• 東幕

【東幕】退かせぬ戦い

マスター:電気石八生

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
6~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/03/17 09:00
完成日
2019/03/20 18:17

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●出陣
 狐卯猾、撤退。
 恵土城を取り巻く憤怒群の陣にてその報を受けた憤怒は、その麗しい鬼面に笑みを浮かべて言い放った。
「助けてやる義理なんざ、僕にはないな」
 下品と上品が混ざった口調で、重ねる。
「こちとら子飼いを殺されているのだ。その怒りを晴らさねぇうちは、他に構っている暇なんざあるものか」
 真紅の陣羽織を脱ぎ落とし、その体に宿した無数の鬼面を露わして。
「クモザルや下忍どももよく染みたころだろう。あの城、一気に獲るぞ」

●復活
 恵土城の北より多数の歪虚が襲来。
 先日植樹された神霊樹の分樹の様子を見に来ていたゲモ・ママ(kz0256)は、他のハンターたちと共に北虎口の防衛にあたっていた。
 コレ、どう見たって陽動だからねぇ。城の主力は南と西に備えてもらわなきゃ。
 先陣を切って敵へ突っ込んだママの拳がコンビネーションを刻み、犬型魔獣の頭蓋を爆ぜさせるが。
「いったぁ~い!! 足に噛みつくの禁止ぃっ!! アンタたち歪虚の誇りってもんがねぇわけぇ!? 来るんなら大胸筋狙いとかで来なさいよぉ!!」
 次々と下から噛みつきにくる魔獣どもに取り巻かれ、緑のアフロを振り乱した、そのとき。
「普通に胸って言えないとこがアレだよねぇ」
 男女の別の知れない高い声音が二丁拳銃の連射音でさらに高く跳ね、ママを引きずり倒そうとしていた魔獣をまとめて吹き飛ばした。
「憤怒本隊の様子は!?」
 体勢を立てなおしたママは、支援射撃を受けながら魔獣に右拳を打ち下ろし、叩き割る。
「予想どおりに動いたよ! 雑魔はそれなりに迎撃してるんだけど、問題は大将だね。なんか体中にいっぱいついてる顔から火とか噴きまくり! 大門の守備隊は城主(仮)さんの指示で後退してる。いちおう機動防御なんだけど……」
 銃を撃つ反動で桃色のアフロをわさわささせつつ報告したのは――ママとおそろいの精霊から加護を受け、男の娘ハンターとして第二の人生を歩み始めた天王洲レヲナ(kz0260)だ。
 とはいえ彼が普通の依頼に向かうことはない。ドナテロ・バガニーニの元で暗部の仕事に携わっていた経歴を生かし、こちらも真っ当とは言い切れないママの「家事手伝い」をしているのだった。
「火力で止めらんないなら二の丸まで下がるしかねぇわよねぇ。ただ、う~ん。そうなると北も陽動だけじゃなくって挟撃要員なわけよね。ってこた、東西からの包囲は抑えてぇわけだけど――」
 ママとレヲナの背を、轟! 押し流されてきた爆音が叩きつける。
「爆発、土井尻のほうだよ」
 レヲナの言葉ですべてを察したママは顔を歪め。
「こないだの憤怒が悠々と土井尻歩いてきたワケ、そういうことだったのね」
 あれは侵攻であると同時に仕込みでもあったわけだ。可燃性の血かマテリアルを地へ染みこませ、本隊の前進に合わせて土井尻を爆破するための。
 それはつまり――

●覚悟
「ご城主(仮)殿! 爆破された土井尻に火の手が拡がり、次々と家屋が燃え落ちてござる!」
 報告を受けた大平正頼はふがふが、歯ならぬ歯茎を噛み締める。
 爆発自体は土井尻すべてを侵すようなものではなかった。しかし、問題はその後だ。負のマテリアルを含んだ炎は速やかに燃え広がり、東へとその赤き魔手を伸べている。この勢いならばほどなく、外堀に面する土井尻は燃え尽き、その迷路をもって敵の足を止めることはかなわなくなるだろう。そうなれば。
「ふがふがふ、ふがふがふがふがふがふがふが」
 南と西から、容易く外堀を囲まれるわけじゃ。
 正頼はふがふが防衛軍への指示を出し、背後の刀掛に横たえられた愛刀を返り見た。
 今日こそ、我が兵法を振るうときとなるやもしれぬの。

●疾
『東西南北、やるこたぁいっぱいあるわよぉ! 二の丸越えられたらもうどうにもなんねぇからね!』
 緊急要請に応え、転移門から飛び出してきたハンターたちへ通信機越し、ママが告げた。
『アタシとレヲ蔵はこのまんま北を抑えるわ! アンタたちは東西南、どこでもいいから向かって憤怒を押し返す手伝いしたげて! こうなったらもう被害とか言ってる場合じゃねぇから、なるべく気をつけるってくらいでかまわねぇから!』
 そしてママは声音を濁らせ。
『恵土城が落とされたら分樹が燃やされるってだけじゃなくって、なんとか持ちこたえてきた東方は今度こそ孤立して歪虚に押し潰される……それだけは絶対、阻止しねぇとだからね!』
 じゃあ、後よろしく!!
 通信がぶつりと切れて。
 ハンターたちはうなずきを交わし、駆け出した。

リプレイ本文

●三叉
「僕に追い越された奴は取って喰うぞ! ……と、雑魔風情にゃ理解できないか」
 鶴翼陣の中央を行く鬼の少年が、まわりの妖魔どもへつまらない顔を向けた。
 話し相手にクモザルがいればな。まあ、戦は始まれば無聊も晴れるだろうよ。

「敵本隊接近中。私は右翼に回り込み、翼を折り畳ませないよう引きつけます」
 エルバッハ・リオン(ka2434)は、右手に引っかけたトランシーバーと魔導スマートフォンへ告げ、左手の軍用双眼鏡越しに敵群を見やる。
 敵に急ぐ様子がないのは、本隊自体が別働隊の囮として機能しているからなのだろう。
 恵土城を失えば東方での戦いは敗北ですか。となれば、死守する以外にないわけですね。まあ、歪虚との戦いではよくあることですけれど。
「ガルム、行きましょう」
 エルバッハを背に乗せたイェジド“ガルム”は低く喉を鳴らし、主が携帯品を収めて身を低くしたことを確かめた後、加速。敵陣の右翼の先へ大きく回り込んでいった。

