剣妃と対峙した時よりも動けそうだ」
 矢を番えるジュード。レイスは槍を軽く振るい、感触を確かめる。
「私の精神感応に精神連結で対応してるワケね……ふぅん?」
 地面すれすれに立つように浮かんだ剣妃が剣を振るう。
「少しはやる気になったみたいね」
「奴を引き離すには前衛で押し返すしかないか。攻め手を切らさない事だ」
 肩を刀の峰で軽く叩き笑うエリシャ。レイスは無表情に槍を構え直す。
「先ずはガードを崩す……行くぞ!」
 防御性能の高いアウレールを中心に前衛三人が接近する。剣妃は空中に浮かべた血の槍を放ち迎撃するが、これをジュードが矢で砕き活路を開く。
 エアルドフリスは背後に回り込み杖に炎を纏わせる。前衛が攻撃する直前に放つと、背後に血の壁が出現する。
 続けエリシャの刀も壁に防がれ、レイスが槍を繰り出すも弾かれ、アウレールが剣を振り下ろしても届かない。
「ちょっと……守りが硬すぎるわよ!」
「まだだ!」
 アウレールは刃と足にマテリアルを込め、強烈な一撃を放つ。
「同じシールドを攻撃するぞ!」
 左右で旋回し、思い切り槍と刀を叩きつける二人。壁が砕けるとアウレールは盾ごと剣妃に突進、体当たりしたまま走り出す。
「張り付いていればシールドは出ない……このまま押しこむ!」
 密接状態で叫ぶアウレール。剣妃と剣をぶつけ合い、再び大地を蹴り体当たりで剣妃を後退させる。
「近接戦闘は苦手か、剣妃!」
 器からの距離は20メートル程。まだ影響下にはあるが、結界発動は可能だ。
「六式結界を発動します!」
 器もヒールで回復を受け持ち直した。ジエルデの叫びに頷き、アルヴィンが通信機に告げる。
「――準備完了! 六式結界、起動!」



●光重ねて
「結界を起動するそうです……ソフィアさん?」
 楔を握るソフィアの手は震えていた。メトロノームはそこへ自らの手を重ねる。
「もしもソフィアさんが耐え切れなければ、わたしが側にいますから」
「メトロノームさん……」
 違う。怖いわけではない。いや、これは恐怖なのか。
 ゴチャゴチャの感情は自分でも理解出来ない。だが一つ確かな事、それはこの作戦が友を守る事に繋がるという事だ。
「……やってやる。やってやるよ、くそったれ!」
 結界が起動する。その瞬間、ソフィアは中心に居るであろう器の意思を感じた。
 恐らくきっとこの為だけに、恨むべき故郷が創り出した少女は、しかし心に憎しみなど抱いてはいなかった。
「くぁ……何だ……誰だ? 頭の中を探られる……!?」
 逆も然り。目に見えぬ無数の腕に全身を弄られるような違和感。頭の中に熱湯を注がれるような苦痛。
 だがそれにきっと他の誰かも耐えている。目を閉じ集中すれば、向こう側の誰かと背中合わせに立っているようだった。

「イーリスさん、しっかり!」
「複数の人間の精神がリンクする……そうか、これもマテリアルリンクなのか……!?」
 マコトに返事をする余裕はない。イーリスもまた誰かの意思を感じていた。
 まっさらで心すら持たない者と、エルフハイムを憎む者。相反する意思にイーリスは故郷を守りたいという想いで拮抗する。
 眩い光が術者から真上に立ち上り、それぞれの光が結ばれ、結界を成す。淡い緑色の光が全ての者を包み込んだ。



『わしは、人間とエルフが協力しあう未来を作りたい』
『にんげんと、きょうりょく?』
『……出来るわけねぇ。あいつらはずっと迫害し続けているんだ。命をなんとも思わずに』
『はくがい? いのち?』
『じゃがしかし、それだけではない事も知っておるのだろう?』
『久々に戻ってきたけど、何も変わってねぇ。何十年も世界は……』