「わふぅ。せっかくおもしろそうな形で来てくれましたけど、僕が遊びたいのはリーダーさんだけですー」
 屈託なく小首を傾げたアルマ・A・エインズワース(ka4901)の両眼がすがめられた、次の瞬間。実なき黒衣が彼を包み、伸び出した牙が酷薄な笑みを飾る。
「ほとんどの生き物は頭が取れれば死ぬ。お兄ちゃんが言ってましたけど……憤怒さんなら死なずに生き延びてくれますかぁ?」
 うきうき小首を傾げる彼を乗せ、リーリー“ミーティア”が助走をつけて跳んだ。中央に展開する妖魔を一切無視し、最奥の鬼の頭上すらも越えようとするが。
「さすがに僕をなめすぎてんじゃねぇのか?」
 鬼の体から浮き上がるいくつもの鬼面が火球を吐き、同時に妖魔の弓兵が矢を放つ。
「見逃がしてくれてもよかったんですよぉ?」
 矢をかわし、よけきれぬ火球を錬金杖「ヴァイザースタッフ」で受け止めたアルマはミーティアを着地させた。
 当然のごとく、敵弓兵は彼へ狙いをつけるが。
 飛来した2発の4.75インチ火炎弾、その1発が鶴翼の端を焼き、もう1発が陣前に降り落ちて爆煙を噴きあげさせ、敵の視界を塞ぐ。
「アルマ、今のうちに体勢立てなおせ!」
 果たして煙の内より駆け出したのは、槍の形をとらせた星神器「ヴァサヴィ・シャクティ」を構えたレイオス・アクアウォーカー(ka1990)だ。
 槍妖魔の攻めを肩で撥ね飛ばし、体を横に回しながら穂先を薙ぎ払った彼は、そのまま前へ踏み出して次の一群を相手取る。
「無闇に跳ね回るのじゃねぇ!」
 鬼の撃ちだした火球がレイオスを押し包んだ。
 しかし彼の体が焼かれることはなく、炎を割って踏み出したレイオスは槍をかざした妖魔の胸を貫いて。
「だったらおまえが止めてみろ!」
 彼を護ったものこそは、ヴァサヴィ・シャクティに込められたスキル“兵主神”。無敗の加護により発揮される攻防二種の一方で、4度のダメージを任意に無効化する防御スキルである。
 さらに続く妖魔を石突で突き放したレイオスは、魔導パイロットインカムを通して刻令ゴーレム「Volcanius」“ドラングレーヴェ”へ指示を飛ばした。
「土井尻に火をつけてくれたお返しだ! ドラング、灼き尽くせっ!!」
『俺様ちゃんも出るじゃーん!』
 フル回転するエンジンの野太い咆吼響かせ、戦場を押し割って現われた鋼の巨兵――ゾファル・G・初火(ka4407)の駆るガルガリン“ガルちゃん・改”。
 白兵特化を極めた結果、胸部及び腕部に装甲を盛り上げ異形を成したガルちゃん・改は、斬艦刀「天翼」ばかりでなく、自らの超重量をもって妖魔をミンチに変えていった。
『やあやあ、俺様ちゃんはゾファルちゃんじゃん! 俺様ちゃんに死地ってやつ、見せてくれジャン!』
 しつこく射かけられる矢を豪腕で払い、巻き起こした風を鬼へと叩きつける。
 それを薄笑いで受けた鬼は口の端を吊り上げ。
「もうじきに見せてやらぁ。だからよぉ、根性を据えて来い!」
 対してゾファルは斬艦刀を収めていた鞘を力任せに地へ突き立て、背でかばうようにガルちゃん改を仁王立たせた。
『来んのはそっちじゃーん!? できるってんならこの鞘越えて行ってみな? その前に俺様ちゃんがその顔全部潰してやんぜ!!』
 鶴翼の動きを封じる手は打っていたが、それは戦力の分散を意味するものでもある。各個撃破されないためにも、要たる自分たちが攻め抜かなければ。

 中央を攻めるハンターたちを包み込もうと、鶴翼がゆるやかに閉じ始める。
「歪虚なんかに屈しはしない! 城も人々の暮らしも護ってみせる! ざくろの新たなる力をもって!」
 敵本隊左翼の始動を見据えた時音 ざくろ(ka1250)が高らかに告げ、その精神を自らの内へと満たした刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」、“魔動冒険王『グランソード』”が立ち上がった。
 すごい。まるでざくろがゴーレムになったみたい――よし、これなら!
『フィールド展開、グランマキシマム発動!』
 Fシールド「ハイラハドム」を先行させて矢を払い、敵陣へ突っ込んだグランソードは不退の駆の力でさらに敵兵を弾き飛ばした。
『雑兵ども、このざくろを止められるものなら止めてみろ!』
 グランソードそのものと化したざくろは無数の敵兵へ、オーラまとう機剣「イフテラーム」の切っ先を突きつけた。


 こちらは火の手が拡がりつつある土井尻。
 南條 真水(ka2377)は“南條さんのぐるぐる眼鏡”のブリッジに指先を滑り込ませ、浮いた汗をぬぐった。
 南條さん、暑いのも熱いのも苦手なんだ。こうも火に煽られたらすぐに参っちゃうよ。だから。
「手早く行こう」
 次いで、傍らに控えたオートソルジャー“アイギス”へいくつかの指示を与え、城の守備隊にも協力を要請して……自らは魔箒「Shooting Star」に跨がり、上空の“雉”へと向かう。
 土井尻を包む火に風を送っていた雉どもが真水に気づき、大きく拡がった。ふむ、少しは考えて行動してるんだね。
『敵は散開して、範囲攻撃に備えてるよ! 追い立てて寄せて、一気に叩く!』
 場の味方全員へ聞こえるよう、魔導拡声機「ナーハリヒト」を通して言い、錬金杖「ヴァイザースタッフ」を構えた。

「ってことで、あの羽付きはこっちで追い立てます! 寄せたとこを弓兵部隊のみなさんでバッチリ打ち抜いてやってくださいな! ――あ、この竜は仲間だから同士討ちに注意してくださいね」
 真水の要請に加えて念押しをした藤堂研司(ka0569)は、ワイバーン“竜葵”に指示を出す。
「竜葵、空からの追い立てと寄せは任せた! 俺は地上から狙う!」
 竜面をうなずかせた竜葵は翼はためかせてまっすぐ空へと上がり、放たれた矢のごとくに端の雉目がけて加速した。
 速度で雉を上回るワイバーンである。急旋回で回り込み、引き離そうとする雉をその爪牙とファイアブレスの火炎弾とで着実に追い詰めていく。
 よし、次は俺の番だぜ!
 ポジショニングを定め、自らが製作に関わった研司砲による牽制射撃で竜葵をフォローした。制圧射撃の効果を発揮するため、もう少し寄せておきたい。
 ……ほんっと、やることいっぱいだな。でもやってやるさ。1匹だって逃がさねぇ!!

「文字どおり、飛ぶ鳥を落とすとしましょう」
 オファニム“OFM86”のコクピット内、四十八願 星音(ka6128)はうそぶいた。
 自らの射撃によって雉どもがどう回避するかを高速演算し、ヘビーガトリング「イブリス」の弾雨を叩きつける。
 当然、そのとおりに動いてくれる敵ばかりではないわけだが、一部は確実に計算に沿って弾を避け、真水や研司、弓兵たちの射程内へ飛び込んでいき、その軽率の報いを受けることとなった。
 わたしの故郷、LH044は喪われました。でも、だからこそ第二の故郷と言って差し支えないクリムゾンウェストは死守せねばなりません……!
「Go、ハチロウ!!」
 反撃の風魔法が届くより早く、ゲシュペンストをゆらめかせて回避した星音は、OFM86を次なる射撃ポイントへ駆けさせる。


 城の東。外堀に沿って横列を組んだ守備兵に守りを任せたハンターふたりは、家屋の影に潜んで迫り来る工兵小隊へと向かっていた。
 はいはーい。お耳のコイビト、カーミンよ♪
 ポロウ“No.4”の背に乗るカーミン・S・フィールズ(ka1559)は、胸中で言いながら目線を下界へはしらせる。
 これまで鬼の率いる妖魔群と戦ってきた守備隊から、工兵が音に反応するらしいことは告げられている。せっかくの美声を聞かせられないのは残念だが、声と息とを潜め、隠密に行動しなければならなかった。そのため、No.4に限界まで高度を取らせておいて、そこからの滑空で羽音も消している。
 ちょっとしたがまん比べよね。負けてあげるつもりも、いつまでもつきあってあげるつもりもないけど。……ま、そのためにもまずは敵の数を減らさないとね。

 そしてイェジド“レグルス”に跨がり、地を行く鞍馬 真(ka5819)。道をなぞって駆け、ときに塀や屋根の上へ跳び上がって辺りを見渡し、工兵を探す。
 まだ見つからないか。工兵の歩みは思ったより遅いとみるべきだな。
 レグルスの首筋を指先で叩いて前進を指示しておいて、イヤリング「エピキノニア」をノックしてカーミンへ『敵、発見できず。前進する』の合図を送った。背を預けられる友だからこその融通である。
 工兵はチームを組んで動いているはず。ただし抱えているのが爆薬である以上、密集しているとも思えない……無理な連携を考えず私とレグルスで各個撃破に努めるべきか。
 そうであっても、敵の位置情報と味方の位置関係を明確にしておきさえすれば、間接的な連携は取れる。
 連絡は密に、ただし密やかに、だ。

●支戦
 土井尻を包む炎は刻々と勢いを増し、迷路を燃え落としつつある。
 その上空では、真水と竜葵が雉どもを相手にドッグファイトを繰り広げていた。
 よし、そのままだ。そのままだよ。
 1体の雉の後方に貼りついた真水が錬金杖「ヴァイザースタッフ」を構える。
 それを察した雉は体をひねり、射線から逃れて斜め下へ向かった。さらにはもう2体の雉が左右からサポートに入り、真水を風魔法で挟撃、体勢を崩させる。
 さすがに1対3はきついな。でも、南條さんだってぼっちじゃないからね。
 魔箒の出力を絞って急減速した真水は体を大きく振った。
 彼女がバランスを崩したことを確信し、2体の雉は一気に襲いかかってきたが。
 すでに真水の姿はそこになかった。ポストストール機動――失速した戦闘機を回転させながら落とし、敵をやりすごす空戦機動――からの再加速で追い抜いていたから。
 もちろん、言うほど容易い機動ではない。戦闘機のような可変式ノズルを持たない箒を立体機動させつつ前へ飛ばしなおすため、真水は墜落しながら箒と自分の角度を計算し、調整している。
 問題は南條さん、揺れると酔うってことなんだよね……。
 アクロバットの代償は、真水の顔色を見れば存外に大きいのだと知れるが、ともあれ。
 すり抜けゆく真水を追うべく、雉どもがあわてて振り向いたとき。
 地上で腰を据えたアイギスがプラズマライフル「イナードP5」を撃ち、1体の雉の片翼を付け根から蒸発させた。
 停止した状態から高機動で飛び回る敵へ狙いを定めることは難しい。しかし、その速い敵が一瞬でも停止したなら、それはこちらにとって引き金を引くチャンスとなる。
 飛ぶための力を失った雉はそのまま下方で燃えさかる炎へと墜ち、跳ね起きたところを殺到した矢で貫かれて息絶えた。

 離脱を試みたもう1体は、思うように飛べぬ原因をようようと視認した。自らがすでに、微塵に引きちぎられていたことを。
 焦ることで挙動は飾りを失い、シンプルになります。そうなればスキルに頼らずとも確実に動きを予測し、撃ち抜くことができる。
「ターゲットの撃墜を確認しました。他の雑魔は回避行動を終え、さらに散開しています。私は土井尻へ風を送り込もうとしている個体を最優先で狙い、制圧射撃の実行機会を窺います」
 星音は通信で味方全体へ報告し、OFM86のモニタアイを巡らせた。
 レーダーを通して彼女へ届く雉どもの情報は、そのすべてがこちらに時間がないことを示している。
 土井尻が燃え落ちれば、西側に広い空間ができてしまいます。そうなれば南の守備隊を避けて、敵の軍勢が雪崩れ込むでしょう。今の恵土城では二面攻撃を受けきれません。
 星音は頭を振って息をつく。
 焦るよりも今は正確な情報を得て先を読まなければ。わかってはいても、気が急いてしまいますけれど――岡目八目と云います。離れていなければわからないことを見通し、見逃さないことが射手たる私の役目ですから。

 一方、真水が最初に狙っていた雉には竜葵が向かっていた。
 下から飛びだした彼女は面を雉へ向けたまま体を流し、行く手を塞ぎながら自らを対面させた。マニューバ・フックと呼ばれる空中ドリフトテクニックだが、空に生きるワイバーンであればこそ可能な、大胆にして繊細な機動である。
 竜葵はそのまま翼をはばたかせ、左右から揺さぶりをかける。
 雉は風魔法を撃ちながら距離を開けようとするが、獣魔爪「キャスパリーグ」の先に脅かされながらの急制動を繰り返すたび、姿勢を崩していって。
「そこだ!」
 研司の研司砲が野太い咆吼を響かせ、雉の胴を穿って噴き飛ばした。
 墜ちゆく雑魔を見やりながら、研司はしかめた眉根をさらに引き下げる。思った以上に雑魔が固まってくれないな。でも、時間かけて追い詰めてたら土井尻が全部燃えちまう。
 幸いにして、空にも地にも頼れる仲間がいる。数の不足だけが悩ましいところだが、足りないものを考えるより、ここは無理矢理でも不足を埋めに行くべき場面だろう。
「――星音さん、南條さん。雑魔、ちょっと強引に寄せよう!! 竜葵がきっかけ作るから連携頼む!!」
 研司の大声に、『了解しました。計算は私が』と星音が返し、彼の言葉を聞くべく高度を下げていた真水もまた箒の穂先を振って了解の意を伝えてくる。
 さて、ここからが本番だぜ!


『敵工兵確認。しとめる』
 イヤリングをノックし、カーミンに信号を送った真はレグルスの背から降り、塀の影に身を潜めた。
 工兵は家屋の内を伝い、移動しているようだ。それだけに歩みは遅いが、外から姿を見定めるのは難しい。おかげで見つけるまでに手間取ってしまった。
 しかし、これで敵の進路が限定できるな。外堀の際まで続くルートはそう多くない。
 胸中でうそぶきながら、待って、待って、待って……あまりに長い十数秒の後、背に爆薬を負った妖魔が姿を現わした。
 音を立てれば他の工兵に気づかれるかもしれないが……狼煙を上げられるよりはましか。
 真のゴーサインを受けたレグルスが夜闇を渡り、身構えかけた工兵の喉へ牙を突き立てた。声ならぬ濁った音を絞り出す獲物を、強くがぶって家の内へと押し込んでいく。これなら外で片づけるよりも少しは音が抑えられるはずだ。
 忍び寄った真は、跳び退くレグルスに合わせて魔導剣「カオスウィース」を工兵の喉へ部位狙いで突き込み、トリガーを引いた。果たして彼のマテリアルが変じた光闇が小さく爆ぜ、工兵の首を胴から飛ばす。
 指示するまでもなく、飛んだ首を宙でキャッチし、戻ってくるレグルス。
 それにうなずいてみせ、真は負われていた爆薬を鋭い視線でなぞった。伸び出した紐を引けば点火する、単純な作りのようだ。
 これなら回収は難しくないが、大立ち回りを演じられない分、難しい仕事になりそうだな。
 レグルスに穴を掘らせて爆薬を埋め、真は続く工兵の予想進路をなぞって動き出した。