「何も――変わらなかったんだ!」
 目尻に涙を浮かべ、空に叫ぶソフィア。背後では墜落したリンドヴルムにレイオスが走って行く。
「結界が起動した……敵の動きが止まっている!」
 腐竜に薙ぎ倒されたエルトヌス達は倒れている。絶好の好機にレイオスは剣で止めを刺す。
「動かない的など……外す要素がありませんね」
 エルトヌスを次々撃ち抜くカグラ。シュネーも倒れたゾンビに短剣を突き刺す。
「すごい、これが浄化結界……だけどソフィアさんが……」
 楔を握るソフィアの指先はズタズタに裂け、傷は腕にまで上がって来る。体内にもダメージがあるのか口の端から血も流れた。
 蛍人はスキルでソフィアを支えるが、傷は次から次へ増えていく。
「ちくしょう……そんな事思い出させるな! 勝手に人の記憶を漁るんじゃねぇえええ――っ!!」
「ソフィアさん……!」
 背後から抱きしめるように杖を支えるメトロノームに激しい感情が流れこむ。とうに失った筈の愛情や憎しみが痛みとなって身を引き裂く。
「泣かないで、ソフィアさん。あなたの苦しみを……わたしに少し分けて」

「その悲しみや憎しみ……心を持たぬ空虚さを救う為に、わしは森を変えたいのじゃ……!」
 血を流すイーリスの傷をフランシスカが癒やし、マコトもスキルで支える。動きの停止した歪虚達にハンターは攻勢に転じていた。
 ダリオの剣がエルトヌスの首筋に突き刺さる。フェリアの炎の矢が炸裂し、燃え上がったゾンビが為す術もなく大地へ伏す。
「敵の数も減った。こちらは私が処理する。貴殿はイーリス殿の支援へ!」
「うん! ありがとう、ユレイテルさん!」
 エルトヌス攻撃から離れ、走りだすルナ。イーリスは苦痛に耐えながら、誰かに語りかけているようだ。
「イーリスさん、お手伝いします!」
 イーリスに駆け寄りその手を取るルナ。混沌とした感情の奔流に気圧されつつ、想いを込める。
「ここにいる皆が大切な物を守る為に戦ってる……。その皆の想い、どうか届いて……!」
 ルナと入れ違いに前に出たマコトがハンマーをゾンビの鎧に振り下ろした。
「浄化作戦は成功させる……イーリスさんの、皆の想いを紡ぐ為にも!」

「……ひと、えるふ……なかま、いのち……まもる?」
 ぽつりと器が呟いた言葉にエイルとアルヴィンが振り返る。
「いたい、にくい、すき、きらい、あいしてる……まもる」
 結界の出力が増すと同時、器の足元から光が立ち上った。吹き飛んだヴェールの向こう、幼い少女は包帯塗れの手で強く楔を握る。
「敵痛い憎い忘れたい倒したい消したい敵誇りやめろ大好き守りたい仲間やめて痛い苦しい」
 きっとどこかの誰かが頑張っている。泣いたり血を流したりしながら歯を食いしばっている。
 その誰か皆の想いを一つに束ねるマテリアルリンク。結界範囲内の想いを敵に叩きつける、浄化兵器。
 収束した光が侵入する歪虚CAM、ドンキィノーズへ向かう。光の柱はその動きを一瞬で停止させる。
「このまま拘束を続けます! もっと剣妃を引き離して!」
 ジエルデの声に頷くハンター達。剣妃は目を見開いて笑う。
「へぇえ? 進化したわねぇ、結界術も!」
 エアルドフリスの炎が障壁を粉砕する。壁の強度は明らかに低下した。
「行ける!」
「このまま引き離すわよ!」
 叫びながら刃を繰り出すエリシャ。その刃が剣妃の顔を引き裂いた。
「はっ、中々いい顔になったじゃない! 私の方が可愛くて美人で気立てが良いわよ。性格は終わってるけどね!」
 びしりと指差し笑うエリシャ。そこへジュードが矢を放つ。
「吼天、祓い……清めよ!」
 光の軌跡を描き矢は剣妃の額に突き刺さる。そのまま背後へ倒れこんだ剣妃だが、ふわりと浮き上がった。
「お腹が空いていたんでしょう? ほら、自分の血でも飲んでなさいよ」
 エリシャの言葉に笑みを浮かべる剣妃。そしてエリシャは気づく。
「私の血って、青いのよねぇ?」
 自らの刀についた血が刃を作り脇腹に突き刺さった。早い。発生から命中までが比較にならないほど。
「エリシャさん!」
 エイルのヒールに慌てて血を振り払うエリシャ。剣妃は額から矢を抜き、溢れ出る青い血を青い結晶と成し、杖を巨大な鎌に変化させた。
 薙ぎ払う一撃は周囲にせり出すように展開し、無数の結晶の剣がレイスとアウレールを襲った。