 カーミンは、見つけるホーでNo.4が感知した工兵3体の位置を胸中にマーキングし、もっとも先行している工兵へ向かう。
 シンさんに知らせたいところだけど、後続を見つけてもらうほうが先だものね。
 数が特定できなければ、後詰めの槍兵たちに始末を任せていいものかも判断ができない。そのため、あえて彼女は真を先行させる形で距離を開けているのだ。
 1体はシンさんがしとめてくれたから、こちらの3体と合わせてあと数体ってところかしら。――すぐ2体とあと数体になるけれど。
 No.4を工兵の侵入した家屋の屋根にとまらせ、降り立った自らは両足をしっかと開いて体勢を整え、蒼機弓「サクラ」につがえた矢の尻をまっすぐ下へと向けて。
 三歩、二歩、一歩……すべてがもう遅きに失したこと、あの世で思い知りなさい。
 射放された矢は屋根に箆(の)の太さと等しい小さな穴を穿ち、その直下へ達した工兵の脳天から股下までを貫いた。
 ああ、畳にまで穴を開けてしまったみたいね。家主には申し訳ないけれど、必要な犠牲だったのよ。
 できれば真同様に爆弾を仕末したいところだったが、その間に2体が加速し、外堀まで達してしまえば守備隊に少なからず被害が出よう。命に優先順位をつけることをためらう気はないが、不必要に損なわせる気もない。
 できることなら、最後まで静寂を保ったまま、綺麗にすませたいわね。

●激突
 鬼の左右に位置する妖魔が、大将への道を塞いでハンターたちへ迫る。鶴翼が畳まれきれば、いかな手練れであれ数に巻かれて押し潰されるだけだ。
 そんなことをさせるつもりはありませんけど。
 エルバッハは、足を止めたガルムの背より、先にある敵右翼へとすがめた目を向けた。
 誰よりも早く戦場に辿り着いていた彼女が戦いを開始していないのは、始めてしまえばもう止まることはできないからだ。そして、なにより効果的な初手を打つことで、自分と仲間の“次”が大きく拓かれる。
 いきます!
 数十秒をかけて練り上げたマテリアルを、一気に錬金杖へと流し込んだ瞬間。
 ガルムが全速で駆け出した。
 エクステンドキャストの難点は、発動中に術者が無防備となることだ。それを抑えるため戦場の端に待機して、仲間の攻めの影でひたすらにマテリアルを高め続けてきた。すべては鶴翼の先端が中央へ向かおうと背を向ける、そのときのために。
 ガルムの急接近に気づいた妖魔どもが振り返り、見た。
 少女が掲げる杖の上空にて燃え立つ三つの炎塊を。
 それらが次々と、自らや同胞目がけて降り落ちる様を。
 果たして。濃密なマテリアルをくべられ、極小の太陽さながらの豪炎を成したメテオスウォームが、妖魔どもを芥すら残すことなく灼き尽くす。
 虚を突かれ、鶴翼の先端を失った妖魔群は乱れたが、それでも翼を閉じることをやめようとはしなかった。
 命令が最優先ですか。それなら。
「ガルム!」
 咆哮で応えたガルムが妖魔群の鼻先をかすめて駆け、群の動きを阻害する。そこへ恵土城守備隊の鉄砲部隊からの支援射撃が届き、彼女の牽制を助けてくれた。ありがとうございます。これでもう少し、鶴翼の閉じる時間を遅らせられます。
 移動はガルムに任せ、エルバッハは殺到する矢刃にかまわず再びのエクステンドキャストを発動させた。
 ここからいそがしくなりますが、私は急かされることなく私の任務を完遂しましょう。

『光り出でよ、汝グランソード! 一刀両断リヒトカイザー!!』
 高く告げたざくろが、霞に構えた機剣を突き込んだ。
 切っ先から伸び出したマテリアルの光刃は鶴翼を貫き、妖魔の陣を文字どおりに突き崩す。万象の器を乗せ、剣身の“長さ”をいや増した光あれ。その一閃だ。
 対して妖魔群は同胞の屍を踏み越え、弓での反撃を行いながら長槍で突貫。ざくろの足元を攻めたてる。
 浮遊盾でこれを押し留めたざくろは、グランソードの装甲の内で歯がみした。
 これはただの牽制だ。ざくろを足止めして、その間に鶴翼を閉じようとしてる。
 鶴翼が閉じてしまえば中央に斬り込んだ仲間が危ない。できることならもっと内へ踏み込んで、閉鎖を抑えてしまいたいところだが……いかなグランソードとはいえ1機で果たせるものではなかった。
 守備隊に背後の抑えを要請しておくべきだったな。
 でも! ここからだってできることはある!
『突入の機はざくろが作るよ! つわものたち、続け!!』
 魔導パイロットインカムと外部拡声器、両方で呼びかけ、ざくろはマテリアル光を強く輝かせる機剣を掲げて踏み出した。この光が仲間へ、守備隊へ見えるように。
 敵の穂先を脛装甲でいなし、地を踏みつけた瞬間に体を巡らせて矢を払ったざくろが、その回転に乗せて機剣を突き出す。そして敵を貫く刃の光を追い、駆け出した。
 ざくろは楔で、標だ! この命を光らせて、勝利を導いてみせる!
『時音 ざくろの一騎当千たる雄壮、遠からん者は音にも聞け!! 近くば寄って目にも見よ!!』
 雑魔へ刃と共に叩きつけ、彼は自らへ突き立つ命なき者どもの目線のただ中で咆えた。

 衆目を奪う奮闘と誰の目につくことのない暗闘、両者に支えられ、中央を担う3人は敵の大将たる鬼へと迫りつつあった。いや、正確には迫っているのではない。敵群の前進により、迫られている。
 ハンターの突撃よりしばし遅れて到達した守備兵たちも、数に押されて腰を据えての攻めに転じることができず、遠距離支援でなんとか形を保っているばかりであった。
「家来のみなさん、邪魔ですけどぉ?」
 アルマの放ったファイアスローワーの火扇が妖魔を押し包み、骨の欠片すら残してやらずに灼き尽くす。
 そこへ確かに巻き込まれたはずの鬼だったが……
「火を使う僕が火で焼かれるかよ!」
 逆に火球を吐きつけた。
 アルマの足元へ着弾すると同時に火球は大きく爆ぜ、周囲の妖魔ごと周囲を業炎の赤で押し包む。
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ、ですよぉ」
 駆け込んできたミーティアへ跳び乗り、炎を振り切ったアルマは挑発を残し、一旦ガルちゃん・改の後方まで下がった。
 やっぱり追ってきてくれませんか。火属性の割に冷めてますねぇ。
 肩をすくめて息をつく。妖魔の陣は厚く、敵将は冷静だ。これで鶴翼の右翼と左翼をざくろ、エルバッハが抑えてくれていなければ、あっという間に押し潰されていたかもしれない。
 引きずり出して、喉元に牙を突き立ててあげたいところですけど。結局は地道に雑魔をかき分けて、会いに行くしかありませんか。
 それができるだけの火力が、アルマにはあるのだから。
「さておき。僕が流す血を贖ってくれるだけの血を、鬼さんは流してくれますかねぇ?」
『小難しいこたぁいいじゃん! 俺様ちゃんの鞘越えてかれたらメンツ丸つぶれだぜ!』
 敵弓兵が矢を放った瞬間、エンジンをフルパワーで回転させ、アクティブスラスターに点火。ガルちゃん・改を超重量の砲弾と化し、妖魔を噴き飛ばしながら前へ。
 そして妖魔陣のただ中へ着地したと同時、太いマテリアルオーラを噴き上げる斬艦刀――絶対勝利剣を地へと突き立て、一気に薙ぎ払った。
 結果、巻き上げられた大量の土砂が矢を押し止める壁となり、次の瞬間には重さまとう豪雨となって妖魔どもを叩きつけ、埋め立てた。
「無茶やらかしてくれんじゃないか!」
 大きく空いた戦陣をながめやり、鬼は号令を下す。槍兵は取り囲んで足首を壊せ。弓兵は目を潰せ。
 ガルちゃん・改は低く身をかがめて関節部と面を装甲で隠し、マテリアルカーテンを重ねた太い腕をもって無数の矢尻と穂先とを受けきって。
『おらぁ!』
 一気に体を伸べて刀を横薙ぎ、その遠心力で自らをも加速させて、ただのひと振りで前方の妖魔をまとめて斬り払った。
『待ちきれなくて会いに来ちゃったじゃーん!? で、ノックは何回したらいいよ?』
 空いた先へ踏み入り、鬼の前を塞ぐ妖魔の頭越しに言葉を投げ込む。
 これを聞いた鬼は眉根をしかめ、吐き捨てるように妖魔どもへ告げた。
「槍兵、僕の左右から外れねぇよう鶴翼を保て。弓兵は後方からの突撃を抑えとけ」
 人の手には余る長大な魔刀を手に、進み出た。
 ――目の前で挑まれて逃げるのはプライドがゆるさないか。なんにしても、ようやく大将のお出ましだ。手下を使ってふざけた仕込みをしてくれた礼はしてやらないとな。
 レイオスは無二の相棒たる闘旋剣「デイブレイカー」を抜き放ち、未だ鬼の前に残る妖魔へ突撃をかけた。
 その先を、ドラングレーヴェの炸裂弾が妖魔を拭き払い、拓く。
 レイオスは封印されし魔腕を触媒としてソウルエッジを闘旋剣にまとわせ、残る妖魔どもをその得物ごと薙ぎ払っていった。
「オレは黒の騎士、レイオス・アクアウォーカー!! 忍のクモザルでも名乗ったんだ! おまえも大将なら格に見合うだけの名乗りをあげてみせろ!」
「ふん! 僕の名を抱えて黄泉路を行きたいなら、鬼の火太郎と憶えておけ!」
 吐きつけられた火球を山吹の鎬で受け、レイオスは泡立つ肌をそのままに足を踏み出した。絶対防御の加護はすでに失われているが、気概はさらに燃え立ち、彼を加速させる。
「火太郎、確かに聞いたぜ。これで心置きなく剣を交わせる!!」
『鬼太郎ちゃんかよ! 盛り上がってきたじゃーん!』
「遊びに行くなら僕も誘ってくださいよぉ」
 同じく鬼を目ざして踏み出したゾファルとアルマの後方、陣を整えた守備隊もまた前進を開始し、激戦は速やかに乱戦へとその形を変えゆくのだった。

●我慢
「南條さんはそのまま4時方向に敵を押し込んでください。藤堂さんはポジションを6歩半前方へ。体勢を変えず、仰角45度で砲撃をお願いします」
 星音は瞳に浮かぶ照準器模様を瞳孔と共に引き絞り、雉どもの動きを追う。
「敵の進路を限定します。射線に注意を。カウント、3、2、1」
 ヘビーガトリングの弾幕で雉どもを横から押しつけ、結果を目視しながら射撃位置を変えて、また重い銃身を腰だめに構えて機体を固定する。
 脳が痛みますね……痛覚はないはずなのに。
 今、彼女は回数に制限のあるOFM86の高速演算を温存し、自らの眼と思考によって指示を出していた。
 命なき雑魔とはいえ、瞬発的な挙動は人に劣らずこなしてみせる。だからこそ、雑魔の能力が及ばぬ策をもって戦うのだ。
 とはいえそれを実現するため、彼女が差し出した代償はけして小さなものではない。目に見える損傷を受けずとも、人は激しく損耗するものなのだと思い知らされる。
 と。OFM86が警告音を鳴らし、雉の1体が“檻”から抜けだそうとしていることを告げた。
『弓兵隊、私に続いて射てください!』
 ガトリングの砲口を巡らせ空に一文字を描き、星音が守備兵へ促した。
 あと少しです。あと少しで、ドミノを並べ終えられる。それまでで構いませんから煮えずに保ってくださいね、私の頭。

 降り落ちる風魔法をアイギスの守りに任せ、弓兵たちは雉どもへ下からプレッシャーをかける。それを要請した真水は魔箒の上で小さくうなずいて。
 ようやく機能し始めた。つまり、敵がそれだけ固まってきたってことだね。
 バレルロール――半円軌道を描き、スピードを保ったまま距離を稼いで敵の後ろを取る空戦機動――で雉の尻へつき、柄先を微妙に下へ傾けておいてミカヅチを撃ち込んだ。まっすぐに飛んだ光線は2本が外れ、1本が雉の尻をかすめてあわてさせる。
 もちろんこれはフェイクである。下手に当ててしまい、せっかく誘導してきた敵を散らしてしまわないための。なにせ各個撃破していたのでは土井尻が保たない。さらには範囲攻撃で2、3体減らせても、残りが炎上を煽りに行けば結局こちらの敗北が確定する。
 まったく、面倒な詰め将棋だね――と。
 横合いから突っ込んできた雉を攻性防壁で弾いておいて、バランスを崩させたところで蹴りつける。本当は意図を隠して危うげな空戦機動で偶発を装うべきなのだが、酔う質なので……。
 とにかく、焦らず急いで正確に、だよ。

 大きく羽を拡げた竜葵が滑空に移り、はばたきによる体軸のブレを抑えてファイヤブレスを吐きつける。
 狙われた雉はスライスターン――体をひねりながら下方へ斜め宙返りを打つ空戦機動――で火炎弾をかわして反転したが、研司の砲撃に追い立てられ、たどたどしいダンスを踊らされることとなった。
 よし、上出来だぜ!
 口に出さぬよう心の内で唱え、研司は自らを鼓舞した。
 雉は当てれば墜とせる相手だ。しかし、だからこそ墜としてはならない。今求められているものは殲滅。各個撃破に移らなければならなくなることは、すなわち戦略的敗北に陥った状況を指すのだから。
 残ってる羽付きは……いや、数で数えちゃだめだな。あと1体くらいはって、欲が出ちまう。
 こういうのはオセロの角といっしょだ。ひとつ抑えるだけで一気にひっくり返る。
 冷静になれよ、俺。チャンスの女神様の前髪を引っ掴んでやろう。