「もう少しだ……頑張れ!」
 ソフィアにヒールを掛け続ける蛍人。戦闘中のハンター達はエルトヌスを撃破、残すは腐竜のみ。
「ここで逃すのも面倒だね。完全に撃破してしまおう」
 キヅカはカグラと共に銃撃。武装であるガトリングを破壊する。
 Charlotteの雷の弾丸とユノの炎の矢が爆ぜる中、レイオスは剣を握り腐竜に駆け寄る。
「シュネー、ヤツの首を落とす! 二人でならやれる……同時に行くぞ!」
 二人は刃を手に怯んだ腐竜へと跳んだ。空中で二人は同時に刃を振るい、その長い首を切断するのであった。
「流石に死んだねー。うーん、この結界強すぎー?」
 明るく笑うユノ。Charlotteは器達のいる本陣へ目を向けた。

 一方、第三地点でもエルトヌスは殲滅しつつあった。
 ナハティガルは動きの鈍ったトウルストの膝に槍を差し込む。ジルボの弾で穴だらけの膝はぼきりと折れ、巨体が傾いた。
「もう一息だね」
 傷だらけの身体をジェールトヴァが癒やす。身動きの取れない巨人は膝をついたまま口を開き、光を収束させる。
「――此処で踏ん張れ無ぇで何が覚醒者だ。命に代えても守ってみせる……二度と蹂躙なんざさせるものかよ……ッ!!」
「やっべ、あいつどこ向いてんだ!? この角度じゃ首が狙えねぇ……ナハティガル!」
 走りながら叫ぶジルボ。銃でポーズを取ると、首を傾げたナハティガルが槍を掲げる。
「南無三!」
「ん……あいつ俺を狙って……いや、こうか!?」
 踏ん張るナハティガルが掲げた槍先にジルボは目を見開き引き金を引く。矛先から反射された銃弾は次々に巨人の喉に吸い込まれ、爆発を起こした。
「っくぁ、我ながら曲芸」
 ナハティガルはそのまま槍を回転させ、体ごとひねった一撃を真下から繰り出す。槍は顎を突き抜け脳天まで貫くと、巨人の機導砲は不発に終わった。
「なんとか持ち堪えたようだね……立てるかな?」
 満身創痍で膝を着いたナハティガルに手を差し伸べるジェールトヴァ。頭が吹っ飛んだ巨人はそれ以上動く事はなかった。
「全ての敵を殲滅したようですね。後は歪虚CAMが倒されれば……」
 フランシスカは人柱の回復を続けながら連絡を待つ。その時フェリアが振り返り声を上げた。
「歪虚CAM撃破に成功したとの連絡がありました。作戦は成功です」