 城の東。
 それぞれ2体をしとめた真とカーミンは、互いに顔を合わせることなく静かなる戦いを続けている。

 とある家の広間にて、追い詰めた工兵と対する真。
 牙を剥いて牽制するレグルスへ、工兵は短刀を向けて腰を落とす。迎え討つためではなく、横をすりぬけようと狙っていることは明白だ。
 かといって、通してやるわけにはいかないのでな。
 ふっ。呼気と共に鞭刃へ変じさせた蒼機刀「ストレリチア」を工兵へ振り込み、真は手首のスナップを効かせて引き戻す。
 鼻先を弾かれて挙動を止めた工兵に、大黒柱を蹴ったレグルスが横合いから食らいつき、喉を噛み裂きながら引きずり倒した。
 と、その瞬間――工兵が爆薬に繋がる紐を引き。
「離れろ!」
 轟音が真の声音をかき消し、夜陰を揺るがせた。
 倒壊する家屋から抜け出した真は、自らとレグルスのダメージを確認した後、カーミンへ通信を飛ばす。
「すまない、足を止めようとして自爆された。おそらく他の工兵に私たちの存在を知らせるためだろう。私はかくれんぼから追いかけっこに移行する」
 この声を他の工兵が聞いているかもしれないことは承知の上だ。むしろそうしてほしくて声を張っている。
 この事態で状況が動く。工兵は私を避けて足を速めるはずだ。だから私は姿を晒して追い立てる。あくまでも、私はね。

 工兵の自爆を受け、カーミンがその位置取りを把握している工兵どもは一斉に足を速めた。
 大丈夫。了解してるわ、シンさん。かくれんぼは私が続けるから。
 真と守備隊へノックで工兵の情報を送り、カーミンはNo.4を南へ向かわせる。
 どれほどの知恵があるものかは知れないが、妖魔に戦術という概念があるならば、かならずしかけてくる。外堀へ辿りつく数は1体か2体いれば事足りるはず。ならば、あとはすべて囮だと考えてまちがいあるまい。
 問題は、その囮も本命になり得るってこと。背負ってる爆弾は本命も囮もいっしょなんだから。
 工兵のすべてをこちらで片づける必要はない。存在を特定できてさえいれば、守備兵に対処を頼むことができるからだ。そちらの連絡は真に任せるとして、カーミンの仕事はとにかく陽動に紛れて近づきつつある本命の仕末である。
 本命は最悪、自爆させても構わない。家屋が燃え落ちる代わり、ひとつでも兵の命が救われるなら、それでいい。


 射程外の敵を撃つため重機関銃「ラワーユリッヒNG5」を携えてきたエルバッハだが、どうやらその用意はいらなかったようだ。
 妖魔の数は多く、彼女の魔法と守備隊の鉄砲兵の射撃で削られながらも、徐々に鶴翼を閉じつつあるのだから。
 中央に斬り込んだ守備本隊がつっかえ棒役を務めているが、いつへし折れてもおかしくはない状況である。
 数の差はいかんともしがたく、結局は死守の様相となりましたね。その中で私ひとりができること、そしてやらなければならないことは、闇雲に数を減らすのではなく、減らすべき箇所を見極めて敵を討つことです。
 ガルムを駆り、敵陣へ躍り込んだエルバッハは、茨の紋様が巻きつく指先で錬金杖へマテリアルをくべ、伸べる。彼女が示す先――守備本隊へかかる敵槍兵隊のただ中に紫光が灯り、疾く超重力へと変じて妖魔どもを地へ叩きつけた。
 それを確認すると同時、ガルムにスティールステップを踏ませて大きく飛び退かせながら、守備隊へ告げる。
「鉄砲兵のみなさんは弾幕を密に! 本隊のみなさんは鶴翼の閉鎖を押しとどめつつ私に合わせて挟撃を!」

『グランソード、おまけだ! マジカル★ヒートレイ!』
 祈るように構えた機剣から扇状に熱線が放たれ、群がる妖魔どもを消し炭へと変えた。
 一瞬拓けた視界がすぐさま埋まり行くのを見やりながら、ざくろは奥歯を噛み締める。
 グランソードの装甲には無数の傷が刻まれており、剥き出された機械部はショートの火花に炙られてすっかり黒ずんでいた。
 多分800体以上は倒したはずだけど、倒した数は1000に足りないかな。
 ギ、ギギ。ざくろが燃やしたマテリアルを支えに、グランソードは機剣を強く握り込み、妖魔を討ってさらに一歩、二歩、進んで行く。
 その後方から、薄くなった敵陣をかき分けて守備隊の騎兵たちが突入してくるのを確かめたざくろは、最後に残された不退の駆を発動させ。
 一騎当千を謳った責任は果たすよ。グランソード、ざくろに力を――!!
 先まで駆け抜けたグランソードの後方、斬り散らされた妖魔が宙に舞い、その骸を地へとばらまいた。

「鬼さんはどこですかぁ? 手を鳴らしてくださいよぉ」
 シールド「クウランムール」を触媒とした攻性防壁で妖魔兵を弾き飛ばしたアルマが、進み出てきた鬼の顔を見て薄笑み。
「見ぃつけた。これでやっと遊べますねぇ」
 その間にも、ミーティアは主の背後で獣尾鞭「ガデューカ」を振るい続け、妖魔の追撃を打ち払っている。
「こちとら遊びに来たのではねぇ。城を落としに出張ってきたのだ」
 体の鬼面が火炎弾をばらまき、鬼の周囲に炎円を描く。
 気配を察してミーティアを逃がしたアルマはこれをもろに食らい――燃えながら、笑みを深めた。
「じゃあ、僕を殺さないとだめですよぉ。そうしなきゃここは通れませんから」
 アンチボディの障壁で炎を払い、アルマが踏み出す。悠然とした足取りで傲然と、鬼の前に立ちはだかった。
「ああ。もちろん、通してあげませんけど」
 錬金杖が描き出した術式陣から弾き出された無数の氷柱が鬼を、その後方の弓兵を一直線に打ち据え、凍りつかせる。
「完全には止められねぇか」
 氷柱に噛みついたまま動きを止めた肩口の鬼面を見やり、鬼は吐き捨て。アルマ目がけて強く踏み込んだ。
「なら、魔法が撃てねぇように腕を斬り落としてやろう」
 アルマは笑んだまま、迫る剣を無視して次なる魔法の術式を展開し続ける。なぜなら、そう。
「仲間の腕を斬らせるかよ!」
 レイオスがトンファーへと変じた闘旋剣で固めた右腕を割り込ませたからだ。
 受けると同時に体を巡らせ、重い魔刀をいなしながら、遠心力を吸わせた左拳を鬼の頬へ叩きつける。命中を引き下げる魔腕ではあるが、体勢を固定された鬼にかわさせることなく、奥歯をみしりときしませた。
「武器の特性を知ってれば、使いようはいくらでもある!」
「ち!」
 魔刀の柄頭でレイオスの眉間を打ち、半歩分の間合を空けた鬼は、腕を彼の首筋へこすりつけるように突き出した。
 ぞわり。思考ではなく、本能が鳴らした危険信号に、レイオスは魔腕で首をガードし、上体を横へ傾ける。
 と、その腕に、ざくり。鬼の腕から生えだした鬼面が牙を突き立てた。
「そういうのもありか!」
 魔腕を首から解き、噛みついたままの鬼の腕を開かせておいて、レイオスが剣の姿を取り戻した闘旋剣を鬼へ突き込む。
 鬼面のひとつを抉られながら、鬼はレイオスの腹を蹴って体をもぎ離した。次いで胸の鬼面が口を開き、火球を吐きつけるが。
『そうそう、なんだって使いようじゃん!?』
 ガルちゃん・改に装着されたKBシールド「エフティーア」が地面へ拳型の鋼塊を叩きつけ、火球をカット。そのまま踏み出して鬼へと肉迫する。
 並のCAMならバランスを保ちきれずに転倒しているところだが、ガルちゃん・改の両腕はそのまま垂らすだけで指先が地まで届く。だからこその荒技であり、機体特性を知り抜くゾファルだからこそ実行できた兵法であった。
『そりゃあガルちゃんは重たいけどよ、一歩の距離は人間ちゃんよか長ぇんだぜ? それにでかさもなぁ!』
 上体を畳んで鬼へかぶさりながら、斬艦刀を振り上げる。
 張り出した肩と広い胸部装甲に阻まれ、鬼からは刀が見えない。当然、振り下ろされる瞬間も読めはしない。
「だからっておとなしく待ってやるかよ!」
 腕の鬼面から火球を吐く鬼。それはマテリアルカーテンを燃やしてガルちゃん改の腹を焼き、内のゾファルを熱気で炙るが――鋼の巨体は小揺るぎもせず、エンジンの鼓動をひときわ太く響かせて。
『そんな苦し紛れで俺様ちゃんとガルちゃんのこと燃やせるかよ。もっと気合入れて殴り合おうじゃん! なあっ!!』
 そんなガルちゃん・改の片脇から、アルマが酷薄な笑みをひょいと突き出して。
「必死になりすぎて僕のことも忘れないでくださいよ? 鬼さんこちら、いないいない、ばぁ」
 彼の構えた杖の先に光が描き出した三角の頂点より、三条の光線が伸び出した。

●転結
 レーダーと眼、そして肌感でそのときがきたことを確かめた星音がタクティカルヘッドセットへ告げた。
『雑魔を“檻”の内へ追い込みました! 作戦を開始します!』
 星音の声音へ真っ先に反応したのは竜葵だ。
 大きくいななき、最後方に位置する雉へ横合いから飛びつけば、雉は咄嗟に振り向いて、予想進路目がけて風魔法を飛ばす。
 しかし竜葵はここで体を起こし、腹を前へ向けた。瞬時に増大した空気抵抗が彼女の速度を殺し、風魔法を悠々と見送らせて――
『今!』
 OFM86がヘビーガトリングの砲口をジグザグに揺らしながら撃ち放す。でたらめに振っているように見えるが、OFM86に高速演算に星音自らの予測を上乗せした制圧射撃である。
 それにより、回避を抑制された雉が付近の雉の進路を塞ぎ、その雉もまた他の進路を遮り、さらにはぐずぐずに撃ち砕かれた雉の欠片が視界までもを塞ぐ。
『弓兵隊、雑魔をあと少し寄せてください!』
 星音の指示で、弓兵たちが用意していた矢を次々撃ち放した。これにより、外側に散ろうとしていた雉は鼻先を押さえられた。外縁が固まれば、当然のごとく内の雉は互いにぶつからぬよう注意しながら上下へ逃れるよりない。
『追撃をお願いします!』
 わかっているよ。吐き気に振り回されながら我慢して、このときのために備えてきたんだからね。
 魔箒を駆り、上空から真水がまっすぐに降り落ちた。これならば揺れはなく、たとえ雉が上下に散ろうとも、彼女からすれば等しく前方にあることとなる。
「よし」
 同じく星音の通信を聞いた研司は、すぐに“檻”――雉を追い込んだ空間の斜め下へとポジションを移していた。
 かくて研司砲で牽制射撃を撃ち込み、雉の左右への拡散を抑えたところに。
「これで詰みだよ!」
 真水が描き出した術式陣より溢れだした氷柱が、雉どもを貫き、地へと突き立った。
 アリアスの凍線を辛くも逃れた雉どもは、今度こそ散開して反撃に移るが、しかし。
 アイギスの狙撃で1体が墜ち、風魔法の密度が減じたところへ、星音の制圧射撃が潜り込み、下へ潜り込んだ竜葵のファイアブレスの撃ち上げ、弓兵の追撃が重ねられて。
 下ばかり見ていると、思わぬ痛手を負うことになるよ。
 上から撃ち下ろされた真水のミカヅチが3体の雉を墜とし。
 このときを待ってたぜって言ったら嘘くさくなるかな!?
 研司砲から飛んだ光がマテリアルの雨となって雉どもを叩く。
 星降に貫かれた雉はもちろん、即死を免れた雉もまた封印の縛めを受け、地上へ墜ちた。
「守備隊のみなさんは火事のほう、よろしくお願いしますね! 後始末が終わりしだい駆けつけますから!」
 地の雉へのとどめと空に残るわずかな雉の対処を請け負い、研司は守備隊の隊長へサムズアップを送った。


 外堀の前に這い出してきた工兵が、待ち受けていた槍兵の穂先で叩き伏せられ、貫かれた。
 報告を受けた真は小さくうなずく。自爆されたことを逆手に取っての作戦は、ほぼ完遂できたと言えよう。
 と、彼を乗せたレグルスが足を速めた。覚え込ませた火薬のにおいに反応し、追跡を開始したのだ。
 ほどなくして工兵を見つけた真は、跳び降り様にレグルスを駆けさせる。
 避けようとする工兵に短刀で迎え討たれたが、レグルスはひるまずその腕を噛みちぎり、飛び退いた。
 この隙に工兵は逆の手で起爆させようと紐を探るが、遅い。
 無拍子で踏み込んだ真が、すり抜け様にその手を魔導剣で断ち落としていたから。飛燕による部位狙い。木っ端にかわせる技ではありえなかった。
 とどめを刺した真はひとつ息をつき。
「こちら鞍馬。9体めを仕末した」

 上空で知らせを聞いたカーミンはNo.4から降り、蒼機弓を手に路のただ中で待ち受ける。
 囮を利して虚を突こうとすれば、どのような進路を選んでも、工兵の裏を最短で抜けられるここを通るよりないのだ。
 果たして、カーミンは1体の工兵と対峙する。が、工兵は爆薬の紐を引かない。それだけで知れた。そう、あなたが最後の1体ってことね。
 と、工兵が短刀をカーミンへ投げつけた。回避行動をとらせ、矢を射らせるのを少しでも遅らせて逃走をはかる、最後の一手。
 ええ。私がかわせば、ね。
 カーミンは脇腹を裂いていく短刀に反応することなく、指の間に挟んだ多数の矢をひと息で射放した。かくて、1,2、3――カランコエの赤光を夜闇に散らし、工兵の挙動のすべてを縫い止めた。
「守備隊、警戒態勢を維持しつついくらかを捜索に回して。念のためにね」
 あらためてつがえた矢で工兵の眉間を射貫いたカーミンは、爆薬を骸の背から取り上げ、歩き出した。