 攻撃のチャンスは今しかない。レイスはアウレールを盾に攻撃をやり過ごし前に出る。
「貴様が路傍の石と断じて捨てた、あの時の彼等の痛みと悲憤を、命の輝きを思い知れ――!!」
 槍の矛先が剣妃の胸を貫く。更にアウレールと交互に接近し、二人は次々に傷を増やしていく。
 後退していく剣妃。ジュードの矢が首に突き刺さり、エアルドフリスの炎が背を焼く。剣妃は艶かしい悲鳴を上げ、両腕を広げた。
「ああ……イイ! この痛み、き、気持ち……イイ~……っ」
 ぞっとする程恍惚とした表情。傷は与えている筈だ。だがまるで優位に立てた気がしない。
「ぐ、け、ご、け……けけけ!」
 首に刺さった矢を自ら捻じりながら笑う。その傷口から青い血が霧散し、周囲に広がっていく。
 次の瞬間剣妃を中心に青い光が迸った。まるで浄化結界を反転させたような光はハンター達の自由を奪う。
「何ダ、アレは……!?」
 冷静に回復を続けていたアルヴィンも驚きを隠せない。まるで空間が歪んで蜃気楼を作っているかのようだ。
「あそこだけマテリアルが遮断されてる……!?」
 エイルの放ったヒールが前衛に届かず消される。それどころか光は剣妃に吸収された。
 レイス、アウレール、エリシャそれぞれの傷口から生命力が吸収される。それは剣妃の傷を癒やし、更なる力を齎す。
「ふふふ……あっはははは! あぁ~、もう我慢するの辛いよぉ! イッちゃってもいいかしらぁ!?」
 剣妃を取り巻く無数の血の剣が一斉に後衛へ向けられる。その数二十四。
 二十四の結晶の矢が放たれた瞬間、レイスとエリシャが射線を遮る。
 二人は次々に飛来する結晶を武器で弾くが、間に合わず体中にそれらが突き刺さる。ジュードも矢で、エアルドフリスも風の刃で妨害するが抑えきれない。
「だめぇっ!」
 器を守る為盾を手に前に出るエイルとアルヴィン。結晶が爆ぜ、衝撃が二人を襲った。
「リッチー……エイルさん! くそ!」
 悔しげに叫ぶジュード。アウレールはその間も剣妃へ突っ込んで行く。
「これ以上はやらせん……!」
「堪え性のない事だ、器を今壊してもつまらんぞ。再生か、より大きな破滅か……興味はないかね?」
 遠距攻撃は結界に遮断される。エアルドフリスも前に出るしかない。内側に踏み込みながら魔法を放つその声に剣妃は笑う。
「本当に何も知らないのねぇ?」
「何?」
「あの器を守った事、きっと後悔するわ」
 次の瞬間、六式結界の展開が終了した。それは歪虚CAMが撃破され、作戦が成功した事を意味する。
「あらぁ……もう終わりなのね」
 でももう少しと振るった鎌をアウレールが受け止める。
「やらせんと言った!」
「あなた本当にしぶといわね。だけどその守りたい物も、簡単に失われる」
 空中から血の槍がエアルドフリスへ放たれる。青い血は余りにも速度が早過ぎる。回避も防御も間に合わないと覚悟した時、突然身体が横に引かれた。
「もう十分だ、引きな」
「あんたは……?」
 エアルドフリスとアウレールを連れて青い結界から出たのは執行者の男だった。
「久しぶりだが話は後だ。見ろ、お仲間の到着だぜ」
 剣妃の側面から銃弾と魔法が飛来し、青い結界に阻まれる。
「様子を見に戻ってみれば……なんだあれは」
「やっほー、生きてるー?」
 Charlotteとユノが相反する声をかける。キヅカは目を細め。
「あれが四霊剣、剣妃オルクスか」
 一方、別の結界からも仲間が駆けつけていた。
「無事であったか、エアルド殿」
「ダリオ……」
「死を覚悟した挙句男に抱えられるとはな。だが、無事で何より」
 少し頬を赤らめ、慌てて執行者から離れるエアルドフリス。ルナはアルヴィンを見つけ。
「アルヴィンさん、大丈夫!?」
「ギリギリでエイル嬢ごと後ろニ跳ンデ衝撃は逃がシタからネ」
「人柱関係は消耗凄いんで支援役と置いてきたぜ」
 ニヤリと笑うジルボ。銃を構え、仲間のハンター達と一斉に攻撃する。
「うわ面倒。まあいいわ、今日は退散退散……っと」
 青い光と血の盾で攻撃を遮断し、翼を広げ舞い上がるオルクス。数で圧倒的優位にあった筈のハンターが感じたのは、強い安堵であった。