 鶴翼の閉鎖を押しとどめる守備本隊と連動し、エルバッハはガルムと共に奮戦していた。
「あと少しで敵将は討たれます! それまで支えきれれば私たちの勝利です!」
 彼女は高らかな声音に隠し、脇腹に突き立つ矢を引き抜いて捨てた。
 すでに体は幾度となく穿たれていたし、裂かれてもいたが、しかし。だからどうだと、歳を大きく超えた豊かな胸を張ってみせるのがエルバッハという少女である。
 戦場の華が手折られ、斃れるわけにはいきません。自らの血を吸い上げて、より鮮やかに咲いてみせましょう。

 アルマのデルタレイが鬼を撃つ。
 魔刀で受ける鬼だが、アルマの凄絶なる一閃は殺しきれず、また顔のひとつを損うこととなった。
「野郎!」
 追いかけることはできない。ガルちゃん・改の斬艦刀、そしてレイオスの闘旋剣が、その気の圧をもって今も彼を押しつけていたから。
「追いかけてくれない鬼さんじゃあ甲斐がありませんねぇ」
 ミーティアの背に乗り、残る妖魔群の内へ押し入っていく。相手としては相当物足りないですけど、仲間の後ろを突かせるのはおもしろくありませんから。少しの間、鬼ごっこしましょうか?
『鬼太郎ちゃんの相手は俺様ちゃんじゃん?』
 ゾファルがコクピットの内よりバトルジャンキーの眼光を飛ばす。
「そんなもんが僕に効くかよ!!」
 眼光を振り払い、鬼がガルちゃん・改へ轟と魔刀を振り込んだが……ダメだぜ鬼太郎ちゃん、煽られて突っ込んでくるとかよ?
『これが! 俺様ちゃんの喧嘩だぜーっ!!』
 渾身をもって、斬艦刀をまっすぐに振り下ろす。ただそれだけに集中した一打撃砕「星砕き」は、ガルちゃん・改の機体特性をもって剣を最後まで隠し通し、鬼の眼前まで届けおおせた。
「おおっ!!」
 必死で刀を差し込んで受け止めた鬼は、衝撃を抑えきれずに両膝を折って横へ転がり、剣に押し切られるを辛くも避ける。
「兵ども、敵を押し返せ!」
 命令に従い、大将の守りに駆けようとした敵左翼だったが。
『マジカル★ヒートレイ!!』
 グランソートの拡散ヒートレイに焼かれ、ぼろぼろと崩れ落ちていった。。
『遅くなってごめん! ざくろはこのまま抑えに回るよ! 大将首は任せた!』
 深く傷ついた機体をさらに踏み込ませ、攻性防壁で敵兵を弾き飛ばしたグランソードが、左に佩いた機剣を引き抜いた。
『ざくろの心を魔法に変える――トリニティーレイ!!』
 サポートロボット「カマエル」が主の呼びかけに応え、三条の光線を3体の妖魔へ突き立てる。と、同時、グランソードもまた歩を巡らせて次の敵へと向かっていた。残された命を尽くし、戦い抜くために。
 その彼の奮迅を、同じく突入してきた騎馬兵たちが飾り、今、一体となった人機と人馬は同じ先を指して突き進む。
「くそ!」
 急ぎ立ち上がり、右翼との合流を図る鬼だったが。その横っ面へ、衝撃と共に霰玉が食い込んだ。
「ちぃっ!」
 なんとか持ちこたえて見れば、右翼は甚大な被害を被っていた。
 エルバッハと守備本隊に阻まれ、右翼は陣容の整頓が滞っていた。そこへ本隊後衛と共に前進してきたドラングレーヴェが連続装填で撃ちだした炸裂弾の強襲である。
 立てなおしようがないことを鬼が認めたところへ、レイオスが迫る。
「観念するんだな!」
「観念するくれぇなら怒りにまかせて死ぬまで殺す!」
 斬り上げられた魔刀の腹を闘旋剣で内から叩き払い、肩を削らせておいて、魔腕の掌打を鬼の鼻柱へ叩きつけた。
「っ!」
 鬼が顔を歪め、体に残る鬼面の口を大きく開く。至近距離からの火炎でレイオスを灼き尽くすために。
「待ってたぜ、このときを!」
 炎にまかれたレイオスが闘旋剣を鬼へと突き出し、突き通した。
 深く傷つきながら温存してきた最後の兵主神。それをもって彼は、鬼を確実に貫けるチャンスを自らのものとしてみせたのだ。
「お、お――僕が、尋常の、戦で」
 鬼の声音は続くハンターと守備隊との猛攻の内にかき消されていき。
『歪虚死すべし。慈悲はないじゃん』
 ガルちゃん・改の、今度こそなにひとつ隠すことない星砕きに叩き斬られて失せた。

●勝鬨
 敵将、討ち取ったり!
 統制もなにもないまま城内から敗走する歪虚群の背に、守備隊が勝鬨を浴びせかけた。
 ふが、ふが、ふー!!

『勝鬨も城主(仮)に毒されてんのね……』
 通信機から聞こえるママの声に、いつもの調子に戻ったアルマが「わっふー! ママですー!」、ミーティアと城の北へ突撃させる。
 その脇では、エルバッハとざくろが共に戦った守備隊の面々とうなずきあう。
 獲ったはずの鬼の首を探してうろつくゾファルにレイオスは苦笑してかぶりを振った。

 竜葵と土井尻の消火へかかる研司。そして真っ青な顔の真水はアイギスのサポートで、なんとか作業を手伝っている。
『こちら四十八願です。お手すきの方は土井尻の消火作業にご助力お願いします』

 星音の通信を聞いたカーミンと真は、それぞれNo.4とレグルスを駆り、静寂を取り戻した城東から急ぎ西へ。

 かくて恵土城の戦いは人類側の勝利で終わり、再建という新たな戦いの幕を開けたのである。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 15
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 龍盟の戦士
    藤堂研司(ka0569
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    リュウキ
    竜葵(ka0569unit003
    ユニット|幻獣
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    マドウボウケンオウグランソード
    魔動冒険王『グランソード』(ka1250unit008
    ユニット|CAM
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • ユニットアイコン
    ナム・フォウ
    No.4(ka1559unit004
    ユニット|幻獣
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    ドラングレーヴェ
    ドラングレーヴェ(ka1990unit005
    ユニット|ゴーレム
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    アイギス
    アイギス(ka2377unit003
    ユニット|自動兵器
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ユニットアイコン
    ガルム
    ガルム(ka2434unit001
    ユニット|幻獣
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    アサルトガルチャン
    ガルちゃん・改(ka4407unit004
    ユニット|CAM
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    ミーティア
    ミーティア(ka4901unit005
    ユニット|幻獣

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    レグルス
    レグルス(ka5819unit001
    ユニット|幻獣
  • 竜潰
    四十八願 星音(ka6128
    人間(蒼)|10才|女性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    ハチロウ
    OFM86(ka6128unit002
    ユニット|CAM

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/03/16 14:19:31
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/03/13 10:39:58