「無事で本当に良かった……」
 自分の傷も後回しに器をヒールするエイル。器はヴェールをかけ直しながらエイルを見ている。一方アルヴィンも仲間達に回復を配り。
「ごめんリッチー……守りきれなくて」
「気にスル事ないヨ! 皆こうシテ生きテルしネ!」
 俯くジュードに笑いかけるアルヴィン。とは言え前衛三人の傷は相当深い。エリシャもレイスも攻撃を庇って気を失ったままだ。
「ジエルデお姉さん、無事でよかった―ぐえっ、なに?」
「や、やめとけ。あいつらに近づくとヤバい。俺が保証する」
 駆け寄ろうとしたユノの首根っこを掴むジルボ。あの時感じたのと同じ殺気が執行者から放たれている。
 一方Charlotteは青い血の痕跡を見つめていた。じわりと蒸発していく様は雑魔の最期を思わせる。
「剣妃オルクスの青い血、だね」
「ああ。色々と考える事が増えそうだ」
 キヅカの声に頷くCharlotte。結界の消えた空は青く、ハンター達の勝利を穏やかに讃えていた。

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MVP一覧


  • カグラ・シュヴァルツka0105
  • 優しさと厳しさの狭間
    エリシャ・カンナヴィka0140
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツka0352
  • ユレイテルの愛妻
    イーリス・エルフハイムka0481
  • 愛しい女性と共に
    レイスka1541
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカーka1990
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルムka2383
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラントka2531
  • 幸福な日々を願う
    フローラ・ソーウェルka3590

重体一覧

参加者一覧

  • 一刀必滅
    ナハティガル・ハーレイ(ka0023
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師

  • カグラ・シュヴァルツ(ka0105
    人間(蒼)|23才|男性|猟撃士
  • 優しさと厳しさの狭間
    エリシャ・カンナヴィ(ka0140
    エルフ|13才|女性|疾影士
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツ(ka0352
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 空を引き裂く射手
    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 金色の影
    Charlotte・V・K(ka0468
    人間(蒼)|26才|女性|機導師
  • ユレイテルの愛妻
    イーリス・エルフハイム(ka0481
    エルフ|24才|女性|機導師
  • 無邪気にして聡明?
    ユノ(ka0806
    エルフ|10才|男性|魔術師
  • スカイブルーゲイル
    マコト・タツナミ(ka1030
    人間(蒼)|21才|女性|機導師
  • ガーディアン
    那月 蛍人(ka1083
    人間(蒼)|25才|男性|聖導士
  • アルテミスの調べ
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 愛しい女性と共に
    レイス(ka1541
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 光森の奏者
    ルナ・レンフィールド(ka1565
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ライフ・ゴーズ・オン
    ジルボ(ka1732
    人間(紅)|16才|男性|猟撃士
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 帝国の猟犬
    ダリオ・パステリ(ka2363
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • ツィスカの星
    アウレール・V・ブラオラント(ka2531
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 愛にすべてを
    エイル・メヌエット(ka2807
    人間(紅)|23才|女性|聖導士
  • 【Ⅲ】命と愛の重みを知る
    フェリア(ka2870
    人間(紅)|21才|女性|魔術師
  • 大いなる導き
    ジェールトヴァ(ka3098
    エルフ|70才|男性|聖導士
  • 幸福な日々を願う
    フローラ・ソーウェル(ka3590
    人間(紅)|20才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鬼塚 陸(ka0038
人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/01/09 20:53:03
アイコン 第三結界担当相談場所
マコト・タツナミ(ka1030
人間(リアルブルー)|21才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/01/09 21:42:52
アイコン 第四結界担当相談場所
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/01/09 21:08:27
アイコン 剣妃班相談卓
ジュード・エアハート(ka0410
人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/01/09 21:14:02
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/06 22:51:33
アイコン タングラム君に質問☆
アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
エルフ|26才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/01/09 21:44:22